シナリオ詳細
秋の味覚を召し上がれ?
オープニング
●食べたい秋の味覚は?
「んー……」
カチカチとシャーペンを動かしながら、企画担当が眉根を寄せる。
先ほどから寄せられっぱなしの眉間の皴は、きっと暫く残るだろうと広報担当は苦笑した。
「それで、コンテストで作る料理は決まったのか?」
「それがなぁ……悩んでる……。とりあえずデザート系、それも秋らしく芋栗南瓜までは決めたけど……」
「そこから更に限定するか悩んでる、と……」
「そうなんだよー……!」
秋と言えば実りの秋。
旨味がギュッと詰まったキノコ類もあれば、冬に備えて脂ののった肉や魚もある。そして何より、ずっしりと実った甘い果物。
今回はこのうち果物を使った料理コンテストを計画しているのだが……コンテスト参加予定をしていたパティシエが四人、別々の事情で参加を辞退してしまったのだ。
病と不幸は急にやってくる……。あ、最後の一人は片思いの女性に振られて気力がない? それは……ご愁傷様です。
そんなわけで急遽飛び入りを募集してのコンテストになったのだが、そうなると今度は料理が問題だ。
飛び入りでも作れて、材料もすぐに集められる、なおかつみんなが知っている料理。
「作った後会場にいるみんなで試食、投票で優勝決めること考えたら、ある程度決めておいたほうが良いもんな……」
好き勝手作られたら、数が多いほうが目立つし、珍しい料理を作ったほうがインパクトがある。だけどこれはコンテストだからある程度の平等性は必要で。
「じゃぁ、モンブランとプリンで」
さっくりと言った広報担当に、企画担当は胡乱な眼差しを向ける。
「なんでその二品?」
「そりゃ……俺が食べたいから」
にかっ。と笑った広報担当に、企画担当は飽きれながらも「じゃぁそれで」と書き込むのだった。
●料理コンテストに出場しよう!
「参加者が、足りないんだって」
キラキラと目を輝かせて、フェリーチェが一冊の本を見せる。
『秋の味覚コンテスト! 一番美味しいデザートは誰が作る!?』
そう書かれたページを見せると、フェリーチェはぎゅっと拳を握る。
「後四人参加者が足りないの。作るのはモンブランとプリン。必ず芋栗南瓜を使わなきゃいけなんだけど、それ以外は自由だって」
コンテストの流れとしては、参加者がステージ上で料理を作り、会場にいる人たちが試食、投票。その結果で優勝を決めるという緩い物だ。
勿論作った後は他の参加者の作った物を食べられるし、腕に自信がある物は参加してみてはどうだろう?
- 秋の味覚を召し上がれ?完了
- NM名ゆーき
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年10月31日 22時12分
- 参加人数4/4人
- 相談4日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●それぞれの思いを込めて
『お待たせしました! ただいまより秋のデザートコンテストを開催します!!』
マイク越しに聞こえる軽快な言葉に、観客が拍手し、風船が飛んでいく。
『残念なことに出場出来なくなった方もおりますが、その方々の代わりに飛び入りで参加してくださった方々もいます! 果たしてどんなお菓子が登場するのか楽しみですね!』
棄権してしまったパティシエのファンたちは残念そうだが、代わりに出場する人がどんなお菓子を作るのかと楽しみにしている観客が殆どだ。
設置された巨大モニターに映った六人は、早速調理に取り掛かるのだった。
あれ? と思った時には遅かった。
秋の味覚コンテストなら色々食べられると思ったのに、何故か作る方になっている。しかし受けてしまった以上ベストを尽くすのがプロ。いや、世界は自分自身をプロだと思っていないが、それくらいの責任感はある。しかしお菓子は食べたい。
少しだけ悩んだ『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)が出した結論は――
「……こうなりゃ試食で満足するしかない!」
お菓子を作り、その後試食で他の人のお菓子を食べることだった。
その為にはまずお菓子を作らなければならない。
「必須食材は芋、栗、南瓜……まあオーソドックスなやつだな。境界特有の変な材料じゃないだけ安心だ」
目の前あるのはいたって普通の食材。味もいたって普通のようだ。
「これでプリンとモンブランか、ふむ」
材料を吟味しながら頭の中で作る物を考える。
大粒の栗に小麦粉、卵、バターに砂糖。他にも必要な材料を取っていく。
『おっと、世界さんが早速変わった動きを見せてくれました! まさかの柿!』
司会が言うように、世界の手には柿が。
そう、世界が作るのは柿のモンブラン。お題の材料はどうしたって? ちゃんと栗があるから大丈夫。メインに据えなくても使ってるから問題はない。多分。
ふっと息を吐いて肩の力を抜くと、世界はイメージするケーキを作るために手を動かした。
『聖女の小鳥』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)は独り暮らしが長い。その上自炊していたので料理は作れる。最も、あくまで料理は出来なくはないが美味いかは……レベルだが。
参加した動機も、一クリエイターとして大会が潰れちまうのが勿体無いと思ったからだ。
(だからまぁ、目指すのは優勝より、会場に居る皆を楽しませる事に重きを置いてくか)
どんなお菓子が出来るのかと、わくわくと目を輝かせる観客を前に、ベルナルドはどうやって楽しませるかと考えは始める。
観客を楽しませるとなると、ある程度のパフォーマンスは必要か。
用意したのは小さな瓶に、チョコレート。
『ベルナルド選手はどうやらプリンを小瓶で作るようです。確かに小瓶に入ったプリンは可愛いです! それにチョコレート。ベルナルド選手は芸術家とのことですし、これはどんなお菓子が出来るのか気になりますね!」
芸術家だというベルナルドがどんなお菓子を作るのか、興味津々で観客は見守るのだった。
飛び入りの中の紅一点、『小さな決意』マギー・クレスト(p3p008373)は貴族の令嬢として生まれ育った。それ故お菓子作りをしたことがなく、参加を決めた後一緒にいた乳兄弟に「こんな依頼受けるとかお姫さん(おひぃさん)は馬鹿なの?」と言われたのだ。だけどマギーだって女の子。
(ボクだって、やればできるはずです!)
ぐっ! と拳を握りしめると
「ボクでもできる簡単なレシピを乳兄弟に習ってきたので、美味しいお菓子を作りますね!」
と宣言するのだった! ふんす!
とは言えマギーはお菓子作り初心者。一から全部手作りしたい気持ちはあっても難しいので、スポンジを作る変わりにカステラで代用するレシピを教えて貰ったのだ。
『マギー選手、勢いよく宣言しましたが……おや? これはカステラですね。成程、初心者がスポンジケーキを作るのは難しいので、カステラで代用。これは甘さの調整がどうなるか気になりますが、楽しみですね!』
「頬っぺた落ちそうなぐらい美味しいの作ります!」
元気にそう言って笑うと、マギーは紫芋に手を伸ばすのだった。
「スイーツを食べるのは勿論好きだが、作るのだって実は好きだったりするのだ」
事前にそう言っていた『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)は、コンテストと言え気負った様子もなく慣れた様子で下ごしらえをしている。
オーソドックスなモンブランと変わり種のプリンを作ろうとしているゲオルグは、大切な家族――ふわふわ羊のジークやにゃんたまたちの目の前作ってあげたかったが、他の参加者に考慮して今は控室で留守番してもらっている。
『おや、ゲオルグ選手頬が緩んでいますね。作ったお菓子を食べて貰いたい人の事でも考えているのでしょうか』
ジークたちがゲオルグやみんなの作ったお菓子を幸せそうに食べる姿を想像するだけでほっこりするが、その姿を実際目にするためにゲオルグは慣れた手つきで調理を進めるのだった。
●甘い11品。あれ?
今回のコンテストは芋栗南瓜を使ったモンブランとプリンがテーマ。
そして今、完成したお菓子がずらりと並んで観客の前に姿を見せるのを今か今かと待っている。
『お待たせしました皆様! 個性的なお菓子が12品出揃いました!』
司会の声に合わせて一斉に公開されたモンブランとプリン。
『それでは、作成者に拘りポイントを聞きながらご紹介していきましょう!』
まずはジョワン
『僕が作ったのは、中に大粒の栗を入れたシンプルなモンブランと、じっくり低温で甘みを引き出したサツマイモのプリンです。見た目はシンプルですけど、味は、ほっとする味を目指しました』
ジョワンの作った二品は見た目は素朴だが、確かに口にすると優しい味が口いっぱいに広がり、さらりと溶けて行く。
『私はさくさくのパイ生地とに上品なクリームとマロンペースト、角切りにしたマロングラッセとミントを乗せた上品なモンブランと、可愛い容器に入った南瓜のプリンです。味は当然ですけど、見た目も華やかだと心が浮き立ちません?』
流石女性パティシエ。女性目線のケーキに、女性陣が頷いている。
『私は栗を使ったモンブランと、ちょっと変わり種の南瓜のプリンだ』
そうゲオルグが紹介したのは、ジョアン同様家庭でよく見るモンブラン。
基本に則ったオーソドックスなものだが、柔らかなスポンジと生クリームの中、ごろりとしたマロングラッセの食感が楽しい。
プリンはしっかりとし裏ごしして滑らかな口当たりにした南瓜入りプリンだと思ってその食感を楽しんでいると、不意に現れたのは、カリッとした食感。
『これは……揚げた芋ですね!?』
『あぁ、小さく賽の目切りにした芋を低温で揚げて、糖蜜を薄く纏わせたものだ』
『普通の南瓜プリンだと思っていたら、これは美味しい驚きです!』
ぺろっと食べ終えた司会は、次の試食と紹介に。
『ボクは初心者でも簡単美味しいモンブランとプリンを作りました!』
初心者でも簡単。とのことで、スポンジの代わりにカステラを使ったモンブランは、栗ではなく紫芋を使っている。
『カステラを使ったモンブランですが……紫色を使ってあるのでとても色が鮮やかですね』
小さめに切ったカステラを山のように盛り付けバターの風味豊かな紫芋ペーストをたっぷり絞り出したら、栗の甘露煮と黒い羽根風の飾りでお洒落度アップ!
しっとりとしたカステラと、バター香る紫芋ペーストの組み合わせは癖になる。
プリンはシンプルな南瓜プリンだけど、ココアパウダーで南瓜ランタン風の模様を付けている。
収穫祭に合わせた南瓜な南瓜プリン。子供たちの目が輝いている!
『俺は芋を使ったプリンと、マロンのモンブランだ。と言っても、プリンは芋は芋でも『大学芋風なめらかプリン』だ』
小瓶に入ったサツマイモペースト入りのプリンは、淡い黄色の上に艶やかに輝くはちみつのジュレ。その上に散りばめられた黒ゴマは、まさに大学芋!
『優しい味のプリンとジュレ、そこに不意にくる胡麻の風味と触感が良いですね!』
バリバリとした食感ではないが、優しい味と触感の対比が面白い。
『モンブランは王道のマロンだ。とは言え芸術家が普通のモンブランでは面白みがないと思って腕を振るってみた』
てっぺんに乗った栗はピヨピヨ、愛らしいヒヨコの形。更にモンブラン上部をチョコレート細工で作った鳥籠が覆っている。更にモンブランを乗せるお皿にはチョコペンで森の植物たちが描かれ、満月をイメージしてバニラアイスも添えられている。
『プロが絵を描く様ならパフォーマンスの内に入るだろ? 『秋の夜長の鳥籠モンブラン』なんて名付けてみようか』
『俺は栗ではなく、柿のモンブランだ。栗を使ったスポンジ生地に柿のクリームを乗せたシンプルな品物だが、この柿のクリーム、実は干し柿を使っている』
予想外の柿のモンブランに感心すると同時に、興味をそそられる観客。いったいどんな味だろうと興味を抱いたところで、世界の眼鏡が輝く。
『干し柿は何と言っても普通の柿より甘い。そして甘いisジャスティス……これ以上説明するのも野暮というものだろう。砂糖を入れて無いから干し柿そのままの甘さを味わえるぞ』
素材の味を引き出すために砂糖を減らしたモンブランは、見た目の色合いも考慮して紫芋のスティックを添えてミントを乗せてある。
『ところで世界選手、プリンは……?』
『……しまった。プリン作ってねぇ』
あ。と言わんばかりの世界の呟きに観客からは「えぇ!?」という声が上がる。
残念ながら世界はこの時点で失格になってしまったが、元々試食のために来たので問題ない。
『お待たせしました! 試食タイムです!』
司会の言葉を切っ掛けに、気になるお菓子にみんな手を伸ばすのだった。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
もうすっかり秋ですね……。
というわけで美味しい秋の味覚を作りましょう!!
え、食べるのは?
食べるのは、リプレイ公開後にラリーで試食大会です!!
こちらではいかに美味しい料理を作って皆さんに魅せるかがポイントです!
●やること
・美味しいモンブランとプリンを作る。
必ず芋栗南瓜を使ってください。
栗のモンブランに南瓜のプリンというスタンダードな物から、芋のモンブランに栗のプリン。うまく三種類を全部使ったモンブランとプリン、とかお好きに組み合わせてください。
一品につきどれか一つ使えばいいので、三種類全て使う必要はありません。
作る際のパフォーマンスはもちろん、完成品の見た目や味、拘りポイントをPRしましょう!
●その他の参加者
・ジョワン
素朴な見た目だけど優しい味わいに定評のあるパティシエ。
中にごろっと、上にたっぷり栗を使ったモンブランと、甘みが特徴の芋を使ったプリンを作ります。
・リグ
可愛らしい見た目と華やかな味わいに定評のあるパティシエ。
さくさくのパイ生地と、上品なクリームとマロンペースト、角切りにしたマロングラッセとミントを乗せた上品なモンブランと、可愛い容器に入った南瓜のプリン(生クリーム乗せ)を作ります。
●その他
・材料や器具は揃っています。
・途中、進行役のアナウンスが入るかもしれません。皆さんのこだわりポイントを紹介してくれます。
・フェリーチェは試食を楽しみにしています。
それでは、皆さんの作るモンブランとプリンを楽しみにしています!
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