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シナリオ詳細

<神逐>キリングブレード・デス・サムライ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 瓦葺の屋根が斜めに切り裂かれ、軒先三軒が横一文字に斬り飛ばされる。
 白いドクロめいた月が浮かぶ夜。ある通りの砂の地面を赤黒い具足が踏みしめた。
『オオオオオ……オオオオオオ……!』
 洞窟に反響する風の音のような声を上げたのは、見上げるほどの巨体をした具足武者だ。鬼じみた面頬をつけ、あちこち欠けた鎧の背には矢が何本か突き立っている。
 武者は両目と口から青白い炎を吹き出しながら、身の丈以上の薙刀を振り上げた。
『オオオオオオオオオオオオ!』
 身をひねって横薙ぎ一閃! 周囲の家屋が斬り飛ばされ、一拍遅れた衝撃波により木っ端微塵に吹き飛ばされた。
 巨体の具足武者は地鳴りの如き足音を響かせながら通りを進む。彼が再三薙刀を掲げると同時、刃が月光の光を反射した。


「カムイグラの守り神が、国を滅ぼそうとしているです!」
 ユリーカは力強く言い放ち、本題を話始めた。
 『絶望の青』を越えた先に見出された島、黄泉津。ここにある国家のひとつ、神威神楽には呪詛が蔓延しており、さらに強大な呪詛が放たれることを『けがれの巫女』つづりが感知した。『大呪』と名付けたこの呪詛を止めるため、敵の本拠に乗り込むことになった。
 一方で、つづりが座し『空中庭園』の代わりでもある黄泉津の『此岸ノ辺』に肉腫等が進軍。これを何とか凌ぎきるも、敵味方から多数の捕虜が発生し、特にイレギュラーズ側の捕虜は数人を除いて自凝島へと流刑となってしまう。
 『捕虜に夢中』であった巫女姫により、呪縛が緩んだ霞帝を救出した『中務卿』建葉・晴明は彼と共に『自凝島』からの転移魔方陣を発動を決定。それと同様に、『大呪』を封じ込むための四神の守護をイレギュラーズに依頼した。
 イレギュラーズの目的は、其れ其れ四神の守護を手にし、歪んだ形で発動した『大呪とけがれ』を高天御所に封じ込むこと。
 曰く、『黄泉津瑞神』と呼ばれし神威神楽の『守護神』が『けがれ』と『大呪』の影響を受け暴走しかかっているのだという。
 これを放置すれば京は崩れ、大勢の民が犠牲となるだろう、とは大精霊『黄龍』の言葉である。
「で、黄泉津瑞神のことですけど……この神様はおっきな犬の姿で顕現して、時の権力者へと預言と加護を与えるらしいです!」
 だが、獄人差別・獄人による八百万暴行事件による二種族の怨み嫉みから発生した『けがれ』と、このけがれを使った『大呪』が黄泉津瑞神の在り方を歪めてしまったのだという。
 黄泉津瑞神の叫びは高天京全体へと響き渡り、悍ましき魔性の月の加護を得て、この地をけがれの焦土へと変えてしまうだろう。
「なので、荒魂になってしまった『黄泉津瑞神』を鎮めて欲しいのです!」
 そしてこちらでは、『大呪』の獣―――要するに、大呪の影響によって凶暴化し、暴走してしまった妖怪や怨霊たちの対処を担当することとなる。
「敵は落ち武者の幽霊みたいなかっこをしてて、薙刀と刀を振り回して町をばっさばっさと斬りまくってるです!」
 この落ち武者の怨霊は体長3メートルの巨体で、高天京の城下町大通りを襲っている。どうにも『大呪』の影響で、人々を殺戮する呪詛として行動しているようだ。
 単騎での暴走であり、薙刀と二刀流を持ち替えて斬撃を繰り出してくる。射撃系の攻撃をしてくることはないものの、怨霊の体長に合わせた武器はリーチが長いので要注意。
「市街地なので、逃がしてしまうと大勢の人が殺されてしまうかもしれません。なんとしてもここでやっつけてほしいです!」

GMコメント

ドーモ、鹿崎シーカーです。要約すると、暴れ出した黄泉津瑞神の影響で出て来た落ち武者の怨霊を退治するシナリオです。

●成功条件
 怨霊の撃破

●敵
 身長3メートルある落ち武者の怨霊。二刀流と薙刀を切り替えて戦うスタイルで、此度の事件の影響を受けて『大勢の人々を殺す呪い』となっています。近接攻撃が中心。

●場所
 戦場は城下町の大通りです。高天御所、御苑の周囲に広がっているお馴染み高天京。和風の市街地戦となります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <神逐>キリングブレード・デス・サムライ完了
  • GM名鹿崎シーカー
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年11月17日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ワルツ・アストリア(p3p000042)
紅き弾道は真実に導く
奥州 一悟(p3p000194)
彷徨う駿馬
主人=公(p3p000578)
ハム子
ウォリア(p3p001789)
戮神・第四席
メル・ディアーチル(p3p004455)
笑顔の仮面
カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進

リプレイ

 巨躯のサムライゴーストが薙刀を手に竜巻めいて一回転! 放射状の衝撃波が左右の家々を吹き飛ばし、木っ端微塵の瓦礫に変える。
 鬼じみた朱塗りの面頬の両目と口部分から蒼い炎を吐く怨霊。それめがけて大通りを疾駆しながら、『笑顔の仮面』メル・ディアーチル(p3p004455)はハットを押さえた。
「んー、今回のメンバーも美人が多くて嬉しいねー。後で連絡先とか教えて貰えないかなー……なんて」
 メルが薄ら笑いを顔に張りつけ真横を見やる。彼と並走していた『黒猫ばぁてんだぁ』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)はメルの視線に気づき、視線を向ける。
「ふむ、メルさんは私の連絡先が知りたいと。わかった、あとで名刺を渡そう。まずは請け負った任務を終わらせてからだ」
「お、やった。それじゃ、頑張ってお仕事しようかなー。みんな、頑張ってねー」
 言うと、メルは左側に連なる軒に向かって跳躍。同時に、右側の軒に着地した『紅擁』ワルツ・アストリア(p3p000042)が片膝を突き、無骨な狙撃銃のスコープを覗いた。
 ズームアップされる侍怨霊の姿。吠えながら薙刀を振り上げ、反対側に振り下ろす姿を見ながら、ワルツは目を丸くした。
「Oh! いかにもって感じのミゴトなゴーストザムライね! マンガで読んだ事あるわ!」
 改めてスコープに片目を付け、引き金に指をかける!
「ブシドーの決闘では、確かアイサツが重要なんだっけ? ……ここで名乗って妙に注目されてもしんどいわね。今日の私は汚いタネガシマよ! オアイテツカマツル! イヤーッ!」
 空砲! 直後、侍が軽くのけ反り半歩後退。一瞬動きを止めた巨体に猛然と走る面々の一人、『終末の騎士』ウォリア(p3p001789)は兜の目を煌々と燃やしながら言った。
「此の地の戦もいよいよ大詰め、なれば首級は正しく選り取り見取りだ 気分が高揚するな」
 空洞に響くようなウォリアの声に、表情を緊張させた『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)が重く頷く。
「ええ。とても、大きな戦ですね。……ですが」
 リディアは走りながら手元を見下ろし、刀身に青白く光る文字を刻んだ長剣を見つめる。
「かの滅海竜すら鎮めた私達です。必ず、あの黄泉津神も……!」
 目線が明後日の方、遠く離れた城郭の上に寝そべる巨大な犬神を捉える。リディアは剣の柄を両手で握り、己の顔の前で刃を垂直に立てた!
「という訳ですので、このような所で止まってはいられないのですよ! 雑魚と侮るつもりはありませんが……落ち武者、滅ぶべし!」
「当然だ! GAAAAARGH!」
 リディアの剣が蒼炎じみた光を天高く伸ばし、怪獣めいて咆哮するウォリアの鎧が各部の隙間から炎を噴出! 首を振って顔を上げた落ち武者の亡霊は顔を上げ、闇夜を払う二色の炎を睨みつける!
『オオオオオオ……! 戦火ァー……見タァァァァァァァリィィィィィィィ……!』
 落ち武者が薙刀を後方に引き絞り、前傾姿勢で疾走開始! 地鳴りとともに直進してくるゴースト侍に、急ブレーキをかけながら『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)ショートボウを引く!
「おーおー、元気のいいこって。……しっかしまー、図体はデカイのは喜ばしいかもしれねぇが、そんなにわかりやすいなら、下準備だけで山さえ動かせるってのを一度骨身に覚えるべきだな」
 番えた矢に頬付けし、カイトはバイザー越しに目を光らせた。
「さぁ……慈善事業じゃねぇがやってやろうか。お前が齎すんじゃなくって、お前が巻き込まれる『理不尽な惨劇』って奴をさァ!」
 撃ち出された黒い矢が落ち武者の怨霊へ飛ぶ! 落ち武者は引き絞った薙刀を振り子じみて振り上げこれを迎撃! 巨大な刃が黒い矢に触れた刹那、矢は漆黒の稲妻となって薙刀から侍に駆け上がった!
『ウオオオオオオオオオオオオオオオ……!』
 黒雷に感電し片膝を突く怨霊。その傍を音も無く突破した『彷徨う駿馬』奥州・一悟(p3p000194)は目を閉じ、踏み出した足から闇に波紋が広がるイメージを思い描く。
 時間停止めいて感覚が研ぎ澄まされ―――遠くまで広がった白い波紋の一か所、左斜め前方50メートル程先に小さな波紋が新たに生まれた。
(そこかッ!)
 括目した一悟は全速力を出して落ち武者を置き去りにし、波紋のイメージが現れた方へ一直線に駆けていく! 崩れ落ちた家の一軒に辿り着き、素早く慎重に瓦礫をどかしていく彼の前に、老いた腕が突き出される。
「よし、見つけた。もう大丈夫だ。もう少しだけ辛抱しててくれよ……!」
 もがくように宙を掻く手をつかんで語りかけると、一悟は落ち武者の背に目を向けた。薙刀を杖代わりにして緩慢に立ち上がらんとする巨体の頭上に、天高く飛び出す人影!
(救助終わったらすぐに加わる! それまで戦線を頼むぜ!)
 他方、宙に飛び上がった人影―――『ハム男』主人=公(p3p000578)はブレザーのポケットに突っ込んだ手を引き抜く! 質量を無視して引っ張り出される朱色の槍を手に、見上げてくる怨霊に顔をしかめた。
「カムイグラの騒動は聞こえてたけどこれはひどいね……。ボク達で鎮めてこれ以上の被害を出させないようにしてあげよう! さあ新調した槍裁きを見せる時だ、いくよゲイボルグ・レプリカ!」
 公は空中で横回転しながら槍を振り回し、穂先を掲げながら落下! 全身を這いずる黒い稲妻に縛られた怨霊の兜脳天に槍の刃を振り下ろした!
「っはぁぁぁ!」
 脳天に槍の一撃が直撃し、怨霊がほんの僅かに前傾姿勢を取った。それを遠くから眺めつつ、メルは狙撃銃のボルトを動かして狙撃の構え!
(普通の戦場じゃデカブツ相手って言っても兵器ばっかだったから、この手の相手は不安だなーっても良く考えてみたら人の形してるんなら的がデカくなっただけか。ならやりようはあるかなーうん)
「そんじゃジャイアントキリングと行きますかっ、と」
 目を薄く開き、銃口から真っ直ぐ伸びた虹の光が飛び離れた公と入れ替わりに鬼めいた面頬の鼻先に命中して弾けた。悍ましい声を上げながら首を振る怨霊の股下を神速でモカが突き抜ける!
「足元が留守だ!」
 下方で交叉されたモカの両手刀が一瞬またたき、怨霊の両内股に大きく斬撃が入る! 血液の代わりに蒼炎を噴出させた怨霊は薙刀を担ぐように構えて振り向き斬撃! モカはバク宙ジャンプ回避しながら身をひねる!
「長物は懐に入ってしまえば対処しづらかろう。はッ!」
 ムーンサルトしたモカの両手が閃き、マシンガンじみたラッシュを怨霊の胸当てに叩き込む! さらに連続回転蹴りからのドロップキック! 命中部分に放射状の衝撃波を散らしながら怨霊が叫んだ!
『オオオオオオオオオオ!』
 胸元に浮いたモカを片手でつかみ、怨霊は前後反転投擲! 石つぶてめいて投げ放たれたモカは屋根の上に着地した公めがけて飛ぶ!
「うわっ!?」
 公は慌ててモカをキャッチし後ろに滑った。そこへ鎧武者の薙刀が斜めに振り下ろされ公の乗った家屋を粉砕! 巻き上がる粉塵から横薙ぎに飛び出した巨大刃がカイトを狙う!
「くそっ、こっち来たか!」
「カイトさん!」
 カイトの前に滑り込んだリディアが刃めがけて跳躍! 限界まで体をねじり、蒼炎のオーラを噴出した刃を振るった!
「せああああああッ!」
 十字を描く形で激突する二つの刃! 振り切らんとする怨霊の薙刀と歯を食いしばるリディアの剣が激しく軋む! その隙を突き、ワルツは怨霊の左足首を照準!
「狙われてるのに足を止めるなんて! ウカツ!」
 再度の空砲と共に怨霊の左足がわずかに下がり、巨体が若干前のめりに耐性を崩す! そこへ鎧の背から炎を噴出したウォリアがミサイルじみて急接近!
「似通った様な風貌は……まぁよかろう。…………いや、やはり巨体で見下ろされると……どうにも無性に腹が立ってくるな、昔のオレ程の大きさで無いとは言え、巨大な鎧に見下ろされるのは……うむ……」
 ウォリア両目の炎が爆ぜた!
「やはり気に食わん! バラバラにして燃やしてやる!」
 振り抜いた長剣を炎で包み、ウォリアは怨霊の左膝を一閃! 半ばまで膝をかっさばかれた怨霊の身体がぐらつくと同時に、リディアは剣を振り切って薙刀を弾き返した!
 遠くまで距離を取ったカイトが自分の周囲に黒い呪符を撒き、両手を地面に叩きつける!
「やれやれ。至近戦闘は正直ご遠慮すんぜ。なにせ……俺はお前を惨劇を彩る為の立役者にすぎねぇからな」
 呪符とカイトの身体が青白く冷めた光に包まれ、光の粒子を巻き上げる! バイザーの奥から左膝を突いた怨霊を見据え、カイトは呟いた。
「踊り子に手を触れるつもりはさらさらねぇぜ……せいぜい踊ってくれ、その図体でさ!」
 直後、怨霊の足元にアイスブルーに光る円陣が展開し、具足の両足を円から次々と生えた氷の墓標が飲み込み始めた! 怨霊は足元を見下ろし、頭上で回転させた薙刀を地面に突き下ろした勢いで立ち上がらんとす!
「おいおい、無理するんじゃあねえよ」
 カイトは不敵な微笑みを浮かべながら両腕から両肩に力を込め、身を包む光を強める! 四方八方に吹き出す冷気。怨霊の足元から墓標の生える速度が上がるも、怨霊は氷の墓石を砕きながら立ち上がった!
『オオオオオオオオ……!』
 怨霊が足場から凍った足を引っぺがした! 円陣の外に振り下ろし、左足は膝から下を引き千切る! カイトは軽く肩を竦めた。
「舞台から降りちまったか。そんなに気に食わなかったか?」
『オオオオオオオオオオオオ!』
 片足となった怨霊が再度薙刀を振り上げる! 刹那、その後方から炎をまとって猛然と疾駆してくる影あり! 燃えるトンファーを両手に低姿勢ダッシュしてきた一悟だ!
「なんだ、急いで戻って来てみりゃ、片っぽ足もげてるじゃねえか。……じゃ、もう一方は俺がもらうぜ!」
 軽く屈んだ一悟は炎を激しく渦巻かせて斜めに跳んだ! 怨霊の残った足の大腿部裏側に紅蓮の巨槍じみたトンファー突きが直撃し、内側から爆発粉砕! 両足を失った怨霊の身体が大きく後ろに傾く!
『オオオオオオオオオオオオオオオオ!』
「よう、散歩するにはいい夜だな。退屈してんならオレたちと遊ぼうぜ」
 夜空に飛び出した一悟が空中でトリプルアクセルを決めて炎を散らし、仰向けに倒れゆく怨霊を見下ろした。
「いや、お前に散歩する足は無いんだったな!」
 不敵に言い放った直後、空中で仰向けになった怨霊の腹部にモカが着地し、神速スプリント! 残像が黒い蛇じみて怨霊の腹から胸、頭部を抜けた。怨霊の頭から飛び降りたモカは振り向かずに呟く!
「毒蜂乱舞脚。喰らえ!」
 直後、怨霊の腹や肩、首、面頬の両目など鎧の隙間から噴火めいて衝撃波が吹き出す! それに押されて背中から地に叩きつけられた怨霊の真上めがけ、瓦屋根の上にいる公が朱槍を投げて自らもジャンプ!
「これがボクなりの使い方だ!」
 怨霊の直上、回転する槍の上方を取った公は右足を振り上げ、穂先を真下に向けた槍の柄尻にかかと落とし!
「ゲイ・ボルグッ!」
 垂直に蹴り落とされた槍が怨霊の胴鎧をぶち抜き蜘蛛の巣状に亀裂を入れる! ひび割れから吹き出す青白い炎! 怨霊が苦悶の叫び声を上げた。
『オオオオオオオオオオオオオオオオ!』
 鎧の隙間から人魂の如き炎を轟々と燃やし、怨霊は薙刀を手放す。そのままフリーになった両手を握り、地面を殴りつけた反動で起き上がった! モカが驚いて振り返り、公が目を丸くする!
「まだ動けるのか!」
「うっそ! 絶対クリーンヒットしたって!」
 両足の切断面で地を踏みしめる怨霊の真正面からウォリアとリディアが共に斬り込む! 二人の剣がそれぞれ赤青二色の炎を灯した!
「両足を斬り落としてもまだ戦うか。ならば次はその両腕だ!」
「もう満身創痍のはず! このまま押し切ります!」
 ハイジャンプしたリディアは蒼炎噴き出す長剣を大上段に振りかぶり、ウォリアは燃える両目で怨霊の右肩を照準! 怨霊は背を丸め、腕を交叉させる形で両腰に刺した刀の柄をつかむ!
「七つ星の輝きを見よ! セブンスターズ『ガラティーン』ッ!」
「ぬおおおおおおおお!」
 長大な火柱と化したリディアの剣が振り下ろされ、ウォリアが怨霊の右肩めがけてジェット噴射で飛びかかる! 迫る天地から迫る二色の業火を前に、怨霊は両目を強く燃やした!
『イアァァァアイイイイイ!』
 抜き放たれた二刀が虚空に巨大な『く』の字を描いた! 次の瞬間、一拍置いてリディアとウォリアが吹き飛ばされる! 砲弾じみた速度で家々に突っ込む二人を余所に、怨霊は両足断面から鬼火を噴射して飛翔!
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』
 怨霊の巨体は瓦屋根に着地した一悟の眼前と、大通りでとっさに防御態勢をとるカイトの頭上を通過! ソニックウェーブを引きながら両の刀を翼めいて広げる。振り返ったカイトが叫んだ!
「メル! ワルツ! 狙われてるぞッ!」
「みたいねっ! 一旦引くわよ!」
 狙撃銃を上げたワルツが踵を返して全力ダッシュ! 大通りを挟んで対面の屋根に居たメルは立ち上がりながらボルトアクションライフルに弾丸を入れ、迫りくる怨霊の眉間めがけて一発BLAM! 面頬の眉間に火花!
「これでちょっとは引き撃ちしやすくなるかなっと」
 僅かに飛行速度の緩んだ怨霊を余所に、メルは大通りに飛び降りて疾走! 全速力で距離を取る二人を追いかけながら、怨霊は二刀をそろえて振り上げる!
 それを全力疾走で追いかけながらカイトは両手の人差し指と親指でフレームを作り、その中に怨霊を捉えた。
「待てよ。主役がどこ行こうってんだ!」
 地面から怨霊の目前に立ち上がる黒い壁! さらに怨霊の左右と後方にも同様の壁が突き上げ、黒い天蓋が頭上を閉ざす! しかし怨霊は二刀を振るってこの箱を破壊し追跡を続行! 狙撃手二人に追いすがる!
『オオオオオオオオオオオオオ!』
 巨大なVの斬撃が地面を砕き、濃い砂煙を巻き上げる! ベージュの霧から飛び出したワルツは咳き込みながらも笑みを浮かべた。
「知ってる? 逃げる戦士は追う戦士より遠ざかるから致命傷は受けにくいのよ!」
「初耳だねえ。今度詳しく教えてよ。お茶でもしながらさ」
 軽口を叩きながら砂煙を脱するメルの真後ろから巨大刀の切っ先が飛び出した! 振り返ったメルの僅かに開いた目に銀色の閃光が突っ込んで来たその時、刺突を繰り出す怨霊の背後上空に一悟が割り込む!
「おい待てよ。敵に背中向けて逃げんのは武士道にもとるんじゃあねえのか?」
 右手を握り、体全体をひねって引き絞る! 右拳の指の隙間から赤橙色の光が漏れ出し、太陽の如き光を放った! 一悟は体のひねりを解放しながら右掌底を繰り出す!
「おらッ! 燃えやがれッ!」
 放たれた真っ赤な爆炎が怨霊の背面に叩きつけられ、巨体は大地に打ちつけられた! 激しい熱風が走るワルツの背中を炙る!
「あっつ! でも助かったわ! ブッダのくれた蜘蛛の糸ね!」
「どっちかっていうとキング・エンマとやらのアレじゃない? ま、どっちでもいいけどさ」
 ワルツとメルは急ブレーキをかけながら前後反転、それぞれの狙撃銃を立ったまま構える! ワルツのなびく髪が銃ごと真紅に輝き、己の胸元に押し当てられたメルの手の平に白い光がわだかまった。
「えーと、なんて言うんだっけ? こんなとき」
「ハイクを詠め、よ! 詠めるか知らないけど!」
 ワルツが片膝を地に着くと同時に、メルは胸から離した手の平にある陶器じみて白い銃弾を込めて狙撃銃のボルトを引いたうつ伏せになった怨霊は振り向きながらの二刀斬撃で一悟を弾き飛ばした!
「ぐおおおおおおっ!」
 一悟のザックリと抉り取られた腹から鮮血が飛んだ。鎧の隙間から蒼い炎を吹いて起き上がり、二の太刀を振る怨霊の剣をロケットめいて飛翔したウォリアが剣を振って弾く!
「大人しくしていろ!」
『オオオオオオオオオオオオ……!』
 仰向けに倒れかける怨霊の後頭部に、ワルツとメルが一緒に狙撃銃を発射! 二発の銃弾が面頬の額を貫き、月の浮かぶ夜空に飛翔した。赤と白の光が消え去った暗い空に剣を掲げたリディアが跳躍!
「是こそは! 邪竜を滅ぼす星の剣ッ!」
 長剣から吹き出す青白い光が夜の空を真二つに割る! 傷口に蒼炎をくゆらせた怨霊が吠えながら両の刀を翼じみて広げた瞬間、刃の半ばが一瞬黒く陰って砕き折れた! 怨霊の背後に瞬間移動の如く出現したモカが吠える!
「他の戦場でもローレットの仲間たちが戦っているんだ! 私たちも負けるわけにはいかないだろう!」
「その通りですッ!」
 リディアがカッと括目し、全力で剣を振り下ろす!
「セブンスターズ『バルムンク』ッ!」
 轟とうなりながら迫る火柱の如き剣! 刀を折られた怨霊がとっさにクロスガード体勢を取ったその懐に、拳を引き絞った公が出現! 神速の拳が鎧の腹を撃ち抜き巨大な風穴を開いた!
「これでよしっと!」
 高速で公が飛び退くと同時、前のめりになった怨霊をリディアの剣が叩き割る! 空中で剣を振り切ったリディアは、怨霊に向かって言い放った。
「どうか成仏してくださいね、ナムサン!」
『サヨ……ナラ……!』
 やまびこじみた断末魔を残し、怨霊は爆発四散した。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ドーモ、鹿崎シーカーです。今回はPPPでの初依頼にご参加いただきありがとうございました!
ひとまずストレートな純戦闘依頼でしたが如何でしたでしょうか? 初めてということで気合いを入れて書いてみましたが、お気に召して頂ければ幸いです。
PPP三周年から新規参入。これからもちょくちょくシナリオを出させて頂きますので、よろしくお願い致します。

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