シナリオ詳細
8bitの救世~ダンジョンRPG編~
オープニング
●アマスナークの試練場
一人の王がいた。
名をアマスナークという。
数多の、魔法の力を持つ宝を持ち、その力で持って国を支配していた。
宝は特別の宝物庫に収められ、必要なときにだけ持ち出された。
宝物庫の扉は、ただ一つの鍵でだけ開くことができた。
その鍵は、アマスナーク王が肌身離さず持ち歩いていた。
一人の魔術師がいた。
名をイエクメという。
ある日、いかなる術を使ってか、アマスナーク王の持つ宝物庫の鍵を盗み出した。
次に魔術師がしたことは、王城の目の前に迷宮を作り出す事だった。
鍵を盗み出し、昏く深い迷宮を作り出すまでに、一晩とかからなかったという。
迷宮の入り口には『すべての宝がここにある』とだけ記されていた。
王は、それを見て怒りに震えた。
目覚めたときに、鍵がなくなっていることに気が付き、迷宮の文を見て、それをなしたものが何者か看破した。
宝物庫の宝の力なくしては、この国は崩壊へと向かうだろう。
王は、すぐに国中へと触れを出した。
『腕に覚えのあるものはすべてこの迷宮に集うべし。
迷宮を踏破し、最奥に潜む魔術師を打倒したものには、望むだけの財と望むだけの地位を与えよう』
触れが出て数年が立ち、未だ魔術師のもとに至ったものはいない。
あなたは新たに迷宮に挑まんとする冒険者だ。
さぁ、まずは何をする?
商店で武器を買っても良い。
寺院で祈りを捧げても良い。
宿屋で寝るにはまだ早い。
王城には魔術師を倒してから行きたまえ。
しかしまずは、酒場で仲間を募ることを勧めよう……。
●境界図書館にて
「やぁ、いらっしゃい」
境界案内人、カストルはイレギュラーズを歓迎する。
「この世界はちょっと変わったところでね。端的に言うと、部屋一つ分の広さしかないんだ」
そう言って指し示す先には、なるほどそのような光景が広がっていた。ひろがるというほどの広さはないのであるが。
「それで、この世界にある唯一だけのものなんだけど……」
あるいは、この場に地球という世界から来た旅人がいたならば、カストルが説明するよりも早くそれの正体について察しが付いたであろう。少なくとも、生まれてから2,30年ほど経っている者であればだが。
それは、
「テレビゲーム。このくらい昔のものになると、レトロゲームなんて言ったりもするらしいけど」
そういうものであった。
「こう言う状況である以上。この世界ではゲームをやるのが正解なんだろう。君たちも普段の依頼では実際に体を動かすことが多いだろうからね、たまには、気分転換にこう言うのはどうかな?」
さて、君たちはカストルの言葉に従いコントローラーを握ってもいいし、握らなくても良い。
- 8bitの救世~ダンジョンRPG編~完了
- NM名小柄井枷木
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年10月24日 22時10分
- 参加人数4/4人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●Ready Players
「レトロゲーム!まさか練達以外でこういうのを見ることになるとはねー」
『スレ主』天雷 紅璃(p3p008467)は楽しげに、あるいは感嘆したような様子でそう言った。一部屋分の広さしかない小さな世界で、そこに据え置かれたレトロなゲームをプレイする。ゲーマーな紅璃はこの依頼に俄然乗り気であった。
そんな紅璃が張り切っている横では
「練達でVRゲームっていうのをやったけど、これはそういうのとは違うのだわね……」
このボタンが電源なのだわ?これで操作するのだわ…?などと、『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)がおっかなびっくりゲームハードをつついてみたりなどしていた。練達ではぶっ飛んだ技術で現代地球の数世紀先を行くようなゲームがプレイできるため、無垢なる混沌生まれのモニにとってはこういうゲームのほうがむしろ馴染みが薄いのだろう。
「大人になってからこういう遊びに触れる事になるのは嬉しいですね。兄を越えるため、幼い頃は修行一徹の人生を歩んできたもので」
「よぉし!鍵を見つけて、悪い魔法使いを皆でやっつけよ!」
『ホストクラブ・シャーマナイト店長』鵜来巣 冥夜(p3p008218)は顔をほころばせながらゲームで遊ぶのを楽しみにしているし、『自称芸術家』メルバ・サジタリウス・サーペンタリウス(p3p007737)は今ゲーム機にセットされているソフトの解説書を読んで張り切っている。
この二人についてはゲームに関して初心者だ。それだけに、期待に胸を膨らませているのだろう。
熟練者が一人に、慣れていないものが3人。お菓子やお茶も持ち込んで、長引いたときのための軽食の用意もあり。程よくわいわいゲームを楽しむのにちょうどいい塩梅だろう。
「それじゃ、ゲームスタートだよ!」
●キャラメイクに一番時間がかかるという学説
「じゃあまずはキャラを6人作るところからだね」
紅璃は今回、横から助言することをメインにする腹づもりだ。一人だけの経験者が最初にコントローラーを握るとそのまま交換時を見失ってしまうことを見越したナイス気遣いである。
というわけで今コントローラーを握っているのは冥夜。言われるままにキャラを作り始める。
「ふむ、名前から決めるのですね……では「ヒゲキヤロウ」に。いくら死んでも良心が痛まないので……なっ、四文字しか入らずに「ヒゲキヤ」になってしまった……だと!?」
「あー、昔のゲームってそういうのあるよね」
濁点が1文字扱いでないだけ温情という説もある。
「えっ、それじゃあ、「ジョバンニ」とか……「ロレンツォ」とかつけられない?!」
そしてその脇でメルバが考えていた名前が案を出す前にボツになり地味にショックを受けていた。
「致し方ありません。気を取り直して、次は職業を決めるのでしたか……ホストや暴走族がないのですが」
「まぁそうだろうね」
ドラゴンが如くなゲームならそういうのもあったかもしれないが。
「あ、それならこの遊び人っていうのが近いんじゃないかな?」
「ふむ、ではそうしましょう。遊び人ヒゲキヤ誕生です」
「近しいのかしら、それ?」
メルバの推薦に華蓮が首を傾げるが、冥夜は満足そうだ。
「次私が作りたいな!名前はグイドで職業はナイトとか、ヒーラーとか」
メルバが手を上げたのでコントローラーを交代する。一人作っているところを見ていたので操作はスムーズだ。
「って、あれ?ナイトになれない……?」
「あー、ステータスが足りないみたいだね。レベルアップしてから転職しないと」
「なるほどー」
というわけで戦士グイドが誕生。後はヒーラーこと僧侶や魔法使いなんかのキャラで枠を埋めていく。
「華蓮さんはどんなキャラ作る?」
「うーん、私はちょっとピンとこないから。天雷さんにおまかせするわ」
「そっかー。じゃあ盗賊にしよう。後々はニンジャになってくびをはねるのです!」
「なんか物騒ね……」
てなわけで。いざ宝物庫の鍵を取り戻すた、に迷宮に挑まんとする6人の冒険者がここに揃ったのである。
「なんだか、ひと仕事終えた気分ですね」
「いや、まだ始まってもいないからね」
「それはそうですが、結構時間は経っていますよ?」
まだ始まってもいないが実はゲームを起動してから数十分間ほど経過している。ボーナスポイントの振り直しとかやってたからね。
「そうね。見てる間にお茶の準備もできたし、ちょっと休憩にしましょう?」
華蓮がカップに紅茶を注ぎながら提案する。そう言われれば紅璃も反対する子持ちもなく。ゆるりと休憩タイムに突入するのであった。戦士にも休息は大事なのだ。
●だんじょんえくすぷろーらー
休憩も一段落し、改めて冒険者達をダンジョンに放り込んだわけであるが。
「えーと、あれ?今あたしどこに居るんだろう?」
コントローラーを握っているメルバが首をかしげる。ゲーム内の視線で周囲を見渡しても、どこを見ても同じような床に扉。慣れていないと、あるいは慣れていても気を抜くとあっという間に迷子になってしまうのがこの手のゲームの恐ろしいところだ。
「ちょっとまってね、えっと、こっちから回ってきたから……そこで後ろをを向いて進んで、壁に突き当たったら右に行けばもとのところに戻れるはずだよ」
紅璃はゲーム画面と手にした携帯端末を見比べながら道案内をする。このゲームにマッピング機能なんて甘えたものはないので、端末の方で地図を書いているのだ。面倒極まりないが、これが楽しくてハマってしまう者も少なくないこのゲームの醍醐味だ。
「わぁ!なんだろここ!あっ、このボタン押していい?」
「いや、待って。そんなあからさまに怪しいスイッチを」
「あっ、敵が出てきた!」
「だから言ったのに!」
「おっと、戦闘ですか。遊び人ヒゲキヤの出番ですね」
冥夜がそう言ったのでコントローラーを交代。なんとなくやりたいって言い出したタイミングで交代スつ様なシステムに落ち着いてきていた。手が空いたひとは横で見ていたらいお菓子を食べたり地図描いたりしてます。
さておき冥夜がコマンド入力。
[ヒゲキヤは応援している!]
[ヒゲキヤは枝毛が気になっている!]
[ヒゲキヤは蝶を追いかけている!]
「……あの。これはもしや、全く戦闘に貢献していないのでは?」
「まぁ遊び人だしね」
一応それらの行動の結果、戦闘に貢献していたしはするのだが。傍から見ると遊んでいるようにしか見えない。それが遊び人である。マジで無駄なだけの行動もあるしね。
さておき。
「この数字って何なのだわ?どういう意味なのだわ?」
「これはどっかで謎解きに使うやつかなー」
最初は横から見ているだけだった華蓮もコントローラーを握るようになってきたり。
「おや、グイドが転職できるだけの成長を遂げたようですね」
「おぉ、ついにナイトグイドが!」
韻を踏んだ名前の騎士が誕生したり。
「こっちの盗賊もニンジャになれたよ!くびをはねるのです!」
「ねぇねぇ、なんで忍者さんの装備を外しちゃうのだわ?可哀想じゃない??」
ニンジャのお約束をやってみたり。
「ついに、ついに遊び人が悟りを開き、賢者に……!」
「おぉ、魔法の威力すごいなぁ」
ヒゲキヤの時代が来たり。
「ちょっと小腹がすいたなぁ」
「あら、ちょうどよかった。サンドイッチが用意できているのだわ」
適度に休憩を挟んだり。
「あっ、宝箱……ぎゃー、ミミックだ!?」
「ちゃんと調べてから開けないから……」
ちょっと油断してみたり。
書ききれないほどの冒険を重ねて、見違えるほどに強くなった冒険者たちは。
「さて、ここが最下層ですか」
「いやー、感慨深いね!」
「ここまで長かったのだわ」
「いやいや、まだ終わってないからね?」
最下層をくまなく歩き、残りは魔術師の鎮座する部屋のみ。冒険者たちは、その扉に経をかけて……。
●冒険の結末は
戦端を開いたのは賢者ヒゲキヤの魔法だった。数多の魔物を焼き尽くしてきた炎の津波は魔術師の側近の半数以上を飲み込んだ。
しかし魔術師本人は未だ健在。お返しとばかりにヒゲキヤが使ったものと全く同じ魔法にて反撃をする。しかし、この迷宮の奥深くまで足を踏み入れた冒険者たちは、傷つきながらも一人も倒れることはなかった。
「今です!」
パーティの僧侶が回復魔法で味方の傷を癒やす中、ヒゲキヤが声を上げる。如何な魔術師であろうとも、大きな魔法を使った後は必ず無防備となる。
「あぁ、ここで決める!」
ヒゲキヤの声を受け、駆け出したのは騎士グイド。常にパーティの先頭で敵の攻撃を受け止める盾であり、手にした武器で敵を打ち砕く剣である。
「しゃらくさい!!」
だが、魔術師とて黙ってみてはいない。いのままに操れる魔物をグイドに差し向け、押し止めようとし。その魔物の首がごろりと落ちたことで失敗する。
「邪魔はさせん、行け!」
敵の攻撃の矢面に立つことこそないものの、一撃で首を刈る技を持つニンジャは、グイドと並ぶこのパーティの攻撃手である。
「はぁあああ!」
グイドの刺し出した剣は真っ直ぐに、魔術師の胸へと吸い込まれる。魔術師は、何かを言い残すかのように口を動かすが、結局それは音にならないまま力尽きた。
その亡骸は、今まで倒してきた魔物と同じように灰になって消える。灰の山の中に輝くものが、きっと探していた鍵であろう。
君たちの探索は成った。鍵を持ち凱旋すれば、君たちには最大の礼賛が与えられるだろう。富も、名誉も、名声も、この地において最上のものが君たちのものとなる。
しかしまずは、宿へと帰りゆっくりと体を休めると良い……。
『Congratulations!!』
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
こんばんは、小柄井枷木です。
レトロゲーな気分だったのでレトロゲーなシナリオを出してみました。レトロゲーな世界で冒険するのじゃなくてレトロゲーをやる世界でレトロゲーをやるやつです。
ゲームの内容はダンジョンRPGです。
キャラ6人でパーティを作って迷宮に潜ってラスボスを倒すやつです。ニンジャが裸になるほど強かったり司教が酒場で倉庫兼鑑定屋をやってたり灰になったりするやつです。
プレイングの書き方としては、まぁとにかくみんなでわいわいがちゃがちゃゲームを楽しんでもらえたらなって思います。ゲームをプレイするプレイングです。
実際にゲームをプレイしてみたり、横から口を出してみたり、後ろでお菓子食べながら眺めてみたり、ノートに地図や攻略法を書き込んでみたり。色々楽しみ方はあるかと思います。
プレイの仕方にしても、キャラの名前の付け方だとか、どんな職業につかせるかだとか色々個性が出るかと思います。
後はゲームをプレイする中でこんな場面に遭遇したらこんな選択を取って、その結果どうなったみたいなことを書いてもらえたらいい感じにつなげてゲームクリアまで持っていきます。
ゲームの内容はあくまでレトロなダンジョンRPGのイメージってだけなので、それならこういう職業はあるはず、こういう敵が出るはず、こういうアイテムが、こういうイベントが、というのはプレイングに書いてもらえればだいたいそれはあります。
それでは、皆さんのプレイングお待ちしております。
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