PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<瘴気世界>冒険者殺し

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●闇の精霊の戦慄
「おい、それは本当のことなのか……!?」
 【闇の精霊】オプスキュティオは【火焔の精霊】イグニスヴールの胸倉を掴みながら血相を変えて問い詰めた。直近、地上の冒険者を駆逐しようと暗躍していたイグニスヴールはイレギュラーズの手により倒され、その身柄はオプスキュティオにより拘束された。
 オプスキュティオは大それたことを起こしたイグニスヴールを咎めたが、彼が事件を起こした理由が創造を絶するもので戦慄することになる。
「何度も説明しただろ。リュミの奴が他を喰って、馬鹿みたいな力を得ちまった」
「そんなこと言ったって、他の奴だってみんな実力は変わらなかったじゃないか!」
 オプスキュティオが怒ったように壁を叩けば、そこには大きなヒビが入る。
「人間の信仰を得られなかったお前は知らなくて当然か……。
 俺たちがアレを造ってから途方もない年月だ、国の繁栄に差がついて当然の話さ」
 この世界で生まれたヒトという生物は等しく胸に精霊の力が宿った核をもち、死んで核が砕ければその力は精霊に返還される。それは本当のことだった。
 精霊が長い年月をかけて繁栄させたそれは、ある意味で精霊が生き続ける糧なのだ。
「あとは簡単だろ。人口に差が付きゃ、流れてくる力の差も出るってもんだ」
「光輝の国が大きく反映したばかりにリュミは力を付け続けて……いや、けどなんでこんなことを?」
 リュミエールが出した依頼を行った冒険者が帰ってこなかったのは、確実に裏で本人が始末をしていたのだろう。だが、オプスキュティオは理解できずにいた。彼女が何故そんなことをしたのか。
「さあな。だが、ヒトを造ろうと最初に言ったのはリュミの奴だ」
「最初から、計画されていた……?」

●冒険者暗殺計画
「それで、キミはリュミの奴に吸収されないように力を付けるために自分の国の冒険者を狙ったわけだ」
「ああ、考えてみればそんなことをしても焼け石に水だったけどよ……」
 リュミエールの力は冒険者の力をかき集めても届かないとイグニスヴールは言う。
 確かに考えてみれば三人の精霊が吸収されてしまった時点で、力を取り戻したイグニスヴールとオプスキュティオが二人で相手してもコテンパンにされてしまうのは目に見えている。
「リュミは特に私のこと嫌ってるからね。万全を期して消しにでも来るのかな」
「おまえな、んなこと言ってる場合じゃないんだぞ!」
「まあ落ち着いてよ。とにかくキミが元に戻らないと、どうしようもないじゃないか?」
 イグニスヴールの焦りを聞いたオプスキュティオは「もう、背に腹は代えられないね」と言いながら、一枚の依頼書を作るのだ。

●冒険者殺しの英雄
「集まっていただきありがとうございます。……ラナードは非番です」
 境界案内人、イヴ=マリアンヌは珍しく本を閉じていた。
「皆さんの活躍で火焔の精霊の暴走は収まり、王国を襲っていた大渦も除去されました。
 ……ですが、精霊側で少し問題が生じてしまったようです」
 彼女は依頼の内容を、どこか悲しそうな表情で淡々と告げるのだった。

NMコメント

 三度瘴気世界です。牡丹雪と申します。
 この物語は<瘴気世界>の続編となります。物語は個々で完結する&前回のあらすじを書きますが、過去作を見て頂けると見ると更に楽しめる世界観となっております。
 また、世界観の詳細は自己紹介欄にも記載されています。ご覧いただけたら幸いです。


●目的【火焔の国へ帰る冒険者を全員抹殺する】
 イレギュラーズの活躍によりイグニスヴールの陰謀は阻止され多くの冒険者が助かりました。しかし、気まぐれなオプスキュティオにより国へ帰ろうとする冒険者の抹殺依頼が出されたようです。
 イレギュラーズは<瘴気世界>において冒険者として認識されている為、バレないよう速やかに抹殺しなければなりません。

●敵対相手の情報
・イグニスヴール王国所属冒険者×30
 この世界では強い部類です。弓や剣、槍など様々な武器を使います。
 しかし、強い個体を含めてイレギュラーズにはほとんど及ばない強さでしょう。
 数が多く群がっている為、逃がさないようにまとめて処理する必要があります。


●世界観のおさらい
 かつて世界の均衡を保っていた6人の精霊たちはあまりの退屈さに人類を生み出し、それを繁栄させた。だが、人類を生み出す過程の中で邪悪な力を持つ魔獣も生み出してしまい、やがて史に残る大戦争が起きてしまう。瘴気により荒廃してしまった跡地から逃れるべく人類は地底へと生活圏を移動した。
 そう願った精霊が導いてくれた際に偉人が受け取ったとされる高純度の精霊石を用いた5つの疑似太陽により、まるで地上にいるような生活を送っている。のちにその疑似太陽に惹かれるように人々は巨大なコロニーを築き、5つの国が出来上がった。
 人類は精霊に最初に生み出された種族であるため、精霊石の魔力を浴びつつ魔獣の灰を食べながら生きている。

●前回までのあらすじ
・大型魔獣を討伐したことで、イレギュラーズはこの世界でAランクの冒険者として扱われることになりました。
・【闇の精霊】オプスキュティオと交流を行いました。
・【半魔獣】ラナードはイレギュラーズの手により元に戻り、彼はこの世界で死んだことになっていますが境界案内人になりました。
・ラナードが受けた謎の少女(光輝の精霊)の依頼を完了させました。
・【火焔の精霊】イグニスヴールの陰謀を阻止しました。
・<瘴気世界>は着実に崩壊へ近づいています……。

●関連シナリオについて
 当シナリオは以下の連続シナリオと関連しています。
 よろしければ参考程度にしていただけたらと思います。

・『<瘴気世界>イグニスヴール王国防衛戦』
 https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/4564

・『<瘴気世界>火焔の精霊』
 https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/4617

●アドリブについて
 本シナリオではアドリブが多めに含まれることがあります。
 アドリブがNGの場合、通信欄かプレイングに一言ご記載いただければ幸いです。

  • <瘴気世界>冒険者殺し完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年12月05日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
メルーナ(p3p008534)
焔獣
白夜 希(p3p009099)
死生の魔女
溝隠 瑠璃(p3p009137)
ラド・バウD級闘士

リプレイ

●束の間の勝利
「ふぃー……帰っぞー……?」
「疲れたぁ、本当に死ぬかと思ったよ」
「生き残ったからいいじゃねーか、王国からの報酬だってきっと沢山だぞ?」
「俺は戻ったらとりあえず暫く休みてぇな……」
「あー。お前は早く帰って無事を知らせてやるのが先だよな」
 他愛もない会話が聞こえてくる。
国を脅かす大渦を退けた冒険者たちは勝利の余韻に浸っていた。
 イグニスヴール王国へ続く第一通路は巨大なトンネルのように広く、通常の冒険者であれば王国から地上へ登るのに全長で補給所を経由し二日、地上から王国へ帰るのに四日はかかるほどの長さである。ここに日数の差が存在するのは、地上から帰る冒険者は大抵疲れていたり、荷物を抱えているからだ。
 それは現在王国へ帰っている冒険者たちも例外ではなく、第一防衛ラインから帰路に着く彼らは疲労し、灰や核の物資も運んでいた。少なからず負傷者もいる。
 そして、現実というのは時に非情で残酷である。英雄によって助けられた冒険者たちは、神の気まぐれにより英雄に殺される運命にあるのだから……。

(本当はこんな仕事、他の人にさせたくないんだけど……仕方ないか)
 イグニスヴール王国へ向かう冒険者の背を見ながら『白い死神』白夜 希(p3p009099)は心の中で思う。ローレットに張り出されている依頼の中には悪に手を染めなければいけない依頼も存在するが、今回の依頼はそれに近しいものだったからだ。
 今から目の前の冒険者を皆殺しにしなければならない。
「ところで結構歩いた気がするのじゃが、目的地まではどれくらいなのかぇ?」
 そんな希の考えとは裏腹に、『ラド・バウD級闘士』溝隠 瑠璃(p3p009137)の考えは全く別のものだった。冒険者を助けたと思えば、今度はそれを虐殺するという手のひら返し。その首謀者である【闇の精霊】オプスキュティオに興味を持つほどである。
 そして、彼女も依頼を遂行するために希と共に『イグニスヴール王国防衛戦』に参加した冒険者、もとい異世界からの英雄を装った。
「そうだな、このペースだと第二防衛線より前にある補給所で一度休憩することになりそうだ。なんせ荷物も多いし、みんな消耗しているからな」
 この隊の統率者と思われる冒険者は周りを見ながら瑠璃に言った。彼の話だと、イグニスヴール王国に帰還するにはこのペースだと最低でも二日はかかるらしい。
「うむ、勝てたとはいえ休息は必要じゃろう……休む場所があるのなら休んだ方がいいじゃろうのう」
 瑠璃は何ら不自然のないように冒険者へ言った。
(そっか、随分手際よく……事が進んじゃいそうなんだね)
 別にこの世界のためじゃない、世界を助けたいと思ったから冒険者を殺す。
 依頼を受けることを選んだのは私。だから謝らない。言い訳もしない。
 希は覚悟を決めると、冒険者と共に補給所を目指すのである。

●補給所のふたり
「…………しょーじき、胸糞悪い依頼だわ」
「ああ、そうだな」
「けど、誰かがやんないといけないんでしょ?」
「ああ、そうだな」
「どうせ私、この世界に知り合いもいないし残虐非道な殺銀器でもなんでもさ、私がやってやるわ! この世界に縁のあるアンタは無理せず下がってなさい!」
「……そういうわけにはいかねぇのが現実だな」
 冒険者が補給所に到着するよりも前に先回りをしていた『焔獣』メルーナ(p3p008534)と『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は、補給所の至るところに罠を仕掛けながらそんなやり取りをしていた。
 メルーナはこの世界に交流があるイレギュラーズは下がり、全て自分に任せてくれれば良いと主張する。冒険者を殺すことに気が進まない世界は確かにその意見も一理あるだろうと心の中で思う。だが、世界もまたメルーナと同じ考えであるのだ。
(……はぁ、なんでこんな依頼にまでアイツ等はいるのかね。
 他の誰かがいるとやりにくいからこんなのサクッと他人に丸投げしてくれればよかったのにな。難儀な奴らだよまったく)
 言葉には出さないが、世界も冒険者を手にかけるのは自分だけで十分だと考えているのだ。この依頼が本当に胸糞悪く後味が悪いのは、その内容を説明したイヴ=マリアンヌの後ろめたそうな表情が物語っていたから。
(大方、イグニスヴールが力をある程度取り戻すためだろうが……)
 そして、世界はこの作戦の意図を理解していた。だからこそ『はいそうですか』と見逃すわけにもいかないのだ。
「お願いだから、間違っても冒険者をかばう真似なんてしないでちょうだいね。
 味方ごと吹き飛ばすなんて、そこまで依頼人に尽くす義理なんて……私には無いのよ」
「分かってる。殺したくない相手がいるわけでもないし、さっさと終わらせるとしよう」
 メルーナはもうすぐ到着する冒険者に一撃入れる準備を。
 世界は冒険者が逃げないように退路へ罠を仕掛けながらそんなやり取りをするのだった。

●必要な犠牲
 それは冒険者が補給所に到着して少し経った頃である。
 三棟存在する簡易宿の内の一棟が爆音を立てながら吹き飛んだ。
「お、おい……何の音だ……?!」
 別の宿で羽を伸ばし休んでいた冒険者は爆音に跳び起きると、宿の外を見て絶句した。
 十人ほどが休んでいた宿の一つが跡形もなく消え去り、残っているのは非情も強烈な爆発が起きた痕跡だけ。恐らくその宿で休んでいた冒険者は全滅だろう。
「なんでだ……魔獣の襲撃? いや、違う……だって……」
 冒険者たちは表情を曇らせる。魔獣は全て駆逐した筈だし、外は異世界人が見張りを——
「まさか……!!」
 その冒険者が慌てて武器を構えて扉に向かった時は遅かった。
「わりぃな、通行止めだ」
 外を見張っていた筈の異世界人の一人、世界が中に入ってくると、その背中からは煉獄砲装を構えたメルーナが姿を現す。その大きな砲銃の銃口は眩い光を発していて。
「騙して悪いけど、仕事なのよね……」
「散れ!! 散——」
 放たれた全てを灰へ還すインシネレーターは宿の広範囲を貫き、多くの冒険者を葬り去った。辛うじて逃げ延びた冒険者も腕を失い、足を失い、そして戦意すら失い立ち尽くすだけ。
「お前等……どうして……——」
「……お前等は世界の為の犠牲に選ばれた、それだけの話だ」
 せめて苦しまないように、世界は生き残ってしまった冒険者を手早く介錯する。
 爆発四散した宿にいた冒険者と同じように、この宿で休んでいた冒険者は全滅した。

「くそ、くそ……どうしてこん——」
 外の様子も絶望で満ちていた。
 防衛戦に参加した異世界の英雄がまさか敵に回るなんて思っておらず、A級の冒険者はパニックになり逃亡、辛うじてS級の冒険者だけは迎え撃とうと武器を取る。
 しかし、逃げようとする冒険者は退路を断たれるように希の幽炎に包まれ、それを見て怯んだ冒険者には飛んできた自らの獲物で串刺しにされる。しまいには素早く接近した希の貫手により容赦なく胸を貫かれ、核を掴まれ引き出され——地獄絵図だ。
「ほう? まだ戦意がある者もおるのか」
 希が逃げ惑う冒険者を駆逐している刻、瑠璃は数名の冒険者に囲まれていた。
 恐らくイグニスヴール王国でも腕が立つ、S級と呼ばれる冒険者だろう。
「クハハ! その程度、攻撃とも呼ばぬ。攻撃というのは——」
 冒険者の動きは決して悪いものではない。しかし、この世界の冒険者と混沌世界の冒険者の実力には天と地中海ほどの差があり、剣の攻撃も弓の攻撃も瑠璃を傷つけることは無かった。
 そして、瑠璃に飛び掛かった冒険者一人の首が刎ねられる。
「こういうのを攻撃と……ああ、もう聞いておらぬか。全く、脆すぎて呆れるのう?」
 瑠璃は一瞬呆れた表情を見せるが、その表情はすぐに残虐的な笑みに変わった。
 彼女を中心に発動される吸精結界、気付いた時にはもう遅い。
「冥途の土産に教えてやろう。汝等はこの世界の神に見捨てられたのじゃ。
 じゃあのォ、勇敢な冒険者諸君。この世界の礎になってくれ……な~んてな?」
 イグニスヴール王国防衛戦に参加した冒険者は大渦を退けた後、イレギュラーズの手により全滅した。跡地には何も、誰も残っていなかったという。

●無情な精霊
 冒険者を全滅させた後、一行はオプスキュティオの居る塔に訪れていた。
 勿論そこには力をある程度取り戻した火焔の精霊も身を宿している。
 そしてイレギュラーズと精霊たちの間に、再会の挨拶は無かった。
「……もう一度だけ聞くわ。本当に他に方法は無かったの?」
 今回の冒険者殲滅は全てオプスキュティオが計画したこと。静寂を破ったメルーナの言葉に、闇の精霊は表情一つ答えた。
「無かった。確かにイグニスヴールが王国を危機に陥れたのはやりすぎだった……が、それも理由あっての行動さ。キミ達は知らずにそれを阻止して、更には彼を弱らせてしまった」
 だからその責任をキミ達に取らせた、まるでそう言いたそうに彼女は言う。
 この精霊もまたイグニスヴールと同じように人間を家畜同等の存在として思っており、冒険者を殺すために無心を貫いたイレギュラーズ達の感情もわからない様子だった。
「アンタねぇ……——」
 今にも魔砲をぶっ放しそうなメルーナを希は制止すると、彼女はまっすぐオプスキュティオの目を見る。
「ティオ……言いたいことはそれで終わり?」
「…………はぁ、強いて言うならリュミエールを確実に仕留める為に私たちはもう余力を使うわけにはいかない。だからキミ達を使った」
 オプスキュティオの本音に世界は大きなため息を吐きながら、メルーナの頭にクッキーを積み始める。
「それで、冒険者を虐殺した結果勝算は上がったのかね?」
 世界が頭に淡々とクッキーを積み上げる奇行にメルーナは「ゴルァァッ!」と怒るが、それに構わずオプスキュティオは正直に告げた。
「今のところはゼロに等しいね」

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM