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シナリオ詳細

こんぺいとうの降る里

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●こんぺいとうは雪なんだ。
「お、そろそろだなあ」
「もうこんな季節かあ」
 雲行きの怪しくなってきた空を見上げて男たちが呟く。次いで女たちが子供へ呼びかける声。
「アンタたち! 遊ぶなら帽子かぶっていきなさいよ」
「折角だから袋も持って行きなさいね」
「はあい」
 帽子をかぶせられ、或いは空の布袋を持たされる子供たち。特に疑問を持つことなくそれらを身につけ手にした子供たちは一目散に走っていった。あのままだといつしか袋は失くしてしまうかもしれないが、それはそれで仕方ないだろう。

 こつん。

「あ、」

 こつん、こつん。

「降ってきたぞ!」
「怪我しないようになー」
 小さな小さな粒が空から降ってくる。雪のように小さくて、けれどふわふわとは舞い落ちてこない――一直線に落下してくる――それは、舌の上で転がせば甘く溶けていくことだろう。
「おかーさんとれたー!」
「こっちもー!」
 きゃいきゃいと子供たちがはしゃいで布袋を見せる。頭を撫でられれば嬉しそうにしてまた駆けていった。この季節に見られる和やかな光景だ。
 だが。
「皆、集まってくれ!」
 走ってきた男が肩で息をしながら叫ぶ。残っていた大人たちは顔を見合わせた。彼らに男は「山賊が来る」と険しい顔で告げる。
「なんだってこんなところに」
「わからない。けれどおばば様が予見した」
 この里に1人存在している魔女――おばばと呼ばれる女性の予見とあって大人たちも信じずにはいられないらしい。ある者は顔を顰め、ある者は焦った顔で子供たちが駆けていった方向を見る。いそいで子供たちを呼び戻さなければ。けれど呼び戻してどうする? どうすれば良い? 何処に逃げれば良い?
「イレギュラーズだ」
 年若い少年が呟いた。それは各国で名声を上げる『世界に選ばれた者』の存在である。彼らは冒険者としてギルドに所属し、依頼をすればなんだって――時には一般的に悪とされることでさえも――受けてくれると言う。
「誰か! 馬を飛ばすんだ!!」


●雪の結晶ってこんぺいとうに似てるなって思ってたんだ。
「こんぺいとうが雪なのです」
「ん?」
「こんぺいとう『が』雪なのです」
 思わず聞き返したランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)に『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(pen000003)が『が』を強調してもう一度告げる。聞き間違いでも言い間違いでもなかったらしい。
「こんぺいとうが雪として降る里があるのです。ランドウェラさん、気になりませんk――」
「どこだい?」
 いい終わりを待つでもなくがっっしとユリーカの両手を握ったランドウェラ。その勢いにユリーカが思わずたじろぐ。しかしその引いた距離すら詰め寄らんとする勢いだ。
 たかがこんぺいとうと侮るなかれ。ランドウェラにとっては一緒に召喚された大事な存在でもある。召喚された時に所持していた分はとっくに食べ切ってしまったので、今は切らすまいと買い溜めしている真っ最中なのだった。
 こんぺいとうはいくらあっても問題ない。むしろ切らしてしまう方が問題なのである。それが冬だけとはいえ雪として降ってくるだなんてすばらしいじゃないか!
「ま、待って欲しいのです! そこへ向かうのは構いませんが、里に迫っている脅威をどうにかしてからなのです! こんぺいとう雪が今後一切食べられなくなるかもしれないのです!!」
「聞こうか」
 ユリーカの言葉にぱっと手を放して近くの席へ座ったランドウェラ。こんぺいとうの危機、いや里の危機である。
 ランドウェラが離れたことによって小さく息をついたユリーカもまた、何枚かの羊皮紙を手にして隣の席へと座る。ユリーカが依頼の話をするとあってか、他にも何人か聞きの態勢に入っているようだ。
「こんぺいとうの里があるのは鉄帝の北、ノーザンキングス内にあるハイエスタの里なのです。とはいえ、その里はこちらに対して非攻撃的です」
 戦闘民族ノルダイン、高地部族ハイエスタ、獣人族シルヴァンス。3つの部族が手を組んだ連合王国ノーザンキングスだが、部族内外問わず一枚岩とは言い難い。中には普通の村人もいるし、鉄帝と和平の道を探る者もいるのだと言う。
 だがしかし、そういった者がいることを知って強奪を図る者たちもまた存在するのだ。
「里の人が略奪される謂れはないのです。ランドウェラさん、皆さん、どうか助けてあげてください!」

GMコメント

●成功条件
 山賊の撃退

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。不明な点もあります。

●『火焔の』ゴブラ
 山賊たちのボスです。もじゃもじゃの髭を蓄えたおっさんです。見上げるような巨躯と豪快な笑い方が特徴です。
 魔法剣士であり、火属性に長けています。髭は燃えません。その体つきに反して動きは鋭く、強化魔法を施していると思われます。

炎獄:神超貫:炎が竜巻のように渦巻きます。【火炎】【乱れ】
乱撃:物至ラ:至近距離の誰かに猛撃します。【連】【出血】

●山賊×10
 ゴブラの手下です。剣を携え、こんぺいとうが降る里を占拠しにかかります。ゴブラほどではありませんが、多少魔法の心得があるようです。とはいえ小手先のことより力技の方が得意です。
 挑発には乗せられやすいですが、物理的な力はかなりあります。引き寄せすぎると危険です。

攻勢の雄叫び:神自範:雄叫びを上げ、自分と周囲に居る仲間の士気を上げます。【物理攻撃力UP】【神秘攻撃力UP】
盾割り:防御技術をものともしない強攻撃です。【防無】【出血】

●フィールド
 こんぺいとうが降る一帯より少し手前です。里は山の奥まった場所にあり、イレギュラーズたちが先回りした道を必ず通らなければならなくなっています。その道を通り抜けたならばこんぺいとうが降る特殊フィールドです。
 道は雪深く、動きに支障があるでしょう。前もって何らかの準備はできそうですが、時間はありません。
 里の人たちはおばばの元へ避難していますが、大した戦闘力はありません。山賊たちが来ればひとたまりもないでしょう。

●ご挨拶
 愁と申します。
 こんぺいとうが降る里のピンチです。このままでは里が山賊たちのアジトになってしまうかもしれません。
 それでは、ご縁がございましたらよろしくお願い致します。

  • こんぺいとうの降る里完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年12月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)
光の槍
すずな(p3p005307)
信ず刄
天津・狗子(p3p007074)
文屋
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール
アスル=トゥルエノ(p3p009254)
蒼雷玉
リュリュー(p3p009320)
美しい脚

リプレイ


 静かな森にしんしんと雪が降り積もる。時折どさり、と聞こえるのは重くなった雪が木の枝から落ちたからだろうか。吐く息は冷たく、触れる真白は手の温度でやがて溶けてしまう。――今は、まだ。
「こんぺいとうが雪……こんぺいとう『が』雪……??」
 ぶつぶつと呟く『血雨斬り』すずな(p3p005307)は説明を受けてもなお半信半疑であるらしい。元世界でこんぺいとうは降ってこなかったのだろう。というか、混沌だってこんぺいとうが降るのは一部の地域である。基本的にはどこでも認識されている凍った結晶が雪で良い。
「記事に出来そうな話題ですね。お仕事頑張らないと!」
 『文屋』天津・狗子(p3p007074)は意気込むとともにグッと拳を握る。イレギュラーズとしても、新聞記者としても為すべきことをせねばならない。
 いつからこんぺいとうが降るようになったのだろうか? 年間どれだけのこんぺいとうが降るのだろうか? 味は? 流通は? 聞くべきことは沢山あるのだ――もちろんその前にイレギュラーズの仕事もするけれど。
「でも、こんぺいとうが降る場所を狙うってなんだか可愛いですね」
「ええ、見た目に反して中々可愛らしいヤツなのです……」
 すずなの言葉に『光の槍』ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)は同意しながらバリケードを張る。事前に得られた情報だと、ボスは髭もじゃのおっさんである。大きな体で豪快に笑う――きっと酒場の酔っ払いのような――おっさんである。彼がこんぺいとうを理由に向かってきているのだとすれば、かなりの『ギャップ萌え』ってやつなのではないだろうか。
「何がお目当てなのかは知らないけど、こんぺ……じゃなかった、里の平和はわたしたちが守るんだよ!」
「そうだ、こんぺいとうがm……里の者を守らねば!」
 至極真面目な顔で言い間違えそうになる『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)と『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)。仕方ないね、こんぺいとう美味しいもんね。
「至高の逸品と言えよう。ここではかなり割愛するが、形状と色彩、そしてシンプルな材料故の素朴な甘さが良い」
「今度語り合おうか」
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)が頷きながらそう零して――その肩をランドウェラががっしと掴む。こんぺいとう仲間発見である。
 だが、そういつまでも悠長にはしていられない。
「目標、認識」
 『蒼雷玉』アスル=トゥルエノ(p3p009254)の淡々とした言葉にはっと皆が道の先を見る。向こうの方でちらちらと動いている小さな影がおそらくは盗賊だろう。アスルの優れた視力でようやく認識できたということは、向こうにも同じ能力のある者がいない限りはまだ見つかっていないはず。
「それじゃあまずは、わるいことする山賊をやっつけるぞー!」
 『ぬくぬくしてたい』リュリュー(p3p009320)の言葉に皆が所定の位置へと動く。足元の雪は世界の召喚した精霊が部分的にだが溶け、精霊は世界へ挨拶のように戯れてどこかへ去っていった。
 近づいてきた賊が雪下に埋められた星夜ボンバーを踏み、足元が光ってパチパチ鳴る。多少の意識が足元にいくが、それより注意を引くのはルルリアの作ったバリケードだ。
「ぶあっはっはっはっ! こんなモンで俺たちを止めようたぁ甘いぜ!!」
 豪快な笑い声とともに炎がひとつ。それは渦巻き足元の雪ごとバリケードを飲み込んで搔き消えた。その先にいるのは髭もじゃのおっさん――『火焔の』ゴブラ、その人である。しかし彼の炎を受け、道の途中で大きな爆発が起こった。
「なんだ!?」
「二重トラップか!」
「今だよ!」
 クルルの言葉に世界が皆へ刹那の栄光をおろし、僅差でリュリューの甘く切ないバラードが響く。爆発の余韻も冷めやらぬ中、クルルは短弓を構えた。力強く放たれる一矢とともにランドウェラが前へと躍り出る。
「目的はなんだい?」
「へへ、わかってンだろ」
「わかってなくともわざわざ言う必要はねぇがな!」
 げへへと笑う賊たちがランドウェラへ切りかかる。目的についてランドウェラが心当たるのはひとつのみ。もしそうなのだとしたら――ああ、非常に許しがたい。
 その脇を一陣の風が走り抜け、ゴブラの前へと立ちはだかる。すずなはその巨躯を見上げ、鋭い眼光を向けた。
「一手、お相手仕ります」
「へえ。姉ちゃん、剣士か」
 ゴブラは彼女を一瞥して剣を抜いた。その構えは賊と思えぬもので、もしかしたら以前はどこかの騎士団にでも所属していたのかも、と思わせる。
(1人で手に負えるかわかりませんが……相手にとって不足なし、です!)
 仲間たちの加勢まで持ちこたえられるかどうかが勝負。すずなは抜刀し、力強く踏み込んだ。彼女が1人でゴブラの抑えをする間、仲間たちはその手下たちを迎撃戦と武器を向ける。
「ここで私たちに倒されるくらいなら話題にもなりませんね。記事にしても売れませんよ!」
 狗子の飛翔斬がランドウェラを援護し、あらぬ方向から降った光の槍に賊たちは翻弄される。すずなに次いで強力な攻撃を撃ちだすルルリアへ賊たちが向かい始めるが、ルルリアも負けじと迎え撃つ。
「コンペイトウが欲しいなら、奪うのはナンセンスですよ!」
「そうそう。それにこの程度じゃあまだまだだよ」
 ランドウェラの煽りにルルリアへ向かいかけた何人かがランドウェラへ向きなおす。『この程度』呼ばわりは彼らのプライドを傷つけたらしい。その間にも集中を研ぎ澄ませたアスルがレールガンを構え、ルルリアへ近づく1人を撃ち倒す。
「敵勢勢力、減少」
 次、とアスルは標的へ変える。この先には自分たちが庇護すべき者たちと、幸せの甘い塊(こんぺいとう)がある。アスルたち後衛より先に行かせるわけにはいかないのだ。クルルもノーモーションで衝術で賊を吹っ飛ばして応戦する。
「わかるよ、こんぺいとうが空から降ってくるなんて最高だよね! でも、略奪なんてさせないんだから!」
「奪うと考えているなら、それなりの代償が必要ですよ」
 応戦するルルリア。彼女が受けた傷はすぐさま世界が癒していく。賊たちの攻勢はその士気を上げているが、世界とてそうやすやすと仲間を倒させるわけにはいかない。
「ここは立ち入り禁止~! 出てけ!」
 リュリューが放ったオーラが彼らの上がった士気を打ち消して、そこへ狗子の飛翔斬が叩き込まれた。後衛への接近に高度を上げていた狗子は急降下し、至近距離での格闘戦術へと切り替える。
(接近戦は不利だけど、倒される前に倒しちゃいましょ)
 何より新聞を作るため、ここで倒されるわけにはいかないのだ。この後作る新聞はイレギュラーズたちの活躍も含めるのだから!
「なかなかにしぶといですね」
「姉ちゃんもな!」
 すずなの妨害にあい、手下たちの戦う場に乗り込めずにいたゴブラは彼女へと攻撃を向けるようになっていた。しかしすずなとてここで守勢でいるつもりはない。
 抑えの心積もりであるが、押し切れるのなら――いや、押し切るほどの気概で挑むだけだ。
「別に――斬り伏せてしまってもよろしいのでしょう?」
「ハッ。できるもんならなぁ!」
 炎の渦がすずなの肌を炙る。けれども深くの侵食を許さず、すずなはそのままゴブラの懐へ入り込んだ。嵐の如く舞い、それでいて鋭く神速の連撃で彼へと攻め立てる。その感触は平素と比べて軽く感じるが、恐らくはゴブラが自身へ付与している強化魔法のせいだろう。
「こいつ、傷つかねぇぞ!」
「あ、ばれた」
 ランドウェラへ斬りつけていた賊たちが声を上げ、彼はこともなげに呟く。まあ思っていたより気づくのが遅かったが、気づいた以上は戦法を変えてくるだろう。だがランドウェラも仲間たちへその手を向かわせる気はない。
「その程度だからさ。ほら、もっと頑張って傷つけてごらんよ」
 ランドウェラの言葉に賊たちは揃って眦を吊り上げ、瞬く激しい光にもめげずにランドウェラへ切りかかる。その攻撃が魔法へ変わったことを見るに、彼らも物理攻撃が効かないと気づいたのだろう。
「そうそう。ところで僕にかまって良いのかい? 右右」
「右ぃ!?」
「間違えた左」
 何もない右を見た賊に狗子が殴りかかる。そうしてランドウェラが言葉でも翻弄するだけでなく、アスルやクルルたち後衛組が激しい援護射撃を向けることで後方へと攻めさせない。
「ちっ、てめぇら腑抜けんなよ!!」
 そこへ乗り込んでくるはすずなが留めていたはずのゴブラ。1人では荷が重かったか――否。
「まだ……まだ、終わっていませんよ」
 パンドラの奇跡を身にまとったすずなの剣戟が舞う。世界が彼女を庇いながら態勢を立て直し、ゴブラは低く唸った。
「そろそろ引いておいた方が、身のためだよ!」
 リュリューの指摘はもっともで、ゴブラもまた無能ではないらしい。舌打ちをひとつ打った彼は、手下たちへ撤退の号令を与えた。逃がさんとするイレギュラーズもいたが、ゴブラは炎の魔術で木々に積もっていた雪を落とす。高く積みあがったそれを破壊した時には――もう、彼らの姿はなかった。



「この周辺にはもういないようだ」
 ランドウェラはエネミーサーチを展開させ、暫しののちに首を振る。撤退の体力は残しておいたという事か。仕留め損なったのは残念だが、ひとまずの脅威は退けたと見て良さそうだ。
「里へ報告に行きましょうか」
「はい! 逃げたから油断はできないと言うことも伝えないといけませんね」
 すずなの言葉に頷いたルルリアは、視線を盗賊の逃げた方へと向ける。エネミーサーチにかからないと言っても、一概に存在しないとは限らない。すでに敵対心のない者が後をつけてくる可能性もあるだろう。
「次は殺すよ」
「奪う者たちに渡すこんぺいとうはないからね」
 ランドウェラに世界は深く頷いて一同を里へと促した。さらに山奥へと向かう道すがら、ルルリアの頭に何かがこつんと当たる。
「え?」
「こんぺいとうだ!」
 跳ねた拍子に思わずキャッチしたこんぺいとう。次いでクルルやリュリュー、アスルといった他の面々にも降ってくる。
 そう、話に聞いていた通り『降ってくる』のである。
「これは話題性十分ね」
 顔に降ってこないよう手をかざした狗子がそう呟く。集めたくてうずうずするけれどまだもう少し。
「あたしたちもこんぺいとう、食べていいか聞こうね!」
 にこにこしているリュリューに皆頷きながら足は避難所へ。おばばと呼ばれる老女の家は独り身にしては大きく、そこに里の誰もが身を寄せているのだ。
 賊を食い止めているはずのイレギュラーズが現れれば皆がそちらへ視線を寄せる。脅威が去ったことを告げると一斉に歓声が上がり子供たちが我先にと親へ外出許可を求め始めた。
「ねえもういいでしょ?」
「里の外には出ないから!」
「あたしたちもこんぺいとう、食べていい?」
 そこに混ざったリュリュー、すんなりとこんぺいとうの許可を取る。他のイレギュラーズもと勧められ、一同は子供にも負けぬ勢いで外へと出ていった。
「こんぺいとう! こんぺいとう!!」
「にーちゃんこれ使えよ! いっぱい取れるんだぜ」
 両手をあげ大喜びで飛び出したランドウェラに少年が笠を渡す。これを逆さにして集めるらしい。世界も同じように渡され、笠に転がり込んでくるこんぺいとうをポケットへこれでもかと詰めていく。すでにパンパンなのだが押し込んででも入れるつもりらしい。
「マントでも取れた!」
 クルルはマント――スカートは乙女的NGなので――を広げ、同じ要領で集めていく。濃い色のマントへ淡い色のこんぺいとうが集まる様はとてもワクワクしてくるものだ。
「くぅるるる! あまーい! おいしー!」
 リュリューが思わず鳴き声をあげて、にっこにこで頬を押さえる。ことさら美味しく感じるのは動いた後だからだろうか?
「甘くておいしくて、空から降ってくる。あたし覚えた!」
 空を見上げてリュリューはにっこり。その額にこつん、と新たなこんぺいとうが降り落ちた。それは再び、アスルにも。落ちたそれを拾い上げたアスルはじっと手元の小粒を見つめる。
「情報のみの、存在。しかし、当機は食事を必要としません」
 呟いて再び眺めるアスル。そこへ狗子が「食べてみればいいんじゃないですか?」と声をかける。
「当機は食事を……」
「でも気になるんでしょう?」
「はい。気になります」
 知らぬが故の興味。好奇心と言っても良いだろう。アスルにとって食事は『必要がない』が、『摂取してはいけない』ではないのだ。なら口にしてみるのも学ぶ方法だろう。
「ふふふふふ……これは話題間違いなしよ」
 狗子はせわしなくメモを取り、のちの新聞記事作りのネタにしようともくろんでいる。勿論先ほど戦ったイレギュラーズたちの活躍も盛り込んで、出来上がり次第周囲にばらまくのだ。
(見物客が大勢来るかもしれないけれど……まぁ、その辺りは里の方で何とかしてくれるでしょう)
 その辺りは他人任せだが、もしかしたら見物客が多くなることで山賊も襲いにくくなるかもしれない。彼女はそんなこと考えてもいないだろうけれど。
 何はともあれ。イレギュラーズたちは甘い欠片を堪能して帰路へ着いたのだった。

成否

成功

MVP

回言 世界(p3p007315)
狂言回し

状態異常

ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)[重傷]
黄昏夢廸
すずな(p3p005307)[重傷]
信ず刄

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズ!
 甘くて幸せになるこんぺいとうは守られたのでした。

 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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