PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<神逐>いんべいだぁの逆襲!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●淫兵衛陀の女王
 高天京を侵そうとした淫兵衛陀(いんべいだ)――。
 落ちた流星の欠片に肉腫を取り憑かせて生み出された呪法生物である。ある種の社会性昆虫のように、群れ全体が一個の意思となって高天京に襲いかかろうとした。
 この企ては、ギルド・ローレットの神使たちによって阻止されることとなった。
 一夜の危機を乗り越え、安寧が訪れるはずであった。
 だが、星からの侵略は終わってはいない――。

『ギギギ――』

 それは巨大であった。
 酸の毒を含む粘液にまみれた異形が闇の中で蠢いている。
 大きい――。
 蟻や蜂に代表される社会性昆虫に女王がいるように、かの淫兵衛陀にも同様のものが存在する。
 多くの卵を生み、遺伝子を残すものと環境を侵略する尖兵を生み出す群れの女王である。
 尻尾を含めると全長は30メートルにも及ぼうかという巨体に、捻じくれた腕から生える鎌状の鉤爪、やはり酸を含む唾液を滴らせた口には、びっしりと鋭い牙が並んでいる。
 心の臓に当たる部分には、山に落ちた流星の欠片が埋まっており、光を放ちながら脈打っている。
 この女王も、高天京を覆い始める『大呪』の影響を受けているものと思われる。

『滅ビ、ヲ……』

 その強烈な意志が、言葉となって叩きつけられる。
 『大呪』に込められた怨念に反応し、我が子を率いて高天京を蹂躙しようとしている。
 まるで腐れ落ちた果実のような卵からは、一匹、また一匹と彼女の子らが孵化している。
 その間も、女王は次々と尻尾の先にある卵管から卵を産み落とす。
 呪われた軍勢ができがるまで、もう少し――。

●淫兵衛陀討滅戦!!
「大変です! 大変なのです!」

 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は慌てふためきながら言った。
 高天京に、『大呪』の気配が迫っている。
 先に高天京近くの山に落ちた流れ星に肉腫が取り憑いて生まれた禍々しい異形、淫兵衛陀が御所を狙って侵入しようという事件があった。
 これをなんとか防いだギルド・ローレットであったが、やはり淫兵衛陀は滅びでいなかった。

「淫兵衛陀には、女王がいたのです。それが西天門の向こうにある洞窟で繁殖していたのです!」

 先の事件では、30匹ほどの淫兵衛陀が侵入を試みた。
 水の属性を持ち、土に弱いという情報を得て、いくつかの地に埋めて封じたが、やはりあれが最後ではなかったのだ。

「20匹ほどの第一群が、高天御苑の西天門まで迫っているのです! その後には……おそらく女王がやってくるのです」

 ユリーカは戦々恐々であった。
 その恐れが体に現われ、翼がぱたぱたとせわしなく羽ばたいている。

「仮に第一群をやっつけても、すぐに繁殖すると思うです。やはり、女王を倒さないとならないのです!」

 淫兵衛陀女王を倒し、おぞましい侵略を止めねばならないのだ。

GMコメント

■このシナリオについて
 皆さんこんちわ、解谷アキラです。
 いよいよ豊穣での決戦となる<神逐>が幕を開けましたね。
 高天御苑西天門から潜入しようとする淫兵衛陀とその女王を撃退する依頼となります。

▼淫兵衛陀(いんべいだ)
 空から落ちてきた流れ星と肉腫が、特殊な呪法によって融合して生まれた呪詛生物です。
 未知の魔法生物の一種ですが、呪法は豊穣のものなので対処はいくつかあります。
 武器は、牙と鉤爪です。酸の毒を分泌するらしく噛みつかれたり引っかかれたりすると大きなダメージを受けてしまいます。
 また、土に関わる属性が弱点であるのは、明らかとなっています。
 西天門に押し寄せた20匹をまず迎撃しなくてはなりません。

▼淫兵衛陀女王(いんべいだクイーン)
 『大呪』の影響によって生まれた淫兵衛陀の女王です。
 西天門から進んだ先の山にある洞窟を巣としています。第一波を防いでこの女王を倒す必要があります。
 全長は30メートル、巨大な尻尾と鎌状の鉤爪を有します。

・尻尾
 至近の対象を薙ぎ払うほどの範囲があります。
 また、卵管を兼ねており、単体の対象に切り替えれば伸長して中距離まで射程が伸びます。

・鉤爪
 二回攻撃噛みつきをされる恐れがあります。

・噛みつき
 至近の対象に来たものを噛みつきます。

・繁殖
 攻撃の代わりに、繁殖して1~6体の淫兵衛陀が孵化します。

 それぞれの強酸性の毒を持つので注意してください。
 洞窟内に入ると、回避行動や距離が制限されるので射程や支援などに注意が必要ですが、うまく地形を利用すると戦闘が有利に進むかもしれません。
 それでは、参加をお待ちしております。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <神逐>いんべいだぁの逆襲!!完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年11月18日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー
ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)
無名の熱を継ぐ者
長谷部 朋子(p3p008321)
蛮族令嬢
イルリカ・アルマ・ローゼニア(p3p008338)
ローゼニアの騎士
フォークロワ=バロン(p3p008405)
花の騎士に怒られちゃいました
リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)
うそつき
橋場・ステラ(p3p008617)
ジョーンシトロンの一閃
朔・ニーティア(p3p008867)
言の葉に乗せて

リプレイ

●迫りくるいんべいだぁ!!
「っしゃあー!!!! 淫兵衛陀ども整列して近付いてこいやー! 名古屋撃ちにしてやんよ!!!!!!!!!!!!!!!!ミ☆」

 夜の高天京郊外、月が昇った頃――。
 迫りくる淫兵衛陀を、『爆音クイックシルバー』ハッピー・クラッカー(p3p006706)は片っ端から打ち破っていく。
 名古屋撃ちとは、整列した敵を十分に引きつけ、片っ端から次々と倒していくという対淫兵衛陀用の戦術である。

「Look at me !!」

 ハッピーが叫ぶと、対淫兵衛陀が次々と惹きつけられる。
 射撃距離が短くなれば、命中までの時間も短縮され、連射速度も上がるという理屈だ。
 そうやって惹きつけながら可能か限り撃破し、落とし穴まで引きつけようというのである。

「わかってちゃいたが世界ってのは広いじゃねぇの。こんな生物がいるなんてなぁ……」

 その軍勢を見下ろすのは、『博徒』ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)である。
 地上に着地すると、並んだ敵を一条の閃光を放って敵陣を穿ち、薙ぎ払う。

「淫兵衛陀……。ちなみにコレ、もうちょっと字面はどうにかならなかったのでしょうか?」

 まとめて叩き落とす穴を掘りながら、『ジョーンシトロンの一閃』橋場・ステラ(p3p008617)は思わずそう呟いていた。
 特に、“淫”という字が気になる。気になって仕方がない。
 “ひたす”、“あふれる”という意味合いを持ち、“みだら”とも読む。
 しかし、それはそれで彼らが〈水〉属性を持つことを表わすからこそ与えられた名称である。
 実際、てらてらと酸性の粘液に覆われている様子は、どこかいかがわしさを感じさせる。
 仮に捕らえられたら、大変な目に遭ってしまいそうだ。
 だからこそ、土に埋葬して始末しなければとも思う。
 門のすぐ前まで、できるだけ埋める穴を掘っていた。

「私はっ !今っ! このときのために! 十分な用意をッ! してきたッ!!!」

 ともに穴を掘る『言の葉に乗せて』朔・ニーティア(p3p008867)は気合い充分だった。

「淫兵衛陀! 及び女王! 今こそ! 我が双鍬(ダブルクワソード)の泥にしてくれよう!! うおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 両の腕に構えたるは、対妖用戦術兵器『高天鍬』。
 かつて京に出現した妖怪を穴に叩き落とし、埋葬してきたと伝わる業物二丁である。

(アッ、その……もしこの生まれたてのいんべいだ、私たちが始末してるときに『死に瀕した無垢な人間』とかと同列に扱われた場合は……)

 何か、怪しい方向に、妄想がはかどっていく。

(メッチャ嫌な悲鳴の中でこれ始末することになるじゃん! やだー!!! あっ!! おねーさんがどんなに色気たっぷりでも残念ながら全年齢――!)

 と、朔の妄想は行き着くところまで行ってしまった。
 これも“淫”の文字のなせる技であろう。
 淫兵衛陀は空の方から来た妖獣、いろいろな意味で危険な肉腫であるのだ。

「肉腫ってこんな風にもなるの……?」

 こわい、見た目も気味が悪い。
 『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)は、異質な敵にたじろいていた。
 生理的嫌悪を催すほどのその形体、その性質……。
 できうる限り触れたくはない。当然の感情といえた。
 それでも持てる勇気を振り絞り、立ち向かう。
 ハッピーが惹きつけ、並ぶ淫兵衛陀の群れに近づき、落とし穴に誘導するために爪を振るってまとめて打ち倒していく。
 残りは、落とし穴に追い込めるだろう。

「いんべいだぁ……宇宙からの来訪者、そう言われるとちょっと興味深いかも? ともかく掘って、埋めて、投げつけて。残念だけどここに骨を埋めてもらおう」

 『ローゼニアの騎士』イルリカ・アルマ・ローゼニア(p3p008338)は、嫌悪しながらも淫兵衛陀には多少の興味を持っていた。

「仲間が穴を掘り終わるまで時間稼ぎをしましょうか。……ですが、別に倒してしまってもかまわないのでしょう?」

 一方、『嘘に誠に』フォークロワ=バロン(p3p008405)はうそぶく。
 穴に落とす前に、淫兵衛陀どもを片付けてしまえるのだと悠然と言ってのけている。
 その自信を裏打ちするだけの実力を有するからこそだ。
 モノクルの奥に瞬く銀の瞳が妖しく輝くと、フォークロアの周囲に仮初めの命が生まれる。
 それはエメスドライブによって生まれた疑似生命の群れであった。

「……ギギッ!?」

 刹那に生まれた鳥獣、蟲たちが淫兵衛陀の一匹に群がり、まとわりつき、噛みつき、ひっかく。
 混乱したそいつは暴れ、忌まわしい同胞たちも巻き込んでいった。

「へんてこりんな敵だけど、なーんかどこかで聞いたことあるような見た目に生態だなー」

 味方が食い止め、誘導している間に、『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)は穴掘り版とともに十分な穴を掘っていた。
 後は、この数々の穴に誘導して埋めればいい。

「土属性が有効っていうけど、土属性ってそもそもなによって感じだよね」
「ゴギョウシソウ? ってやつみたい」

 同じく穴掘り版のイルリカと、その属性について語り合っている。
 この掘った穴に落とせば、淫兵衛陀とやらは土属性によって撃滅できるという。
 その土属性という弱点の根拠は、五行思想から導き出されたものだ。

「いやあ~ちょっとこの対妖用戦術兵器『高天鍬』! 構えるポーズ見てほしいんだけど最高じゃない? 両手に鍬。最高じゃあないか!」

 穴を掘り終えた朔は、あらためてダブル鍬を構えてポーズを決めた。
 一度、全身に泥を塗りたくって淫兵衛陀に対抗しようとしたのだが、それは我慢した。褒めてもらいたいほどに。
 なぜかと言うと、ドヤ顔ダブルクワソードフェイスで淫兵衛陀を迎え撃つためである。

「さあ、こっちだぞ淫兵衛陀!」
「ローレット広しといえど、雑魚の引き付けで私に勝てる人なんて……どちらかと言えば少数派だおらー!!!」

 ニコラスとハッピーが、淫兵衛陀を落とし穴に誘導する。
 特に、ハッピーは淫兵衛陀に気合を入れて怒りを与え、彼らのヘイトを買いまくった。

「さあ、来ましたよ」
「しなしなになれー! Uryaaaー!」

 そうして誘い込んだ淫兵衛陀を、長剣と魔法を駆使するステラと、薙ぎ払いを得意とするリュコスが次々を落とし穴に追い込んで落としていく。

「さあ、タコ殴りの時間だぁー!」

 『蛮族令嬢』にふさわしく、朋子は巨大な石斧を掲げて振り回していく。必殺の鏖のネアンデルタールインパクトだ。
 殺到した淫兵衛陀が、雪崩を打ったように穴に叩き落されていった。

「やっぱり、ザ・石斧なデルさんって土属性だったんだね」

 惚れ惚れする目で、“デルさん”こと原始真刃ネアンデルタールを眺めた。原始的で、野蛮を象徴するかのような圧倒的なフォルムは『蛮族令嬢』をあらためて感心させた。

「きさまらを このおとしあなに うめてやろうじゃないか!」

 これを待っていたとばかりに、ダブル鍬を振るう朔が土をぶちかけて穴に埋めていく。
 乾燥した土、湿った泥、あるいは腐葉土や赤土……そういったものが異形の肉腫を埋葬していく。

「ギギギギギィィィィィィィッ……!?」

 土砂崩れさながらに埋められていく淫兵衛陀の群れ。
 後は、穴に落としきれなかった淫兵衛陀の掃討だ。

「そこかしこにあるでしょう? 弱点といわれた属性を持つ材料が――」

 フォークロアが創り出した鳥獣の群れが、土煙を巻き上げて淫兵衛陀に襲いかかる。
 土属性をまとったエメスドライブが西天門を脅かした淫兵衛陀たちにとどめを刺した形となった。

「あらかた片付きましたかね、では女王のもとへ行きましょうか」

 フォークロアが周囲を見回した頃には、あれほど西天門に群がっていた淫兵衛陀も一掃されていた――。

「女王も急いで倒さないと。スピード重視でいくよ」
「そうね。淫兵衛陀の女王って、もう字面だけでヤバそうよ」

 この軍勢を生み出した女王がいるという山を、リュコスとステラが眺めていた。

●対女王戦
 その山中にある、洞窟――。
 暗く、深い内部には、艶めかしい鍾乳石が立ち並び、異界のような光景を見せている。
 高天京西天門で淫兵衛陀を埋め尽くした8人は、異形の肉腫を育んだという女王討伐のためにこの洞窟へと立ち入ったのだ。

「やはり、女王はこの奥です」

 フォークロワは、洞窟の奥にフクロウのファミリアを探索させて情報を共有した。
 その言葉を裏付けるように、奥へと進めば進むほどこの洞窟内は異界の様相を呈してくる

「これは……」

 リュコスも思わず息を呑む。
 岩の壁面には、不気味な肉塊がへばりついて脈打っている。
 これから孵ろうとする淫兵衛陀の卵だ。
 さらにその奥に、この卵を育んでいた女王がいる。
 イレギュラーズの気配を察すると、洞窟いっぱいの巨体で這いずり出てきた。

「キシャアアアアアアアアアアアアアアッ――――!!」

 鋭い牙を覗かせる口から、思いの丈呼気を掃き出すような咆吼を響かせる。なんとも耳障りなものだった。
 それが合図だったのか、卵からも淫兵衛陀がずるりと生み落ちてくる。
 孵った瞬間から、成体の姿のまま本能的に戦えるようだ。
 同時に、鎌のような鈎爪を、正面からやってきた朋子とパッピーに振り下ろした。
 ふたりとも、これをまともに受け止めることになる。
 その爪先から滴る毒が、ふたりの皮膚を焼いていく。

「ぐっ……!!」
「孵ったばかりのも来るよ!」

 ともに前衛で壁役となっているイルリカが、生まれたばかりの淫兵衛陀を薙ぎ払いながら言った。
 洞窟内では、淫兵衛陀はともかく巨体を誇る女王を埋める穴を掘れるような余裕はない。
 女王を倒そうと、イレギュラーズたちも立ち向かう。
 巨大な石斧を振るって朋子が。
 攻撃を引きつけようとハッピーが。
 卵から生まれた淫兵衛陀を薙ぎ払いながらリュコスが
 それぞれ女王に一太刀浴びせんと次々にぶつかっていった。

「シャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 だが、女王もやられるばかりではない。
 長く、しなやかな尻尾を鞭のように振り回し、周囲を薙ぎ払った。
 吹き飛ばされる者、どうにか耐え忍ぶ者、また飛び散る酸の体液を受けてしまう者……。さしものイレギュラーズたちも無傷では済まなかった。

「どんだけデカブツでも、弱点は判明してんだ。奴らの親玉なら、土属性が効くはずだ!」

 前衛の仲間が戦っているうちに、ニコラスは魔力を集中した。
 彼の攻撃スキル、T.O.B.は彼自身の魔力と周囲の気質を混ぜ合わせて放つ魔弾である。
 洞窟の内部であれば、土の気は満ちている。女王を穿つには十分なはずだ。

「むん……っ!!」

 構えたニコラスから、一条の光が放たれる。
 鍾乳洞を打ち砕きながら、まばゆい光が女王に直撃した。

「……やった、かな?」

 光が闇に満たされ、もうもうと土煙が巻き上げられる。
 いかな巨体の女王でも、耐えられなかったのではないか? そのように思えた。

「待って!」

 ステラが気づく。
 光と煙が晴れると、憎悪の気配を露わにした女王の姿があった。

「やはり、そう簡単にはいかないようですね」

 姿を見せた女王を、すかさず女王を牽制した。
 救済なき激情と終端なき絶望を織り交ぜることで、女王に幾多のバッドステータスを重ねていく。
 その感覚器を狂わせ、卵管を狙い、仲間から女王の脅威を反らさせたのだ。

「滅ビヲ、滅ビヲ……!!」

 おそらくは、その発声器官は地上の言葉を発するには無理があるのだろう。
 不快にして不自然な声が、破壊衝動に溢れた言葉となっている。

「滅ビヲ、ですか……。えぇ、滅びるのはソチラですとも」

 ステラが放つのは、黒顎魔王である。
 膨張した魔性が黒い顎となって女王を噛み砕く。
 女王もまた、その鋭い牙で対抗しようと噛み返す。
 壮絶な光景である。

「覚悟なさい!! 埋めろ埋めろ埋めろおぉぉぉぉっ!!」

 ダブル鍬をカマキリのように構えた朔が、そんな女王に躍りかかる。
 女王もまた土属性が弱点ならば、耕して耕して埋めればいい。
 怒涛の攻撃によって女王を埋葬するには、十分な穴が掘られていた。

「ええい! Uryaaaー!」

 酸性の毒と尻尾に鞭打たれながらも、イモータリティによって強烈に回復したリュコスが咆吼を上げながら、女王の尻尾を切り裂いた。

「ギャアアアアアアアッ!?」

 女王の強靭な生命力ゆえか、切り落とされた尻尾は、毒の体液を撒き散らしながらなおも跳ね回る。
 これも埋葬せねば、のちに害を為すだろう。

「みんな、立て直して! スーパーアンコール!!」

 凶暴な女王に対し、攻撃の手を休めるわけにはいかない。
 イルリカの圧倒的な声援が、戦う気力を回復させる。

「一気呵成に仕掛けるよ! 必殺のアロガントスパーク!」

 朋子が殴った。殴った殴った殴った! そしてとどめ!
 巨大な石斧を、何度も叩きつける。
 しぶといなら、動かなくなるまで殴り続ければいい。
 単純かつ原始的な発想は、時として正解となる。

「……よし、穴は十分だな!」

 今度は、ニコラスが女王に接近する。
 繰り出すのは、無数の斬撃――W.O.F.だ。
 女王の巨体を解体しながら、掘られた穴へと斬り落としていく。

「呪いによって生まれたものであるならば、呪いによって死んでいきなさい」

 フォークロアが唱えた呪いは、悠久のアナセマ。
 存在するともしれぬ、神の呪いである。

「ギ、グギャアアアアア!?」

 その呪いが、女王を押し潰し、墓穴へと詰めていく。

「いんべいだは女王も、全部私が埋め立ててあげるからね!」

 待ってましたとばかりに、朔が鍬を振るって穴を埋めていく。

「また起き上がらないようにしなくちゃ!」
「そうですね万が一にも起きだすことがないように」
「私のギフトなら、呪いを打ち消せるよ」

 リュコス、フォークロア、イルリカもいまだうごめく女王の肉片の埋葬に加わった。

「みんな、洞窟が崩れるよ……!」

 洞窟崩壊の気配に感づいたステラが避難を促した。
 巨大な淫兵衛陀の女王とイレギュラーズとの激闘に、洞窟も耐えられなかったようだ。
 落盤を避けながら、皆は脱出する。

          *           *           *

「みんな、無事ですか?」
「なんとか」

 脱出を先導したステラに、イルリカが答える。
 崩落に巻き込まれた者はおらず、ほっと胸をなでおろす。

「……にしても、ようやく終わったか」
「ええ、そのようです」

 洞窟は崩壊し、淫兵衛陀の墓場となった。
 ニコラスとフォークロアも安堵しつつ、戦い終えてみれば忌まわしくも強靭な生命力に畏敬の念を禁じえない。
 だが、土属性が弱点というのなら、もう復活することはないだろう。

「穴を掘るって勢いにびっくりしちゃったけど実際にやってみたら結構楽しいかな……なんて」
「私も、なんか満足しちゃった」

 リュコスと朔は、穴を掘って埋めるという行為に心地よい疲労とある種の達成感に包まれていた。
 何かをやり遂げることは、やはり尊い。

「さあ、帰ってご飯食べよ!」

 大いに暴れまわった朋子は、高天京に戻っての食事を想像していた。
 激しい戦いは腹が減る。そしてそれを満たすのは何よりも幸せなことだ。

「ですね。引き上げましょう!!!」

 皆がステラの言葉に頷き、勝利の余韻とともに山を下っていく。
 こうして、高天京を脅かした淫兵衛陀は滅びたのである。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ハッピー・クラッカー(p3p006706) [重傷]
爆音クイックシルバー
長谷部 朋子(p3p008321) [重傷]
蛮族令嬢
イルリカ・アルマ・ローゼニア(p3p008338) [重傷]
ローゼニアの騎士
リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529) [重傷]
うそつき
橋場・ステラ(p3p008617) [重傷]
ジョーンシトロンの一閃
朔・ニーティア(p3p008867) [重傷]
言の葉に乗せて

あとがき

お疲れさまでした! 淫兵衛陀撃滅おめでとうございます!
全体かつHARDシナリオとして女王は強敵に設定しましたので、激闘となりました。
戦闘と埋葬、同時にやんなきゃいけないのがイレギュラーズの大変なところです。
その達成感を感じていただければ何よりです。
それでは、またの依頼でお会いしましょう!

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