シナリオ詳細
夏も近付くお茶摘み日和
オープニング
●もうすぐお茶摘み
つい最近、春になってきたなと思っていたら暦の上では夏が近づいてきている。
ということは、お茶の季節も近づいてきたということである。
毎年、このくらいの時期にお茶摘みが行われているが、危険が伴う作業なのはよく知られたことだ。
というのも、最高級の茶葉であるとされている「インペリアル・アズール・ティー」はモンスターから採れるからだ。
ドラゴンに似た大型モンスターである、ティラゴニアンから採取される。
名前の通り、高貴な者を連想させるような美しい青色をした茶葉で、これを乾燥、発酵、また乾燥という手順を踏むことで、赤みが強く香り高い最高級の紅茶ができあがるのだ。
乾燥させる前の青が綺麗なほど高品質な茶葉になるとされ、愛好家の憧れでもある。
ティラゴニアン自体は非常に大人しく、茶葉を採っても何かされるということはない。
むしろ、その背中に生えてくる苔に似た茶葉を採って欲しがっているようだという研究結果もあった。
さらに、その大人しい性格のせいか、自分より小さな肉食モンスターに狙われることも多く、常に50頭近い群れで生活している。
では何が危険なのか?
これは、ティラゴニアンの近くには必ず獰猛な小型モンスターのガニモリスが群れを作っているからだ。
ティラゴニアンから茶葉を採ろうと出かけた者がよく被害に遭い、中にはそのまま帰らぬ人となった者も少なくない。
人の腰くらいまでの高さの凶暴で長い尻尾があるダチョウ、といった感じのモンスターなのだが、群れでいることが多いので危険度は高い。
小さな群れでも10頭はいると言われ、平均的には20近くいるとされている。
何と言ってもその素早さが厄介で、長い尻尾と身体の大きさと不釣り合いな程の鉤爪を持ち、退化して飛べなくなったとは言えその翼ではたいてくる力は強烈だ。
ティラゴニアンとの関係はまだ研究段階でよく分かっていない。
ティラゴニアンは草食、ガニモリスは肉食なので、推測も難しい。
そもそも、ティラゴニアンは餌となるお茶の木を探して移動しながら生活しているのだ。
何故そこにガニモリスまでついてくるのか、それが分かっていないのである。
●お茶摘み代行ローレット
そんなこんなで、今年もお茶摘みを行おうということになっているのだが、人手不足が深刻らしい。
危険な仕事なので当然ではあるのだが、このままでは紅茶市場で深刻な事態を招きかねない。
主に金銭的に余裕のある貴族に愛好家が多いせいもあるのだが、そこはそれとして紅茶をメインに扱っている商人組合が困っているのは確かである。
だからこそ、ローレットに依頼が来たとも言える。
昨年の売れ残りでも良ければ、収穫後にこの最高級紅茶を飲ませてくれるというおまけもついている。
「それにしても、どうして背中からお茶が生えてくるのですか?」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が依頼の話を持ってきた商人に訊ねる。
「ああ、それはですね。ティラゴニアンが主食としているのがお茶の木でして。それこそ葉、実、花、全部食べるんです。
仕組みはいまいち分からないんですが、どうも体内でお茶の成分を濃縮させて背中からああいう形で排出しているとかいないとか……。
エビをよく食べるタイは赤くなるというでしょう。あれに似た感じなのかな、と個人的には思ってます」
「な、なるほど……?」
分かるような分からないような説明だが、商人は真剣な顔をしていた。
こうして、ローレットが依頼を受け、今年の「インペリアル・アズール・ティー」の新茶を収穫、一定数を確保することになったのである。
- 夏も近付くお茶摘み日和完了
- GM名文月
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年05月18日 21時20分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
リプレイ
●お茶摘み日和は戦闘日和
「おぉ、もふもふ……」
ティラゴニアンの姿を見て、誰かがついそう漏らした。
事前に聞いていた通り、もしくはそれ以上にティラゴニアンがもふもふしていたのだ。
今回の依頼ではある程度の人手が必要だということで10人のイレギュラーズが集まっていた。
ティラゴニアンから茶葉を採取する者を襲うことが多いというガニモリス対策には、『笑顔の体現者』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)が道中ずっとファミリアーのコウモリで周囲の警戒にあたっていたし、『揺蕩う魂』幽邏(p3p001188)も飛翼スキルで飛びながら不意打ちされないようガニモリスを探し、『無道の剣』九条 侠(p3p001935)は聞き耳スキルで、『黄金の牙』牙軌 颯人(p3p004994)は超聴力スキルで音による警戒を行っていた。
そのお陰か、ティラゴニアンの群れを見つけるまで特に何も起こらなかった。
『鳶指』シラス(p3p004421)がティラゴニアンがお茶の木を食べた痕跡を探し、それをたどって見付けた群れは、なかなか大きな群れのようで数も多い。
「これだけ体がデカいと、良い気分なんだろうな」
シラスがティラゴニアンを見上げて言う。
大きいからこそのデメリットも多いのだが、シラスはそういったことには疎いようだ。
ちらほらと子供のティラゴニアンもいるようだ。
どの個体ものんびりと過ごし、イレギュラーズがいるのを見ても全く動じていない。
彼らはきっと、人が自分達を探すのは何のためなのか、理解しているのだろう。
今のところは周囲にガニモリスの気配はなさそうだが、お茶摘みをしている途中に邪魔されるのも面倒なので、先にガニモリスを探して討伐しておこうということになっていた。
そこでユーリエが引き続きファミリアーでガニモリスを探させる。
情報通りなら、ガニモリスの方から近づいてきているかもしれない。
「見つけました!」
ユーリエの声に、全員がすぐ集まってくる。
それぞれがガニモリスを警戒し、先に見つけようと散っていたのだ。
すぐにユーリエがファミリアーを通して知った群れの規模、方角や距離などを全員に伝える。
ティラゴニアンの群れから見て風下にいるらしく、こちらに向かってきているらしい。
においで人がやってきたことを探知しているのだろうか。
ティラゴニアンとガニモリスの関係については、まだまだ研究が進んでいないようなので、こういった情報も役に立つかもしれない。
しかし、今はガニモリスに襲われるのをただ待っている訳にもいかない。
簡単に方針を確認しあってから、迎え討つためにティラゴニアンの群れから離れる。
戦闘になって入り乱れれば、ティラゴニアンにも被害が及びかねないからだ。
ティラゴニアンがいる地域には、茶葉を目当てにしている商人達によってお茶の木がたくさん植えられている。
どうやら高く育つ品種のようだが、茶摘みの者がティラゴニアンを探しに来た時のことを考えて植えられているので、視界はそこまで邪魔されていない。
10本ほどを密集させて植えるスポットのようなものがいくつもあり、そのスポット以外の場所は広く開けられていた。
ティラゴニアンの体が大きいことも考えてのことかもしれない。
とにかく、そのせいで戦闘するのにスペースがないという心配もなさそうだ。
ただ、それはガニモリスから身を隠しづらいという欠点も同時に持っている。
イレギュラーズがティラゴニアンから20mほど離れる間に、ガニモリスの群れは彼らからも視認できるようになっていた。
「お、出たな鳥野郎共。採取前の準備運動にはちょうどいいか?」
シラスがそう言って、歩きながら食べていたおやつのチョコレート最後のひとかけらを口に放り込む。
先に気付かれてしまったのは残念だったが、不意打ちされるよりは良い。
ガニモリスの数はユーリエが事前に確認した通り、15前後だ。
平均して20いる群れが多いということなので、少し小さめの群れと言えるだろう。
全員の戦闘準備が終えたのを確認した直後、まずはユーリエが全力でガーンデーヴァによる赤い矢を放つ。
前方にいたガニモリス1頭の胴体をかすめ、その後ろにいた1頭の喉元を貫通してさらにその後ろの1頭の翼をかすった。
倒したのは喉元を貫いた1頭だけだが、他2頭にも傷を負わせている。
すぐに先頭にいた群れのボスらしきガニモリスが退化した翼を限界まで広げ、けたたましい鳴き声を上げた。
それに合わせて次々とガニモリス達がイレギュラーズに向かって攻撃してくる。
中には2頭、3頭でまとまって動いているガニモリスもいた。
どうにかガニモリスの攻撃をかわし、『布合わせ』那木口・葵(p3p000514)がユーリエの仕留め損なったガニモリスを黒縫針で真っ黒の針山にする。
胴体の傷のせいで動きが鈍っていたようだ。
予め新鮮な肉を買って用意していた『断罪の呪縛』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)が、足止め程度になればと肉を群れの中に投げ込んでみる。
すると、数頭のガニモリスが方向を変えて肉に飛びついた。
真っ先に咥えたガニモリスの口からはみ出している肉を、他のガニモリスが横から噛み付いて引っ張る。
取り合いになっているようだ。
「恨みはないけれど……高級茶葉のために狩らせてもらうわ」
その間にアンナが瞬炎華で傷口から火を噴かせたガニモリスは、ユーリエの攻撃で片方の翼に傷を負った個体だった。
火炎の熱を感じたのか先頭にいた群れのボスが振り返り、肉の取り合いをしている数頭に怒って鋭く威嚇するような声を上げる。
肉の取り合いをしていたガニモリス達は、これに怯えたようにパッと肉を離してイレギュラーズ達に向かっていった。
ガニモリスを仕留めたイレギュラーズにガニモリス達の注意が集中する前に、『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569)が群れの中へ飛び込んでいく。
「遠からんものは音に聞け! 近くば寄って目にも……っと、そこまで言葉は分からぬでござるか!」
名乗り口上でガニモリス達の注意をひきつける。
本来なら、名乗りの途中で邪魔するというのは武士にあるまじき行為だが、何しろ相手は人ではない。
気にせずに自分に向かってきたガニモリス達に紫電一閃。
3m以内にいた個体、3頭を仕留め、1頭に重傷を負わせる。
これで数の上では、イレギュラーズの方が有利になった。
『揺蕩う魂』幽邏(p3p001188)は、後衛として後ろから狙撃を行う。
1頭ずつ、確実に、丁寧にガニモリスの急所を狙ってライフルで撃つ。
主に狙っているのは、群れの後方にいるガニモリスである。
群れの前方の個体と戦う他メンバーが不利にならないよう、後方の敵を抑えているのだ。
また、幽邏は攻撃するのと同時に超聴力でガニモリスの他の群れが近づいてこないか、警戒も行う。
ガニモリスの数は確実に減っていっているが、突然新たな群れに乱入されてはたまらない。
『宵の狩人』サーシャ・O・エンフィールド(p3p000129)も、ロングボウで後方から支援する。
サーシャはハンターであり、動物特攻を持っているため、ガニモリスに対してはより強力な攻撃を行える。
狙撃で確実に仕留めるべく、こちらも1頭ずつ丁寧に狙っていく。
幽邏とサーシャが狙撃で確実に後方のガニモリスを仕留めてくれるお陰で、前衛メンバーは目の前の敵に専念することができていた。
一撃では仕留められなくても、ガニモリスに傷を負わせて動きが鈍るだけで、2人は十分にその役目を果たしていた。
一方、ティラゴニアン達はと言うと距離があるとは言え、自分達の群れの近くで戦闘が起こり、パニックは起きていないが少し距離を取ることにしたようだった。
その際、まだ体の小さな子供達をまだ若いが大人にはなっているティラゴニアン達が囲み、さらにそれをもっと大きく年長らしきティラゴニアン達が囲みながら移動していく。
弱い個体を守るための、彼らなりの知恵なのだろう。
シラスは中距離からマギシュートや魔力放出でガニモリス達をけん制しつつ、近術やエートルガトリングで近くにいるガニモリス達を少しずつ、しかし確実に仕留めていく。
下呂左衛門がかなりガニモリスをひきつけてくれているので、他のメンバーも戦いやすいようだ。
とは言え、下呂左衛門1人でひきつけている以上、無傷というわけにはいかない。
そこでユーリエが折を見て、SPLによる回復を試みている。
『浄謐たるセルリアン・ブルー』如月 ユウ(p3p000205)も遠距離から攻撃を行っているが、こちらはガニモリスをけん制するというよりも、他メンバーが討ち漏らした個体を仕留めていくことを主に動いていた。
その際、ミスティックロアで魔力を増幅しておくことも忘れない。
フロストカッターで生み出された氷の刃が、傷を負って逆上し隙の大きくなっているガニモリスにとどめを刺していく。
侠が自分に襲いかかろうとしてきたガニモリスにスーサイドアタックを全力で繰り出し、仕留めるがその横から別のガニモリスが侠にその鉤爪で攻撃しようとしていた。
ガニモリスの鉤爪は、事前に聞いていた通りその体の大きさには不釣り合いな程大きく、動脈を狙われたら一撃でやられることもありえそうだ。
スーサイドアタックを繰り出した直後の侠は、自力でこの鉤爪での一撃を避けることはできないだろう。
侠自身、もう駄目かと目を閉じた瞬間。
侠の側面から鉤爪での一撃を食らわせようとしていたガニモリスは、颯人のスーサイドアタックで即死していた。
「間に合ったか。怪我は……なさそうだな」
颯人は、たまたま侠の近くで戦っていたようで、侠のピンチに気付いてすぐに攻撃を繰り出したのだ。
「ああ、ありがとう。そういえば、こいつら連携して攻撃してくるんだったか」
2人とも、地面に倒れて絶命しているガニモリス2頭を見た。
よく見れば、侠の隙をついて攻撃しようとしていたのは群れのボスだったようだ。
その後2人は、互いに隙をつかれないよう背中を守り合うのだった。
●お茶摘みともふもふと
1体ずつ確実に仕留めていく、というイレギュラーズ達の作戦が功を奏し、ついには最後の1頭も葵の魔弾によってとどめを刺され、群れは全滅した。
ガニモリスの毛皮はそれなりの値で売れるという話だ。
しかし、毛皮を採ることを意識して戦っていたわけではないため、どのガニモリスの毛皮も売り物にはならないような状態だ。
できれば毛皮も持ち帰りたかったが、イレギュラーズは気を取り直してティラゴニアンの群れのところまで行くことにした。
戦闘のせいで少し離れてしまってはいたが、まだそんなに遠くへは行っていなかったので、すぐに追いつくことができた。
ひとまず、サーシャが手近にいたティラゴニアンを選んで目線を合わせられる位置まで飛翼スキルで飛び、声をかけることにする。
「今から、お茶を摘ませてもらうですよ」
さらに、頭を撫でようと手を伸ばすが、初対面で頭を触られるのは嫌なのか、ティラゴニアンが鼻をフンスと鳴らして顔を逸したので諦める。
ユウも近くにいたティラゴニアンに、ゆっくりと近づいて声をかけてみる。
「お茶を採らせてもらえるかしら?」
声をかけられたティラゴニアンは、ユウを見下ろして短く喉を鳴らすと、静かに座ってユウが背中に上がりやすいようにだろうか、尾を地面に着けて道を作ってくれている。
ユウは飛べるのだが、せっかくの厚意なので一旦は尾の上を歩いて背中まで上がることにした。
その後は、適宜お茶の採取がしやすいように、または採取した茶葉をまとめるために待機しているメンバーに渡すため、飛んで移動する。
持参したザックに採取した茶葉を入れながら、ティラゴニアンのもふもふした毛並みをこっそり触る。
滑らかで肌触りの良い毛並みは、撫でているだけで気持ち良い。
ティラゴニアンも、頭以外なら特に気にならないのか、毛並みを撫でられても大人しくしていた。
ある程度、茶葉を採取するとサーシャがティラゴニアンの背中には上がらずに作業していた葵のところまで下りてきて、集めた茶葉を託す。
そしてまた飛んで行っては茶葉を採取し始める。
葵は、練達上位式で動かしているぬいぐるみ達と一緒に、集められた茶葉をまとめながら、近くのティラゴニアンの毛並みをもふもふしている。
茶葉をまとめ、ぬいぐるみ達に指示をするために移動しては、別のティラゴニアンの毛並みをもふもふし、個体による毛並みの差まで楽しんでいるようだ。
「これは……すごく、もふもふ! あっ、い、いえ! 創作意欲が刺激されてたまりません! 素晴らしいもふもふ!
ではなくて、良い創作ができそうです!」
創作のため、と言いつつかなりティラゴニアンをもふもふしていた。
そうしながらも、ぬいぐるみを大きくして高所での作業を手伝わせ、きちんと仕事はしている。
幽邏は飛びながら丁寧に作業しつつ、また別のガニモリスの群れが来ないかの警戒も怠らない。
ユーリエは、ティラゴニアンの背中には上がらず、採取された茶葉を受け取ってまとめ、保管していく。
こちらも、ガニモリスへの警戒は怠らず、またコウモリのファミリアーを上空に飛ばせている。
近くに複数の群れがいるというのは肉食の生物でもあり、あまり考えにくいことではあるが万が一、ということがあってからでは遅いのだ。
下呂左衛門も身軽さを活かし、自分とは真逆の特徴を持つティラゴニアンの背中に上がる。
順調に採取していくが、もふもふしたティラゴニアンの毛と陽気のせいか眠気を感じてしまう。
軽く頭を横に振り、集めた茶葉をザックに入れると飛んで茶葉を運んでいたユーリエに声をかけ、葵の元へ運んでもらう。
「背中に乗っても良いかしら?」
他メンバーがティラゴニアンの背中に上がるのを見ているので、大丈夫そうだと分かってはいるが、アンナもきちんと声をかけてから上がらせてもらう。
尾を伝って背中まで上がるが、もふもふで丸っこい尻尾を伝うには四つん這いの方が安定する。
アンナは図らずも、ティラゴニアンの尻尾にその手で触れる機会を得たのだった。
取った茶葉は、全てザックに詰めていく。
紅茶好きなアンナは、この不思議な茶葉がどんな味の紅茶になるのだろうか、と考えながら採取していた。
苔のような茶葉は、その形のせいか一般的なお茶の葉よりもたくさん詰められそうだ。
ティラゴニアンは、イレギュラーズ達が茶葉を採取している間、気持ちよさそうにしている。
中には、そのまま眠ってしまった個体もいるようだった。
侠はティラゴニアンの背中には上がらず、まだ小さい子供のティラゴニアンの背中に手を伸ばして茶葉を採っていた。
子供のティラゴニアンも大きいとは言え、背中の面積自体はそこまでではない。
そこで侠は、採り終えたら次の子供を探して歩き回りつつ、葵達が茶葉をまとめる手伝いをして背中に上がっている者達のフォローをしていく。
「んー、いい天気。仕事じゃなかったらお茶にしたい」
シラスが茶葉をまとめて運びやすくする作業の合間に伸びをしつつ、ティラゴニアン達を眺めてこぼす。
「無事に茶葉を持ち帰れば、この紅茶を振る舞ってくれるらしい。それまでの我慢だな」
シラス同様、ティラゴニアンの背中には上がらずに雑用をこなしていた颯人が、少し表情を柔らかくして言う。
雑用をこなしつつも、ガニモリスへの警戒は続けているようだ。
「あー、そうだった。チョコ、残しておけば良かったかな」
颯人の言葉に、依頼人が振る舞ってくれるというお茶のことを思い出し、ガニモリスの群れと戦闘する直前に食べきってしまったチョコのことを考えてシラスが残念そうに言う。
「紅茶を出してくれるのに、それだけということはないだろう」
お茶菓子くらいは出してくれるだろうという颯人の推測に、シラスが何か言おうとするとアンナが一言だけ言って通り過ぎて行った。
「紅茶、楽しみよね」
●帰還とお茶会
「ありがとうございましたっ!」
3時間ほど経ち、持参した採取用のカゴやザックがどれもいっぱいになって採取が一通り終わると、ユーリエがティラゴニアン達に笑顔で言って、お辞儀をする。
ティラゴニアン達が喉を鳴らし、イレギュラーズ達に背を向けてどこかへ移動して行った。
水場にでも向かったのかもしれない。
帰り道もガニモリスに警戒しつつ、無事に依頼主である商人の元へ茶葉を持ち帰る。
その後、約束通り紅茶が振る舞われ、皆がこれを飲みながら今回の依頼についてや紅茶の味について色々話している間に、幽邏はいなくなっていた。
いつの間にか帰ってしまったのかもしれない。
紅茶は高級なだけあって独特の良い香りがあり、味は濃厚でいながらしつこかったり渋みが強すぎたりせず飲みやすかった。
お茶菓子としてチョコやクッキーなども用意されていて、皆でこれを楽しんだのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
大変お疲れ様でした。
今回は私、文月の担当しましたシナリオにご参加いただきありがとうございました。
皆様のお陰で、今年もインペリアル・アズール・ティーは市場に出回りそうです。
商人達も感謝していることでしょう。
ありがとうございました。
ガニモリスの毛皮は残念でしたが、今回の目的は無事に達成できました。
少しでも楽しんでいただけましたならば幸いです。
またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
GMコメント
閲覧ありがとうございます、文月です。
今回は大人しい大型モンスターからお茶の葉を収穫することが目的です。
以下、補足となります。
●成功条件
・ティラゴニアンの背中から茶葉を収穫する
それだけですが、高確率でガニモリスと遭遇しますので対策はしっかりと。
●ガニモリスについて
・肉は美味しくないが、毛皮にはそれなりの値がつく
・人への被害が多いため、討伐推奨モンスター
・意外と知能は高く、連携して狩りをすることもある
・攻撃力は高め、防御力は低め、素早さはかなり高め
・尻尾はガニモリスの胴体全体より少し長いくらい
・ガニモリスにとってはさすがに大きすぎるのか、ティラゴニアンを襲うことはない
●ティラゴニアンについて
・産まれたばかりの子供でも大型犬くらいの大きさはある
・とにかく大きいが大人しい
・何となく人の言葉は理解できている様子
・鳴き声を上げるのは身の危険を感じた時だけ
・基本、喉を鳴らす感じで群れの仲間同士のコミュニケーションを取っている
・見た目はずんぐりした翼のないドラゴンという感じ
・尻尾は丸っこい
・もふもふ
●その他
口調や性格等が分かりやすいよう書いていただけたりしますと、大変助かります。アドリブ不可と記載がない場合はアドリブが入ることもありますのでご注意ください。
皆様のご参加、お待ちしております。
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