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シナリオ詳細

再現性東京2010:夜鬼が来る!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●密やかな夜に迫る
 練達、再現性東京――。
 東京という異世界の都市を模したこの地に、〈夜妖〉と呼ばれる異形が跋扈するようになった。
 彼らは、どこから来た何者なのか?
 悪性怪異として蔓延り、跳梁する。
 今宵もまた、新たな獲物を狙っている。

「はぁ、はぁ、はぁっ……」

 その日の夜は、おかしかった。
 下校中に、妙な気配を感じた彼女は背後に迫る影に不審を感じていた。
 勘違かもしれない、そんなふうに思っていたが、確かについてきている。
 振り切ってしまおうと走り出したものの、いつもの帰り道は人の気配が消え失せており、迷路のような異界となっていた。

「どうして、こんな……」

 女子生徒の戸惑いは大きかった。
 いつもと同じ、いつもどおりの帰り道のはず。
 なのに、何故……?
 月は紅く染まり、空は不気味な雲に覆われている。
 住宅街は、まるで切り取られた影絵のよう。
 どこまでも希薄な現実感。されど、間違いなく彼女はそこにいる。
 そして見上げた空には――。

「ギギギギギギギギッ!!」

 コウモリの羽を背に生やした、黒い影。
 のっぺらぼうのような無貌の顔と、黒く枯れ枝のような手足を持つ、悪魔のごとき姿の夜殀の群れであった。

「きゃああああああっ!?」

 羽音を立てて女子生徒に群がり、夜の闇に連れ去っていった――。

●囚われた少女たちを救え!!
「<夜殀>が現われました」

 集まった生徒たちに対し、音呂木・ひよのが告げた。
 再現性東京東部、再現性常磐線沿いの近くの市街地で年頃の女子生徒が立て続けに行方知れずになっているという。
 表向きには、家出や事件として処理されている。

「近隣の調査と、霊視の結果……近辺には数匹の“夜鬼”が出現したものと思われます」

 ひよのは言う。
 夜鬼とは、コウモリのような羽を持ち、のっぺりとした顔に牛のような角を持つ夜殀の一種だ。

「一説には、夢の世界と現実の世界の境界を行き来し、戯れに人を捕らえて弄ぶなんて言われています。現実の世界に干渉する際には、人間をその境界に引きずり込むとも」

 つまり、連れ去られた女子生徒たちは、夢と現実の間に引き込まれている可能性がある。

「現実世界を捜索しても見つからないのであれば……境界に連れて行かれたのかもしれません」

 いわゆる結界――。
 界を結んで、空間領域を展開するのだろう。

「再現性東京の東部地域……。その住宅街で行方不明事件が集中しています。おそらくは、その近辺に彼らの巣があるのでしょう」

 結界を打ち破り、夜鬼の手から女子生徒たちを救い出せるのは、ここに集った君たちだけだ。

GMコメント

■このシナリオについて
 皆さんこんちわ、解谷アキラです。
 今回は、再現性東京で<夜殀>を退治するシナリオです。
 夜殀“夜鬼”の潜む結界を探り出し、さらわれた女子生徒たちを助けましょう。

▼夜鬼
 コウモリのような羽を持ち、飛翔能力を有しています。
 現実世界と爪の世界の境界を往来すると言われており、その境界に拠点を持っており、周囲を異界化させて自分たちのテリトリーに引き込みます。
 ひよのの報告では、行方知れずになった女子生徒たちが頻出する再現性東京の東部に出現し、そこに救っているものと思われます。群れの規模は7~8匹程度と予想されます。
 武器は爪や尻尾による格闘ですが、飛行能力に対処する必要はあります。

▼結界と夜鬼の巣
 現実世界の境界にあると思われ、これを捜索して結界を破って潜入する方法が必要となります。
 それほど高度な魔法が使われているわけではなさそうですが、何らかの方法で結界を破る、あるいは侵入する必要があります。

・結界の破り方
 教会の場所を特定し、空間や時空に作用するような能力、スキルなどで怪しい場所を特定して破壊する、など。
・結界への侵入
 一般の女子生徒のふりをしてさらわれ、結界内へ侵入する、など。
・その他
 思いつくものがあれば自由に。

▼さらわれた女子生徒
 この近辺では、4人がさらわれたと推測されています。

 それでは、奮って参加してくださいませ。

  • 再現性東京2010:夜鬼が来る!!完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年11月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
不遜の魔王
主人=公(p3p000578)
ハム子
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)
無銘クズ
酒匂 迅子(p3p008888)
ゴーストオブお正月島
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール

リプレイ

●夜の恐怖
 黄昏時に染まった都会の様相が、夜が近づくに連れ別の顔を見せ始める。
 再現性東京での行方不明事件は多い。
 年頃の女の子が失踪する理由は、家出がもっとも多く、その八割ほどが捜索から一週間から長くて一ヶ月ほどで姿を見せるという。
 しかし、残り二割は何らかの事件に巻き込まれてしまうのか、姿を見せることはない――。
 都会の闇が、彼女たちを飲み込んでしまうのか?

「夜鬼? ……夜のゴーントさんですか」
「――もしくはナイト・ゴーント。攫った者を擽るのか蛆虫蔓延る谷に落とすのか。行方が気に触る無貌。兎角――枝分かれた縁だ。物語として認識して魅せよう」

 『旅人自称者』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)と『果ての絶壁』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)は、この再現性東京に出現した夜鬼について推測する。
 夜のゴーント、あるいはナイトゴーント。
 とある作家が、夢の世界で見たものを作品中に登場させたことから認知される。
 夢見る者のみが到れるという幻夢境と覚醒の世界にも姿を見せ、領域を越えようとする者を上空から襲って抱え上げ、空から落とすという。

「Nyahaha――貴様の手を借りるのは癪だが、野良夜鬼どもの解析を頼みたい。報酬は私の『今後の混沌とした展開』だ。約束しよう」

 オラボナが呼び寄せたのは、『N』という人物だ。
 “一般人”と自称しているが、そうではないのは誰もが承知している。

「夜鬼ねえ。時々ボクの眷属扱いされるけど、そんなわけないんだよ。詳しい生態はこの辺を参考にすると良いかな?」

 『N』が差し出したのは、一冊の古びた雑誌だった。
 いわゆるパルプ・マガジンである。ずいぶん年代物だ。

「貴重なものだから、大切に使ってほしいなぁ」

 『N』が言うには、例の幻想怪奇作家が書き残した体験談を元にした小説が載っているのだという。

「嫌な奴でも『人間』を利用すべきだろうよ。Nyahahahaha!!!」

 この古びたパルプ・マガジンに掲載された三文小説が発するものと同じノイズを感じ取れたなら、そこに手がかりがある、という判断を下せる。
 その準備が進む中で、イレギュラーズたちの作戦が立てられていく。

「囮役ならボクもいけるよ」

 まず、名乗りを上げたのは『ハム子』主人=公(p3p000578)である。
 男女二種のアバターを持つ公は、携帯ゲーム機を操作することで、女性アバターに切り替えられる。

「さらわれた子たちがまだ無事でいるといいけど……。早く見つけてあげなくちゃね」

 携帯ゲーム機から発せられた光に包まれると、公の姿はあっと今に女子生徒へと変わっていった。
 ついさっきまで男子だったとは思えぬ愛らしさである。いやむしろ『男子だったからいいんじゃないか?』と、そのように思う輩が出てきてもおかしくはない。

「こっちの姿なら女子学生そのものだしね」

 囮役として、十分に可愛らしい女子生徒の出来上がりだ。
 公のように囮役を買ってでたのは、他にもいる。
 イレギュラーズたちも、女子生徒をさらうという不埒な夜殀を放っておくわけにはいかな。

「夜鬼! よく分からないけどさらわれた人たちを助けるぜ!」

 『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)は、女子高生だけにその役割にぴったりであった。

「ということで会長はまずさらわれるよ! “じょしこーせー”だからね!!」

 羽衣教会の会長と自称しているが、この再現性東京にやってきて制服をまとえば、完全無欠の女子高生である。
 どこかさらわれるのを期待しているような感もあるが、それだけやる気に満ち溢れているのだろう。

「不安だよね、きっと怖い思いしてるよね、まだ無事で居てくれるといいんだけど……」

 『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)も、さらわれた女子生徒を救出するため、希望ヶ丘学園の制服に袖を通した。
 バッグに鈴をつけ、ラケットバッグを抱えるとテニス部所属の女子生徒に見えるかもしれない。
 しかし、そのラケットバッグには、弓と矢が忍ばせてある。
 茄子子、公、クルルの3人が囮となって夜鬼が出現するというポイントを、下校する女子生徒として歩く。

●尾行する者たち
「つまりナイトゴーントってわけかよ。なんだってそんなのがここに来てのかねー」

 『ゴーストオブお正月島』酒匂 迅子(p3p008888)の吐く息には、アルコールの臭気がある。
 彼女が囮役から除外されたのは、このためであった。
 年がら年中、屠蘇散をかっ喰らって酒の匂いをさせていては、さすがに女子生徒の振りは無理がある。染み付いた匂いは、戦場の硝煙の匂いと同じで落ちないものだ。
 よって、囮役の3人を尾行する側に回っている。

「うら若き女子生徒をさらう鬼! なんとハレンチな! 許せませんな!」

 そして、ともに尾行する『良い夢見ろよ!』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)も、夜鬼に憤っていた。

「しからば吾輩は追跡側ですな。追跡してる事が鬼にばれないように吾輩も女子生徒な格好をしておきますかな!」

 ヘルメット姿でぶつぶつ呟きながら女子生徒の制服をまとって3人の少女を尾行する姿は、圧倒的な不審者といえた。
 そのうえ、あわよくば女子高生を助け出し「すっごーい! 抱いて!」という都合のよい妄想を全開にしており、あやしげなオーラが周囲にダダ流れてしまっている。
 しかし、ジョーイもまた女子生徒の身を案じる正義のイレギュラーズなのだ。
 「これなら吾輩もさらわれる可能性がワンチャン?」という自己犠牲精神があるがゆえ、彼は正義の側にとどまっているといえるだろう。ムッツリなレガシーゼロでも、か弱い少女たちを救いたいという気持ちさえ持っていれば、問題はないのである。

「ところで夜鬼は女子生徒をさらってどうするのでしょう? 彼らもぱんつ目当てでさらうんですかね」

 同じく、『騎士の忠節』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)も囮役のふたりから離れて様子をうかがっている。
 ぱんつを盗むためにさらう……事実だとしたら、まさしく変態の所業である。
 まっさきにそんな動機を類推するアルヴァはひょっすると問題のある性癖を抱えているのかもしれない。
 だが、今は夜鬼にさらわれた女子生徒を救出するという大義のために動いている。誰が彼を責められようか。

「今日の授業アレだったよね! ちょーマジやばって感じのアレだったよね!」
「ほんと、キモい? よねー」
「この辺、不審者も出るって言うし、気をつけないとねー」

 3人とも、歩きながら女子生徒風な自然な会話を心がけている。
 尾行して後詰めに回ってくれている仲間たちを信じ、今は無防備を装う。

「……あれ?」

 気づいたのは、クルルだった。
 夜空に浮かぶ月が、血に塗れたように紅い。
 ネオンを移すビルの影も、まるで切り絵のように現実感が喪われていく。
 見上げた月に、悪魔のようなシルエットが映し出された。

 夜鬼だ、夜鬼が来る――!

「キキキィ!」

 耳障りな鳴き声を上げ、コウモリの翼を羽ばたかせて夜鬼が来る。
 囮となった3人を取り囲むように羽音が迫り、夜空に連れ去ろうと群がった。

(今は、見守りませんと……)

 これが一般の女子生徒なら、今すぐにでも飛び出しているところであるが、ヘイゼルは彼女たちが連れ去られていくのを見守っている。
 囮となった3人が連れて行かれた先を追い、他の女子生徒を救出しなくてはならない。

「ボクたちをどうするつもりだ!」
「離して!」
「……ッ!?」

 3人とも、それぞれに抵抗する。
 暴れながらも、情報を聞き出そうとする公に、か弱い女子生徒を演じる茄子子、ぎゅっとバッグを抱きしめて機会をうかがうクルル。

(……てか夜鬼がこんな気持ち悪い見た目とか聞いてないよ! 普通に助けて欲しい!!)

 間近でその異形と対面することになった茄子子は、恐怖の感情を露わにした。
 目鼻もない無貌の顔に、クジラの肌を鞣したような黒々とした皮膚に、悪魔を思わせるねじれた角と翼……。思わず正気を失ってしまいそうになる。
 暴れようとすると、身体をまさぐって抵抗できないようにして空からおとすと言うから、されるがままだ。
 そのまま、ビルの間を飛んで連れ去ってしまう。

「素直に怖がってくれているから、こっちも追いやすいのです。今回は怪盗ではなく騎士として参りましょう」
「姿を表わしてくれたのなら、境界の情報を読み取ることもできるのですぞ!」

 囮役を務めた彼女たちを追う手筈のアルヴァとジョーイが気合を入れてその行方を追う。
 夜鬼たちが女子生徒を巣につれて去っているというなら、俄然やる気になろうというものだ。

「獺祭奢るからさー。結界やぶりも得意な人に任せちゃうよーん」

 精米歩合の高いお酒は値が張る、それを奢るというのだから、迅子はやる気になっている。やる気がないように見えて、十分にやる気になっているのが彼女の怖いところだ。
 さらわれた側も、追ってもらえるよう手がかりを用意している。
 耳を澄ませば、クルルがバッグに忍ばせた鈴の音が聞こえてくる。
 これを超聴覚の持ち主であるヘイゼルは逃さなかった。

「……こちらです」

 仲間たちを先導し、その鈴の音を追った。
 続いて、オラボナも何かを察知する。
 冒涜的な不協和音のノイズ――。この世ならざる神話的恐怖の接近を告げている。

「まったくひどいノイズだ」

 存在しないはずのオラボナの脳髄をかき乱すように響くそれは、彼女にしか聞こえない。
 だが、そこに現実と狂気の世界の境が近づいていることの証左であった。

●夜鬼の砦
 夜鬼どもが3人を連れ去った地は、見たこともない荒野であった。再現性東京の外に出たわけではない。
 悪夢の世界に引き込まれたのだろう。
 囚われた4人の女子生徒も、彼らを従える存在の生贄とするために生かされている。

「助けに来たよ!」
「……え?」
「いや助けるの会長じゃないんだけど……」

 力なくうなだれるひとりに、茄子子はささやきかける。
 尾行した仲間たちが、結界を破って救出にやってくるのを信じている。

「あなたたちは……?」
「今は話せないけど、みんなを助けに来た側だから」

 声を潜め、クルルは女子生徒たちを励まし、救援を待つ。
 そう、すぐにその望みは叶った。
 世界が、割れる――。

「貴様らの護謨を私に魅せ給え。忌々しい我ら『物語』に相応しい面だろうよ。Nyahaha!!!」

 空間の間から、嬌笑とともにオラボナが出現した。
 テリトリーでへの侵入者に、夜鬼たちはすぐさま襲いかかる。

「――キャッスルオーダー!!」

 襲いかかってくる夜鬼の群れに対し、オラボナはキャッスルオーダーを展開して迎え撃つ。

「このヘイゼル・ゴルトブーツが来たからには、これ以上の跳梁は許しません!」

 ヘイゼルは名乗り、夜鬼たちを引きつける。
 さらわれた女子生徒たちに危害を加えさせないためだ。

「さわれた子たちとこの場所さえわかれば後はこっちのものだ!」

 もう囮役のためにおとなしくしている必要はない。
 公はアイテムストレージに仕舞っていた武器を取り出し、反撃を開始する。
 鉤爪を見せて群がってきた夜鬼たちを手にしたゲイボルグ・レプリカの石突で叩き、怯ませてから超スピートで串刺しにした。

「さて、ご無事ですか? もう大丈夫ですよ」
「あなたは……?」
「今宵は騎士として登場した……怪盗です」

 思わぬ展開に呆然としている女子生徒たちをかばうように、アルヴァは微笑みそう自称した。
 女子生徒たちを誘導し、脱出を試みるが夜鬼たちも逃さじと爪を振るう。

「そんなに女子生徒のぱんつが欲しいんですか? あなた方も大概ですね……」
「え? ぱん……?」
「まったく、女子生徒を狙って攫うなんてけしからん。成敗してくれようか!」

 遮るように言って遮断したが、アルヴァはぱんつ怪盗である。
 敵がこれほどしつこく執念を燃やすのは、自分と同じく女子生徒の聖域を守る至宝を狙ってのことだと認識した。
 それほど、彼の価値観はぱんつに偏っている。
 しかし、女子生徒たちには何のことかよくわからない。
 発言の意図はわからないが、マントを翻し、異形の悪魔から守ってくれる正義の人だと誤解している。

「ぎぇぇ気持ち悪い! こっちこないで!」
「危ない! ここは吾輩にお任せを! ホワアアアアア!」

 夜鬼に抱え上げられそうになった茄子子を、ジョーイがエメスドライブで救出する。無数の鳥の群れが夜鬼の翼を突き破るように突進した。
 混乱を起こしている今こそチャンスとばかり、光の翼を広げて飛翔した。

「え? て、天使っ……!?」

 その姿をみて、誰かが言った。
 ジョーイの顔を覆うバイザーにも恍惚の顔文字が映る。
 この瞬間にも、さまざまな妄想が駆け巡っているなど、誰が知り得ようか?

「この神々しさの前には夜鬼など目ではないでありますぞ! ……あっ! ちょっ!? くすぐるなし! ……ぼすけて!」

 天使に見えたとしても、やはりそれは錯覚に過ぎない。
 群がる夜鬼が、ジョーイをひっかくようにくすぐって撹乱した。

「ええい、メガ・ヒール!」

 味方の負傷を察知した茄子子は回復役に回った。
 天使の歌を歌い、仲間たちの

「盛り上がってきたな。今宵、お前たちの魂を肴に宴会を催そう。この地を餌場に決めた己が決断を呪うがいい」

 空間を破って現われた迅子は、重装備で準備万端であった。
 景気づけに口に含んだ酒をオーラブレードの刀身に霧のように吹きかける。
 妖しくぬめる降魔の剣のできあがりである。

「ずおおおおおおっ! うぬらを片付けて女子高生と酒盛りだぁぁぁっ!!」

 聞き捨てならないセリフを吐いて、ゴミ収集所に集まるカラスを追い払うように追い散らす。
 夜鬼からの反撃を食らうも、ものともせずに切り払った。

「さあ、みんなこっちよ!」

 仲間たちが戦っている間に、クルルは女子生徒たちを誘導してこの異空間からの脱出を試みる。
 追ってくる夜鬼は、遠距離攻撃で撃墜した。
 
「夢を見る人間が跨ったのだ。貴様らが何処の『個体』かは解せぬ。されど『旧き』か『混沌』か選択し給えよ。優柔不断どもが!」

 オラボナの真っ黒の顔に、真っ赤な口が裂けるように開いだ。
 すると2匹の夜鬼が、何かに食われたかのようにひしゃげて消えた。

「みんな、もう安心していいよ! 会長たちがやっつけたからね!」

 やかましく飛び交う異形は、もういない。
 茄子子が恐怖の時間の終わりを告げる

「片づいたようですね。では、私は他にもさらわれた人たちがいないか見てきます」

 ヘイゼルは、再現性東京に現われた異形の巣を探索する。
 ここが夢の世界に続くならばと、多少の興味もあった。ひょっとしたら、ここが女子高生収容所という恐るべき施設かもしれないのだ。

「ほんとよかったー」

 戦闘が終わり、へたり込むクルル。
 張り詰めていた緊張から、ようやく解放されるのだ。

「まあ、終わったんで飲み会にでもね」
「未成年相手だって、迅子ちゃん……」

 誰彼構わず隙あらば誘おうとする迅子に呆れつつも、クルルは安堵の笑みを浮べていた。
 それはさらわれた女子生徒たちも同じであろう。

「では、吾輩たちと帰りますぞ!」
「は、はい」
「ほうら、猫ちゃーん。猫ちゃーん♡」
「わっ、かわいい♪」

 デューイは紳士であった。ここで彼女たちを救ったヒーローとして好意を向けられる約得にありつくこともできた。
 だが、さらわれた女子生徒たちを癒すのは、彼が生み出した子猫の幻影に譲った。
 ……実際、助けてもらったとはいえ女子生徒の制服を纏ったままの不審人物には彼女たちも好意を寄せづらいものがある。これでよかったのかもしれない。
 この悪夢の世界から脱せば、日常が待っている。
 そんなありきたりな日常と笑顔を守ることこそ、使命でああったのだ。
 空を見上げれば、真紅に染まっていた月もいつもの顔を取り戻していた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)[重傷]
航空指揮
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)[重傷]
無銘クズ
酒匂 迅子(p3p008888)[重傷]
ゴーストオブお正月島

あとがき

というわけでお疲れさまでした。
だんだん寒くなるこの時期、女子生徒たちもあったかい家庭へと帰っていくことでしょう。
女子生徒も怪我を負うことなく、全員無事です。
これからも再現性東京には、いろいろな夜妖が出現するものと思われます。
その時はまた、皆さんが活躍することになるでしょう。
それでは、またお会いしましょう!

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