PandoraPartyProject

シナリオ詳細

鈍く輝く機械騎士

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 かさり、やや雪混じりの大地が踏みしめられた。
 その音は均等に、規則的に進んでいる。
 陽光に照らされて反射した鎧の色が鈍い輝きを放っていた。
「どう思われますか、団長」
「……さっぱりわからん。数は、10体といったところか。
 見た限りでは非常によく統率された9体の兵と1体の長といったところだが……」
 大地を踏みしめるソレらを遠巻きに眺めながら、『銀閃の乙女』ユリアーナ(p3n000082)は望遠鏡から視線を離すと少しだけ考える様子を見せる。
「ひとあてするか……」
 しばしの沈黙ののち、ユリアーナがぽつりとつぶやいた。
「よろしいのですか?」
「どちらにせよ、このまま進路を取り続ければ、いつかはぶつかる。
 その前に少し様子を見ておいたほうがよかろう」
 部下の疑問にそう返すと、ユリアーナが槍を取る。
「いくぞ、深追いはせぬ。少し様子を見るぐらいの気持ちでいけ、難しければ直ぐに退く!」
 そういうや、後ろにいた4人ほどの兵士が応、と答える。それを聞きながら、ユリアーナは走り出した。

「そこの者、何者か!」
 接近しながら声をかける。返答は――ない。
 代わりにあるのは、斬撃。
 ユリアーナはそれをするりと躱しながら、一番近くにいたソレに槍を突きだした。
「――これはッ!」
 ガスマスクのような形をした顔がこちらを見る。
 呼吸は感じ取れず、動きは人を殺すことに特化しすぎていた。
(これは……鉄騎種ではないな。古代兵器の類だったか!)
 振り抜かれる斧槍を弾いて、突きを放つ。動きを止めたその敵めがけて、部下の銃弾が撃ち込まれていく。
「退くぞ! どうやら面倒な敵のようだ!」
 纏わりつこうとした敵を振り払いながら、ユリアーナは一気に撤退を選ぶ。


「手を貸してほしい」
 そういったユリアーナの手にはかすり傷のような物の跡が見える。
「どうやら、北のどこかにある遺跡から古代兵器の類が南下を始めたようだ。
 恐らくだがこいつらは生命体を殺すことを主目的とする類のものだろう。
 このままでは民衆に危害が出ないとも限らない」
 そういうと、ユリアーナは君達の方に資料のようなものを見せる。
「進路はためらうことなく真っすぐだが、今回は私も案内を務めよう。
 敵は騎士のような姿をした機械だった。
 全身を機械で構成していることもあってか、サイズは2mを超えている」
「あんたらが行くっていうのは難しいのか?」
「あぁ。事情があってたくさんの兵を向けるのは難しい。
 偵察を兼ねて一体は倒してきたが、そこそこ強かった。
 こちらが動くとしたら念を入れて倍は欲しいが……」
 さすがにそこまでの兵を差し向けることが叶わない。そんな風に首を振る。
「どのように戦うかは君達に任せよう」
 そう言って、ユリアーナは君達に笑いかけた。

GMコメント

さて、こんばんは、春野紅葉です。
ロレトレを除くと久しぶりの鉄帝シナリオな気がしますね……

それでは早速詳細をば。

●オーダー
鈍銀騎士の討伐

●戦場
ただっぴろい荒野です。
鈍銀騎士の性質上進路は一定のため、罠を仕掛けたり
塹壕を築いて身を隠して奇襲したりなどは可能です。

●エネミーデータ
鈍銀騎士×8
鈍い銀色の鎧をまとった騎士風ロボットです。
銀色の鎧といいますが、どちらかというと鎧状になった皮膚というべきであり、
その下には機械的配線と動力機関があるのみです。
斧槍を持つ個体が2体、剣を持つ個体が3体、弓を持つ個体が3体。
どの個体も武器の他に大きな盾を持ちます。

<斧槍型スキル>
薙ぎ払い:物中列 威力中 【飛】【ブレイク】【必殺】
穿ち貫き:物中貫 威力中 【万能】【麻痺】【必殺】
断ち割り:物至単 威力中 【ブレイク】【致命】【必殺】

<剣型スキル>
斬撃:物遠単 威力中 【飛】【必殺】
連続斬り:物至単 威力中 【スプラッシュ3】【必殺】
斬り下ろし:物至単 威力中 【致命】【必殺】

<弓型スキル>
狙撃:物遠単 威力中 【万能】【必中】【必殺】
剛射:物超貫 威力中 【万能】【必殺】
放射:物遠範 威力中 【万能】【必殺】


鈍銀騎士長
鈍銀騎士のリーダーユニットです。
極めて戦術的的確な判断を実行する指揮官ユニットです。
これがいる限り、敵は極めて効率的に行動します。
攻撃方法は斧槍型に等しいですが、単体性能が他の鈍銀騎士よりも上です。

●味方NPCデータ
『銀閃の乙女』ユリアーナ
回避反応型アタッカーです。
何かあればプレイングで指示をお願いします。
なければないなりに適度に動きます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 鈍く輝く機械騎士完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年09月07日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
すずな(p3p005307)
血雨斬り
マリア・レイシス(p3p006685)
神鳴る鮮紅
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長
小金井・正純(p3p008000)
星詠みの巫女
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
笹木 花丸(p3p008689)
おかわり百杯

リプレイ


 やや肌寒さを覚える空気がびょうと吹き付ける。
 依頼人でもある『銀閃の乙女』ユリアーナ(p3n000082)の道案内で8人のイレギュラーズは荒野に訪れていた。
 人数分のスコップを持ってきた『おかわり百杯』笹木 花丸(p3p008689)は、ひとまずそれを地面に置いた。
 今回の依頼はどこから敵が分かっていることもあって、罠を設置する予定である。
「任されたからには確りと務めを果たすっ!
 つまりは花丸ちゃんに、マルっとお任せっ!」
 依頼人に向かって改めてそういうと、ユリアーナからもよろしく頼むと頷かれた。
「さて、どこがいいかな……」
 どこが罠を設置するに都合がいいか、周囲をきょろきょろと見渡した。
(命令通りに動くだけの殺戮機械か……。心が無いだけ彼らは幸せかもしれないね……)
 まだ敵影は見えない。敵が向かってくるらしい方角を見据えた『雷光・紫電一閃』マリア・レイシス(p3p006685)はグローブを直しながら、周囲を見渡した。
(こう開けた戦場では遮蔽も何もあったものではないね!)
 声に出さないまでもそう思わずにはいられない。
「というわけで、ささ、楽しい穴掘りの時間ですよ! 頑張りましょうね!!」
 スコップを片手に『血風三つ穿ち』すずな(p3p005307)が楽しそうに笑っている。
「ふむ? すずな君、何を?」
「こういった小細工は好きませぬが……それはそれ、これはこれ!
 落とし穴と、それから遮蔽物と奇襲のために塹壕を作ろうかと」
「あぁ、なるほど! 彼らには効果覿面そうだ! 手を貸そう!」
「それでは、はい、どうぞ!」
 まだ未使用のスコップを受け取れば、そのまま塹壕作りに取り掛かる。
 ――のだが、マリアは何を思ったか紅雷を迸らせる。
「マリアさん!?」
「こっちの方が手っ取り早いはずだからね!」
 そのまま電磁加速を発揮して超高速で掘削し始めた。
(金属臭いし食べられる部位はない。狩りの獲物としては下の下ではないかな)
 相手が機械という事もあって、若干ながら気乗りしなさそうな『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)であったが、スコップ片手に掘り進める様子に余念はない。

 スコップを片手に掘っていた『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)は、すずなと花丸と話し合い、どれぐらいの物を製作するか話をしていた。
 統一した規格で作っておいた方がもしもが無くて済むというものだ。
 花丸の指示に従う形で『星域の観測者』小金井・正純(p3p008000)と『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)も塹壕を掘りはじめていく。
「罠の設置だってお任せなんだからなっ……掘り進め、轟天GO!」
 蒼海式回転衝角『轟天』をギュンギュンと音を立てて動かす『蒼蘭海賊団団長』湖宝 卵丸(p3p006737)はそれを大地へと突き立てた。


 落とし穴を進行方向へ作り、塹壕を掘り終えて身を隠した9人が警戒しながら息を潜めていると、やがて話に聞いていた影が姿を見せた。
(……あれがこの世界の技術で作られた機動兵器……)
 興味のつかぬ様子を見せるのはハートだけではない。
 どのような理屈で動いているのか興味を示す。
 最前衛、3体の剣兵が落とし穴に落下してバランスを崩す。
『pipopopo! pipipi pipipipi――pi!』
 瞬間、機械音が響き渡り、中央あたりにいる1体の鈍銀騎士が振り返りながら叫ぶような様子を見せる。
 恐らくはあれがこの集団の隊長なのだろう。
「今だっ……荒野に掛かれ虹の橋、必殺――蒼・海・斬!」
 その様子を見た卵丸が走る。
 回転を開始した轟天の穂先が虹色の輝きを帯びた。
 刺突と共に放たれた虹色の斬撃が体勢を立て直そうと試みる剣兵と斧槍兵を1体ずつ巻き込み薙ぎ払う。
 花丸、正純の要請を受けたユリアーナが敵の方へと一気に駆け抜けた。
 動き出す敵、その間にマリアは石を投げる。
 石は放物線を描いて大地へと落ち、物音を立てる。
 それに反応したリーダー格らしき個体が振り向く。
 そこに立つマリアの作り出した幻影に、個体が動揺したように声――音を発した。
 マリアはそれを見るや、一気に駆け抜けた。
 一歩一歩の踏み込みのたび、電磁加速を繰り返し、紅の閃光となって突っ込んでいく。
 最後の一歩、軸足を踏み込むと共に、まるで刃の如き鋭さを帯びた蹴りを連続して叩き込んだ。
 致命的な失敗の可能性を出来る限り削ぎ落した正確な蹴りが生命力を吸収していく。
 飾り気のない長剣を握り跳び出したオリーブが疾走する。
 狙うは剣兵達の後ろ、2体の斧槍兵に挟まれるようにして立つリーダー格らしき個体。
「鉄帝に牙を剥く者は――叩きます!」
 握りしめた長剣を、思いっきり横なぎに叩き込む。
 鈍銀騎士たちはそれを大きな盾で防ぐが、微かな傷が盾に刻まれる。
 斧槍兵達が動く。盾で猛攻を防ぎ切った敵の斧槍が真っすぐに突き出される。
 長剣で弾くが、微かに身体がきしむ。
 大ぶりに振り下ろされた斧部分が更にオリーブに振り下ろされた。
「どうにも気乗りしないね、さっさと壊して良いレストランでも探したいね」
 ディナーフォークとディナーナイフのような形状をした二つの魔槍――異世界のアーティファクトを構えると、魔術を放つ。
 あらゆる清らかなるモノを汚し、あらゆる煌くものを喰らう二つの槍より放たれた魔術の光が鈍銀騎士長の鎧へと突き刺さる。
「しかし、愚直に進むだけなのは頂けませんね!
 進軍時に何も警戒しないのは愚策ですよ、騎士長殿?」
 挑発めいた言葉と共に鈍銀騎士長に向かって剣を閃かせた。
 まっすぐな白刃が鈍銀騎士長の盾を切り刻み、破砕させる。
 更には留まることなく、その向こう側、首目掛けて次の連撃を刻みつけた。
 乱戦極まる前衛に向け、敵陣の後方から無数の矢が降ってくる。
 極めて効率的に、味方諸共に打ち抜く広範囲の矢の雨が、鈍銀騎士もイレギュラーズも問わず撃ち抜いていく。
 正純は弓を引き絞り、放った。
 曲線を描いて放たれた銀色の輝きは、まるで闇の夜に輝く眩き星のよう。
 広範に敵を巻き込む位置へと放たれた星々が瞬いた。
 花丸は両の手を握り締めて疾走する。
 傷だらけの拳をグローブの下に、踏み込みと同時に連打を叩き込んでいく。
 放たれたその拳は文字通りの紅蓮の如き熱気と共に鈍銀騎士長を殴りつける。
 鎧に微かな火が燃え移る。
「――接地アンカー射出。砲撃形態に移行」
 音を立ててかかと部分から出たアンカーが大地に突き立つ。
 武骨な黒い輝きを放つ武装が一つに集結していく。
「――砲身展開。バレル固定」
 重い音を立てた砲身が伸びていく。固定された砲台はまっすぐに斧槍兵と剣兵を纏めるように捉えた。
 直後、砲口に濃密な魔力が収束する。
「超高圧縮魔力弾装填――8.8cm大口径魔力砲マジカル☆アハトアハト、発射(フォイア)!」
 収束した魔力が爆ぜた――――全身が反動に一瞬後ろに下がる。
 まっすぐに放たれた魔力は全てを焼きながら剣兵と斧槍兵を薙ぎ払った。
 そんなハートに向けて、敵陣の後方にいた弓兵の1体が矢を放つ。
 完璧なまでにコントロールされた精密な狙撃はハートに躱す隙を与えない。

「もう一度落ちろ!」
 穴倉から這い出ようとした剣兵の1体めがけて、卵丸は轟天を向けた。
 虹色の螺旋を描く轟天が剣兵を削り取り、再び落とし穴に叩き落とす。
「さぁさぁ、花丸ちゃんが相手だよ!」
 自らに閉じた聖域を形成した花丸は堂々たる名乗りを上げた。
 それを受け、落とし穴から這い出て中央にいるイレギュラーズに攻めかかろうとした剣兵達が花丸に視線を向ける。
 動き出した2体の剣兵が花丸へと近づくと、強烈な連続斬りと斬り下ろしが花丸に傷を付ける。
 とはいえ、花丸のタフネスさもあってその傷は致命的とはいいがたい。
 バヂッ――――
 マリアは再び紅を爆ぜて蹴りを叩き込む。
 残像のように紅の軌跡を残す雷が騎士長の内側を連続して撃ち抜いていく。
 連続する猛攻を受けた斧槍兵ががくりと腰を落とす。
 すずなは更なる追撃をかけんと竜胆を閃かせた。
 驚くほど滑らかな斬撃は防御態勢を取ろうと構えた騎士長の武器を真っ二つに斬り開き、流れるような追撃の斬り下ろしが大きな傷口を刻む。
 ナイフとフォーク――グランクトーとグランフルシェット。その先にぼう、と黒き焔が宿る。
 フォークによる突き刺しと、ナイフによる丁寧な斬り下ろしが未だ動かんとする騎士長に更なる傷を刻み。
 地獄の炎を再現するその力は鈍銀騎士を炎で溶かし、コードの幾つかを引きちぎり火花を散らす。
 その隙を逃さず動いたオリーブは長剣を両手で持つと、足を少し開いて腰を落とし、身体を思いっきり捩じりまわす。
 回転を描いた斬撃の軌道が腰を落とした騎士長と、花丸の方へと移動した剣兵を切り裂いた。
 正純は弓をやや上に傾けて矢を放つ。
 番えた矢を離せば、それは美しい曲線を描いて空へと飛翔し――無数に分裂する。
 そのまま急激な弧を描いた弾道は、真っすぐに斧槍兵と剣兵に降り注いでいく。
 計算されつくした文字通りの矢の雨は、まるで魔法のように敵兵だけを撃ち抜いていく。
 ハートは砲台に魔力を籠めた。射線は完全に良好とはいいがたい。
 だが、ほんの一瞬、ほんの一瞬だけでよかった。
 魔力を収束させた弾丸は唯の一つ。射線を調整して空に。
 砲撃と共に、身体が地面に向かって微かに沈む。
 放物線を描いた不可視の魔弾は、鈍銀騎士長を頭上から綺麗に撃ち抜いた。
 弾丸が、まるで刀を振り下ろしたように敵を綺麗に二つに分けていく。


 激闘が続いていた。戦場は乱戦を極め、敵味方の位置は予測がつきにくい。
 連携も何もないが、容赦もなく味方を巻き込んで放たれる敵の攻撃は苛烈極まるものがある。
 そんな中で一番に指揮官に相当する個体を鎮めることができたのは良かった。
 戦況は当初は五分五分、その後に若干のイレギュラーズの劣勢を経て、確実に優勢に回ってきつつある。
「発射(フォイア)!」
 敵が減ったことで射線の確保が容易になり、ハートの砲撃もスムーズになった。
 放たれたアハトアハトが最後の弓兵を抉る。
 斧槍兵、弓兵を片付け、後は残り2体の剣兵だけだ。
 ユリアーナが疾走し、剣兵へと突貫する。
 剣兵はひび割れた剣で槍を防ごうとするも、衝撃で剣が半ばから砕け散る。
「必殺の一撃はお前達だけじゃ無いんだからなっ……輝け超新星、スーパーノヴァ!」
 盾が砕け、剣も折れた1体に向け、踏み込みと共に卵丸は走る。
 瞬時の超加速により飛び込んだ卵丸の轟天が、剣兵の鳩尾辺りをくり抜き貫通し、ぴしぴしと音を立てた剣兵が後ろで爆発した。
 オリーブは剣兵めがけて突撃すると、剣を振り下ろす。
 敵の盾がきしみ、ひび割れる。それだけでは終わらせない。
 そのまま更なる踏み込みと共に、捩じり伏せるように振り抜いた。
 ひび割れた盾が、罅の部分から捩じり跳ぶ。
 マルベートが魔力を籠めると、剣兵の足元に魔方陣が浮かび上がる。
 その陣はまるで皿を思わせる形状をみせた。
 マルベートはその場でグランフルシェットを剣兵に向けて突き出すと、今度はグランクトーを四角にくり抜くように動かした。
 その瞬間、魔方陣から黒い箱が浮かび上がり、剣兵を閉じ込めた。
 すずなは剣を握りなおすと、剣兵へと構えた。
 深呼吸と共に踏み込み、禍々しくも清廉なる太刀を振りぬいた。
 美しくも鋭い、風の如き連撃が盾を失った剣兵を切り刻んでいく。
 震えながら立ち上がった剣兵の攻撃が花丸を捉えて振り抜かれる。
 花丸はそれを白刃取りで防ぐと、自ら踏み込んだ。
 同時に放つは紅蓮の拳。気合と共に入れた殴打が剣兵の脚の付け根を強烈に穿つ。
 正純は弓を番え、矢を放つ。最早大技を撃つことはできないが、真っすぐに駆け抜けた矢は剣兵の肩関節部分を撃ち抜いた。
 マリアはまるで自身をレールガンの弾丸のように真っすぐに走り出す。
 電磁加速により紅雷の弾丸となったマリアは、剣兵の懐に潜り込むと、神速の拳打を叩き込む。
 連続して打ち出される紅の連撃が続き、弱り切った剣兵の動力源を撃ち抜いた。


 ハートは残骸と化した機械兵達のことを調べていた。
 ゼシュテル鉄帝国――この国の各地に存在する超古代文明の遺産の多くは機械的な物ばかりである。
「動く鎧、ではなく機械仕掛け、ですよね……遺跡にはこのようなものが沢山あると……?」
 転がる残骸を見下ろして、すずながぽつりと呟いた。
「ギアバジリカのようなものがあるのだから、そういうのがあってもおかしくはない……のだろうな。
 これがどの遺跡から出てきたのかは分からないが」
 そう答えたユリアーナがそっと屈んで残骸に触れる。
「この子達を弔ってあげてもいいだろうか?」
 マリアは残骸を拾い上げるとユリアーナに問いかける。
「もちろんだとも」
「いいですね! せっかくですし、ちゃんと弔ってあげましょう!」
 こくりと頷いたすずなを連れて、マリアは鈍銀騎士の残骸を纏めると、そっとそれに手を合わせた。
(君達はこういう風に造られただけだものね……。次生まれてくる時は……好きに生きられますように)
 その願いは静かに風に乗って天に上がっていく。
 正純もどんな理屈で動いているのかと探っていたが、さっぱりわからなかった。
 正純は分からないことをさておくと、今度はユリアーナに問いかける。
「兵を差し向けることの出来ない事情とは何かあったんでしょうか?」
「私の自警団はまだ別の案件に集中しているからな。
 そう容易く別の動きに対応はできない。
 今回はまぁ……今のタイミングならば大丈夫だろうと踏んでのことだ」
「さて、そろそろ帰ろうか。ユリアーナ、君の住む町とやらに良いレストランはないか?」
 マルベートの言葉に合わせ、イレギュラーズはこくりと頷いてその場を後にするのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れさまでしたイレギュラーズ。

PAGETOPPAGEBOTTOM