PandoraPartyProject

シナリオ詳細

こいつはドMだから癒やされるとつい弱っちゃうししまいには〇〇しちゃうんだ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●出現! ドM!!
「そうだ……もっとイケるだろう! 来い! 来い!」
「なんだこいつ……ゴーレム? いや、それにしては」
「うるさァァァァい来いッ! 来なければこっちからイクぞ!」
 鉄帝の冬、雪まみれの冬。
 辺境に突如現れたゴーレムが猛威を奮っていると聞いて慌てて駆けつけた駐屯軍は、しかしそのゴーレムの――ムキムキマッチョマンの変態じみた――姿にたじろぎ、それから攻撃を集中させた結果として異様に強力な反撃をしてくる相手に二の足を踏んでいた。
 イレギュラーズの上位層と遜色ないであろう攻撃力に特化した一団はしかし、ゴーレムから矢継ぎ早に声援を浴びせかけられ、反撃を受けて離脱していく。
 ゴーレムは相当量の傷を負ったはずだが喰らうたびに強くなり、ピンピンしており、攻撃偏重の彼等ですらも手に余る有様。
 やがて脱落者は増え(だが死んでいない)、癒し手が回らなくなるに至って撤退を始めた。
「来ないのか! 来ないのか! 来ないなら――」
「やめてぇッ!」
 なけなしの魔力を使い果たさんとしていた癒し手は、その瞬間、咄嗟に治癒術式をゴーレムに向けていた。これは、完全なる「ミス」だったのだ。
 だが。
「ああああああアア?! 駄目だ、いけない、それは、違う!」
 どうやら治癒を受けることに忌避感を抱いているらしい。もう一度当てたら、逃げていった。
 ともあれ軍人たちは命を拾ったのである。

●治療しないといけないのはそこの依頼人の頭なのでは?
「……というゴーレムの討伐依頼がよせられました」
「いやちょっと無理があゆ」
『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)の説明に、『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)は首を傾げた。なんで治癒された側が被害者ヅラしてんだろう。それもゴーレムが。
「まあそうですよね。私もちょっと理解できません。その上で調べたんですが」
「調べられたのかゆ」
「どうやらゴーレムに関する記述を引いてみると、そのゴーレムはとある古代文明に名高い『自らの五体を楯に仲間を守りきった英雄』を模したものでして……相手を励まし自分を励まし、受けたダメージをどんどん返していくツワモノであったと。それが長い年月と人々の文化の吸収などを経てドMになってしまったと」
「メガネぇ、もうちょっと依頼人選んだほうがいいと思うゆ?」
「ローレットは選り好みしていたら世界を救えないんですよ」
「世知辛ぇゆ」
「それで、治癒術式を受けると精神的負荷がかかっていき、一定値に達すると自爆準備を始めるとともに弱体化されるそうです。攻撃するならそのタイミングしかない、と」
「分の悪い駆けは好きじゃないゆ」
「そこは『嫌いじゃない』んですね」

GMコメント

 回復キャラ共またせたな! 思う存分癒やしていいぞ!

●達成条件
・『M・V・M(モスト・ヴァリアブル・マゾヒスト)』撃破

●M・V・M
 要約すると「もっともアレなドM」。ムキムキマッチョマンの変態じみた姿をしたゴーレム。
 HPはエグい量保有しており、攻撃された回数に応じクソエグい強化のされかたをする。
 「いいぞ、その調子だ!」「ああ……もっと! もっとだ!」などと攻撃してくる人間に声援を贈りながら「だがまだ足りなァい!」と累積ダメージに対するカウンター攻撃(「カ」ではない。単なる反撃としての主行動)をしてくる。
 一方で回復されることを極端に嫌い、回復スキルを受けるごとに弱々しい声をあげながら弱体化していく。
 だがその間にも毎ターンレンジ3全方位の衝撃(ダメージ中。痺れ等。窒息系、虚無X、喪失は入っていない)を与えてくる。
 HP総量の1.5倍程度の治癒量を受けた辺りで超絶弱体化してカウントダウンが始まり、5~10ターンで爆発するので、その段になってから攻撃を仕掛けることでかなり楽に撃破できる。
 いいか、「ひたすら治癒→カウントダウン開始→総攻撃」だからな! わかってんな!

●パパス
 攻撃役が1人も居なかった時とか治癒役少ないなって時のセーフティネットです。
 充足してたら「やることねえゆ」つって隅で見ています。

●戦場
 誰も踏み入れたことのない無垢な雪原。
 広いです。
 戦闘終了後? やるだろ雪合戦。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • こいつはドMだから癒やされるとつい弱っちゃうししまいには〇〇しちゃうんだ完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年01月02日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
鏡花の癒し
ソリッド=M=スターク(p3p007305)
ぶたやろう
九重 縁(p3p008706)
戦場に歌を
墨生・雪(p3p009173)
言葉責めの天災
リーベ・ヴァルナー(p3p009391)
夢見る乙女

リプレイ

●仏像作って魂入れず編
『ハーーーーッハッハッハ! 君たちが挑戦者か!! いいぞ! 私は何者の挑戦でも受けよう! ヨシコイッ!』
 鉄帝の雪原に経つ『彼』は、イレギュラーズを視認するなり嬉々として己の胸板をパァンした。ゴーレムとはおもえない精巧さである。当時の造形師は何を思ってここまでやったのだろう。なにもわからない。
「攻撃されると喜び癒されると弱るゴーレム……なのです? 今まで読んだ本のどの物語でも見たことがないのです」
「いやいやいや……え……何……この……何?? どの国にもあるけど……鉄帝で偶に見かける本気かどうか疑わしいゴーレムやら発明品やらは何なのだわ……?」
 『夢見る乙女』リーベ・ヴァルナー(p3p009391)は貴族である。イレギュラーズとなって、本では見られぬ世界に飛び込んだ配位者の……初めて見るものがコレで良かったのか、という感想はある。まあ彼女はまだいい。癒し手大募集の張り紙につられ「とうとう私もひとつ階段をのぼることが出来るのだわ!」ぐらいに考えていた『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)の動揺たるやリーベの比ではない。なんでこの子いちいちこんな可哀想な立ち位置に来てるの?
「えむ……わかった、最近買った本ですんごい顎長い人がバスローブで夜景見下ろしながらオークションで買った子を言葉攻めしてるのを教科書にする! 任せて!」
「参考にしたら絶対いけないやつなのだわ?!」
(こいつ思った以上に最悪では……?)
 『緑の治癒士』フラン・ヴィラネル(p3p006816)はどこで買ったのかもわからない本を下敷きにしてこの依頼に挑むつもりのようだ。さすがの蛮行に華蓮も動揺が隠せない。けど止めるのもなあ、と彼女は思った。。
 『「Concordia」船長』ルチア・アフラニア(p3p006865)は依頼内容その他を聞いて想像以上にヤバいと判断した。判断したが、受けてしまったので後戻りはできない。なお、彼女のこのモチベの低さが後に悲劇を生むのだがそれはさておき。
「ふむふむ。ドM…………。そういう迷惑を撒き散らすタイプでなければいいと思うんですけどね。性癖は様々ですからね」
「こういうヤバイのは幻想か練達の担当だから鉄帝からは消えてもらおう! ウチはもう十分ヤバイの居るからね!」
 『気丈な覚悟』九重 縁(p3p008706)はドMときいて少しの間硬直したが、そういうテの相手には理解があるらしい。とりあえずなんか許容の精神を見せる。まあコイツ迷惑を撒き散らすタイプなので、彼女的には許せないたぐいなのだが。
 他方、『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)はいい加減鉄帝の変態事案は撲滅したい気持ちでいっぱいだった。だったが、これ過去の偉人なんだよと言われると彼も返す言葉がない。なんでこんな奴等がこの国で英雄視されていたんだろう。多分、戦闘における実績だけでみんなもてはやしたらご覧の有様なんだとおもうよ。
「M・V・M、お前とは妙な友情……俺と同じ波長を感じる。立場が違えば、きっと――だが、だからこそ負けらんねぇ!」
「この練達の資料をもとに、カウントダウンが始まるまで応援しつづければいいんですね……?」
 『ぶたやろう』ソリッド=M=スターク(p3p007305)が挑戦的にM・V・Mを指差す様は、成程なんか友情と敵意のあわいに身を置く者のような、そういういい感じの雰囲気たっぷりに感じることもできた。できたのだが恐らく色々違うんだろうなと、仲間一同思っている。
 なお『メープルマスター』墨生・雪(p3p009173)はフランに渡されたのか自前なのか、「練達のなんかそういう言葉でアレすることを専門にした本」を手にしていた。誰だよ! こんなモンをそこそこ新人ポジにあるやつに渡した不届き者は!
『なんだまだ来ないのか! 私は待ちくたびれてクタクタだ! ああこれも私を飽きさせ疲れさせて昂ぶらせようという策略か! いいぞ! そういうものは堪らない! 昂ぶってキタァァァァァァッ!!』
「作戦会議する暇も与えてくれないの? モテないわよそういうの」
『ンンンン――――ッ!』
「だめだよルチアさん、多分言葉責めも攻撃扱いになるから昂ぶるよ! でも放置プレイでもって上級者だね?」
「……フランさん詳しすぎるのだわ?」
 イレギュラーズが混乱と「でもこいつ倒そう」って気持ちに切り替えるメンタルリセットの間にも、M・V・Mは独自の解釈で昂ぶっていく。放置もだめ、攻撃も強烈なカウンターが来る、そして言葉で罵ることすらもアウトときた。フランに制止されてルチアは思わず口を押さえたが、そもそも彼女がなんで詳しいのかと華蓮は疑問が尽きない。
「やはり冒険というものは想定外の連続なのですねぇ、ワクワクするのです」
「リーベ、縁! 2人は俺が守護る! 遠慮なくヤってくれぇ!」
「人様に迷惑をかけてまでするのはいただけません。とっととぶっ壊しちゃいましょう!」
 リーベがあかん方に「想定外」を楽しみ、縁は拳を握ってさあぶっ壊すぞと気合を入れるなか、2人を守護るべくソリッドが合成増強剤を首筋に押し当てつつ前に出る。額面だけ見れば非常に頼もしいのだが……。
「パパスさん、私は皆をンヌッ! ってするから、回復のお手伝いついでにソリッドさんをパァン! ッテするといいと思う」
「ちょっと何言ってるのかわかんねぇゆ?」
「なんか欲しがってそうな顔してるもん」
「……そんなもんかゆ?」
 そんなもんだと思うよ。

●秒で適応しにいくこいつら頭おかしくない?
「良い子良い子……一生懸命頑張って戦っているのだわね。素敵なのだわよ」
「えーっと……がんばれ♪ がんばれ♪」
「大丈夫、怖くないですよ……いい子ですね……♪」
『グッ……?!』
 寒空の下、華蓮、ルチア、縁らの癒やしの術式が次々とM・V・Mへと突き刺さり、その口からは苦悶の声が漏れていく。特筆すべきは、術式による癒やしのみならず、声援のように相手を励ます声が挟まれ、その精神にまで賦活を与えようとしていることである。
「M・V・Mさんは強い子なのです、いーこいーこなのです」
『ヌ゛ゥゥゥッ! そうではない、私が求めるのは違うッ!』
「へっ、いい筋してんじゃねぇか……だが、まだまだぁ! もっと、もっとかかって来やがれぇ!! 来やがれください!」
『ハハハハハハッ! 受けて求めるならば与えよォォォォゥ!!』
 リーベの拙い声援と回復の波長が後押しになったか、M・V・Mは全方位へと衝撃を飛ばす。2人を庇う形で受け止めたソリッドは堂々たる身構えで相手へ挑戦的な言葉を吐き、相手を喜ばせる結果となった。多分これが何度も続けば声援扱いなのだが……そして彼に強化された波長が叩き込まれる。
 ガ――ッンンンン――!!
「アリガトウゴザイマッッ!!」
「わー、男の人ってこんな声で鳴くんですね!」
「ンッ……フゥ……!! よし、まだまだァ!」
 とんでもない衝撃音とともに突き立った力の波をひとり受け止めたソリッドの悶絶(歓喜)の声に、縁は嬉しそうにはしゃぐ。それすらもご褒美になっている。なんでこんなもん正月から書いてるんだろうな俺。
 だが、イレギュラーズの(逆)猛攻は止まらない。見よ、背後から迫るのはイグナート。よもやこのド序盤から攻撃を始めるのか? してしまうのか?
「オキャクさんちょっと無理し過ぎてるんじゃありませんか?ドコか痒いところはありませんか?」
『ア゜ッ』
 ぬるん、という感触。ずるりと這い回る手。思わず声を漏らしたM・V・Mは、それがオイルマッサージだと理解するより早く、鍛冶技術を駆使した追撃(ちりょう)に声を上げた。お前それR-15レベルの声だったぞわかってるのか。
「ゴーレムさん、いつもお疲れさまです。殴られてばっかでとっても大変なゴーレムさんを、今日はお姉さんたちがいっぱい、いーっぱい癒やしてあげるから……気持ちよくなっていって、ね」
『ヒッ……き、君達は何を考えアアアアアッ』
 そして、雪が耳元でささやく。文字通りのウィスパーボイスは思考を中断させるに相応しい甘ったるさを誇り、その挙動に大いなる妨害効果を生む。この子実戦経験あんまないはずなのになんでこんな『手慣れて』んのかよくわからない。怖い。
「そんな回復でほんとに満足なの? 誰の回復でもいいんだね、堪え性のない子だねーでもでも、もっとほしいんでしょ? ほらほら言ってみて、ちゃーんと素直にね!」
 フラン、仲間達の回復をンヌッ! てして維持しつつ満を持しての登場である。M・V・Mの動揺を煽りつつ言葉責めと誘導尋問にもっていく姿勢は確実な事前調査に裏打ちされた言葉の使い方を否応なしに想起させた。
『わ……私の誇りは物欲しそうになどしては……!!』
「甘いッ! それで俺のライバルのつもりかアンタは! 違う! 痛みを求めるならより『欲しくないモノを欲す』のが『ドM(おれたち)』だろうッ!?」
『く……ぬ……!!』
 フランの誘導に頑として首を振ろうとしたM・V・Mだったが、その余波で吐き出された衝撃波に嬉々として身を晒すソリッドが張り上げた声は一定の『真理』のようなものを備えていた。
 相手から責められることを望むのなら、相手の施しすらも――或いは攻撃行為とみなせないか、と。
 それはM・V・Mのカウンター能力すらも新たな境地に開花させ得る危険な発言であったが、それはゴーレムであるがゆえに『性癖として開花』しても『能力として開花』する余地はない。開花というより、こいつの場合落花っていうか。フラン好きそうなさ。
「いいのだわ……自分に素直になって教えてほしいのだわ」
「逃げなくていいんですよ、今日のゴーレムさんはね、英雄さんとかじゃあなくて、みんなのかわいい子ですからそんなにがんばっていなくっていいんです。ほら、ね、気持ちいいでしょう……♪」
 華蓮と、そして雪の言葉による癒やしの効果は絶大だった。治癒能力を使ってないはずなのに雪のそれは相手の正常な思考をかき乱し精霊レベルの人工知能をドロドロに融かしていく。なんでこんな(以下略)。
『……私は……求める……』
「なんて? もう一回聞かせてほしいな?」
『我はより強力な癒やしを求めると、そう言ったのだッ!』
「うんうん、素直になった方が多分気持ちよくなるよ! あたしは実質魔力が尽きないからね! いくらでも回復できるよ! ほーらがんばれ♪ がんばれ♪」
 飴と鞭が大事って『攻見澤スパダリ太郎』さんから学んだらしいフランは、持ちうる魔力を回復につぎ込み、矢継ぎ早に治癒を進めていく。『あっあっ』と小刻みに声を震わせ、全身をびくつかせるむくつけきゴーレム。もうちょっと健全な構図が繰り広げられればよかったのに。年の変わり目だというのに。
「俺ばっかりじゃぁ、悪いからなぁ! 喰らえっ!」
 ソリッド、ここにきてゼシュテルの壁を握りしめ、突進する。すわ裏切り行為かハイルール逸脱か、と思った一同はしかし、あらぬ方向にスカした彼に冷たい視線を向けた。
「な、なんて速さだ……避けた動きが全く見えなかったッ!!」
「…………」
「アッ痛い! 視線が痛い! アリガトウゴザイマッ」
「ふざけんなゆ。〇ねゆ」
「アアアアアッ素敵ィ!!」
 わざとらしく回避されたと主張する彼に突き刺さった殊更に冷たい目は縁のもの。そしてパパスからは尻をすりこぎアタックされた。
 縁は知らない。数日後に同じようなメに遭うや遭わざるやの大論争で仲間と貶めあうことになるとは――!!
「リッパなボディですねー。さぞ素晴らしい経歴をお持ちなんでしょう? どんなキノウがあるんですか?」
『受傷量の自動換算、治癒量の概算機能、自爆……じば、く』
 褒めそやしながら誘導していくイグナートに、思いがけぬ形で自分の秘密をバラしていくM・V・M。そして自爆機能について口にしかけた瞬間、それは起きた。
『自爆までのカウントダウンを開始します。開始前までに直ちに対象の情緒を揺さぶる言葉をかけてください。カウント延長を最大化したうえで全力退避を推奨します……受付時間……待機中……』
「情緒を揺さぶるって何?! ここで新しい要素が増えるの?!」
「多分褒めと貶しの往復ビンタゆ! 全力でやるゆ!」
 思いがけぬアレコレに巻き込まれ混乱の声をあげたルチアに、パパスが即座に応じた。なるほど、そんなのでいいのか……と、雪を筆頭に言葉でのアレコレが得意な連中が目を光らせた。

●なんでだろうなあ
「M・V・Mでしたっけ。まぞひすと、なのでしょう。だったら本当に好きなのはこういうのじゃあないんですか。
 さっきまで甘やかしてくれてた人が、気持ち悪いものを見るような眼差しで見下してくるの。好きなんでしょう? そういうのが。
 ……へーんたい♪」
 雪、渾身の――呪いにも似た罵倒を吐き出す。この後に小刻みに「ざーこっ♪」とか続くのだがこれ以上書くと報告書作成者の性癖開陳会になるので止めておこう。
「こんなオカシイ機体は鉄帝にはイラナイんだ! 幻想野郎(ゲンソッパリ)の方に行きなよ!」
 イグナートの口からとんでもない罵倒語が漏れた気がするが、多分鉄帝仲間のアレが一部うつったのだろう。そうに違いない。彼はそんな罵倒を吐く子ではない。
「そうね……頑張ったのだわ。もう諦めても大丈夫なのだわよ」
「我慢もできないんですか? この愚図」
「その辺でいいゆ。おまえはそろそろやすんだほうがいいゆ、英雄」
 華蓮のなけなしの愛情が、パパスの擁護が、しかし縁の罵倒に押し流される。情緒の往復ビンタは、カウント音を長引かせ……『カウント10』始まった。

「さあこのために鍛えた魔術の糸での拘束プレイだよそぉーれぐへへへへへ」
「がんばれ♪ がんばれ♪ もうちょっと我慢しましょうね♪(スーパーアンコール)」
「ぐあああああああ!!!! お、俺の中の……何か、が……きえ、て、いく……」
「回復されて否定的なリアクションする味方とか見たくなかったゆ。まあいいゆゴーレムは死ねゆ!」
「無影拳・旋指雷槍――ココからは本気でいかせてもらうよ!」
 フランが魔力の糸で相手を縛り、縁が回復したことでソリッドが何故か傷つくしパパスとイグナートが全力でぶん殴っていく。ついでながら、雪がリヴァイ・アポカリプスで 渾身の一撃を次々と叩き込み追い打ちにかかる。
「そう……これは終わってしまった恋の話……そしてこれから訪れるかもしれないIFの…………」
 華蓮は魔力塊を握り祈ろうとした。中断した。効果は発生している。
「いや無理、シリアスなスキルだけど今シリアスなんて保てないのだわ」
 ほんとな。この子いちいちエモ散らかした特殊化スキルが見事に噛み合わない。
「そう……これは私の心に燻ぶった嫉妬の…………再チャレンジしたけどやっぱ無理なのだわ、シリアスなんて保てないのだわ。まあ棘なのだわ当たれェ!」
 心に刺さった棘が抜けないとか私の心がとか、シリアスならもうちょっと盛ったがそういうノリでもないので叩き込みました。悲しみのクリティカルヒットはゴーレムの体央を貫いて――爆砕せしめた! 今年も宜しくお願いします!

●ひでぇ雪合戦(ダイジェスト版)
「ゼシュテルでの雪合戦って言ったらそりゃもうガチのヤツと相場は決まってるし? 初心者に優しく石を入れたり、雪玉に水をかけるのはアウトにしておく?」
「俺壁! 壁役な! 投げるんじゃなくて! 壁!! 石も水も歓迎!!!」
「ゃっほぉぉぉーーーーー雪合戦だ!!!!!!!!!! 塹壕ほって立てこもりながら雪玉投げましょう!!! チーム分け? いやいや。バーリトゥードでしょう!?」
「雪を丸めて玉にして投げればいいのです?」
「うんうん、そうしてソリッド君に当てよう!」
「ソリッドさん、こんなに当てられてまだ元気なんですね? へんたい♪」
「……雪合戦、始める前に私はリタイアね……あとはがんばって……」
「大丈夫大丈夫! まだまだいけるって!」
「ソウソウ、2ヒットでアウトだからまだセーフ!」
「えっちょっ待っ」

 なお、この影響か激戦の影響かはしらないけどルチアとソリッドは仲良く負傷し華蓮は情緒の上下で風を引いた。

成否

成功

MVP

墨生・雪(p3p009173)
言葉責めの天災

状態異常

ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)[重傷]
鏡花の癒し
ソリッド=M=スターク(p3p007305)[重傷]
ぶたやろう

あとがき

 新年一発目の普通のリプレイがこれなんだもんなぁ……今年も宜しくお願いします。

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