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シナリオ詳細

温泉旅館と巨大タコ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■それは台風の後にやってきた。
「いやぁ……今回も凄い台風だったけど、大きな被害はなさそうで良かった」
 とある世界の温泉旅館。過去に何度かイレギュラーズが関わった地。今再びその世界にてイレギュラーズが助けねばならない事態が起きようとしている。
 先日台風に襲われた温泉街だが、建物の倒壊などもなく怪我人もなし。営業には何ら問題はない……と思われていた。
「支配人、土砂崩れとゴブリンの襲撃が起きているとの報告が!」
「それはいかんな。すぐに自警団に要請を」
 事務所に駆け込んできた従業員の報告に一瞬顔を顰めるが、支配人は冷静に判断を下す。元々ここの自警団は付近の魔物なら討伐できる程度の実力を有し、近頃は幽霊夫妻という実力者も迎えた。まさに盤石とも言える警備体制だった……のである。
 だが。今回の問題はここからであった。
「大変です!」
「どうしたんだ? がけ崩れの件ならもう……」
「違います、海に魔物です!」
 そう。台風が連れてきたのは雨風だけではなかったのだ。海岸に魔物も降ろしていってしまったのである。
 そしてその魔物とは……。
「巨大なタコです!」
「……タコ?」
 オウム返しに口にする支配人。それもそうだろう。タコはありふれた海洋生物であり、この街では食材にまで用いる程に美味。それが魔物化しているなど、今までになかった事なのだ。
「自警団に出撃要請を!」
「しかし、彼らはもうがけ崩れとゴブリンの討伐に向かってしまった……人手が足りない」
 頭を抱える支配人。夏場、この温泉街は綺麗な海水浴場でも有名であり観光客が大量に訪れるかきいれ時なのだ。それを逃してしまうのは……。

■タコを喰らえ
「皆、タコは食べれる?」
 国、世界、地域によって食べるかどうかは違うという。海の悪魔だなんて呼ぶところもあるらしいね、と境界案内人のカストルは語る。
 集まったイレギュラーズの反応も千差万別だ。やはり、抵抗がある人はあるのだろう。
「以前に何度か出向いてもらった世界の、温泉街なんだけども。よりにもよって陸ではゴブリン、海では巨大タコと2つの問題が同時に起こったらしいんだ」
 ゴブリンの方は自警団達がなんとかするんで、皆はタコの方をなんとかしてあげて。
 そう括って、カストルはイレギュラーズを温泉街へと送り出した。

NMコメント

 8月といえばタコですからね、以下略です。
 そんな訳で、温泉旅館シナリオ再びです。今回は海岸に現れた巨大タコを討伐してください。
 美味しいかどうかはわかりませんが、うまくすれば旅館で調理してくれるかもしれません。
 以下敵詳細
■巨大タコ×1
 巨大すぎるタコ。全長6メートル程。しかもかなり器用で多芸。タコなので防御力方面はさほどありません。抵抗はしてきますので多少の注意は必要です。
 タコなので墨を吐きますし、タコなので足で絡みついてきますし、タコなので岩投げてきますし、口から炎吐きますし、口から電気放ちますし、口から氷吐いてきます。
 ……タコかコレ?

 ■戦場:海岸
 足場が砂浜、もしくは浅瀬の海となります。行動には支障がない程度ですが、相応のスキルなどがあると少し動きやすいかも……。
 ご希望の方は水着で戦闘してもOKです。海だからね。

 オプション:【覚悟完了】とプレイングに書いておくと、アレな事が起きるかもしれません。アレってほら、アレだよ。タコだからね? 触手だからね? 男女問いません。
 もちろん書いてない方は普通の戦闘をこなします。安心してください。

 
 以上となります。
 イレギュラーズならばさほど問題ない相手です。さくっと倒して美味しく食べちゃって下さい。

  • 温泉旅館と巨大タコ完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年08月14日 22時25分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海

リプレイ

■果たしてそれは本当にタコなのか
「うっわぁ……本当に大きいですね」
 『魅惑のダンサー』津久見・弥恵(p3p005208)は普段着とさほど変わらない布面積の水着を身にまとい、件の海岸に立つ。
 波打ち際から砂浜まで。巨大すぎる身体で目立っているのはまさしくタコ。八本の足がうねうねと波打っている赤い身体。まごうことなきタコである、大きさ以外は。
「これはまた、育ったものだな。基本的に子を残せば死ぬものと覚えているが、この個体はつまり、そういうことなのだろうか」
 『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)が若干の哀れみを含んだ視線をタコに向ける。彼の言いたいところは、とどのつまり。このタコは番となる相手が見つからずずっと生き延びてしまった寂しいタコ……いや、まさかそんなことはないだろう。
 そんな悲しい宿命を背負った結果巨大化するなんて事……笑い話にもならない。
「果たして食べられるかはわからんが、このまま放置しておくわけにもいくまい。しっかり退治して海で遊べるようにせんとな」
 褌姿に青い羽織がキマっている『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)が【覚悟】と決意を表情に含み呟く。
 その隣では弥恵も何らかの覚悟を決めていた。あの足に捕まるととんでもない事になりそうだからと、その手の人には【フラグ】というものにしか見えない何かを。
「タコが食べられるかって? 愚問だね。淡き中に淡きありの妙味。皮の下に潜む純白の身は海の悪魔というより天使ではないかな?」
 そんな二人とは対照的に、最初から食欲全開なのが『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズだ。弥恵と同じく普段着と水着とで布面積が大差ない程に露出度が高いのだが……何故か彼女の視線を受けてタコが身動ぎした。
 野生の勘というものだろうか。それとも被捕食者になることが多いタコという生物の防衛本能だろうか。
 しかしこのタコは、並のタコではなかった。身の危険を感じたその刹那。水底に埋もれていたタコを器用に足で絡め取り、一行に向けて投げつけてくる!

■触手といえば、ね?
「危ない!」
 誰が叫んだか。飛来する岩を声に合わせて難なく回避する四人。バラバラに散り、四方から攻め立てようと砂浜を駆け、或いは飛翔する。
 ……ジョージはペンギンのスカイウェザーだが……ペンギンが空を飛ぶとは。深く考えないでおこう。
「まずは厄介そうな口から封じなければな」
 バチリ、と電光を纏いしガントレットを巨大タコのこれまた巨大な口に叩き込む!
 水生生物ゆえか電撃は身体を浸透していき、目を回す巨大タコ。
「例え砂浜でも水辺でも、踊れるならばそこは舞台です」
 その鍛え上げられた靭やかな肢体を見せつけるかのように伸ばし、或いは振り。弥恵が繰るは神代より伝わる魅惑の舞。
 人どころか神をも魅了する舞は、人でも神でもないタコに通じるのか……?
「あ、あれ……ちょ、きゃあぁぁあ!?」
 通じた。ジョージの一撃でふらついていたところを、弥恵の魅惑の舞が目に付き彼女しか見えなくなったのだ。
 その結果、身は情熱の炎に焼かれ心は恍惚にまみれ凍りつき……弥恵の肢体にその足を伸ばしたのだ。まるで彼女を愛でるかのように。
 しかし弥恵本人からすればたまったものではない。絶妙にぬるぬるするタコの体液が身体にまみれ、身体を撫で回す触手と、触手についた吸盤が敏感なところを触り……。
「それ以上はさせん」
 ゲオルグが遠間から放つ、魔術の拳はタコの顔面を殴り飛ばす。その衝撃で触手から弥恵の身体は離れ助かるが……。
 獲物を物色していたのを邪魔されたからなのか。体色を更に赤くしたタコの足が今度はゲオルグの逞しい肉体に絡みつく。
「ぬ、ぬぉぉ!?」
 青い羽織をぺい、と投げ捨てられ。ぬるぬると体液まみれの触手でまさぐられ悶えるゲオルグ。意外にも力強いタコの触手からは自力で抜け出せそうにもない。
「おっと、今がチャンスかな」
 弥恵やゲオルグの痴態を楽しむのが、ではない。
 タコの注意が二人に向いた隙にマルベートはタコ足の隙間に身体を滑り込ませ、ぬめる体液も何のその。そのままガブリと噛み付いた。
 強引に肉を噛みちぎり、咀嚼する。いくら足が八本あるからとはいえタコも食べられてはかなわない。反撃とばかりにマルベートへ墨を吐く。
 しかし彼女は怯まずに。回避することもなく墨を受けて、あろうことかぺろりと舐め取り始めた。
「ふむ……あまり美味しくないね。これはキミが巨大すぎるからかな? それとも……火が通っていないからなのか」
 イカスミは美味しいと聞いたのにタコスミはそうでもないねとか場違いな感想を零しながらも。マルベートの食欲は満たされる事はない。

■タコという名の砲台
 巨体故に攻撃する隙は多いこのタコだが。巨体だからかバカに体力は多い。イレギュラーズの猛攻にもふらつきながらも耐えている。
「おっと……これが噂の電撃か!」
 ジョージの手を包むガントレットは闘気による擬似電流を纏いそれを敵に叩きつける。それに対抗したのか、タコは口から電気の奔流を吐き出しジョージに叩きつけたのだ。
 しかし如何に水に住まう鳥だからとはいえ。彼自身が扱うのも雷。強引にガントレットで受け止め、逆に威力を増幅してタコの口に叩きつける。
「うぅ……ひどい目に遭いました」
「……ほら。これでも羽織っていろ」
 ジョージの奮闘の影で、ぬるぬる体液まみれで更にくっついた砂の粒まみれになってしまった弥恵に。ゲオルグは紳士らしく拾ってきた羽織を着せてやる。
「あ、ありがとうござい……ゲオルグさんもひどい状態じゃないですか」
「……言うな」
 渋くかっこよく決めたゲオルグであったが、彼もまた弥恵と同じくぬるぬる状態である。それでも両足で砂浜に立ち、ジョージとマルベートを支えるべく回復魔術を施すのは流石というべきか。
 その姿に少しの戸惑いと、大きな勇気を受け取った弥恵は羽織をゲオルグに返し立ち上がる。こんなところで蹲っている場合ではない、と。
 水着の柄が変化し、身体を覆う薔薇となる。彼女が舞う踊りは死への誘い。見る者の命を急速に枯らす魔性の舞。
「そろそろ……おしまいじゃないかな!!」
 マルベートが悪魔としての力を解放し、黒いキューブにタコを閉じ込めて無数の苦痛を与える。巨体に合わせてキューブも巨大なものになり……やがてそれも消え去り。
 それでもタコは、まだ生きていた。食われたくない一心で踏ん張っている。
 全身を真っ赤に染めたタコは、まるで火炎放射器のように口から火を吐きイレギュラーズに吹きかける。
「これが最後の切り札ってところか……だが、まだ甘い!」
 ゲオルグの放つ癒やしの力が、仲間の焼ける身体を護る。
 炎が晴れ、三人が一斉にタコに飛びかかり。
「これで、しまいだ!」
「終わりにしましょう!」
「ああ、楽しみだよ」
 一斉攻撃の下に、遂に巨大タコはその身を横たわらせ絶命した。

■そのお味は
「ふぅ……いいお湯でした」
 巨大タコを討伐した事を報告した四人は、せめてもの報酬と温泉に浸からせて貰った。これはマルベートの案でもあったが、弥恵は心底癒やされた気持ちである。なにせ先程までは粘液まみれの砂まみれだったのだから。
 今はマルベートと二人、浴衣姿で座敷に座っている。その姿もまたどこか扇情的なのを彼女達は自覚していない。もっともゲオルグもジョージも心根が紳士なのでそんな目では見ていないが。
「お、きたね。では早速……!」
 マルベートが目を輝かせる。四人の前に運ばれてきたのは、火が通されしっかりと調理された巨大タコだ。足の切り身だがそれだけでも普通のタコの切り身より大きい。
 四人が一斉にそれを口に含み……マルベート以外が渋い顔をした。
「……正直、不味いな」
「……これは、期待はずれといいますか」
「巨大な魚は味が大振りだと聞いた事もあるが……タコもそうだったとは」
 苦労して倒したのに、報酬がこんなオチだとは予想もしていなかったイレギュラーズ達。
 しかし旅館側が気を利かせて。普通のタコを使った、きちんとした美味しい料理も用意してくれていたのだ。
 こちらの料理はまさに絶品。口直しとばかりに楽しむ四人。
「うん、いいね。カルパッチョには白ワインが欲しいところだ」
「ほう、ワインか。いいな、付き合おう」
「いいセンスだ。俺も頂こう」
 と、アルコールも混ざって盛り上がる三人。
「……私ももう少ししたら、飲めたのに」
 嗚呼、未成年。そう、弥恵の20歳の誕生日は……この物語のすぐ後に訪れるのだ。
 マルベートに一日二日くらいいいじゃないかと誘われるが、鉄の意志で誘惑から身を守った弥恵であった。

成否

成功

状態異常

なし

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