再現性鰯京2020：イワ私立鰯ヶ浜学園エンジェルイワシ部

オープニング

●10月4日はエンジェルイワシの日です
「ぶおんぶおーん。盗まれたばーいくではーしりだすー」
　特定の人物団体が怒らない程度に音と歌詞を外して歌うバイクことアルプス・ローダー (p3p000034)。
　ここは練達の一地区である再現性鰯京（アフェプトサーディン）2020。その公道である。
　道行くJKたちは鰯ホンをぽちぽちしながら歩きサラリーマンは鰯ホンを耳に当てて通話の向こう側にいる誰かにぺこぺこしている。
　そんなどこにでもあってどこにもない、異世界のごく普通の日常風景が再現された街に、アルプスたちはいた。
「オーイェーアハーンサーディーン……っと」
　バイクはスピードをゆるめ、立派な校門の前でとまる。
　エンジンをきって路肩にあしをつくと、アルプスはヘルメットのゴーグルをくいっとあげた。
　彼女の服装は、ご覧いただければわかるだろう。そう日本の首都である鰯京で最もポピュラーな鰯校制服である。
「やっほーアルプスパイセン！　今日もバイク通学？　特待生はちがうね、このこの！」
　そう言って後ろから小突いてきたのはフラン・ヴィラネル (p3p006816)。
　彼女のような鰯体系の女性は鰯美人といってかの国では最も美しいとされていた。特に胸。
「ふふっ、知ってたよあたしがこの手の空間に来るとゴリラか胸のどっちかをいじられるって」
　へへへ慣れちゃったらこっちのもんだよねと虚空に向かってイッちゃった笑みを浮かべるフラン。
　そこへエルフ耳を規則正しく上下させたセレステ・グラス・オルテンシア (p3p009008)が蒼い薔薇と鰯を背景効果として散らしながら現れた。
「ごきげんよう。いい朝ですね」
　サッと髪を払えば良い香りがただよい、道行く女子生徒たちが一斉に振り返る。
「セレステ様よ！」
「イワシ全国大会で活躍なさったセレステ様だわ！」
「抱いて！」
　そんなモブ女生徒たちを優雅にスルーして、セレステはやれやれと首を振った。
「おはよう。いやあ、有名になっちゃったねー」
「ございます。無理もないでしょう」
　フランとアルプスはそれぞれ校舎へ振り返った。
　校舎にさがった垂れ幕にはこうある。
　『鰯ヶ浜学園イワシ部、全国大会優勝』

　彼女たちは連れだって校舎へへ（バイク押したまま）入っていくと、下駄箱奥の掲示板に校内新聞をはるアウローラ＝エレットローネ (p3p007207)がいた。
「あっみんなおはよう！　昨日のニュース見た？　隣の鯖野崇学園が暴力事件を起こしたんだって！　怖いよねー！　あ、部室よってく？」
「うんよってくー」
　アウローラたちは『部室』なる場所に向かうらしい。
　このまま校内の様子を書き続けるときっとこのOPが5000字くらいになってしまうので色々割愛して――ハイ部室！　ここ部室だよ！
　議事堂かヤクザの本部かなってくらいどでかい金看板が掲げられた部室には『イワシ部』と書かれていた。
　がらりと扉を開くと――。
「オーッホッホッホッホッ！」
　煌めくエンジェルイワシを頭上で旋回させながら高笑いする御天道・タント (p3p006204)。
　その隣で握った紙吹雪を銀色の発光させながらパッ！　パッ！　てまき続ける匠の顔したリゲル＝アークライト (p3p000442)。
　部屋中にイリュージョンイワシの群れを舞い踊らせながらステッキをくるくるやる夜乃 幻 (p3p000824)。
　三人が一斉にポーズをとると、バッと同時にアウローラたちへと振り返った。
「四人とも今来たんですか。朝練、始まってますよ」
「イワシ特待生として招かれたからにはきっちりと役割をこなすものですわ。もちろん、このわたくし――」

　　＼きらめけ！／

　　＼いわしの！／

＼＼＼タント様！／／／

「――はこの通り次の大会への準備は万端ですわー！（イワシウルワシオモテナシポーズ）」
「まあまあ、よいではございませんか。こうして生徒として過ごすことも依頼の内。この地域に発生する『悪性魚類（サバ）』を倒し、人々に平和とイワシの日常をもたらす……それが本来の依頼内容なのでございますから」
「そう、だよ！」
　部室の奥、ぐるーって椅子ごと回転したアンジュ・サルディーネ (p3p006960)が耳に当てた鰯ホンを机に置いた。
「イワ私立鰯ヶ浜学園エンジェルイワシ部とは仮の姿。その実体は……この街を襲う『悪性魚類：夜鯖（サバ）』を払う正義のイワシスト。特異運命鰯（イワシーズ）だよ！」

●10月4日はエンジェルイワシの日だって言ってんだろ！
　さて、ここまでの流れで『えっなにこの設定は。知らなかったの私だけ？　いまPPPって鰯学園編に突入したの？』って思ってる人がいるかもしれないから教えておくと、これは八人が全く同時にどういうわけか偶然不思議に見た共有夢なのであります。
　なぜなら今日は10月4日。いわ（10）し（4）の日でありてん（10）し（4）の日。つまりエンジェルイワシの日。
　エイプリルフールが半年早く来たくらいの勢いでぶっ込まれる年に一度のど～かしてる日なのだ。
　っていう情報をふまえて、続きを読もうね。

　――イワイワイワ――イワイワイワ――イワイワイワ
　部長アンジュの鰯ホンが鳴り響く、手に取って耳に当てると、イワシが直接脳内に語りかけてきた。
　『きこえますか……きこえますか……いまこの学園に鯖の脅威が迫っています……戦うのです……鯖と……戦うのです……』
　それは部員のみんなにも（直接脳内に）聞こえていた。
「ハッ、まさか！」
　慌てて窓をがらりと開けると、そこに校門の前には八人の若き男女が並んでいた。
「俺たちは鯖野崇学園サバゲー部の者たちだ。軟弱なイワシを信仰するお前等鯖ヶ浜学園を粛正に来た！」
　セット！　と言いながら額に鯖を押しつけると、彼らは鯖の鱗と銀の輝きに包まれた鯖戦士へと変身。
「あれは……鯖憑き！」
　驚きもつかの間、鯖憑きとなった鯖野崇学園生徒たちは鰯ヶ浜学園の生徒達へと襲いかかった。
　イワシブレードやイワシシューターが荒れ狂い、窓は割れ銅像は砕け花壇は枯れ鳥は空を捨て人は微笑みなくすだろう。
「くっ、好き勝手してくれる……！」
「両方の小ネタにちょっとサバがかかってるのがムカつきますね」
「みんな――分かってるよね」
　アンジュはマイエンジェルイワシであるエルキュールを手のひらに載せると、椅子からすっくと立ち上がった。
　そう、彼女たちはエンジェルイワシと心を通わせ合体することで超人的鰯力を得る『特異運命鰯（イワシーズ）』！
「学園の平和と鰯は――アンジュたちが守る！」

参加者 : 8 人

冒険が終了しました！　リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧（8人）

リプレイ

●[新番組]イワシーズ・いぶし銀
　やあ、俺の名前は『白鰯剛剣』リゲル＝アークライト（p3p000442）！
　鰯ヶ浜学園に通う一年生だ。新生活に胸を膨らませていた俺を待ち受けていたのはなんと――怖い悪性魚類（サバ）！
　その時出会った相棒のエンジェルイワシ『ライトニングファルコン』と共に鯖と戦うことに！
　人々の平和を乱す不正義は許さない！　エンジェル・イワシーズ・いぶし銀・メイクアーップ！

　イワシーズ・いわシルバーをご覧頂きありがとうございました。
　来週から始まる新番組をよろしくね！

「学園を、いわしを、護らねば！」
　なぞのCM明け、ワーキャーいってるガヤと顔もあんま書かれてない生徒達を背景に、学生服をなびかせたリゲルがザザッと校庭の砂をあげながらスライドイン。
　上着のボタンをフルオープンにし、バッと天空に手をかざせばどこからともなく飛んできた白銀のエンジェルイワシ『ライトニングファルコン』が彼の手にがしりと捕まれた。
　頬にもってきたイワシがリゲルのほっぺにちゅってすると突如として背景がピンク色になりリゲルの服という服がちぎれ飛び爽やかに目を瞑り謎の風に髪をなびかせてるリゲルの手足に白銀のリボンが結びついたかと思うとキョピンみたいな効果音と共にスカートドレスと可愛いイワシブローチに変化していった。
　マジカルイワシステッキを手にヒールを履いて後ろ髪をめっちゃ長くしたリゲルきゅんがうわーやっばいこれ奥さんに大人気になっちゃ――えっなに事務所OKが出てない？　リゲルきゅん女装OK出てないの！？　嘘でしょ！？　まずいこのままじゃ放送停止に――

●[新番組]‬いわしーズ・いぶし金ピカ！
　オーッホッホッホッ！　わたくしの名前は『イワめけ！いわしの！』御天道・タント（p3p006204）、鰯ヶ浜学園に通う一年生で以下略！

「タント、大変だ！　鯖野崇学園のサバゲー部が校内へ襲撃を仕掛けてきたぞ！」
　白銀のタキシードスーツに身をつつみシルクハットを被った仮面のリゲルが校舎の屋上でステッキをかざしていた。
「お任せですわ！　さあ！　ゆきますわよセバスチャン！」
　ピッとほっぺの横に手をかざして見せると、きゅいーって言いながらジャンプしてきたエンジェルイワシがタントのほっぺにちゅってした。
「マジカルサーディン！　シャーペンスユーアーップ！！」
　突然ご家庭のお母様が怒らない程度にぼかした裸体のシルエットとなるタント。

　　　＼イワめけ！／
　キュピンって音と共に装着されるブーツと手袋。

　　　＼いわしの！／
　装着さフワッと風になびくドレス。

　＼＼＼タント様！／／／
　現れたゴールデンなタントがウィンクしながら投げキッスをした。
「‬いわしーズ・いぶし金ピカ！　ぴかっと参上ですわーー！」
　このイワシウルワシオモテナシポーズのタント様フィギュアと変身セットはこの放送後からおもちゃ屋さんで発売されるぞ！
　やったぜこれで大金持ちだえっなに尺がおかしい？　通常の四倍かかってる？　うっそだろ変身しただけで終わるぞこの話！

●[新番組]イワシーズ・幻
「そう、僕は……尺の読める賢いイワシーズ」
　あろうことか既にエンジェルイワシ『サーディン・デュ・ディヴァ』にほっぺちゅーをさせた『イワシの奇術師』夜乃 幻（p3p000824）がイワシーズ・メイクアップ！
　これから毎週必ず流れるバンクシーンをあろうことか八倍速でお送りすると、銀の鱗のワンポイントとワインでできた蝶を象徴的に移してステッキとシルクハットを掲げて見せた。
「イワシーズ・幻、参上でございます」
　すげえ、なんてコンパクトでスマートな尺使い！
　これで番組も安泰――えっなにいまのバンクシーンだけで予算を使い切ったの？　嘘でしょ！？
「あとOPの各所で鯖と鰯をいくつか混同していましたね」
　やめろ修復を諦めるくらいちりばめられた誤字を指摘するとか人の心がないのか！
「仕方ありません。僕にいい考えがございます……」

●[新番組]イワシーズ・青海苔！
「ぎゃーーーー目がーーーー！！」
　『イワ死兆』フラン・ヴィラネル（p3p006816）の目にエンジェルイワシのセニョリータ幸代が突き刺さっていた。
「大丈夫か青海苔！」
「気を確かに青海苔様！」
「おちついてほっぺに刺すのです青海苔様」
　幻たちがフランからイワシを抜くとそのままほっぺにザクッて指した。
「ぎゃー！　イワシーズパワー、メイクアップ！」
　五本の指に塗られたグリーンのマニキュアが光りだす。
　マニキュア型変身セットは今日からおもちゃ屋さんで発売中。イワシーズふりかけ（いわしを食べるな味）もよろしくね！
　服がはじけとんでスカートがひらひらするシーンにここぞとばかりに関連商品のCMを挟んでくる幻。
「イワシーズ・青海苔！　KENZAN!」
　グリーンのファッショナブルなイワシーズが登じょ――ああっ、バイクが！

●[新番組]イワシーズ・桜干しスカイブルーパーリー
　キキーッ――ドウッ。
「いくよウメボシ、イワシーズ・桜干しに変身だ！」
　バイクに水平乗りしていた『鰯成』アルプス・ローダー（p3p000034）がギュルッて回転しながらバイクから降りると、どこからともなく飛んできた鯖を『鯖じゃねえ！』つってたたき落としてからもっかい飛んできた鯖も『鯖じゃねえ2！』つってたたき落とし今度こそ飛んできた鰯に頭からかじりついた。
「ギュイー！？」
「まってアルプスちゃんもとい梅干しちゃん！　そこはちゅーだよ！　かじっちゃだめ！」
　ぺっしなさいぺっ！　て言いながら背中を叩く『鰯の海の精霊』アウローラ＝エレットローネ（p3p007207）。
　ついでに自分もちゅってしてから即変身！
「イワシーズ・スカイブルー！　アウローラちゃんですよー！！」
　イワシマイクを手にビッてポージングするアウローラの横で、『鰯霊暴食』セレステ・グラス・オルテンシア（p3p009008）がパールカラーの背景で早回し変身。
　美麗オブ美麗な男子セレステからボーイッシュで美しいイワシーズガールセレステへと変身したのである。事務所の許可はとってない。だが同年代の女子達に後戻り不能の性癖を開くことは間違いないだろう俺しってんだぞ。
「煌めくとおパーリー（オパール）になってしまうアークエンジェルイワシ……そう、それがイワシーズ・パーリー」
　万人が理解出来なさそうなことを言いながら顔の良さと煌めきのポーズで押し切るセレステ。
「そして気づいていると思いますが、今作からイワシーズはトリオ制となりました。度重なる番組中断により人気の低迷が危ぶまれる本シリーズのテコ入れ策なのです。
　そしてテコ入れ策としてもうひとつ用意されたのが……」
「ぴんちみたいだねイワシーズ桜干しスカイブルーパーリー！」
「「その声は！？」」
　振り返る屋上。逆光とシルエット。
　『いわしを食べるな』アンジュ・サルディーネ（p3p006960）がてやって言いながらジャンプし空中でエンジェルいわしのエルキュールと口づけした。
「皆（いわし）の願いを力に変えて！　メークアップ！」
　そう皆大好き初代イワシーズの復刻再登場である！
「イワシーズ・いわシルバー！　アンジュ、参上！」
　着した時には既にいぶし銀、いぶし金ピカ、幻、青海苔も分割早送り画面で変身まで終えて同時に着地していた。
　そう、全員集合である！
　ヒーローがいちいち全員集合する。平成あるあるである。
　そうなのRXも終盤全員出てきたうえ偽物まで現れて乱闘しだしたから見てたおじさんは混乱し――あっごめんこの話長くなるから今度にするね。
「アンジュたちの、ひいてはいわしたちの幸せを壊そうとする鯖どもをタタキのめすよ！
　あいつらはこうやっていわしたちを不幸にして、その度にサバトを開いてるんだ。絶対許せない！
　なめろうにしてやる！」
「「オーッ！」」
　ちなみに現在尺の5割を消費しています。

●よくCM明けに敵が全員やられてるシーンのやつ
「くらえー！」
　アルプスローダーはベルト型イワシドライバーに接続されたガラケーを抜き取ると『104』とボタンをおしブレードを展開。サバゲー部たちを次々に切り裂いていく。
「強力なDHAが得られる代償にイワシの足が早くなってしまう『イワシザリミット』――これで3枚に下ろしてやる！」
　うおーと言いながら鯖（描写省略）とつばぜり合いになるアルプス。
　一方アンジュも鯖（描写省略）めがけイワシミサイルを発射した。召喚されたイワシがサバゲー部めがけて殺到。対抗したサバゲー部はサバンナサーバルキャットを呼び出しSNS（サーディンネットワーキングサービス）へサーバー攻撃を仕掛けてきた。
「サバサバ系女子の特殊攻撃だね。でも負けない、鰯は『弱さを捨てた魚』と書いてイワシなんだ！」
　サーバルとイワシをぶつけ合い大爆発をおこす中、タントは逃げ惑う生徒達をキラキラしながら誘導していた。
「学内の皆様！　わたくし共がこの威張っている鯖……通称『鯖威張る』を！　何とかいたしますので！　裏門から逃げるのですわー！」
　それを追いかけようとサバイバルナイフを抜いて襲いかかる鯖部たちを、タントはふわーって浮かびながら制した。
「おっと！　行かせませんわよ鯖威張る達！
　光物と聞いては黙っていられませんわ！　光るは我が専売特許！
　鯖など恐るるに足らず！　ヒスタミンにまみれて朽ちるがよいですわー！！」
　ゴールデンイワシの群れがざっぱーんと波をたてて襲いかかる。
　その波にイワシボードを用いて乗った幻はドロップターンをかけながらステッキを回した。そうこれが必殺の『鰯想鰯夢』である。
　まって鰯想鰯夢ってなに。
　フレーバー――鰯術を行って、それを観ると、想い鰯の夢をみることができます。鰯術は無限のように見えて一瞬。
　まってほんとうに鰯想鰯夢ってなに。
「いっくよー！　鰯砲、発射ーー！」
　敵も味方も一般性も困惑してる間に、鰯飛び交うステージでイワシマイクを握りしめたアウローラがイワシサイリウム振り回す親衛隊たちをバックにイワシを発射した。
　クイズ。前の行にイワシって何回出たでしょうか。
「学園を、いわしを、護らねば！」
　そうして発射されたイワシの群れの上に水上スキー感覚で乗って、リゲルは炎を纏ったステッキによるイワシーズファイヤーを繰り出した。
「イワシを食材として見ていた頃もあった未熟な自分。
　だが今や心を入れ替え身も心もイワシとなったのだ。
　イワシで街角アンケートを取ると必ず調理関係が引っかかる。
　――世界は間違っている！
　時代がイワシに追い付いていないのだ！　これは不正義ッ！」
　グワーといって爆発四散する鯖部。
　だが鯖部とて伊達にサバサバしているわけじゃない。サバキャノンを構え一斉砲撃をしかけてきたのだ。
「なんて勢いのある砲撃……けど心配しないで、私たちにはフランが――イワシーズ・青海苔がいるよ！」
　といってアンジュが指をさしたのは、十字架に縛り付けられたフランであった。
「絶壁でも鉄壁でも鉄板でももう慣れたもんだようん」
　虚空を見上げてえへへえって笑うフランに涙がこぼれそうになる一同だが犠牲は無駄にせぬのがイワシーズの心得。あと胸に『イワ死兆1』って書いてあったのでどのみち助からなそうな気がしたのも事実。
「ここは鯖一匹通さないよ！　サバ(を)イ(ワシが)バ(チコ)ー(ン)のプライド！」
　とか言いながら鯖をいいかんじに誘惑するおまじないこと『鰯惑』を仕掛けた。具体的には鯖が好きそうな臭いをめっちゃ発した。
　群がっていく鯖ミサイル。思わず引き寄せられるサバゲー部。
　セレステはそのすきに格好いいポーズでバッと飛びかかると鯖マイクを取り出し突如ラップのリリックを刻みなんかしらないけど相手が爆発四散しセレステは格好いいポーズで締めた。
「世間的には所謂光であるところのイワシーズが暗黒なるサバーズに圧倒的有利なのは確定的に明らか。
　きっちり〆て差し上げましょう、鯖だけに。〆鯖的に。
　Viva★鯖カーニバルとか密すぎて開催中止ですから」

　すべての鯖部を倒したイワシーズ。
　勝利の喜びにひたろうとするがそれはまだ速かった。
　彼らの鯖力が集合し巨大鯖怪物サーバンドンへと変身したのだった。
　巨体を活かして周囲のビルを次々に破壊し始める巨大鯖。
「まだこんな力を隠していたとは……」
　ぶるりと震えるリゲルだが、しかしイワシーズは逃げない。
「イワシのボディの点々の模様がとても愛らしい。
　イワシの優れた造形美であり芸術である。
　ぱっちり開いた瞳も麗しい……」
　瞳を閉じて自らと鰯を魂レベルで一体化させると、覚醒したイワシブレードに冷凍の力を纏わせたイワシーズフリーザーを解き放った。
「イワ神を讃えよ。
　イワ神に仇なす者は悔い改めよ。
　イワシーズジャスティスドリーム！」
「塩振り！　お湯をかけてすかさず水！　臭みとりの牛乳！　酒！　酢！」
　そこへ浴びせかけるように追撃するセレステ。そう世界七億人のイワシストなら分かるとおりこれは鰯の臭みをとる呪術。すなわちイワ呪殺である。
　鰯全国大会で会場を騒然とさせた技がさえわたる。
「イワシーズ・スカイブルー、歌います！　鰯の讃歌を聴いてー！！」
　そんな二人が巨大鯖の両腕を凍らせたり臭みを取ったりしてる横っていうか屋上で歌い始めるアウローラ。
　『鰯・カンターレ』が校内じゅうのスピーカーから爆音で放たれるのを背に、タントは屋上から助走をつけてジャンプした。
「これは昨晩急に天恵をえて会得した技――！」
　あり得ないくらいの高度へ飛び上がった後。
「スワリング・イワシーキックッ！！」
　タントは螺旋のエネルギーフィールドを展開しワインのボトルオープナーのごとく回転しながら巨大鯖へと突っ込んでいった。
　これがどういう元ネタなのか詳しそうな人に聞こうね。平成のボルテージがあがってさめやらなくなると思うから。
「グワー！？」
　描写の尺が惜しいのか手短に弱まりはじめる巨大鯖。
　アンジュとアルプスはガッてお互いの腕を交差させると、バイクをどこからともなく召喚させた。
　いつの間にか集合するイワシーズたち。そしてなぜかバイクに縛り付けられたフラン。
「みんなのエンジェルいわしを僕のバイクマフラーにねじ込むことで完成する最強武器――それが『驚天動地！　サーディンフィニッシュ！』です！」
「解き放つよ、アンジュたちの『ファイナルいわしビッグバン』！」
　大空を突き抜ける虹色の光となりて、イワシーズたちの力は巨大鯖を破壊し空に虹を架けたのだった。
　もちろんレインボーは空だけじゃない。それを見上げた人々の胸にもかかりどんなミラクルも置き放題である。
　具体的には幻が巨大鯖の炭火焼きにスダチをかけてワインと一緒においしくいただきはじめた。
　さらには刺身に醤油をかけてワインでいただきさらにはカルパッチョにオリーブオイルをかけワインでいただいた。これだけでワインが30ガロン消えた。
　頭をこげこげにしたフランが『み～んな～』って言いながら走ってきた。
「お疲れ様！　カフェ・イーワッシよってこ！」
　そう言いながらくるって可愛く身をひねってみせたフランのポケットから、『鯖野崇学園』と書かれた定期入れが落ちた。鯖を額につけてダブルピースしたフランの証明写真がついていた。
「「…………」」
「ちがうのこれは親の仕事の都合で前いただけで心はもう完全に鰯ヶ浜学園の一員でえっその時は調理部でいわしのつみれとか作――」

　身体に赤い何かがめっちゃハネたアンジュと共に夕暮れの坂道を走っていくイワシーズたち。空に浮かぶダブルピースフランの笑顔。
　こうして街の平和と鰯は守られたのだ。
　めでいわしめでいわし！

「「――ハッ、夢か！！」」

成否

成功

ＭＶＰ

なし

状態異常

あとがき

　夢か！！！！！