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シナリオ詳細

青なめくじ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●レイン
 これは幻想領内のとある村での出来事。そう、今年は多くの雨が降った。村人達は作物を思い、恵みの雨に感謝する。
 豊作の年になりそうだ、誰もがそう思っていた――

●バラの死骸が散らばる
 真昼間、若い女性の悲鳴が村中に響き渡った。
「な、なんだ、今の声は!?」
「ば、薔薇園の方向だぞ!」
「行くぞ、急ぐんだ!!」
 村人達は駆け、薔薇園に急いだ。
「な、なんだ……これは!?」
 ビニールハウスの中で女性がばったりと倒れている。美しいバラは散り、葉が食い荒らされている。村人の一人が慌てて女性の脈を取る。
「む、大丈夫だ。死んではいない。だが、この状況はなんだ――」
 村人は視線を巡らせ、状況を確認する。女性はびっしょりと濡れている。地面には粘液のような跡が残されていた。中年の男がハッとする。
「ま、まさか……あいつらが」
 中年の男は震え、すぐに口を噤んだ。周りの村人達が怯え始めた。
「まさか、あの雨で――?」
「はぁ? 嘘だろ……まさか……」
 村人達は青ざめ、すぐさま散っていく。
「あ……ああっ!?」
 そして、村人達は唖然する。双眸には青いなめくじが映っている。
「嘘だろ、おい……」
 村人達は膝から崩れ落ちていく。作物は青なめくじに食い荒らされていた。
 村人達は蒼ざめながらもすぐさま、イレギュラーズ達に青なめくじの駆除を依頼したのだ。
 

GMコメント

 ご閲覧いただきましてありがとうございます。
 今回の依頼は大繁殖した青なめくじの駆除となります。

●依頼達成条件
 全ての青なめくじを駆除する。

●駆除対象
 青なめくじは洞穴内にびっしりおります。
 はみ出した数百匹の青なめくじが洞穴の入り口付近をうろうろしています。青なめくじの大きさは人間の顔程度、身体が分厚く触角は短いです。見た目は水風船です。
 青なめくじの最大の特徴はその身体に水分を溜めこみ、触れられた途端に爆発することです。ただ、爆発自体はそれこそ、水風船が破裂したレヴェルです。ただ、その水はぞっとするほど、粘着いています(無臭)なめくじの動きはとてもゆっくりで攻撃を仕掛けられることはありません。

●場所
 村から少し離れた巨大な洞穴です。真っ暗でとてつもなく、湿っております。ちなみに天井は2Mほどで頭上注意です(青なめくじがぽとりと落ちてくるかもしれません)
 洞窟は使われていないので破壊しても構いませんが、生き埋めにならぬようお気を付け下さい。

●時刻
 夜です(青なめくじは夜になると住処にしている洞穴に戻っていくので)

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 全ての青なめくじが洞穴に戻っています。
 さぁ、皆様――どう、処理致しますか?

  • 青なめくじ完了
  • GM名青砥文佳
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月03日 20時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ギルバート・クロロック(p3p000415)
宗高・みつき(p3p001078)
不屈の
百目鬼 緋呂斗(p3p001347)
オーガニックオーガ
コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
クテイ・ヴォーガーク(p3p004437)
不殺の心
金野・仗助(p3p004832)
ド根性魂
アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)
煌きのハイドランジア

リプレイ

●圧巻
 イレギュラーズ達は洞窟に向かう。それぞれの灯りは歩みに揺れながら鈍い光を地に落としていく。風によって外套が風になびいた。イレギュラーズ達はしばらく歩き、立ち止まった。
「・・・・・・」
 ぽっかりと空いた穴の周囲にはぎちぎちと青なめくじが粘り付く。これを目にしたイレギュラーズ達の気持ちは計り知れない。時が止まった、そんな気がする。
「は? なんか多すぎない?」
 コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)が沈黙をどうにか破る 。カンテラで照らしながら紅の瞳を極限まで細めている。密着したなめくじは魚卵を思わせる。短い触角が気味悪く痙攣する。

──プルッ、プルプルル……

 目の前の光景はどう考えても可愛くない。むしろ、悪夢。
「げっ、気持ちわるっ!」
 コリーヌは顔を歪ませ、顔を背けた。
「僕もそう思うよ。本当に凄い数だね。この数じゃ、あっという間に作物が食べられちゃう」
 『オーガニックオーガ』百目鬼 緋呂斗(p3p001347) は悲しそうに言った。赤茶色の柔らかな髪からは鬼の角が二本、生えている。
「村の人たちが安心できるように全部駆除しないとね」
 緋呂斗自身も作物を育てている。村人の気持ちは痛いほど理解出来る。緋呂斗はなめくじをたいまつで照らす。炎がごうごうと空気を飲み込んでいく。なめくじは炎の色をその身に移す。緋呂斗はじっとなめくじを見た。
「灯りに反応しないようだね。残念、光で誘き寄せようとしたのに」
 緋呂斗は言った。
「んじゃあ、まずは洞穴からはみ出てるヤツらをやっちまおうぜ! タイムリミットがあるからな」
 『不屈の』宗高・みつき(p3p001078)の言葉にコリーヌと緋呂斗が頷き、飛び退いた。これで皆、遠距離となる。この距離なら万が一、なめくじが弾けたとしても大丈夫。いや、多分。
「さっそく、いくぜ!」
 みつきはなめくじにロベリアの花を放った。
「さて、どうなっかな?」
 みつきは目を細めた。凛々しい顔立ちと女性と解る程の身体つきはとてもアンバランスで妙な色気を生む。霧が弧を描きながら多くのなめくじを包む。イレギュラーズ達はすぐさま、歓喜の声を上げ、身構えた。窒息したなめくじがゆっくりと落下する。なめくじは地に接触し、爆ぜた。音は爆竹に似ている。途端にイレギュラーズ達、特に女性陣から悲鳴が上がった。粘着いた水がイレギュラーズ達の足元に飛び散ったのだ。イレギュラーズ達はぞっとし慌てて跳躍する。
「あ、危なかったですね」
 『希望を片手に』桜咲 珠緒(p3p004426)は息を吐き、安堵する。珠緒はカンテラで足元を照らす。なめくじの肉片と粘着いた水溜り。珠緒は目を細めた。
(なめくじ駆除とだけ思うと微妙ですが、反乱鎮圧などよりは有為かなと思うのです。こういった日々の積み重ねが犯罪の抑制になりますから疎かにはできません)
 カンテラに照らされた珠緒は色素の薄く、儚げな印象を抱かせる。
「わわ、びっくりしたよっ! 一匹だとこんなに飛ばないのかな? それとも連鎖的に爆発するのかな、どうだろう?」
 咄嗟に空に逃げた『特異運命座標』アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)は 明るい声を出し、小首を傾げた。アリスは粘液対策に外套を羽織り、傘をさす。
(ふむ、あの粘液が女子たちをヌルヌルに……? 少々、興味をそそられる)
 『梟』ギルバート・クロロック(p3p000415)は顎髭を撫でながら異なる想像をしている。

──パンッ

「ぬおっ!?」
 妄想に身を置いていたギルバートは飛び上がった。一匹のなめくじが弾け飛ぶ。
「衝撃で連鎖的に爆発はしないようですね」
 魔弾を放った珠緒が言った。
「……」
 イレギュラーズ達の視線がギルバートに注がれる。ギルバートは丸眼鏡のフレームを上げ、咳払いを一つ。
「し、失礼したのう」
 ギルバート以外のイレギュラーズ達はきょとんとしながらなめくじを見据えた。
「うん、何となく理解したよ」
 緋呂斗は言い、重火器でなめくじを狙う。火が体表を包み、瞬時になめくじは爆発する。粘液は蒸発し消えていった。みつきが面白そうに目を細めた。一匹のみ狙えば飛沫の威力はとても少ない。だが、それでは時間がかかりすぎる。
「よし、遠距離から一気に殲滅するか。入り口だけでもこんなに多いからな」
 みつきが提案する。タイムリミットは日の出までだ。朝になればなめくじ達は洞窟から消えていく。
「そうだね、そうしよう」
 緋呂斗はにこりと微笑んだ。イレギュラーズ達は瞬時に移動する。
「ふふーふ。これなら、安全な距離から複数の石を叩きつけられる……はず!」
 コリーヌは得意げに言い、お手製のフレイルもどきをなめくじに容赦なく叩きつけていく。3メートルの棒に切ったロープが幾重に結ばれ、その先の石がなめくじを次々と破壊する。爆発と同時に粘液が飛び散るがコリーヌは安全な位置にいる。
 コリーヌは悲鳴を上げながら一心不乱になめくじを叩いている。
「……凄いな」
 コリーヌの猛撃を見ながらみつきは笑い、ロベリアの花を──
 緋呂斗は重火器をなめくじに噴射する。破裂、破裂。なめくじが簡単に吹き飛んでいく。それでも、数は減らない。
「私も行くよっ!」
 アリスは叫び、上空からマギシュートを発動させた。
(村の人達が大事に育てた作物の明日が掛かってるんだもんね。私が、私達が頑張らなきゃ!)
 攻撃によってなめくじが弾け、粘液が飛び散る。
「よーし、良い感じ! どんどん、倒すんだからね!」
 アリスは積極的になめくじに挑んでいる。
「おえ……とりあえず邪魔にならねえようにしないといけねえからな……」
 『いっぴきおおかみ』クテイ・ヴォーガーク(p3p004437) が呟き、地面の石を拾い投げる。切れ長の瞳が弾けていくなめくじを捉える。
「気色悪いな……だが、少しでも数を減らさねえと」
 クテイは思い切り、石を投げた。双眸には揺れる灯りと遠距離からなめくじを攻撃するイレギュラーズ達。荒い息を吐き出し、動かない強敵に攻撃を仕掛け続ける。奇妙な破裂音が村中に響く。

●息が上がる
 到着から数時間後、はみ出したなめくじの駆除が終わる。特にコリーヌが多くのなめくじを叩き潰すことに成功した。
「ああ、気持ちわる……手に感触が残ってるよ……」
 コリーヌは座り込み、息を整えている。今のところ、誰も粘液の被害にあっていない。
「数が多すぎる」
 みつきは頭を掻き、緋呂斗が静かに頷く。みつきと緋呂斗は喘ぎ、汗を流している。なめくじの死骸と粘液が散らばっている。アリスが上空からザックに詰めた砂を撒き、ギルバートが洞窟にファミリアーのコウモリを飛ばし、内部を探る。珠緒は地上から土や砂を撒く。
「ふむふむ。おっと、手前は少なく中間はおらんようじゃのう。お? 最奥にうじゃうじゃと」
 ギルバートは閉じていた目を開け、屈む。
「解ったぞ。こんな造りになっているのう」
 ギルバートは適当な石を掴み、地面に地図を描く。イレギュラーズ達が地図を覗き込む。
「そう、洞窟はIの形になっておる。広さと長さはそれなりのようじゃ。正確な数は解らんが八百匹以上はおるのう。これを見るとはみ出したなめくじは三百匹ほどだったかもしれん」
「八百……多いですね」
 珠緒が顔をしかめながらゴーグルを装着する。ギルバートは唇を舌で舐め、口を開く。
「洞窟の手前にも同じくらいおるのう。最奥は五百程……なめくじは天井と側面がお好きなようじゃのう。足元には見当たらん。ただ、落ちてくる可能性はある。そして、残念ながら穴にはなめくじしかいないのう……あう、お宝……」
 ギルバートは肩を落としながら手前と最奥に丸を付ける。なめくじは此処に潜んでいる。
「そうか、俺も期待していたんだがな」
 クテイは息を吐く。
「まぁ、どうにせよ、やるしかないってことだね。ほら、靴を出して」
 コリーヌの言葉にイレギュラーズ達は頷き、コリーヌに滑り止めの処置をしてもらう。
「よし、全員完了! まぁ、あのヌルヌルに通用するかは分からないけどー。やらないよりはいいよね?」
 コリーヌは言い、イレギュラーズ達は洞窟に歩み寄る。ふと、『ド根性魂』金野・仗助(p3p004832)が片手を上げた。
「まずは俺が行く。むしろ、行かせてくれ」
 フランスパンのような長いリーゼントに吊り上った瞳から発せられる眼光は剃刀より鋭い。
「さっきは見ているだけだったが、背の高い俺が一番先に入れば、落ちてくるなめくじを皆に伝えることが出来るんじゃねえかと思ってよ」
 仗助の提案に仲間達は同意する。
「よっしゃあ! いざ、洞窟へ!」
 仗助は自らのベルトにカンテラを括り付け、大盾を両手で握り締めた。洞窟よりも大きな身体を曲げながら仗助は洞窟の中に入っていく。
「……天井は低いが全員並べそうな洞窟じゃねえか」
 仗助は振り返り、イレギュラーズ達に八重歯をみせた。洞窟内は紫色で粘液の跡がうっすらときらめく。全員、洞窟の中に入った。湿った空気を感じたが苔は見当たらない。コリーヌは棒の先端に取り付けたランタンで奥を照らし、悲鳴を上げる。なめくじを見つけたのだろう。
「いたよっ!」
 アリスは叫んだ。側面になめくじの大群が見える。 アリスは飛行し近寄っていく。アリスの方向にギルバート、みつきが向かう。クテイは一人、焔式で炎を放ち、爆発と蒸発を同時に行っている。
「洞窟を狙わなければ、崩れることはないかもしれないね」
 緋呂斗は呟き、屈みながら慎重に歩く。洞窟はびくともしない。緋呂斗の双眸に魔力弾を放つ珠緒が映る。なめくじが瞬時に弾けた。緋呂斗は優しい眼差しを仲間に向ける。
(大変だけど皆で駆除できることがとても嬉しいな。だから、絶対、成功させたいよ)
 緋呂斗はにっこりと笑い、重火器をなめくじに向ける。瞬く間になめくじが炎に飲み込まれていく。
「……いたな」
 仗助は呟き、なめくじを見た。名乗り口上で仗助は戦意を高め、中腰でなめくじに飛びかかった。盾をなめくじに振るう。
「──うおおおおおっ!!」
 仗助は叫びながら粘着いた液体にまみれながら根性と気力でなめくじを叩き潰していく。
「ぬおおおおおおおっ!! 口に入ったとしても俺は止まらない!」
 仗助は雄叫びを上げ、めちゃくちゃに盾を振る。一方、アリスは魔弾の出力を出来るだけ絞りながら攻撃を放ち、みつきがより遠くのなめくじに向かってロベリアの花を撃つ。なめくじが地に落ち、破裂を繰り返す。クテイは必死に石を投げている。
「こっちはわしに任せるのじゃ!」
 ギルバートは魔弾でなめくじを撃ち抜きながら、ちらちらとアリスを見ている。
(このままではワシが望むストーリーには至らないのう。さて、どうするか)
 ギルバートは考え込みながら側面から天井にゆっくりと移動するなめくじを二匹、見付ける。移動するなめくじの真下には珠緒。珠緒は気が付いていない。
(これは、もしや……)
 ギルバートは喉を鳴らす。
「珠緒、危ないっ!!」
 みつきが怒鳴り、飛び込んでくる。みつきは珠緒の手を引き、自らの胸に抱きながら魔力銃でなめくじを撃ち抜く。足元に粘液が飛び散った。
「ありがとう、みつきさん」
 珠緒はオッドアイの瞳でみつきを真っ直ぐ見つめた。
「気にすんな、お互い様だ──」
 みつきは珠緒を無意識に抱き締めていたことに気が付き、ぱっと離れる。
「わ、悪い!」
「え? いえ――」
 珠緒はみつきを見上げている。
(ぐぬぬ、惜しかったのう)
 ギルバートは嘆息しながら粘着いた液を頭から被る。
「は? 突然、何じゃ……」
 ギルバートは茫然とし、頭に触れる。

──ベトベト? ネバネバ?

 ギルバートは瞬時に理解する。
「ぎ、ぎゃあああ! 気持ち悪い! ワシはきれい好きなんじゃ!」
 ギルバートは悲鳴を上げる。頭上からなめくじが落ちてきたようだ。
「くっ、なめくじ如きがワシをこんなにするとは!」
 ギルバートはなめくじを睨みつける。
「絶対、許さんっ!!」
 ギルバートの怒りの魔弾が火を噴く。途端になめくじが破裂した。
「おりゃあ、まだまだじゃ~!」
 ギルバートは間髪入れずになめくじを破裂させていく。コリーヌは長弓でなめくじを射抜き、数を減らしていく。イレギュラーズ達は懸命に動き続ける。
『ああ、気持ち悪い!!』
 イレギュラーズ達は各々、不快感を露わにする。あちこちになめくじの死骸が見えた。

●時計の針は進んでいく
 アリスが足元に砂と撒き、イレギュラーズ達は奥に進んでいった。
「そろそろ、休憩しないか?」
 みつきは言い、腕で汗を拭う。中間地点になめくじはいない。
「うん、僕もそう考えていたよ」と緋呂斗が顎先から汗を滴らせ、「私も休憩に賛成だよ! 狭いとは言え洞窟だもん、疲れて転んだりしたら色んな意味で危ないしね」とアリスが両手を上げる。
「では、交代で休憩をとりながら駆除活動に切れ目を作らないようにしませんか? 動きが遅いとはいえ、潰し逃しが発生しては依頼を果たせませんから」
 珠緒はイレギュラーズ達を見つめ、そう提案する。
 イレギュラーズ達は交代で休息を取る。かなりの時間が経っている。最奥にはみつき、珠緒、ギルバート、クテイの四人がなめくじに立ち向かっている。
「おらよ!」
 みつきはロベリアの花を――
「一閃します。弾けてくださいっ!」
 珠緒は低速で接近するなめくじに神薙を発動させ、一気に薙ぎ払い、顔をしかめた。ゴーグルのお蔭で粘液が目に入ることはない。だが、粘着いた液体はとても不快だ。
「それでも、攻撃の手は休めません」
 珠緒は身体を粘着かせ、果敢になめくじに攻撃を仕掛けていく。
「ふふ、珠緒は凄いのう……」
 ギルバートは真顔で珠緒を見つめながら呪符で天井のなめくじを弾く。
(うっほほ! 眼福、眼福! むふふ、なめくじグッジョブじゃ!)
 テンション・マックス。ギルバートの機嫌は一瞬で直っていた。クテイは無言で焔式をなめくじに撃ち込んでいる。

 中間地点で座り込むのはアリス、緋呂斗、べとべとの仗助、コリーヌの四人だ。時折、談笑しながらアリスが配ったお菓子を食べ、奪われた体力を回復する。奥ではなめくじの破裂音が響いている。
「あ、そろそろ、交代の時間だね。まずは私が砂を撒いてくるねっ!」
 アリスは元気よく、飛び出した。アリスはカンテラの光を頼りに、天井に注意しながら空を飛ぶ。
「滑らないようにするよ!」
 アリスは濡れた地面に砂を撒いていく。砂がぴたりと地に吸着する。
「みんなー、交代の時間だよ! あ、砂を撒いたから安全だよっ。それと、お菓子もあるから食べてね?」
 アリスは浅い息を吐き出すみつき、珠緒、ギルバート、クテイににっこりと微笑んだ。今度はアリス、緋呂斗、べとべとの仗助、コリーヌが最奥のなめくじに挑む。アリスはミスティックロアで魔力を増幅させ、マギシュートを放つ。
「えいや~!」
「うん、良い感じのペースだね」
 緋呂斗は屈んだまま笑顔を見せる。緋呂斗は重火器でなめくじを攻撃しながら時折、石を拾い投げる。仗助は落下しそうになるなめくじを見つけ、仲間に大声で伝えつつ、自らの盾でなめくじを叩き潰す。
「どんどん、駆除していくから!」
 コリーヌは叫び、身を捻り、棒を振り回す。気持ちを奮い立たせ、コリーヌは飛んだり跳ねたり、体育会系のノリでなめくじに次々と石を当てていく。
「倒さないと、村の人達が悲しむからさ!」
 コリーヌは身を回転させ、勢いよくなめくじを壊す。
「──うおおおおおぅ!?」
 その横で粘液が目に直撃した仗助が転げまわっている。

●日の出に近づいていく
 イレギュラーズ達は休憩と交代を繰り返しながら、なめくじを駆除していく。その間、アリスが砂と石を補給しに洞窟から抜け出す。ギルバートがファミリアーのヘビを操り、隠れていたなめくじを見つけ出し、珠緒とクテイがそのなめくじを破壊する。皆、自分に出来る事を行っている。イレギュラーズ達は眠気と疲労に襲われながら攻撃の手を休めなかった。それが良かったのだろう。空が白む前にイレギュラーズ達はよろよろと洞窟を這い出す。髪はぱさつき、その身は粘液に濡れている。石や武器によって掌の皮が剥け、血を滲ませる者さえいた。
「……なめくじ駆除の最終確認をするぞ」
 みつきは目を擦りながら洞窟の入り口にお化けカボチャを置く。
「もう、出てこないといいな」
 緋呂斗は背伸びをしながら大きな欠伸をした。
「何というかさ。この手の駆除を行う業者さんの苦労を、良く理解した気がするよ……」
 コリーヌは息を吐き、苦笑する。このまま、イレギュラーズ達は日の出まで待機するのだ。そう、全てのなめくじを駆除したか確認する必要がある。
「……」
 イレギュラーズ達は会話を止め、目を細めた。日の出を迎え始めたのだ。皆の視線がお化けカボチャに注がれる。
「……」
 イレギュラーズ達は安堵の息を漏らす。なめくじはもう、現れなかった。そして、珠緒の申し入れによってイレギュラーズ達は村の中心部にある大浴場で身体を洗い流した。新しい寝間着に身を包み、イレギュラーズ達はベッドに潜り込む。その間に村人達は温かな食事を用意し始める。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 皆様、ご参加いただきましてありがとうございました。青砥です。
 なめくじ駆除、お疲れ様でした。皆様のお蔭で全てのなめくじが駆除されました!
 本当に全滅したのか日の出まで待機するアイディアまでございまして本当に素晴らしかったです。
 ちなみにこんなになめくじのことを考えたことは今までなかったので今も脳内がベトついております。困りましたね。皆様もあのねばつきと破裂音が今もその身に残っていらっしゃるかもしれません。ゆっくり休んで忘れてしまいましょう。

 では、少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。 また、皆様とお会いできますことを。

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