PandoraPartyProject

シナリオ詳細

運命特異座標なんだから、パンツサラダくらい作ってやったらどうだ?

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●この世界では日常風景です。

 広大な畑を前に屈強なムキムキ男たちが立ち並んでいた。両手に抱えるような大きな編みかごの口を前に向け、何かを待ち構えるように立っている。彼らは農業の民であり、この日は彼らにとっては大事な1週間、収穫期である。この1週間の成果によって彼らの1年の生活が決まる。今日に備えてこの1年、いや積み重ねてきた数十年、あらゆる準備を行ってきては、毎年のこの1週間に挑み続けてきた猛者たちだ。

 「…来た!来たぞ!来た来た来た!なぎ倒されんなよお前ら!踏ん張れ!!」

 この場では最年長のムキムキ男が興奮して叫ぶ。遠くからは土煙を上げて何かが突っ込んできた。いつもどおり、例年通りの光景。今年も妻と子に美味い飯を食わせてやれる。

 「農民なんだから、パ───」

 ムキムキの男が宙を舞った。綺麗な3回転を決めてふかふかの土へ激突する。
 頬、腹、そして鍛えても鍛えても人間男性の弱点たるアレへ続けて3回の打撃を受け、大の大人の成人男性がどんなに練習しても上げられないようなか細い悲鳴を発し地に伏した。

 「叔父さんがやられた!なんだこいつらおぎゃー!?」

 次々と、ムキムキの男が宙を舞っては収穫時期の美しく育ったスイカのごとくお尻だけを地上に残して地中へと突き刺さっていく。構えた籠は男たちのプライドとこれまで培った確固たる技術と共に砕け散る。履いていた衣服は引き裂かれ、履いていたパンツは無残にも剥がされていった。
 長閑な農村は一瞬で地獄の光景へと様変わりする。

 「なんだどうなっている?!いつもとは何かが違うぞこいつら!!」

 砲弾飛び交う戦場と化した畑を生き残った男たちが必死に撤退していった。
 アレだけは守れるようにと前屈みに姿勢を低くしながら。

 ──その姿を、遠くから楽しそうに眺める巨大なじゃがいもの姿があった。 


●運命特異座標なんだから

 「普通の依頼のひとつとして見てくれると助かるかな。」

 境界案内人『ホライゾンシーカー』カストル・ジェミニが眉だけやや困ったようにハの字を形作りながら、穏やかに切り出した。

 「パンツサラダ、その世界ではごくごく一部の貴族の間では珍味としてそれなりの値段で取引されているんだ。」

 曰く、パンツ男爵と呼ばれる特産品から作られるパンツサラダは、食べる人によって味の変わる不思議なサラダであると言う。甘く、酸っぱく、あるいはほろ苦く、あっさりと過ぎ去るようなこともあれば、重くこってりと居残るようなこともある。有識者は誰かの初恋の味だと言うが、生産者は単に肥料にしたパンツの味だろうとも言う。

 「そんな目で見ないでほしいな。説明している方も君たちと同じ気持ちなんだ。」

 普段であれば、元気いっぱいパンツ目掛けて飛び込んでくるそれらを籠で迎え撃つだけで収穫できるのだが、異常発達した巨大パンツ男爵の登場により話は変わってきている。 パンツ男爵たちは、巨大パンツ男爵に従い、統率の取れたパンツ強奪チームとして生まれ変わったのである。

 「内容はともあれ、彼らの生活と、そして世界の命運が掛かっている。お礼も弾むそうだから、よろしく頼んだよ。」

 この1週間を逃せば、パンツ男爵はソラニン触手の異形と変貌し、食べるどころじゃなくなってしまう。そうなればきっと彼らは世界全土へ進出し、人のパンツの味を覚えては手当り次第に人里への襲撃を開始するだろう。
 なにげに、運命特異座標の手に世界が掛かっている。

NMコメント

●このゲームってこういうゲームで合ってましたよね(挨拶)
 初めまして、蒼彩野羊(あおいろのひつじ)と申します。
 初めましての挨拶をこんなシナリオの後に書いてると自身の脳がバグってしまいますね。でもできればパンツサラダの人じゃなくて、名前を覚えて頂けると幸いです。
 私は魔が差して郷に従っただけですので。。。

●成功条件
 『巨大パンツ男爵』の撃破

●情報確度
 Aです。不測の事態は発生しません。

●登場エネミー
 『巨大パンツ男爵』
 体高3m強程の巨大な芋です。ムキムキの手足が生え、頭にはカウボーイハットをかぶっています。顔はありませんが、生産者によると表情豊からしいです。
 基本的には、遠くからパンツ男爵たちへ指示を出すだけです。司令塔となるため、彼(?)を倒せばチームは統率を失い、残りはムキムキ農民たちだけでも収穫することができるでしょう。

 屈強で硬い肉体を武器に近接での攻撃と、パンツ男爵への指示による遠隔攻撃を行います。

 使用スキル   
 殴る蹴る / 近単物
 攻撃指令 / 遠貫物 / 万能 恍惚

 『パンツ男爵』×無数
 普通サイズのパンツ男爵芋です。個体差はありますが、大きくても500グラムくらいです。畑を飛び交い、巨大パンツ男爵の指示で人を襲い、下着を剥がそうとぶつかってきます。運命特異座標の敵ではありませんが、数が多いため、こちらの相手をしているとキリがありません。

 硬さはありますが、単独の攻撃力は大したことがありません。
 よほど効率よく減らさない限り、彼らを殲滅することは不可能ですが、数を減らすと巨大パンツ男爵の攻撃指令スキルの性能が低下します。

●登場NPC
 特に居ません。ムキムキが欲しければご要望下さいませ。

●事後処理
 成功条件達成後は、ムキムキ農民たちに引き継ぎます。
 お礼に頂いた大量のパンツ男爵を、煮たり焼いたり、好きにして問題ありません。味以外は普通に芋なので、たいがいの芋料理になります。煮物は大変なことになりますが。

●プレイングについて
 プレイング冒頭で、リプレイのアドリブ度合いについて「不可」「歓迎」等、程度をご記入頂けると、参考にいたします。また、パンツ度合いについても、「不可」「歓迎」等あれば、そのようにリプレイ作成をさせて頂く予定です。

 例:アドリブ歓迎・パンツ不可

 ぶっちゃけパンツ男爵は運命特異座標の敵ではありません。よっぽどの物好き様が大量のフラグをご用意頂かない限り、運命特異座標は鉄壁です。PPPは全年齢です。
 ロールプレイをメインに楽しんでご用意頂ければと思います。

  • 運命特異座標なんだから、パンツサラダくらい作ってやったらどうだ?完了
  • NM名蒼彩野羊
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月29日 22時30分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
マヤ ハグロ(p3p008008)
シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
天下無双の貴族騎士
只野・黒子(p3p008597)
群鱗

リプレイ

●運命特異座標なんだから、割と慣れてます

 どんなにトンチキな状況であろうと、困る人あれば助けは訪れる。
 時季は夏か、日差しは強く、その英雄たちを照らしていた。畑を前に横一列に並ぶ彼らは、これから始まる戦いを前に、驚くほどに冷静であった。残念ながら、これから起こることはこの世界では常識ではあるので、驚きの声を上げる存在は居ない。その代わりに、農民たちが遠巻きに、彼らの勇敢な背中を息を呑んで見守っていた。

 「世界とは本当に広いものだな。」
 混沌と同じ青い空を仰ぎながら『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)が呟いた。もっともここは異世界であり、混沌ではないことは彼も理解している。彼の脳裏に過るトンチキな事件とのとある共通点が、なんとなく彼にそんな言葉を呟かせた。
 「下着を取られるだけであっても、これは下手をすると、大きな厄介事になるな。」
 畑作業には似つかわしくない風体の『貴族騎士』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)は、トンチキの裏に潜む世界への危険を考えていた。何であろうと見逃すわけにはいかない。迅速に解決すべきだろうと意志を固める。
 「農民たちが汗を流して作った作物、その収穫の瞬間を邪魔するとはいい根性をしているわね?」
 『海賊見習い』マヤ ハグロ(p3p008008)は農民たちを思う。彼らが汗水流してきた苦労の結晶が、このような形で奪われることは、マヤには許せないことであった。
 「来るのです。準備は良いですか?」
 近づく轟音を前に、『群鱗』只野・黒子(p3p008597)が声を発した。まるで波のように土埃を上げながら迫るそれらを、鋭い視線で眺めながら。

●そして男爵飛び交う戦場へ

 「統率の取れた波状の布陣…穴はそこなのです。」
 放たれた砂嵐の渦が、正面から来るパンツ男爵の波とぶつかった。黒子の《ヘビーサーブルズ》が、圧倒的な質量のパンツ男爵の波の勢いを相殺し、さらに蹴散らしていく。農民たちが数十人を持ってしても抑えきれなかった巨大な波が、より勢いの強い複数の嵐に飲み込まれては崩されていく。
 「どんな芋だろうが、それが反逆するなら、制圧するだけだ!」
 続けてジョージがまっすぐとパンツ男爵の波へと突っ込んでいった。砂嵐が破壊した波を、《剣山》の構えを取って突き進んでいく。無策であれば迫るパンツ男爵に埋め尽くされてしまうだろう。しかし、彼の取った反撃の構えは、突撃してきたパンツ男爵をその勢いのままに叩き落とす鎧のように機能していた。
 ジョージを背後から追い越すように飛び越えて、さらに黒子の放った停滞の砂嵐が正面のパンツ男爵の波を破壊する。衣服などくれてやると言わんばかりのジョージと、その道を切り開く黒子の砂嵐が、波の向こうに居るであろう巨大パンツ男爵へと突き進んでいく。

 「芋か化物か知らないけど、大人しく収穫されないというのであれば、この海賊が成敗してくれるわ!」
 ズボンのポケットから取り出した瓶のラム酒を一息に飲み干して、マヤも続く。サーベルとリボルバー銃を抜いて柔らかい畑の土を力強く踏みしめる。パンツ男爵の群れと砂嵐の合間を縫うように進む。高速で向かってくるパンツ男爵を、精確な《精密射撃》で次々と正面から撃ち落とす。側面、そして背後から回り込むパンツ男爵たちも、もう片手のサーベルによって豪快に斬り落されていった。
 同じようにして、刀と大型拳銃を持ったシューヴェルトもパンツ男爵の乱戦の渦中に居た。流れるような《フェアウェルレター》の得物捌きは、シューヴェルトに襲いかかるパンツ男爵たちの群れを捉え、次々と斬り、または撃ちおとしていく。マヤの剣が豪快であれば、シューヴェルトの剣は華麗と言えるだろう。美しい太刀筋は、触れた者の世界への別れを告げる。
 「今は優勢だが、戦力差は大きい。少々卑怯かもしれないが──」
 この状況で、シューヴェルトは起こりうるリスクに備え、慎重に次に取るべき手を考えていた。

●対決、巨大パンツ男爵

 その巨大なカウボーイハットを被った人型(?)の芋の元にジョージがたどり着く。
 巨大パンツ男爵は、周囲に無数のパンツ男爵護衛を侍らせ、土を掘り起こして新たな仲間を必死に探していた。巨大パンツ男爵のどこについているかわからない目線で見てみれば、軍隊を黒子の砂嵐にめちゃくちゃにされ、そしてその軍隊をさらに弾きながら突っ込んで来る大男が居る。
 その大男よりも大きな図体を持っていながら、それでも過分に怖い。

 「アンタが頭目だな。」
 焦る巨大パンツ男爵が言葉を遮るように近くの護衛を束にして放つ。それを右腕で受けて弾くようにしながら、ジョージが己の拳の届く距離まで走って詰める。距離が詰まったジョージに再度側面から襲いかかる群れを、今度は強く握り固めた左の拳で弾き飛ばす。青く揺らめく拳は、そのまま巨大パンツ男爵の太い腕を深くグシャリと凹ませた。
 「──俺が食うか、アンタが奪うか、全力の戦いをしよう。」
 接近戦は不利と悟る。巨大パンツ男爵は距離を取り、群れを放って更に距離を取る。再びパンツ男爵の波に逃げ込もうと全速力で背を向けて走り出す。そのとき、足を目掛けて数発、銃弾が着弾した。勢いで転び、転がっていく巨大パンツ男爵。
 「私は海賊、マヤ ハグロ!人の苦労を、楽しみを奪うばかりか、惨めな姿に変えて喜ぶ輩を許さない!大人しく私に倒されなさい!」
 素早く再装填を終えたマヤのリボルバーが、再び巨大パンツ男爵を狙う。飛び起きた巨大パンツ男爵が、冷静さを失いマヤへと一直線に走っていく。銃弾を正面から受け続け、しかし勢いは衰えずに突き進む。身体の巨大さに物を言わせて死にものぐるいの突進を強行する。
 その身体が再び宙を浮き、畑の土の上へと転がった。銃声が続けて3度、今度はシューヴェルトのデザートイーグルの《精密射撃》が、巨大パンツ男爵の右足に続けて突き刺さり、破壊していた。
 巨大パンツ男爵が転がったままの体勢ですぐに群れを招集する。そのまま自身へ近づくマヤへと攻撃を命じた。片足でも、また距離を取って群れに紛れれば逃げることもできるかもしれない。それは巨大パンツ男爵が、ジョージ相手にも見せた逃げのための手段だ。
 だが、群れはいつのまにか統率を失っていた。僅かに招集に応じたパンツ男爵も、マヤのリボルバー銃にすぐに撃墜された。離れたところでは、僅かばかりパンツ男爵たちが、なぜか多数の農民たちによって次々に捕まっていた。
 「放置すれば世界的な大災害へとなるだろう。だがここは君たちの土地だ。それを止めれば、君たちは君たち自身の、そして世界の英雄の1人になれるはずだ!」
 シューヴェルトが銃を降ろし、農民たちへと声を上げていた。彼らが歓声を上げ、再びパンツ男爵たちとの戦いへと向かうのを確認する。そうしてシューヴェルト自身ももう一度、巨大パンツ男爵へと銃を向ける。
 「僕は多数相手の戦いには手段が限られている。だから少々卑怯かもしれないが、こういう手を取らせていただいた。」
 起こりうるリスクから全てを、シューヴェルト自身の下着も含めて確実に守るための手段を、彼は考え続け、そして講じていた。結果として、シューヴェルトはほとんど無傷で、安全地帯から一方的に巨大パンツ男爵を射撃できる状況を獲得していた。
 「群れは残っておらず、そちら様は1人を倒すことも難しいのです。状況はこれでほとんど決したのです。」
 パンツ男爵の残る群れを停滞の砂嵐で落とし、黒子が呟く。群れを駆使してジョージから距離を取る様子を見ていた黒子は、もう1つの術式《奪静》によって、パンツ男爵たちから冷静さと、軍隊としての機能を奪い、本能のままに飛び交うだけの鉄砲玉へと変えてしまっていた。
 仲間を失い、片足を失った巨大パンツ男爵に、マヤのサーベルが突きつけられる。
 「さっきまでの勢いはどうしたのかしら?まさかこれで終わりとか言わないよね?」
 最後の力を振り絞って、巨大パンツ男爵がマヤへと飛びかかる。突きつけられたサーベルが振り上げられ、マヤへと叩きつけられようとした拳が真っ二つに《一刀両断》された。
 「これが海賊の戦い方よ?悪く思わないで、あなた達の不運を呪いなさい。」
 片腕も失った巨大パンツ男爵が大きく吹き飛ばされる。その先には、強く拳を固めて力を溜めるジョージの姿があった。
 「世界が変わろうと。弱肉強食こそ変わらぬ世界の摂理だろう?」
 《海鳴》の拳が、空気を切って放たれる。最後に残り間に割り込んだパンツ男爵の群れを砕き、抵抗するために突き出した巨大パンツ男爵のもう片腕すらも貫き、そして本体へと届いた。

●パンツ男爵パーティ

 「何この味?!私には無理だわ、魚の餌にでもするわね。」
 マヤが出来たて蒸しパンツ男爵に対して新しい使い方を突きつけ、その斬新さに集落から驚きの声が上がったのは、戦いが決着して数時間後のことだ。
 巨大パンツ男爵の沈黙後は、勢いづいた農民たちの残党狩りがあっという間に進んだ。収穫済みのパンツ男爵は、集落の女子供の手で次々にパンツ男爵料理へと姿を変えていった。残念ながらマヤの口には合わなかったのだが。
 「さて、面白そうだが、どんな味か。」
 ビリビリの衣服からの着替えが済んだジョージはフライドパンツとパンツサラダを手に入れていた。倒した獲物をしっかり頂く、食材を無駄にしない、ジョージなりの流儀であった。
 どのような味がしたのかは、ご想像にお任せしたい。


 ところで、これは余談だが、着替えるまで男の色気を存分に発せずには居られなくなったジョージは、替えの衣服にたどり着くまでペンギンの姿で居ることになった。その姿をペンギンを知らない集落の子どもたちに見られたために、しばらくの間大人気であったという。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM