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シナリオ詳細

メロウ・ブルーの水境に

完了

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●お伽噺に滲む夜
 ねえねえ、こんなおはなし、しっていますか。
 なかよしのふたりがうみであそんでいると、ほしがおちてくるの。
 ふたりがもっと、たのしくなるように。
 ふたりがもっと、うれしくなるように。
 そんなほしがおちてくるひのことを、ひとびとは、

 ――『星愛の日』って、よぶんだって。

 ほしは、みんながだいすきだから。
 すきのおもいがいっぱいになると、おちてきちゃうんだって。
 だからね。そんなほしを、うけいれてあげてほしいの。

 ……おねがい。できる?

●星満ちる海の果て
 ――真夜中の星導。
 永遠に続く夜の世界にも、夏が訪れた。
 濃紺の夜空に浮かぶは星々。
 今の時期ならば流星群に天の川も見られるだろうか。
 夜空に浮かんだ星雲が、星座が、月が。全てを祝福しているようにすら思えた。
 混沌世界よりも一層濃く、美しく煌めく星空をうつしながら、『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタインは、その一歩後ろ先を歩く『天駆ける神算鬼謀』天之空・ミーナへと声をかけた。
「この世界では、星が落ちてきたりするらしいんだ」
 色褪せることなく紺を寄せる波打ち際、軽快に響く砂の音。
 笑顔を浮かべながら、レイリーの華奢な人差し指は空へと向けられる。追って、ミーナは空を見上げた。
「……へえ、奇怪なこった。星が落ちてくるなんて嘘みたいな話だな?
 だけど、まあ……悪くは無い」
「ふふ、でしょう?
 だから、二人で来てみたいなって思ったんだ」
 薄く笑みを浮かべたミーナに、レイリーも微笑んで。
 ――だから。
 そんな二人に、星空も気を良くしたのかもしれない。

 きらん。

「!?」
「レイリー、危ない!」
 思わずミーナがレイリーの手を引いた。
 しゅん、と音を立てて落ちてきたそれは――、
「……星?」
「……まさか、こんなに早くフラグを回収するなんてな」
 はあ、と安堵の息を漏らしたミーナとは裏腹に、レイリーは海へと駆け出した。
 そう。こんな夏の日に遊ばないなど、不可能だ。
 予め遊ぶために、と着ておいた水着を真っ先に濡らしたのはレイリーのほう。
 ミーナの静止の声も聞かずに、靴を脱ぎ捨て走り出す。
「おい、レイリー、あぶねえって――!」
「見てよ! 星が降ってくる!」
 両手を上げて楽しげに笑うレイリー。
 その姿を見たミーナは、靴を脱ぎ捨てて、星空色の海へと飛び込んだ――。

 その海の名は『メロウ・ブルー』。人魚が居るとされる、美しき海。

NMコメント

 シナリオリクエスト、ありがとうございました。
 染(そめ)です、お世話になっております。
 お二人のひと時に彩りを添えるお手伝いをさせて頂ければ幸いです。
 メロウ・ブルーがミーナさんとレイリーさんを待っています。

●目標
 星屑を集める。

●星屑
 お二人が海で遊んでいると海面に降ってきます。
 二人には絶対に当たりません。スレスレもないです。ご安心ください。
 水面に浮かぶとぷかぷかとランタンのように光り、近くを照らしてくれます。

●メロウ・ブルー
 『人魚が居る』と噂される、神秘的な海。
 透き通った水が美しく、明かりがあれば海底も見えるでしょう。
 星空を水面にうつしているため、とても美しいです。

 水鉄砲など水場で使用できるおもちゃならば用意してあるものと扱いますので、二人らしくプレイングを紡いで頂ければと思います。

●世界観
 『真夜中の星導』と呼ばれる世界の中。
 相変わらず星が綺麗です。
 街並みも至って変わらず、大きく異なるのは「星を大切にしている」ということ。
 例えば、街の証明は全て星を捕まえて灯したものですし、食べられる星もあるようです。
 街中に星が溢れています。それこそ、導のように。

●その他備考
 アドリブもマシマシになるかと思います。
 どうぞ二人らしくたのしんで頂ければと思います。
 目標ですが、目標以外のことをして頂いても構いません。
 やりたいことはとことん、全部欲張りにしちゃいましょう!

 相談場所は『真夜中の星導』のビーチサイド、パラソルの下にて、という設定です。
 余力があれば是非RPを――そちらも、参考に致します。

 以上となります。
 お二人のプレイングを心よりお待ちしております。

  • メロウ・ブルーの水境に完了
  • NM名
  • 種別リクエスト(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年08月23日 22時15分
  • 参加人数2/2人
  • 相談9日
  • 参加費---RC

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(2人)

天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ

リプレイ

●星月夜、君想ふ
 ――今宵。
 2人のために用意された舞台は、幻想的な星光る海。
 真夜中の星導。空に煌めく星々は誰が為に煌めくか?
 それは彼女の為だ――と。答えそうな2人が、この境界世界に足を運んで居た。
 ざぶん。ざぶん。
 寄せては返す波の音が心地よい。
(わあ……星空が綺麗だ) 
 愛らしい白の水着に身を包んだ『ヴァイスドラッヘ』レイリ―=シュタイン(p3p007270)は、美しい天球を眺めた。
 空に瞬く星々はきっと、混沌の夜空と同じくらい美しいだろう。名も知らぬ星座に心を踊らせている自分がいることに少しだけおかしいな、と笑みを浮かべながらも、レイリーは後方にいる『天駆ける神算鬼謀』天之空・ミーナ(p3p005003)へと手を振った。
「今日は2人で楽しく遊ぶよ! ミーナ!」
 同じようにぼーっと空を眺めていたミーナ。
 幾星霜を生きたミーナにとっても『初めての夜空』。どこの世界とも違う星空は、どきどきと胸を弾ませていた。
(まさかここまでくっきり空が見えるとはな……レイリーも楽しめてるみたいで何よりなこった)
 海を眺めて、星を眺めて。
 飽きること無く瞳を輝かせるレイリーに、ミーナは笑みを浮かべた。
「ミーナ? どうしたの? こっちに来て遊ぼうよ!
 ほら、向こうのほうには浮き輪とかもあるみたいだよ!」
 溌剌と笑みを浮かべ、ポニーテールを揺らしたレイリーにミーナはやれやれと苦笑して。
(デートの為にここまで来るとはなぁ……ま、せっかくだし。色々面倒は忘れて楽しむか)
 心地よい波の音。夜の影は濃く、暗く。けれど、いつか誰かを癒す影だから。
「おー。遊ぶか、何をしようか……」
 ミーナも手を振り返し、小走りで走ってレイリーのその背を追った。
(にしてもこの水着……若干泳ぎにくいんだよなあ)
 ビーチサンダルを浜辺に置いて、ミーナはその華奢な足を少しづつ波へと沈めていく。
 その姿にクスクスと笑いながら、レイリーはミーナへと手を差し伸べて。
「――本当にとても綺麗。その漆黒の艶やかな髪に合わせていて、姫袖のレースが丁寧で……。
 翼に合わせた縁の深紅に模様とか凄い綺麗でいいなぁって思うの」
「……あー、その、ありがとう? ……レイリーもいつもと違って、可愛いぞ」
 レイリーが喜んでくれるなら、悪くは無いか。
 ミーナは照れたように目を逸らしたが、負けじとレイリーを褒めて。
 ふふ、と嬉しそうに笑ったレイリーは、またミーナに笑みを向けた。
「ふふ、ありがとう。でもほんとに……すっごく似合ってるよ、ミーナ。今夜はゆっくり堪能させてもらうわ」
 星影煌めく宵の淵。2人の姿は――海へと消えた。

●海中に囁く
 シュノーケルとライフジャケットを身に包み、2人は夜の海を泳いだ。
 水中から星々と、海中を覗いた。
 濃紺の夜、零れた白の雫。天の川から注がれるように、波に映る月の姿を2人で眺めた。
 そして何よりも――、
(まあしかし、デートに来たのに狩りとは……私達らしいっちゃらしいか)
 狩り。
 この海に泳ぐ魚は絶品なのだと、事前の下調べでわかっていた。
 ならばバーベキューが良いだろうか、と。
(海洋もそうだったけど、この世界も綺麗な海してんなぁ)
 すいすいと泳ぐ魚たち。この大きさでは食事にならないだろうから、と魚を眺めていたミーナに、レイリーが近寄った。
『なにかあったの?』
『や、ほら。私色んな世界見たからさ。汚い海ってのも大分見てんのよね』
『ああ、そっか……ここの海も本当に綺麗だよね!
 透き通ってて、あんな所に居た魚も見え……さ、魚だ! 行こうミーナ!』
『……とと、魚いた?』
 すいーっと泳いで、レイリーは海中を泳ぐジェットで魚を追い詰める。
(わたし達のご飯にしてやるわ!)
(そんじゃ、レイリーのジェットに合わせて……銛で一発!)
 銛をシュッと伸ばしたミーナ。
 ズン、と魚の身に深く突き刺さる銛。魚はビチビチと動いたが、やがてその動きも止めて、大人しく2人の食事となることに。
『――てな。ま、こんくらいは出来なきゃな』
 くるくると銛を動かしたミーナ。
 袋の中に魚がどんどんと入れられていく。
 沢山の魚で袋が満たされた頃には、時計の針が正午を指し示していた。

●腹が減ってはなんとやら
 戻ってきた2人、木陰に用意してあるバーベキューセットと肉や野菜。
 包丁を握り手際よく魚を捌いたのは、ミーナのほうだ。
「おお……! 手際いいねえ、すごい」
 やんややんやと手を叩き、レイリーは魚や肉を野菜と一緒に串刺しにする。
 炭に火をつけ、バーベキューセットをあたためていたレイリーは、そのまま串を並べていった。
「魚捌くのは任せとけよ。言っただろ?
 私は一人で生きてた期間長いんだって。こんくらい軽い軽い」
「そう? 頼もしいね。……美味しい!」
「美味しいか? ん、あー……」
「ん? あ、はーい。あーん」
 はい、と食べかけの魚を渡し、ミーナははむ、とレイリーの食べさしの串を渡して。
「……ん、うま」
「でしょ、美味しいよね!
 好きな人と一緒に料理するのってこんなに美味しいなんて知らなかった。
 特に2人でとったお魚が美味しい。お酒もあれば言うことなし」
「……ああ、そうだな。
 あ、酒飲み過ぎんなよ? 酔わないのは知ってるけどよ」
「ふふ、はーい」
 ワイングラスを微かに揺らし、レイリーはワインを口に含む。
(こうして誰かの為に料理振る舞う、一緒に食べるってのは本当にいいものだ……本当に)
 ミーナも作業を終えて、串に手を伸ばす。嬉しそうに笑顔をうかべるレイリーを微笑ましく思いながら、2人の食事は続いた。

●そうして2人、何時までも――、
 片付けも終えた2人は、砂浜に寝転がって夜空を眺めていた。
 身体を冷やす波が擽ったい。
 星空を眺めながら、口を開いたのはレイリーの方だった。
「ミーナは自分の欲で、自分の理由で何かしたい事ってある?」
「うん? 私の欲でしたいこと?
 そりゃあるし、今だってしてる。他人を理由にって言うけどさ、それだって私がしたいからしてるんだ。

 ――誰かを愛して、愛して、愛して。私のものにする」
「……『誰か』のため、護るための行動は良い事よ。
 でもね、『誰か』を理由にすることが多いと思うの」
 寄せては返す波の音に、2人は言葉を乗せて。
 揺蕩う空気に、瞳を閉じて。
 僅かな呼吸音。
 空に響いたのは、優しい言の葉だった。
「――時間は沢山あるわ、自分の思うまま感情のままにやりたいこと見つけてほしい。いくらでも付き合うわよ」
 優しく触れた唇。
 ミーナは愛しげにレイリーの髪を撫でた。
「私は人だけど神になってしまったんだもの。欲望なんて人の何倍もあるさ。
 覚悟しとけよ? 一生使っても足りないくらい、愛してやるからな」
「それは……たのしみ。ふふ、ありがとうミーナ」
 レイリーを抱き寄せたミーナ。
 頷いたレイリー。
 2人の想いは……いつまでも。
 夜空に解けた愛の言葉は、水で冷えた身体をあたためて。
 私はもう自分のやりたいことはないのだけれど。
 小さく零したレイリーの言葉を塞ぐように、ミーナはレイリーに熱いキスを交わした――。

 夜。
 真夜中。
 空に輝く一番星。
 それは嘗て、船乗りのひとびとを北へと導いたとされる。
 2人にとっての1番星は――屹度互いなのだろう。
 何故なら、2人の瞳に映るのは互いだけなのだから。

 ――真夜中の星導にて。
 2人の密かな愛の物語は、これにて終幕。

成否

成功

状態異常

なし

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