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シナリオ詳細

タンゴ祭りのハプニング

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●男の子の成長を祝う日に
 今日はタンゴ祭りである。
 男の子の成長を祝い、感謝し、これからのさらなる成長を願うために行われる祭りだ。
 この日には村の入口に村にいる男の子の数だけ魚の形をした布、「うおのぼり」を飾ることになっている。
 さらに、村の広場では村人全員がタンゴを踊ることになっていた。
 毎年とても賑わう日でもあり、たまたまこの村を訪れていたイレギュラーズ達も、この祭りに参加することにしていた。

 村長が広場で挨拶をし、天気も良く晴れていることに喜びつつ祭りのスタートを告げようとした時である。
「ギョギョォォォ!」
 村の入口の方から変な鳴き声が聞こえてきた。
 村長はスピーチの途中で固まり、村人達も不安げに顔を見合わせている。
 鳴き声は、広場へと近づいてきているようだ。
 しかも、数体どころではなさそうである。
 イレギュラーズが急いで様子を見に行く。
 すると、彼らの目の前にはとんでもない光景が広がっていた。

●ハプニング発生
 村の入口で2m程の棒にくくりつけられ、風になびきつつ村の男の子達の成長を祝うシンボルとして飾られているはずのうおのぼり。
 それが今や恐怖の対象と変化してしまっている。
 持ち主である男の子本人が顔を描く決まりになっているため、彼らが描いた微笑ましいはずの魚の顔があるはずのうおのぼりだが、その顔は今では牙を生やして目はつりあがり、凶悪な魚型モンスターにしか見えない。
 それが低く濁った声を上げながら空中を飛び回り、ガチガチと牙を慣らしながら獲物を探している。
 中には野良猫でも狙って避けられたのか、地面に顔がめり込んでしまい、身体を震わせて顔を地面から出そうとしているうおのぼりまでいる。
 イレギュラーズ達もさすがに驚いて動きを止めるが、このままではこの謎のモンスター達が広場の方へと向かっていってしまうだろう。
 急いでうおのぼり達をおとなしくさせる必要がありそうだ。
 元々、布で作られているので弱点は分かっているが、何しろ相手は飛び回っている。
 なかなか厄介だ。
 試しに1人が手近なうおのぼりを狙って攻撃すると、元の布に戻って動かなくなった。
 ある程度ダメージを与えれば、無力化するようだ。

 うおのぼりと対峙するイレギュラーズ達の背後では、様子を見に来た村人が何人かこの光景を見て悲鳴を上げ、慌てて広場に戻っていく。
 彼らが広場の者達に状況を伝えてくれるだろう。
 今はとにかく、うおのぼり達が広場に向かうのを阻止しなければならない。

 村人達の安全は、イレギュラーズ達に託された。
 一刻も早くうおのぼり達を無力化させ、村の人々を守って欲しい。

GMコメント

 閲覧ありがとうございます、文月です。
 今回はお祭り中に突然モンスター化して襲ってくる魚型の布を無力化させるのが目的です。
 以下、補足となります。

●成功条件
 ・魚型の布が変化したモンスターをおとなしくさせる
  燃やしても刺しても斬っても撃っても殴っても何でも構いません。
  とにかく無力化させましょう。

●うおのぼりについて
 ・どんな魚を飾りにするのかは持ち主である男の子の自由なので、様々な種類の魚がいる
 ・魚の種類によって戦闘力に差がある様子
 ・大きさも様々
 ・元が布なので火には弱いが、村の中なので建物への延焼には注意
 ・村の男の子(15歳未満)と同じ数だけいるので、残りは全部で23体
 ・一定以上ダメージを与えると元の布に戻る

●その他
 口調や性格等が分かりやすいよう書いていただけたりしますと、大変助かります。アドリブ不可と記載がない場合はアドリブが入ることもありますのでご注意ください。
 皆様のご参加、お待ちしております。

  • タンゴ祭りのハプニング完了
  • GM名文月
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月24日 20時55分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

サンティール・リアン(p3p000050)
雲雀
ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
ラデリ・マグノリア(p3p001706)
再び描き出す物語
十夜 蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
エルラ(p3p002895)
九本足のイカ
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
ライハ・ネーゼス(p3p004933)
トルバドール
フルート(p3p005162)
壊れた楽器

リプレイ

●逃げろや逃げろ
 うおのぼりがモンスター化して騒いでいるのを聞き、様子を見に来ていた村人達は広場へと戻ったが、そのままではパニックが起きてしまう可能性も十分ある。
 また、広場にいなくて何が起こっているのか知らないまま、という村人もいるだろう。
 まずは村人達に注意を呼びかけ、避難を促し、場合によっては建物の中で隠れているように指示して回る必要がありそうだ。
 そこで、たまたまタンゴ祭りに参加していたイレギュラーズ達の中から、『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)と『壊れた楽器』フルート(p3p005162)、『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)と 『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)でそれぞれペアを組み、この役目を担うことになった。
 互いにカバーすべきエリアが被らないよう、事前に簡単な打ち合わせも行う。
 結果、デイジー達は広場で村を入口側と奥側の2つに分け、入口側となるエリア全体を担当し、イーリン達は主に広場とそこに至る村の大通りを担当することになった。
 デイジーは愛馬であるニグラス8世の背にフルートと乗る。
 手綱はフルートに預け、村中を駆けながら村人達に呼びかけて回っていく。
 突然うおのぼりから襲われた場合に備え、榊神楽で回避しやすくしてある。
 フルートは手綱を操るだけでなく、超聴力を使って村人達の気配を探りつつ、うおのぼりへの警戒も怠らない。
「あっちにまだ人がいるっぽいねぇ」
 フルートが家族連れらしき村人達の声をキャッチしたらしく、ニグラス8世をそちらへと向かわせる。
 そこには6歳くらいの男の子を連れた夫婦の他、何人かの村人達が広場へと向かって歩いていた。
「妾たちはイレギュラーズじゃ! 空から恐ろしい化け物が来るのじゃ、疾く近くの家に避難するのじゃ!
 そこの男衆は近くの子供や老人を助けよ、化け物の対処は妾たちに任せるのじゃ!」
 デイジーは呼びかける際に、信仰蒐集によってカリスマを発揮し、村人達が指示に従いやすくするのも忘れない。
 デイジーに声をかけられ、先程聞こえてきた奇声が何だったのかを今理解した、という様子で慌てて村人達が動く。
 男性達は言われた通り、近くの老人や子供達の避難を手助けし、女性や子供達は急いで近くの家に入る。
 とは言え、祭りで出払っている家もあり、戸締まりされている家へは入れず、人がいる家を探しては逃げ込んでいた。
 それなりの大きさの村ではあるが顔見知りも多いようで、事情を聞くと皆急いで中に招き入れ、戸締まりの確認をしているらしいのが漏れ聞こえてくる。

 一方、イーリンはデイジー達との打ち合わせが終わるとすぐに指笛で愛馬、ラムレイを呼んで蜻蛉と共に乗ると広場へ急ぐ。
「たまの旅行なのに、ね。けれども、ええ、いいでしょう。全力で当たるだけよ」
 ラムレイを走らせながら、せっかくの旅行中に起きたハプニングを軽く嘆くイーリンだった。
 しかし、やるべきことは全力でこなす。
 蜻蛉は今回が初の依頼である。
 突発的な事件による騒動だったが、顔見知りのイーリンと組んでの行動なのもあってか、思ったより落ち着いて事態に対処できていた。
 ラムレイの背に乗りながら、逃げ遅れた村人がいないか確認し、うおのぼりが来ていないか空にも目を向ける。
 広場へ着くと、イーリンが凛々しく声を張り上げた。
「この場はローレットが預かった! 女子供は家に入り、窓に近づくな! 男は観光客を誘導し、広場より奥へ!」
 カリスマと礼儀作法のスキルにより、余計な騒ぎが起きることもなく、村人達は素直に従ってくれたようだ。
 もっとも、大半は悲鳴を上げてはいたが。
「司書さん…ええ女やわ。うちが男やったら、惚れてしもとったかも、ふふ」
 そんなイーリンを間近で見る蜻蛉がそう言うのも、不思議ではないだろう。

 村人達の多くは広場に集まっているようなので、逃げ遅れもそんなにいないだろう。
 だが、念のために避難誘導を担当した2組がチェックしながら、他メンバーがうおのぼりと戦っているであろう村の入口へと向かうのだった。

●ピチピチうおのぼり
 デイジー達が4人で村人の避難誘導を開始した直後、他のイレギュラーズ達も2人1組のペアを組み、他のペアが視界の端に入る程度の距離を保ちつつ、できるだけ広く散開した。
 こうすることで、できるだけ多くのうおのぼりを村の入口付近で食い止め、死角からの奇襲を極力防ぐ。
 『雲雀』サンティール・リアン(p3p000050)は 『夢色観光旅行』レスト・リゾート(p3p003959)とペアを組んでいる。
 村の入口正面に陣取ったのは、他メンバーが負傷した時に2人で回復をサポートするためだ。
「サティちゃん、一緒にがんばりましょうね~」
「おうともレスト! 僕たちのチームワーク、見せつけちゃうぞ!」
 どことなくのんびりした様子のレストに応え、サンティールが拳を振り上げる。
 サンティールが手足にくくりつけた鈴が、動く度に涼やかな音色を響かせていた。
 これに気を引かれたのか、近くの空中を泳いでいたうおのぼりが3匹近付いてくる。
「あらあら〜、悪い子にはお仕置きかしら〜」
 近付いてくる前に、レストが魔力放出で一気に2匹倒した。
「意外ともろいのね〜」
 レストがそう言うのも当然かもしれない。
 元が布だからか耐久力は低いようで、うおのぼりはレストの魔力放出を食らうと穴が開いてしまい、そのまま後ろを飛んでいた他のうおのぼりにも命中したのだった。
 倒されたうおのぼりはただの布に戻り、力なくグッタリした様子でそのままふわふわと落ちてくる。
 しかし、まだ1匹残っているのだ。
 サンティールは落ちてくるうおのぼりを無視し、皆を守りたいという強い想いでレイピアを抜く。
 そのまま、近付いてきたサンマっぽいうおのぼりに格闘術式を使って攻撃を仕掛ける。
 うおのぼりの牙を避け、レイピアがうおのぼりの体を切り裂いた。
 その瞬間、うおのぼりはただの布に戻ってその場にふわりと落ちてしまう。
 直前まで泳いだりビチビチと跳ねる動きをしたりと、サンティールに不快感を与えていたうおのぼり達だが、布に戻ると子供達が描いたらしい魚の可愛らしい顔をしていて可哀想になってくる。

 この様子なら、上手く攻撃が当たりさえすれば、イレギュラーズの敵ではなさそうだ。
 もっとも、一般人ではうおのぼりの攻撃を避けることはできないだろうし、攻撃も上手く当てられないだろう。
 うおのぼりは動くのだから。
「きぶんてんかんしようとおもったのに」
 大きな溜息を吐いた『信風の』ラデリ・マグノリア(p3p001706)と組んでいるのは『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)だ。
 村の入口付近から周囲へと広がっていったうおのぼりを探すため、空中を泳いでいる。
 ラデリは気を取り直してノリアを追いつつ、ノリアを見つけて向かっていくうおのぼりを見つけると魔力放出で狙って撃ち落とす。
「どどどどどうしよう、どうしよどうしよ……」
 そんなラデリの耳に少年のものらしい声が届いた。
 逃げ遅れた村の子供かと思い、声の方へ向かう。
「ち、違うんだ! 違うんだよ、僕はただ、桃の精霊が羨ましかっただけなんだ! 僕も、うおのぼりで村の皆と遊びたかっただけなんだ!
 まさかこんな風に暴走するなんて……うわああああんんん!」
 ラデリが声をかけようとすると、少年もラデリに気付いて慌てて何かを弁明するように言い、泣き出してしまった。
 しかも、ぼふんという音と白い煙を残して消えてしまう。
 詳しいことは分からないが、どうやら今の少年が今回の騒ぎの元凶らしい。
 桃の精霊が羨ましかった、と言っていたのと、消えてしまったことをあわせて考えると、彼も精霊なのかもしれない。
 ラデリは騒ぎを起こした何者かがいて、それを見つけたら八つ当たりしてやろうと考えていたが、余計にフラストレーションが溜まる結果となってしまったようだ。
 仕方なく、その全てをうおのぼり退治に注ぎ込むことにした。
「ノリア、派手にいこうか」
 ノリアに追いつくとそう宣言する。
 ただならぬ雰囲気を感じ取ったノリアは、ゴクリと喉を鳴らした。
「わたしは、海種ギルドAquariumの長、ノリア・ソーリアですの…! 魚なら、わたしと勝負ですの!」
 そして、うおのぼりを探すのではなく呼び集めようと名乗り口上を上げたのである。
 すると範囲内にいたうおのぼり、6匹程がノリアに向かって空中をすごい勢いで泳いできた。
 ノリアはラデリの近くへ向かいつつ、手に持った超大型小鉢でうなぎっぽいうおのぼりの口元を押さえつける。
「蒲焼きにして欲しいんですの…!?」
 マアナゴの幼生なのに、よくうなぎと間違われて悲しい思いをしているノリアにとって、うなぎは宿敵とも言える相手だ。
 ラデリは、ノリアめがけて集まってきたうおのぼりを地上から魔力放出で撃ち抜いていく。
 後で回復が必要になる可能性を考え、途中からはマギ・リボルバーを使った通常射撃で攻撃する。
 うなぎ以外は倒したが、うなぎはノリアに近すぎた。
 そこでノリアはうなぎを押さえつけたまま落下し、うなぎを地面に叩きつけるようにして倒す。
「危なかったですの……」
 深呼吸するノリアをラデリがヒールオーダーで回復させると、再びうおのぼりを探しに向かう。

 『九本足のイカ』エルラ(p3p002895)と組んでいるのは、『トルバドール』ライハ・ネーゼス(p3p004933)である。
「おぉ。これはなんという事か……。魚型の布が魔物化するとは。しかもこの数、かなり多いではないか。
 ……ともあれ、鎮圧に尽力せねばな。放置しては子らにとって悪夢となろう」
 ライハが詩のような言い回しでこぼしているが、まったくもってその通りである。
 エルラはギフト、小さな海で水泡を発生させ、空中を泳ぐひらめっぽいうおのぼりに組技で攻撃する。
 本来なら殺傷能力のない技だからか、一撃ではさすがに布に戻ってはくれない。
 ライハが榊神楽で支援する。
 ひらめがエルラに噛み付こうとし、牙は避けるが体が当たって少し痛い。
 ひらめは平べったいが、横に広いせいで当たってしまったのだろう。
 もう一度エルラが組み技で攻撃すると、ようやくひらめが意志を失い、ふわふわと地面に落ちていく。
 次のうおのぼりが向かってくる前に、とライハが勇壮のマーチでさらなる支援を行う。
 今度はタイとアンコウっぽいうおのぼりが向かってくるのが見えたため、エルラが多段牽制で足止めしつつライハの礼装武具の攻撃範囲内まで誘導する。
 ライハの攻撃が届く範囲にタイとアンコウが入ると、ライハが一気に攻撃してとどめを刺した。

 気付けば、半数程のうおのぼりが無力化され、地面でクシャクシャの布になっている。
 体当たりを食らうことはあっても、あからさまに危なそうな牙による攻撃は皆何とか避けることができていた。
 もしかしたら、元々がうおのぼりというお祝い用の布飾りだったせいで、空気抵抗がすごくて素早い動きがしづらい、というのも理由かもしれない。
 とにかく、順調に数を減らすことはできていた。

●くたびれてしまった、うおのぼり
 村の入口付近でサンティール達がうおのぼりと戦っている頃。
 村人達に避難を呼びかけて回っていたデイジーとフルートだったが、今にもイルカっぽいうおのぼりに襲われそうになっている女性を見付け、ニグラス8世から飛び降りていた。
 デイジーが女性をかばうようにうおのぼりとの間に入り、フルートは格闘スキルを使ってバリスタで殴りつける。
 巨大な弩に殴られたイルカは一撃でただの布に戻ったが、上空からイワシやサバといった青魚っぽいうおのぼりがこちらに向かってくるのが見える。
「足止めでもいいけど…別に倒しちゃってもいいんでしょ~?」
 デイジーが女性を逃がしている間に、フルートがそう言ってバリスタによる精密射撃を行い、2匹とも無力化させた。

 同じ頃、イーリンと蜻蛉の前にはオジサンっぽいうおのぼりが立ちふさがっていた。
「またえらい渋いの作ったんやねぇ……」
 蜻蛉が思わずそう評したのも頷けるくらい、子供がチョイスして作ったにしては渋い魚がモチーフになっている。
 騎乗戦闘スキルを使うイーリンが戦いやすいよう、蜻蛉がラムレイから下りた。
「悪いわねお姫様、少し荒れるわよ」
 イーリンが言い、茶目っ気たっぷりに蜻蛉に向かってウインクしてみせる。
 オジサンの後ろには、他にもフグやクエ、エイっぽいうおのぼりが見えているからだろう。
 どうにも、ここに集まってきているうおのぼりは王道から少し外れているような気もする。
 蜻蛉がミスティックロアを自らにかけ、イーリンもマギウス・スクト・アル=アジフでうおのぼりからの攻撃に備える。
 うおのぼりは近接攻撃しかできない。
 遠くから上手く狙えば、隙だらけの相手に攻撃できる。
「綺麗なものには毒があるんよ?」
 蜻蛉が太ももに装備していた呪符、月夜烏を取り出し、毒撃でオジサンを仕留める。
 ただの布に戻って落ちてくるオジサンは、何となく顔色が悪くなっているような気がした。
 イーリンが呪術でフグを無力化させると、蜻蛉が遠術でエイを仕留め、イーリンが再び呪術でクエを無力化させる。

 どちらも、入口付近で戦うイレギュラーズ達をすり抜けて来たうおのぼりを倒してしまうと、急いで入口付近へと戻る。
 が、戻った頃には戦闘は終わり、地面に落ちたうおのぼりを全員で手分けして回収しているところだった。
 そこで、デイジー達もそれぞれ村の中で倒してうおのぼりを回収しに行く。
 くたびれたうおのぼりだが、これらを集めて祭りを仕切り直そうというのだ。
 
●タンゴ祭りの再開
 戦闘が終わってしばらく後。
 村の広場の真ん中には、大きな大きなうおのぼりが風に揺れていた。
 村の人達とイレギュラーズ達が力を合わせ、破れたり切れたり穴が開いたりしたうおのぼりを仕立て直し、1つの大きなうおのぼりに作り替えたのだ。
 新しく顔を描いたのはサンティールだが、かなり可愛く仕上がっている。
 リアルなアナゴを描こうとしていたノリアは、主に女性陣から止められてしまったのだが、完成したうおのぼりを気に入った様子でニコニコしていた。
「ぐへへ、これで男の子達もちゃんと成長できるねぇ! でっかくなれ、っていう願いも込めれたし!」
 ノリアの隣で大きなうおのぼりを見上げ、嬉しそうに笑うフルートだが、その口元はしっかりとマフラーで隠されている。
 再開されたタンゴ祭りの会場のシンボル的存在になった大きなうおのぼりは、皆に囲まれて笑顔で泳いでいるようにも見える。
 うおのぼりの下では吟遊詩人であるライハが歌唱スキルを使って子供たちの成長を祝う陽気な調子の歌を歌い、サンティールがそれに合わせて手拍子を交えながら楽しげに踊っている。
 大人達も、吟遊詩人が村に来て祭りを盛り上げてくれる機会などなかなかない、とかなり喜んでくれていた。
 中には、演奏する曲をリクエストしたいという者もいて、ライハはこれを快く承諾した。
 まだ騒動の名残でまごまごしている子供も多いが、サンティールに手を引かれて踊りの輪に加わると、次第に笑顔になっていく。
「ね、たのしかった? 僕はみんなといっしょに冒険に挑めて、とってもたのしかった!」
 サンティールが満面の笑みを浮かべ、着物をたくし上げて踊る蜻蛉に声をかける。
「初めてのお仕事…お人に恵まれて、うちは幸せもんです」
 そう答える蜻蛉は、本当に嬉しそうだ。
 デイジーも負けじと舞踏スキルを使って見事なタンゴの踊りを披露している。
 村の子供達だけでなく、大人達も拍手喝采してデイジーと共に踊る。

 イーリンは踊りの輪からは少し離れた位置でラムレイを駆り、軍馬の障害物超えと称して場を盛り上げている。
 ラデリは再開直後こそ、広場の端で祭りを楽しむ人々の様子を見ていたが、尻尾をパタパタと楽しげに振ると自分も祭りの輪の中に入っていった。
 この後はきっと、ラデリも気分転換ができたはずだ。
 エルラはというと、村のご婦人達に囲まれていた。
 うおのぼりを仕立て直した際、慣れない手つきながらも、器用に4人分の作業をこなしていたことで興味を持たれたらしい。
 特に仕立て屋のおかみさんからの勧誘が激しかったようだ。
 レストはファミリアーでカラフルな鳥を呼び出し、紙吹雪を降らせて盛り上げている。
 子供たちが喜び、紙吹雪の中を駆け回る姿を見ているレストは、とても嬉しそうだ。
 そんなレストのところに、ラデリが見かけて声をかけようとすると消えてしまった謎の少年がやってきた。
「うおのぼり、元に戻してくれてありがとう。おかげで、やっと僕も皆と遊べそうだよ」
 申し訳なさそうに、少しはにかんだように笑うと踊っている子供達の輪の中に入っていった。
 まさかこの少年が事件の元凶だとは思わないレストだったが、ほんの少しだけ彼の言葉に違和感を感じたようで小さく首を傾げていた。

 こうして、イレギュラーズの活躍により、タンゴ祭りは無事に再開されて予定していた時間を少し過ぎる頃まで、大いに盛り上がったのだった。

成否

成功

MVP

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚

状態異常

なし

あとがき

 大変お疲れ様でした。
 今回は私、文月の担当しましたシナリオにご参加いただきありがとうございました。

 皆様のお陰で、今年のタンゴ祭りはいつもと違った趣の中、大いに盛り上がったようです。
 村人達も感謝していることでしょう。
 ありがとうございました。

 少しでも楽しんでいただけましたならば幸いです。
 またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。

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