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シナリオ詳細

<幻想蜂起>窮鼠猫を噛む
<幻想蜂起>窮鼠猫を噛む

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●鼠と猫
「私の領地内で蜂起が起きたんだ」
 ローレットを訪れた幻想貴族は、集まったイレギュラーズ達に開口一番そう告げた。
 幻想国内で連鎖的に起こっている蜂起。これもサーカスの影響か、もしくは『何らかの外的要因』によるものか。それはわからないが、このまま放置していたら更なる被害は免れないだろう。
「蜂起を起こした人物……いや、それに関わった人間も消し去ってしまいたいくらいだがね。オーナーが言っていた通り、それによって領地の経済面にダメージがあるのは事実だ」
 この蜂起により、軍を派遣しての完全制圧をしようとした貴族は少なくない。そこを説得したのはローレットのオーナー、『蒼剣』レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)だった。
『こういった状況で大規模な軍を派兵等すれば、ヤケクソになった連中は玉砕を選ぶかもしれない』
『強引な手法を取れば余計な反感を煽る可能性も極めて高い。御領地の経済圏にも大きな傷がつく』
 だからこそローレットを上手く使い、訪れるかもしれない『更に大きな反乱』の為に戦力温存すべきではないかと告げたのである。
「そういうわけでね、今回は君達を頼らせて頂こう。町でひそかに集められている武器を使えなくしてもらいたい」
 町に送った密偵によれば、自警団の人間によって武器が集められているのだという。
 自らの身を守る為にしては入手ルートが隠されており、しかも集められた武器は何カ所かに纏められているそうだ。
「手段は問わない。強奪して私の元へ持ってきてもらっても構わないし、隠してある建物ごと爆破などしてくれてもいい」
 窮鼠猫を噛むと言うが、噛まれる前にその歯を抜いてしまえばいいのだ。
 町は決して豊かではない。更に町全体で蜂起しようとしているわけではないようなので、使える金銭もそう多くはないだろう。
 ここで武器を奪ってしまえば、また同じだけの武器を揃えるのには時間がかかると見ていい。
「君達が依頼を受けないのなら、当初の通り軍を派遣して制圧するだけだが……さあ、どうする?」
 

●密かな会話
「武器が揃うまであとどれくらいだ?」
「数日後には」
 鼠達は密やかに言葉を交わす。
 どこで聞かれているかわからない。猫を噛むまでもう少しなのだ、失態を犯すわけにはいかない。
 もう十分我慢した。繰り返される惨劇も、搾取を繰り返す貴族にも。
 だからもう、限界だ。

GMコメント

●成功条件
 集められている武器を使用不可にして、自警団の戦意を喪失させる

●武器庫
 全部で3カ所。互いに離れており、順番に回ろうとすると時間がかなりかかる。

・1カ所目
 町の北、教会地下。
 自警団は祈りに来ているという名目でよく訪れる。
 地下へ続く階段はどこにあるか不明の為、怪しまれないよう探す必要がある。
 武器は運搬に大人20人程必要そうな量が運び込まれたと考えられる。

・2カ所目
 町の西。廃墟となった家。常に自警団の幾人かが溜まり場としている。
 武器があるのはわかりやすいが、自警団の人間にも見つかりやすい。
 運び込まれた武器は1番少ない。

・3カ所目
 町の東。武器屋。
 通常も武器を取り扱っているが、依頼をしてきた貴族により売買できるものは護身用の武器に制限されていた。しかし、近頃はその制限に引っかかるような武器も密かに仕入れているようだ。
 武器屋の主人も自警団の一員であり、他の自警団員も訪れる。
 運び込まれた武器は1番多い。

●自警団について
 20代から40代くらいまでの体力がある男達で構成されたグループ。そこそこ規模が大きく、全体で少なくとも70人程度はいると見られている。
 イレギュラーズが敵だとわかると武器を取り、攻撃を仕掛けてくる。一般市民なのでイレギュラーズより戦闘能力は劣る。
 通信機を持つ団員がおり、異変があればすぐ他の団員へ伝わる手筈になっている。
 まだ依頼人が気づいているとは知らない。

●情報確度
 A。
 情報は確実。

●注意事項
 <幻想蜂起>の当依頼は、他の同タグが付いた依頼と重複参加ができません。
 他にも参加したい依頼がある場合、吟味して参加申請を行ってください。

●ご挨拶
 愁です。蜂起が起きました。
 武器庫の異変に気づかれれば依頼遂行はやりにくくなるでしょう。自警団の戦意喪失が最終目標ですが、襲い掛かってきた相手の処遇は言及されていません。
 それではご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • <幻想蜂起>窮鼠猫を噛む完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月05日 21時05分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンティール・リアン(p3p000050)
雲雀
ジェイク・太刀川(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
クィニー・ザルファー(p3p001779)
QZ
アリソン・アーデント・ミッドフォード(p3p002351)
不死鳥の娘
マテリア・ライク・クリスタル(p3p002592)
水晶の様な物体
エルメス・クロロティカ・エレフセリア(p3p004255)
幸せの提案者
ヴァン・ローマン(p3p004968)
常闇を歩く
リピィー・スー(p3p005001)
ティカップで眠る

リプレイ

●西
 はぁ。はぁ。はぁ。
 息を切らせて少年──否、少女は走る。
 その胸に細身の武器を携えて。
 目的の場所へ腕を伸ばし、扉を勢いよく開ける。
「誰だ!!!」
「……っ、あの!」
 厳しい誰何にビクリと肩を揺らし、『雲雀』サンティール・リアン(p3p000050)は中にいた男達へ声を張り上げた。
 対して男達はサンティールの姿を見ると肩の力を抜く。
「なんだ、ガキか。金目のもんは持ってなさそうだが……もう暗くなる、そろそろ帰らないと危ねぇぞ」
「おじさんたち、えらいひとたちと戦うんでしょう? 僕、おじさんたちのあとをつけてきたんだ。お願い、僕の話を聞いて」
 サンティールは4対の視線がこちらに向いていることを感じながら、「僕のかぞくは、つい最近ひっこしてきたばかりなんだ」と彼らへ向けて喋り始めた。

 その、一方で。
(……ここなら入りやすそう、ですね)
 『常闇を歩く』ヴァン・ローマン(p3p004968)は、ガラスの割れた窓からそっと廃墟へ侵入した。
 裏口は侵入防止の為か塞がれていたが、換気などの問題からか窓はそのままのようだった。
 ヴァンは体勢を低くし、辺りを見回す。
 今のところ、見える範囲に武器と思しきものはない。耳を澄ませばサンティールの声のみが聞こえてくる。どうやら上手く引き付けられているようだ。
(さて……これが初めてのお仕事、頑張らないと)
 気合を入れ、されど足音は猫のように忍ばせて。床板が軋まないか気を付けながらヴァンは廊下を進んでいく。
 順に部屋を覗き見て、気づかれないよう静かに扉を元に戻して。そうしてヴァンは武器庫となっている部屋を見つけると体を滑り込ませた。
 見張りはいない。気づかれた様子もない。
 ヴァンは小さく息をつき、置かれている武器を眺めた。
(木でできた槍……こちらは壊しますか。鍬や……これは剣ですね。数は少なそうですし、持って行ってしまいましょう)
 折角集めた武器を壊したり盗むのは可哀想な気もするが、争いが起きるよりはずっといい。
 頭の中で壊す物と持っていく物の算段を素早く済ませ、ヴァンは傍にあった木製の槍を掴むと静かにティアードロップを抜いた。

 前にいたところは貧しくて。けれどここなら働き手があるだろう、って父さんは張り切ってたんだ。
 母さんも、これで暮らしが楽になるって、喜んでた。
 ……それなのに。憲兵とすこし肩がぶつかった、それだけなのに。
 あいつら、父さんをひどく痛めつけた。
『厳罰だ、平民風情が』
 って、大きな声で怒鳴って……わらってたんだ、あいつら。
「……だからおねがいします、僕を仲間にいれてください! 僕だって戦える、父さんの剣だってここにあるんだ!!」
 力が腕にも入り、抱えていた武器をぎゅっと抱きしめる。
 男達は互いに顔を見合わせた。
「どうする」
「でも、ガキだぜ」
「だが志は立派じゃねぇか。親の為に武器を取るってんだぞ?」
 囮だと疑われている様子はない。サンティールは内心ほっとしながらも、それを気取られないよう俯いた。
「僕、あの憲兵がどうしても許せないんだ。だって、りふじんじゃないか。生まれなんて、どうしようもないのに」
「ああ、全くだ。俺らを人として見ちゃいねぇ」
「必死に働いたってあいつらほとんど持ってくんだ」
「なあ、このガキも俺らと同じ思いをしてる。仲間に入れたっていいんじゃねぇか?」
 男の1人が自分の向かいに座っていた男へ伺う。どうやらこのグループのリーダー的存在らしい。
「そうだな。……だが、ガキに1つ質問がある」
 男が椅子から立ち上がり、サンティールの前に立つ気配。その体は大柄で、小柄なサンティールはその威圧感を受けながら恐る恐ると視線を上げた。
「……僕に聞きたいことって、何?」
「お前さん、つい最近越してきたばかりなんだろ? 俺らが奴らと戦うなんて……どこで聞いた?」
 男の突き刺さるような視線にサンティールは息を呑む。
(何か言わなきゃ。上手くやらなきゃ、気づかれてしまう)
「……だ、だって」
 サンティールは震える声を絞り出した。
「町がなんだかへんな感じなんだ。空気がどこかぴりぴりしてて……あと、町を探検してるときにぐうぜん、だれかが話しているのが聞こえちゃって」
「……ちっ」
 男はサンティールの言い訳を聞き、小さく舌打ちをした。サンティールは肩を竦めて目を瞑る。
(お願い、どうか誤魔化されて……!)
「おい、ガキが怯えてんじゃねぇか」
「この程度で泣くなら仲間入りなんてやめとけ。……それより問題は、情報が洩れてるってことだろ」
 男達に気づかれないよう薄目を開ければ、目の前に立ちはだかっていたはずの男は背中を向けていた。男の言葉に仲間達がはっと深刻な表情へ変わる。
「どこからか知らねぇが、早くしねぇと計画が駄目になる」
「他の奴らにも伝えて──」
 1人の男が箱状の機械を取り出した、その時だった。

「サティさん」

 背後から声がかかり、サンティールは目を丸くして振り返った。
 そこにいたのは黒髪の少年。臙脂色の瞳がサンティールを映す。
「ヴァン! どうして」
「知り合いか?」
 投げかけられた問いにサンティールは頷き、目を丸くしてヴァンを見つめる。
「呼び戻しに来たんです。帰りましょう、サティさん」
「でも──」
「帰ってやれよ」
 サンティールの言葉を遮ったのはヴァンの手ではなく、先ほど問い詰めてきたリーダーの男。
「大きくなってもまだこんな生活が変わらなくて、それを変えたいと願うなら武器を取ればいい。今はちゃんと食ってちゃんと寝て、沢山遊んどけ」
 とん、と背中を押される。サンティールは数歩よろけ、廃墟の外へ押し出された。
 振り返ると男が手をひらひらと振っている。まるで『さっさと行け』と言わんばかりに。
「……さようなら」
 サンティールは小さくお辞儀し、ヴァンと共にその場を立ち去った。
 廃墟が遠ざかる。その影が十分小さく鳴ってから、サンティールは口を開いた。
「……ヴァン、武器は?」
「木製のものは切って使えなくしてきました。壊せなさそうなものはそこの茂みに隠してあります」
 立ち止まり、脇の茂みを指差すヴァン。
 その言葉を聞きながら、サンティールは小さく瞳を伏せた。
(……ごめんね。これは僕のわがままだけど、誰にもいのちを捨ててほしくないんだ)

 男達が武器庫の異変に気づくまで、今暫し。

●北
 武器屋の前に、1台の馬車。
 店の主人は目の前の女を訝しむように眺めた。
「あんた、旅人だろ? 本当に買いにじゃなくて売りにきたのかい?」
「ああ。私は旅の武器商人。新しい武器を売り込みに来たんだ」
 『QZ』クィニー・ザルファー(p3p001779)が1歩横へ避けると、8面体の水晶のような物体──本来の姿に戻った『水晶のような物体』マテリア・ライク・クリスタル(p3p002592)が姿を現す。
「これは命令に従って光線を発射する魔法の水晶。これだけじゃない、他にも売り込みたい武器はある」
 魅力的な武器となるだろうそれに、しかし店主は顔を顰めた。
「やめてくれ、ここで扱える武器には制限がかけられてんのさ。そんな隠し持てないような武器、貴族様に目を付けられたらおしまいだ」
「──とあるルートから武器を集めていることを知った、と言っても?」
 店主が目を見開いてクィニーを見る。妖しく煌めいた若草色の瞳が男を捉えた。
「今、どのような武器にニーズがあるのか知りたい。武器庫を見せてもらえるかな?」
「……ああ、いいとも。こっちだ」
 くい、と店主が顎で示す。クィニーは案内されるままにカウンターの脇から続く廊下へ入っていった。
 大して歩かぬうちに、見張りと思しき男達がクィニーの前に立ちはだかる。男達は胡散臭そうにクィニーを、そして案内してきた店主を怪訝そうに見た。
「おい、この女は?」
「武器商人だそうだ。『黒い球』を集めていることを知ってる」
(……黒い球? 武器のことかな)
 恐らく隠語だろう。誰かに聞かれた際のことを考慮してのことか。
 見張りの男達は尚もクィニーへ疑いの目を向けた。
「知ってる? 他の奴らからも連絡があったが……一体どこからそんなに」
 男達の言葉が止まる。クィニーは警戒心を抱かせないような笑みを浮かべ、その唇を開いた。
「私はとあるルートから……詳しくは教えられないんだ。武器庫の中を見せてもらいたいんだけど、開けてもらえる?」
「……それなら仕方ないな」
 クィニーの瞳を見た男達は素直に頷き、武器庫の門扉を開けるべく背を向ける。それを見てクィニーは目を細めた。
(私は元王族で……貴族も民衆もどっちの言い分も解りたいと思うから。どっちの味方すりゃいいのやら、迷うけど……)
 今のクィニーはイレギュラーズ。ローレットで正式な依頼を受けた者。そのハイ・ルールに則って仕事をこなすのみである。

(よかった、なかにはだれもいないみたいなのよ)
 薄暗い武器庫に桃色鼠が1匹──いや、ブルーブラッドが1人。『ティカップで眠る』リピィー・スー(p3p005001)だ。
(はじめてのおしごと、がんばるのよ。……あら? へんなにおいがするのよ)
 ひくひくと鼻を動かし、臭いの元が目の前にあるいくつもの木箱であることを突き止める。
 爪の引っかかる場所を探しながら木箱へよじ登ったリピィーは、中に詰められたものを見て赤茶の瞳を瞬かせた。
「ぴすとる、かしら? ききたいことがあるのよ、ちょっといいかしら?」
 リピィーは『無線機がどこにあるか』と『見えない場所に武器が隠されていないか』をピストルたちに問うてみる。返ってきたのはふんわりとした回答だ。
 それに小さく首を傾げたその時、武器庫の扉がガチャリと開けられる音が響く。リピィーはさっと木箱から飛び降り、影から様子を伺った。
「ここが武器庫だね」
 クィニーの声だ。無事に入ることができたらしい。
 武器をじっくり見るように木箱の前でクィニーが屈む。リピィーはクィニーへ、そしてその後を付いて来たマテリアへ囁いた。
「ぶきはここにあるものでぜんぶみたいなのよ。むせんきはわからなかったのよ」
 クィニーが1つ頷き、立ち上がって男達の方を向く。
「店主さん、商談をしたいんだが……魔法の水晶はここに置いていっても?」
「ああ、構わない。鍵は閉めてるから盗難もないだろうしな」
 店主が1つ頷き、男達とクィニーは武器庫から出て行く。
「そうだ、君たちも来てくれない? 色んな人から意見を聞きたいんだ」
「ああ、そういうことなら」
 扉越しの会話に、クィニー達を疑う様子はない。おそらく魔眼の催眠が効いているのだろう。
 扉の鍵が閉まる音が部屋に響いた。
「……いったみたいなのよ。ボクはおみせのとびらをしめてくるのよ」
「では、ボクは武器の破壊を始める」
 リピィーの声に応えたのは水晶のような四肢を持つ者。ギフト《義体召喚》により体を得たマテリアだ。
(彼らには悪いが、要らぬ血が流れる前に鼠の歯を折らせてもらおう)
 目の前にあるのは民衆が密かに集めた武器だ。決して安い額ではなかった筈のそれに、彼らは文字通り身銭を切ったのだろう。
 けれど、鼠が猫を噛んだところで救われることはない。何も変わらないのだ。

●東
 教会までの道すがら、どことなく張りつめた雰囲気に『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)は小さく顔を顰めた。
「民衆の怒りが今にも爆発寸前、って感じだな」
 下手に刺激し、傷つければ後が怖そうだ。そう、手負いの獣のように。
「物騒な町を見るのはもうこりごりだし、平穏にショッピング出来るようになりたいものねぇ」
 『不死鳥の娘』アリソン・アーデント・ミッドフォード(p3p002351)はジェイクの言葉に頷いた。
 散々傷つき血を流したはずなのに、自分達で更に血を流す選択をする程の怒り。
 日頃の事もあるのだろうが、そういった感情を煽る存在は嫌なものだ。
「それにしても、わたし達が依頼を受けなければ皆殺しなんて……フフ、領民さんが不満を溜め込んでいる理由がわかってしまう気がするわ」
 2人の間でクスリと苦笑を浮かべる『頽廃世界より』エルメス・クロロティカ・エレフセリア(p3p004255)。
 おそらく望まぬ答えを返す領民はこれまで痛めつけられていたのだろう。そう考えればこの空気も納得だ。
 彼らは程なくして教会へ辿りつき、外からその外観を眺めた。
「一見普通の教会だけれど……物語でも教会の地下は秘密の定番ね」
 エルメスが教会に住み着く鼠を呼び、屈みこむと「手伝ってくれるかしら?」と声をかける。鼠の視覚を借りるのだ。
「……どうだ?」
「そうね……全くというわけではないけれど、そんなに人はいないみたい。注意していけば探索もできそうよ」
 ややあってかけられたジェイクの言葉に答えるエルメス。
 3人は頷くと教会の中へ入っていった。

「あ、そこの人……自警団の人かしら?」
 アリソンの言葉に男が立ち止まる。その表情は訝し気だ。
「そうだが、なぜ知っている? それに見ない顔だな」
「立ち姿や恰好を見ればわかるわ。冒険者をしているのだけれど、最近物騒でしょう……」
 男とアリソンが話している──いや、アリソンが男を食い止めている間にエルメスとジェイクが地下への道を探す。
「あら……ジェイクさん、ここ」
「怪しいな」
 エルメスが物を引きずったような痕に気づき、ジェイクもそれを見て頷く。
 どうやら動かされたのは傍の銅像のようだ。物理的に動かすのか、仕掛けで動くのかは不明だが。
 押してみようと銅像に手を乗せたジェイク。しかしエルメスがはっと後ろを振り返った。
「隠れて。足音が向かってくるわ」
 まだジェイクの耳には届かない。実際、その音を捉えているのはエルメスが使役した鼠だ。
 ジェイクはエルメスが指差した方向に顔を向け、鼻を利かせる。
「……ああ。危険性は低そうだが見つかったら面倒そうだ」
 柱の影に隠れ、暫し。帯剣した男が通りかかり、辺りを伺うように視線を巡らせる。
(もしかして、地下に行くつもりなのかしら)
 エルメスは静かに儀式用の短剣を胸の前で持ち、牡丹色の瞳を妖しく輝かせた。
「……! おい、待てっ」
 男が何かに気づいたように走り去っていく。エルメスが放った威嚇術はその背に命中し、男はうつ伏せに倒れ込んだ。
 すかさず腕を拘束するジェイク。エルメスから渡されたロープで素早く拘束する。
「こいつはどうする?」
「そうね、どこかにお部屋があれば……と思ったけれど。柱の影に隠して地下に進んだ方がいいかもしれないわね」
 アリソンがくい止めてくれていても、このように別の道から現れる事もあるのだ。閉じ込められる部屋を探す時間が惜しい。
 目の前で立ち止まっていた、フードを被る人物にエルメスが目を向ける。彼女が魔法で作った幻影はその視線を受け、ふわりと掻き消えた。
 ジェイクが銅像を押す。重たげに見えるそれはズズ、と音を立てながら動き始め──。
「……ここみたいだな。いくぜ」
 ぽっかりと空いた穴、そして地下へ続く階段。2人は顔を見合わせて頷き、階段を降り始めた。

(……そろそろかしら)
 アリソンは男と話しながら2人のことを考える。
 早めに地下へ続く道を見つけられているといいのだが。
「……じゃあ、この町でも事件が起こっていたのね」
「ああ。あれは酷いもんだった。動物まで殺されて……しかも盗賊も近頃増えてきて、俺らは大忙しさ」
 溜息をつき、肩を竦める男。アリソンは同調するように頷く。
「そうね。他の町でも──」
 突如聞こえた銃声に言葉が途切れる。
 男も気づいたようで表情を険しくした。
「なんだ? まさか、地下で」
「……行ってみましょう」
 アリソンは男を促し、自分も駆けだした。
 男は場所が分かっているようで、先を行くアリソンに道を指示してくれる。
「そこを真っ直ぐだ」
 続く廊下の終わり。他の通路との交差点。銅像がやや中心よりずれ、その隣にある穴から人影が出てくる。
「お前ら……ぐっ」
 剣を抜こうとした男が衝撃を受け、壁に叩きつけられる。その原因となったアリソンは男が意識を失っただけであることを確かめ、地下から出てきた2人を振り返った。
「全部壊せた?」
「ええ。出入り口もここだけみたいよ」
「立ち止まってないで、さっさとずらかるぜ」
 このままここにいれば、銃声に気づいた他の者も向かってくるだろう。
 ジェイクの言葉にエルメスとアリソンは頷き、元来た道を戻り始めた。

●指定の場所
「……全員集まったようですね」
 ヴァンは帰ってきたクィニー達の姿に、そう小さく呟きを落とした。
 催眠が途中で切れてしまった為、戦うことになったクィニー達が1番遅かったのだ。
 マテリアが奪ってこられた武器を見る。
「裕福ではない者達がここまで揃える事が出来たのは素晴らしい。だが、何故武器を選択した。何故蜂起を選択した。何故血を流す道を選択した。実に理解不能だ。これでは失うばかりで得る物など何もない。
その資金で自分達だけの村を興すが余程有意義だ」
「……ほんとはあらそい、かなしいなのよ」
 マテリアの言葉に、リピィーがぽつりと言葉を漏らした。

 鼠の牙と爪を奪っても、このままではいつかまた同じことが起きるだろう。
 各地で起きる蜂起。その原因を突き止めなければ、終わらない。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。無事武器の破壊・奪取成功です。
 他所で起こっている蜂起も、早く収まると良いですね。

 それではまたご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

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