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シナリオ詳細

盗賊の蜜はジャムにならない

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『盗賊の蜜はジャムにならない』
 浅い狡猾さはろくな利益にならず、地道に働いたほうがずっとよい結果を生む……という意味の、ラサに伝わることわざ。

 『PawnーJ(ポーン・ジェイ)』はラサから幻想にかけての商路がひとつ、通称赤色商路に頻繁に出没するという盗賊団の長である。
 かつてはラサ寄りの村に拠点を置く悪徳傭兵ジャスティーン・トロットとの内通によって甘い汁を吸っていたが、ジャスティーンの傭兵団が一人残らず殲滅されたことで立場を喪ってしまった。
 長らく『まっとうな』盗賊業をしてこなかった彼らは技術や武装を粗末にし、行商馬車のひとつも襲えないほどのなまくら盗賊と化してしまったのだ。
 そんな彼らに、ある貴族が誘いを持ちかけた。
「ナインズ・ダンジョンを探索し、『ナインズのメダル』を獲得してきたなら、傭兵として正式に雇用する……と主は申しております」
 盗賊業界からあぶれ、団員の多くを失い、明日の食料にすら困っていたポーン・ジェイは歓喜に震えた。
「やったぜ! 起死回生の大仕事だ。こいつでひもじい生活からもオサラバだ! ヘヘッ、貴族に取り入って仕事にありつきゃ恐いもんなしだぜ。困ったら貴族サマから金をちょろまかせばいいしな。どうせ金をたんまり持ってるんだ。オレらに分けてくれたってバチはあたらねえぜ? ケヘヘッ」

「――と、いう企みを察知しましたので。彼らを消して頂きたい」
 仮面の執事は、淡々とした口調でそう述べた。
 場所は王都のレストラン。穏やかなピアノ演奏と香ばしい肉料理。豪奢なシャンデリアの下、イレギュラーズたちはテーブルについている。
 執事の席には飲料水の入ったグラスがひとつあるだけで、料理はない。
 これはイレギュラーズたちをもてなすための料理なのだ。
「ポーン・ジェイの悪評は伝え聞いておりましたが、よもやこれほどとは。
 『ナインズのメダル』だけ頂いて、彼らには消えて頂きます」

 手順はこうだ。
 ポーン・ジェイが少ない部下を率いてダンジョンを攻略し、『ナインズのメダル』を獲得して出てくる。
 それを見計らって、全員を抹殺してほしいというものだ。
「報酬はお支払いしますので、メダルは全て引き渡して頂きます。何かしらの支障があってもいけませんので、ダンジョンの追加攻略もまた今度にして頂けると助かりますな……」
 手元のグラスに口をつける。
「おっと、ご安心ください。皆様は『偶然ダンジョンで鉢合わせた盗賊を倒した』だけですので、罪に問われることはございません。我が主の名のもと、保証いたします」

 ポーン・ジェイの盗賊団は起死回生の大仕事ということで残った戦力や武装をここぞとばかりに全力投入している。逆に言えば一網打尽のチャンスなのだ。
 総勢で12人。なまくら盗賊にしてはそこそこやる程度の戦力があるので、地形や状況を利用してアドバンテージをとるといいだろう。
「ダンジョンの出口……いや、出口付近のやや開けたフロアが丁度よいでしょうな。
 なにせこのような形をしておりますから」
 執事が図にしたのは、前後が細くすぼまった細が無い袋のような形だ。
 このエリアなら簡単かつ確実に出口を塞ぐことができ、工夫次第では挟み撃ちにだってできる。アイデア次第では、もっと有利な状況を作ることもできるはずだ。
「悪徳によって怠け、甘えた理由で密を吸おうなどという輩を我が主はとりこみません。誠実な仕事を、期待します」

GMコメント

【オーダー】
 成功条件:ポーン・ジェイと盗賊団全員の死亡
 オプション:『ナインズのメダル』を引き渡す

 ダンジョンの出口、ないしは出口間際のやや広い空間で戦闘をしかけ、盗賊全員を抹殺します。
 入ったことは確認できたものとして、出てくる時間はわかりません。
 ただし多少耳を澄ませば接近に気づけるものとします。

【ナインズ・ダンジョン】
 あまり知られていないダンジョン。お宝があるとかないとか。依頼主の手前、探索は股今度にしましょう。
 また、依頼主の管理している領内にあるダンジョンなので、派手に崩壊させたりえげつない略奪をはかるととても怒られます。

 構造は密閉した洞窟型。
 戦闘する空間はR4攻撃が可能なくらいには広いので松明を持ち込んでも苦しくなったりしません。
 恐らく盗賊団は個別にカンテラをともして歩いているので、それを目印にして撃つなり殴るなりすれば支障はない筈です。

 状況的には色々できるので、相談の中でアイデアを出し合ったりしてとびっきりの抹殺プランを組み立ててください。
 うまくやれたなら、依頼主の貴族に気に入られることもあるでしょう。

【ポーン・ジェイの盗賊団】
 シーフとハンターで構成された12人。
 総合戦闘力を『こちらよりちょっと上』くらいに想定しておくと安定した戦闘プランを立てられるでしょう。
 特にポーン・ジェイは戦闘力が頭一つ抜けており、罠対処や不吉耐性をもっています。

【工夫あれこれ】
 戦闘開始時の工夫。
 戦闘中の工夫。
 逃げようとした際の工夫。
 この三つくらいを用意しておくと、作戦がかなり安定します。
 そこそこの時間をかけて下準備が出来るので、ここぞとばかりに工夫を仕込みまくってください。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 盗賊の蜜はジャムにならない完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月14日 21時35分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ヘルマン(p3p000272)
陽気な骨
巡離 リンネ(p3p000412)
魂の牧童
コンラッド=フォン=ジンネマン(p3p001169)
蒼銀の神聖騎士
雷霆(p3p001638)
戦獄獣
長月・秋葉(p3p002112)
無明一閃
オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)
石柱の魔女
ケイティ・アーリフェルド(p3p004901)
トラッパーガール
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ

リプレイ

●盗賊の蜜はジャムにならない
 フードを深く被り直せば、樹葉のなきごえが遠のく。
 『尾花栗毛』ラダ・ジグリ(p3p000271)は森の奥にあるというダンジョンへ、足取りも確かに進んでいた。
「ひとつ分の報酬で仕事二つを済ませるか。仲良くしておきたい貴族様だ」
 ラダが話題に出したのは本件を依頼した貴族。より具体的にいえば貴族の使いの者だ。
 ネクタイに触れる『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)。
「今回の依頼人は随分と、情報に敏い方のようですな。クライアントが有能なのは喜ばしい事です」
「…………」
 鞄を背負い直し、黙々と進む『トラップ令嬢』ケイティ・アーリフェルド(p3p004901)。
 一方で『石柱の魔女』オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)はどこか意気揚々とした調子で進んでいく。
「盗賊と戦うなんて、冒険者らしい依頼ですね」
「ポジティブですわね」
「殲滅仕事は厄介だもんねー」
 何か思うところがあるようで、『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)は杖を手にゆったりと集団についていた。
 やがてダンジョンの入り口が見えてくる。
 岩をくりぬいたような洞窟に、暗闇が続く。

 盗賊がここを通るのは確実であり、細くて暗い道でもある。
 ただ待ってるだけでもダメではないが、状況を有利にするための工夫はしておきたい所だった。
「先に行っていらして。ここに落とし穴を掘っておきますわ」
 念のための罠だからねという言い方をしつつ、顔のテンションは高かった。スコップを土につけ、この世の春とばかりに猛烈な穴掘りを開始する。
「では私は隘路作りの方を。手伝って頂けますか」
「あいよー」
 寛治やリンネが持ち寄った材料で通路にバリケードをこさえていく。
 最悪その辺の木を切り倒そうかと思っていたが、ラダが沢山積んで歩いてくれたおかげで扱いやすい材料をそのまま持ってくることができた。
 グッと力こぶを作るように腕をあげる『蒼銀の神聖騎士』コンラッド=フォン=ジンネマン(p3p001169)。
「体力には自信があります。僅かながらですがお力添えさせて頂きますね」
 コンラッドは『騎士神ハルザよ、祝福を我が身に齎し給え』と祈りの言葉を唱えながら、ロープや木材を担ぎ上げた。

 (ほぼほぼケイティの仕切りとはいえ)全員で手伝うとそれなりにはかどるもので、出入り口を細くしたり油を撒いたり落とし穴を掘ったりとそれなりの罠を仕掛けることができていた。
 作業を手伝いながらぽつりとつぶやく『陽気な骨』ヘルマン(p3p000272)。
「調子に乗った悪党は碌な事考えねぇな。お偉いさんを舐めてかかったらどうなるか分かんねぇもんかねぇ?」
「人間、性根まで腐ったら終わりってねぇ。よく言ったもんだぜ」
 『紅の死神』天之空・ミーナ(p3p005003)も作業を手伝いながら、ぴくりと耳を動かした。
 まだ盗賊たちはここへたどり着いていないようだ。自分たちの存在にも気づいていない……と思われる。
「少なくとも、傭兵をするには向いてない人たちね」
 『無明一閃』長月・秋葉(p3p002112)がロープをぎゅっと引っ張り、近くに立てた柱に結びつけていく。
「足を洗う機会をふいにした事を憐れむべきか、呆れるべきか」
 固めた拳で杭を地面に打ち付ける『戦獄獣』雷霆(p3p001638)。
「そろそろ、か」
 振り向けば闇。
 そのずっと遠くから、何かが近づいていくるように思えた。

●ラクダに乗りたくばパカダクラの乗り方を知れ(広い技術は役に立つというラサの教え)
 ナインズ・ダンジョンの攻略を一通り終えたポーン・ジェイ盗賊団は、松明を手に細い通路を戻っていた。
「親方、もうすぐ出口ですぜ。罠なんかありゃあしない」
「それもそうだな。モンスターの警戒だけしておけ」
 ポーンに言われて先頭に立った盗賊の手下たちは、視界の先にある炎めいたものに着目した。
 広い部屋の中央にあがる炎。
 目をこらし近づいてみれば、それがあぐらをかいた獅子獣種であることがわかるだろう。
 黙って立ち上がり、短刀を抜く獣種。
 盗賊たちはそれを交戦の意志と察して武器を取り、一斉に飛びかかった。
 一人ずつ斬り合ってあげるほど優しくはない。一気に取り囲み、集中砲火ですりつぶす作戦だ。
 彼らの勢いに応じて炎が燃え上がった時、彼らはふと気づくだろう。
 周囲に潜む、獅子の仲間たちの存在を。

「今だ」
 四方八方から打ち込まれた剣を肉体で受け止めながら、雷霆は眼前の盗賊の顔を鷲づかみにした。
 壁際の暗がりから魔術の弾が撃ち込まれ、釣り上げた盗賊の肉体にざくざくとめり込んでいく。
 放ったのはリンネだ。ここぞとばかりに杖を振りなおし、がららんという音と共に魔術の音符が大量に解き放たれていく。
「まずい、囲まれてるぞ!」
 言うが早いか外周への対応を始める盗賊たち。
 気づくのが遅えぞとばかりにヘルマンが歯をかちかちと鳴らし、魔術の追撃を仕掛けていく。
 もう一方では身を低くしていたラダが暗がりからガトリング射撃を浴びせ始めた。
 直撃を受けた盗賊たちが次々と転倒した。
「野郎ども、松明を捨てろ。いい的だぜ!」
 ポーンの言いつけに従って松明をあちこちに投げ捨てれば、部屋が明るく照らされる。
 それまで気配を絶っていたオーガストとミーナがポーンの背後へと奇襲を仕掛けた。
 杖を振るオーガスト。
 あちこちの石が浮かび上がり、ポーンめがけて打ち込まれる。
 と同時にミーナは翼を広げ、鋭い突きを繰り出していく。
 咄嗟に振り返り、ミーナの剣をナイフで受けるポーン。
「チッ、何人いやがる」
「何人だと思う?」
 息もつかさぬような連撃を繰り出すミーナ。
 それを何とか受けている間に、寛治が傘を開いてポーンへと詰め寄った。
 ポーンをブロックして戦線から隔離したかったが、今はポーン含め盗賊たちをイレギュラーズが取り囲んでいる状態である。何かしらの手段で引きはがさないかぎり隔離は難しかった。それならそれで、戦力のごり押しを仕掛ければよいだけの話である。
 コンラッドが剣を抜き、堂々と名乗りを上げた。
「我が名はコンラッド! 氷の騎士神ハルザの名に於いて、貴殿らを討ち滅ぼさせて頂く!!」
 盗賊二人ほどを引きつけ、剣での打ち合いに発展するコンラッド。
 他の盗賊たちは取り囲まれた状態からの集中攻撃をさけるべく展開。ハンタークラスの盗賊もやむなく近接格闘にシフトした。
 今現在の盗賊たちに利点があるとしたら人数差くらいだが、先手をある意味無駄打ちしてしまったせいで余裕はなかった。
「くそっ、俺だけでも……」
 出口に向かって走り出す盗賊。
 それを阻むように秋葉がハルバードを構えた。
「傭兵をするなら知っておくべきだったわね……傭兵の最低限守らなければいけない流儀を」
「なんのことだ? まさか……っ」
 盗賊が何かに気づくより早く、秋葉のハンマーがジェットを噴射。相手の胸を打ち上げるようにぶつけ、ダンジョンの天井へと激突させた。
 張ってでも脱出しようとした盗賊だが……。
「そんな。出入り口が……」
 バリケードで極端に細くなった出入り口を見て、盗賊はがっくりと肩を落とした。
 氷の鎖が足下に巻き付いていく。
「ここまでですわ」
 ケイティは盗賊を鎖で振り回し、ダンジョンの壁へと叩き付けた。

 イレギュラーズたちはダメージを受けている盗賊を優先して攻撃するように決めていたが、それができたのは予め盗賊に取り囲まれていた雷霆と、なんとか射線を確保できた遠距離攻撃担当だけだった。
 盗賊たちは一度包囲を脱し、前衛チームでマークコンラッドや寛治たちを阻みつつ射撃で集中攻撃をしかける作戦へとシフトしている。
 一方で寛治たちはダンジョンの前後左右でチームを分割したまま戦わねばならなかった。お互い似たような条件でのぶつかり合いになったのだ。
「親方、こいつらを無視して外に出た方がいいんじゃ」
「あの細い通路を一人ずつか? せいぜい一人で抜けるのが限界だ。お前らは何が何でも生き残らせてやる。命張って俺を守れ!」
「へい!」
 盗賊たちはポーンの言葉に従って陣形を組み、攻撃を開始した。
 寛治へ拳銃の射撃が集中する。
 寛治はライフル弾を広げた傘の回転をもって弾きながら、すぐ近くの盗賊を殴りつけた。
「money maketh man.ま、私も褒められたものではございませんが」
「こいつ……親方のところへは……!」
「――」
 突風、のごとき斬撃が盗賊の首筋を切った。
 ミーナの斬撃である。
 思わず後退した盗賊。一拍遅れて炎と化し、盗賊が炎に呑まれていく。
 オーガストは手を翳し、盗賊の身体をぼろぼろに崩壊させていった。
「ダンジョンを随分汚してしまいますね。後で片付けをしましょう」
 呟くオーガスト。しかし妙だ。手下の盗賊を壁にしたにしては、ポーンの追撃がない。
 ふと見ると、ポーンは落ちていた松明を拾ってダンジョンの出口へと走っていた。
「ああっ!? 親方、なんで!」
「馬鹿め、メダルさえあれば貴族サマに取り立ててもらえるんだよ。お前らにゃ悪いが、俺は長生きさせてもらうぜ!」

 妙に滑る地面をなんとか乗り越え、ダンジョンの出口へと達するポーン。
「やったぞ! 生き延びた! どうだゴミどもめ! 最後に立ってるのは俺なんだよ!」
 悪態をついたポーンは、まぶしい外の光に目を細めながらもかけ出し――た一歩目が地中に沈んだ。
 予め仕掛けた落とし穴に、彼は派手に転落していったのだ。
「クソッ、この俺が気づかなかったのか……こんな古典的な……」
「その古典的な罠が」
 落とし穴の上。シャベルを杖のようについたケイティが己の魔力を練り上げた。
「私の得意分野ですの」
「待っ――!」
 手を翳し許しを請うポーン。だがもう、全てが遅かった。

 烏合の衆という言葉を思い出す。
 自らの腹に刺さる剣を握って固定すると、雷霆は盗賊の顔面を殴りつけた。
 派手にへこんだ鼻。崩れ落ちる身体。
 腹から剣を抜いて、横から殴りかかる盗賊へと投げつけた。
 相手はギリギリのところで受け流すが、その隙を突いて詰め寄ったコンラッドが盾で突撃。
「小細工を弄する等、騎士らしくはありませんが。何、柔軟な戦術は戦士としては必要不可欠でしょう?」
 そのまま猛牛のごとく相手を押し込み、壁でプレスしてしまった。
 外に出たケイティが、メダルを持って戻ってくる。
「あれは……」
「そんな、親方が……」
 もしかしたら戻ってきて助けてくれる、といった淡い希望を持っていた盗賊たちも、その心が折れたらしい。
 涙目になって、破れかぶれに襲いかかってくる。
「依頼人を裏切ってはいけない……常識よ」
 覚悟無き剣が秋葉に通るはずもなく。ハルバードの柄で簡単に弾かれてしまった。
 カウンターで繰り出された斧が盗賊の薄い鎧を貫き、胴体へとめり込んでいく。
「あーあ……」
 可哀想に。とでも言うように、リンネが杖をからんからんと振った。
 ライフルを乱射していた盗賊に直撃し、壁にぶつかって絶命する。
 散った命を想うように、リンネは笑顔で杖を振った。死した盗賊たちの魂がどこかへと送られていく。
「よーう盗賊諸君! アホなこと考えてるの貴族様にバレてたぜ? ねぇどんな気持ち? ねえどんな気持ち?」
「い、いやだ……死にたくない」
「どんな気持ちって聞いてんだろ」
 ヘルマンが骨の指をこすると、不思議とパチンとフィンガースナップの音がした。散った火花が炎となり、盗賊を飲み込んでいく。
「残念だが最初から貴族の掌の上、ジャムにもならんというヤツだ」
 激しい音がして盗賊の額に穴があいた。穴はいくつにも増え、盗賊はやがて原型すらもとどめなくなった。
 ラダは担いだガトリングガンをそのままに、深く深く息をついた。

●サソリが眠っていても踏むな(強者の弱みにつけ込むとかえって酷い目に遭うというラサの教え)
 ダンジョンは依頼主の土地だということもあって、皆後片付けをしていた。
 最初に片付けようと言い出したのはオーガストである。
「埋葬くらいはしてあげましょう。このままだとダンジョンも汚れてしまいますし」
 とのことである。
 具体的にはバリケードを解いて、死体を埋めるという作業である。
 幸いにもケイティの掘った落とし穴があったので、埋める穴には困らなかった。新たに数人分の穴を掘るのも、彼女のテンションを(墓穴であることを忘れれば)上げてくれるというものである。
 土をかぶせられていく盗賊たちだったもの。
 雷霆はそれを見下ろし、祈るように述べた。
「闇に葬られてしまうが、ダンジョン制覇の功績をせめて俺だけは讃えよう」
「そういえば、そうだったね。実力がないわけじゃなかったんだ」
 ラダもはたと気づいたように言って、しかしどこか無感情に土をかぶせていく。
 ヘルマンは何を考えているのかわからない顔(頭蓋骨)で明後日の方向を眺めている。
 リンネはリンネで、まるでそれが義務であるかのように死んだ人々の魂をどこかへと送っていた。
「ま、どっちもどっちかな」
「何の話?」
 スマートフォンをいじっていた秋葉が顔を上げると、リンネはんーんと首を振った。

 さて、一方。
「メダルは回収しましたよね?」
「ええ、この通り」
 メダルを翳したケイティを見て、寛治は『結構』と眼鏡のブリッジを押した。
「案の定というべきか……」
「ポーンが持っていましたわね」
「ところで、このメダルはどういった品なのでしょう」
 コンラッドが興味深そうにメダルを覗き込む。
 ミーナもつられるように覗き込んだ。
「黒い十字の形をしていますね」
「どっかの宗教関連か?」
「真ん中に記号が……卍かな」
「向きが逆ですわ。けど、どういう意味の記号かしら」
「何でもよいことです」
 ミッションコンプリート。
 盗賊たちは死に、メダルは手に入った。
 これを依頼主に届け、自分たちは報酬を受け取って帰るだけだ。
 思えば、それだけのこと。
 彼らは後片付けを終え、帰って行った。
 土の下にあるものを想うものは、少ない。

成否

成功

MVP

ケイティ・アーリフェルド(p3p004901)
トラッパーガール

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!
 ――congratulation!

 罠関係の全面指揮をとっていたケイティ様にMVPを差し上げます。
 加えて、メダルを依頼主に渡したことでほんのちょっとだけ報酬ゴールドが増額しています。

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