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シナリオ詳細

<夏の夢の終わりに>別にパンツが見たい訳じゃない!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 春の風が通り抜ける野原に集まった妖精達は輪になって踊る。
 手と手を繋いで透き通った羽根を震わせて、日が暮れるまでくるくると踊って遊ぶのだ。
 楽しい楽しいひとときに、無粋な黒い影が忍び寄る。脳天気な彼女たちが気づかないうちにふわふわのスカートに手を掛け、そして――
「水玉!」
「キャーーーッ!」
 勢いよくめくられたスカート。チラッと見えるパンツ。大声でバラされる柄。
 被害に遭った妖精は顔を覆ってしゃがんだ。耳の先まで真っ赤だ。
 踊っていた妖精達は逃げるけれど、犯人の動きは素早い。
「いちご!」
「イヤー!」
「クマちゃん!」
「ばかあああ!」
「スケスケ……」
「……ねなの」
 次々とパンツ事情が明かされる。
 立ち直った妖精が、石や木の棒や手斧を持って反撃に出た時にはもう、犯人の姿は消えていた。


「アヴァル=ケイン城内で暴れているボギーの討伐を頼むよ。スカート着用で」
 物言いたげな特異運命座標の視線を受け流し、アンジェイ・ノヴァ・ヨン(p3n000138)は説明する。
『ボギー』は昔から妖精郷に存在する邪妖精(アンシーリーコート)の一種だ。いたずらが大好きで、砂糖と塩を入れ替えたり、靴下を全部裏返したり、お酒を酸っぱくしたり。なんてことをやらかすので妖精達から恐れられている。
「小っちゃくて毛深いオッサンにしか見えないけど、魔種に操られているせいか強いんだ。こっちの攻撃は全然当たらないのに、妙に鋭いパンチは百発百中の勢いだし」
 正面から挑むとハードな強敵だが。
「けど、そいつらはスカートめくりが大好きな一派でね……妖精が誘拐されたりでずっとスカートめくりが出来なかったから、めくれそうなスカートがあるとすぐ近寄ってきていたずらをするんだ。成功したら喜びのあまり油断しまくる」
「ははーん馬鹿だな?」
「というわけで、冬が来た妖精郷だけど生足スカートで参戦して欲しい。下着の種類は自由だけど、夢と浪漫を忘れないで」
 念願叶ったスカートめくりの先がしょっぱい現実だったら、ボギーは失意からパワーアップしてイレギュラーズに襲いかかるだろう。

「今、連中は衣装部屋にいるんだ。窓が開けっ放しで外と同じぐらい寒い。床に水が撒かれて、つるつるに凍っているから足元も注意してね」
 パンチラとか恥ずかしいから後回しにして先に魔種を倒そうぜ、って言ってみた特異運命座標に、アンジェイはふるふると首を横に振る。
「他の戦場にコレが加勢したら死ぬほど厄介だから、確実に叩いておきたいんだ」
 例えばシリアスな戦闘中に誰かのパンツを丸見えにしたり、どこかの魔種に加勢したら戦況を変えるだろう。
「そっかー……」
 やるしかないかー、と覚悟を決めて肩を落とす特異運命座標に、アンジェイはお願いしますと頭を下げた。

GMコメント

●成功条件
 邪妖精『ボギー』の討伐
 スカートを履いた人がいるとウキウキ近寄ってスカートめくりを働くのでフルボッコにしましょう

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 説明に嘘はありませんが、スカートの中身はまだ不明です。

●フィールド
・アヴァル=ケイン城の衣装部屋。
 広い部屋で、閉架書庫のように等間隔に長いハンガーが並び、妖精達のドレスがぶら下がっています。壁際には小物が詰まった箪笥や大きな鏡やらが置かれています。
 範囲攻撃がやり辛い環境です。壊しても問題ないよ。
 また、床が凍って滑りやすい環境です(マイナス補正:移動)

●エネミー
・ボギー×10
 身長50センチ、黒くて毛むくじゃらな邪妖精。生きがいはスカートめくり!
 部屋のあちこちに隠れていますが、探しても見つかりません。ホイホイ吊られる条件で誘き出しましょう。
 諸々のステータスが異様に高くBSも無効ですが、油断するとちょっと素早い程度に弱体化します。
 攻撃(神至単・ブレイク・魔凶)


 乃科です。神秘のヴェールに包まれた浪漫が気になるお年頃。
 クッソ寒い環境下ですが城攻めを成功させるためには必要な犠牲なので、隙のある格好をしてスカートをめくられてください。
 ボギーは老若男女を差別しません。平たく言うとみんなパンチラしてね。
 チラッと見えるだけだから大丈夫。ちょこっとだけ、チラッとするだけだから。モロリは効果がないので、奥ゆかしいチラリズムを大切にお願いします。

  • <夏の夢の終わりに>別にパンツが見たい訳じゃない!完了
  • GM名乃科
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年09月01日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
ベディヴィア・ログレス(p3p006481)
絶対領域の守護者
一条 佐里(p3p007118)
砂上に座す
観音打 至東(p3p008495)
破竜一番槍
グリム・クロウ・ルインズ(p3p008578)
誰かの為の墓守
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
蓮杖 綾姫(p3p008658)
放浪の剣士?
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
恋の炎に身を焦がし

リプレイ


 妖精郷アルヴィオンは冬に包まれていた。
 咲き誇る花々も群れなすきのこも雪と氷に覆われ、死んだように静かだ。
 妖精城アヴァル=ケインも例外はない。すべては厳冬の支配下にあり――けれど魔種共を駆逐せんというイレギュラーズや迷宮森林警備隊の情熱が、それに抗っていた。

 美しい花々も凍り付いて儚い庭を通り、寒々しい廊下を抜けて、一行は衣装部屋にたどり着いた。
 長いハンガーレールには妖精サイズのドレスが沢山吊されていた。薄い布を重ねたもの、花の飾りをあしらったもの、光の加減で色が変わるもの。きらきら綺麗な洋服はどれも凍り付いている。
 開け放たれた窓から冷たい風が吹くと、ガラスの風鈴のように涼やかな音がする。
 荒らされ放題のその部屋で、アルヴィオンの命運を賭けた戦いが一つ、始まろうとしていた――

「いや、もう、なんなんでしょうね」
『銀の腕』一条 佐里(p3p007118)の呟きは、おおよそイレギュラーズの総意だった。
 邪妖精をボコボコのフルボッコにするためスカートをめくられてね、だなんて。
「もう、本当に……なんなんでしょうね……」
「……この依頼を成功させる為だから仕方ない。仕方ないことだ。仕方ないんだ」
 皆と自分に言い聞かせるように繰り返す『誰かの為の墓守』グリム・クロウ・ルインズ。何の因果か黒一点の参加となり、女の子がいっぱいいるから自分はいいのでは? と思ったり思わなかったりもしたが万全を期して膝下丈のスカート姿でここにいる。寒風が太ももに沁みるし、ズボンを履き忘れたような心許なさがつきまとう。
 服装への戸惑いを除けば、依頼の内容に遠い目をしているのは『放浪の剣士?』蓮杖 綾姫(p3p008658)も同じ。
「スカートをめくるのが生きがいの妖精……」
「ここで食い止めないと。……色んな意味で」
『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)はぎゅっと拳を握る。ここで逃がして、例えばタータリクス戦のめっちゃシリアスな場面に乱入されたら大ピンチだ。
 ピンチと言えば『自宅警備士準Ⅱ級』ベディヴィア・ログレス(p3p006481)のアイデンティティも危機に瀕していた。
 彼女の特徴は絶対領域。つまりミニスカートとニーハイソックスの奏でる神聖にして侵しがたい領域の持ち主である。それが、スカートめくりによって失われてしまうのか。
「我の特徴強制じょぶちぇんじー? 黒いミニオッさんと我、尊厳を賭けた勝負じゃな。邪妖精なんかに負けたりせぬぞ! 絶対に負けぬからな!」
 匠の技でフラグを立てたベディヴィアの運命やいかに。

「スカート履くのはいいけど、生足はちょっと寒いね……」
 黒ストッキングもまた素晴らしいが、目的のために素足を選んだ『ひだまりうさぎ』コゼット(p3p002755)は足を擦り合わせる。風の吹きすさぶ氷点下に素肌を晒していると、寒さが沁みる。
「この依頼もだけど、早く妖精郷の事件が解決して常春の国に戻ってもらいたいわね」
 希望ヶ浜学園の制服を着た『破竜一番槍』観音打 至東(p3p008495)も頷く。スカートは膝下まで、靴下はくるぶしの丈――そんな校則厳守JKスタイルの副作用で、口調が侍から委員長に変わってしまった。やむを得ない尊い犠牲でござった。
 条件通りのスカートだからといつもの服で来た『記憶の砂を探して』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)は、佐里の姿にピコピコと耳を動かして「かわいい……」と反応した。
「あ、ありがとうね?」
 きらきらしたまっすぐな視線に、佐里は照れる。普段はパンツルックの彼女のスカート姿は珍しくて新鮮で、また似合っていてとてもいい。
 スカートに合わせたコーディネートがそれぞれ似合っているのを見て、フラーゴラはもう一度「かわいい」と呟いた。


 さて、作戦開始だ。
 ボギー達の強さが判明するまでは、と全員でまとまって行動する。
「……うーん、いまいち捕捉しきれない」
「むぅ……ちょこまかしてる」
 エネミーサーチでボギーの位置を探したハートと、狼の五感を最大限に使ってみたフラーゴラが揃って首を振る。
 居るには居る。イレギュラーズに注目している気配も感じる。だが――動きが早すぎて特定出来ない。把握出来るのはなんとなくの方角ぐらいだ。
 それも声に出すとすぐ逃げてしまうので、アイコンタクトを取り合い、滑る足元に気をつけて部屋の中へと進む。
「それにしても丁寧に作られたドレスですね。こんなに小さいビーズを一つずつ縫い付けてあるなんて」
 警戒が続かず、他のものに気を取られた――そんな風に装って、綾姫は凍り付いたドレスをつつきながら話す。
 隣にいたグリムも乗った。
「服のことはよくわからないが……手間がかかっているな。これだけの面積を等間隔に埋めるのは時間も根気も必要だろう」
 きらきらした粒に集中して、後ろなんて全然注意してませんよのポーズ。
 そうやって周囲に気がそれたふりをすればボギーは動いた。ただし速い。気配を捉えた時にはもう、スカートをめくられていた。
 長いスカートに隠されていたのは、脂肪のないすらりとした脚線美。その最奥にある桃源郷は――
「ローライズのボクサー!」
 ピューピュー! と物陰から仲間のボギーの口笛が響いた。
 グリムのスカートめくりを成功させた毛むくじゃらの小さいオッサンことボギーは、ドヤ顔のガッツポーズでべらべら語る。
「いやぁ男の娘でも女装子でもないただの男、なんてレアな標的を見たときは絶対めくると決めてまし――」
「魔力撃」
 グリムは振り向きざまに棘鉄球を振り下ろした。魔力と殺意が盛り盛りの一撃に毛玉がべっちょり潰れる。
「ンブゥ! まだオジサン話してるんだけどぉ――」
「魔力撃」
「ンベェ」
「魔力撃」
 マジな目で振り下ろされる棘鉄球は素早く重い。
「自分が被害に遭うのは、大層嫌ではあるが耐えられる。しかし女性に手を出すのは不正義が過ぎる。その上、魔種に操られる前からいたずらを繰り返していると聞く。よって殴る」
 さらに仲間も加勢する。手加減のない全力攻撃により、ものの数分で毛玉はぼろ切れとなった。ついでに床もへこんだ。
「さあ、死ぬほど反省するといい」
 まずは一匹、退治完了である。


 なんとも恐ろしい――しかし単純な敵だった。
 ボギー達はグリムの迫力にびびったのか一瞬大人しくなったが、まだ七人もスカート姿の女性がいるので元気を取り戻してカサカサ動き回っている。相変わらず捕捉できないが。
「思ったより床がつるつるだね……」
 フラーゴラは慎重に歩く。いたずらの一環だろう、氷の張った床はスケートリンクのようによく滑る。
 そして妖精の小物が散乱しているので、なんとなく避けて歩くとバランスを崩しそうになる。
 小さな靴の山を大股に乗り越えた、と思ったらそこに落ちていた薄いストールを踏む。足がつるりと持っていかれて。
 すてん、と尻餅をついた。
「痛! 転んじゃった……」
 冷たい床にお尻をぶつけて、痛みより驚きの強いフラーゴラは腰をさする。――と、そこへ。
「いちごオオオオオオ!」
 ボギーがスライディングで登場した。
 そのまま直線で突っ込んで来るので三回蹴飛ばして杖で殴ってから立ち上がる。
 ババッとスカートを直してフラーゴラは赤面した。
 恥ずかしい。パンツを見られるのはもちろん、大声でバラされるのが結構きく。
『フラーゴラ』が意味する果物、いちご柄のパンツを隠すようにスカートを抑える。
「むぅ……おしおき……」
「ッハーァドジっ子のうっかりから発生するラッキースケベ! こちとら何もしてねぇけどありがてぇー」
 合掌して拝むオッサンの脳天に杖を振り下ろす。
 全員の全力攻撃がそれに続き、黒い毛玉はボロ雑巾となった。


 二匹ボッコボコにした後、イレギュラーズは二手に分かれることにした。
 身長五十センチの標的は小さくて、八人がかりだと手が余る。
 コゼット、至東、グリム、ハート。
 ベディヴィア、佐里、綾姫、フラーゴラ。
 お互いの健闘と痴漢妖精の抹殺を祈って、二班は部屋の左右に向かう。

「……妖精サイズの物に囲まれていると、まるで巨人になったようだね」
 背後、凍ったドレスの間にボギーがいるのを探知して、ハートはわざと背中を見せた。
「ドールハウスの小物が並んでいるようで――」
 なんて適当に仲間と話していると、ふわり、と風が起こる。
 魔法少女のフリルスカートの下は、白と水色の縞々パンツ。
 ボギーは「はああああ」などと奇声を発しながらぴょんぴょん跳ねる。
「あざとい! ロボ娘あざとい! 硬軟織り交ぜたルックスの秘密に縞パン持ってくるなんて! 狙いすぎ! でも好き……」
「きゃー? いやー?」
 何を言っているかよくわからないが、こういう時は相応のリアクションをとった方がいいのかな……と悩んで、堂々とした棒読みの悲鳴を上げる。
「全然恥じらってない義理の悲鳴ありがとうございます!」
 さらにクネクネモジモジするボギーを見て難しいな、と思った。こじれた性癖の謎のこだわり、ビタイチ理解できそうにない。
「……討伐しよう」
 アルキメデスレーザーの最大火力でチュンっと丸焼きにした。

 至東は経験上――と言っても望んでスカートをめくられるのは初めてだが――めくる時は高確率で、後ろから来ることを知っていた。
 なので索敵に飽きたし寒いしつまんないなーって顔でぼんやりたたずむ。 
「来週は小テストなのよね……あの先生、範囲外から出題するから一通りおさらいしておこうかしら」
 完璧な希望ヶ浜学園のJKである。
 ボギーにとってイレギュラーズは全員『目新しくて面白そうな』存在だが、至東の格好は本能に訴えるものがあった。
 校則を守った長いスカート。眼鏡に三つ編みの大人しそうな美少女。
 そんな彼女が隙だらけだったら特攻せずにいられるだろうか、いやボギーには無理。
 床を這うようにササササと接近した黒い毛玉は、チェック柄のプリーツスカートを一気にめくった。
 時が止まる。
「れぇす」
 ボギーは呆然と呟いた。
 レースである。
 素朴で真面目な外見と裏腹に、勇気と興味(とほんの少しの欲求不満)を振り切って買うような、大人びたレースの勝負下着(しかも黒)だった。
「大人だ……! すごい……」
 一緒に目撃したフラーゴラはギャップとセクシーの波状攻撃に目を丸くする。
『中身』のカウンター攻撃で放心する敵へ、刀を一閃。
 至東は袈裟懸けに斬って捨てた。

 ふと、コゼットは大切なことに気づいた。
「こっちは八人で、ボギーは十匹、だっけ?」
「そうよ。三匹倒したから残りは七匹ね。何か気になるのかしら?」
 至東が眼鏡をクイッってしながら答える。
「全員、一回ずつめくられるとして……余った二匹はどうするんだろう」
「ヤダアアアアアめくるうううううう!」
「うさちゃんは俺の獲物おおお!」
 敵に言われて今気づいたっぽいボギーが二匹、タンスの引き出しから飛び出した。
 ひらひらのスカートを争うようにわしづかみ、バッと持ち上げる。
 この間、コンマ数秒。
 コゼットは『ひゃあっ』と叫んでスカートを抑えた。布一枚でも、無いとだいぶ寒いのだ。
「うさちゃん……紐飾りのピンク」
「尻尾は黒」
「えいえい」
 うっとり顔のボギーをげしげし踏んづけるコゼット。
「あっ」
「もっとお願い」
 スカートで踏む、ということは下から丸見えなわけで。それもまた浪漫らしく、ボギーは満面の笑顔で踏んでいただくのを待っている。
「変な妖精だね」
 コゼットは奇妙な生き物の奇妙な生態に首を傾げた。パンツがちらちらしてると攻撃し放題のボーナスタイム状態。足が疲れるまでめいっぱい踏み潰して、最後はかかと落とし(ソニックエッジ)で仕留めた。
「…………なんだろ、この戦い」


 もう一班もボギーを誘き出すため、衣装部屋をうろつく。
 巫女風のロングスカートの裾をたなびかせるように、綾姫は歩いた。足の動きといたずらな風により、ちらちら現れては消える幻の湖のごときふくらはぎ。一瞬の白さをまぶたに残しては隠れ、また覗く。
 別の派閥だがチラリズムも良いものである。
 今日のためにスパッツは履かず、スカートの中は下着一枚だ。出来ればめくられたくないが、困った敵は例外を許してはくれない。
 ここのボギーは世界中のスカートをめくってパンツを見たい。女の子が嫌がるともっといい。そんな迷惑な連中なのである。
 床に落ちてるのは何かな、なんてしゃがんで背中を向けたところで奴は来た。
「毛糸ちゃん!」
 キャーカワイイ、なんてボギーは身をよじっている。
 見られるのも恥ずかしいし寒さ対策になるからと、一分丈の毛糸のパンツを装備していた――が恥ずかしさに差はなかった。
 ガッ
 綾姫はボギーの頭を鷲掴みにした。儚い見た目からは想像もつかない握力だ。
 微笑んでいるが瞳に怒りの炎が燃えている。
「このような邪悪、私が手ずから滅ぼしてさしあげましょうか……?」
 ミシミシって音が手の中でしたようなしないような。
「しゅーいましぇーん?」
 こんな状況で反省の色がまったくないボギーは、もちろんぼっこぼこにされて立体から平面になり、フェルトのように丸められた。

「夢と浪漫かぁ……」
 佐里はよくわからない依頼内容を反芻していた。
 パンツ――アンダーウェアが可愛いとかセクシーとか、そういうのはわかる。
 スカートをめくって確認したい、そんな欲求はまったくわからない。その延長線上にある『夢と浪漫のある下着』も全然わからないままだった。
 結局、何もかも普段通りだが……これで大丈夫なのだろうか。
 仲間が次々被害に遭う中、佐里はちょっと心配になった。
 しかし心配ご無用、標的に飢えたボギーは珍しい格好や先に隙を見せた人を毒牙に掛けただけであって、佐里をスルーしているわけではない。
 足場や暗闇対策をばっちり決めている佐里を攻めあぐねていただけだ。
 仰向けのボギーがアイスホッケーのパックのようにシャーッと滑り込み、床と佐里の十センチの隙間に入ってジャンプした。
 ブワッと舞う赤いチェックの膝丈スカート。
「赤のレース!」
「ひゃっ……あー、もうやだ……!」
 作戦とはいえ我慢が出来ないものもある。
 佐里は片手でスカートを抑えて、彗紅果断法典をザクザク振り下ろした。
 不埒なボギーは一瞬で切れ端となった。

 ボギーはあと二匹。
 襲撃ペースの早さからサクサク倒していたが、(精神的な)疲労の蓄積を考えていったん合流することにした。
「かかってくるがよいぞ、ミニオッさん」
 最後の一人となったベディヴィアは、ボギーがいるっぽい方角に向けて指をクイクイっとした。
 未めくりのミニスカート。しかしそれは絶対領域――ボギーの趣味と相反する理念の守護者。
「ほれほれーここにスカートがあるのじゃぞー。負けそうだから日和っておるのか?」
 ベディヴィアは重心を左右に動かして、スカートを揺らす。
 ひらり。ふわり。
「突撃ー!」
「うおおおおおおお!」
 二個の毛玉が飛び出した。決死の特攻である。
 待ち構えていたイレギュラーズの攻撃をかわし、最後の秘境へとたどり着く。
 重厚な扉を開け――?
「なにいッ!?」
「めくれない……だと!?」
 オッさん達は驚愕する。ベディヴィアの持つ絶対領域パワー(※ルール上存在しません)とボギーのスカートめくりパワーが拮抗して火花を散らした。
 アイデンティティvs痴漢の力比べは、ベディヴィアがそっと取り出した『乙女の秘密な趣味の本』……
「あ、本は駄目じゃ。人様に晒す物じゃないのじゃ~」
 ベディヴィアがそっと振り上げた、『魔神の指輪』の煌めく拳で決着がついた。
 ガインゴイン!
 二連撃でボギーが床に落ちる。
 諦めず立ち上がった二匹だが――
「魔力撃」
「ソニックエッジ」
「こっちもおしおき」
「大斬撃!!」
「プラチナムインベルタ!」
「ファントムチェイサー」
「剣魔双撃!」
 怒濤の総攻撃の前になすすべもなく、ボギー(と部屋の一部)は粛清された。


 見えない消耗の激しい戦いが終わって。
「……どうしようか、こいつら」
 ハートは倒したボギーを見下ろした。縄でぎゅうぎゅうに縛って抜け出せないようにしてある。
「ある意味、恐ろしい敵だったね……いまのうちに倒せてよかったよ」
 コゼットの感想にグリムは力強く頷く。
「まさか絶対領域が勝つとはのう……」
 誰も予想だにしなかった対決結果に、ベディヴィアは己の太ももをさすさすした。
「他にも被害者が沢山いるんですよね」
「おしおき……したいよね」
 被害にあった妖精も同じ気持ちに違いない、と佐里とフラーゴラ。
「とりあえず妖精に突きだそう」
 ハートの提案に賛成、の声が重なる。ボギーはヒエエエとかウワアアアとか悲鳴を上げた。

 ――その後、妖精郷でスカートめくりをするボギーは絶滅した。
 妖精達の平和が一つ、守られたのだった。

成否

成功

MVP

ベディヴィア・ログレス(p3p006481)
絶対領域の守護者

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした。本当の本当にお疲れ様でした。
尊い犠牲に感謝と拍手を。

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