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シナリオ詳細

<傾月の京>爆薬だらけのドアノッカー

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●造れないのは未来だけ
 金床をうつ音が、炎の横で幾度も響く。
「いくらハンマーを振ったところで、あなたはミスター・シュペルになれやしませんよ」
「本当にそう思うか? 俺は奴をよく知ってるわけじゃないが、きっと最初はフツーの男だったはずだ」
 かまどから鉄の杭を抜く。
 それを水で冷やし、すぐそばに置かれた木の板へ打ち込んでいく。
「それより、気になるのはあの怪物だ。思えば、あの行動は不自然だった。なぜ『金』と『水』を攫う必要があった? 奴の狙いはロザリオだったはず。
 答えはひとつだ。俺たちが村から回収したロザリオは元々奴の狙いなんかじゃあない。
 狙いは元々折紙衆……彼女たちだったんだ」
 引き抜いた剣が煙をふき、そして異常なまでに神々しい気を放っている。
「アンタらがあのカミラって人から授かった力を、奴は取り込もうとした。
 だからあの場にいた眷属も『七体』だった」
 急に語り出した錬の話に、面覆いの女はこれまで彼が携わってきた依頼を思い出していた。

 はじめは信仰に狂った村だった。調査に入った錬たちはその村に流れ着いたという『ロザリオ』を回収する折、巨大な肉の怪物と遭遇した。
 怪物は時をおいて都に現れ、『ロザリオ』とつぶやきながらまっすぐにカミラたちの隠れ家へと迫ったがこれを阻止すべくカミラ直属の対妖特殊部隊『折紙衆』より『土』部隊の7名が挑んだが、これに敗北。
 その直後、怪物は当初存在しなかった眷属を7体つれて侵攻し、事態を重く見た『金』『水』そしてイレギュラーズの混成部隊が対応にあたるが、怪物を倒しきれず『金』『水』両名が攫われるという形で敗北してしまった。

「よし、できた」
 天目 錬(p3p008364)は馬車に無数の刃や回転のこぎりを備え、短距離だが勝手に走り出すようなジェット噴射装置をとりつける。
「あのときは落ちてるものを組み合わせることしかできなかったからイマイチだったが、今回は特別製だ。鍛冶屋の底力ってのを見せてやる」
 できあがった特攻馬車を前に、面覆いの女は感嘆の息をついた。
「もしかしたら、本当になれるかもしれませんね。シュペルのような男に」

●呪詛の渦
 豊穣郷カムイグラに蔓延流行した呪詛は多くの被害を出し、中でも人々を苦しめたのは誰が誰を呪うか分からないという疑心暗鬼だった。特にそれが酷かったのは帝派と天香派に別れ出し抜き合っていた七扇宮中である。それでもローレットの活躍によってある程度まで被害を抑えていたのだが……。
 そんな彼らに知らされる急報。それは高天宮の内裏こと巫女姫が御座すその場所に強大な呪詛が発動しようとしているという知らせである。
 巫女姫といえば現在カムイグラを実質的に支配している魔種。それが強大な力を動かすなどただごとではない。場合によってこの国そのものを揺るがすことにもなるだろう。
 だが先述した理由から宮中の兵はおいそれと動けない。そこで世界的中立であり清明から支持を受けるローレットが、宮中へと乗り込むこととなったのだった。

「俺たちが担当するのはこの『水龍の門』だ」
 錬がマップ上にたてたピン。門と庭、そして建物が記されている。
「今回いくつものルートから味方が突入することになるが、その突入ルートの一つがここってわけだ。
 味方の軍勢を突入させるためにはこの場所の制圧は欠かせない」
 錬たちはつまり、門を開く役目を担っているのだ。
「俺たちの仕事は門を守ってる亡霊兵たちを一掃して門を制圧。
 しかる後に味方を内側へ入れつつ、外から集まってくる敵増援を迎え撃って門内側へ通さない。この二つになる。
 おっと……俺が真っ先にこの仕事に志願した理由か?」
 錬はマップから顔をあげ、そしてバリバリに魔改造された馬車へと振り返った。
「攫われた仲間がいる。折紙衆『金』、白金 錺……彼女は純正肉腫(オリジン)の寄生をうけて、複製肉腫(ベイン)に変えられてしまっている。
 情報によれば、この門への増援として送り込まれるらしい。ここで……決着をつける」

GMコメント

※このシナリオは『<傾月の京>エピゴウネの空』と連動しています。
 そのため二つの内どちらかのシナリオにしか参加することはできません。
 くれぐれもご注意ください。

■オーダー:水龍の門を制圧し、増援部隊から守り切ること
 このシナリオは『門強襲パート』と『門防衛パート』の2パートで構成されています……が、全体像を説明するためもう一方のシナリオの内容にも触れつつ解説します。
 当シナリオ参加チームを『刀鍛冶チーム』一緒に動く協力側チームを『山賊チーム』と仮称します。

・門強襲パート
 刀鍛冶チームによる強襲により、門を守る兵隊を倒して貰います。
 このとき皆さん山賊チームはマークなどの足止めを受けては後の作戦に致命的な乱れを生むため決して手出しはしません。

 門への強襲には『魔改造特攻馬車』を用います。これは爆薬を満載にして自動で突っ込んでいく馬車で、門番たちへの最初の一発として機能します。
 この馬車に併走して派手な花火をあげてもいいですし、馬車の爆発直後に突っ込んで一斉放火を浴びせてもいいでしょう。
 なにげに陽動の役目もあるので、できるだけ派手に、そして迅速に門番たちを排除してください。
 門番である『朧武者』を一定数倒した段階で『山賊チーム』は内部へ突入。この当たりからパートが次へ移行します。

・門防衛パート
 増援が次々とやってくるため、門を守りながら戦います。
 門は爆破の衝撃でぶっ壊れていますが、来る敵をとにかく倒し続けていればそうごっそり通過されることもないでしょう。
 また門の脇には高見ヤグラが組んであるので射撃のポイントには良好です。
 このパートで通過させてしまった敵が山賊チームへのバックアタックとして追加され、逆に山賊チームが庭突入時に倒さなかった敵がこち刀鍛冶チームへのバックアタックとして追加されます。

 このパートで登場する敵は『朧武者』と『マガツ錺』です。

■エネミーデータ
・朧武者
 鎧武者の亡霊兵です。
 刀や槍、または弓といった装備で戦います。
 数がとにかく多いですが個体ごとの戦闘力が低く、主に足止めが役割になっています。

・マガツ錺
 黄金の鎧に全身を包まれた錺。意識は肉腫に乗っ取られており、錬たちを抹殺しようと襲いかかります。
 強力な範囲攻撃をいくつも持っており、EXAに優れます。
 『精神無効』『怒り無効』『棘』『再生』を持ちます。

※錺の救出方法
 錺を肉腫の寄生状態から生きたまま助け出すには、【不殺】攻撃で倒す必要があります。
 HPの損耗具合は金の鎧の破壊具合からなんとなく察することができるため、今回は『トドメには〇〇を使用』というプレイングを書くことで不殺攻撃で倒す選択をとることができます。ただしその段階まで不殺攻撃を持っている味方が戦闘可能状態でないといけないので、できるだけ手札は多めにもっておきましょう。(おそらく戦闘不能者ゼロってわけにはいきません)

●Danger! 捕虜判定について
 このシナリオでは、結果によって敵味方が捕虜になることがあります。
 PCが捕虜になる場合は『巫女姫一派に拉致』される形で【不明】状態となり、味方NPCが捕虜になる場合は同様の状態となります。
 敵側を捕虜にとった場合は『中務省預かり』として処理されます。

  • <傾月の京>爆薬だらけのドアノッカー完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年10月03日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ペルレ=ガリュー(p3p007180)
旋律を集めて
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
バルガル・ミフィスト(p3p007978)
シャドウウォーカー
小金井・正純(p3p008000)
ただの女
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
涙を知る泥人形
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
瑞鬼(p3p008720)
幽世歩き

リプレイ

●ドアノッカーズ
「オイラ達が門を奪還しねーと仲間が仕事できねーんだよな、うおー! 責任重大だぜー!
 敵増援もおさえなきゃいけねーってんだし気合いれてかからねーとな!
 やるぜやるぜー!」
 現地に向かう馬車のなか、『ガトリングだぜ!』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)はガトリングをうおんうおん鳴らして両手のひれで地面をぺちぺちしまくった。
 この見るからにやる気満々アザラシを前にちょっとなで回したい衝動にかられる『旋律を集めて』ペルレ=ガリュー(p3p007180)。
 ペルレはコホンと咳払いをして仲間へ振り返った。
「たしかに、責任は重大ですね~」
「ここを食い止めねば被害が拡大するわけじゃからのう。
 有象無象がわらわらと面倒じゃが……どれ、気張っていくか」
 くつろいでいた『幽世歩き』瑞鬼(p3p008720)が扇子をぱったんと閉じて小窓をあげた。
 馬車はとまり、併走していた『夜に這う』バルガル・ミフィスト(p3p007978)と『流離人』ラムダ・アイリス(p3p008609)が同じくバイクをとめた。
 ゴーグルヘルメットを脱ぐラムダ。
「来るか来るかとは思っていたけどまさかの宮中へと乗り込むことになったかぁ~。
 まぁボクは報酬さえもらえれればこれぐらいの荒事程度いつでもウエルカムだけどね~?
 あ、突入方法どうする? 空から急降下かけていい?」
「そうするには若干設備不足ですねえ。上昇に時間をかけている間に撃墜されかねません。ここはお互い、バイクで突入といきましょう」
 バルガルは内密に用意された見取り図を広げてラムダへと示した。
 門番や中庭の兵士も警戒したいが、物見台の兵士は空へ飛び上がる対象をきっと鴨撃ちにするだろう。簡易飛行装備ではそれをかわすのも困難だ。
「なるほどね~」
 一方で、馬車からおりた『地上の流れ星』小金井・正純(p3p008000)たちがそっと進み、茂みの間から屋敷をのぞき込んだ。
「複製肉腫であればまだ救えるはず。
 彼女を救うため、別働隊を支援するため、御協力させていただきます。
 星が出ていますし、気力は十全です」
 見上げれば月と星。ずきずきと右肩が痛むが、正純はそれゆえにか心を鋭く保っていた。
「ああ、心強いよ」
 一緒に到着した魔改造馬車から馬を外す『魔剣鍛冶師』天目 錬(p3p008364)。
 爆弾の安全装置を取り外し、突撃の準備を整える。
「ローレットの依頼に『失敗していい依頼』なんてないが……今回はどうしても気合いが入ってしまうな」
 脳裏に焼き付いているのは当然、錺のことだ。
 自分を見いだしてくれた折紙衆やカミラに対して、先の失敗は錬の心をより強く燃えさせた。
 鍛冶屋は熱をかけてなんぼの商売だ。燃えたなら、より強い鉄をうつまでのこと。
 過去は変えられないが、今と未来は選択できる。そのための鉄を、うつのだ。
「今度は必ず、助ける」
「ああ、その意気だ……」
 『泥人形』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)は帽子のつばをつまみ、小さく頷いた。
「天目、お前の心の揺れる音が聴こえていた。
 だが迷う必要などない。お前の作った物の数々が、築き上げた関係がお前を救う。
 お前が手掛けたギターライフルと魔法螺貝は決意の音を響かせる」
 マッダラーは背中に担いでいたギターライフルをかざして見せた。
「実績は裏切らない。見せてやろう。お前が作った『物』が、未来を作るさまを」

●始まりは黒く、雄叫びは遠く
「良い鍛冶屋は戦闘の合間に少しでも戦況を有利になる仕掛けをするもんだ、ってな」
 数人がかりで引っ張った魔改造馬車はジェット噴射によって自走突撃。
 側面にしがみつくかたちで、錬は屋敷の門へと突っ込んでいった。
 懐からぬいた式符を起動して破邪の光を放射。
 槍を構えて馬車を押し止めようとした朧武者たちを吹き飛ばす。
「馬車を止めさせるな、一斉放火!」
「今日のガトリングは気合がはいりまくりだぜー! くらえくらえー!」
 スケートボードに腹ばいになってのったワモンが両手でばしばしこぎながら背中のガトリングガンを乱射。
 門を蛇行するように弾痕を描くと、そのまま物見台めがけて爆発するロケットUNAGI弾を発射した。
 のたくった軌道をえがき着弾。こちらを狙う弓兵が爆発におされるように転落していった。
「泥に沈め、人でなし」
 馬車の背にしがみついていたマッダラーは伏せたままギターライフルを連射。
 飛びついて破壊しようと迫る朧武者たちを打ち落としていく。
「天目の作品に恥じない働きを見せるときよ。
 Let's party! 冥土の土産だ、聞き惚れて逝け!」
 あろうことか片膝立ち姿勢になると、マッダラーはギターライフルを反転させて演奏フォームで構え、かき鳴らして歌い始めた。
「大事な戦いでワタシの為に迷惑は掛けられません~。
 今日のワタシは回復役、倒れるわけにはいきません~」
 同じくしがみついていたペルレが『ディスペアー・ブルー』で参戦。
 マッダラーへ弓兵たちの矢が大量に刺さるが、そのお返しとばかりに弓兵たちに歌の魔術がふりかかっていく。
 左右をバイクにまたがったバルガルとラムダが併走。ビッとサインを出すと、加速して門扉前で人間バリケードになろうとしていた朧武者たちへと突撃を仕掛けた。
 『燎原之焔』を放つラムダ。バイクによる衝突と共に爆発的に炎が広がり、朧武者たちがたちまち燃え上がった。
「やりますねえ。では自分も僭越ながら」
 バルガルもバイクをわざと横向きにスリップさせながら朧武者たちへ突撃。
 目一杯の呪いを込めてぶち込まれたバイクアタックが朧武者たちを粉々にぶちまけた。
 ぶちまけたといっても小さな瓦の破片と虫にである。おそらくは式神術の応用で亡霊を兵士に仕立て上げていたのだろう。
 と、その直後に馬車にしがみついていた錬たちが離脱。魔改造馬車が門に激突し、すさまじい爆発を起こした。
 固く閉じられていた門も、ここまでの衝撃をうければ流石にゆるむらしく、小さくぎしりと門が内向きに開いた。
「さあ、お誂え向きに星も瞬いております!
 あなた方の悪行、天や月が見逃そうとも、星々は消して見逃しません!
 星に代わって、成敗いたします!」
 正純はわざと大声を出して弓を構えた。何本もの矢をいっぺんにつがえ、そして空へと放つ。
 急速なカーブを描いて降り注ぐ矢。門周辺の朧武者も、中庭側の武者たちも正純への警戒にさかれた。
 強引に門を押し開き、共に割り込んでいった瑞鬼と道を開く。
 中へ押し入るため……ではない。
「背中(門)は任せた。俺たちも背中を守る」
 彼女の頭上を、華麗な三角跳びで『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)が越えていく。
 それに続くように『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)や『策士』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)たちが中庭の朧武者へと襲いかかっていった。
「おう、どいてろてめぇら!」
「さぁ、山賊が気になるという『ヒト』を助けに行こうか」
「言い方ァ!」
 突然の増援に驚き、彼らへ対応すべく動き出す朧武者たち。
「庭の朧武者たちは、門の外には通さないわぁ。一人残らず倒していくわよぉ」
 『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)や『酔いどれた青い花』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)たちは酒をあおりながら魔術や謎科学で朧武者たちを砲撃していく。
 彼らとていちはやく目的のもとへ向かいたいだろうに……。
 『never miss you』ゼファー(p3p007625)は振り返ってパチンと瑞鬼たちにウィンクすると、朧武者へと襲いかかった。『知識の迷い子』フランシス=フォーチュン(p3p005019)や『海淵の祭司』クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)の魔術が敵を押し流し、門から中庭までのエリアを制圧し始める。
「かっかっか、任せたぞ子鬼よ」
 瑞鬼はキドー立ちに手を振ると、くるりと背を向けて門外の朧武者たちへと構えた。
「挨拶代わりじゃ」
 『冥途送り』の術によって刀を振り込む朧武者の刀身を掴み、逆に流し込んだ死の誘いによって朧武者の式を崩壊させていく。
 粉となって崩れていくものから手を離し、瑞鬼は門をひっぱって閉じさせた。
「向こうは中庭を請け負ってくれるようじゃ。わしらはわしらで仕事をこなすことにしようか? のう」
 問いかける形式ではあったが、皆の気持ちはひとつだ。
 何人たりとも門を通さない。
 マガツ錺へ対処するには朧武者たちをある程度スルーしたほうが楽なのだろうに……それでも。
「守るぞ。彼らに応えるんだ」
 錬は手のひらに炎を灯し、それを強く握りしめた。

●黄金の魂
 門を、もとい屋敷を取り返すために大量の朧武者たちが門へと殺到していた。
 それを迎え撃つのはバルガルたちの防衛チームである。
 展開した槍を∞字に回転させながらニヤニヤと笑い、朧武者めがけて突撃していく。
「どこからでもかかってきなさい。状況が分かりやすくて大変ありがたい」
 襲いかかる槍兵の攻撃を次々にいなし、朧武者のひとりを掴むと強引にぶん回して他の朧武者たちをはねとばした。
 駆けつけた弓兵がバルガルめがけて矢を大量に放ったが、バルガルはあえてそれを交わさず身体で受けた。
 笑みが更に深くいびつなものへと変わり、弓兵たちへと突っ込んでいく。
 一方のラムダもまた蛇腹式魔導剣を展開し、刃に麻痺毒の魔術を展開。
「わかっていたけど、忙しいよね!」
 バルガルとは反対側からやってくる朧武者たちに対応すべくかけだした。
 服にこめられた霊力で大ジャンプをかけ、高速回転しながら朧武者たちの中心へと飛び込む。
 四方八方から向けられた槍を天翔る竜のごとき剣さばきではらいのけると、彼らの間をジグザグに駆け抜けていく。
「援護射撃はまかせろ! ひゃっはー! 今日の天気は弾幕の雨! ところによって真蛸だぜー!」
 門の上にとびのり『ガトリングMADACO弾』を乱射するワモン。
 発射された炸裂小真蛸弾が花火のような爆発を次々に引き起こし、門にかけよってこじあけようとする朧武者たちを払いのけていく。
 その横ではマッダラーがギターライフルを右から左に連射し次々と朧武者をとおざけていった。
「猛々しく告ぐ、我らこそ勇壮の戦士ローレット。魔神の如く戦果を挙げ、市井に希望を持ち帰る者なり」
「運命に立ちむかうのなら、その背を支えましょう~♪」
 それに伴う形になったペルレ。二人に挟まれつつも『天使の歌』を用いて仲間の回復にあたった。
 大量に飛んでくる矢をさばきながらちらりと背後を振り返る。
「あっちも敵意で一杯だぜ」
「だが、仲間がすべて引き受けてくれている。こちらは前方にだけ注意していればいいというわけだ」
 マッダラーは『いいものだな』とつぶやき、ギターライフルの側面に刺さった式札を排出、放り投げる。そして腰のホルダーから新しい式札を取り出して装填し、再びライフルを乱射した。
 そんな中……。
「皆さん、現れました。錺さんです!」
 正純は黄金の鎧で全身を覆った武者の存在をやぐらの上から確認。味方へと叫んで知らせた。
 マガツ錺はまるで獣のよな鎧に覆われ、実際かぶとの部分は本物の獣のように動きガウガウと唸っていた。
 周囲に大量のクナイを呼び出し、一斉放射。
 狙いはやぐらの上の正純だ。
 正純は大量の矢を一斉に放って迎撃。
 打ち落としきれなかったぶんがやぐらにぶつかり崩壊させるが、正純は素早く門の屋根へと飛び降りてさらなる矢を放った。
 星の力を纏った矢は性格にマガツ錺の肩に刺さる。
 が、進行は止まらない。
「複製肉腫、本当に邪悪で醜悪な代物。許せませんね!」
「なにやら面倒な相手じゃなぁ。まぁよい、それでやりようはいくらでもあるからの」
 そこへ瑞鬼が参戦した。
 急速にマガツ錺へ距離を詰めたかと思うと『浄土落し』の術を打ち込んでいく。
「どうやらお主が暴れるのもここまでらしいぞ? わしは幕引きの手伝いをしにきただけじゃがな」
 打ち込んだ術によって肉腫の式が破壊され鎧が少しずつ崩れ落ちていった。
 そこへ更に『冥途送り』の術を打ち込み、動きを明確に鈍らせていく。
 華麗なヒットアンドアウェイ。全力移動によって大きく距離をとると、仕上げとばかりに『悠久のアナセマ』の魔術を形成した。
「相手を知っているのは錺だけじゃないってことだ。継続戦闘力を肉腫で補っているようだが、流石にその鎧は悪趣味が過ぎるな!」
 錬は『式符・金槍』を起動し大量の金属槍を生成、周囲の朧武者もろとも吹き飛ばさんばかりに発射した。
 対するマガツ錺も無数の黄金槍を生成して発射。空中でぶつかり合った無数の槍――をすり抜けて、錬がマガツ錺の至近距離へと迫った。
 叩きつける『式符・陽鏡』。浄化の光が爆発し、マガツ錺の鎧を吹き飛ばしていく。
「これでトドメです~」
 音も鳴く空中に飛び上がっていたペルレが、急降下突撃によって錺の意識を刈り取った。
「う……ぐ」
 膝を突き倒れる錺を、錬は素早くキャッチした。
「よし……全く、太陽の光は生命を育む光だろうに。噂の黒い太陽とやらは何をやったのやら」
 小さく首を振り、そして仲間達へと呼びかけた。
「オプションは達した。あとは仲間が目的を達するまでここを死守するだけだ!」
「了解。まだまだ忙しいね!」
 ラムダは肩をすくめ、剣をソードモードに整えると表面に纏わせた炎の魔術で朧武者たちを切り払った。

 こうして、イレギュラーズたちは『水龍の門』を制圧。
 このエリアを守る肉腫を倒し、仲間達の突破口を開いたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――『水龍の門』制圧を完了しました!
 ――錺の救出に成功しました!

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