シナリオ詳細
<Bloom*Bloom>永遠に咲く、
オープニング
――だいすき。
●聖戦と、歴史
嘗てこのブルーム・ブルームの地にも、聖戦とうたわれた戦争があった。
人間と、妖精とを分断した大きなきっかけとも言えよう。
妖精の力を侮り人間は大きく敗れたが、妖精達は人間との交流を経つため天空、海、地下を支配し、陸上のみを残して姿を消した――というのが、1万年前のおはなし。
今や妖精と人々は、陸海空の隔てなく、共に生きていると言えよう。
だから。
「ティターニア殿、今宵も花火の時期が近付いて来たようだ」
「そうねえ、人間達も楽しげに準備していると聞いているわ。
肝心の貴方が楽しめていないと、意味は無いのだけれど――ねえ、レオ?」
「はっはっは。フローラは相変わらずの意地悪さだ」
「そんなことないでしょう! そんなこと言うのなら、今年の陽聖祭は中止ね」
「悪かったってば。
花火と陽聖祭は、人間と妖精との絆を示す強い強い祭だ。それを失えば――奔放な君とはいえ、お義兄さんに叱られてしまうんじゃないかい?」
煌めく金髪の髪、碧の瞳はまさに王族。
現在の人間界の王――レオナルド・フラウ・ブルーム。
地上の王でありフローラの『幼馴染』である彼は、剣術のプロである。
そして、フローラから最上の祝福を送られた彼は、人間よりも寿命が長く、不老に近い。
「貴方の剣舞が見られるんだもの、私に祭を中止にするメリットはないわ!」
「あれは……なかなかに疲れるんだけどね。
それを言うなら、フローラだって。君も俺の剣舞に入るじゃないか」
「そういうしきたりだから、なのよ?
兄様と踊っている時の貴方の方が活き活きしていたように思うわ」
口から零れるのは懐かしい思い出。
――だから。
また来年も、そう踊れるように。そう語れるように、今年も成功させねばならないのだ。
「……ふふ」
「レオ? 何が面白いの?」
「嗚呼、いや、別に! それよりもほら。会議を始めようか」
「ちょっと、教えなさいよ!」
「ええと、今回の予算は――、」
「ねえったら!!」
●
「夏の風物詩――花火。
それが大きな役割を担うってだけの、なんて事ないお話さ」
フィスは杖をくるくる回して、ご機嫌に微笑んだ。
花火。線香花火に手持ち花火。数多の種類があるが、しかし。
やはり、この世界といえば――、
「大きな、打ち上げ花火をする祭りなんだって」
ブルーム・ブルームで配られていたビラを、はいと渡すフィス。
「今回は朝……つまりは、街の飾りを手伝って欲しいんだって」
頼めるかい、とフィスは首を傾けた。
- <Bloom*Bloom>永遠に咲く、完了
- NM名染
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年08月28日 22時10分
- 参加人数4/4人
- 相談4日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●祭りの影に
(人間と妖精の絆の祭りか……。
人間と妖精の悲恋の呪いを持つ俺自身的にこういうのはあまり関わるべきではないが……。
まあ、これは俺自身の問題だからな……今は祭りの準備に手を貸そう。
早く準備を終わらせていつもの警護に戻りたいものだ)
『妖精の守り手』サイズ(p3p000319)はフローラの近くで屋台を建設するのを手伝っていた。
「あーら、サイズ! また来てくれたの?」
「フローラ様……」
お転婆な姫君は、相変わらず脳天気な様子。
瑞々しい若草の髪は上でひとつに束ね、籠いっぱいにレモネードをつめ、あちこちを飛び回っていたようだ。
白磁の肌は仄かに赤らみ、日焼けをしている様子。
「……日焼けしてません?」
「あら、みんなの為ならこれくらいどうってことないのよ!」
ふふん、といたずらっ子のように微笑むフローラ。そんな姿にサイズはやれやれと首を振って、日陰へと足を進めた。
「……フローラ様」
「なあに?」
「こちらへ」
唇に人差し指、定番の疑問符のポーズ。ぷかぷかと浮かび近寄ったフローラ。
「……俺と少し休憩しましょう。俺にもレモネードを頂けますか」
「あら、頑張り屋さんなのかしら。
ふふ、じゃあ私からサイズに飛びっきりの祝福(プレゼント)をあげるわ!」
籠いっぱいに詰められたレモネード――の、下。
レモンの花。
彼女は花の妖精。
――祝福、あれ。
パチン、と軽快に指を鳴らしたフローラ。籠から飛び出たレモネード瓶とレモンの花。
街中の人々は空を見上げた。
「ティターニア様の祝福か?!」
「なんてきれいなの……!」
炎天下、人々の指揮も下がる頃の飛んでもサプライズ。
彼女こそが妖精女王(ティターニア)。彼女こそが妖精女王フローラ。
とびきりお茶目で、わがままで、気まぐれで――何より。
「みて、サイズ! 人間って、あんなに嬉しそうな顔をして笑うのね」
にんげんが、だいすき。
「……そうですね、俺も知りませんでしたよ」
(フローラ様が今自分もすごく笑ってるってことは内緒にしておくか……)
喉にしゅわしゅわと泡沫が弾ける感覚。
青い空の下でのんだレモネードの味は、どこか懐かしく思えた。
●ひばなをとかして
『闇之雲』武器商人(p3p001107)はフローラ同様に食べ物を配ることに。
(そうさねぇ、女王様が人間に果物を配っているから、我(アタシ)は妖精(りんじん)たちに氷菓を配ろうかな。
もちろん、望まれれば人間たちにもあげるとも)
ひんやりとした冷気を纏いながら歩む武器商人に、妖精たちは興味津々。
「ねーねー、銀のフルール。それはなあに?」
「おいしいもの?」
「たたかうもの?」
「それとも、いのちをもつもの?」
ふんわりふわふわ、暑さにやられたのかいつもよりも冷静に問いかける妖精たち。
彼らの顎を撫でてやると『もうあつくてしかたないんだよお……』とぺしょりとくっついてしまう。
「ふふ、これは氷菓さ」
「なにそれ……?」
ゆっくりと蓋をあけた中に広がる色とりどりの氷菓に、妖精たちは『わあ……』と瞳をきらきらと輝かせて。
「りんごの氷菓の他にもいちご、もも、レモン、メロンがあるから好きなのをえらんでおくれ。
旧き夜で冷やしてあるから、慌てずゆっくりお食べね」
「たべていいの!??????」
「いいの!!!???」
「? 食べてもらうために持ってきたからねえ」
笑みを浮かべたまま小さく首を傾けた武器商人。妖精たちは光の速さで積荷に群がると、一心不乱に氷菓を食べだした。
ばくばく。むしゃむしゃ。
「ぎゃあ!?」
「大丈夫かい?」
「きーんって……する……」
「ふふ、それも夏の楽しみだね」
ぐう、と顔を顰めて頭を押さえる妖精。こどものように握ったスプーンも、離すまいと抱きしめたお皿も手放す様子はさらさらないと言いたげに、必死に氷菓を食べている。
「きーん……」
「いたい……」
「でもおいしい!」
「ふふ、そうかい」
ころころと表情を変えて行く妖精たちの愛らしさに表情を緩める武器商人。
「これなあに?」
「それはりんご。シャーベットみたいな食感に角りんごが混ざってるよ。りんごソースがジューシーでおいしいね」
「じゃあこっちは?」
「それはいちご。なんといってもどっさりと盛られたいちごの果実がウリだよ。練乳もたっぷりなんだよ」
「こっちもおしえて!」
「それは桃さ。果実を凍らせてふわふわとした綿雪みたいに削った氷だよ。口の中にふわっと広がる桃の味と香りは最高だよ」
「このきいろのはー?
「レモンだねえ。ざくざく粗めに削った氷に蜂蜜入りのレモンソースをかけてるから、爽やかな味わいが好みのコにおすすめさ」
「このみどりのは? よもぎ?」
「メロンだよ、よもぎは餅がうまいねえ。メロンは氷にちょっと仕掛けがしてあって、噛むと炭酸水みたいにしゅわっと弾けるんだ。まるくくり抜いたメロンとバニラアイスと一緒に食べればメロンソーダみたいな味を楽しめるよ」
「「おお……!!」」
ぱぁぁぁっと顔を輝かせ、一口ずつ交換している妖精たち。
「……む?なんだそれは」
やってきたグレイシアも興味津々に荷台を覗き込む。
「おや氷河のコ。キミもお食べよ。どれが好き?」
「……うーん、緑のものを」
「いいよ、どれでもお取り」
「ああ……い、頂こう」
ひとくち。しゅわしゅわと弾ける感覚に顔を喜色に染めたグレイシア。
しばらくはこれを食べて過ごそうか、などと考えて、少し悩んでしまうのだった。
●食い意地より
「祭りだ! 食(あま)い物にありつける! って思って来てみたんだが準備段階だったか」
(んじゃ、また日を改めて……なんて訳にはいきませんよね、はい。微力ながら協力させていただきますよ……だ)
『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は内心苦笑しつつも、力を貸すことに。
適当に雑用として使えと言った本人らしく、少しばかりおつかいを手伝うことに。それも落ち着いて一息つこうとした所……。
(…………ん?あそこにいるのはカナタか?護衛のようだが随分暇してるみたいだ)
というよりかは暇になるようにされた、の間違いだろう。
フローラはどこかへ飛んで行ってしまうし(後にサイズと合流してはいるが)、グレイシアは氷菓につられて武器商人の元へ。今はどこへいるのやら。
そんな心境のカナタくんもうすぐ20歳。
誕生日を迎えてなお働いているとはいつの愚痴だっただろうか。からかってやろうと近付いた世界の思惑は――
(まったく羨ましい限りだが、上手く利用すれば俺の仕事がだいぶ楽になるかもしれないな)
「おーい、聖人君子にして眉目秀麗、公明正大、温和怜悧、才色兼備、その他諸々なカナタ様!」
「? 世界……熱中症か?」
「違います! 貴方様の大層立派な護衛という仕事とこの私の屋台に使う資材を運ぶという仕事を取り換えてはくれませぬか!
無理は重々承知の上、しかしどうか! どうかこの老いぼれのちっぽけな願いを叶えてはくだされ!」
「えっ……」
流れるような土下座にドン引きのカナタ。めちゃくちゃ嫌そうな顔をするが、仕方ないと頷いて荷物運びと護衛を交代。
「さて、フローラのところにフルーツでも貰いに行くかな……」
風に乗って聞こえた世界のひとりごと。カナタは木材を片手に世界を追いかけたそうな。
●これまでを彩る
祭りとは準備期間も含めて祭り。そう考える『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)は、飛行や持ち前の技術を活かして人々に手を貸していた。
(この世界の屋台は、何を売るのだろうな。
カナタたちは、ギルドが花冠師と聞くからには、やはり、花だろうか?)
花を大切にする世界のことだから、花を飾るのは間違いないだろう。しかしそれらに掛けられた意味を知る訳では無い。
高所に飾る花をまじまじと見つめたジョージは、その愛らしい花弁に眦を下げた。
「あら? 兄様、あれって」
「うむ、そのようだな」
「ジョージー!」
大きく自分を呼ぶ声がした。
ジョージは飛行をやめ、ふわりと地面へと降りたとうとしたのだが、それをするよりも先に二人が飛んできた。
「ごきげんよう! 何をしていたの?」
「店の手伝いを。昨年の祭りや、この屋台は何を売るのだろうか……などと考えていると、楽しくなってしまってな」
「昨年の祭りは俺が担当していたのだが……なかなか楽しかったぞ」
「嘘よ! みんな顔死んでたもの。何ようちの国の法律問題って!!」
「楽しくないか?」
「ないわ。この屋台は……花飴を売るみたいね!」
「話を流すな」
きゃいきゃい騒ぐ2人。そんな2人の様子を微笑ましく思うジョージ。薄く口を開けば、そんな騒がしい声もピタリとやんで。
「俺の街では、海が近いからな……海産物を屋台で焼いて売っている物も多かった。
こちらにあるか分からないが、海鮮づくしの焼きそばは、中々いいものだぞ」
「なにそれ!? すっごく美味しそうね……!」
「うむ、今度作ってみたいところだな」
「その時は俺が作るのもいいかもしれないな……と、準備にひと区切りついた、休憩にしないか?」
「よろこんで!」
フローラたちに紅茶を振る舞うジョージ。茶葉の香りにうっとりと目を細めたフローラ。
「……そうだ。約束通り、蜂蜜も持ってきている。
紅茶に落とすのもよし。茶菓子につけるもよしだ」
「あら、いいのかしら……うれしい」
「本当に。しばらくは手放せなくなりそうだな」
薄く笑みを咲かせた2人にジョージは頷いた。
活気づく街の姿、笑顔溢れる人々と妖精。
――この調子なら、祭りはとても素晴しい結果になりそうだ。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
心踊る物語を貴方に。
どうも、染(そめ)です。
今回は物語の夏祭りに触れてください。
余談ですが染はチョコバナナが非常に好きです。
それでは、今回のシナリオの説明に入ります。
●目標
街の飾り付けや屋台の組み立てを手伝う。
人間界、妖精界共に祭りの準備で大忙し。
あなたに出来そうな事でサポートをしてあげてください。
飛んで飾りを飾るもよし、熱中症にならないように水分を配るもよし。
自由です。
●世界観
魔法世界『ブルーム・ブルーム』。
花と魔法で満ちた世界。魔法で文明が築かれています。
基本的には物理攻撃よりも神秘攻撃がメインの世界です。
また、ファンタジーな世界ですので、妖精やドラゴンなど、ありえない生物がいます。
●NPC
・フローラ(ティターニア)
妖精女王。引き摺るほど長い若草色の髪が特徴。桜色の髪留めが宝物。
エルフのように長い耳を持つ。成長が遅いとはいえ、いつまで経っても凹凸のない身体に悩んでいる。
人間に休憩用のフルーツを配り回っています。
・グレイシア
前の妖精王。鋭い目つきと薄氷色の髪が特徴。ガタイがいい。
エルフのように長い耳をもつ。フローラの兄であり、シスコン。眼鏡。
他国の妖精へ外交をしに行っていた。
その辺で組み立ての指示をしています。
・カナタ
花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスター。齢19にしてトップクラスの実力を持つ温厚な青年。
二人の護衛役として見守っていますが、割と暇なようです。
呼ばれれば登場します。
●サンプルプレイング
わたしは、妖精たちのおてつだいを。
大きな荷物は運びづらいかなっておもって。
……わけてくれたら。運ぶよ?
以上となります。皆様のご参加をお待ちしております。
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