活きし絵を求め

オープニング

●活きし絵を求め
　混沌の東部に存在する国、聖教刻ネメシス……通称、天義。
　厳しい環境である鉄帝国に近いものの、内陸部の聖都フォン・ルーベルグにおいては、さほど厳しい環境では無い。
　とはいえ、天義独特の正義感に対し、その様な正義感に従っていられるか、と反発する者達も居る様で。
『オラァ！　てめぇらさっさとその荷物寄越しやがれ！！』
　と、正義感を嘲笑うかの様に荷車を襲い、光の如く荷物を奪い去り、去って行く。
　……そんな野盗軍団は、当然ながら天義の教えに叛く者として成敗されるべき存在。
　だが、彼等は根城を転々とする事で尻尾を掴ませない。
　正しくいたちごっこの様相を繰り広げる野盗達は、街や村を苦しませ続けていた。

●
　『白獅子剛剣』リゲル＝アークライト（p3p000442）ら、イレギュラーズ達は、依頼主である天義の一端の画家『グリムウェル』の元へ。
『おお、本当に来てくれたのか！　感謝するよ！！』
　と、イレギュラーズを眺めつつ、微笑みを浮かべる彼。
「ええ、貴方の依頼は……私達『勇者』の戦闘シーンを描きたい……との事ですが、間違いないでしょうか？」
　とリゲルが問い掛けると、目をキラキラさせながら頷く。
『ああ、そうなんだ！　キミ達『勇者』が活躍しているという噂を耳に為てね。実際にどのように戦っているのかを見せて欲しいんだ！　そして、その戦っている躍動感のある絵を、この筆に収めたいのさ！！』
　そんな彼の言葉に対し、『極東の武人』神宮司 巽が。
「分かりました……しかし、どのような絵を描きたいのでしょうか？」
『そうだねぇ……やっぱり血湧き肉躍る戦いを描きたい物だね！　例えば……天義に叛旗を翻す盗賊団のアジトに踏み込むとか！？　『勇者』の皆が正義の名の元に、彼等に天誅を下すんだよ！！』
　彼の頭の中には、そういったシーンが目に浮かんでいるようである。
　それに『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ (p3p004260)が。
「……ああ、確かそういう噂を聞いた事があるね。ついさっき、盗賊退治の依頼が張り出されてたっけ？」
　と言うと、『差し伸べる翼』ノースポール (p3p004381)も、彼の傍らで頷き。
「そうですね……北の山間で荷馬車が襲われた、とありました……ただこの盗賊達、各地を転々としている様で、早い事踏み込まなければ、逃げられてしまいますね……」
　それに『優心の恩寵』ポテト＝アークライト (p3p000294)と、リゲル達に誘われて同行したルリア＝ルミナスが。
「天義の人々を苦しめる盗賊団……彼等の正義は間違っているわ’
「そうね……ええと、私が少しでも力になれるのなら、頑張るわ！」
　そしてそれに巽も頷き。
「分かった。では自分が貴方をお守りしましょう……余り自分は絵に描かれるのは苦手だから、その辺りはリゲル、任せた」
「了解」
　そして『グリムウェル』を連れて、イレギュラーズ……いや、『勇者』達は、聖都フォン・ルーベルグ北部へと向かうのであった。

参加者 : 8 人

冒険が終了しました！　リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧（8人）

リプレイ

●活動絵巻
　混沌東部の国、天義、その内陸に属する聖都フォン・ルーベルグ。
　独特なる正義感に支配されし国であり、その正義に反すれば容赦無く鉄槌を喰らわされる事が日常であるこの国。
　しかしそんな国で、己の正義の名の下に絵を描く者『グリムウェル』からの依頼を受けたイレギュラーズ……いや、勇者達。
「勇者の戦闘シーンの絵か……確かに格好良い戦闘シーンの絵は、見る人の心を高揚させるし、確かに今の天義では喜ばれそうだな」
　と、『優心の恩寵』ポテト＝アークライト（p3p000294）の言葉に、『白獅子剛剣』リゲル＝アークライト（p3p000442）も。
「そうだね。天義はアドラスティアの件もあり、今も昏い部分がある。グリムウェル様の絵画は民を鼓舞する物になり得るだろう。少しでも良い作品にして頂くべく、気合いを入れて臨まなければな！」
「ああ。盗賊退治も大切だし、頑張って格好良い所をみせて、素敵な作品を描いて貰おう」
　そんなポテトとリゲル夫婦の言葉に、『差し伸べる翼』ノースポール（p3p004381）と『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ（p3p004260）の二人も。
「そうですね、絶対に逃さないよう、急ぎつつも華麗に対処しないとですねっ。今迄戦う際に見栄えに拘った事はないですが……やってみましょう！　ルークはそういうの得意そうだから、一緒に頑張ろうねっ！」
「うん。戦いを絵にしてもらえるなんて嬉しい事だしね。時間は絶えず進み過ぎ去ってしまうけれど、キャンパスはその一時を切り取り、歴史に残してくれる貴重な記録。異世界で、その参加者の一人になれるうのは嬉しいから、張り切って頑張るよ」
　と、そんな四人の会話の一方で『旅人自称者』ヘイゼル・ゴルトブーツ（p3p000149）が。
「グリムウェルさん？　ですか……絵を描くために試合などではなく、実際の盗賊の討伐を見たいとは、天義であっても芸術家と言うのは変わった方が多いのですね」
　と肩を竦めると、それに『空歌う翼』アクセル・ソート・エクシル（p3p000649）が。
「確かにちょっと愉しみだね。こういうリアリティというか、生の題材からインスピレーションを得るっていうのは確かにありだけど……とは言えテーマが『勇者』って、ちょっと照れくさくなるね……まぁ、リゲル達だったらそれこそ絵になるんだろうけど。でも、一緒に盗賊退治に行くって事は、オイラ達も描かれるってこと。つまり絵のモデルになる……って事だね」
「そうですね。普段と違って人に見られることを意識した戦いと言うのも面白そうなのですよ」
「絵のモデル……？　絵画は見たことあるけど、モデルになるのははじめてかな……？　……でも、ぼくの服装あんまりきれいじゃないや……これでだいじょうぶかな？」
　モデル、という言葉に、『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ（p3p008529）が敏感に反応すると、それに顔をぱぁっと赤らめる『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ（p3p004400）。
「まぁ、絵のモデルだなんて！　恥ずかしいけど、戦ってる姿がどう見えているかはちょっと愉しみねぇ？」
　アーリアの言葉にこくりと頷くリュコス。
「そうだね。見られて戦うのってなんだかキンチョーする……でも、愉しみかな、えへへ。取りあえず、グリムウェルさんに逢いに行かないとねー」
「ええ……あの、微力だけど、私もお手伝いするから、宜しくね？」
「うん、よろしく、だよ」
　『深森の声』ルリア＝ルミナス（p3n000174）の言葉に、ちょっとびくっとしつつも、こくりと頷くリュコスなのであった。

『おお、来て頂けたのだね！　感謝だよ！！』
　と、来てくれたイレギュラーズ達に対し、大仰な仕草で感謝を伝える『グリムウェル』。
「貴方がグリムウェルさん？　今日はよろしく御願いします」
　とポテトが礼儀正しく頭を下げ、それにアーリアも。
「アーリアよ、宜しくねぇ。とびきり美人に描いてちょうだいね、グリムウェルさん？　そもそも、天義で盗賊する不届き者なんて許せないものね！」
　二人の言葉に、眼をキラキラさせるグリムウェル。
『勿論だとも！　素晴らしい戦いを是非とも見せてくれよ！！』
「ええ……でも戦闘中は危険なので、身の安全のためにも少し安全な所で見ていて下さいね？　巽もルリアも宜しくな？」
　それに神宮寺 巽が。
「ええ、了解しました。彼の事は自分に任せて、皆は戦いに集中してくれればと思う」
　と、守護を一手に引き受けるのを頷き、そして勇者達はいざ、盗賊が今根城にしている北の山間へと急ぐのであった。

●活き活きと
　そして勇者達が赴くは、北の山間。
　木々がぽつりと点在する程度で、何処か物悲しい雰囲気が漂う。
　……ただ、交易や往来の為の人の出入りはちらほらとあり、放っておける場所では無い。
「それにしても、岩を投げてくるなんてあぶない！　でも、かっこいいとこを見せるチャンスかな？」
　とのリュコスの言葉にアーリアも。
「そうねぇ……取りあえず、谷の上からも目を光らせておく事としましょうか」
　と言いつつ、ファミリアで鳥を呼び、谷の上へと飛ばして偵察を事前に開始させる。
　一方でポテトは、周りの精霊達に声を掛けて。
「皆、この辺りに人の物を奪う盗賊が出ているという話を聞いたことはないか？」
　と、問いかけつつ、盗賊達の最近の動きや特徴、襲撃時の手法等の情報を集める。
　勿論、全ての情報が正しいとは限らないものの、その情報を元に何時敵が襲撃を仕掛けてきそうか、の予測を立てる一助にする。
　更にはルチアーノは周囲を透視の眼で見張り、盗賊や不自然な岩の出没がないか、を確認。
　その一方で、リゲルはディープ・グリーンを胸元に掲げて毒への対処を整え、ポテトも保護結界を周囲に張る事で、大きな被害が及ばない様にする。
　……そして、暫し山間を歩いて行くと……上空を飛ぶアーリアの鳥が、不穏な動きをする者達に気付く。
「……ん。どうやら敵さん達、動き始めたみたいよぉ？」
　とアーリアがそう仲間達に合図すると、それに合せてポテトがソリッド・シナジーを自分自身に付与。、
　更にリゲルが統率を発動し、仲間達への連携を強化しつつ、巽にグリムウェルと共に、数歩下がり、常に動けるように準備を指示。
　……そして、次の瞬間。
　ごろごろっ、という音と共に、左、右の両側面から、大きな岩が転がってくる。
ルリアさん、岩の対処の手伝いを御願いします！　巽、くれぐれもグリムウェル様にお怪我をさせぬよう頼んだぞ！」
　号令一下、巽とグリムウェルは勇者達の下から距離を取る。
　そしてアーリアも。
「ルリアちゃんも弓使いよねぇ？　せーので同時に！」
「はい……！」
　凄い勢いで転がってくる大岩にそれぞれ狙いを定め、岩の中心に向けて両者、弓を射る。
　その攻撃に対し、アクセルが射線を合わせ、魔砲を使用し、光の線で攻撃の弾道を強調する様にエフェクトを加える。
　両者ど真ん中に命中し、岩が崩壊……するも、その破片がそのまま勇者達の方向に転がってくる。
「皆さん、来ますよ！」
　とノースポールが真剣な口調で周囲に告げる。
　それに合わせ、ルチアーノがノースポールに合せて動き、左の大岩の破片に接近。
「戦いの幕開け、だね」
　と一言零し、ルチアーノは月蝕みで、ノースポールは魔哭剣で、岩の破片を更に細かく砕く。
　一方、逆側の岩に対してはリュコスがクレセントサイズで、岩へムーンサルトキックを食らわし、リゲルも『炎星』で、爆撃のように撃ち落とし、更にアクセルが更に神気閃光で破片を光に包んでいく。。
　そんな勇者達の攻撃で、大岩は大した効果も無く地面に散乱……そして、大岩を落とした盗賊達は。
『クソ、手練れの者の様だな……だが、俺達に勝てるなんて思わない事だな！』
　と戦線布告。
　……そんな敵陣にヘイゼルがぽつり。
「相手側から向かってきて頂けるとは、手間が省けて重畳ですね……とは言え今回は単に盗賊団を倒すだけでは無く、格好良い絵になるように戦わなければいけませんね」
　と、今回の目的を改めて確認しつつ、己にアーリーデイズで能力強化。
　それにポテトは頷きつつ。
「ああ。さ、盗賊退治の始まりだ！」
　と宣言、そしてポテトも。
「お前達、悪事を働いている自覚はあるな？　その不正義を、我等が今！　ここで糺す！」
　ギフトで剣を光らせると共に、騎士としての宣告を行う。
　しかしそんな勇者達の言葉に闘争心が更に燃え上がった様で。
『面白え！　やれるもんならやってみろ！！』
　と、次々と両面の山を下り、攻撃を仕掛けてくる。
「今回は単に盗賊団を倒すだけではなく、格好良い絵になる様に多々かあ無ければいけません。私は格好良く敵を倒せるわけではないですし、今回は回復魔法もより手練れの方が居りますし……それでは、盗賊団の方々にはダンスに突き合って頂くとしましょう」
『ハァ！？　小賢しい事言ってんじゃねぇ！！』
　と、ヘイゼルの名乗り口上を載せた言葉にカチンと来た様で、一先ずターゲットに狙うはヘイゼルへとなった模様。
　左側面より12人、右側面より13人と分かれて仕掛けてくるが、そんな敵に先回りで動くはリュコス。
「致命傷には……しないであげる……えい」
　とソニックエッジで、盗賊団に先ずは攻撃を仕掛ける。
　続き動くはルチアーノ。
「本当、弱い犬ほどよく吼えると言うよね？　ほら、掛かってきなよ！」
　と彼も又名乗り口上で敵の怒りを買い、リゲルも。
「そうだ、一人ともここから逃しはしない！」
　と、別のグループに名乗り口上を上げると、ノースポールも。
「本当、これ以上の悪事は、私たちが許さないんだから！　覚悟なさい！」
　と白雪の翼を広げ、目立つ姿で名乗り口上。
　25人居る敵の集団を、確実に怒りでターゲットコントロールしていく。
　ほぼ全体を怒りの支配下に置いた後、アクセルが続き、相手から少し間合いを取る位置へ移動し、多くの敵を巻き込む様に魔砲。
　更にアーリアは、ルリアと一緒に動きつつ。
「ほらっほら、貴方の敵は私たちじゃないわよぉ？」
　とパルフェ・タムールの囁きで、纏めて魅了の効果を付与し、そこにルリアが一射。
　そして、一通り勇者達の攻撃が巡り、敵の行動。
　とは言えその攻撃手段は単純で、タガーを手にし、左から、右から斬り付け、投げつけての連続攻撃。
　数も多く、連携してくる彼らの攻撃で、血飛沫が迸るが……決して苦しむ様な表情は浮かべない。
　そして最後にポテトが天使の歌で、仲間達の体力を最大限に回復していく。
　次の刻、リュコスは。
「危ないものは……ぽいっ、だよ」
　と、ソニックエッジの攻撃を、腕に向けて放つ事で攻撃手段の無効化を狙う。
　続いてルチアーノが。
「全く、数は確かに脅威だけれど、それだけで勝てる訳ではないんだよ？」
　と、若造が気取り、小馬鹿にしている風で煽ると、ヘイゼルもそれに重ね、敵の攻撃を躱すモーションを取りながら。
「まぁ、こうもダンスの御相手が多い様ですと、照れてしまいますね？」
　と、勝ち誇った様な笑みを浮かべつつ、携行品の光にて、残像の線を引きつつ敵の攻撃を躱していく。
　そしてルチアーノは。
「毒が得意みたいだけど、君たち自身はどうなのかな？」
　と、反撃に月蝕で毒のお返し。
　それに連携しノースポールが、先陣のリュコスの一撃に無力化された一体をターゲットにし、魔哭剣を攻撃集中で一閃。
　その一撃にバッサリと一刀両断され、倒れていく盗賊。
『何っ……！』
　速攻で倒された仲間に驚愕の表情。
　だが、別の盗賊が。
『この位で怯むな！　数で押し切りゃ勝てる筈だ！！』
　と荒々しく、仲間達を鼓舞。
　しかしながら、そんな敵に対し、アクセルが神気閃光で、ヘイゼルらの攻撃する敵を光に飲み込ませる事で、光に飲み込ませる様な演出を行う。
　その一方で、アーリアは魅了が残っている相手に向けてバッカスの饗宴で呪いを追加で付与する。
　そんな勇者達の攻防を、後ろで見つめ……早速線画に記し始める。
『素晴らしい……こんな素晴らしい光景……！！』
　目を光らせるグリムウェル……どうやら勇者達の活躍は、彼の目に煌めき始めた模様。
　多くはアクセルが、仲間達の攻撃にエフェクトが付与する事で、更に美しく、煌めかせる。
　又、リュコスはドリームシアターを使い、幻影もその戦列に加わらせてみる。
「モデルになるからいつもより多めに身体を動かしてみたんだよ」
　とはにかむ表情のリュコスに、アーリアも。
「本日の天義北部のお天気は雹のち雷でしょう……なぁんてね！」
　と、頭上からパラリジ・ブランの雨を更に降らせていく。
　そして、２５人居た盗賊達も半数以上が倒れた所で。
「そろそろ……かな？」
「ん……どうしました？」
「……悪い人でも、むやみに命はうばいたくない……だから、気絶させる」
　とリュコスは盗賊達への攻撃手段をノーギルティにシフトする。
　彼らの悪事を解明するには、活かして突き出さなければ意味が無い訳で……その為にも、全滅はさせない事が得策。
　そんなリュコスの言葉にアクセルが頷いて、仲間達に。
「そうだね！　みんな、できるだけ気絶を狙うよ！」
　と呼びかける。
『クソッ、舐めんじゃねぇ！！』
　と反論するも、不利な状況に置かれている事は変わらない訳で。
　そして勇者達の活劇は、残る盗賊達を非殺の刃に堕として行くのであった。

●活きる躍動感
　そして……盗賊達を全て縄に縛り上げたノースポール。
「これで……良し、と。取りあえず悪い事をした分、たっぷりと償って頂きますからね」
　と、ノースポールの宣告に対し、目前の盗賊達はチッ……と舌打ちを一つし、眼を閉じる。
　勿論、聖都へと連れ帰れば、厳しい罰が下されるのは間違いない。
　寧ろそれを覚悟していたからこそ、盗賊に手を染めたのかもしれない……だから、もう死をも覚悟の上。
「……そういえば、絵はどんな感じになったんでしょうか？」
　と、後方に視線を向けると……まだまだ絵筆をさらさらとキャンパスに走らせているグリムウェル。
　目の当たりにした、勇者達の戦いをまずは線画に落とし、躍動感溢れる下絵を取りあえず完成させる。
　更に、目に焼き付けた光景を様々な色の絵筆を走らせていく。
　そんな画家の一挙手一投足の動きを眺めつつ、彼を邪魔しない様に。
「無事盗賊も捕らえられたし、どんな絵が出来るか楽しみだな
　とポテトが呟くと、それにアーリアも。
「そうねぇ。どんな絵になるやら。出来上がりを楽しみにしているわねぇ、ふふ！」
　と満面の笑みを浮かべる。
　そして、戦闘が終わり、一時間程が経過した頃に。
『よし……完成だ！！』
　と、声を上げる。
「おつかれさま……見ていい、かな？」
　とリュコスの問いに、勿論、と頷くグリムウェル。
　その絵は今にも描かれた勇者達が動き出しそうな位、躍動感のある絵。
　谷の上から巨岩が転がり落ちてくるのを、華麗に打ち砕く場面に、盗賊達を華麗に斬り付けていく場面。
「うわぁ……すごい……」
　と、感嘆の一言を漏らすリュコスに、更にリゲルも、ルチアーノも。
「本当だね……ここまで躍動感のある絵になるだなんて……正直びっくりだよ」
「うん。それにポーも格好良く描いて貰えている……この世に一つしか存在しない、画家の独創性を持って今日の活躍、命の有様を詰め込んだ絵……貴重なものになるだろうね」
　そんな二人の言葉に、更にとても嬉しそうにするグリムウェル。
　……気分が良くなった彼に対し、ポテトは思い切って。
「……あの、出来ればで良いのだけど……グリムウェルさん、一つ御願いしてもいいですか？」
『ああ、勿論だよ！！　今日はみんなのお陰で、こんなに良い絵を描けたんだからね！！』
「そ、その……リゲルとの絵を、個人的に描いて欲しいです！」
　思い切っての御願いをするポテト。
『ん、勿論だよ！　それじゃ二人、見つめ合ってー！』
　リゲルとポテトを近づかせ、二人顔を近づかせた所を描くグリムウェル。
　……顔を真っ赤にするポテトに、くすくすと微笑むノースポールと、ルチアーノなのであった。

成否

成功

ＭＶＰ

なし

状態異常

なし

あとがき

グリムウェルの活動絵巻作成への協力、真にありがとうございました！！
きっと彼の活動絵巻は、鉄帝の人達に活力を呼び起こす事でしょう。
皆様もその格好良い姿が色あせないような活躍、機体しております！！