PandoraPartyProject

シナリオ詳細

血珠のイシュート

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 黒ローブのフードを目深にかぶった人影が、蝋燭を片手にゆっくりと歩いている。
 窓のない石造りの部屋だ。おそらく地下室であろう。

 先頭の一人が恭しげに室内のランプを灯してゆく。
 各々が祭壇を囲み跪いた。
「我等が神イシュートへ祈りを捧げん」

 ――我等が神イシュートへ祈りを捧げん。

 ローブの人影達が一斉に唱和する。
 異様ではあるが、それだけであれば何らかの宗教的儀式で納得も出来よう。
 だが明かりに照らされたのは、狼頭にコウモリのような羽を背負った怪物であった。
 額には二本のねじれた角があり、真っ赤な宝玉のようなものが禍々しく光っている。
『人ヨ、疾ク今宵ノ血肉ヲ寄コセ。サスレバ、ヒト月ノ盟約ハ果タサレヨウ』
「供物をここへ」
 運ばれたのは白い装束を纏った、幼い少女であった。
「新月の婚姻に光りあれ。かの盟約が我等に永久の繁栄をもたらさんことを願わん」

 ――新月の婚姻に光りあれ。かの盟約が我等に永久の繁栄をもたらさんことを願わん。

 少女を一瞥した怪物は、禍々しい牙を剥き出しにして笑った。
『魂ヲ分カチ、半ヲ我ガ糧ヘ、半ヲ血珠ト代エ与エヨウ』


 ちろちろと燃える暖炉の炎に、温かな光りが揺れている。

「異端審問官のマルティネス・イルダーと申します」
 ローレットに現れた男は、そんな風に名乗った。
 黒い法衣を纏い、聖印を携えた聖職者風の出で立ちである。
「ぎょっとされるのも無理はありませんな。我々の評判は我々自身が良く知る通りでございますゆえ」
 怪訝そうなイレギュラーズの視線に、マルティネスは苦笑する。
「それで依頼の内容なのですが――」

 ――話によると、どうやら天義西部の小さな町に邪教が蔓延っているという。
「町には元々とある信仰がございました。教義のぶれというものはよくよく御座いまして。我々も――細かくは審問官の個々人にはよりますが、それらをいちいち異端であるとあげつらうことはしておりません」
 しかし――と、マルティネスは言葉を切る。
「信仰対象が魔物であり、生け贄を要するとなれば話は別でしょう」
 それはなるほど、分かりやすい。
「町に聖騎士団を派遣するとなれば時間がかかり、事も大となりましょう。
 別段機密等も無いのですが、件は急ぎであり、また無用な混乱も避けたい。
 そこで信義篤き皆様に、ご依頼をと考えた次第に御座います。よろしいでしょうか?」
 背景は理解した。後は実際に『何をするか』である。

 マルティネスは事前にあらかたの調査を終えており、情報屋もいくらかの補足を行った。
 仕事は魔物の退治と、主犯一派の捕縛または処刑であり、生死は問われていない。
 情報屋の調査によると、町の教会には地下室が作られており、そこに魔物が祀られているということだ。
 具体的な敵の数や居場所なども把握出来ており、それぞれに詳細な資料が手渡された。
 現場にはマルティネスも同行し、最終的な状況確認の上で審判を下すとの事である。

「それではどうか皆様、よろしくお願い申し上げます」

GMコメント

 桜田ポーチュラカです。
 子供を生け贄にして金を稼ぐ邪教を滅ぼしましょう。断罪!

■依頼達成条件
 血珠のイシュートを討伐する。
 邪教徒の捕縛または殺害。

■フィールド
 広い地下室です。
 暗いです。壁にランプが頼りなく燃えています。
 足場は問題ありません。

■敵
 血珠のイシュート
 大鎌を持ち、狼頭に二本の角、コウモリのような羽を背負った怪物です。
 食べた人間の血を、ルビーのような美しい石に変えるらしいです。
・物理至近単体『流血』攻撃
・物理近距離列『出血』攻撃
・神秘中距離単体、HA吸収攻撃
・神秘範囲遠距離『鬼道』『呪い』『不吉』『猛毒』『呪殺』『識別』攻撃

 従魔コウモリタイプ:4体
 鋭い牙の生えたコウモリのような怪物です。
 毒、HP吸収があります。

 従魔目玉タイプ:4体
 触手が生えた巨大な目玉のような怪物です。
 天井に張り付いていて、触手で中距離攻撃してきます。
 乱れ、足止、麻痺のBSがあります。

 従魔オオカミタイプ:4体
 火を噴く赤いオオカミのような怪物です。
 素早く襲いかかってきます。
 火炎、出血のBSがあります。

 邪教徒:6人
 町の子供を誘拐して生け贄に捧げ、魔物から綺麗な石を貰って売りさばいていた悪党達です。
 短剣や魔術で攻撃してきます。
 単体HP回復+BS中確率回復スキルがあります。

■少女
 生け贄にされそうな少女が縛られ、震えています。
 助けてあげたいですね!

■同行NPC
 異端審問官マルティネス
 肩書きにぎょっとしますが、割と普通に常識ある大人です。ほんのり刑事肌。
 剣と単体HP回復魔法で、そこそこ普通に戦えます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 血珠のイシュート完了
  • GM名桜田ポーチュラカ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年12月16日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
クシュリオーネ・メーベルナッハ(p3p008256)
血風妃
微睡 雷華(p3p009303)
雷刃白狐
花琳・アーティフ・ムンタキム(p3p009318)

リプレイ


 新月の夜は暗闇が世界を支配する。
 真っ暗な街は静かで冷たい風が足下をすり抜けていった。
 建物の物陰に隠れた『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)は唇を噛みしめる。
「子供を生贄にするような邪教は許せない! これ以上、犠牲者が出ることがないように正義の鉄槌をくだすんだ!」
 地下に捉えられているのは罪も無き少女だ。
 恐怖のあまり震えているに違いない。何としてでも助け出してやらねばならないとスティアは意気込む。
「信仰は自由であるべきだろう。天義の教えと相容れず、自ら選んだ神に祈る人もいるだろう。
 けれど、これは。ただ命を財貨に変える悪逆は」
 眉を顰めて怒りを露わにするのはマルク・シリング(p3p001309)だった。
「何を信じるかは個人の自由だが……周囲に被害を与えるようなものは放っておけないからな。
 しかも人の命を奪ってそれで私腹を肥やすなんて、許されるはずもない」
 マルクの言葉に『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)も胸を痛める。
「ああ、こんなものは、信仰じゃない」
 ギリリと奥歯を噛みしめるマルクの後ろに居る『折れた忠剣』微睡 雷華(p3p009303)も「そうだね」と応えた。
「信仰は自由だけど、人に迷惑をかけるようなものは話が変わってくるよね。
 生贄を求めてくるカミサマなんて……きっとまともなものじゃない。
 これ以上の被害を出さないためにも、ここで終わらせないと……」
 雷華は弓を握りしめて地下室の階段を下っていく。
「邪教徒は一応殺してしまわないように気を付けるけど、助からなくても別にいいよね……
 一人でも残っていれば十分だよ。生贄にされそうになってる女の子はなるべく助けたい……頑張ろう」
「魔物を神と崇めるなんて。金銭目的であって本気で信仰してないにしても、嘆かわしいことね。
 これ以上の犠牲は何としても止めないといけないわ」
『舞蝶刃』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)は眉を顰める。
 何よりも気がかりなのは生贄の少女の事だ。
「生贄にされた少女を助けて、これ以上被害が出る前に邪教徒も邪神も倒そう!」
 ポテトの声と共にイレギュラーズは地下室の入り口から広間へと走り込んだ。
「視界の確保もだけど、私達の姿が見えれば生贄の少女も少しは安心してくれるだろう。
 敵からも見えやすくなるが……私を狙っても、私はそう簡単には倒せないぞ」
 ポテトはこの依頼を持ち込んだ異端審問官マルティネスへと目配せする。
「マルティネスは、マルクが少女を保護して連れてくるまでは一緒に戦ってもらえるだろうか
 保護して連れてきた後は、敵の攻撃が届かない後方に下がって少女を守って欲しい」
「分かりました。そのように致しましょう。
 この戦いに神の正義があらんことを、これより聖務を執行致します」

 足音と共に雪崩れ込んできたイレギュラーズへと邪教徒達の視線が集まる。
 誰よりも速く先行するのはアンナだ。
 電光石火の如く敵陣へと走り、生贄の少女の元へと馳せる。
「遅くなってごめんなさい。すぐに帰してあげるから、もう少しだけ頑張って」
「っぅう。ええん」
「もう、大丈夫よ」
 本能的にアンナへと飛びかかった従魔オオカミの牙が突き刺さった。
「あなた、血が……っ」
「私は大丈夫だから」
 自分と同じぐらいか、年下の見た目の少女がオオカミに襲われている。
「もう大丈夫だよ。私が周囲の敵を引きつけるから。その間に!」
 スティアは己の魔力を旋律に変えて敵へと響かせた。
 神の福音はオオカミの鼓膜を揺さぶりアンナからスティアへとターゲットを変える。
「私達が必ず守り通すんだから!」
 地下室にスティアの旋律が鳴り響いた。
「何だ、この音は……! 耳障りだ!」
 邪教徒が耳を塞いで眉を顰める。その隙に走り出すのはマルクだ。
 魔術師然としているマルクが一気に突出して人質を救出しに行くことは敵の想定外だろう。
 敵の攻撃がマルクを襲う。しかし、マルクは止まらなかった。止まるわけには行かなかった。
 震えながら助けを求める少女が目の前に居るのだから。

「気に入らないわね? 高尚ぶったことを垂れる割に、やってるのが此れじゃあね」
『never miss you』ゼファー(p3p007625)の槍にランプの明かりが反射して走る。
「子供の贄が欲しいだなんて、まあ――随分と矮小な神様ですこと!」
 マルクに向けられた攻撃をゼファーの槍がはじき返した。
「さて。先ずは露払いからと行きましょうか。先に言っとくけど……痛いで済むとは思わないで頂戴?」
 自由自在に動き回る槍の刃に敵は翻弄される。
「ほら、どうしたのよ。掛かってきなさいよ」
 ゼファーの挑発に飛びかかってくるコウモリを横薙ぎに払った。
「何を信じ、何を尊ぶのか……そんなのは個人の自由さ。好きに信仰すればいい。
 けれど……生贄を求めその生贄の命を代価に私腹を肥やそうなんてする邪教など許せるわけないだろう?
『理不尽』を強いる宗教なんて……私達がぶっ飛ばしてやんよ。
 さあ、悔い改めなってんの!」
 花琳・アーティフ・ムンタキム(p3p009318)はカリン★ビーム! を解き放った。
「富に目がくらんだ薄汚れた信仰など言語道断!魔物崇拝の異端者め、神の変わってシスター花琳が成敗してやりますよ!」
 カリンビームは命を奪う事は無い。しかし、痛くないとは一言も言っていないのだ。
 ビリビリと痺れた手を掴む邪教徒たち。
「成程、信仰が利益と繋がるとなれば。さぞや甘露なことでしょうかと」
『血禍美人』クシュリオーネ・メーベルナッハ(p3p008256)はゼファーの影から鋼の驟雨を降り注ぐ。
 指先一つで物体を引き裂くクシュリオーネの業は敵を圧倒した。
「そして私にとっても……斬り刻むに何の障りもないのは有難い事です」
「貴様ら!! 神聖な儀式を邪魔するつもりかァ!!」
 クシュリオーネの攻撃に怒りを露わにする邪教徒たち。
 呪文を唱え、クシュリオーネに向けて攻撃を放った。
「痛っ……!」
「クシュリオーネ、大丈夫か? 今回復するぞ」
 痛みにふらつくクシュリオーネの身体をポテトが支える。
「ごめんなさい。手を煩わせてしまいました」
「問題無い。皆を回復で支えるのが私の仕事だからな。……もう、大丈夫か? 攻撃は任せたぞ」
「はい。ありがとうございます」
 ポテトの支えから立ち上がるクシュリオーネ。手を前に指先に念を込める。
 狙うのはマルクを狙う敵。彼には少女を救出する役目があるのだ。
 それを邪魔させるわけにはいかない。
「そこを、どいてください!」
 マルクに群がる邪教徒を押しのけるようにクシュリオーネは攻撃を放った。
「神はいと慈悲深きもの――ですが。私はそうではありません。お覚悟を」
 マルティネスもまた剣を抜き放ち、魔物へと斬撃を放つ。

「どんな魂、肉体が好みかはわからないけど、聖職者の血を飲んでみたいと思わない?
 それなら私を捕まえてみると良いんじゃないかな?」
 スティアは己に注意を引きつける為にわざと隙を見せる。
 彼女に群がる敵の向こう側にはマルクの姿があった。生贄の少女の元へ駆け込むマルク。
「助けに来たよ。もう大丈夫だ」
 血だらけのマルクは少しでも安心させるように笑顔で少女を抱きしめた。


「ハン! 温いな! もっと抵抗しにきな! ぶん殴ってやるからよ!」
 花琳は血みどろになりながら叫んだ。口の中の血を吐き出して口を拭う。
 戦況は上々だろう。仲間の努力が実り、少女を自軍へと引っ張ってくることが出来た。
「マルティネスさん、よろしくお願いします」
「この子の安全は、私が聖職者の責任をもって保障します。本当ですよ。嘘、大げさ、紛らわしいは不正義です」
 マルクが少女を引き渡す。
 異端審問官マルティネスの後ろに匿われた生贄の少女の無事はとりあえず確保されたのだ。
 残るは敵を倒すことだけ。花琳は笑みを零す。
「ヨッシャ! 掛かってこいやあ!」
 花琳の怒号が地下室に響き渡った。
「此処で死のうが、磔で死のうがまあ大して変わらないんでしょうけど。
 ……まあ、そうね。一人ぐらいは生贄にされた子達と同じ気分を味わえばいいんじゃないかしら」
 ゼファーは邪教徒へ向けて微笑んだ。
「ヒィ! 助けてくれ。助けて!」
「そうやって、子供達の命を奪ってきたのでしょう? 許せないです」
 クシュリオーネは怒りを露わに敵を攻撃していく。
 今まで生贄にされた子供達を思えばこの場で全員打ちのめしてやりたいけれど。
 情報を聞き出すためにも一人は確保しなくてはならない。
 クシュリオーネは歯を食いしばりながら攻撃を叩きつける。
「これ以上お前たちに天義の民を傷つけさせない。邪神共々ここでおしまいだ」
 ポテトは仲間を癒し続ける。それが彼女の戦い方だった。

『――クックック、人間ドモメ、我ニ刃向カウト、言ウノカ。八ツ裂キニ、シテクレヨウ!』
 狼頭にコウモリのような羽を背負った怪物血珠のイシュートが邪悪なオーラと共に大鎌を振るう。
 戦場に立籠める呪いの邪気にマルクは顔を顰めた。
 此の儘では少女の命に関わるだろう。
 早急に決着を着けなければいけないと仲間へアイコンタクトを送る。
「回復は私に任せろ! 皆はイシュートを!」
 ポテトは仲間を鼓舞するように声を張り上げた。

「こんなものが神であって、たまるものか……!」
 マルクは拳を握りしめる。怒りは力に。
 信仰を騙る非道を、命を食い物にする所業を。神の光で焼き尽くすのだ。
 地下室に散らばった眩しいばかりの閃光はイシュートに傷を着ける。
「何ィ!? 馬鹿ナ! コレ程ノ力ヲ持ッテイルダト」
「神を騙り、人間を誑かし、幾人もの子供を殺したその罪は重いわ」
 マルクの攻撃にアンナの夢煌の水晶剣が煌めく。
 三日月を描くような剣閃がイシュートの身体を割いた。
 クシュリオーネはイシュートへと狙いを定める。
 魔力を込めて指を振れば、目標の空間と、そこに存在する物体を引き裂くのがクシュリオーネの業。
 的確な命中を誇る弾丸はイシュートの心臓を貫き痛打を与えた。
 雷華は屍月螺鈿飾弓迦陵を引き絞りイシュートの胴を狙う。
 亡者の嘆きを奏でる弦音を響かせながら雷華が打ち込んだ矢はイシュートを捉えた。
 スティアの魔導器が終焉をもたらす氷結の花の魔法陣に開いて行く。
「許さない。許される筈もない! 子供達の仇はここで!」
 終焉を齎す花はスティアの手から放たれた。イシュートは花と成り身体の大半を失う。
「正義の味方なんて気取る気はありませんけど。……其れでも。吐き気がするほどにサイテーな奴を放っておくほど人間腐っちゃいないわ?」
「クソォ! 人間ドモメェ!!!!」
 身体に咲いた花と共にゼファーの槍はイシュートを穿つ。
「――だから、さっさと死んで頂戴な。醜い化物さん?」
 イシュートの身体は硝子が砕けるように散って行った。

 ――――
 ――

「怖かったね。もう大丈夫」
「悪者はやっつけてしまいましたから」
 スティアとクシュリオーネは少女を安心させるように抱きしめた。
「ありがとう。……うぅ、怖かったよぉ」
「怪我とかは無いかな? 痛いところとか」
 雷華は少女に怪我や具合が悪くないかと体調確認をする。
「よしよし。よく頑張ったな。偉いぞ」
 ポテトがすりむいた膝に回復を掛けて頭を優しく撫でた。
「家はどこか分かるか? 私達が送り届けよう」
「お家に帰れるの?」
「ああ。お家に帰れるよ。大丈夫」
 ポテトに抱きついた少女は地下室に響く声で安堵の涙を流した。

「てめぇ等が! 悔い改めるまで! 殴るのをやめない!」
「ヒィ! ごめんなさい! ごめんなさい!」
 花琳は捕えた邪教徒を殴りつけていた。
「おら! 吐け! 何人殺した? 何の為にこんなことをしたんだ」
「私達は崇高な信仰の元……」
「ああ? 聞こえねえ! もっとハッキリ喋れや」
 花琳の拳によって更に打撲が増えていく邪教徒達。
「そうだよ。子供達は何処から連れてきたの。他にも生贄にされた子や、横の繋がりとかがあるの?」
 雷華の問いかけに邪教徒たちは地下室の扉を指さす。
「彼処に」
 その指さされた扉をアンナが用心深く開けると、生前着ていたであろう服やペンダントが綺麗に並べられていた。
 一人や二人では無い。何十もの子供の服だけが並んでいる。
「これは……せめて、何らかの形で家族の元へ返してあげたいものね」
 子供は生贄に捧げられ帰ってこないかもしれない。
 けれど『死んだという事実』は『帰ってこない子供を待つ』のを終わらせる事ができる。

 マルクはマルティネスの元へ近寄り声を掛けた。
「異端審問官の仕事が、『信仰を騙った非道を裁く』ことならば。マルティネスさん、僕は、貴方の仕事を尊敬します」
「そう、牽制せずとも『これ』は異端と見做されましょう。
 幼い子供が生贄に捧げられていたのです。裁かれるべき非道そのもの。
 この子は親元まで無事に送り届けましょう。教会にはメンタルのケアを依頼しておきます」
 その言葉に胸を撫で下ろすマルク。
「もっとも――『信仰を騙った非道』とは、果たして何であるのか……。
 同僚とその解釈を争うことはございますが……これは私共が解決すべき問題」
 続けて掠れ声をこぼしたマルティネスは、少しだけ遠い目をしてみえる。

 地下室から少女を連れ、外の石畳を踏みしめたイレギュラーズは、新鮮な空気を肺に吸い込んだ。

成否

成功

MVP

微睡 雷華(p3p009303)
雷刃白狐

状態異常

マルク・シリング(p3p001309)[重傷]
軍師

あとがき

 イレギュラーズの皆さん、お疲れ様でした。
 楽しんで頂けたら幸いです。
 MVPは奮闘した方にお送りします。
 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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