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シナリオ詳細

<瘴気世界>オプスキュティオの退屈②

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「はぁ……やっぱり超暇なのだ」
 瘴気に侵された地上よりも遥か上。人の足では登り切れないほど高い塔のてっぺんで、再びオプスキュティオはつまらなそうに呟いた。
 以前イレギュラーズたちに暇つぶしをしてもらってからというもの、様々な様々な暇つぶしを独りで試しているのだが、なかなか楽しいことが見つからない。
「地上をみればイグニスがなんかヤバいことしてるし、リュミエールは約束やぶって地上に行っちゃうし……ほかの三人とは連絡がつかないし」
 ため息を吐けば幸せが一つ逃げるという言葉を聞いたことがあるが、既に彼女の幸せ度はマイナスを振り切って鬱になりかけている。これはどうにかしないと彼女も何をするかわかったものじゃない。
「また来るって言ってたイレギュラーズたちはいつ来てくれるのだ……?」
 とりあえずオプスキュティオはまた退屈な日々を送っていた。


「以前、オプスキュティオの暇つぶし相手になってもらいましたよね。あれからあんまり時間は経っていないのですが、再び退屈な日々を送っているそうです」
 直近、イレギュラーズたちは<瘴気世界>の均衡を保っていた六人の精霊の内の一人、【闇の精霊】オプスキュティオの暇つぶし相手になったのだが、あれ以降イレギュラーズとの暇つぶしが恋しくてかまってちゃんが爆発したらしい。
「ええ、ええ……もうそれは退屈なそうで、『暇すぎて死にそうだから早くイレギュラーズに来てもらうように言って』と直談判されるくらい。このままでは可哀……コホン、過ぎたハロウィンに乗じてイタズラをされても困りますので、何か退屈しのぎになりそうなことをしてきてはもらえないでしょうか」
 例のごとく精霊がいる塔のてっぺん付近までは扉を繋げてくれるらしいので、登る必要はない。
 そんな中、【元冒険者】ラナードは鋭い横やりを入れた。
「つーか、おまえが自分で行くのが面倒くさいだけだろ」
 ここにロクな境界案内人は居ないのか……。

NMコメント

 瘴気世界です。牡丹雪と申します。
 ラリーシナリオは初となりますが、よろしくお願いします。
 この物語は<瘴気世界>の続編となりますが、物語は個々で完結する&前回のあらすじを書きますが、過去作を見て頂けると更に楽しめる物語になります。また、世界の観の詳細は自己紹介欄にも記載されています。よろしければご覧いただければ幸いです。


●目的【オプスキュティオの暇つぶしをしてあげる】
 人々の信仰を得ることができなかった可哀想な【闇の精霊】オプスキュティオは再び暇を持て余しているみたいです。構ってあげてください。
 方法は問いませんが、具体的な例は以下になります。

①話し相手になる
 精霊は世界のルールにより塔のてっぺんから離れることができない(筈)です。
 引き籠りの独りで過ごしていれば話し相手になるだけでも暇つぶしになるでしょう。

②美味しいものを持ってくる
 オプスキュティオの退屈①で完全に味をしめました。
 美味しいものを渡すと案外単純に喜ぶので、チョロいです。

③模擬戦闘をして体を動かす
 もし身体がなまっているのなら一緒に模擬戦でも。
 オプスキュティオは反則級の身体能力を持ちますが、節度はわきまえています。
 ……多分。

※ワンポイント
 もしあなたが退屈だったら何をしますか?

●登場NPC
・【闇の精霊】オプスキュティオ
 かつて世界の均衡を保っていた六人の精霊のうちのひとりですが、信仰を得られないまま引き籠ってしまったためとても退屈しています。
 可愛らしい幼女の見た目に反して性格は結構黒く、平然と意地悪したりします。それでも世界のバランスを調節していた存在であることは間違いなく、その実力は相当のものです。

※戦闘になった場合
・【闇の精霊】オプスキュティオ(手加減?)
 HPが高いですが、防御はさほど高くありません。
 妨害と召喚スキルを得意とし、状態異常が一切効きません。
 物理攻撃力も高く、通常攻撃に【防無】が付与されています。


●世界観のおさらい
 かつて世界の均衡を保っていた6人の精霊たちはあまりの退屈さに人類を生み出し、それを繁栄させた。だが、人類を生み出す過程の中で邪悪な力を持つ魔獣も生み出してしまい、やがて史に残る大戦争が起きてしまう。瘴気により荒廃してしまった跡地から逃れるべく人類は地底へと生活圏を移動した。
 そう願った精霊が導いてくれた際に偉人が受け取ったとされる高純度の精霊石を用いた5つの疑似太陽により、まるで地上にいるような生活を送っている。のちにその疑似太陽に惹かれるように人々は巨大なコロニーを築き、5つの国が出来上がった。
 人類は精霊に最初に生み出された種族であるため、精霊石の魔力を浴びつつ魔獣の灰を食べながら生きている。

●前回までのあらすじ
・大型魔獣を討伐したことで、イレギュラーズはこの世界でAランクの冒険者として扱われることになりました。
・リュミエール王国の見習い冒険者へ指導を行いました。
・イグニスヴール王国の冒険者ギルドへ諜報を行った結果、近日魔獣の大群が王国へ押し寄せてくることが判明しました。
・【闇の精霊】オプスキュティオと交流を行いました。
・【半魔獣】ラナードはイレギュラーズの手により元に戻り、彼はこの世界で死んだことになりましたが、代わりに境界案内人として働くことになりました。

●プレイングについて
 今回の依頼の主な目的は『オプスキュティオの暇つぶしをしてあげる』です。
 目的に具体例を示していますが、それ以外の手段でも構いません。
 また、前作『オプスキュティオの退屈①』は以下になります。

 https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/4470


●アドリブについて
 本シナリオではアドリブが多めに含まれることがあります。
 アドリブがNGの場合、通信欄かプレイングに一言ご記載いただければ幸いです。

  • <瘴気世界>オプスキュティオの退屈②完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年11月15日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
白夜 希(p3p009099)
死生の魔女

リプレイ

●息の合わない二人
「おう、崇拝者一号様がわざわざ遠方から来てやってくださったぞ! さあもてな——」
「うわ、うるさいのが来たのだ」
「おい、いくらなんでも扉を閉めることなんてないだろ。なんだ、この前扉を閉めたことまだ根に持ってんのか?(ゴンゴン)
 おーい、扉が開かねえんだが、立て付け悪くなってねーか?(ドンドン)
 聞こえないのかー? 聞こえないなら帰っちまうぞー?(ガンガン)」
「むぎゃー! 崇拝者ならもっと接し方というものがあるのだ!!」

 茶番はさておき、やれやれと言いたそうな表情で『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は再び【闇の精霊】オプスキュティオことティオと顔を合わせた。ティオの表情が何か文句を言いたげだったことに彼はため息を吐く。
「おいおいなんだその顔は。いいだろ別に? どうせぼっちで引き籠ってんだから、俺と同じようなもんさ」
「私がお前と同じだと?!」
 既にお前呼ばわりであるが、そんなティオの反応を置いて世界は「さてと、今日も面白い物を……」と懐を探る。
「どうせくだらないものしか持ってないのだ……」
「そんなこと言うなよー、ほらねこじゃらし」
「くだらない上に前と同じなのだ!?」
 もはや見慣れつつあるやり取りにティオは息を切らしながらふらふら草臥れたように地面にちょこんと座ってしまう。まったく反応に困らない精霊とイレギュラーズである。
 そんな中、世界は何かを思い出したかのようにティオに喋りかけた。
「そういえばお願いしたいことがあったんだ」
「くだらないことならぶっ飛ばすのだ」
「まぁそう言わず聞けって……。ここの人間って属性の核を使って色々するだろ?」
 世界がいうのは、温泉の核や植物の種子の核のことである。
「確かに核の加護を合わせれば色々できるけど——」
「できればそれをタダで渡してくれると高値で売りさばけて俺の懐も温まるんだが」
「できるかー!!」

「まぁ半分冗談なんだが、実際あった方が便利だろ?」
 塔のてっぺんから突き落とされそうになった世界は軽くどついてくるティオの頭を受け止めながらそんなことを言う。
「確かに闇の核は出せるけど、それには精霊の力を行使しないとダメなのだ。私は精霊の力の供給源が無いから、簡単に他人へ渡せるものでもないのだ……」
 とりあえず今は難しいらしい。
「それに、今は温存しないとダメなのだ……」
「うん……?」

●蒼と闇の召喚対決
「ルーキス! また遊びに来てくれたのだ! 今日は何をするのだ?」
 ティオは、再び塔の頂に赴いた『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)の手をブンブン振りながら喜んでいた。前回、彼女に料理を振舞ったルーキスだが、まさかこんなに早く来ることになるとはと一考する。
 なにやら地上は不穏な雰囲気らしいし、いざという時に勘が鈍っていたらいけないし、また美味しいものを出してすぐに退屈を感じさせてしまっては彼女のためにならないし……とか、あれこれ考えたルーキスは一つ提案した。
「うーん、たしか得意は召喚術だっけ?」
「ん、小さいものから大きいものまで出せるのだ」
 また美味しいものを期待していたティオはキョトンとした表情で言う。
 聞くところによると、想像した大体のものを召喚獣として召喚できるらしい。
「違う世界の術に興味もあるし、似た者同士ちょっと勝負しようか」
 ルールは簡単、召喚速度や精度の確認を兼ねた魔術勝負。怪我の元になるからお互いを攻撃するのは無し、適当に目印になるものを使って、召喚術で目標を早くに落とした方が勝ちというものだった。
「うーん、それなら的はこれでもいー?」
 ルーキスの説明を受けたティオは軽いモーションから灰色をした小さな兎を作り出す。
 これだけで既に軽い召喚術だが、兎はルーキスとティオを見るなり脱兎のごとく逃げ出してしまったので、的としては最適だろう。
「私に勝ったらまた甘いものでも作ってあげるよ。ここじゃレパートリーは知れてるけどご褒美があった方が燃えるってもんだ」
「おー、これは燃えるのだ。じゃあ、ルーキスが勝ったら?」
「うん? まあどうしてもというなら、これからも変わらずに御贔屓にってことで」
 甘いものという言葉で既に目をメラメラ燃やしたティオは「そこまで言うなら仕方ないなぁ」と呟くと、今まで浮いていた足を地面につける。
「それじゃ、よーい……」
「いでよ、ブラックダークヴィシャスネスドラゴン!!」
 「ちょ、フライング」と言うより先に、的の兎は召喚された黒竜に焼き殺された。

「もう帰っちゃうのだ……?」
 ティオの反則に終わった召喚勝負だが、その後お話をしたり甘いものを食べたり。
 楽しい時間は速く過ぎてしまうもので、ルーキスが帰る時を迎えていた。
「また何かあれば来てあげるから」
「本当?」
「こう見えて魔術師は義理堅いんだ、約束は守るさ」

●植物と実らない果実
「キミのことはここから見ていたのだ。いやぁ、興味深い」
 心臓部に核であるレガシーコアが存在するレガシーゼロの『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)を見上げてティオはその周りを飛び回りながら観察をする。
 この世界の人間も形は人のものだが、誰もが心臓部に核を持ち合わせている。そういう意味であれば、フリークライはこの世界の人間にとても近い存在と言えるだろう。
「ン。前回、オプスキュティオ、BBQ、オ肉、バッカリ、聞イタ」
「あぁ、肉は前回ご馳走になったのだ。キミも何か食べ物を?」
 食べ物の話になるとティオの目は決まって輝く。それはこの世界に『食べ物』という概念が存在しないのが起因しており、彼女が言うにはその概念を捻じ曲げるには相応の時間が必要とのことでもあった。
 それはさておき、フリークライは大きなバスケットに沢山入った野菜や果物を見せる。
「ふむ、これは……どんな食べ物なのだ?」
「フリック達、世界、草花、コノ世界、違ウ。植物モ、食ベル」
「へぇ、これが植物。たしかにこの世界の植物はこんなもの採れないのだ」
 ティオは大きく育ったトマトを両手で持って観察する。混沌世界において珍しくないものだが、それが存在しない世界であれば興味を惹かれるのも当然である。
「コノ世界、植物、土、風、核、生ミ出ス、聞イタ。スグ育ッタ、聞イタ。ビックリ」
「うん、すぐ育った? まあ確かに土と風の核を複合することで種子はできるのだ」
 すぐ育ったという言葉に一瞬ティオは首を傾げたが、瘴気世界における植物の成り立ちに頷いた。「まあ花を咲かせて寿命になると灰になっちゃうんだけどね」と後から付け加えたので、繁殖させることはできないらしい。
「オプスキュティオ、フリックノ、世界、植物、興味、有ル?」
「……ん、興味はあるよ。環境さえ整えればここでも育てることは出来ると思うけど——」
 トマトを一口齧ったティオは再び悩ましい表情をしながら「地上で育てるのは難しい」と言った。
「理由は三つ、まず地上が瘴気に満たされて太陽の光が届かない事。
 二つ目に疑似太陽は精霊の加護が宿っているものしか育たない事。最後に——
 この世界の人間には未知のものであること……。
 これらをどうにかしないと、難しいだろうね」
 オプスキュティオは真面目な目をフリークライに向ける。
「時間はかかるかもしれないけれどキミなら……いや、キミ達ならできる日は来るかもしれない」
 「この野菜とやらは美味しくいただくよ」と告げるオプスキュティオは、どこか期待の眼差しを浮かべていた。

●本当の暇つぶし
「ねえティオ……いくら暇だからって、あれはちょっと……」
 イグニスヴール王国防衛戦に赴き実際に様子を見た『白い死神』白夜 希(p3p009099)は大袋いっぱいに入った火の核を見せながら苦情を言う。彼女はこの騒動の首謀者がティオと思っての発言だったらしいが、ティオは空中でクルクル回りながら反論した。
「うーん、まぁ私の性格がねじ曲がっているのは否定しないけど、流石にあそこまではやらないかな。それに、私が出した魔獣だったら核はそんな色をしていないのだ」
 ティオは数刻前に召喚したブラックダークヴィシャスネスドラゴン(まだいた)を撫で上げると、立派な姿をした暗黒竜はサラサラと灰に還り黒い闇の核が落ちる。その核を拾い上げると、彼女はパクっと食べてしまった。
「それじゃあ、首謀者は火の精霊ってこと?」
「ま、否定はしないのだ」
 あっさりと犯人を話したティオに対して、希は「じゃあ……」と続ける。
「こないだは風と土の核を……ああ、見てた?」
 ティオの反応は「全部見てた」である。この様子ではこの世界で冒険をするイレギュラーズの行動や様子は全部確認しているのだろう。それに付け加えて、心を読むかのようにティオも話を続ける。
「もちろん、核から作られる花も寿命を迎えれば灰になるのだ」
 ティオが召喚した竜から闇の核が出たことや、火焔の妖精が起こした大渦から推測すると魔獣は精霊たちが作り出しているのだろう。彼女が反則級の力を持っていることも頷くことができる。
 しかし、そうなると沢山の疑問が生まれて仕方ない。
「ねえ、精霊は何がしたいの?」
 率直な質問。だが、希の真剣な声と瞳にティオはしばらく考える表情を浮かべ、決心したように玉座へ座った。
「私たち精霊はそれぞれ強力で膨大な力を持っている。その魂と力の一部を切り離した存在が地上の人間といっても過言じゃない。人間は高い知能を持ち、自分で繁殖し、そして大きく強く育つ……」
 その言葉が意味すること。
「精霊にとって人間は……その力を高めるための、材料……」
 希がそう呟いたとき、オプスキュティオは手に持ったトマトを一齧りした。
「家畜や果物、キミ達だって時に同じようなことをしているじゃないか。私を除いて、精霊にとって人間というのはそれらと何ら変わりはないのさ」

成否

成功

状態異常

なし

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