PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Frying Sheep

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●揚げ物が食べたくなりませんか?
「とっても迷惑な羊さんなのです」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はむすっと頬を膨らませていた。
 いや、よく見れば頬が変に膨らんでいる。頬を膨らませながらも飴か何か口に入れているようだ。
 それを指摘すれば、「この話をするとお腹が空いてきちゃうのです」と言葉が返ってくる。
「とっても美味しそうな匂いをさせているのに、近付くと感電させられちゃうのですよ」
 それは『Frying Sheep』──響きは同じだが、いつぞやのもふもふ羊と差別化を図るために『ふーちゃん』と呼ばれているそうだ。
 『ふーちゃん』は揚げ物のようなこんがり茶色で、これまた揚げ物のような匂いらしい。
 しかしどういったわけか、静電気のようなものを内包している。匂いや風体に惹かれて近づこうものなら静電気攻撃をくらうのだ。
 何故そんな害悪が野放しになっているのかと言えば、妖精だからの一言に尽きる。
 Sheep系妖精は空気と一緒だ。いなくならないのである。
「『Flying Sheep』……しーちゃんとふーちゃんは仲間のようですが、生態系の関連はこれまでよくわからなかったのです。でも、しーちゃんが今年は多かったからふーちゃんも多いんじゃないか? って研究所の人は推測を立ててるみたいです」
 研究所があるのか。いや、そこは今回どうでもいい。
 しーちゃんの時よりは小規模だが、それでも例年より多くのふーちゃんが街道に降り立ったらしい。そして動かない。
 ただの人間にふーちゃんの放電は危険であり、街道を塞がれ困っているとのことだった。
「ふーちゃんはある程度放電してあげれば空へ飛んでいくのです! そうすれば街道もまた使えるようになるはずなのですよ! さあ! 揚げ羊ふーちゃんを早くどこかへやってしまうのです!!」
 ぐっと両の拳を握って意気込むユリーカ。そのお腹がくぅ、と鳴った。

●揚げ物ではないです
 街道を馬車が走る。物騒な噂や事件が起こっていても、商人が人を求めて移動することに変わりはない。
 しかし、ふと匂ってきた『ソレ』に商人は慌てて馬車を止めた。
「こりゃいかん、商品が駄目にされちまう!」
 ゆっくりと方向転換し、元来た道を戻っていく。
 その背後で。

 バチバチバチッ!!!!!

 何かの弾ける音と共に、街道脇の木が真っ黒焦げになっていた。

GMコメント

●成功条件
 Frying Sheep40体を追い払う

●Frying Sheep
 (見た目は)もこもこの羊。妖精の一種。近隣住民からは『ふーちゃん』と呼ばれ敬遠されている。
 揚げ物のような茶色い体と美味しそうな揚げ物の体臭を持つ。
 一定量放電すると移動し、また別の場所で移動中に溜まった静電気を放電する。【棘】のパッシヴ持ち。
 飛ぶときは魔法的な2対の羽を出してふんわり飛んでいく。
 重さを変えられるのか、それとも飛ぶ力が強いのかは不明だが、降り立つとどれだけ屈強な男が持ち上げようとしても持ち上がらない(らしい)。実際のところは試せた者がいないので不明。
 性格は警戒心高め。短気ですぐバチバチする。

 大きさは大小様々。小さいと30cm程度のぬいぐるみサイズ。大きいと1m位。大きさにより内包する電機の量も異なる。
 4~6匹を平均に集まって降り立つ習性があり、偶にふーちゃんの上に別のふーちゃんが乗っている。その姿は揚げ物が皿に盛られたようにも見える。
 倒そうと攻撃をしても不思議なことに、ふわふわの毛が完全ガード。ダメージの代わりに放電する。妖精の不思議な力なのかもしれない。
 敵襲と判断すると意図的に放電する。

・パチパチ
 触れるとパチパチする。つまるところ放電。至近レンジ。
・バチバチ
 意図的にバチバチする。中距離レンジ。

●Flying Sheep(参考)
 『ひーちゃん』や『羊さん』と呼ばれまあまあ親しまれる羊の妖精。ふーちゃんとは同系列妖精。
 ただの(?)飛ぶ羊。もこもこふわふわ。温もりを溜めて飛んでいく。
 イベントシナリオ『Flying Sheep』にて登場。該当シナリオを読まなくても支障はない。

●地形
 大きな街道。道は舗装されている。
 そのど真ん中をふーちゃん達が占拠中。
 両脇は森で、道の端から端まで占拠されているので通れない。

●ご挨拶
 愁です。
 タイトルに「あれ?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。飛ぶ羊さんは先日のイベシナでもふもふしていただきました。
 今回はもふもふできません。油断するとパンドラが削れると思います。
 とはいえ、緊張感のないリプレイとなる予感です。そんな感じでも良いという方、求む。
 それではご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • Frying Sheep完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月12日 20時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リュスラス・O・リエルヴァ(p3p000022)
川越エルフ
エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
フェスタ・カーニバル(p3p000545)
エブリデイ・フェスティバル
主人=公(p3p000578)
ハム子
セシリア・アーデット(p3p002242)
治癒士
美面・水城(p3p002313)
イージス
Morgux(p3p004514)
暴牛
アンネリース(p3p004808)
炎獄の魔女

リプレイ

●良い匂い?
 まず初めに感じたのは匂いであった。
 そう、あの揚げ物独特な油の匂いである。
「お腹空いてる時はいい匂いに思えるけど、お腹いっぱいの時は胸焼けしそうな体臭だねコレ」
 『炎獄の魔女』アンネリース(p3p004808)が匂いの感想を告げる横では『暴牛』Morgux(p3p004514)が顔を顰めている。
 まだ見えない距離であるのにこの匂い。近づいたらどれだけ香りが強くなるのか。
 肉嫌いにとっては空腹を感じさせないだろうが、それこそ胸焼けしそうではある。
 早々に腹を鳴らしたり、匂いに顔を顰めたり。様々な反応を見せながら歩くこと暫し、茶色い物体がこんもりと見えてきた。
 その姿に一同の足が思わず止まる。
「……唐揚げじゃねぇか。いや、羊……か?」
「おぅ……これまた変わった相手が相手だね……」
 見えたふーちゃんの姿にMorguxの言葉が零れ落ちた。『治癒士』セシリア・アーデット(p3p002242)もぽかんとした表情で目を瞬かせている。
 困惑の様子を見せるのも致し方がない。遠目に見えるふーちゃんは、その姿も匂いも──ただの大きな唐揚げである。
 Morguxの隣で『異世界なう』主人=公(p3p000578)が「あー」と何やら1人納得した様子。
「あれだね。おばあちゃんの家のこたつに乗ってる、揚げ煎餅が山盛りになった菓子鉢みたい」
「あ、それわかるかも! ふわふわの毛がそういう風に見えてくるよね!」
 『エブリデイ・フェスティバル』フェスタ・カーニバル(p3p000545)が公の言葉にうんうんと頷いた。旅人(ウォーカー)同士、わかるものがあるのだろう。
「争いは避けたいところだが、そうもいかなさそうだな」
 『海抜ゼロメートル地帯』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)が険しい表情でふーちゃんの群れを見る。セシリアも小さく頷いた。
「見た目に油断してたらやられるかも……気を引き締めないとね!」
 こちらからふーちゃんが見えるという事は、ふーちゃん達もこちらが見えるという事で。既にパチパチと小さく音が聞こえることから臨戦態勢のようだった。
(毛皮を持つもの同士仲良く……とまではいかないが)
 生憎、エイヴァンは香ばしい香りもしなければ茶色くない。ふーちゃんが経験した苦労はわからないものである。
 実際に苦労しているのか、その苦労を覚えているのかは疑問であるが。
「………まぁいい、さっさと仕事するか」
 Morguxは未だ複雑そうな表情で、しかしその言葉を実行するべく武器を取った。

●バチバチバチ!
「聞いてくれ、俺達は争いをしにきたわけじゃない」
 エイヴァンが声を張り上げた。ダメ元でもやってみる価値はある。
 しかし、その言葉に返ってきたのは放電の音。幸いまだ距離があるから届かないが、バチバチと結構痛そうである。
(反応はあるが……残念ながら、好意的ではないな)
 ならば作戦通り、放電させて飛ばすしかない。
「ボク達で牧羊犬代わりになれるかわからないけど、速やかにどいてもらっちゃおう!」
 公が魔力をまとわせたレイピアを突き出す。攻撃の感触はないが、目の前でバチバチバチッとふーちゃんが放電した。
 エイヴァンとふーちゃんのやり取りを見て『海洋の魔道騎士』美面・水城(p3p002313)も渋面を浮かべながら群れの1つへ近づく。勿論、耐性強化魔術を施すことを忘れずに。
「反撃食らうってわかっててもやらなあかんとか……きっついよなぁ……」
 誰しも痛いのは嫌なものだ。
 群れは近づく美面に気づいている。その内の1匹、小柄なふーちゃんが一際がバチバチと放電を美面へ向けた。
 美面は盾を構えながらもその放電を躱し、ふーちゃんへアタック!
 同時にパチパチッと静電気のような痛みが盾越しに美面を襲う。
「くっ……」
(痛いけど、これくらいならもう少し戦って大丈夫そうやね)
 眉を寄せた美面、そう判断してふーちゃんたちから2,3歩距離を取る。
 その目の前で、今しがた攻撃を加えてきたふーちゃんがふわり、と薄い羽を広げた。広げた、というより羽が出現したと言うべきか。
 目を瞬かせる美面の前で、ふーちゃんは「メェ」と1つ鳴いて空へ飛び立っていく。本来の羊にはないそれは、ふーちゃんが妖精であることを誇示するかのようで。
「ほんま不思議ないきもの……」
 ぽつりと呟いた美面、次いで小首を傾げた。
(や、いきものなん?まずコレ……妖精さんっていきものなん……?)
 生き物ですよ。きっと多分恐らく。
「……ってか痛い!? 冗談抜きで痛いんやけど!?」
 美面が腕をさする。なんだかパチパチを受けた部分が軽く痺れているような気がするのだ。
 まあ実際、気のせいではあるのだが。
「無理しても碌な事にならないからね? 本当に無理は駄目だよー?」
 少し離れた所からセシリアが声をかけると、わかったというように美面の手があげられる。
 それにしても、とセシリアはふーちゃんの群れを眺めた。
(見た目はあれだけど、なかなか厄介な能力だね)
 反動でダメージがあると高火力な技が使えないものである。ある程度放電すれば飛び立つようだが、それまでに与えるダメージ量のいくらかはこちらも受けてしまう。
(……ある程度は仕方がないとしても、誰かが大怪我する所なんて好き好んで見たくないしね……うん、その為にも──)
「──頑張らないと!」
 セシリアは気合いを入れ直した。
 群れの1匹に重い攻撃を叩きこんだMorguxは、その感触と電気の感触に眉を寄せる。
 モル・グリシアで確かに斬った筈だ。それなのに、その攻撃はモフ毛にガードされてしまっている。電気もうざったく、匂いも空腹にはならないが気が散って仕方がない。
(何だろうな、このモヤモヤ感)
 色々な敵と戦ってきたMorgux。しかしここまで何とも言えないのは初めてである。
 まあそれはそれとして、長時間戦えるというのはMorguxの好むところ。時間制限もないことだしゆっくり仕事を済ませるとしよう──。
 まだまだ元気、と言わんばかりにパチパチと放電するふーちゃん。それへ武器を構えたMorguxのすぐ横をアンネリースのマギシュートが飛んでいく。
 ふーちゃんへ命中し、その軌道を伝うようにパチパチが襲ってきた放電にもアンネリースの笑みは崩れない。
(火力が取り柄だから、こういう相手はやりにくいなあ)
 本当は高火力でぶっ飛ばしてしまいたい。しかしそれをやろうものなら放電の反撃によって戦闘継続できなくなるだろう、とアンネリースは理解していた。
 火力が出せないのならその分時間をかけるしかない。
 制限時間がない分、持久戦へ持ち込めることが幸いか。
「ふふん、ロートレでの特訓の成果を見せちゃうよ!」
 フェスタがアンネリースの攻撃に追随してナイフを一線する。目の前でパチパチと放電の光が生まれて──。
「ふぎゃーっ!?」
 ふーちゃんの反撃にフェスタは目を丸くした。
 これが皆の浴びていた放電。目にしているのと実際に経験するのはやはり違う。
(痛みで怯みなんて、しないんだから!)
「持久戦、根気よく行かないとー!」

 ふーちゃんを斬ったり蹴ったりしていたMorgux、斬り心地は良くないが蹴り心地は悪くないことに気づく。パチパチと電気を浴びながら、その口端が小さく持ち上がった。
(ボールみたいで悪くねぇな)
 蹴られてもその場から動くことはないが、斬っている時の表現しがたい感覚よりは断然良い。
「良し。斬るのは止めて蹴るか」
 有言実行。Morguxはモル・グリシアを納めると、強靭な肉体でパチパチをものともせず蹴とばし始めた。
「セシリアちゃん、回復お願いしまーすっ!」
 フェスタが息を整えながら後ろへ下がってくる。セシリアが薬で回復を行っているとまた別の声が。
「うちもお願いしてええ? 立て直しが難しいんよー」
「わかったよ! 順番に回復するね!」
 ボロボロになった美面が慌ててセシリアの近くへ。幸いにしてふーちゃんの放電は届かない位置だ。
 何せ状況の立て直しを図ろうとした傍から放電である。ふーちゃんから1度離れる他ない。
 今相手にしている群れだけでなく、他の群れも敵意丸出し。その付近だけバチバチと音が鳴りやまないのである。
「! アンネリースさんっ」
 フェスタの回復を終えたセシリアが声を上げる。その視線の先には膝をついたアンネリースの姿。当たり所が悪かったのだろう。
「まだまだ……ボクは戦えるよ!」
 ゆっくりと立ち上がり、ふーちゃんと相対するアンネリース。
(ムカつくのにボコボコに出来ないから余計にムカつくけど、我慢して耐えなきゃ……)
 何せまだまだふーちゃんは地上に留まっているのだ。ここで倒れるわけにはいかない。
「ふんっ!」
 エイヴァンが美面の代わりに前に出て拳を突き出す。その拳はふーちゃんへと吸い込まれ──。

 もふん。バチバチバチッ!!

 何とも言えない手ごたえの後、拳とモフ毛の間で放電が生じる。
 そこへ瞑想を終えた公が畳みかけるように肉薄。バチバチと放たれる電気が増した。
「っ……さすが異世界、羊も一筋縄じゃ行かないね」
 放電による反動に一瞬顔を顰めた公。しかしすぐに挑戦的な笑みを浮かべる。
 ゲームの主人公はこんな程度で挫けたりしない。ならば、公も同様に挫ける事はないのだ!
「2人とも、助かったんよ」
 美面が回復を終えて戻ってくる。ふーちゃんのバチバチを盾で受けながら押し込むと、その衝撃でよりバチバチしたふーちゃんはふわりと空へ浮かび上がった。
「よし、この群れはだいぶ少なく……」
 PPP(プレイ・パンドラ・ポータブル)を確認して自らに治癒魔術をかけた公がそう言いかけた時だった。
「メェェェ」
 大柄なふーちゃんが1歩、2歩と前へ出て威嚇するように放電をする。まるで、少なくなった群れを守るように。
「みんなでぶっ叩いちゃえ!」
 アンネリースの言葉を皮切りとして一斉に攻撃が集中する。
 同時に向かってくるイレギュラーズへ、ふーちゃんのバチバチが炸裂した!

「きっついわぁ……」
 ぐったりとした美面にハイ・ヒールがかけられる。
「でも、さっきより羊の数は減ったよ」
「そうそう! もうちょっと頑張ろ!」
 公とフェスタが言い募り、「せやね」と美面は頷いてふーちゃんの群れの方を向いた。
 幸いにして今のふーちゃんが1番大きかったようだ。恐らく今以上に苦戦することはないだろう。何匹かは放電によってイレギュラーズが攻撃を加えなくても飛び立っている。
「まだまだ戦えるってのはいいな」
 残っているふーちゃんの群れにそう言葉を零したのはMorgux。自然治癒力を得た粘り強い体により、今いるメンバーの中で最もピンピンして見える。
「よし、行くか」
 セシリアに回復を施されたエイヴァンがふーちゃん達へ駆け出した。その手にした斧は一刀両断の如くふーちゃん達へ振り下ろされるのだろう。
 その背に1人、2人と続いて再び戦場へ。
「コレ、本当に制限時間なくてよかったねえ」
 アンネリースがそう独り言ちながら駆けだしていく。
 それはきっと、この場にいる全員が思っていたに違いない。

●最後の1匹!
 ぽつんと街道の中央に鎮座したふーちゃん。単身挑むつもりのようで、パチパチと辺りに放電している。
 そこへ立ちふさがったのは『川越エルフ』リュスラス・O・リエルヴァ(p3p000022)。既に何度かバチバチされたようで、結構満身創痍であった。
 その手に握られているのは香草。
「……え、これ食べる気なん?」
 『海洋の魔道騎士』美面・水城(p3p002313)がそれに気づいて思わず呟いた。
 下がって傷を癒すべきだとか、攻撃を加えようだとか。他に言う事もあるだろうが、リュスラスの表情と視線には呟かずにいられない。
「既にFlyingなsheepという話だから、香りのよい香草だけ持ってくれば良いという事だろう?」
 リュスラスは本気で食べる気であった。
(ラムチョップを包む衣は、溶け出た美味い脂と肉汁を吸ってカリカリ。齧り付けばジュっと溢れ出る脂。ラム肉特有のクセのある香味は香草が中和して、まろやかに)
 既に脳内で食レポもされていた。
 一緒に食べるか、と問われた一同。この時だけ攻撃や回復……戦闘中(?)であることが頭の中から抜け落ちていたとしか言いようがない。各々1匹のふーちゃんを目の前に考え込む。
 その視線にふーちゃんが放電量を上げた気がするのは、果たして気のせいか?
「ん~、料理好きとしてはちょっとどんな感じか興味がないとは言えないけど……」
「や、うちはええわー。…口ん中痛くなりそうやし」
 やがてセシリアは迷うように首を傾げ、美面は首を振る。しかしリュスラスは「それは残念だ」と言うと改めてふーちゃんへ向き直った。
 きっとおいしいに違いない。いや絶対にだ。脳内食レポがそれを物語っている。
 それを現実のものにするべく!
「いざ!!」

 バチバチバチバチッ!!

 香草を握ったまま、その場に崩れ落ちたリュスラス。
(まあ、そうなるだろうな……)
 エイヴァンがリュスラスの腕を肩に回す。
「ボクも手伝うよ」
「ああ、有り難い」
 公の手助けを借り、エイヴァンはリュスラスを避難させた。
 流石に毛皮を持つ者同士、食べるつもりはなかったエイヴァン。されど『下手に捕食しようもんなら返り討ちだろうな』とは予想していた。その通りの流れに同情を禁じ得ない。
「あ!」
 セシリアが声を上げ、一同の視線がそちらへ向いた。
 ふわり、と現れた2対の羽。それを羽ばたかせ、唐揚げ……否、ふーちゃんが空へ昇っていく。
「今ので放電しきったみたいだね」
 公が目元に手をかざしながら、空高く上がっていくふーちゃんを見送った。

「結局、食べれるかわからなかったね……食べれたのかな?」
 セシリアが首を傾げる。
 妖精が食べられるのか、実は興味津々だったのだ。
 気持ちはわかるよ、と苦笑するのはフェスタ。
「あの姿と匂いでお腹空くよねー」
 その言葉と共に、何処からともなく『ぐきゅ~』という音が。
「美味しいお肉が食べたくなってきよるなぁ。揚げ物は鳥唐揚げが至高やね」
 美面が小さく笑いながらフェスタを見た。その視線を感じたフェスタは、少し恥ずかし気にお腹をさする。
「折角だし、この後ご飯でも食べる?」
 公がそう提案する。依頼は終わったが、このメンバーで仕事をすることがこれきりというわけでもないだろう。共に食事をするのは絆を深めるのにうってつけだ。
「よーしっ打ち上げ! 打ち上げいこっ! 美味しいお肉を出してくれるお店を知ってるんだ♪」
 ラム肉もあるはず、と続けるフェスタへ勢いよく視線が集まる。その反応にフェスタはにっと笑みを浮かべた。
「私のグルメ情報網、結構当てになるよ?」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。とってもバチバチしました。
 戦闘継続の方法にとても工夫が見られ、気の抜けた文章には(恐らくあまり)なりませんでした。
 美味しいお肉のお店、私も是非行きたいです。

 また、お腹の空いてきそうなプレイングをかけられた貴方に、称号をお贈り致します。

 それではまたご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

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