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シナリオ詳細

混沌サッカー! ファンタズマイレブン!

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●サッカーの力を知れぇい!
「うおおおおおおくらえええええ! 十六連射大宇宙海老反り回転シュートッ!」
「「ぐああああああああああ!!」」
 少年が蹴りつけた途端、ボールは黄金に輝き謎のぐにゃぐにゃした変形を経て進路上の人々をひたすらに吹っ飛ばし大地を大胆にえぐりながら突き進む。
「来い! 俺の身体で止めてみせ――みゃんぐ!?」
 大岩のごときオールドワンの巨漢が立ち塞がるが、おお哀れなり! アゴにくらって回転しながら箱形ゴールネットを突き破っていくではないか。
「ヤったぜ!」
 髪のツンツン逆立った少年はガッツポーズ。
 スカイウェザーの審判が上空からホイッスルを鳴らせば、会場の人々は歓声をあげた。
 花束のようなマイクスタンドに身を乗り出す実況ハーモニアと、タコそのものの解説ディープシーも興奮気味に叫び出す。
「ゴォール! さすがはファンタズマイレブンのエース! シュウト選手の必殺技が炸裂しました。本試合二本目の連続ゴール、ハットトリックまで後一本! これは試合から目が離せませんねえ、タコスさん!」
「ハァイ!」
「異世界で銀河をかけて行なわれていたという一般的スポーツ『サッカー』を混沌で再現しようという試みは十数年の月日と十数人の練達技術者の手によってついに完成しました。そうですねタコスさん!」
「ハァイ!」
「その第一回大会がここ幻想で行なわれ、貴族たちをスポンサーにしたサッカーチームがいくつも作られました。そうですねタコスさん!」
「ハァイ!」
「その中でも優勝候補はこのファンタズマイレブン。シュウト選手の活躍のたまものですね、タコスさん!」
「ハァイ!」
「さあ試合も終盤。相手チームが選手の交代を求めてきました。どのような展開に……おっとぉ!? 会場に銃で武装した選手たちが入ってきましたよ!」
「ハァイ?」
「これは……」
「ハァイ」
「ルールには『銃で武装したらだめ』とは書いてませんね! 審判も満面の笑みでOKサインです!」
「ハァイ!」

 マシンガンや拳銃、ナイフや槍で武装した選手たち。ユニフォーム(鋼鉄の鎧)の胸に輝くドクロマークがチームの証。ブラックヘルズだ!
 彼らはロープでがんじがらめにした美少女を突き出し、頭に銃を突きつけた。あとピアスしたベロを出した。
「ケケケケケ! こいつは貴様のカノジョだな? 頭を吹き飛ばされたくなかったら降参するんだな!」
「ヒトミィ!」
「ごめんなさいシュウト君、あと私カナミよ!」
「お前たち、卑怯だぞ! カナエを離せ!」
「カナミだつってんだろ殺すぞ!」
 銃で美少女の頭をこつこつ叩くベロピアス。
「諦めな。頼りの仲間は来てねえらしいしな」
「くっ……仲間たちさえ来れば!」
 悔しげに歯噛みするシュウト。
 そんな彼の背に、『仲間たち』の声がかかる。
「「またせたな!」」
 彼ら――いや、『あなた』たちが、コートへと繰り出した!

●サッカー。世界を支配したっていうあのサッカー。
 皆はサッカーという言葉をきいたことがあろうか。
 魔神を召喚してサッカーボールごと殴り飛ばしたり、相手を凍り漬けにしたり、山を作って吹き飛ばしたり、時空を遡って存在を抹消したりするあのスポーツである。
「基本11対11で行ない、相手のゴールにボールを叩き込んだら1点! とてもシンプルなルールなのです。これさえ分かっていればなにも問題ないのです」
 自信満々にいう『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。
 彼女が説明するのは、ローレットに寄せられたサッカーの臨時メンバー依頼である。
「本来参加するはずだった選手さんたちは謎の闇討ちを受けて出場できなくなってしまったのです。
 今回の依頼は、その穴を埋めるために急遽スポンサーの貴族さんから寄せられた依頼なのです。
 皆さんは先行して会場入りしてる一人のメンバーと協力して、試合に挑戦してほしいのです!」

 さあ、準備ができたら出場だ!
 サッカーボールが、君を待っている!

GMコメント

【オーダー】
 成功条件:サッカー試合にファンタズマイレブンの選手として参加する

 皆さんは急遽組まれた即席チームです。
 サッカーの才能だけはあるNPC『ケマリ シュウト』くんと共に、卑劣なるダークチーム『ブラックヘルズ』とサッカーで戦いましょう。

【サッカー】
 異世界で行なわれていたらしい大人気スポーツです。
 混沌でも再現しようと沢山の天才が余計なハッスルをみせた結果できあがりました。
 決められたボールをシュートし、相手チームのゴールにぶち込んだら1点。
 制限時間内に沢山入れた方の勝ちというきわめて分かりやすいルールになっています。

 銃撃、スキル攻撃、人質、買収、ダンス、カーニバル、ドラミング、あらゆる行為がサッカーの延長上であるかぎり許可されます。
 スポンサーどうしが『とりあえず殺さない程度にやろう』と決めているので、一応殺さない程度にやってください。
 もっというと、『出来るだけかっこうよくプレイする』ことで成功度が上がります。

【状況】
 即席チームを組むまでの間、シュウト君一人で戦っていました。
 才能があるのか相手が弱いのか善戦できていたのですが、人質の……あの……カナコ? ちゃんのために足を止め、ただいま手を出せない状態です。
 そこへ颯爽と現われ、状況を覆すところから始めましょう。

 相手チーム『ブラックヘルズ』は卑怯卑劣のダーティプレイが売りです。シュウトのチームメイトも彼らに闇討ちされてしまいました。
 人質や闇討ちは勿論、銃撃やナイフ攻撃、爆弾や毒まき。急に説得をしかけて試合をやめるよう求めたり、ルール無用なのをいいことに卑劣な行為をさんざんやらかします。
 途中までは雑魚メンバーでしのいでいましたが、人質をとってからはフルメンバーに交代しています。
 こんなダーティチームを格好良く倒したら、こう、格好良くないですか? 名前が売れたり報酬にイロがついたりする気がしませんか。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 混沌サッカー! ファンタズマイレブン!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年05月08日 20時55分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
リノ・ガルシア(p3p000675)
宵歩
フロウ・リバー(p3p000709)
夢に一途な
黒杣・牛王(p3p001351)
月下黒牛
Q.U.U.A.(p3p001425)
ちょう人きゅーあちゃん
原田・戟(p3p001994)
祈りの拳
ブーケ ガルニ(p3p002361)
兎身創痍
アベル(p3p003719)
失楽園
錫蘭 ルフナ(p3p004350)
澱の森の仔
フランシス=フォーチュン(p3p005019)
知識の迷い子

リプレイ

●サッカーってあれでしょ、シュートに見せかけて敵を蹴り殺すやつ
 モノクルをさわる『知識の迷い子』フランシス=フォーチュン(p3p005019)。
「サッカーについてはもちろん完璧に知っていますよ。ボールを……そうそう、えっと少し待ってくださいね」
 本をぱらぱらとめくったあと、顔を上げた。
「最後にフィールドに立っていた者が勝つスポーツですよ」
「なるほど」
「シンプルだな」
「大丈夫? 自由すぎない?」
 心配そうに語る『猫派』錫蘭 ルフナ(p3p004350)。耳についたコーヒー色のリボンがゆれる。
「ボールを置いただけの集団バーリトゥードじゃないの?」
「異世界のスポーツだもの。でもこういう無秩序なのって、キライじゃないわ」
 下唇を中指でなぞる『宵歩』リノ・ガルシア(p3p000675)。
「鞠を追って的に向かって蹴り上げれば良いのですね。相手はかなりの強敵で、卑劣な策を用いる方ばかりですが……私たちは私たちで普通に遊びましょうか」
 こっくりと頷く『月下黒牛』黒杣・牛王(p3p001351)。
 普通ってなんだろう。そう思える一瞬である。
 空気をかき消すかの如く下からびよんと飛び出す『人 工 無 能』Q.U.U.A.(p3p001425)。
 左目の前で横ピース。
「なにをしてもいいんだって! なんでもできる! たのしそう! ふりー、だーむっ!」
 両手でピースしてばんざいするQ.U.U.A.。
 ガスマスクをつけた『破片作り』アベル(p3p003719)も、ふつふつと笑っているように見える。
「敵もダーティプレイがお得意のようで。それはそれは大変結構。そりゃ勝利の為に努力するってのは美しい行為サ」
「……殺人がご法度ならまだ楽です」
 『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)もどこか遠くを見てそんな風に語った。
「でも、でも、汚いのばかりはいけませんの」
 手をぱたぱたとやる『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)。
「ですのでわたしは……殴ったりせずに、正々堂々勝負しますの」
「いいだろう」
 『祈りの拳』原田・戟(p3p001994)が拳を握って顔の前に掲げる。
「この武も元々はスポーツとして身に修めようとしていたもの。競技選手に感じ入ることがないでもない。この外道に堕ちた身でよければ力になろう」
 ――彼らは選手入場口を駆け抜け、日の当たるコートへと飛び出した。
 一人でコートを守るシュウト。勢揃いするブラックヘルズ。人質にとられたキャナコ。
 ビッと手を翳す『兎身創痍』ブーケ ガルニ(p3p002361)。
「待たせたな! いつも主役は遅いんじゃわ。サッカーで共に青春を謳歌しよか!」
 こうして、あのシーンへとつながるのだ。

●何でもありの残虐ファイト
「ローレットみんな、来てくれたのか!」
「来たよ」
 ルフナはてくてくとシュウト少年の横に立つと、ネコを抱っこして銃を突きつけた。
「お前達、この可愛い猫ちゃんがどうなってもいいの?」
「何っ!?」
「猫質だと……卑怯な!」
 目には目を。人質には猫質を。ブラックヘルズに意外といた猫派が半歩後退った。
「ふぁふぁの毛皮、肉球もピンクの可愛い猫ちゃんが可哀想だろ?」
 追い打ちをかけるルフナ。
 ブラックヘルズのネコ派たちは冷や汗をかいた。
「聞いたことがある。異世界の軍隊が盾にネコを貼り付けて進軍したという話を」
「クソッ、とんだ外道だぜ……!」
「たしかにえげつないとは思うけど」
 たぶん等価ではないよね、とは思うが黙っておく。
「おいお前ら、なにナヨってんだ? こっちには人質いるんだろうが」
 ブラックヘルズがモメ始めたところで、リノのブーケがシャッと相手選手のそばに詰め寄った。
「あら、お口からピアスが覗いてるわよ。とっても可愛くてセクシーね」
 リノはベロピアス(名前がわからない)の舌を指先でつまむと、ぐいっと顔を寄せた。
「その子より私と遊んでほしいわ、お兄さん」
 その一方で、ブーケが銃を突きつけてる選手のそばでちらりと膝を見せた。
 ブーケとリノがほぼ同時に上唇を舐める。
「なぁ、そんな子やのうて、オニーサン、俺にしとかへん?」
「「……ね?」」
 ここでイエスと言えるほど油断してはいない。
 しかし、少なからず油断をしないわけにはいかない。
 誘惑によって生まれた隙は、致命的な隙となる。
「ていやー!」
 両手にクリームパイを構えたQ.U.U.A.がベロピアスと銃突きつけてる人の顔面にパイアタックを仕掛けた。
 よほどおかしなものが入っていたのか『目がー』といってのけぞる二人。その隙に相手選手の女性が人質のミナミちゃんをシュウト少年のほうに突き飛ばした。
 なぜ仲間割れのようなことを? 理由は今からしばらーく前に遡る。
『今こそあなたが輝く瞬間ですよ。僕は思います。この舞台、この試合が運命の分かれ道。注目されるのは暴力的で派手な人たちばかりです。でも、その中に光明が一つだけあります!』
 さっきの女性を捕まえたフランシスがピンポイントな説得を試みたのである。
「あなたは一瞬だけ勇気を出すだけで多くの人たちから英雄扱いを受けるでしょう。聴きたいですか? 良いでしょう教えますとも」
 相手の返事をまるで待たない調子でまくし立てる。
『カナセさんに銃を突き付けている役を代わると申し出て、そのままこちらへカナ……タさんを連れてきてください。その時に『こんな非道ばかりする奴らとは縁を切る!』みたいな啖呵をきったりするとより一層盛り上がりますよ。名前が売れたり、もしかしたら報酬にイロがつくかもしれません』
 と、いうことで。
 相手の度胸の問題で100%の効果は出ないにしても、そこそこ都合のいい状況は作れたようだ。
 もっと言うと――。
「破ァッ!」
 戟の連続ハラパンが当の女性とカナリちゃんの腹に叩き込まれた。
 げふうと言って気絶するカナコちゃん。クの字になって飛んでいく女性のひと。
「ケケケ、俺たちを倒しても無駄だぜ。観客席にはスナイパーが潜んでるんだよ」
「あれのことですかね」
 観客席を指さすアベル(分身)。
 そこにはアベル(本物)がそのへんの観客もろともなぎ倒したスナイパーが倒れていた。
「色男、金と力はなかりけり……なんて言うけど例外はいるもんだろ?」
「貴様よくも……!」
 ライフルを持って立ち上がるスナイパー。アベルはその場で格闘を始め、巻き込まれそうになった観客たちは悲鳴を上げて逃げ出した。

「おおっとこれは激しい展開になって参りました。しかし最悪観客を殺してはいけないというルールはありません。合法ですね、タコスさん!」
「ハァイ!」
 実況解説の後押しもあってか早速ボールをはさんだ殺し合いになりつつあるサッカーコート。
 ノリアがよいしょと言ってサッカーボールをしっぽでクルッてやると、頑張って巻いたままの状態にしながら空中をういうい泳ぎ始めた。状態が状態だからかそんなに早くはないようで、斧を振り上げたホッケーマスクの大男(サッカー選手)が襲いかかってくる。
「フンガー!」
「口を動かす前に身体を動かしたらどうですか?」
 フロウがマギシュートとマジックミサイルを放ち、ホッケーマスクを横から射撃していく。
 対してトゲつき肩パットをしたモヒカン(サッカー選手)が火炎放射器を乱射する。
 真っ向からの撃ち合いだ。
「道は撃ち拓きます。どんどんいきますよ」
「おはぎ、ちゃんと隠れていなさい」
 牛王もノリアに混ざってボールを狙い、ゴールへ向けて走り出す。
 なんだかおはぎという名前のネコと一緒にコートに入っているようで、間違って蹴っちゃわないように気をつけているらしい。
「ヘッ、俺らが人質しか用意してねーわけネーじゃんなあ!」
 顔をクリームだらけにしたベロピアスは空にサブマシンガンを乱射すると、ベンチから覆面をした男たちが釘バット片手に流れ込んできた。

「おおっと突然暴れ牛です! コートに巨大な暴れ牛が現われました! しかし牛を放ってはいけないというルールはありませんね! タコスさん!」
「ハァイ!」
 放任主義の親みたいなことをいう実況を背に、牛王転生で2メートルの牛に変身した牛王は釘バットをもった男たちと戦い始めた。
 彼に守られるようにして宙を泳ぐノリア。
 翼を広げた女にボールを身体ごと掴まれ、高所へと引っ張り上げられる。ボールの奪い合うため取っ組み合いの喧嘩を始める二人。
「おおっと次は空中戦です! 空中戦が始まりました。これも合法、そうですねタコスさん!」
「ハァイ!」
「ぱ、パスですの!」
 このままじゃボールごと蹴り飛ばされると踏んだノリアが味方にボールを投げ渡した。
 すげー余談になるが、このサッカーに『ハンド』みたいなルールは書いてないので抱えて走ろうが飲み込もうが自由だったりする。当然ラグビーみたいにガッてされるのは同じである。
「そいつは俺の獲物だァー! 死ねェー!」
 飛んできたボールをとろうと、ベロピアスがサブマシンガンを乱射しながら駆け寄ってくる。
 レザーバックラーを翳して弾を防御しつつ、マジックミサイルで対抗するフロウ。
「なんでもアリはローレットの得意とする所です」
 一方、ガラガラになった観客席からはアベルがライフルの三脚を立ててコート内の選手を狙い撃ちしていた。
「あくまでサッカーで勝つのであって、これは戦争じゃない。殺しはしないよ」
 フロウと戦う選手の足を狙ってトリガーをひくアベル。
 放たれた銃弾が大気を穿ち、選手の太股を貫通して芝へとめり込んでいく。
 『オオウ』と言って転倒する選手の上を、フランシスの遠術が通り抜けていく。
 対抗する魔術が交差し、選手同士の打ち合いに発展した。
 飛んできた魔術を交わし、ボールをとった仲間をフォローするように遠術を放つフランシス。
 流れ弾がはね、芝と土が爆ぜていく。
 スローモーションで舞う土の中で、フランシスは次なる攻撃を構える。
 その横を駆け抜けていくのは身を低くしたリノだ。
 奪ったボールを頭の上に挟み込んで走ってくるクワガタみたいなヤツへ向け、滑り込むように足払いを仕掛ける。
 外れて転がっていくボール。
 リノを振り払うべく繰り出された剣を、リノはナイフで受け流した。
「イケナイ子ねぇ、そんなに玩具を振り回して遊んでほしいの?」
 ぱちんとウィンク。一瞬リノの魅力に目を奪われた相手選手の横を、重武装の相手選手が抜けていった。
 ミコシに担いだ大量のボールを、ミコシのままゴールへ飛び込むという強引きわまりないプレイだ。ゴウランガ!
「Q.U.U.A.ちゃんとゴールは俺が守る! なんてなぁ」
 膝をちらりと出したブーケがウィンクすると、気を取られたミコシ=ウォーリアーが思わず転倒した。
 大量に転がり落ちたボールを逆に蹴り飛ばしていくブーケ。
「ワッショイ!」
 屈強なマッチョマンがフライングキックを仕掛けてきたが、ブーケは豪快な後ろ回し蹴りで相殺。否、その勢いのまま蹴り飛ばしてしまった。
 あわてたのはゴールを守っていたQ.U.U.A.である。
 転んだミコシから大量に転がってきたボールを前に両手両足をばたばたさせた。
「ぴゃー! ボールがいっぱい! 止めなきゃ止めなきゃ!」
 顔を(><)みたくして高速反復横跳び。ボールを掴んでは投げ掴んでは投げしていく。
「ボール、たくさんあるのたのしい!」
 なんかテンションが上がってきたようで、味方へ向けてどんどんボールを投げていった。
「はっ、私は一体」
「気がついたのか、キナコ!」
「カナミよ!」
 気絶から復帰したツナミと共にコートへ飛び込んでいくシュウト。
「シュウトくん、みんな! チャンスだよ!」
 Q.U.U.A.から渡されたボールは数多い。
 その殆どを仲間たちはキャッチして、ゴールめがけてシュートした。
 その中で異彩を放つノリア。
 『わたしでつつまなきゃ』とばかりにボールを自らで包むと、自殺行為に等しい勢いでゴールへと突っ込んだ。
 キーパーの選手は両腕にチェーンソーをうならせ口から火をはいて構える。
「グハハハハ! 貴様もろとも八つ裂きにしてくれるわ!」
 すげえこと言ってるけどこれも合法である。
 ノリアはキッと相手をにらむと、真後ろを走る戟へ振り返った。
「こうなったら、最後の手段ですの!」
「よかろう」
 戟はシュートを阻もうと左右から飛びかかる相手選手にダブルハラパンを繰り出し薙ぎ払うと、感謝の祈りを胸に抱いた。
 一説によれば人間が考えてから動くにはコンマ二秒かかるという。しかし祈りという思考と動作が定型化した動きはその間隔を無くし、光の速さで身体を動かすと言われていた。
「砲ゥ!」
 ノリアに繰り出されたハラパン(合意)は見事に炸裂し、『きゃふう!?』といいながらノリアが吹っ飛んでいく。
 まさか味方を殴るとは思わなかったキーパーも『べふう』と言って打ち倒され、ノリアはボールごとゴールネットを突き破っていった。
 続いて無数のボールがゴールのフレームを抜けて飛んでいく。
 空から見ていた審判のホイッスルが連続して鳴り響く。
 『ゴール!』
 という実況の声が会場に響き、一秒ほどしてから試合終了のブザーが鳴り響いた。

 こうして迎えた逆転勝利。
 ファンタズマイレブンはおびただしい血と消炎の向こうに勝利を掴んだあらくれチームとして、超時空サッカー史に名を刻むのであった。
 尚。
 貴族たちが一般的に知られてるサッカーが全然違うルールだと気づくのは、これから二週間後のことだったという。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!
 ――winning!

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