PandoraPartyProject

シナリオ詳細

フィートアンツ・ダンジョン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●大蟻の洞窟
 新米冒険野郎はダンジョン攻略に燃えていた。
 噂に聞く『フィートアンツ』がすむ洞窟には、古い金貨が眠っていると聞いたからだ。
 さらにはフィートアンツが繁殖期前になると近隣の村へ出て作物や家畜、時には人すら喰ってしまうというから正義感にも火が付いて、バチバチと魂の炎が燃えさかっていたのだ。
 右手に剣、左手に松明をもち、いざ怪物の巣くう岩穴へ……!

 だが悲しいかな、彼を待っていたのは悲劇であった。
 穴の奥から次々と這い出ては進行を阻むフィートアンツ。
 巣穴のところどころに仕掛けられた毒針の罠。
 こんな所に一人でくんじゃあなかった! 冒険野郎は心の炎と松明を放り投げ、泣く泣く町へ逃げ帰ったのだった。

●というお話だったとさ
「かくして! フィートアンツのすむ洞窟への討伐依頼はギルド・ローレットに回ってきたのです! しゅっ、しゅっ!」
 シャドウボクシング(ねこぱんち)の動きをしながら、ユリーカ・ユリカはそこまでのあらすじを語った。
「近隣の村が繁殖期の被害におびえずにすむようにと正式に出してきた依頼なのです。
 襲い来る怪物たちを倒しながら洞窟を突き進み、フィートアンツの女王を倒して巣を壊滅させるのです! しゅばーっ!」

 フィートアンツはその名の通り高さ30センチくらいのアリの群れである。
 女王に仕えるかたちで群生しており、女王が死ぬと巣が繁殖能力を失うという。
 洞窟は話にあるように光源を必要とするほど暗く、奥にながーく続いている。
 大変なのはモチロンそれだけじゃない
「第一の問題、『巣穴の迷宮』!」
 洞窟は分岐点が沢山あって、間違った道に進むと引き返すことになるのだ。途中で敵に遭遇するリスクも増えるので、できるだけ間違えたくないのだ……!
「第二の問題、『毒針の罠』!」
 洞窟内にはちらほらと罠が仕掛けられていて、こいつにやられると毒状態とダメージをうけてしまうのだ……!

 謎のにゃんこしゃどーを繰り出しながら、ユーリカは目をきりっと光らせた。
「数々の問題を突破したその先に、フィートアンツの女王がいるのです。こいつを倒せば、この依頼は完遂――とみせかけて帰るまでが依頼なのです! 無事に帰って、お日様をおがむのです!」

GMコメント

 ごきげんよう、イレギュラーズ!
 こちらはモンスターを倒しながらダンジョンを突き進み、時に罠をかわしたり進む道を見極めたりするローグライクなシナリオとなっております。
 役立つ非戦スキル盛りだくさん。ダンジョンシーカーの皆さんの出番です!

【エネミー】
・フィートアンツ
 複数形なのは群れで出てくるからなのです。
 『かじりつく(至近/物理/単体)』で攻撃してきます。
 個体の能力は低いので、皆で力を合わせればばったばったと倒していけるのですが、とにかく数が無限かなってくらいに沸いてくるので休憩する暇がありません。
 APを節約すると最後の最後で楽になれます。

・フィートアンツの女王
 このモンスターを倒すことが依頼成功条件となります。
 初期からフィートアンツ5体を周囲に陣取らせており、毎ターン追加で呼び寄せます。
 一部のフィートアンツは女王に主行動の『かばう』を適用して盾になるため、まずはこちらから排除する必要があります。
 女王の能力値は他のフィートアンツよりちょっと高い程度です。

 女王撃破後は絶望して逃げ惑うフィートアンツを適当に狩りながら洞窟を脱出しましょう。
 ※ペース配分に余裕があれば脱出パートはカットされることがあります。

【シチュエーション】
・洞窟の形状
 アリの巣を横にしたような、複雑に分岐した長い岩洞窟です。
 内部は暗いため光源があると便利です。
 松明や電灯でもOKですが、発光スキルがあるとより便利です。

・分岐選択
 洞窟を進んでいくたびにロールを行ない、『正しい道に進めるかどうか』を判定します。
 失敗すると目的地への距離が伸び、戦闘の回数も増えてしまいます。
 この時、有効な技術やプレイングをもっているメンバーがいると成功率がアップします。
 目安としては正解率が20%を下回るとじり貧になってヤバイ、くらいです。
 特に有効そうな非戦スキルの例を一部だけ挙げると――エコーロケーション、超聴力、超嗅覚、モンスター知識、バブみ感知、などでしょうか。

・罠判定
 洞窟を進んでいくたびにロールを行ない、『罠を回避できるか』を1PCずつ個別に判定します。
 失敗すると小ダメージと【毒】のBSをうけてしまいます。
 この時、罠解除や発見に有効な技術やプレイングをもっているメンバーがいると、味方全体の成功率がアップします。
 特に有効そうな非戦スキルを一部だけ挙げると――罠対処、直感、フラグブレイカーといったあたりでしょうか。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』と書かれたお客様にはアドリブを多めに、逆に『アドリブなし』とお書きくださればアドリブ控えめで対応できますので、ぜひご活用くださいませ。

  • フィートアンツ・ダンジョン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年01月23日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

巡離 リンネ(p3p000412)
魂の牧童
シグ・ローデッド(p3p000483)
艦斬り
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ケント(p3p000618)
希望の結晶
イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)
世界の広さを識る者
リック・狐佚・ブラック(p3p002028)
狐佚って呼んでくれよな!
ぺリ子(p3p002675)
夜明けのハイペリオン
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯

リプレイ

●洞窟への挑戦
「へえ、ここがフィートアンツの洞窟かー! ほんと、巣って感じしないなあ」
 『狐佚って呼んでくれよな!』リック・狐佚・ブラック(p3p002028)は耳をピコピコとやって好奇心を露わにした。耳についた手裏剣型のピアスが連動してからからと揺れる。
 『迷い込んだ狼と時計』ウェール=ナイトボート(p3p000561)が腕組みをして洞窟の奥をじっと覗き込む。
「依頼内容は巣の壊滅。もとい、女王の討伐だったな。確かそれで生殖能力を失うと……。しかし難点は暗闇と罠、つまり」
「つまりダンジョンハック! 洞窟のぼうけん! わぁーい!」
 両手をグーにしてばんざいする『高みへ導くハイペリオン』ぺリ子(p3p002675)。
 ぴょんぴょんしたところで、ハッと動きを止めた。
「いけないいけない。村の人たちを守るための依頼なんだよね。アリさんたちにはごめんなさいだけど……ボク、人類の味方だから!」
 今度はガッツポーズで元気をたくわえ、もう一度同じポーズでばんざいした。
「がんばるぞぉー!」
 総じてワクワクしているパーティーメンバーたち。
 『特異運命座標』イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)も長いこうもり傘を地に着けて背筋をぴんと伸ばしてはいるものの、どうやら冒険心がわいて仕方が無いようだ。
 やぎひげを晒すように顎を高く上げている。
「未知の感触、未知の匂い、未知の光景。自らの足で歩いてこそ得られる新天地。魂の美食だ。そうは思わないかね」
「同感だ」
 顎に手を当て、どこかうっとりと頷く『KnowlEdge』シグ・ローデッド(p3p000483)。
「フィートアンツの知識が得られると思えば、このように面倒な場所に巣をつくった状況も悪くないとすら言える。面倒な場所であることにはかわりないが……」
「フィートアンツは弱い動物が多く生息する場所を好みますわ。これだけ頑丈な岩場もありますし、絶好の拠点だったのでしょう」
 メモをめくりながら語る『灰かぶりのカヴン』ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)。
「ガイドまでつくとは」
「なんという好機」
 うっとりするシグとイシュトカ。
 そんな二人に首を傾げつつ、ミディーセラはメモを懐にしまった。
「アリさんはあんまり好きな味ではないので……駆除、がんばりましょう」
「味?」
「味とは?」
 ステレオで新たな知識に食いつく二人であった。
 いっぽう。
「村の家畜や人々を守るため……」
 よく磨いた剣をすらりと抜いて、『希望の結晶』ケント(p3p000618)は胸をあわく輝かせた。
 その横で、頭の後ろで手を組みつつ洞窟を眺める『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)。
「物量で来る相手ってのは大体めんどくさいよねー。増やす前に叩け! でなきゃ、増えないようにして叩け、ってね。そのために女王を倒すわけでしょ?」
「女王……フィートアンツの女王か。強そうな名前だ。きっと言い戦いができる。戦って、壊す。ふふっ……なんて素晴らしいんだろうな」
 頭まで覆った全身鎧。ヘルメットの奥でほうと息をつくケントを、リンネは二度見した。

●虫は物理で潰せ!
 フィートアンツの洞窟。一見ふつうの岩穴っぽいせいで人が迷い込み、門番代わりの兵隊アリに食い殺されるなんて話は珍しくないそうだ。
 洞窟内が暗いせいで巨大なアリの存在にギリギリまで気づけないというのもあるそうだが……。
「――ッ!」
 声もなく飛びかかるフィートアンツに、ケントは正面から剣の上段斬りを浴びせた。めこりと拉げる頭部装甲。
 勢いをうしなって落ちた所へ、胸のホルダーにさしていたナイフを抜いて一刺し。
 やわらかい腹を切り裂かれたフィートアンツはたちまちに動きをとめた。
 戦闘の邪魔にならないようにと地面に放った松明のあかりが、ケントの全身鎧をぼわぼわと怪しく照らしている。
 その姿に威圧されたのか、残りのフィートアンツが飛びかかるのをためらった。
 いまだ、とばかりに距離を詰めるペリ子。
 本能的に反応した至近距離のフィートアンツにジャブを入れて先制すると、流れるような浴びせ蹴りでノックダウンさせる。
 ヒトでいうところの脳しんとう状態になって倒れるフィートアンツ。
「接近戦はボクに任せて! 得意分野でばしばし頑張るからね!」
 ファイティングポーズをとり、左右からの攻撃をすり足とターンで対応していく。
 飛びかかっての噛みつきを腕でガードしてとめると、頭を押さえて膝蹴りを叩き込む。
 瞬く間に倒された仲間の様子をみてか、残ったフィートアンツは慌てて巣の奥へと逃げ出した。
「にがさん!」
 追いかけようと走り出すケントたち。
 が、それをウェールがよく響く声で制止させた。
「待て、罠に誘い込むつもりだ。ここは逃がしておけ」
 声に応じてぴたりと止まれば、数歩先には巧妙に隠された毒針が仕込まれていた。
「うわー、よく見つけたなー! よしっ、こいつの解除は任されたぜ!」
 リックが手袋をして上手に毒針を解除していく。
 素人が適当に引っこ抜こうとするとかえって怪我をしてしまうのだ。
「この間にちょっと休憩してていいぜ」
「はーい、じゃあ祈祷してほしいひとー」
 手ぇーあげてーといって自らも挙手するリンネ。
 反応がないとみるや。
「じゃあライヒーは?」
「ボクにいいかな。さっき噛まれちゃって」
 ガードしたとき腕に怪我をしたペリ子がぱたぱたと手を振る。
 リンネはあいよっと言って杖を振った。
 先端についたベルがかららんと清らかな音をならし、ペリ子の腕を治癒魔術で治療しはじめた。
 一方で、イシュトカとミディーセラが手書きのマップを見ながら話し合っている。
「フィートアンツの巣は本来一本道なんです。増えた兵隊が居住区を作るために増やすので、いわゆる行き止まりの穴には特徴が――」
「なるほど。その特徴を見極めれば道に迷うこともないな」
 二人のコンビは完璧だった。ミディーセラがフィートアンツに関するモンスター知識で巣の特徴を説明して、イシュトカがギフトの暗視能力でそれを確かめるのだ。
 この二人がしっかり道案内をすることで、普通の人では一度で踏破しきれないと言われるフィートアンツダンジョンをあまり迷わず踏破することができるだろう。
 さらには……。
「連れてきたコウモリ、そろそろ飛ばすぞ」
 リックが戦闘に巻き込まれないように下がらせていたコウモリをファミリアーで召喚すると、五感を共有して正解ルートの奥を探りはじめた。
 暫く進むと、逃げたフィートアンツが仲間を連れて戻ってきていたようで、近づくコウモリにすら威嚇の姿勢をみせていた。
「おっとまずい。けど十分だ。敵の数が分かったぜ!」
「分かった。では先行しよう」
 シグが松明を持って先頭にたち、正解ルートへと進んでいく。
 慎重に洞窟の様子を確認するウェール。
「罠には気をつけるんだぞ」
「私は問題ない。毒を無効化できるから、そこまでは……な」
 道案内がミディーセラやイシュトカの仕事なら、罠の対処はシグやウェール、リックたちの仕事だ。
 毒を無効化できて近接戦闘がこなせるシグが先行して、万一罠にかかった時の被害を軽減する。
 リックが先程のように(罠のこともあるので慎重に)ファミリアーで先の様子を調べ、目の届く範囲はウェールが罠を検知するのだ。
 ウェールは看破・捜索・罠対処とトラップ検知に優れた技術構成をしていて、他の誰よりも罠を見つけるのがうまかった。
「毒針は柔らかい土に覆われて巧妙に隠されていることもある。目に見えないからといって油断するなよ」
「やっぱり専門家は頼もしいね! 戦闘になった任せて、ボクが頑張るから!」
 シュシュっとシャドウパンチをするペリ子。
 その横でケントがこっくりと頷いた。
 (エスプリ能力のこともあって)仲間に囲まれるようにして歩くリンネは、少しばかり余裕そうに手を組んだ。
「この分だと、あんまり消耗しないで女王のところまでいけそうだねー」
 リンネの言うとおり、彼らは充分な余裕をもってフィートアンツダンジョンの最奥までたどり着くことができたのだった。

●フィートアンツの女王
 洞窟最奥にて待つのは、フィートアンツの女王。
 大量の卵を背景に、通常のフィートアンツよりも一回り大きい個体がギギギギギと歯を鳴らしていた。
 悔しさによる歯ぎしりではない。仲間を呼び寄せる音である。
 既に周囲に控えていたフィートアンツたちは女王を守れとばかりに集まり、防御を固めている。
 そのうちの一体が威嚇の音を鳴らし、飛びかからんと地を蹴った。
 と同時にタックルをしかけるケント。ケントとフィートアンツの一体はにらみ合いの状態へともつれ込む。
 その一方でシグは別のフィートアンツに詰め寄って衝術を打ち込んだ。
 大きくはじき飛ばされ、洞窟の壁にぶつかるフィートアンツ。
 シグは手の上でばちばちとした火花を生み出した。
「害虫は、焼却駆除の時間である」
「よし、女王に近づけさせるな。相手の盾役を減らすぞ!」
 フィートアンツを引きはがす役目は彼らだけでは無い。
 右翼側をケントとシグが担当したならば、左翼側をウェールとペリ子が担当した。
 盾を構えて思い切り突撃をしかけるウェール。
「まずは取り巻きを倒しきる必要がありそうだな」
「そういうことならまっかせてー!」
 洞窟内で大きくジャンプするペリ子。
 天井についた両手をバネにすると、フィートアンツの女王に強烈な飛び込みキックを繰り出した。
 間に割り込むようにとびこんでくるフィートアンツ。
 ペリ子とフィートアンツは空中で激突し、もつれるように地面に転がった。
「ゴメンね! けど邪魔するなら――」
「排除するのみだ」
 イシュトカがこうもり傘をすっと翳した。
 ソードオフショットガンのように先端をフィートアンツに向けると、魔力の弾を連射し始める。
 幾度もの着弾で体勢のくずれるフィートアンツ。
 そこへ、リンネが攻撃を加えていく。
「じゃんじゃんいくよー」
 空をかきまぜるように円を描く杖。先端のベルががらがらと激しく鳴り、飛び出した星のような魔力がフィートアンツにぼこぼことぶつかっていった。
 そんな二人が、ハッと何かに気づいて後ろを向く。
 女王の声に応じて駆けつけたフィートアンツが後方から現われたのだ。
 背中ががら空きだぜと言わんばかりに飛びかかってくるフィートアンツ。
 が、素早く割り込んだリックがマスケット銃の柄で殴りつけ、攻撃を阻んだ。
「後ろからくる敵はオレがやっつけてやる! 女王に近づけなきゃ、盾にだってなれないもんな!」
「これまでたどってきた巣の構造から考えて、そういっぺんには来ないはずですわ。……しばらくの間は」
 同じく割り込んできたミディーセラが、箒で枯れ葉を払うかのごとくさっとフィートアンツを払った。魔術がはたらき、大きく吹き飛ばされていくフィートアンツ。
 リック、ミディーセラ、リンネ、イシュトカ。彼らはそれぞれ背中をあずけあい、フィートアンツの排除を始めた。

 仲間を呼び寄せて盾にするという女王の作戦は、徹底して盾役を引きはがして排除するというイレギュラーズたちの作戦の前に早くも崩されつつあった。
「アンタが最後だ、こいつをくらえ!」
「えーっと、以下同文!」
 しっかりとマスケット銃の狙いをつけたリックが駆けつけたフィートアンツを接近前に射撃で牽制。
 わずかにノックバックしたところに、リンネが杖を大きく振り込むことで魔術を発動。音符型の魔力が回転しながらフィートアンツに激突。粉砕した。
「今だ、火力を集中」
 イシュトカはきゅっとピボットターンで反転すると、焦りをみせる女王めがけてこうもり傘をライフルのように構えた。先端から放った魔術が続々着弾。
 ミディーセラもここぞとばかりに取り出した毒薬の瓶を振りかざし、女王めがけて投擲した。
 ぶつかり、身体にぶちまけられる薬液。
 女王は悲鳴のような声をあげた。
「追加のアリさんが来るまでが勝負です」
「だいじょーぶっ!」
 ペリ子は拳に力をため、瞳にギラリと太陽の文様を表わした。
 正面からの突撃。やぶれかぶれで噛みついてくる女王の攻撃を腕を犠牲にしてうけると、顔面に強烈なストレートパンチを叩き込んだ。引きはがされ、わずかに宙を舞う女王。
「むっ――」
 そこに絶好のタイミングを見いだしたウェール。
 空中の女王にシールドバッシュを叩き込んでやった。
 ほぼ無防備にくらった女王は、ぐるぐると回転しながら地面をバウンド。後方の卵を次々と破壊していった。
「ギ、ギギっ……!」
 卵を破壊されたことに怒っているのだろう。
 ウェールはそんな情動も計算した上で押し込んだのかもしれない。
 さあかかってこい。俺が憎いだろう? そんなことを言いそうな様子で、女王に剣を突きつける。
 怒り狂った女王は彼に向けてとびかかるが――。
「トドメだ、併せるぞ」
「いいだろう」
 シグが魔剣へ変身。
 ケントは胸をぎらりと光らせると、その剣をとった。
 振りかぶるは大上段。
 刀身からは激しい火花が散り始め、気合いと共に打ち込まれた剣は女王の肉体を真っ二つに破壊した。
 ぼうっと炎をあげ、卵もろとも燃えていく女王のなきがら。
 人間形態に戻ったシグは、眼鏡の位置を中指でおすようになおした。
「面倒な相手だったが、燃やしてしまえばなにも残るまい」

 女王を喪ったフィートアンツたちは混乱していた。
 そんな中、最奥までたどりつくのに余裕があった上、丁寧にマッピングもしていたイレギュラーズたちが巣を脱するのはなにも難しいことではなかった。
 とにかく倒せるだけ倒し、洞窟の外へと出るイレギュラーズたち。
 彼らは再び洞窟へと振り返った。
 もはやここは踏破されたダンジョン。残ったフィートアンツたちも徐々に駆除され、やがては餌を得ることもままならず群れは滅びていくだろう。
 もう、村が被害にさらされることはない。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お帰りなさいませ、皆様!
優れた技術でダンジョンを進んだことで、余裕をもって帰還することができましたね。
皆さんの素敵な活躍を描けてとっても光栄でした。
ぜひまたシナリオへ遊びにいらしてくださいね。心よりお待ちしております!

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