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シナリオ詳細

真白の軌跡を追って

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 その声は、賑やかなローレットの中でも特段良く響いた。

「ノースポールさん!! ここはきっとノースポールさんの出番なのです!!!!」

 あげられた声にノースポール(p3p004381)は目を見張る。へ、と発音しかけた息にかぶさって『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が彼女の両腕をがっちり掴んだ。
「へぁっ!?」
「お願いなのですここは頷いて下さい! ね! ね!!」
 いやいや待て待て、ごり押しにもほどがあるだろうと周りが何とも言えぬ空気を漂わせる。勢いに呑まれ、頷かないまでも首を横に振れないノースポールはひとしきり目を瞬かせるしかなかった。
「あ、あの、何があったんですか……?」
「シマエナガを探して欲しいのです。ほら、ノースポールさん向きでしょう? ね?」
 隙あらば推してくるユリーカ。シマエナガと言えば確かにノースポールだが、例え種が同じだろうと同族でだけ感知しあえるセンサーなどは存在しない。故に『向いているか』と聞かれたら特段向いているわけではないのである。
「シマエナガを探して、どうするんです?」
「羽毛を集めてくるのです! とっても良質で、高価な品具の素材なんですって」
 きっとふかふかな羽毛布団になるのです、とユリーカが瞳を輝かせてノースポールを見つめる。しかしノースポールはシマエナガの羽毛と聞いて思わず考えてしまった。
(一体どれだけ集めるつもりなんだろう……?)
 シマエナガと言えば、あのシマエナガである。ちっちゃなあの体から落ちる羽毛を集めて羽毛布団にしようだなんて、何匹のシマエナガを探せば良いのだろう。
「その、むしりませんよね?」
「必要があるならむしるのです。いえ、適切に近づいていけば大丈夫なはずなのです」
 適切に──確かに、考えなしに近づいたなら逃げてしまうだろう。そうなれば自然に抜け落ちる羽毛もゲットできないというわけだ。そうなると今度はどれだけの期間張って集め続けるかという話になる。
「いつまでに集めるんでしょう? 小さな彼らから集めていくとなると、結構時間がかかると思いますが……」
「え?」
「え?」

 え???

 何言ってるんです? って顔をするユリーカ。
 違うんですか? って顔をしているノースポール。
 2人は暫しの間見つめ合って、ようやく彼女らの間に認識の齟齬があることを理解したのだった。


「『白い暴君』という異名を持つくらいに強いのです。でもその一方で、幻想貴族の一部にはペットとして飼われたりもしているのですよ」
 ユリーカはテーブル席に着いたノースポールへ羊皮紙を提示する。そこに書かれた名は──タイラントオオシマエナガ。ノースポールも話にだけ聞いたことのある『大きいシマエナガ』である。
「さすがにペットからむしる訳にはいかないのです。というか、ペットがいるなら自前でなんなり作れるのです」
 ふわふわの枕とか。ぬくぬくな布団とか。今回はタイラントオオシマエナガをペットに持たない貴族からの依頼であった。
「野生化している彼らの羽毛を頂いていくんですね」
「はい。彼らは食欲旺盛なので、もし邪魔されようものなら跳ねのけてしまうくらいの力はあるのです。なので真っ向から戦うなら頑張らないといけないと思います」
 彼らの存在に関しては希少種だからそのままにしておくべきという意見も出ている一方、圧倒的なまでに食い尽くしていく暴君を野放しに出来ないという意見もあると言う。今回イレギュラーズが倒しても完全に悪く言われることは無いだろう。
 だがしかし、野生化したということは元々飼いならされていたはずなのだ。飼ってみたはいいものの、その大きさに外へ離してしまう事例も少なくないと言う。
 つまりどういうことかと言うと──上手くやれば、戦わずに抜ける羽毛を頂戴できるかもしれない。希少種の命を守れるかもしれないのである。
「それでノースポールさんの出番なのです!」
「私ですか。……大丈夫かな……?」
 苦笑いを浮かべるノースポール。確かにシマエナガのブルーブラッドだけれど、全く同じ思考ではないと思う。
 けれども、まあ──勿論共に行く仲間次第だけれど──頑張ってみてもいいのかもしれない。

GMコメント

●成功条件
 タイラントオオシマエナガの羽毛を集める

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。ユリーカを落ち着かせて問い詰めましたからね。情報はしかと揃っています。

●タイラントオオシマエナガ×4
 希少種の混沌生物。人間の子供ほどもある鳥。外見や鳴き声はシマエナガだが、サイズや頭部の3本線など若干(?)の違いが見られる。
 過ごしやすい地域に生息し、一生に数個だけ大きい卵(美味しくない)を生む。本体も丸々している(しかし美味しくない)。
 彼らはとても食欲が旺盛で、野生の個体は住み着いた土地一帯の食料を食べ尽くすと言う。故についた名は『白い暴君』。食べ尽くせば1年は食べなくても生きていける。
 彼らから抜け落ちる羽毛はとても良質かつ高価な品具の素材になり、乱獲され数が減少してしまった。

 タイラントオオシマエナガについて詳細を知りたい場合は以下を参照下さい。
https://rev1.reversion.jp/guild/1/thread/4058?id=1251057#bbs-1251057

●羽むしり
 今回は『討伐して羽毛をむしる』か『ご機嫌取りをして慣れさせ、安全に抜け落ちた羽毛を回収する』かの2択が選べます。相談で決めてください。
 ちなみに現在、タイラントオオシマエナガは暴君の時期ではありません。
 回収袋はそこそこの大きさですが、タイラントオオシマエナガのサイズを考えれば妥当でしょう。後者の方法を達成しても十分満たせます。

【戦闘ありの場合】
 タイラントオオシマエナガはとても機敏かつ攻撃力が高いです。テリトリーに踏み込んでくる、近づいてくる、注意を向けてくる対象を警戒します。
 また強い羽ばたきによって範囲攻撃を繰り出します。【出血】【乱れ】のBSも付与してくるでしょう。
 本来は個々でも生きていけますが、彼らは群れで行動しているようです。戦闘時も群れで襲い掛かってくるでしょう。

【戦闘なしの場合】
 戦闘をしないのであればそれ相応に努力が必要です。
・関門1:シマエナガの警戒を緩める
 これが達成されなければ容赦なく戦闘コースです。知恵を振り絞り、テリトリーに踏み込んでも攻撃されないような対策を練ってください。
・関門2:シマエナガを人間に慣れさせる
 テリトリーへ踏み込めたとしても、シマエナガたちの警戒はまだ残るでしょう。皆様が無害な存在であると示し、近づいても問題ないのだと思わせる必要があります。
・関門3:シマエナガの羽毛を頂戴する
 ここまできて羽毛をむしったら悲しくも戦闘コースです。最後まで優しくしてあげてください。シマエナガも後をついてきて落ちた羽毛を拾うくらいは許してくれるでしょう。

●フィールド
 鉄帝に存在する森の中です。半年前くらいになにもかもむしゃむしゃされました。今は新たな植物などが夏の間に伸びています。
 他の魔物などが出没することはありません。

●ご挨拶
 めっちゃシマエナガ。愁です。
 彼らのテリトリーでは彼らこそが王様。刺激しないように羽毛を頂戴するか、はなからその首を取るつもりで挑みに行くか。皆様にお任せします。
 それでは、どうぞよろしくお願い致します。

  • 真白の軌跡を追って完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年10月25日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

カイト・シャルラハ(p3p000684)
有翼の捕食者
咲々宮 幻介(p3p001387)
背で語る
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
すずな(p3p005307)
忠犬
エル・ウッドランド(p3p006713)
閃きの料理人
ウサーシャ(p3p007848)
裁断者

リプレイ

●真白の毛玉
 サクサクと延びかけている雑草を踏みしめ、イレギュラーズたちはひたすら歩く。秋とはいえ大陸の北に位置する鉄帝は少し肌寒い。夏の間に成長したという草ももう少しすれば真っ白な雪に埋もれてしまうのだろう。
「……ん? あれかな?」
「雪のようで御座るが……いや、」
 『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)の言葉に視線をくれた『咲々宮一刀流』咲々宮 幻介(p3p001387)が首を傾げ、目的のタイラントオオシマエナガだと認識するなりその口元をひくりと引きつらせた。
「……いやいやいや。デカいとは聞いてたで御座るが」

 デカ過ぎでは?

 幻介の言葉はもっともだった。まだ遠目であるはずなのに視認している毛玉は大きいと分かる。実際に近くまで行ったらどれだけ大きいのか。大人を超すほどではないがそれにしても、というやつである。
「いやぁ、アレもデカいな」
 俺と張れるぜ、と『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)。今でこそ180cmはくだらないが、完全変化してしまえば同等の大きさになるだろう。
「流石ポー! あっさり見つかったね」
「わ、私だけの力じゃないよ」
 『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)の浮かべる満面の笑みにノースポールは照れた様子を見せる。ユリーカといいルチアーノといい「シマエナガといえばノースポール!」と謎の意気投合を見せているのだ。しかし簡単に見つけられたのはユリーカの持ってきた情報と仲間たちという多数の目が合ったからこそだと思う。
「でも、あんなに大きなシマエナガがいるなんてビックリしました……」
「かわいいのに……お強いのですよね」
 近付きながら『血雨斬り』すずな(p3p005307)は真っ白ふわふわな獣を眺める。あれが『白い暴君』と呼ばれるなんて、一体どんな姿を見せるのだろうか。
「兎も角、穏便に済ませたいものですね」
「ええ。大食いですが、悪い子たちではないと思いますし」
「そうね、この美しいもふ……じゃなかった羽を存分に愛で……じゃなくて集めるために」
「私はもふもふしたいですが」
 必死に誤魔化そうとしている(誤魔化せてはいない)『裁断者』ウサーシャ(p3p007848)に本音を零す『(((´・ω・`)))』エル・ウッドランド(p3p006713)。ともあれ想いはひとつである。

 仲良くなりたい。もふりたい!

 そろそろだろうか、と一同は足を止める。タイラントオオシマエナガがこちらに気付き、気にする素振りを見せたからだ。
「うふふ、あの羽根のお布団なら気持ちよく眠れそうだわ~」
 種の箱から種を取り出した『にゃんこツアーコンダクター』レスト・リゾート(p3p003959)は如雨露を召喚し、その場で成長させていく。ほんの少しばかり時間のかかった其れは甘い果物を多く実らせた。
「皆、これを持って行きましょ~」
 今回は多くが武器を持たず、すずななどの多種族と分かる者はそれを隠そうと工夫を凝らしている。全てはタイラントオオシマエナガを刺激しないためだ。何が刺激となるかはわからないが、用心に越したことはないだろう。

 そういうわけで──タイラントオオシマエナガと仲良し大作戦、開始である。


●餌付けから始めましょう
「それじゃあ、集まった餌はこの辺りに置きましょうね~」
 先ほど実らせた果実を置いたレストが宣言し、一同は頷く。まずは警戒心を解いて貰わねばならない。手始めに好物になりそうなものを集めるのだ。
「果物は用意してもらったので、あとは虫と草ですね!」
 頑張るぞと意気込むノースポール。ルチアーノも共に森の中で食糧になるものを探す。シマエナガ──ノースポールの事ではない──は主に昆虫を好むらしい。
「あ、あそこにいるかも」
「あそこ? 本当だ」
 2人で協力して集めた昆虫たちは段ボール箱へ。人が被れば不思議と気配が薄くなるらしいが、ガサガサゴソゴソと蠢く音はどうしても中にいるモノの気配を感じさせてしまう。気配が薄くなるなら虫嫌いの人も持てるかも、などと思いはしたがこれでは……。
「難しいかも」
「ね」
 互いの顔を見合わせて苦笑して、そこそこ集まったからと餌を置きに行く。すずなやウサーシャたちが同じように餌を探している中、エルは雑草をわっさわっさと集めていた。なお、雑草を間引いていたとかそういうのではない。
「この程度で大丈夫でしょうか」
 両手で持てるほどの雑草の山を掬い、エルは強く念じる。次の瞬間それは雑草の山ではなく干からびたヨモギパンへ変化した。
「……よし」
 エルの授けられたギフトが食物へ変えたのだ。1日1回という制約はついているが、これもタイラントオオシマエナガの食糧になるはずである。
「俺は食糧じゃないが、献上するとしたらこれだな!」
 カイトが差し出したのはキラキラした貝殻だ。タイラントオオシマエナガが海を見たことがあるかわからないが、海洋でも中々見られない綺麗なものである。
 さて、こうして食糧及び献上品が集まってきたわけだが、一度に渡してしまうわけにはいかない。その一度でタイラントオオシマエナガが警戒を解いてくれるという保証はないのだ。というわけで少しずつ。一同は縄張りから少し離れ、カイトとノースポールは鳥姿に変化する。シマエナガ達は人の気配が遠ざかった事、そこに食糧があることをかぎつけたらしい。
「ジュリッ」
「ジュリリッ?」
 鳴き声をあげて近づくシマエナガ達。彼らの姿を見てカイトは思った──あれ、若干俺の方が大きいかも。いやいや言って『若干』である、同じ程度の大きさならば警戒もさしてしないだろう。
「ピィ!」
 鷹姿になったカイトは動物疎通でシマエナガ達に声をかける。ビクッとして警戒の色を強めたシマエナガ達だったが、自分たちとよく似た構造の身体を持つ2人にいくらかその色は弱められたようだ。カイトが貝殻を加えてシマエナガ達の近くに置き、下から覗き込むと円らな黒い瞳が真っすぐ見返している。なにこれ? というような彼らに海洋の貝殻である事を話すととても興味を引かれたようだ。シマエナガ達は初めて貝殻を見たらしい。
「ジュリッ! ジュリリッ!」
 シマエナガ達と似た鳴き声をあげるのは──小さなシマエナガ。ではなくて、ノースポールだ。彼女の姿を見るなり取り囲んだシマエナガ達は、彼女の戸惑いを知る由もなく──。
「わぷっ……!?」
 もっふもふな体を寄せ始めた。傍から見ればノースポールが完全に埋もれてしまっているだろう。けれども敵意の欠片も見えないことから危害は加えられないだろうとイレギュラーズは静観する。エルもまたそれを眺めながら呟いた。
「……混ざりたいなあ」
 シマエナガ姿のノースポールはモフりたいし、タイラントオオシマエナガはもっとモフりたい。その2つが合わさったあの空間、モフられたい。

 さて、その一方で幻介は木の実を一か所に集めていた。他の仲間たちが集めたところへ混ぜてしまうと混乱してしまうだろうから、別の場所で。というのも、
(拙者には近づいてこない気がするので御座るよなぁ……)
 正直な話というやつである。怯えられて近づくことすらままならないかもしれない。そういうわけで、幻介は別の策を考えた。よっこらせいと引き摺ってきたのは大きな──人も身を縮めれば入ってしまいそうな──籠とそのつっかえ棒。よくある雀捕りの罠(タイラントver.)である。ひもを引っ張るだけで棒が倒れ、籠がその下にいるものを捕まえるのだ。
「あとは撒き餌に木の実を……うむ」
 満足気に頷いた幻介は紐を引っ張ってしまわないようにしながら茂みに隠れる。こんなものダメ元だ。だがしかしやるだけやってみても良いだろう。
(あとは……ここには魔物はいないで御座るか)
 ローレットで確認した情報を思い出しながら幻介はゆっくり森を見渡す。気配も穏やかで平和なのだろう。けれども武器を置いてきている仲間を知っている以上、自らが護衛役として気を張っておいても良い筈だ。
 本来ならば幻介も武器を置いてきた方がいい、というかその方がタイラントオオシマエナガが近づいてくる機会はあったかもしれない。が、しかし。侍たる者、武器を手放す等ありえない。つまり──不安で仕方なかったのである。
(できれば何も起こらず、仲良くなって羽毛を拾えることを願うで御座るよ)
 それから暫し、幻介は罠にシマエナガがかからないか気にしつつも敵意が無いか探っていた。

 場所を戻ってカイトとノースポール、そして他一同が長期戦で粘る仲良し大作戦。こちらは数度の餌付けに成功し、レストも対話を始めていた。
「たいらんとちゃん、何か苦手なこととかあるのかしら~?」
 彼らもカイトとノースポール、そして集められた食糧の甲斐あってかかなり警戒を弱めている。彼らは驚かされることや空腹を嫌うらしい。人里離れた森の中にいるのもそういった理由であるらしかった。
 ルチアーノはタイラントオオシマエナガ達の前から食糧が消え去ったのを見て段ボールを開ける。元気にうぞうぞと動いていた虫たちだ。更にフルーツも持って行けば、必然と彼らの視線がそちらへ釘付けになる。ウサーシャも今回は『自分たちが置いたのだ』と見せるように集めた食糧を置いた。
 そこへひょいっと近づいたノースポール。新しく用意されたものにも毒は無いよと言うように啄み、同じものを食べて見せる。その視線が段ボールの中へ注がれ、一瞬固まった──がもう覚悟は決まっている。カイトも同じように食べられないことは無いとそれを啄んだ。それが終わればくつろいだように毛づくろいをし始める。彼らの姿にシマエナガたちも再び食糧を啄み始めた。
(敵意は持たれていなさそうかな?)
(ええ、大丈夫でしょう)
 ルチアーノとすずなは小声でぼそぼそと言葉を交わす。特にすずなは犬系の因子を持っている故に全く近づいていないが、今のところはこれといって唸り声を上げられたりもしていない。そろそろ交渉もできるだろうか。
「ねぇねぇたいらんとちゃん、おばさんたち羽を拾わせてほしいの」
 レストの言葉にシマエナガたちは耳を傾けている──ように見える。少なくとも近づいたレストや他のイレギュラーズたちには害意を抱いていないようだ。
「もし羽を拾わせてくれるなら……代わりにたくさんお野菜や果物をプレゼント出来るのだけれど、どうかしら~?」
 イレギュラーズたちに得るものがあるのならば、シマエナガ達にも得るものがあって然るべきだろう。レストの言葉はタイラントオオシマエナガを大いに沸かせた。同じものを食べたノースポールやカイトが彼らの持ってくる食糧を無害であると、身を以て教えてくれているのである。彼らが害などを疑う余地はないのだった。
 レストがタイラントオオシマエナガたちの希望を聞き、あれば該当する食物の種を取り出して育てる。その傍ら、すずなはゆっくり近づくと集めていた食糧を差し出した。耳も尻尾も隠してはいるが、シマエナガたちがどう出るか──そんな考えも杞憂だったようで、シマエナガ達は喜んですずなの手から木の実を啄む。すずなはほっと小さく息をついてそれを眺めた。もう羽を拾わせてもらっても良さそうだ。
「レストさん、痒い所がないか聞いてもらえませんか?」
「勿論! んふふ、今日のおばさんは通訳さんね~」
 エルの問いをそのまま口にして、その答えをレストはエルへ返す。エルは掻きますよ、と声をかけてシマエナガに近づいた。痒い所があるということは、その辺りの羽根が生え変わると言う合図かもしれない。そしてちゃっかりモフモフを堪能することもできるのである。
(お、コイツらは特に気が立ったりしないんだな)
 カイトはそれを見て目を瞬かせる。シマエナガの換羽期は秋と聞いたことがあるが、彼らも同じなのだろうか。しかしその時期はピリピリしているというから、多少は何か違うのかもしれない。
 何処かのんびりした空気が流れるそこへ、突如シマエナガの鳴き声が響き渡る。次いで──幻介の声。
「ジュリリリリッ!!」
「うわっっ」
 罠にかかったシマエナガが驚き暴れ、籠を幻介のほうへひっくり返したらしい。下敷きになった幻介から籠を退かしながらレストが「驚かされるのは嫌いみたいよ~?」と助言する。
「そ、そうで御座ったか……申し訳ないことをしたで御座る」
「ジュリッ」
 憮然とした顔をしているシマエナガだが、仕方ないなあというような言葉は動物疎通を持つ者たちに聞こえたことだろう。シマエナガがひょいと退けば、そこには大きく羽ばたいた時に落ちた羽根がある。持っていけという事らしい。それを抱えた幻介はぬくもりにほうと息をついた。
(めっきり冷えてきたことを実感するで御座るな……)
 秋もあっという間に過ぎて冬になってしまうだろう。その間、シマエナガ達はどうするのだろうか?
「真っ白でふわふわ、綺麗だね!」
 ルチアーノは大きな羽根を広い、ふとノースポールからもらった彼女の羽根を取り出す。比べるとやはり大きい。一体何倍ほどであろうか。
「ポーもいずれは、タイラントサイズになったりするのかな?」
「ル、ルーク! 私はこんなに大きくならないし、太るつもりもないよぉ!」
 もう! と口を尖らせるノースポールはすっかり元の姿に戻っている。可愛らしい様子を見せる彼女にルチアーノはくすりと笑った。
「大丈夫、ポーがもしも巨大になったり、太ったりしても愛してるよ!」
 仲間たちがいる場所で熱々である。
 すずなはそんな2人を微笑まし気に眺めながら羽根を拾い集める。先ほど警戒されなかったからと言って調子には乗れない。焦らず慌てず、どうしても拾いたいと執着して怒らせたら大変なのだから。
「これくらいで大丈夫か?」
「そうですね」
 カイトへ頷いたエルは小さくもうモフりまくれないのか、と呟く。仕方がない、もう依頼に十分な量を回収したのだから。
「今度は遊びに来てもいいかもしれないね!」
「うん! またご飯を持ってきてあげようね」
 ルチアーノへ笑顔を向けたノースポールは視線をタイラントオオシマエナガたちへ向ける。手を振るとシマエナガ達も別れを察したのか、次々と鳴き声をあげた。
「皆、元気でね。また遊ぼうね!」
 次にここへ来た時、彼らはいないかもしれない。
 次にここへ来た時、彼らは大空を羽ばたいているかもしれない。
 またどこで会うかはわからないけれど──再開を、楽しみに。

成否

成功

MVP

レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ!
 これで冬支度も進むことでしょう。

 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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