シナリオ詳細
天義聖典における一般的正義と性癖学上の諸問題
オープニング
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荘厳な聖堂の会議室に、ぐるっと椅子が円を描いている。
そこでは聖職者達が難しい顔をつきあわせていた。
「第三巻、二百七頁目をご覧いただきたい」
咳払いした司祭が、厳かに告げる。
聖職者達は積み上げられた本の一冊を抜き出し、すっと開いた。
みんなピタリと二百七頁。これが出来なきゃもぐりだ。
「このぱんちらシーンが何か?」
「慎みたまえ。これは絶対領域だ。見えてはいない」
「この場面には風があります。ならばぱんちらの要件は満たしましょう。
むしろ見えてしまえば、それはぱんもろ。別ジャンルになろうかと?」
「分からんかね。同じ見えた状態でも、ちらともろでは随分違う」
「『はいていない』というジャンルもございますね」
「エッ!!!!」
「静粛に。話が拗れる」
今「何やってんの、この人達」って思ったでしょ。
冬の祭典やるための極めて重要な会議だぞ。
「ちょっと待って。すきすぎて無理」
「はんっ! 尊……殉教する! 殉教する!」
「この細胞レベルで顔がいい人、推してます」
「ははあ、わかりみ。えっちすぎ、しんどい」
「これはこれは、法悦を禁じ得ませんなあ。ちょっと巡礼してきます」
尊(とうと)み溢れる聖人向け書籍を手に、ディスカッションを行っているのだ。
天義南西部の小さな町ラージサイトでは、夏冬の三日間ずつを『天使コミケエルの三日』と定め、コミケエル祭典を執り行う決まりとなっていた。
多くの一般書籍や聖人向け書籍、歌やなにやらいろいろなものを交換するのだ。企業ブースもある。
遠方からの巡礼者も訪れ大変混雑するが、前日の夜から入場待ちするのは不正義だ。
ちなみに売られている本の厚さは、割と薄い。
議題をかいつまめば「どんな本なら手にとってもらえるやろ」とか「どの二次創作しようか」とか「どんなのが尊み溢れるか」とか「推しの尊みがしんどすぎて殉教しそう」とか、そういうものであった。
つまり、どんな本を書くのがイイかということ。
そんなもの低身長童顔成人男性に決まっているのだが、会議では結論が出ていない。やれやれ。
「ここはローレットのイレギュラーズも招いては? さすれば多様な正義が示されましょう」
一人の司祭が良いこと言った。そうすれば低身長童顔成人男性本も多数出るに違いない。
高身長眼鏡成人男子と低身長童顔成人男子の、聖人向けかけ算本も出るに違いない。
あ? いまショタでいいじゃんて言ったか?
いやショタはショタでいいんだけど、違うのだ!
「なるほど、ローレットのイレギュラーズにも書籍を作って貰うと」
「そういう事でございます」
イレギュラーズなら、低身長童顔成人男性本をはじめ様々な尊い書籍を作ることが出来るだろう。
議長を務める司祭長が結論を出した。
「では今年の祭典にはイレギュラーズを招くものとする」
正義とは多様なものであるのだと。
●
――薄い本つくらなきゃいけなくなりました。
ローレットの奥で薄い書籍をめくる『Vanity』ラビ(p3n000027)は「顔がいい」と呟き本を閉じた。
「みんな冬の祭典のブースに出す薄い本つくろ……です」
なんでも天義の町ラージサイトで『天使コミケエルの三日』という祭典に招かれたらしい。
イレギュラーズは尊み溢れる薄いブックを自由に作り、出典することが出来る。
高身長眼鏡成人男子と低身長童顔成人男子の聖人向けかけ算本とか、ディルク×レオンとか、リュミエ×カノンとか、アストリア枢機卿にぶたれる本とか、暁月×廻本とか、天香義兄弟本とか、バルバロッサ×ローレンス本とか、つづそそ姉妹百合とか、この依頼に参加したイレギュラーズの本とか、そういうのだ。
イレギュラーズはそうした薄い本のテーマを決め、プロットを作り、ネームを切り、作画し、製本する。
頑張って印刷所の〆切に間に合わせるのだ。
そしていざ祭典の当日。サークルチケットで入場して、薄い本を出す。
一般入場後には、ブースの番を仲間と交代しあって、他のブースの本を手に入れに行くことも出来る。
もしかしたらスケブなんか頼まれたりするかもしれない。
「期限は一週間……です」
一週間!?
ラビがとんでもないことを言いだした。
まずい。いそがないと入稿出来ないじゃあないか。
「それじゃがんばろ……です」
- 天義聖典における一般的正義と性癖学上の諸問題完了
- GM名もみじ
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2020年12月25日 22時00分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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冬の風が吹きすさび、蒼穹の空には一羽の鳥が羽ばたいていった。
ガチャガチャと瓶の重なる音が聞こえる。
あらかじめ述べておくが、これは正義の国における、神聖なお祭りの話だ。
一行は聖典――資料に囲まれている。聖人向けの書籍もあるだろう。
「天使コミケエルの三日! 何と素晴らしいイベントだ! 考えた偉い人に感謝しなくては!!」
自室の机の上に栄養ドリンクをガサっと置いた恵垣 萌(p3p009248)は昂ぶる気持ちを抑えられない。
「一週間だろうと原稿は何があろうとも落としはしない! 参加サークルのチェックは常識だな!」
パンフレットを手に入れ、如何に神本を手に入れつつサークル周りをするか。
「無論、本を読んだ後の尊死によるパンドラ復活も必須だ!」
だが、手に入れた本はお家に帰ってから読むのがお約束なのだ。
まずは正装(ジャージ)に着替え、翼はもうあるけれど――グリーンブルをまずは一杯!
構想はもう練ってある。
「モブと奴隷商人を名乗る『大きな目玉』が特徴的な人物の掛け算本だ……無論聖人向け」
嘘でしょ!?
「時間が無いので、モブのモデルは家の兄だ……どうしてか緑茶を飲んでいたら脳裏から離れなくてな」
茶ァ。
ストーリーは人外の強者が何らかの理由で弱体化し、出会ったモブに好きにされる。
「良いじゃないか」
ジンと染み渡る妄想の行く末。萌は興奮冷めやらぬまま筆を握る――
そして。
「5日程で完成した! 筆が乗ると恐ろしい程描けるのは今回は有り難かったな」
無事に入稿を済ませた萌は、ポスターとお品書きを作っていく。
「そうだ。次回作予告の暁月×廻本ペーパーを作成……」
待って待って。そのペーパー、ちょ……次回が楽しみすぎて眠れない!!!!
「血沸き肉滾るこの時をせっしゃはまっていたでござるぅ!
ふひひww 待ちわびたこの時の為にネタはしっかりと温めていたでござる、早速作業に取り掛かるでござる」
ブアァンと背景を抱えて『生きたネクロロリコン』大串 湊(p3p002929)は自室のドアを開けた。
湊が手がけるのは、最近練達の若者の間ではやっているバーチャルピーチューバーを題材にしたもの。
ロリ本である。
「自身が考えた最強のピーチューバー、子ロリババァの擬人化ノジャロリ”ノジャロリ子ちゃん”を漫画にするでござるよ!」
子ロリバ……え? あの数百体は居ると言われている。あの。
「ネタがあるならば作業は至って簡単……ギフトで一週間も掛からず三日で作業を終わらせてしまうでござるぅ!」
あの地獄の様な作業を三日で――素晴らしいギフトだ。食べたい。
余った時間で奥付のイラストやオマケのステッカーも作っていく湊。
「俺、すんげぇ場違いだよな? 場違いだよな!? 薄い本ってそっちかよ!!!!」
激しいツッコミを入れたのは玄冥 熾輝(p3p007537)だった。
風景画を売るような場所かと思って依頼に手を上げたのだが。だが!
「ってことで、百合百合しい本を作成するぜ」
切り替えが早い上に、ノリノリである。
一枚絵と詩的な文章。直接的な触れあいは無く、キスを仄めかす程度。
心が触れるか触れないかのマシュマロフリルに覆われた駆け引き。唇の紅さ。
「尊いは至上!!」
ッカーーーーー!!!! わかりみ深い。
「最後に蛇足として少女たちそれぞれのつぶやきの小説を作成するぜ」
風景画の始まりは旅行鞄を持った少女が街を歩いている小さな絵。
出会い、触れあい。二人だけの教会で誓った言葉。そして、別れ。
揺れ動く少女達の淡い想い。
旅の少女は良い思い出として、街の少女はヤンデレ風味で何処までも追いかけていく。
最後の一枚は丘の上、大きな木の下に小さな石が二つ並んでいる絵だ。
切ない悲恋なのか。それとも。
それ、めちゃ続き気になるヤツ。
一週間一気に描いて休んでを繰り返した熾輝。
途中、湊が応援に駆けつけてくれて。百合本の寄稿を持った彼は何と頼もしい事だっただろう。
2ページで終わる学生百合物。スカートの裾が揺れて、タイを直してくれるお姉様が居るような感じか。それとも同級生同士のティータイムか。何れにせよ女の子が可愛く戯れる様子はてぇてぇ(てぇてぇ)。
「元の世界に居た頃は、合同誌に寄稿した事があるくらいだったけれど……個人となると、初めてですね。
しっかり予定立てして、どんな本にするのか考えなきゃ!」
ふんすと意気込む『健気な覚悟』伊達 柚子(p3p009211)はまずはサークル名からとペンを取る。
「サークル名はこいり・かんきつるい。PN:シトロン」
ちょっと名前の柚子を捩ったものだ。可愛らしい。良い感じだ。
自宅である、練達のギルド「ルナ・プロダクション」の自室にて柚子は満足そうに頷いた。
「スケジューリングはしっかりと。早割入稿出来るように、が大事です」
早割入稿大事。
「本の内容は……」
柚子の元の世界を題材にした物語。再現性東京風の戦記世界で生きる男子二人のお話だ。
「正義感が強くて、ヒーローに憧れる心優しいスナイパーの青年と。普段はぼんやり天然だけれど、青年に対してだけ突っかかる、ひとつ年下の弓使いの少年!」
青年の才能を超えられないのが悔しい少年と。それに気付かず屈託の無い笑顔で接してくる青年。
「……あくまでプラトニックに、今後の関係を匂わせるように……かな?」
こんなんずるいわ。ブロマンス。恋愛よりも強い結びつき。ハァ……ハァ……尊い。
「ふふっ……それぞれ、幼馴染と弟が元ネタなんですけれど、知ったら怒るかな……
……会いたいなぁ」
でも、こんな本作った日にはまともに幼馴染みと弟の事見られない気がするんですけど。大丈夫?
「それはそれとしてロボットと機械描くのに心が挫けそう……ひん」
猛者現る――
「あらあらー、こんな大きな場、当落などもあるのでしょう、そこを直接お招き頂いているのですから気合いを入れませんとー」
『新しい世界で』砂蕨 茉莉(p3p008570)はゆったりとした口調で微笑んだ。
「やっぱりー、こういう時にものを言うのは常日頃の積み重ねですよねー。
そう、私が出すのはいわゆる夢本。そして、再録!」
最推しフ\ァ\ンくん――
↑大切な配慮
「正直ゲiルツさんや暁.月さんも素敵ですよ……時代は黒髪苦労人二面性男性ですよねー!」
糸目に眼鏡、良い匂いと多様性も素晴らしい。何より顔がイイ!
本のタイトルは『崩れないバベル』。帯のフレーズは『それでも、僕の恋なんだ』だろうか。
出かけ際に呼び止めて来る声に振り返れば。「そんな服で出かける気ですか!」と強制的に家に引き戻されて玄関口で服に手を掛けられてしまったり。
朝日に目を擦りながら起きれば「まだ寝ててよかったのに」と好みの温度のコーヒー牛乳をくれたり。
ナンパされてるのを「私のツレに何かご用ですカ?」と助けてくれたり。ヒェッ。
「お品書きも書かなきゃですよねー、irglsプラスタグつけてー!」
信者(フォロワー)のために取り置きもしなくてはならない。
せっかく印刷所に出すならPPP加工も必要だろうか。ホログラム箔押しとか夢がある。
しかし納期が迫るこの中で標準でPPP加工が着いている所でなければ間に合わぬ!
遊び紙は? ねえ、雪の結晶の抜きサービスって書いてるよ!? アァァッ! 納期が憎い。
「ラージサイト……夏冬の三日間……コミケエル祭典、ですか。
どう考えてもアレです、本当にありがとうございました」
スっと目を閉じた『緋い月の』アンジェリカ(p3p009116)は絶妙な表情だ。
「それにしても一週間で薄い本を作る……と。終わらない原稿、迫る締め切り……うっ、頭が」
前世の記憶が現世に介入してくる。
「で、ですが今回の私は一人ではありませんっ! 頼れる仲間のアーリアさんとリュコスさんも一緒なのですからっ!」
アンジェリカの視線の先。『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)と『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)が頷く。
「すごいすごい! ぼく、こういうおまつりはじめてだけどだいじょうぶかな? お絵かきもしたことないんだよね……文字も実は……」
「大丈夫よ。私も本なんて描いたことがな……はっ!
今、突然頭に直接『低身長童顔成人男子を描くのです( ・◡・*)』って声が!」
( ・◡・*)にこ。
「いいわよねぇ低身長略、何せほら大事な彼が……」
全面的同意だ。大好きと言わざるを得ない。
「今日の私はPN:ヘベレーケ夫人! いい本を作るわぁー!」
「お手伝いならできるかも、がんばるよ!」
聖人向けなど知らぬリュコス無垢な瞳が眩しい。
だが、低身長童顔成人男子を、全裸待機だ。
アーリアの家では原稿合宿が開催されていた。
「我ら『ドランクウィッチーズ』は祓い屋低身長略合同誌を作る!
栄養ドリンク(酒)ヨシ! お隣さん(恋人)には女子会なのでと立入禁止令ヨシ!」
「ぼくたちは『ドランクウィッチーズ』……かっこいい!」
「作成するのは高身長眼鏡成人男子と低身長童顔成人男子の掛け算本」
トゥンク!
「聖人向けは……未成年のお手伝いも居ますしね。今回はお見送りという事で」
「こんなかわいい子に聖人向けなんて見せられないわぁ!」
もう少しこう何というか、手心というか;;
「内容に関しては二人の台風の際のやり取りをリスペクトして……と。
こう言ったモノを考えているのですが、どうでしょうか?」
アンジェリカが書き留めたプロットを真剣な眼差しで見つめるアーリアとリュコス。と私。
二人の台風の際のやり取りというと。低身長の方が病み上がりで微熱があるのに「大丈夫」とか言っちゃって高身長に「まだ微熱があるじゃないか」とか言われてたあのやり取りですか? ははぁ! 賛成!
「私の方は、その続きで高身長さんが風邪をひいて甲斐甲斐しく低身長くんが世話する話ねぇ」
「成程。それは良い繋がりですね」
「ふふ、いつも僕がお世話されてるので新鮮です。なんて、きゃー!」
そういうのもっとちょうだい。はやく!
リュコスの無垢な眼差しが突き刺さる。ヒン。
「後は完成を目指して頑張っていくのみです、むんっ」
とても愛らしい顔でアンジェリカが拳を握る。
あれ。中身って三十代を越えたばかりの男性会社員じゃなかったっけ。ビィ、エルゥ。
「えっと、ここを塗ったり、消したりしたらいいんだね。簡単そう……Uh、数が多い
むずかしいお話はよくわからないけど絵がたくさんならどんな話かわかるかも
……なるほど! 仲良さそうだね」
そうだね!!!! 二人はとっても仲良しなんだ!
コマ割に下書き、ペン入れ、消しゴムかけ。ベタ。トーン。時間が刻一刻と過ぎて行く。
「アンジェリカちゃん! ほら栄養ドリンク(ジョッキ)よぉ飲んで! 私も飲む!」
「栄養ドリンク? っていうのそれ?
Uhhn……なんだか鼻につーんって来るような……なんか違うような……って寝ないでー!」
リュコスは疲れ果てて意識を失うアーリアとアンジェリカを前に慌てて駆け寄った。
「あ、頭痛そうにしてる……お水とってこないと。お薬あるかな??」
健気に介抱をして二人が倒れている間も作業を進めるリュコス。ベタやトーンは出来るけれど、肝心のコマ割やペン入れはお手上げだ。
「じゃあその間に。ぼくやローレットで会った人たちが出てくる絵本かこう」
折っていればそれは本だ。間違いない。
「うまくできたかも」
目を煌めかせリュコスは仕上げた本を伝統に翳す。
もう存在が尊い。
「うふふ余裕の完せ……夢!? あああ!」
「あああああ!」
寝落ち、涎。白紙の原稿。顔面蒼白で必死に手を動かすアーリアとアンジェリカ。
「一週間……ええ、色々とありましたね」
アンジェリカは口から魂をだしながら椅子に座り込んだ。
走る頭痛は二日酔いだろうか。
「と、兎に角っ! これが私達のサークル、ドランクウィッチーズの渾身の一冊ですっ!」
机の上に鎮座する輝かしい同人s……聖典。
これで当日に臨める! いざ!
●
「――まず、正義とは……何か」
司祭がねっとりと述べ、遂にラージサイト『天使コミケエルの三日』がやってきた。
「尊みが深い、だからこそ尊みが深いと思います」
祭典当日の朝は早い。頬を切り裂く様な風が吹きすさび、手が悴む。
されど心は何処か高揚し、聖典が売れるか、買えるかという事で頭が一杯だ。
しっかりと作ったポスターを掲げるは湊だ。
サークル名は『ロリ☆パラ』。きちんと何処からでも見えるようにスタンドも持ってきた。
すごい気合いの入りようだ。
「此度は余った時間に寝る間を惜しんで作った拙者の自信作、ノートPCに映し出される看板バーチャルピーチューバー娘の”ノジャロリ子ちゃん”のバーチャルボディ!」
完璧なラインが胸を鷲づかみにする。
「動かしているのは勿論拙者! 此度はバ美肉おじ……お兄さんになりきって接客ででござる!」
その様子を向かいのスペースに居るアンジェリカが『胸にクる』という表情で見つめていた。
APにスリップダメージだ。
湊の隣には『旅する風』のKK――熾輝が敷き布の上にイーゼルを立てていた。
小さな異国の風景画。美しい彩りに目を惹かれるだろう。
百合本の内容と相まって、この場所を二人が歩いていたのではないかと錯覚を起こす。
イイ! そういうの。
「全部3冊ずつ下さい」
湊の言葉に全面的同意。
天香少年のコスプレをした萌の元にやって来たのは茉莉である。
「あっ、こっ、さしっ、差し入れっ、あっ、いつも見っ、フヒッ!見ててっ、スキデス……ドゾ」
崩れないバベルは何処へ行ってしまったのだろう。
「あ、萌さんですか……お世話になってますHNじゃすみんですぴゃーっ! あっあっあっ、ノベルティどうぞリサイクルカイロです……」
有り難いヤツ。搬入口の近くは寒さヤバいんだ。
「ありがとう! ……ん?」
「どうしました?」
「いや神サークルの列に( ・◡・*)な顔をした人を見たような気がしたが、気のせいか?」
萌と茉莉が神サークルの列を見遣ると確かにそんな人物が見える。
その数人後ろには某フィールドワーカーのコスプレをした人が居た。
「コスプレと言うには余りにも出来すぎ……いや、まて。あれは本人じゃ」
「byはアぁうぐjでッ」
言葉にならない声を残し、茉莉は自スペースに戻っていく。
nmmnは御本尊の目に触れてはならぬ、災いが起きようから。
萌は自身の本が完売した後、サークル周りを開始する。
「待っていろ、俺の帝×中務郷の神本!」
ちょっとそれ詳しく!!
「さて、実際にお買い物も…! 楽しみですね。BLモノもいいですけれど、基本雑食なので結構なんでも好きなんですよね……」
柚子はお財布を握りしめてサークルを見て回る。
アーリア達『ドランクウィッチーズ』のスペースに立ち寄る柚子。
「これ、差し入れなんですけど」
「わー! 嬉しいなぁ」
屈託の無い笑顔を見せるのはリュコスだ。その笑顔は多くの人を魅了するだろう。
「良い香りがするね?」
「柑橘系の香りの小さな石鹸です。これ、そのまま置いておいて芳香剤代わりにするのもいいんですよね」
「本当だわぁ。とっても良い香り」
リュコスの後ろには希望ヶ浜の高身長略のコスプレをしたアーリアが必死に製本をしていた。
その隣には希望ヶ浜の低身長略の姿をしたアンジェリカが売り子をしている。
二人とも可愛いが過ぎるが???
「ふふふ。二人が帰った後にこっそりコピー本を作ってたのよね」
サークルスペースの端に出来上がったばかりのコピー本を置くアーリア。
希望ヶ浜の祓い屋一門の、先生×生徒のお仕置き聖人向け本。
エッ!!!!
「……絶対あの先生、Sよねぇ」
あの! それ! 国宝指定待った無しのヤツ~~~~!
「へ、へっちなのは買いませんからね!?」
柚子は頬を染めて首を振る。――じゃあ私が三冊ずつ!!!!
「二人とも興味があるのでしたらゆっくり祭典を楽しんできてくださいね。
私はその間、ここで店番をしていますので」
「ほんと? 他にどんな本があるか見て回ってくる!」
アンジェリカの言葉ににっこりと笑って駆け出して行くリュコス。
「あらあら。じゃあ私も行ってくるわねぇ。祓い屋ローラー買い! これが大人の財力よぉ!」
その島、端から端まで全部ください。
●
「と言うわけで乾杯ー!」
アフターは焼肉と相場が決まっている。アーリアと茉莉、萌はお互いの本の感想で盛り上がりを見せる。
「あっ、顔がいい……ありがとうございます……」
「そうでしょう? ここの表情が最高で」
「これは中々。くるものが……」
ちょっと見せて。見せてぇ!
「肉食わせろ~~!」
「焼肉?! お肉! いくいく! 大好きー!」
「うめぇ……祭典後の肉はうめぇ……あれ? タン塩食べてないのに潮の味がするでござる……」
熾輝、リュコス、湊が肉に舌鼓を打つ。
その様子を微笑みながらアンジェリカと柚子が見守っていた。
ラージサイト『天使コミケエルの三日』。無事に終わりましたぁ。
高身長眼鏡成人男子と低身長童顔成人男子の聖人向けかけ算本とか百合本とか暁月×廻本とか抱え、満足した顔で( ・◡・*)も帰路に着いたのだ。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした。如何だったでしょうか。
MVPは是非、作った同人誌を見せてくださいね!
もちろん他の人もですよ? ( ・◡・*)
GMコメント
栄養ドリンクの準備は出来ていますか?
低身長童顔成人男性を推すもみじです。
イベント向けに尊み溢れる薄い本を作り、祭典に参加しましょう。
●やること
薄い本を作る。
祭典に参加する。
●ロケーション
『前半パート』
自宅やローレットや、どこでもいいので、薄い本を作ります。
どんな内容がいいかを決めましょう。
一人ずつ描いても、誰かと一緒に描いてもいいです。
『後半パート』
天義の小さな町にある、逆三角形っぽい、おっきな聖堂です。
祭典に参加して、色々売ったり買ったりします。
どんな本が欲しいのか、決めましょう。
挨拶回りしてお菓子や入浴剤なんかを交換するのも良いでしょう。
あ、この、目あったかくするやつ、嬉しいなあ。
ブースの番をしたり本を探したり、スケブ頼んだり頼まれたりしましょう。
●薄い本
一般向け、聖人向け等、さまざま。
いずれも尊み溢れる書籍です。
行間を埋めたり、ifを考えたり、現パロ……じゃない再現性東京2010風だったり。
あとはへっち……もとい聖人向けだったりします。
高身長眼鏡成人男子と低身長童顔成人男子の聖人向けかけ算本とか、ディルク×レオンとか、リュミエ×カノンとか、アストリア枢機卿にぶたれる本とか、暁月×廻本とか、天香義兄弟本とか、バルバロッサ×ローレンス本とか、つづそそ姉妹百合とか、この依頼に参加したイレギュラーズの本とか、そういうのです。
参加していないイレギュラーズの本は取り扱いが極めて難しくなり、スルーされる可能性大です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
どんな本があるのか、皆さん次第だからです。
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