シナリオ詳細
再現性東京2010:綾敷なじみはパーティーがお好き(in音呂木家)
オープニング
●
「ってわけで、ひよひよ。お願いするのだよ」
にんまりと微笑んだのは再現性東京2010街の希望ヶ浜で『無ヶ丘高校』に通っている綾敷・なじみ(p3n000168)であった。aPhoneのメッセージアプリで「ひよひよ助けてー!」と送られてきて何だ何だとファーストフード店までやってきたお馴染み、希望ヶ浜学園の夜妖のプロフェッショナルこと音呂木・ひよの(p3n000167)は低く地を這うような声で「は?」と言った。
街は色めきだって、再現性東京でも12月24日はクリスマスとして親しまれている。
サンタクロースがプレゼントを配ると夢見る子供達に向けて、両親達がプレゼントの準備にひた走っているのだ。冬の寒々しい空気ではあるが、イルミネーションで暖かな街並みには、クリスマスシーズンの装飾が賑わいを添えている。
そんな、クリスマスシーズンのど真ん中になじみはひよのに懇願していた。
「クリスマス会がしたいのです!」
「……はあ」
「と、言っても、学校の友達とって訳にもいかないわけで。
なじみさんはなじんでは居るけれどね、耳や尾がぴょこんとなれば、それはそれで問題なのだよ!」
「そう、ですね……」
「だから、希望ヶ浜の皆にちょーーーっとお願いしたいんだけど!? ダメかなあ!?」
「……イルミネーションの下に夜妖が現われるんで『えいやっ』としなくてはならないのですけど」
「付き合うから!」
懇願するなじみに推されたひよのは「誰か招待しておいて下さいね」と肩を落としたのだった。
●
――と、言うわけで、音呂木神社の裏手に存在するひよのの実家でのクリスマスパーティー開催が決定した。
綾敷・なじみはと言えば早速と言わんばかりに「助けて-!」と皆にメッセージを送ったことだろう。人懐っこい彼女が直接呼んだ越智内 定 (p3p009033)や笹木 花丸 (p3p008689)のようなメンバーも居ればチェーンメールのように「このメールが届いた人はクリスマス会に来るか、来られる人を紹介しなさい」という謎の文面によるメールで訪れた者も居るかも知れない。
「やあ、みんなのなじみさんだよ! ひよひよが場所を貸してくれるらしいから、皆にはお願いしたいことがあるのだよ。
まず、クリスマス会の準備をしないといけないんだー!
ケーキは(ひよひよが)予約してるから引き取りに行こうね。ごちそうは(ひよひよが)予約してくれたチキンもあるけど手作りするなら、一緒に作ろうって言ってた!」
大体はひよのが準備してくれたそうだ。
つまりは、クリスマス会の準備をするところから始まる。
音呂木家を会場として貸し出してくれるらしいが、幼い頃に使用していた小さなクリスマスツリーくらいしかクリスマスらしい物はないとひよのは宣言していたのだ。
幸いなことになじみが本気であることを受けて、ひよのが直ぐに希望ヶ浜でも人気店であるケーキ屋のクリスマスホールケーキを予約し、チキンのセットも予約しておいてくれたらしい。
足りない料理は材料を買ってきてくれれば、飾り付け中にでも準備しようという事だ。飲料も揃っていないため、イレギュラーズには買い出しを行ってきて欲しいとひよのから言付けられたとなじみは胸を張る。
「あと、イルミネーションの所に夜妖が現われるから、それも『えいやっ』としなくっちゃならないんだ」
それがどんな夜妖であるかは分からないが、イルミネーションの影から『リア充』が羨ましいとぐちぐちと言いながら見ているだけの対したことのない相手であるとひよのから回覧のようにメールも届いている。
「買い出しとー、夜妖退治が終わったらー、パーティーを目一杯楽しもうとおもうのだよ。
ふふふ、なじみさんは皆とクリスマスをするのをとってもとっても楽しみにしてるから! 当日はよろしくね?」
- 再現性東京2010:綾敷なじみはパーティーがお好き(in音呂木家)完了
- GM名夏あかね
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年12月27日 22時00分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
クリスマスパーティーがしたいと張り切った綾敷・なじみが待ち合わせ場所に選んだのは音呂木・ひよのの実家――こと、音呂木神社であった。
「みんな! よくぞ集まったー!」
胸を張った猫耳娘。耳はベレー帽の中、尾はちゃんとスカートの中にINして一般人を装っている。
「クリスマス。ああ、こっちではシャイネンナハトじゃなくてそう言うんだったな。ま、今日は存分に楽しませてもらうぜ! よろしくな、みんな!!」
に、と笑った『博徒』ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)にきょとんとしたなじみは「シャイネンナハト?」とぱちりと瞬いた。希望ヶ浜ではクリスマス、と呼称されるシャイネンナハトは何の縁があるかはさて置いて、ケーキを食べてプレゼントをサンタさんが持ってくる日なのだそうだ。
「こちらではクリスマスというのですね。国が変われば文化も違う、ということです。
光の装飾、クリスマスを題材にした歌たち……いるだけで楽しそうになれる素敵な景色ですね」
柔らかに微笑んだ『夜咲紡ぎ』リンディス=クァドラータ(p3p007979)にラサで育った『真庭の諜報部員』イスナーン(p3p008498)にとっては再現性東京のクリスマスは鮮やかな電飾で飾られて不思議そのものに映っていた。情報収集を、と事前に熟してきた彼は「メリークリスマス」と堂々と待ち合わせに現われた――のだが。
「イスナーンさん、すごーい! サンタさんだね!」
「えっ、男性はクリスマスパーティーの時はサンタの格好するものと聞いたのですが違うのですか?」
きょとんとしたイスナーンになじみは「風邪引かないようにひよひよにお父さんのコート借りようぜ」と揶揄い笑う。
「クリスマス……パーティー! ふふふ、遊んだ上で依頼をこなせるとは、良い仕事もあったものです。
ひよのさんやなじみさんと遊んでみたいなって思ってたので、そう言う意味でも僥倖ですね!」
にこりと微笑んだ『気丈な覚悟』九重 縁(p3p008706)に「なじみさんも遊びたいよ」とひよのの手を引いてなじみが縁のもとへと駆け寄っていく。
「ちょ、なじみ……皆さん、本日はご迷惑をおかけしますが」
「いいえ! 堂々と酒が飲める日なのだわー! 美味しく楽しく酔う為に……もとい神の従者としてちゃーんと成功に導いてあげないとねぇ」
ひよのが「駄目な大人だ」と呟けば『自堕落適当シスター』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)が可笑しそうに小さく笑う。この日ならば神だってお酒を堂々と飲んだって許してくれるだろう。
「たまにはこういうのも悪くないさね。まあ、寒いしのんびり行こうか」
コートに身を包んだ『策士』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)にひよのは「ええ」と笑みを零す。「寒ければストール貸しましょうか」と自身の実家を指さすひよのに「どうも」とマニエラは穏やかに返した。
「ふっふっふ!」
――テンションは最高潮であった。
「ひよのさん達とのクリスマス会とあらば、夜妖の退治に関わらず参加に是非もないよねっ!
ちゃっちゃとお仕事を片付けちゃって、今日は一日皆で盛り上がっちゃおうっ!」
ひよのとクリスマス会を楽しめることが心の底から喜ばしい『人為遂行』笹木 花丸(p3p008689)。「なじみ並のテンションですね」とひよのが呟けば、花丸がちょいちょいとひよのの裾を引く。
視線の先には『凡人』越智内 定(p3p009033)。彼は歓喜に打ち震えていた。
(今年もぼっちシャイネンぼっチキンだと思っていたのに、まさかこんなイベントが待っているなんて! 誰も居なかったらいえ~~~~いって叫んでる所だよ)
――心の声は結構漏れていた。なじみが定の顔をまじまじと見上げて首を傾いでいる。
「いえ~~~~~い!!!」
普通の声に出た。
「いえ~~~~~い!!!」
なじみに同じように返されて定は「えっ、声に出てた!?」と周囲のイレギュラーズを見回した後、赤い顔をして「気を取り直してえいやっと行こう」と咳払いをしたのだった。
●
冬の寒さは驚くほどで、特にビルの立ち並ぶ希望ヶ浜はビル風が肌を刺す。マニエラははあと手に息を吹きかけて「まずは買い物を終わらせて、えいやってして……それから……ううーん意外とハードだな……」と小さく呟いた。
「このイルミネーションってぇのはキレイだと聞いてはいたがこりゃ見事なもんだ。欲を言えば雪も降ってりゃもっと嬉しかったんだがね」
「まあ、夜は雪の予報ですけど、今降ると凍え死にますよ。ニコラスさんが」
「俺が?」
ひよのがにんまりと微笑んで言えばニコラスは「悪い冗談だな」と唇を吊り上げた。ドリームシアターで雪の幻影でも降らせてみれば幻想的であろうが、雪が降ったから死なないと、と突然身ぐるみを剥いできそうなのがこの女なのだ。
「ひよのさんも買い出しにご一緒してくれて良かったです。一緒にお仕事をして貰えると心強いですから」
微笑んだリンディスはエコバッグは忘れずに鞄の中に丸めて入れて、一先ず夜妖を倒そうと現場へと進む。コートにサンタクロースの衣装を詰め込んだイスナーンはイルミネーションが見事なものだと呟いた。
「これがイルミネーションというのですね」
「ええ。相変わらず煌びやかねぇ。街を歩く人々は笑い、楽しみながら今日という日を祝う……そうね、平和とはこう在るべきもの」
うんうんと頷いたコルネリアの視界にちらついたのは『えいや』とされる夜妖である。マニエラはまだプレゼントを決めれていないのにと僅かに悩ましげだが――見つけたならば倒すだけだ。
「無粋な子達は主に代わり神罰を落とすのだわ! 騒ぎにならない様に素早く撃ち抜き終わらせましょ。えいやえいや♪」
「楽しそうだよね。よーし、俺も倒しちゃうか。食らえショットガンブロウ!」
技の名前を叫ぶ定に「ジョーさん浮かれてる?」と花丸がくすくすと笑う。ええ、勿論浮かれています。
「御免ね、これも皆で楽しくクリスマスを過ごす為なんだ、パーンチっ!」
花丸がパーンチとする様子に「此れもパーティーの為なのです」とリンディスがごめんなさいとせめて行く先が良い子とを祈るように手を合わせる。
「まあ、この様子だと見に来ている人もたくさん。これは確かに暴れられたら被害が大きそうです。
ひよのさん、ここから先は手分けして買い物しませんか? その方がパーティーも早く始められそうですし」
ね、と微笑んだ縁にひよのは「先に帰っていましょうか?」と問うが花丸は「食材とか花丸ちゃん達に任せていいの!?」とずいずいと近寄っていく。
「あー……まあ、そうですね。ご一緒しましょうか」
「やったー! じゃあ二手に分かれるぞー! ひよのさんはこっち!
花丸ちゃん達と一緒に追加の食材とかの買い出しにゴーッ! ひよのさん、花丸ちゃんピザも食べたーいっ!」
手を引く花丸にニコラスは「シャンメリー買おうぜ、あとシャンパンもだな」とひよのを手招いた。
「せっかく経費降りるんだ。贅沢しちゃおうぜ!! 明日の事とか気にせずによ!
ところで音呂木さんは何か買いたいものとかねぇのか?」
「皆さんの食べたいものを一通り買いましょう。それで何か浮かべば私も買いに行きますね」
成程、と頷いたイスナーンは「予約したケーキをとチキンを取りに行くのも役割分担が大事ですね」と提案した。
「パーティー用品を買い足すのも良いと思います。キャンドルは雰囲気が出ますし後はドリンクやシャンパンも追加でどうでしょうか」
「おお、いいねいいね!」
いいよね? と伺う花丸にひよのは「ええ」と小さく笑う。彼等は『サプライズ』の為にできるだけひよのを音呂木家から引き離すのが目的だ。サプライズを行うことをなじみに提案すれば彼女はどうしたことか音呂木家の鍵を音呂木父から借り受けて置いてくれたのだ。
ならば――食べたいものを思いっきり提案して、欲しいものを沢山並べよう。
「ええ。私は鮭を買おうと思います。大きな看板に……ほら、鮭って」
どうして鮭なのだろうとニコラスと花丸が顔を見合わせる。ひよのは「サーモンマリネとか作りませんか?」とリンディスへと提案し――一行はスーパーへと向かうこととなる。
●
プレゼント、と悩んだマニエラ。今回はプレゼント交換も行うこととなる。
「プレゼント……そうだねぇ……『櫛』とかどうだろうか?
ほら、私ら女には必要なアイテムだろう? 今回は男の方が少ないからな? 当たりの確率が高いというわけさ」
「ほほう、乙女心ですな?」
マニエラに頷くなじみ。その様子を眺め乍らコルネリアはクラッカー片手に「これとかどうかしら? バルーンとか、使うととっても盛り上がるのだわ! 綾敷ちゃんはよさげなサプライズアイテム知らないかしら?」と微笑んだ。因みに買い物籠にはさり気なく、シャンパンが入っている。
「……ついでにほら、男に櫛が行っても……そこらの女子に渡せば好感度も上がるだろう? ほら、出番だぞ?」
「ええ……其れは荷が重いぜ」
渡す相手も居ないしさ、と頬を掻いた定にマニエラは小さく笑い、びりびりするアイテムやおならクッションを選び「面白くないか?」と問い掛けた。
「面白い! 縁ちゃん、座ってみてよ?」
「ええぉつ!? なじみさん! 其れは酷くないですか!」
驚き顔の縁になじみは「なじみさんがぶーってする所見たいのかい?」と揶揄い笑う。「ひよのさんへのサプライズでしょう」と縁はなじみに揶揄い笑う。
「さてサプライズをすると言う事だけれど……どんなものが喜んで貰えるだろう。なじみさんはひよのさんと仲が良いから知ってるかな?」
「ひよひよにだけ?」
定は予見していた――ひよのにサプライズと言えばなじみだって欲しがるに決まっている。「ぶーたれた」と定が呟けばなじみは「なじみさんには?」とぐいぐいと伺う。
「だ、そうだよ?」
「……マニエラさん! ああ、もう。なじみさん、なじみさんには今度するからさ、きっと、約束さ」
「約束ね」
相変わらず揶揄われる定なのである。縁に歌でも歌って貰うかと悩んだが――当の縁は何かを思いついたようにそうだ、とスノードームを手に取った。
「折角お部屋を用意してくださったお礼のプレゼントとかどうですか? このスノードーム可愛いですねえ……」
「なら、其れにしよう。それから……いや、ほら、でかいクリスマスツリーは邪魔になるだろうし、門松にしておこう?」
「門松、ありそうじゃない? 神社だし」
中々困惑を極めるサプライズ組――であるが、コルネリアはその間に十字のシルバーチャームをプレゼント交換用に購入しておいたのだった。
「なじみさん、ほら、ケモミミ仲間だし? 櫛買っておこうか?」
「なじみさんに!? わーい!」
マニエラが「こうやって渡すんだよ」と言わんばかりに微笑めば定は「なじみさんはひよのさんのサプライズを決めてくれよ」と頬を掻いた。天真爛漫さに振り回される男子一名、今日もとても大変なのだ。
●
連絡をし、ひよのが帰ってきた頃には部屋はある程度飾り付けられていた。何故か門松が室内に賃材してたがひよのはきょとんとした後に、「数日後に飾りますね」と言うのだった。
「さ、食事を用意しましょう。何方が手伝ってくれます?」
「ああ、じゃあ僕と、」
「私も。サラダとキッシュとか作ろうかと思います。定さんは?」
「僕は大皿でパスタでも作ろうかな。最近凝ってんだ。アラビアータ、カルボナーラ、ペペロンチーノあたりでいいかな」
縁と定に頷いたひよのは「私はサーモンマリネを作ります、リンディスさんは先程言っていたレシピを」と笑みを浮かべる。
「はい。ホワイトソースと鮭を混ぜて、赤白のクリスマスカラーにしましょう。
……貰ってきたレシピの受け売りですけどね。クリスマスらしい料理の飾り方、みたいなのはあるのでしょうか?」
キッチンは4人が揃ってぎゅうぎゅう詰め状態である。飾り付けで悪戯を仕込むマニエラに皿を用意するイスナーンはちら、と背後を伺った。
「花丸ちゃんも料理のお手伝いに行ってくるね!」
「はい」
「……ちょっと位つまみ食いしても……あ、ダメ?」
ちょっとだけですよ、と縁がプチトマトを花丸の唇につん、と押しつける。もごもごと食べながら運ばれてきた料理をテーブルに並べ、なじみが勢いよく腰掛けた時。
ぶッーー
「……あー! マニエラさん!」
「はは、宣言しただろう?」
見事に悪戯が発動し、聞いていたひよのがぱちりと瞬いてから愉快そうに小さく笑った。
「――それでは。聖なる夜に、メリークリスマス!」
リンディスの乾杯の音頭で会が始まった。シャンパンとチキンを手にコルネリアが「最高ねぇ」と微笑めば、ジュースをちびちびと未成年組が飲み始める。
「さ、お待ちかねのプレゼント交換だ。みんなが集めたプレゼントを選んでいくわけだが決め方はくじ引きだぜ。引いた番号札と同じ数字のプレゼントが渡されるってやつだな!
そんでくじ引きを引く順番だがよ、ババ抜きの勝ち順ってので行こうと思うぜ」
「――と言うわけで、そう! ゲームもしましょう!」
縁の取り出したトランプで、最初に上がったのはマニエラだった。ついで、イスナーン、コルネリア、縁、リンディス、ひよの、花丸、ニコラス……なじみと定の一騎打ちでは表情に出るなじみに根負けした定がビリとなる。因みに、この後コルネリアは「強いのよ」と微笑むが負け続けるのだった……。
「なら、私は……ふむ、これは?」
「ああ、そりゃ、白兎の後ろ足で作られたアクセサリー。俗にラビットフットって言われる代物だ――あなたに幸運がありますようにってな?」
ニコラスのプレゼントはマニエラに。イスナーンが手にしたのはコルネリアの十字のシルバーチャームであった。
コルネリアはと言えば、定が準備したバスソルト。此れから寒くなるからぴったりだろう、という言葉には「熱燗と一緒に楽しみたいわねぇ」とうっとり顔でコルネリアは応じる。
縁の手にはマニエラが準備した櫛が、リンディスには花丸の帽子が渡る。
「花丸ちゃんって言ったらやっぱりコレだし、似合うよ!」
「有難うございます。さて、私のものは……」
リンディスの用意した小さな手帳とペン。豪華な本の装飾を模した手帳と練達の技術を使ったという、インクも芯もいらないという不思議なペンはどうやらひよのの手に渡ったようだ。
「おや、これは良いですね。使い勝手が良さそうです」
「で、花丸ちゃんには! 金と銀のペアネックレス?」
きょとんとした花丸は手紙が入ってるとまじまじと見遣る。イスナーンからのメッセージはペアネックレスだからこそ、片方は大切な人に送って二つ揃えてハートを作って見てはどうか、という提案が書いてあった。
「次選ぶのは俺か……。これは?」
「ああ、それは私が選んだ物ですね。万年筆です。使い勝手良いですよ」
ひよのにニコラスは「成程」と大きく頷く。次になじみが選んだのは縁からのプレゼントだ。ストールを身に纏って「ストールだー!」と喜びくるくると回るなじみへと縁は「大判なので使い勝手外衣と思いますよ」とアドバイスを一つ。
「なじみ、はしゃぐと転びますよ」
「へへ。あ、私からのは定くんにかな?」
「ああ、そうか……って、なじみさん此れ何?」
箱を開ければその中に入っていたのはアルバムであった。中身には何も写真は挟み込まれていない。
「ひよひよに今日の写真撮って貰って、それを1ページ目に挟む魂胆なのだ。
其れで沢山想い出挟んで行ってね! メリークリスマス!」
にい、と笑ったなじみに花丸は「一杯写真撮ろう!」と提案する。カメラを用意したひよのに「どれ、撮ってやろうか」とマニエラが提案すればコルネリアはシャンパンを呷りながら「可愛く撮ってね」と小さく微笑んだ。
ふと――定はなじみの耳元で囁いた。
「こういうのズルかなって思ったのだけれど、どうしてもなじみさんにプレゼントをあげたくてさ……後で受け取って貰えるかな」
半年前の僕じゃ考えられないような行動力だ、とそっぽを向けば。なじみは「後でね」と揶揄い笑う。その顔に頷いて、やっぱりクリスマス会をやって良かったというように定はまた心の声を外に出すのだった。
「いえ~~~~い!!」
「え? 何ですか? そう言う空気ですか?」
作法かというようにイスナーンが顔を上げればニコラスとコルネリアはグラスを掲げ笑う。
「あ、雪。ニコラスさん、雪ですよ」
「室内だから凍えて死にゃしねぇよ」
「ええ……?」
「ひよのさん?」
死なないの、と言う顔をするひよのに縁は小さく笑う。リンディスは「さて、トランプ再開です」と山札を組み合わせて小さく微笑んだ。
まだまだクリスマス会は続いていく――
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
この度は綾敷さんの我儘パーティーに付き合っていただき有難う御座いました!
プレゼント交換と順番はあみだくじをさせていただいた結果です。何だか良い感じ(?)になったかなと。
またなじみ&ひよののことも宜しくお願いします!
GMコメント
リクエスト有難うございます。クリスマス会を楽しむシナリオです。
●成功条件
夜妖はえいや!としてクリスマス会を楽しみましょう!
●えいや!とされる夜妖
クリスマス会を行う音呂木神社近くのイルミネーション(希望ヶ浜では割と人気スポット)に紛れるように現われる夜妖です。
人も多いので買い物の際にでもどさくさにまぎれてえいや!とすることが出来るでしょう。
●クリスマス会
音呂木家(音呂木神社の裏に在ります)は古き良き日本家屋です。
そんな、音呂木家でのクリスマス会です。
●買い出しフェーズ
なじみは付いてきます。ひよのはお誘いいただければ「分かりました」と付いてきてくれるでしょう。
ケーキ:クリスマス用のケーキをひよのが予約してくれてます。希望ヶ浜では人気のお店です。
チキン:こちらもセットをひよのが予約してくれています。結構な量になりそうです……。
その他飲み物や食材:必要に応じて買い出して下さい。ひよの曰く「これも仕事なので校長にツケました」とのことです。
・調理は音呂木家で行うことが出来ます。キッチンの使用はひよのが取り仕切ります。調理を行う方はご一緒にどうぞ。
・お酒類は20歳から。此処は東京ですから護って下さいね!
・飾り付けは『小さなクリスマスツリー』だけが在るみたいです、他も購入しても良いと思います。
・この買い出しの途中にイルミネーションを見ることが出来ます。その中に夜妖が居ますので「えいや」と倒して下さいね。
●パーティーフェーズ
準備が完了したらお楽しみのパーティーです。パーティーは公序良俗&飲酒ルールだけ守っていただければ何でもOKです。
また、ひよのの実家ですが両親はお仕事(ご祈祷)で出てるようですので、気にしないで下さいね。
こたつの置かれた和風のお部屋です。テレビではクリスマス特番が流れているようです。
●NPC:音呂木・ひよの
ご存じ希望ヶ浜の夜妖専門家。カフェ・ローレットの受付嬢兼アルバイター兼音呂木神社の巫女。
年齢はヒミツですが一応は高校生。皆さんの『先輩役』であるそうです。
何だかんだで世話焼きです。少しスレた態度を取りますが根っこは優しいので気軽にお話ししてあげて下さい。
●NPC:綾敷・なじみ
夜妖憑きの無ヶ丘高校一年生。明るく元気で「なじんでるよ!」が口癖な不思議ガール。
はつらつとしていて基本はトラブルメーカーです。彼女はなんでも気軽にお付き合いしてくれます。
猫の尾とベレー帽のしたに猫耳を持ちますがお外では隠して居るようです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
其れでは楽しいクリスマス会を!
Tweet