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シナリオ詳細

きうり大会

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●あつまれ、きうりの荒野
 夏になると、世界的に怪談話が増えるのは、霊のたぐいがあの世からこちらに流れ込みやすい季節であるからだが、それも変わり目が近づいてくると、彼らも自然とあちら側へと帰っていく。
 しかし、人というものはどうにも迷子になりやすい気質であるようで、中にあちら側に上手く変えることが出来ず、こちらに残ってしまう者もいるのである。
 安寧たる向こう側へ、そういった彼らも返してやらねばならない。魂の休息は必要なのだから。
「というわけで、そんな彼らを返すために必要なのが―――」
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 説明している情報屋の後ろ側で、何かが爆発した。
「―――きうりッス!!」
 ちゅどーん。
 また後ろで何かが爆発した。
 ここは練達にある、とある荒野である。夏も終りに近いはずなのだが、このような影のひとつもろくにない場所に来ると、輝き続ける太陽のせいで、どうにも汗が止まらない。
 気だるい熱気の下でも声を大にして解説する情報屋の元気さが、少々羨ましかった。
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 ―――あの、さっきから爆発しているあれはなんでしょうか。
「きうりッス!!」
 情報屋の回答は同じだった。いや、けして「装備をしなければ武具に価値はない」ことを人生をかけて説くような彼らと同じ呪いにかかったわけではなく、本当に回答が同じであっただけである。
 後ろで爆発しているのは、間違いなくきうり―――巨大なキュウリに馬の脚が生えた何かであった。
 サイズもだいたい乗用馬くらいで、野菜に哺乳類の脚が生えた姿が何ていうか気色悪い。
 それらに、先に雇われた冒険者が切りかかっては爆発しているのである。
「霊を返してあげる風習として、きうりの切り身が必要ッス。たくさん必要なので、日の入りまでみんなできうり狩りッス」
 そうなのか。しかし、罪のない動物(?)を手に掛けるのは抵抗があるものもいるかもしれないが。
「それは大丈夫ッス。ほら、あれを見てほしいッス」
 情報屋が指をさすと、冒険者が丁度、きうりを胴体から真っ二つにするところだった。
 ずんばらり、2つに分かたれたきうり。冒険者はさらにその一部を切り取り、確保すると、残ったきうりの身体から離れていく。
 そうすると、分かたれたきうりの胴体が自然と動いてひっつき、立ち上がり、元のように闊歩し始めたではないか。
「あんな感じで、きうりは切られても大体は自分で復活するッス」
 マジかよ。こいつらEXF特化型なのかよ。
「あと必殺が無効ッス」
 無敵かよ。
「それと、攻撃されるとカウンターで―――」
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
「大体半々で爆発するッス」
 危険極まりないじゃないか。
「というわけで、夜まできうり狩りをして欲しいッス。たくさん切り身を集めてくださいッス!!」
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。

GMコメント

皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。

きうりの切り身を集めてください。
きうりを倒す必要はありません。戦って、切り身を拝借すれば大丈夫です。
あればあるほどいいので、日が沈むくらいまで狩り続けてください。

【エネミーデータ】
■きうり
・馬ぐらいのサイズのキュウリに馬の脚が生えた動物。
・非常に生命力が強く、みじん切りくらいからは平気で復活する。自己再生できるので、切り取られてもあとから生えてくる。
・浅漬にすると美味しい。
・鳴き声もきうり。
・攻撃を受そうになると以下のスキルが発動する。

□ばくはつ
・きうりが受ける攻撃判定に自動で発動する。
・命中判定時に攻撃者のファンブル値をあらゆる補正を無視して「50」とする。
・判定時にファンブルが発生すると、攻撃者の武器が爆発する。単・無・武具への影響なし・思いっきり吹っ飛ぶ・【焦げる】【アフロ】のBSを受ける場合がある。

【シチュエーションデータ】
■荒野
・練達の勢力圏にある荒野。
・きうりの生息地であり、見渡す限り結構いる。
・快晴。猛暑日。

  • きうり大会完了
  • GM名yakigote
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年09月20日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
巡理 リイン(p3p000831)
円環の導手
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
メイメイ・ルー(p3p004460)
約束の力
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
リサ・ディーラング(p3p008016)
蒸気迫撃
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
セレステ・グラス・オルテンシア(p3p009008)
蛇霊暴食

リプレイ

●とびだせ、きうりの荒野
 先祖の霊というものは、なんかだいたいこういう形の馬に乗ってやってくるという話を聞いたことはあるが、本当にこんな生き物がいるとなるとなんだか生理的にアレである。

 太陽が照りつける荒野では、その熱気を一身に浴びることになる。滴る汗、張り付く衣服。しかしそれも風物詩なのだと考えれば、四季の豊かさも感じられようというものだ。
 なるほど、そう考えれば、この荒野でも青々とした空と合わせれば中々に趣も、
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 趣も、
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 なかった。ただただうるさかった。
「攻撃すると、爆発するということは……攻撃せずに、ダメージを与えればいいですの」
『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は考えていた。どうすればきうりの特性に対処できるかを。
 攻撃に反応して無理やり自爆させる。恐ろしい能力だ。強制的にアフロにされては尊厳もなにもない。
 しかしノリアの脳裏に電流が走る。
「わたしには、手が、ありますの……!」
 見える。いつもどおり、最後はなんか食べられそうになって追いかけられてる姿が、見える。
「霊をあの世に帰す為の材料集めかぁ」
 不思議な習慣があるものだと、『円環の導手』巡理 リイン(p3p000831)は関心を示した。霊という本来は生身で関与できない存在に対し、その道筋の補佐を努めようと言うのだから、面白いものだ。
「方法は違っても死神の役目とほぼ同じ、とっても重要なお仕事だよねっ!」
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ぐっと握った背景で呼応するかのように、爆発音が鳴り響いた。
「日の光と汗が輝く今日この日を、皆と無事に迎えられたこと、まずは誇りに思う」
『理想のにーちゃん』清水 洸汰(p3p000845)はひとりで円陣を組むようなポーズをとっていた。
「けど、それだけで満足していちゃあ、到底勝利は掴めないよな。いざ、優勝目指して頑張ろうぜ!」
 なんだろう、なんか盛大に勘違いしている。ていうかその思い出どこから生えたんだ。
「……えっ? きうぎ大会じゃなくってきうり大会?」
「きうり。はじめて、見ました」
『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)はこんな生物が居たのかという面持ちで、目をパチクリとさせている。
 でかい胡瓜に馬の脚が生えた生物。野菜と哺乳類の魔合体。その姿は、見ているものに言いようのない不安感を与えるものだ。
「え? 浅漬けにする美味しい……? そう、ですか。ふむ、ふむ」
 なんだろう、生理的な嫌悪感よりも食欲が勝った気がした。
「私は胡瓜にはにんにく醤油派だ。時間が経って醤油が染み込んだのが美味い」
『エージェント・バーテンダー』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)が指折りながら、頭の中できうりを使った料理を数えている。あれもいいな、これもいいなと考えれば、狩らねばならないきうりの数も、中々のものになりそうだ。
 見よ、この熱気の中でもみずみずしさを失わないあのボディ。なんとも食欲をそそられる話である。脚がなければ。
「きうり……きうりとは、何ぞやっす???」
『ザ・ハンマーの弟子』リサ・ディーラング(p3p008016)は誰もが触れなかった疑問点に触れた。うん、何なんだろうね。
「しかしまぁ数もたくさんいるなら収穫量もたくさんもらえそうっすね! それに私は蒸気街の職人、爆発なんて一切起こさずにクリアしてみせるっす!」
 流石は蒸気街の住人だ。爆発に対処する術を……運要素だよ?
「きうり、お前……!」
『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)はきうりに謎のシンパシーを感じていた。
「会長ときうり、なんというか、こう、通じ合ってる気がする。茄子と胡瓜、二つでセットというか、なんかそんな感じのあれを感じる」
 確かにセットというか対というかそんなイメージあるけど、何なんだろうね。あんまり一緒に食べたりしないものだけど。
「羽衣教会の会長として霊魂のみんながあの世に帰れるように導いてあげよう!」
「えぇ……」
『期待の新人』セレステ・グラス・オルテンシア(p3p009008)の反応は、至極真っ当なものだった。
「確かに、夏場にはご先祖の霊がCucum馬に乗って脱走してくるとは言いますが、これは……これにご先祖様が乗ってきたら蛇神様激おこ案件ですよ」
 誰しも、こんなのに乗って先祖が帰ってきたら引くと思う。わあ、ご先祖様だ。ってなる前に若干引くと思う。
「こんなものが生息しているとは、練達は食料には全く困ら無さそうですね」

●みさらせ、きうりの荒野
 生き残ることを優先するため、彼らは進化の過程で再生能力を手に入れた。あとなんか敵が自爆することになった。

「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 あちこちで爆発音が聞こえる。
 なんだろう、どうやったって爆発してやるからなという意気込みまで感じてきて、今からあの戦場に踏み入るのかと思えばためらいの心が生まれそうだが。
 それでも仕事は仕事である。
 意を決し、拳を握りしめ、きうり大会の臨むのだ。
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。

●あだなせ、きうりの荒野
 どうしよう、バックボーンが薄すぎてそろそろ書くことがない。

「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 ノリアは吹き飛んだ。
 きうりの攻撃を誘うべく全力で好きだらけになったところ、敵意そのものが攻撃扱いとみなされたからだ。
 これまで採取していたきうりの切り身も一緒に吹き飛び、宙を舞う。
「あっ、爆発の衝撃で、槍紋三日月砂丘鉢を、手放してしまいましたの……」
 つまるところでかい小鉢である。なんだか言葉に矛盾を感じるが、そのままそこにすっぽりと嵌るノリア。
「しかも、そこに、きうりのかけらが、いくつも、落ちてきて……どんな偶然か、わたしだけ、局所的な甘酢のスコールに、見舞われて……これはこれで、涼しくて、よいのですけれど……これでは、のれそれときゅうりの、酢の物になってしまったみたいですの!」
 想像してみよう。小鉢に嵌ったらきうりが添えられてそこだけ甘酢で出来た雨が降り注いでいい感じに和えられたのである。
 あるある。

「ほ、ほんとに結構いるのね。見渡す限り……!」
 リインはその生物を初めて目の辺りにしたが、こうも数が多いというのなら、混沌では一般的な生物かもしれない。混沌ってろくな独自生物いねえな。
「どこかの国では、こういう形にしたキュウリを降霊の儀式に使うって聞いたけれど。この子達、もしかして神聖な生き物だったりしないよねっ!?」
 罰があたっては嫌なので、礼を尽くすことにする。まずは相手にお辞儀から始めよう。
 相手の目を見て、礼儀正しく。
「きうりさん、お体を少し頂いても宜しいでしょうか? もし大丈夫でしたら何かお返事ください」
 殺害予告であった。いや、きうり切ったくらいじゃ死なないんだけどさ。
「なるべく一瞬で終わらせますので、出来るだけ爆発を弱めて頂けると嬉しいな!」
 そしてすかさず得物を振り上げてきうりの身体を―――。
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。

 洸汰の姿は既に凄惨を極めていた。
 きうりを狩るためにその身に受けた無数の爆発。これにより、肌のあちこちから煙をふいていたのだが、問題は髪の毛である。
 幾度とない爆発により最早雷様もかくやというべき大きなアフロが形成され、その上に野球帽がちょこんと乗っかっている。
 滝のように流れる汗。このような猛暑の中、カンカンの日照りを浴びたまま動き続けていたのだから当然だ。
 しかし、洸汰もやはり、そのあたりには慣れている。ちゃんと補給ゾーン(ブルーシート。飛んでいかないように端っこをリュックで固定してあるぞ)にスポドリを用意してあったのだ。
「水分補給とこまめな休憩は忘れちゃ駄目だぞ!」
 ごくごくと喉を鳴らして飲み干し、かーっ、と声を漏らす。
「喉が渇く前に水分補給、汗をたくさんかいたら塩分補給、これ基本! そう、例えば……」
 獲得してきたきうりの切り身に目をやる。ちらっ。
「きゅうりに味噌つけて食うとか……」
 ちらっ、ちらっ。

「あの、切られても、復活するとはいえ……ごめんなさい。あなたの切り身を、いただきます、ね」
 こちらにも殺害予告がいた。
 想像してみよう。メイメイのような可憐な少女が、武器を手にしておずおずと近づき、「あなたの切り身をいただきます」。
 うん、グッドホラー。なかなかハードな演出にきうりもビビっている。
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 流れの仕切り直しに便利な爆発により吹き飛ばされるメイメイ。首を振って意識を整えるが、なんだろう、とても頭が重い。
 鏡を取り出して確認してみれば、いい感じにふわふわだったヘアースタイルが、いささかがっつりとしたふわふわ加減にクラスチェンジしているではないか。
「め゛え゛」
 思わず悲鳴を上げる羊娘。慌てて術式を組み始めるが、
「回復……出来るのでしょう、か????」
 戸惑いしかない。どんな癒術者も、アフロを治したことはないだろう。

 きうりに向かって蹴り技を使用するとどうなるか。
 それはモカが身を以て実証していた。
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 蹴り足のみが爆発した結果、もう一方の足を軸にして独楽のように回転。それは爆発の勢いによって浮き上がったこともあり、錐揉み運動としてバレエダンサーさながらの動きを見せていた。
 回転によりふらついた視界を、頭をふることで整えるモカ。なんだろう、何回か続ければ華麗さで競える気がする。
 爆発の熱気もあって、適度にクールダウンをせねば身体が持たない。
 水分補給はもとより、体力の回復も考えておにぎりを持参していた。
 こういう時、塩分を少し多めに含んだ握り飯は疲れた身体によく沁みる。銀しゃりの旨味がモカの全身を震わせた。
 ふと、視線を巡らせると、そこにはきうりの切り身。
「これを、つまみ食いしたら……」
 いけないいけないと思いつつも、視線は外れてくれなかった。
 ごくり。

「ステンバーイ、ステンバーイ……」
 炎天下の中、ともすれば荒れがちになる呼吸をうまく整えて、リサはスコープを覗き見た。
 その先にはきうりがいる。胡瓜の身体に馬の脚をつけて、呑気に荒野を闊歩している。
 急所はわからない。心臓部はもとより、どこが頭部かもよくわからない。胡瓜の頭ってどこだろう。
 ともあれ、得物がレールガンとなれば問題はない。なに、そもそも欲しいのは切り身であって命ではなのだ。命中し、一部を頂戴できればよいのである。
 集中し、集中し、スコープの中心にきうりが入った時、リサは引き金を引き絞り。
 爆発をした。
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 吹き飛ぶリサ。そして地面をごっろんごろん転がって痙攣。そして何食わぬ顔で立ち上がり、「私爆発してませんよ」という顔をしていた。アフロヘッドで。
「しかし! 仮に! もし爆発することがあるとしても! 私は爆発していないっす!」
 アフロヘッドで。

 茄子子はやはり、このきうりとのシンパシーを本物であると確信し始めていた。
 取り出したるは免罪符。あらゆる行動に恐ろしい程の不運が降りかかるとされているそれだが、きうりを相手に使えば、なぜかフィフティ・フィフティである。本来、半々で失敗するというのは考えたくもない事象であるはずが、この時ばかりは茄子子の有利に働いていた。
「それってつまりバフだよね! やっぱり会長ときうりは馬が合うんだね!!」
 いや、胡瓜と馬が合わさっているんだが。
「お前が悪い! お前も悪い! とりあえず悪い!!」
 次々に切り身を作っていく茄子子。なお、台詞の半分にはきうりの叫びと爆発音が含まれている。
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 吹き飛ばされる茄子子。でも大丈夫だ。この爆発にすら愛を感じる。だって会長ときうりは馬が合うんだから。
「あぁ!! なんか頭がもさもさする! なんだこれなんだこれ!!?」

「私、呪殺でうりうりしていく派なのですが……」
 きうりだけに、って言おうとしたことは優しくスルーして、きうりは直接的な攻撃でも復活できるのか、少し不安気なセレステ。
「大丈夫ですよね? ちょっとしおしおしても切り身になればセーフですよね? 煉獄へ落ちても3秒以内に復帰すれば実質無罪ですしね!」
 セレステの六法全書には殺人罪以外存在しないのだろうか。
「まあ、まだ痛くて泣いちゃうようなすごいのは盛れないんですが。命拾い、してしまいましたね……?」
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
 ちゅどーん。
 なんか怖い言い方をされたのできうりが反応を示したのだろう。吹き飛ぶセレステ。アフロのセレステ。
 綺麗な顔にアフロが乗っている。ぷるぷる震えるセレステにアフロが乗っている。
「ええ、怒らないからちょっと前へ出て下さい、ぶちのめしますから。えっ怒ってませんよ? ええ。ぶちのめさないとは言ってませんし」

●ましませ、きうりの荒野
 きうりとは、きうりとはなんだ……。

 ぽりぽりと、こりこりと、きうりの切り身を食べている。
 小さかったり形がよくなかったり、霊を返すには不向きなものは処分されず、食用にされるらしい。
 仕事にあたったイレギュラーズも、是非どうぞとわけてもらったのだ。
 ぽりぽり、こりこり。
 空が橙に染まり、もう幾つもしないうちに、紫がまじり始めるだろう。ここのところ、その時間も少し、早まっている気がする。
 風がひとつ吹いた。熱気の中に居た身体にはそれがとても心地よく、思わず目を閉じる。
 さあ、秋が来る。

 了。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

浅漬けが好き。

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