PandoraPartyProject

シナリオ詳細

女王様率いる盗賊団

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●街で暴れる盗賊団
 幻想(レガド・イルシオン)、アーベントロート領。
 そこは、リーゼロッテ・アーベントロートを頂点に修められる幻想の北にある領地だ。
 しかしながら、トップたる彼女を始め貴族達は己の私欲の為だけに動き、市井のことなどまるで気に掛ける様子もない。
 その為、領民からローレットへと問題解決の依頼が来ることは少なくない。

 その領地内――。
 往来を小走りに行き交う者達。露店を開いて呼び込みを行う者。
 酒場の準備を行う者、建物を建てている者、楽しそうに駆け回る子供達……。
 たくさんの人々がそれぞれの日々を精一杯生きている。
 しかし、そんな日常の光景はあっさりと崩されてしまう。
「オーッホッホッホッ」
 大きな胸を見せ付けるように、ボンデージ衣装の女王様を思わせる覆面を被った女が歩み寄ってくる。
 その後ろに人相の悪いごろつきどもを従えており、ナイフや斧、弓を手にしていた。
「「「はい、姐さん!」」」
「姐さんはやめな、団長とお呼び!」
 ピシッ!
 しならせた鞭で地面を強く叩きつける女王様……もとい、団長。
「「「はい、あね……団長!」」」
 それに、ごろつき達は一斉に頭を垂れる。
「さあ、ありったけ奪っておいで!」
「「「はい、姐さん!!」」」
 地面で鞭を叩きつけると、ごろつきどもはけたけた笑いながら、街の住民に襲い掛かっていく。
 ある者は道を行く者や子供達からも直接ひったくりを行い、ある者は民家や露店、酒場に押し入って金目の物を奪い取る。
 文句を言ったり抵抗したりする者には、そいつらは有無を言わさず手にする凶器で領民達を傷つけていた。
 領民からすれば、たまったものではない。
 領主、リーゼロッテは理不尽な状況にある住民を、決して助けてはくれないのだ。
 自分達の身を守る為には、自分達で動くしかない。
 力ない彼らが頼るは、ギルド『ローレット』のみ。
 この地に来訪してきた特異運命座標(イレギュラーズ)に、領民達はすがる思いで盗賊団の討伐を願うのである……。

●盗賊団討伐依頼
 無辜なる混沌(フーリッシュ・ケイオス)。
 この地にいきなり呼び起こされた来訪者達、特異運命座標。
 彼らはこの混沌の地で生きる為、そして、自分が何をなすべきかを探しながら日々を過ごす。

 幻想にあるギルド『ローレット』。
 ある日、依頼を求めてローレットを訪れた冒険者達。
 そんな彼らの姿を認め、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が慌てて駆け寄ってくる。
「お手隙でしたら、少しお話を聞いて欲しいのですよ」
 ユリーカが言うには、幻想の北、アーベントロート領に最近、盗賊団の一団が現われ、住民を襲って追いはぎ、強盗を働いているのだという。
 住民達の証言によれば、盗賊団は女団長クラリッサ以下、ごろつきの男性が15名。
 女王様を思わせる団長は鞭を手に、ごろつきどもは5人ずつ斧、ナイフ、弓を所持しており、バラバラに行動して金目の物を奪い取ろうとする。
「数が多いのがとても厄介な相手なのです……」
 できるだけ、相手が散開する前に囲んで叩いていきたいが、相手が現われてから駆けつけては遅い。
「ですので、先に領民の皆さんに紛れて、盗賊団が現れるまで待っていて欲しいのです」
 日常生活を過ごす領民を演じつつ敵の襲来を待ち、盗賊団が現われたらそのまま相手を迎え撃ちたい。
 相手の襲撃前に領民達と交流しておくと、敵の襲撃時の避難、事後処理などでも迅速な立ち回りができる可能性も高い。
「領民の皆さんの為に、手早く盗賊団を倒して欲しいのです……」
 意気揚々と言葉を返す冒険者達に、ユリーカは表情を明るくして。
「はい! 皆さんも気をつけて欲しいのです!」
 翼をぱたぱたさせつつ、彼女は笑顔を見せるのだった。

GMコメント

はじめましての方も、どこかでお会いした事のある方もこんにちは。
MSのなちゅいと申します。

●目的
盗賊団の討伐。

●敵……盗賊団一味。全員が人間種(カオスシード)です。
○女団長……クラリッサ
覆面を被った女王様風味の女です。
鞭を手に、以下のスキルを使用します。

・しばき倒し(物近列)
・締め付け(物中単・足止)
・スナイパーアイ(付自単)

○団員……15人。
いずれも2~30代男性、人相が悪いごろつきどもです。
個々の力は冒険者の皆様よりも格下です。
5人が斧、5人がナイフ、5人が弓を所持しています。

●状況
幻想、アーベントロート領のメインストリートで、領民に紛れて盗賊団の襲来をお待ち願います。
その間、領民と交流しつつ、人々に避難方法など話しておくとよいでしょう。
メインストリートはそれなりに広く、領民がいなくなればある程度広いスペースで立ち回ることができます。
事後は領民と一緒に、襲撃によって荒れた街を手直しするなどするとよいでしょう。

●情報確度
A。想定外の事態(オープニングとこの補足情報に記されていない事)は絶対に起きません。

それでは、よろしくお願いいたします。

  • 女王様率いる盗賊団完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月17日 21時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

グドルフ・ボイデル(p3p000694)
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
セシリア・アーデット(p3p002242)
治癒士
マリナ(p3p003552)
マリンエクスプローラー
アベル(p3p003719)
失楽園
O. R. C.(p3p004042)
豚か?オークか?いやORCだ!
Morgux(p3p004514)
暴牛
ロズウェル・ストライド(p3p004564)
蒼壁

リプレイ

●襲撃に備えて
 幻想(レガド・イルシオン)、アーベントロート領。
 普段と変わらずに活気付くメインストリートに、ちらほらとローレットの依頼を受けた冒険者達の姿があった。
「盗賊退治か……。う~ん、大分皆被害を受けてるみたいだね……」
 異世界からこの地を訪れた、『治癒士』セシリア・アーデット(p3p002242)が街を見回す。
 包帯を巻く男性、半壊したまま営業を行う露店、堅く鍵を締めている民家……。
「……領主様も対応してくれてたら、こんな事にはならないのだろうけど……」
 元の世界においても、治癒士として活動していたセシリアは、すでに盗賊の被害による爪跡があちらこちらに見られる街にやや顔をしかめる。
「……このままほっておくわけには行かないし、これ以上被害が広がる前に頑張ろうね!」
 セシリアの言葉に、『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)が眠たげな視線を向けたまま頷いて。
「賊は潰します、絶対にです。賊と付くものに碌なものはねーです」
「多少は沈静化するかと思いましたが……。盗賊団と言っても一纏めではない、か」
 傷を押して参加していた『蒼壁』ロズウェル・ストライド(p3p004564)。それも、騎士としてあるべきだと考えてゆえのことなのだろう。
「ともあれ、私達のすべき事に変わりはありませんね」
 ――賊を倒し、領民を救う。
 その為に、冒険者達は動き出す。

 どこから現れるか分からぬ盗賊の対策の為、冒険者達はこの地の領民達と交流を行う。
 銀色の長髪を揺らす『青き戦士』アルテミア・フィルティス(p3p001981)とロズウェルは、領民の代表とコンタクトをとる。
「意図的に殺すことはしないけれど、手加減もできないわ」
 自分達の意向を伝えたアルテミアは、次なる盗賊の襲来時における避難方法について打ち合わせする。
「いざの言う時の際、誘導役を担ってくれる方を選別したいのです」
 できれば、領民を街の外へ。それが難しければ、戦闘区域から離脱して建物の中に隠れるなどできれば。
 ロズウェルはカリスマを活かし、礼儀作法で好印象を与えるよう意識しつつ希望を出す。
 多数の人を避難させるのはなかなか難しいが、代表はできる限りの配慮を考えるとのこと。
 また、アルテミアは戦い後の破損被害などのアフターケアについても、話していたようだ。
 マリナはあちらこちらの人々に、隠れやすい場所、街の外に出ることができる抜け道などを聞く。
 さらに、盗賊が狙いそうな金目の物を多く扱う店、所持する民家を把握し、敵を囲めそうな広い場所も合わせて聞き、迎撃に備える。
(出来る限り、町の外に逃げててくれると嬉しいね)
 顔に装着したガスマスクが目を引く『破片作り』アベル(p3p003719)も下準備に当たるが、その姿は彼のギフトによる分身だ。
(生物に触れられると消えちまうから、気をつけないとな)
 アベル自身は領民達とはほぼ接触せず、建物の上に身を隠していた。
 他にも、オークを思わせる風貌のブルーブラッド、『豚か?オークか?いやORCだ!』O. R. C.(p3p004042)は、遮蔽板代わりにとメインストリートを歩いて集めた廃材で看板を改造していた。
 また、O. R. C.は廃材を集める際、連れていた犬にメインストリート周辺の地理を覚えさせ、領民の避難に一役買ってもらおうと考えていたようだ。
 その遮蔽板を作るのを、『山賊教官』グドルフ・ボイデル(p3p000694)は手助けする。
 賊かと思わせる風貌だが、彼は領民ににやけるように笑って。
「おめえさんらは運がいい。この凄腕の傭兵、グドルフさまがいるんだからな」
 自慢話によって、グドルフは自らの腕前をアピールしてみせる。
 強面の彼だが、領民達も冒険者らに頼もしさを覚えさせるきっかけにはなったようだ。
 少し離れた場所では、赤髪の少年を思わせる容姿をした『暴牛』Morgux(p3p004514)が仲間の作ったバリケードなどの場所を伝え、スムーズに避難できるよう努める。
 その近場でセシリアが会話していた相手は、井戸端会議していたおば様方だ。
 先ほど代表と話してきたロズウェルらから、避難方針などを聞いていたセシリア。
 彼女が目に付けた主婦の情報ネットワークは広く、伝達は素早い。
 セシリアはさらにできる範囲で、店の人々にも避難について地道に伝えていたようだ。
 程なく、街に響く無数の足音。
「オーッホッホッホッ」
 そして、高笑いする女性の声が街に響き渡るのである。

●迅速な避難と抑えを!
 盗賊団を率いる覆面、ボンデージ衣装の女。
 そいつは大きな胸を見せつけながら、街を一通り見回して。
「さ、ありったけ奪うよ」
「「「はい、姐さん!」」」
 ごろつきのような団員と共に、女王様、もとい団長は通りを走る。
(にしても、変だね)
 街に違和感を覚えた団長は顎に手を当てて。
 逃げ出す領民達は、さほど怯える様子が見られない。
「速やかに避難を!!」
 よく聞くと、街には誰かかしらの声が響いている。
 それは、アルテミアが避難開始の号令を行ったことで、大声を響かせる度胸の座った領民数名だった。
 彼らの力を借り、アルテミアは避難を一気に進めていた。
「ヘッ。お出でなすったか」
 前方から走ってくる賊の一団に対しつつ、グドルフは周囲の人々に街からの退避、もしくは民家への避難を促していた。
 そばでマリナが人々に示し合わせたとおりに、街からの脱出を勧告する。セシリアは彼らに落ち着くよう声がけを忘れない。
 ロズウェルもメインストリート沿いの露店の手伝いをしていたが、音の変化で敵襲を察して。
 ――街を守り、民達を守る。
「無論、成し遂げましょう」
 彼は一言誓い、武器を手にとって襲撃の場へと駆けつけていった。

 15人ほどいる盗賊団の周りへと、領民に紛れていた冒険者達が次々に集まる。
「なんで、覆面被ってるんでしょう……。顔見られるの恥ずかしいくらい不細工なんです?」
「なんですって……!?」
 マリナが挑発して、相手の気を引く。
 ただ、その前に下卑た笑いを浮かべた団員が近づいてくる。
 やや恐怖を覚えながらも、マリナは毅然と立ち向かっていた。
 Morguxも相手の退路を断つように、団員の前に立つ。
 最悪、逃げ遅れた領民がいたなら庇う対応もと考えたMorguxだったが、思った以上に領民の避難はスムーズに進んでいる。
 その立役者となっていたのは、アルテミア、セシリア、そして、ロズウェル。
 多数の領民は、事前の予定通りに。O. R. C.の犬も先導しており、一緒に街の外へ向かう。
 大きな混乱がないのは、ある程度事前に説明できていたこともある。主婦の声は強かったと言うべきか。
 すでにメインストリートに出るのが危険と判断した者は民家に引き篭もり、盗賊団が去るのをじっと待っている。
 彼らは冒険者一行の勝利も信じ、戦いの経緯も見守る形だ。
(先に謝りはしましたが……)
 ただ、家屋や街路などの破損は起こり、街への被害は避けられないだろうと、ロズウェルは考えていた。
 とはいえ、状況としては、ある程度広い場所でうまく戦える状況を整えてはいる。
 仲間達のこうした手腕にアベルは感嘆しながらも、じっと建物の上から狙撃のタイミングをはかっていた。
「ヘヘ……、こんなに男を(戦闘員として)侍らすなんて、女王ってヤツはとんでもねぇ(戦闘が)好きモノだなぁ」
 その間、にやけた笑いを浮かべるO. R. C. が団長の気を引いていた。
「さては、昼夜を問わず日頃から(戦闘訓練を)ヤってんな?」
 所々、言葉足らずなこともあってか、彼の言葉は団長を激昂させて。
「きーっ、この不埒な豚男をやっておしまい!」
 覆面で隠れてはいたが、顔を真っ赤にさせつつ団長が指示を飛ばす。
「「「はい、姐さん!!」」」
 すると、ごろつきどもは汚らしい笑い共に冒険者達へと襲い掛かってくるのだった。

●盗賊団をぶっ潰せ!
 盗賊団の構成員の数はこちらの倍はあるが、冒険者達は相手を取り囲みながら迎え撃とうとする。
「私みたいな小娘一人捻られないなら、この盗賊団も大した事ねーですね」
 マリナが気を引く中、飛び出してきたごろつきどもはナイフ、斧を振り回して襲い掛かってくる。
 敵は数の優位もあって慢心していたのか、我先にと散開して冒険者を散らそうとしていた。
「領民がいなくなったなら、奪い放題だよ!」
 鞭で地面を叩きつける団長もこの状況を好機と見ている。冒険者さえ倒せば、金目のものは周囲に転がっているのだから。
 だが、人的被害を最大限に考慮した冒険者達がそう簡単に街を荒らさせるわけがない。
 ギアをチェンジし、アルテミアはごろつきどもの奥へと飛び込む。
 狙うは、布陣中央に固まる弓使い達。
 アルテミアは地を這うような低姿勢で一気に相手の懐に潜り込み、構えた剣を振り上げて相手の体を一刀両断していく。
 続くマリナも、固まる弓使いへと無数の魔力の弾丸を撃ち放つ。
 まるでガトリングガンを思わせる弾幕に射抜かれ、ごろつき達は叫び、苦しむ。
「おらあ! 雑魚どもが、調子に乗るんじゃねえぞ!」
 グドルフもまた、ナイフ、斧を持つごろつきの斬撃を受けながらも、弓を携える敵に我流の喧嘩殺法を仕掛け、力任せに片手斧を振るっていく。
 領民の避難がうまく進んだこともあり、グドルフは目の前の敵の殲滅に集中していた。
 近場のナイフ持ちがアベルに切りかかっていたが、そこにいたのは生物が触れるだけで消滅する彼の分身。
「なっ……」
 いきなり相手が消えれば、どこに消えたのかと戸惑うのが普通だ。
 アベルの想定とは違う形だったが、消えた分身は相手の不意を十分に引く。
「俺のライフルでの【精密射撃】とどっちが強い勝負だね?」
 狡賢い手を使うのに、アベルは別段抵抗などない。ライフルで確実に弓使いを射抜いていくだけだ。
「ぐあっ!」
「がああっ!!」
 狙撃され、倒れるごろつきども。
 どこから飛んで来るか分からぬ銃弾に、盗賊団は怯えていた。
 そこに飛び込むロズウェルが相手のみを射程に捉える状況を整え、グレートソードに雷を纏わせた一突きが団員どもを蹴散らしてしまう。
 ただ、盗賊は人を傷つけることに躊躇のない連中だ。
 比較的フリーになっている斧、ナイフ持ちが直接切りかかってくることで、鮮血を飛ばす冒険者達も少なくない。
 セシリアはそんな仲間達の為に、SPD……スペシャル・ポーション・ディフェンス、回復効果のある薬を振り撒いて治療に当たる。
 その対象は、主に団長を抑えるO. R. C. へと向いていた。
「くっ、この……!」
「俺にも(鞭技の冴えを)楽しませてくれや!」
 相変わらず、言葉が足りないのはさておき。
 鞭の範囲が思った以上に広いこともあり、彼は仲間達がごろつきの数を減らす間は女王様然とする敵に向き、相手をブロックし続ける。
「クク……、少しは歯応えがありそうじゃねぇか」
 その間に、Morguxは猛然と敵に攻め入っていた。
 前線に出れば、どうしても敵の攻撃は集中する。
「雑魚の攻撃は避けるまでもねぇ」
 予めそれを考慮していたMorguxは、再生能力を持つクラスでこの作戦に臨んでいた。
 さらに、彼は時折、即座に反撃も繰り出す。
 己の身を内功術で強化した彼は敵に近づいて攻撃に集中し、渾身の力で「モル・グリシア」を叩きつけた。
 瞬く間に、弓使いが全員地を這う。
「ちっ……」
 団員のふがいなさに、盗賊団団長は舌打ちしてしまうのである。

 依然、O. R. C.が団長を抑え続ける中、弓使いがいなくなったことで、Morguxが団長へと近づいてくる。
「お前が盗賊のボスか……寒くねぇか、その格好?」
「何だい、あんたは」
「防御が薄そうだが、大丈夫か?」
 相手は顔を真っ赤にしつつ、しならせた鞭を叩きつけてくる。
 強かに打ちつけられる鞭にも、彼は笑ってみせて。
「良いぜ、お前。そんじゃあ……遠慮無く行くぜ」
 Morguxはグレートソードを黒炎で包み込み、それで相手の体を斬りつける。
 初撃は敵も抵抗して見せたが、黒煙は相手の視界を防ぐ効果がある。
 Morguxはそれを狙い、さらに攻め込んで。
「俺の為に少しは粘れよ?」
「小癪な……」
 キリッと歯を鳴らす団長。ただ、その頬には汗が流れ落ちる。
「女王様ねぇ……。イイ女だってのに、なんだか趣味が悪いね?」
 そんな団長の姿を遠方から見ていたアベルは深呼吸を挟みつつ、ライフルを構えた。
 放たれる弾丸は細身であろうと筋肉質であろうと関係なく、団員を頭上からしつこく射抜いていく。
 そうしたアベルの援護射撃に助けられながらも、グドルフは斧持ち目掛けて自らのハンドアックスを薙ぎ払う。
 血飛沫を上げ、崩れ落ちるごろつき。
 グドルフは最後までそれを確認することなく、次のナイフ持ちへと刃を差し向けていた。
 団員の討伐は順調に進む。
 所詮は烏合の衆といったところか。連携もせずに攻めくる相手はなんとも組みやすい。
 序盤は混戦もあって、魔力の放出や近距離用術式で応戦していたマリナ。
 うまく、Morguxが団長を抑えていることもあり、マリナは魔力を周囲に放って団員の各個撃破を目指す。
 O. R. C.もひとまず雑魚散らしと考えたらしく、体躯を生かしたスープレックスで相手を地面に沈めて行く。
 セシリアは終始、回復に徹する。
 雑魚とはいえ、盗賊の攻撃は痛い。油断していれば仲間が倒れる可能性は十分にあった為、セシリアは時に治癒魔術の発動によって癒しに当たっていたようだ。
 いつの間にか、数の利がなくなった盗賊団。倒れる仲間も増えてきたことから、逃げに転じる者も現れる。
 捨て身の攻撃でロズウェルが正面からグレートソードを叩き込んでナイフ持ちを昏倒させると、彼は続けざまに気勢の衰えた団員達へと呼びかける。
「投降する者がいるなら、命までは取らない様に進言しても構いませんよ」
「「ひっ、ひいっ!!」」
 2人がこの場から逃げ出そうとしているのに、マリナは気付いて。
「おっと、団長さん。お宅の子が逃げるみたいですけど?」
「何やってんだい、この馬鹿ども!」
「「はい、姐さん!」」
 こんな状況でも、団長には逆らえぬ団員達は身を硬直させて返事する。
 そこへ、アルテミアが懐に潜りこんでロングソードを振り下ろし、一刀の元に切り伏せてしまう。
 団長も決して弱い相手ではないが、従えたごろつきどもが悪すぎたというべきか。
 気付けば全員が倒れているのに苛立つ団長へ、O. R. C. が迫る。
「舐めんじゃないよ!」
 強かにO. R. C. の体を鞭が叩きつけ、その血肉が僅かに飛ぶが、彼はさほど気にすることなく。
「鞭なんてちょろいぜ、本物の絞め上げを味わいな!」
 組み付いた彼は、団長の体を直接組技で押さえ込む。
 さらに、Morguxが仕掛ける。
 敵は相手をしばき倒そうと鞭を叩きつけてくるが、Morguxは止まらない。
「ハハハッ! 良い鞭してんじゃねぇかッ!」
 見れば、相手の視界を暗闇が覆っている。それもあって、彼は全力で『モル・グリシア』で相手の体を切り伏せていった。
「あ、ううっ……」
 決着はあっけなく。
 団長は一声呻いて崩れ落ちていったのである。

●街の片づけを
 盗賊団を捕らえた冒険者達。
 その最中、グドルフは団長の女性の顔が気になったようで。
「そのツラ拝ませてもらうぜ。もしかしたら、知ってる顔かもしれねえからな」
 彼は縛りつけた女性団長の覆面を取り去ってしまう。
「……なんだい」
 露わになったのは、整った顔立ちの女性。
 どうやら、グドルフが知っている顔ではなかったようだ。

 その後、街の人が戻ってきてから、一行は片付けを行うこととなる。
 ここでもメンバー達は領民達と協力し合い、事後処理へと当たっていく。
 避難中に怪我した人はいないかと、セシリアは自身のギフトの力『診察眼』で相手を診つつ、救急箱を使って治療に当たる。
 多くは前回襲撃分も含めて荒らされた街を少しでも修復すべく、動いていく。
 ロズウェルは自らの怪我を気にすることなく資材の運搬に当たり、マリナもまた軽い物を運び、領民の手助けを行う。
「申し訳ねーです。もうちょっと上手く戦えれば、壊れずに済んだかもです」
 ただ、マリナのその気遣いが領民には嬉しかったようだ。
「おらあ、てめえら。キリキリ働きやがれ! 自分が壊したモンは自分で直すんだよ!」
 グドルフは、盗賊団に事後処理へと参加させていた。
 かなり不満げにしてはいたが、団長さえしっかりと目をつけていれば。
「お前達もきびきび働くんだよ!」
「「「はい、姐さん!!」」」
 アルテミアは彼らが逃走しないようしっかり監視し、自身が破壊した物の修復を行わせていたようだ。
 ある程度作業を進めたところで、空腹を覚えたO. R. C.が仲間に呼びかける。
「この町にあんなら、焼肉屋にでも行くか」
 店は、領民が紹介してくれる。
 もっとも、O. R. C.に接するのは男性だけのようだったが。
「代金は色つけとくぜ」
 それでも、彼は街の復興費用になるようにと、見た目どおり太っ腹に豪語して見せるのだった。

成否

大成功

MVP

セシリア・アーデット(p3p002242)
治癒士

状態異常

なし

あとがき

盗賊団討伐、お疲れ様でした。
皆様との交流、活躍によって、
領民達も更なる被害に見舞われずに済みました。

避難において最も効果ある対策を取っていた貴方に、MVPをお送りさせていただきます。

今回は参加していただき、
本当にありがとうございました!

PAGETOPPAGEBOTTOM