探偵は雨夜に現れる

オープニング

●それは雨夜の晩だった。
　とある異世界――、洋館でのお話。
　イレギュラーズ達に課せられたのはこの洋館で起こるとある事件を解決すること。
　大雨、夜空には雲が敷き詰められていて暫く止みそうにもない。イレギュラーズ達は洋館へと足を向けた。
　呼び鈴を鳴らせばメイドが一人、イレギュラーズ達を出迎えた。
【目的地へ向かう途中、雨による崖崩れがあり先へと行けなくなってしまった。帰るのも夜とあり危険を感じ、困っていたところにこの洋館を見つけた、避ければ一晩の宿を貸してほしい。】
　そう告げればメイドは主人に報告をしてきます、と伝えて中へと入って行った。暫くすれば恰幅の良い男がイレギュラーズ達の前へと姿を現した。
「雨の中、大変だったね。今日はパーティだから君たちも楽しめばいい」
　
　恰幅の良い男、彼はここの洋館の主人であるヴァレッドと名乗った。今日は彼の誕生日だということでパーティを行っているのだとか。
「こちらのタオルをどうぞ。先にシャワーを浴びますか？」
　メイドの女性はアンナと名乗る。
　温まったイレギュラーズ達を迎えたのは、ヴァレッド、そしてヴァレッドの弟であるオリヴィー、そしてその妻であるマーガレットだ。
「俺たちは普段は別の所に住んでいるんだけどね。兄さんの誕生日だから来たんだよ」
「誕生日は皆で迎えたいもの。その方が楽しいわ」
　マーガレットはにこりと微笑んで食事の席へと、イレギュラーズを迎え入れたあと、ふと首を傾げる
「…そういえば、メロディーさんはどこに？」
「お嬢様はお部屋に。…その、食事は部屋で取る、と」
　メイドは困り顔を見せながらそう言った。その言葉にヴァレッドも苦笑いを浮かべながらも頷いた。
「反抗期のようなものだよ。…いやはや…」
　己の誕生日パーティに来てくれない娘に困り顔だ。
「それでも今晩は偶然にも君たちが来てくれた。楽しんでいってくれ」
　たくさん人が居た方が、パーティは楽しい。そう主人は言った。

「貴方たちがアンナの言ってたお客さん？」
　ヴァレッドが部屋に戻り、イレギュラーズ達は食堂で話していた。そこにやってきたのは一人の少女だった。
　そうだ、と告げればふぅんと少女は興味なさげに頷いた。
「私はメロディー。ここに住んでんの。貴方達は明日になったら帰るんでしょ、気を付けてね」
　バイバイ、と手を振って去っていく。

　そして――。日付が変わる一時間ほど前。イレギュラーズ達は貸してもらった部屋で滞在していた。
　不意に聞こえたのは男の叫び声。驚いた一同は声のした方へと向かう。そこはヴァレッドの部屋、の前。扉は開け放たれている。
　声の主はオリヴィーだ。扉の前に立っていた彼は集まってきたイレギュラーズ達に気付けば首を横に振る。
　部屋の中を覗けば、人が倒れていた。ヴァレッドだ。後頭部から血が流れている。呼吸は、していない。死んでいるのだ。
　それに気付いたイレギュラーズ達は気付く。この洋館で起こる事件とは、これのことだ、と。

　そう、イレギュラーズは探偵となるため、この洋館を訪れたのだ。

　するべきことは、調査をし、この事件の犯人を捜すこと。


●
「事件が起こる前に、なんとかできなかったのか、だって？」
　ラビ・ミャウは緩く尻尾を振った。
「その答えは、出来ない。犯人をどうにかしたって、この男は別の方法、別の犯人に殺されていた」
　そんな、運命だったのだ。
「だから、まぁ…頑張れ、探偵たち（イレギュラーズ）」

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第2章

第2章 第1節

●調査1まとめ
　集まった猟兵達は収集した情報をまとめることにした。
　
　主人の娘、メロディーは実は彼の友人の娘であり、父の女性関係に対して嫌悪感を持っていたらしい。
　そのメモも見つかっている。『最低、大嫌い、アンナにまで手を出すなんて死んじゃえばいいのに』
　メイドのアンナとは仲が良く、まるで姉妹のように見えたという。（ただし顔は似ていない為血縁関係はないのだろう）

　主人の弟オリヴィーの荷物の中からは妻のマーガレットと兄ヴァレッドが写った写真が見つかっている。その事について彼に聞いてみるのも良いだろう。
　また、彼はメロディーが兄の実の娘では無い事を知らなかったようだ。一緒に住んでいない時期があるため、それも仕方ないことなのかもしれない。

　マーガレットの荷物からは指先に赤い血がついた手袋が出てきている。
　実は真の第一発見者とは彼女だった。驚いた彼女は、ヴァレッドの死体に触れその際に血が付着したのだという。
　ヴァレッドと仲が良さそうな写真が見つかっているが、どうなのだろうか…？

　メイドのアンナは借金をしているらしい。その借金を主人であるヴァレッドに肩代わりしてもらう代わりに言い寄られていた、という話だ。
　メロディーに止めてもらったこともあるらしい。
　彼女の荷物からは当主の指輪が見つかっている。指輪を磨きを頼まれていたらしいが…？

　被害者であるヴァレッドの部屋からは手紙が見つかっている。実の娘ではないメロディーにあてた、誰にも見られるつもりもなかった手紙だ。
　そして部屋には金庫があり、その中から札束が見つかった。もしかしたらそれが欲しい人物が居たのかもしれない。
　女性癖が悪い、という話も出ているが、人当たりは良く友人は沢山いた、という話も出ている。

　この誕生日パーティに飛び入り参加したのはイレギュラーズしか居ない。あたりに不審な人物も居なかった。

　イレギュラーズ達はもう一度、調査しに散らばったのだった。


（※噂話は出そろいました。代わりにアイテムについて、持主やその他の人物に聞く、という選択肢が出来ます。調査を宜しくお願いします。）

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第2章 第2節

●調査2
　調査報告を聞きつい鈴音は呟く。
「ふ、昼ドラなお館ドロドロ愛憎劇であったかぁ！」
　人間生きていればいろいろあるのである。もっと調べて犯人を見つけよう、そう思うのだ。

　友人とは言え子供を引き取るとは、その友人に育てられぬ事情があったということ。未婚の母とか。貧困とか。
　何かそういうことを証明する証拠は無いのだろうか――。
　思いつつマーガレットの荷物を調べていれば、一枚、手紙が見つかった。その送り主はオリヴィー。少し古いもののようだ。
　内容的には……、君を愛している、という恋文だった。のろけか。

　オリヴィーには、アンナから預かった当主の指輪を見せに行く。
「これ、質屋に持っていって金になるのか？」
（イレギュラーズだから闇市ぱんつの価値ならわかるがなー）
　イレギュラーズはぱんつの価値しかわからないと思われたら困るが。
「価値、というか…それなりの指輪だから。でも当主ということを示す指輪以外の価値は無いよ」
　宝石がついていたりはしない。家を継ぐものだけが指を通すことが出来る家宝のようなものなのだ、とオリヴィーは言う。
「…でもアンナが持っていたのかい？…おかしいな。手入れは兄さんがしていたと思うけど…。いや、僕の勘違いかもしれないな。うん、そうだと思う」
　不思議そうにオリヴィーは首を傾げるも首を横に振り、苦笑した。
「調査お疲れ様。…お客さんにこんなことをさせてしまって悪いね」

成否

成功

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第2章 第3節

●調査2
「…まさか実の弟さんが知らないのは予想外でした」
　オリヴィーの言葉を思い出し朝顔は呟く。
　こうなればこの手紙に書かれていることを知っている人を探すべきだろう。

　マーガレットに手紙の内容を知らせれば、懐かし気に微笑んだ。
「…そう、なのね。姉さんのことを覚えていてくださったの」
「メロディーさんは、私の実の姪なの。…私の姉は、メロディーさんを産んだすぐ後に、病気で亡くなってしまって」
　メロディーの母は、当時の恋人に捨てられメロディーを1人で産んだ。その後すぐにやってきた不幸だった。
　娘を1人、家に帰せば政略結婚や、何やらで利用されることはマーガレットは解っていた。だから、ダメ元でヴァレッドに頼んだのだ、と。
「あなたと、ヴァレッドさんの関係は？」
「私の通っていた大学のOBなの。人当たりがいいでしょ、あの人。ふふ、人気だったのよ」
　大学のOBの青年は、メロディーを引き取り、屋敷で育てあげたのだ。

「私は、お嬢様の母親を知りませんよ。…当時、私たちは反対をしたのです。他人の子供を、自分の子供として育てるなんて…」
　ハウスキーパーは手紙のことを聞くと小さく息をついた。
「でも、杞憂でしたね。お嬢様は本当に聡明に育たれました。少しやんちゃなのも、昔の主様を思い出すかのようです」
　思い出すかのようにそう、語るのだ。

　これは、メロディーさんを拾った意味は…、ただの、善意だった、ということだろうか。

成否

成功

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第2章 第4節

●解決への糸口
「…犯人を捜してるってほんと」
　犯人を捜すために調査を行っているイレギュラーズ達に、メロディーは話しかけてきた。
　そうだ、と返事を返すと彼女は苦い顔をしながらもため息をついた。
「いいじゃない。貴方達には関係ないことでしょ。さっさと帰れば」
　そうにはいかない。この屋敷で行われた事件の真相を解明するのが今回のイレギュラーズの役割なのだ。
「……見つからないよ、絶対」
　む、と不満そうにしながらもメロディーはイレギュラーズの前から立ち去った。
　それを見ていたのはマーガレットだ。
「…あまり無茶をしないように、というメロディーさんからの言葉だわ。いきなりこんな事件にあったのだもの。心配なのね」
　くす、と彼女は笑った。そうか、心配だったのか…。これはツンでデレ、というわけか。
　イレギュラーズ達は遠い目をした。

「…お嬢様はとてもお優しい人です。だから、私みたいなメイドにも優しくしてくるのです」
　アンナはそう言う。彼女が自分を支えてくれたから、今もここに居れるのだ、と。
「だから、…何かあった時は、私が助けてあげたいのです。お嬢様が助けてくれた分を、お返ししたい」
「君は、本当にメロディーさんが好きだね」
　オリヴィーはどこか優しい視線でアンナを見る。過去に何かがあっただろうことは伺えた。
「…さぁ、君たちには悪いけれど、そろそろ結論を言ってもらってもいいかな。…誰が、この事件の犯人か。アンナ、もう一度メロディーさんを呼んできてくれないかな」
「解りました」
　ぱたぱたと、アンナはメロディーの方へと駆けていく。
　時間は過ぎる。探偵たちの時間は、もうすぐ終わりを告げる。