シナリオ詳細
恋愛をするのにFB値が高いのはいけないのだろうか?
オープニング
●FBが馬鹿みたいに高い恋愛
「おーい、おまたs——っっ!!」
その青年はひと言で言えば『運が悪い』青年だった。
今日は大事なデートの日で早起きをしたにも関わらず運悪く時計の時間が狂っていたことに直前に気が付いて家を出たのはギリギリの時間、約束の場所に行く道が運悪く羊の大行列に占領されてしまい結局遅刻、おまけに羊の間を強引にすり抜けてきたものだから身体はかなり獣臭い、そして〆には地面の出っ張りに足を躓いて彼女の目の前で転んでしまい、その際にその子のスカートに手が引っかかってしまう程の運の悪さである。
当然の話だが、不可抗力といえ突然スカートを下げられた女の子は怒る。
「え、そんな……まって、帰らないで……!!」
青年は慌てて土下座をするが、そんな彼の頭に鳥の糞が落ちてくる始末だった。
そんな間抜けな姿を見ればどんな女の子だって呆れて帰ってしまうだろう。
今日の彼のデートはそんな結末に終わってしまった。
●恋愛成就にFBは関係あるのだろうか
「おうおう、集まってくれてありがとうさん。今日はちょっと珍し……いや、お前たちからしたら珍しいのかわかんねーけど、面白そうな依頼が届いてるぜ?」
混沌世界においてFBとは殺せるなら殺した方が良いとされるステータス(※諸説あり)である。その理由は様々な行動が失敗してしまうからであるが、それが日常生活に関わってくることなど(※多分)そうそう無いだろう。
【元冒険者】ラナードは面白おかしそうな笑みを浮かべると、その依頼内容を読んだ。
「運が悪すぎて困ってる奴がいるらしい。俺は恋愛とかあんまりしない口なんだけどよ、何をやっても上手くいかねえ依頼主はデートが成功するようにこっそり助けてほしいらしい」
その男は恋愛において容姿、性格共に文句をいうところはないのだが、どうやらあることに悩まされているという話だった。
にわかに信じがたい話ではあるが、その青年は混沌世界でいうFB値が80を超えていて何をしても大体失敗してしまうらしいのだ。
「そいつの恋愛の行方はお前たちにかかってると言っても過言ではないな。他人の恋愛なんざ知ったこっちゃねえと思うがこれも依頼だ、まあ適当にフォローしてきてくれ!」
- 恋愛をするのにFB値が高いのはいけないのだろうか?完了
- NM名牡丹雪
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年12月03日 22時01分
- 参加人数4/4人
- 相談3日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●会いに行くのも一苦労なんて!
「リア充予備軍を爆発させるチャンスだ!」
「リア充なだけで十分勝ち組じゃねえか!」
『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)(よみ:かいげん せかい)と『ホストクラブ・シャーマナイト店長』鵜来巣 冥夜(p3p008218)は心の声が思わず表に出てしまう。
多分、自分たちが助けてあげなければ高すぎるFBに滅ぼされ彼の恋愛が成就することはないかもしれない……が、これも依頼である。
「ねえ、そんなに大きい声出すと気付かれちゃうんだけど」
「恋愛は誰もがして良いし、FBが高いからダメなはずがないです……!」
男性陣とは対照的に女性陣は青年の恋愛を純粋に応援したいみたいだった。
『白い死神』白夜 希(p3p009099)と『夜明け前』隠岐奈 朝顔(p3p008750)は荒ぶる男性陣をそう言って諫めると、青年が出て来るであろう家の近くに身を潜める。
作戦としては、とにかく待ち合わせ場所に向かう青年を遠巻きに護衛する……だったのだが、何かがおかしい。いつまで待っても青年は家から出てこないし、そろそろ出ないと遅刻してしまう。
「寝坊してるんじゃねーの?」
世界はそう予想するが、実際の原因はもっとぶっ飛んでいた。
「ねえ、この地図なんかおかしくない?」
ここに来る前にイヴに渡された地図を照らし合わせながら何かに気付く希。
その直後、スマホで地図を開いた冥夜も何かに気付いたみたいだった。
「ふむ、どうやら青年のFBは我々にも影響するみたいですね? 渡されていた地図が全く違うなんて聞いてないですよ、ええ!!」
冥夜の言葉にイレギュラーズ全員が硬直し言葉を失う。
彼が気付いたから良いものの、FBが高すぎてイレギュラーズが到着できない可能性すらあるなんて!
「はー、はー、間に合ったか?」
まさか開幕早々青年の家を目指す徒競走が始まるなんて誰も予想していなかったが、結構な長距離を走らされた世界は息を切らせながら冥夜に聞く。
「は、はぁ、ええ、あそこが青年の家で……っと、出てきましたね」
丁度いいタイミング、時間としてはギリギリセーフな時間に青年が慌てて家を飛び出てきたのを確認する。何もなければ遅刻はしないだろうが、なにもないはずがない。
「私は先回りして羊の大行列がないか確認してまいります」
「じゃあ私は彼に糞を落とそうとする鳩の警戒をします」
「傘の助言できなかった……天気大丈夫かな……」
「おーう、俺はやることないな。案外このままいけるんじゃね?」
希は思った。それはフラグだ……と。
●湖に鮫より危険なアレが居るなんて!
「はぁ、はぁ……」
冥夜が青年の走る道を導き、朝顔が空や地面を気に掛けていた甲斐もあり、青年はOPのような大失敗をすることはなく待ち合わせ場所に到着する。
待ち合わせている娘が来る前に到着できたのも高得——
「女の子来なくて終わりとか無いよね? 日付とか間違えてたりしないよね?」
ここまで上手く行っていることに逆に不安になる希。
むしろそうなったらどうしようもないのだが、女の子は時間通りに待ち合わせ場所へ来た。
「あら、待たせちゃったかしら?」
「い、いま来たところです!」
定番なやり取りをしながら二人はボート乗り場へ進む。
「すみません。二人用のボートを一つ借りたいのですが……」
ボートを借りようとする二人を出迎えたのは冥夜だった。彼は何故か係員とすり替わって事前にぶっ壊しておいたボートを見ながら彼らに言う。
「ボートですね、おまかせ……ああっと! なんてことでしょう、現在使えるボートは全て貸し出されてしまってるみたいです。代わりといっては何ですが、小型船をチャーターさせて頂いても?(メガネクイ)」
元からボートはボロボロだったんだ。それならぶっ壊して乗れなくしてしまえばいい。
青年と娘はどうしようかと少し悩んでいたが、せっかく用意してくれるならと冥夜に首を縦に振りながら「お願いします」と告げるのである・
「まあこれで沈むことも無いだろうし、あとは落とし物くらいだろ」
冥夜が用意した小型船にはイレギュラーズ全員がこっそり乗っており、何かあればすぐ対処することができる。不測の事態なんて早々起きるわけない……と世界は思っていた。
ぐらりと、小型船が大きく揺れる。
「キャッ!」
「うわっと!」
大きく揺れた衝撃で娘がぴったり青年にくっつく。
ちょっと嬉しそうにしていた青年とは裏腹に、イレギュラーズたちの間では緊急事態が発生していた。
「ねえ、見ちゃいけないものが見えた気がするんだけど」
「いやいや、まさか……湖に住んでるなんて聞いた事ありませんよ」
「私も見えたから、見間違いじゃない!」
「なんで湖に『クラーケン』が住み着いてるんだよ!!」
海の怪物と呼ばれるクラーケン。そんな存在が船を襲ったりしたらひとたまりも無い。
船を操縦する冥夜をおいて三人は素早く戦闘態勢に入ると、急いで湖へ飛び込むのである。
●水も滴るいい男だなんて!
クラーケンはイレギュラーズの対処により討伐されたらしい。
遊覧する小型船の上で最初から最後までイチャイチャしていた青年と娘はそんなことがあったこともいざ知らず、デートプランの三番目であるイルカのショーを見に水族館へ入っていく。
「いや、もう帰りたいんだが……」
まさかここに来るまでに服がびしょびしょになってしまった世界は震え声で呟く。
彼はイルカのショーで代わりにびしょ濡れになり退散しようなどと考えていたが、湖に飛び込んで既にずぶ濡れ。しかしそれは船の操縦をしていた冥夜以外同じである。
そして、恐るべきなのはまだデートは半分しか終わっていないということだった。
「……ここからあれ以上の不幸が起きないことを願いたいんだけど」
イルカが跳ねて濡れる程度は不幸に入らない。
世界と冥夜はもしふたりが濡れそうになった時は盾になろうとしていたのだが、朝顔に考えがあったらしく希が二人の服を掴んで制止した。
イルカのショーが始まる時、朝顔はテレパスで少年に話しかける。
(聞こえますか……今、貴方の脳内に直接語り掛けています……)
「(直接脳内に)……?!」
「どうしたの?」
青年は一瞬びっくりしたが、娘が不思議そうに首を傾げていたから、動じずに座り直す。
(私には見えています、貴方が水しぶきでびしょ濡れになるのを……
そう、隣の彼女も巻き込んで……)
イルカのショーが始まった。娘は青年にくっついて楽しそうにショーを見ている。
(しかし貴方が庇えば、一人の犠牲で済むのです……。
ソレに考えてください。好きな女の子を守る自分! 自分を庇った上に濡れた貴方を見てドキドキする彼女!)
「……!!」
イルカがこちらに迫ってくる。多分もう少ししたら近くで跳ねるだろう。
(災難を好感度上昇イベントに変えたいと思いませんか?!
という訳で、今回は庇うことに意識を向けるのです。あ、服屋は水族館を出て左です)
「っっ……!!」
青年は席を立ち上がった。娘を水しぶきから守る盾になる為に。
案の定、イルカは大きな水しぶきを立てながら青年を盛大に濡らしたが、娘はちょっと濡れた程度で済んだらしい。
青年はFBが高い以外落としどころのない男だ、水も滴るその姿はきっと男らしい姿だっただろう。
●ファンブル(致命的失敗)
朝顔の助言もあり、青年がびしょ濡れになっただけで済んだイルカのショー。
青年は服も新調して最後のデートプラン、観覧車へと向かう。
「流石に観覧車でトラブルは大丈夫では……?」
「そうだな、俺も流石に付き合ってられ……」
「ふふ、ふふふふ、爆弾の設置は終わった。あとは爆発するのを待つだけ、リア充爆殺!」
「……おい待て待て待て、今聞き捨てならない独り言が聞こえたぞ?!」
二人が乗った観覧車に爆弾。もう無茶苦茶である。
「くそ、仕方ない。爆弾の対処は俺がする! お前らも油断するなよ?!」
既に青年と娘は観覧車に乗ってしまっている。このまま爆破されれば間違いなく二人とも助からないだろう。というか誰だよ狙ったように爆弾仕掛けた奴。
「大丈夫……だよね。お手洗いも行かせたし、服を買うときにブランケットも買わせたし……流石にこれ以上の不幸は」
地上で爆弾が仕掛けられていたことはいざ知らず、希は青年と娘が乗っている観覧車のすぐ隣に乗って、動向を見張っていた。
彼女が予想する限りの最も不運なケースは、突然突風が吹いて高速回転観覧車になってしまうこと。そうなった場合は風を止めるために出るつもりだったが。
「…………」
「…………」
気が付けば青年と娘がキスをしようとしている。
そんな時、希が最初に懸念していたことが最悪の事態となって体現することになる。
「え……?」
希の最初の懸念、それは“天候の崩れ”だ。
だが、降ってきたのは雨でも雪でも、霰でも雹でもなかった。
「冥夜さん、冥夜さん! アレ、もしかしてですけど……!!」
「ええ、アレはもしかしなくても(メガネクイ)」
朝顔は冥夜を揺らしながら目を見開いて口をぽかんと開いていた。
冥夜といえば、朝顔に揺らされながらそれを見て流石に額に汗を浮かべていた。
「……流石に隕石なんて予想しないよ?!」
●クリティカル(爆発的大成功)
「ん……綺麗な花火ね。観覧車止まっちゃったけど大丈夫かな」
「だ、大丈夫だよ。きっとすぐに動き始めるから」
降ってきた隕石がどうなったのか説明するまでもない。
恋する青年と娘は永遠とも思えるその時間を過ごした後、外の光景を見てそう話した。
今回のデートは大成功で終わったと言っても良いだろう。もしかしたら次のデートもFB80が足を引っ張り裏では大変なことになるかもしれない。
でも大丈夫! 次もきっと。イレギュラーズが何とかしてくれるから!
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
どうも、牡丹雪です。
恋愛にFB値は関係あるのでしょうか?
どちらにせよ彼は困っているらしいので助けてあげてください!
●目標【青年のデートを成功させる】
彼の今日のデートプランは以下の様です。
起こりそうな不幸をこっそり阻止してあげてください。
①朝のあんまり早くない時間に意中の娘と合流する
(※運が悪くオープニングと同じようなことが起きるかもしれません)
↓
②とあるテーマパークの小さな湖で二人用のボートに乗る
(※運悪く選んだボートが古いものだったりするかもしれません)
↓
③水族館でイルカのショーを見る
(※イルカが跳ねた時の水しぶきでびしょ濡れになってしまうかもしれません)
↓
④夜景を楽しみながら二人きりで観覧車に乗る
(※予期せぬトラブルがおきるかもしれません)
●PL情報
基本的にプレイングに書かれている不幸を阻止する形になります。
不幸が思いつかない場合は目的に書かれている不幸をそのまま記載して構いません。
●NPC
・恋する青年
今回の依頼主です。
FB80が足を引っ張り恋愛がうまくいかない青年です。
根は優しく真面目で落としどころの無い青年なのですが……。
・青年とデートをする娘
可愛い子ですが、青年の不運にいつも振り回されているらしい。
青年の不運さえなければ彼女はまんざらでもなさそうなのですが……。
●サンプルプレイング
以下はプレイングの参考程度にしていただけたらと思います。
例)全く、そこまで不幸だと逆にすごいよね!
バレないように飛行で空から監視!
〇〇が起きるかもしれないから〇〇しておこう!
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