PandoraPartyProject

シナリオ詳細

The world of miasma①

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●狩る者、狩られる者
「瘴気が強くなってきたな。魔獣の存在が近い、十分に注意をした方が良いだろう」
 薄暗い煙のような瘴気に包まれた大地の上で、武装をした数名のパーティーのリーダーと思わしき男が口元に布を巻きながら呟いた。今や大地全体を包む瘴気はいずれにしても人体の毒となり、吸い続ければ寿命を刻一刻と削られるだろう。
 そんな中、足元がふらついてしまう程の地響きが彼らを襲う。
「地震か……?」
「違う……! 避けろ!」
 そう叫んだ瞬間、彼らの頭上から鋭い爪の生えた大きな魔獣の足が振り下ろされた。

「大型魔獣の出現、ですか……。ギルドとしても見過ごすことができませんが……」
 武装をした多くの冒険者が集う冒険者ギルドと思わしき場所で、ボロボロになった男と受付の女性が話をしている。ギルド内は少し不穏な空気が漂っており、冒険者たちは男と女性の話に聞き耳を立てながら騒めいていた。
「今すぐ対処しねぇと俺の仲間がまだ3人、まだ上で戦ってるんだ……!」
「ですが、A級以上の冒険者は現在ほとんど出払っておりまして……」
 ギルドの女性が困ったような表情を浮かべていると、ずっと話を聞いていた境界人イヴ=マリアンヌは席を立ち、境界へと戻っていった。

●異世界交流のために
「ええ、少し興味深い世界だったので観光に行っていたのですが、今後この世界と交流を深めるには最適かと思いまして」
 境界世界にて、イヴはいつも通り本を読みながら告げる。彼女が言うには、その世界は混沌世界の人間と全く違う構造をしており、地下に巨大なコロニーを作っているという。
「出現した魔獣はあなた方であれば苦戦することはないでしょう。ですが、地上は瘴気の煙で包まれており、毒であることは間違いありません。手っ取り早く討伐してコロニーに避難するか何か対策をすることをお勧めします」
 イヴは彼女自身が調べたとされるその世界の情報が記載された本を手渡すと、軽く手を振りイレギュラーズを見送るのだった。

NMコメント

 初めましての方は初めまして、牡丹雪と申します。
 混沌世界とはまた一味違う世界のシリーズ第一幕になりますが、よろしくお願いします。

●目的
 地上で三人を襲っている大型魔獣を討伐し、ギルドへ報告する。
 戦闘中の三人は戦闘面では足手まといになりますが、魔獣を倒すための弱点等が分かっているので、守ることができれば魔獣を素早く始末することができるかもしれません。
 また戦闘後、彼らのコロニー内を自由に探索することができます。魔獣を討伐した後であれば、この世界の事を聞くこともできるかもしれません。

●世界観
 かつて世界の均衡を保っていた6人の精霊たちはあまりの退屈さに人類を生み出し、それを繁栄させた。だが、人類を生み出す過程の中で邪悪な力を持つ魔獣も生み出してしまい、やがて史に残る大戦争が起きてしまう。瘴気により荒廃してしまった跡地から逃れるべく人類は地底へと生活圏を移動した。
 そう願った精霊が導いてくれた際に偉人が受け取ったとされる高純度の精霊石を用いた5つの疑似太陽により、まるで地上にいるような生活を送っている。のちにその疑似太陽に惹かれるように人々は巨大なコロニーを築き、5つの国が出来上がった。
 人類は精霊に最初に生み出された種族であるため、精霊石の魔力を浴びつつ魔獣の炭を食べながら生きている。

~イヴの本より一部抜粋
・この世界の人間は息絶えると炭になる
・魔獣には核が存在し、様々な生活に役立っている
・世界には5人の精霊が存在する
・冒険者という組合が存在する

●敵対する魔獣の情報
・オルトロス
 冒険者を襲った大きな犬の魔獣。巨体にそぐわない素早さと力を持つが、特段特殊な能力は持ち合わせていない。
 視界を邪魔する瘴気の中でも鮮明に見える為、この世界では上級の冒険者でなければ狩ることは難しい。

・アイアンドッグ×3
 オルトロスの取り巻き。個々の能力は低いものの、瘴気の中でも素早く動き襲い掛かってくるため侮れない。
 あくまでもこの世界の冒険者にとっての話ではあるが。

●プレイングについて
 少し情報量が多いので、目標のおさらいになります。
 本シナリオは戦闘パート→ギルドでの交流パートの2パートを行う予定です。戦闘もありますが、コロニーを自由に探索することもできるので自由にプレイングを書いて頂ければと思います。

●アドリブについて
 本シナリオではアドリブが多めに含まれることがあります。
 アドリブがNGの場合、通信欄かプレイングに一言ご記載いただければ幸いです。

  • The world of miasma①完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年10月07日 22時50分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
白夜 希(p3p009099)
死生の魔女

リプレイ

●英雄級の冒険者?
 不幸にも大型魔獣に遭遇してしまった冒険者のパーティーの判断は意外にも冷静であった。リーダーは大型魔獣と遭遇するなり自らタゲをとり、その意図を察知したメンバー三人のうち一番戦闘に不慣れな一人をコロニーに逃がしたのだ。
「援軍はまだ来ないのか?!」
 だが、それも既に限界を迎えようとしていた。もとより大型魔獣を討伐する程の実力がない彼らが長時間それを抑えるのは無理に近いのだ。
「回復結晶の底が尽きた……畜生、畜生!!」
「っっ、流石に万事休す……ね」
 来ない援軍、消耗した体力、そして尽きてしまった回復アイテムという命綱。
「リーダー! 危ない……!」
「しまっ……!」
 長期戦による集中力の乱れにより、パーティーのリーダーの背後にアイアンドッグが迫っていることに気付くことができなかった。核を狙われたその攻撃に、死の覚悟をすることになる。
 ……その時だった。
「……は?」
 大きな銃声と共に目の前まで迫っていた一匹のアイアンドッグの胴体が無惨にも吹き飛び、木っ端みじんに破裂してしまった。その場にいた冒険者はなにが起こったのか理解できなかったが、銃声と弾丸の痕跡から誰かが狙撃を行ったという事だけ理解できた。
「新手か……? それとも……」
 冒険者たちが困惑している中、颯爽と姿を現した『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)は、突然仲間が倒されて動きが止まっているアイアンドッグに対して容赦の無い魔砲をぶっ放した。
 まともに喰らったアイアンドッグは先程撃ち抜かれた個体と同じように爆発四散し、灰と奇妙な石だけになってしまう。
「す、すごい……」
 苦戦を強いられていた敵があっさりと倒されてしまったことに驚いたような表情を浮かべる冒険者たちのもとへ、『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)もミリアドハーモニクスによる回復をしながら現れた。
「どうやら間に合ったみたいだな。あとは俺たちに任せろ」
 姿や武装は明らかに異国人のものであったが、切羽詰まった冒険者にとって願ってもない救いの手であった。
「あんたたちは一体……」
「話は後だ、まずはこのデカブツを倒してからだろ」
 取り巻きがあっさりと倒されてしまったオルトロスは激怒し、近くで冒険者を守っていた世界を噛み殺そうとする。が、その牙が世界に届くことはなかった。
「やはりオルトロス、首が二つありましたか。それにしても不思議な瘴気です……」
 ウルリカ(p3p007777)が放った光剣による強烈な一閃がオルトロスの右の首を一刀両断にしたのだ。落ちた首は残らず爆発四散し、他と同じように灰と奇妙な石だけに。
 そんな彼女であったが、一つだけ腑に落ちない点があった。攻撃と共に辺りを覆いつくしていた瘴気を吹き飛ばそうとしたのだがほとんど動きを見せなかったのだ。
「あんたら、瘴気を吸っても何ともないのか……?」
「らしい、な……。だがアンタらには毒なんだろ? 俺たちはあいつの倒し方がわからねぇんだ。弱点とか教えてくれりゃ、さっさと倒してコロニーとやらに帰れるぞ」
 状況を未だに飲み込みきれない冒険者リーダーの言葉を聞いた世界は、とりあえずここに居るだけで体力を奪われる冒険者をコロニーに帰すべく、まだ息のあるオルトロスと対峙しながら彼らに問いかけた。
「あ、あぁ……あの大きさの魔獣は体内に弱点部位である核を3つ持ってるんだ。さっき首が斬れた時に1つ切断しただろ? 全部に強烈な攻撃を加えるか、切断しちまえば身体の形状を保ってられなくなるんだ」
 つまり、このオルトロスを倒すにはもう片方の首と胴体にある核をどうにか攻撃すれば倒せるわけで、それさえ知ってしまえば……。
「簡単な仕事ね、やたらでかいけど犬は犬。的が大きいだけ」
 遠くから超ロング射撃でアイアンドッグを撃ち抜いた『白い死神』白夜 希(p3p009099)が愛銃を構えながら合流し、吠えるオルトロスに近付いていく。
 負けじとオルトロスは残った片方の頭で希に噛みつこうとするが、刹那に容赦の無い銃声が何発も鳴り響いた。


「地下なのに太陽が出てるみたいに明るいんだねー!」
「ええ、コロニーの中でも、精霊から授かった疑似太陽により地上と変わりない生活を送れています」
「じゃあー、夜って来るの?」
「疑似太陽は周期的に効力が弱まるので、そう言う意味で言えば夜は来ますね」
 コロニーはまるで都市の様に大きく、上を見れば遥か遠くに天井はあるものの、中央に埋め込まれた疑似太陽と呼ばれる鉱石の様な物が辺りを照らし、まるで地上に居るような世界だった。
「疑似太陽をくれたっていう精霊ってどんな存在なのー?」
「私も実際に精霊を見たことがある訳ではないのですが、言い伝えによると五人の精霊が荒廃した地上から人々を逃がすために、ここへ導いた。その際に疑似太陽を授かったと聞いています。あくまでも言い伝えなのですがね」
 どうやら精霊について、地上を冒険する冒険者もあまり知らないらしく、『神』のような存在であると捉えているらしい。
「あれ……渡された研究書には、六人の精霊って書かれてたような……?」
「六人……? 精霊は火、水、土、風、光を司る、五人で全員ですよ……? っと、そんな話よりも、まだまだ紹介したい場所は沢山あります! 疑似太陽の効力が弱まる前に周り切ってしまいましょう!」
 ちぐはぐな情報にアウローラは少し首を傾げつつも、冒険者に背中を押されコロニーの観光を楽しむことにしたのだった。


「なるほど、瘴気と呼ばれるこれは魔獣から生み出されるのではなく、瘴気から魔獣が生み出されているのですね」
「ああ、魔獣はそうやって生まれる。そして、その魔獣からしか取れねぇ灰を食わねぇと、俺たちゃ生きていけないのさ」
 ウルリカも一人の冒険者から話を聞いていた。
「魔獣のご飯は何なのでしょう?」
「決まってるだろ、人間さ。あんたらがどんな身体の構造をしてるか知らねぇが、俺たちの身体も魔獣と同じように形成されている。多分もうわかっちゃいるとは思うが、ここに核を持ってるのさ」
 冒険者は自分の胸にグーで手をあてながら人間にも核が存在すると明言した。恐らくそれは心臓の様なものであり、似て非なるものだ。
 そしてこの世界の人と魔獣の関係は弱肉強食であり、人が魔獣を狩り糧とするように、魔獣が人を糧にするということも少なからずあるという事だろう。
「あ、それ、少し貰っても良いですか?」
「んぁ? 別に構わねぇけど……」
 先程から冒険者が食べている固形状にされた灰をウルリカは指差して、自分も食べてみたいという意を伝える。すると、冒険者は袋から一つ、見た目はレーションに似たそれをウルリカに手渡した。
「無臭……ですね、味の方は……」
 ウルリカは受け取ったそれを一口。……何とも微妙な表情をしたのは言うまでもない。


「思ったより広いな。それに栄えている」
 オルトロスを倒しギルドに報告した後、世界は案内されたコロニー内の図書を漁っていた。
 ギルドへ報告した際に、世界を含めたイレギュラーズ全員が冒険者登録をされた訳であるが、ギルド内で伝説級の冒険者と話題になってしまった為、身代わりを置いて逃げ出してきたのだ。
「魔獣から取れた灰を加工して食いもんに、あの奇妙な石は生活や武器の生成に使ってんだな」
 食べ物になっている灰はさておき、魔獣の核になっていた医師には特別な力が備わっており、核の色によって用途が変わってくるとのこと。
「たしか五属性、五人の精霊……だっけか。核の色が五種類なのは何か関係があるのかね」
 この世界の歴史を調べようと大量の本を漁るが、どうもピンとした内容の本が見つからない。すべて抽象的に記述されている本ばかりなのだ。
「どうしてこうも神話的に書かれてるんだ。知られちゃぁマズい事でもあるのか? ……あぁ、甘いもん食いてぇ。」
 この世界の過去よりも、甘いものが存在しないこの世界に、世界は深いため息を吐くのだった。


「あ、ええと……スミマセン、別に英雄って訳では」
 ただ一人、冒険者ギルドに取り残された希は、英雄級の冒険者生誕を祝う騒がしい空間の中で少し縮こまっていた。登録の際に世界も一緒だった筈だが、彼は一体どこへ。
 そんなことを想いながら希は、冒険者ギルドの様子をじっと観察する。
「よう英雄さん、何か気になるものでもあるのかい?」
「あ、いえ……その……」
 気になることは沢山ある。冒険者以外に魔獣と戦う人はいないのだろうか、魔獣の灰を食べて美味しいのか、魔獣と戦ったその先、荒廃した地上。そして何より、ここの人たちはこの生活に満足しているのか。
 だが、冒険者たちの明るい様子を見るとそんなに気にすることでもないようだ。
「英雄さんは異世界人だろ?」
 いろいろ考えていたところに、一人の冒険者に声をかけられ思わず目を見開く。
「……何故それを?」
「恰好を見りゃわかるさ。時々ここに異世界人って言う女がいるんだから、ここじゃあんまり不思議じゃねぇ」
 きっとその女性は境界案内人であると察しながらも、希はその冒険者へ問いかける。
「……あなた達は今、幸せですか?」
「幸せか……か、まぁ見ただけじゃわかんねぇかもな。多分、英雄さんの思う『幸せ』と、俺らの『幸せ』は違うんだ。確かに魔獣狩りは危険だし、灰を食べてた英雄さんがマズそうな顔してたから根本的なところから俺たちは違うんだと思う。だが少なくとも俺は幸せだぜ?……っと、もう帰るのか?」
 笑顔でそう答える冒険者を見て、希は少しほっとした表情を浮かべた。荒廃した世界と聞いていたが、そんな中でもこの世界の人々は力強く生きているらしい。
 彼女は一通り話を聞き座っていた席を立つと、帰り支度を始めるのだった。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM