PandoraPartyProject

シナリオ詳細

甘くおいしいぺちゃのパイ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●その名を口にするとムキャる奴がいる
「きっと絶対美味しい! そんな噂を信じるって、それって乙女っぽくってとってもとってもかわいくない?」
 その言葉に聞き覚えがある。だが、フラン・ヴィラネル (p3p006816)は、深緑の噂話を思い浮かべてはえへへ、と笑みを浮かべるのだ。
 深緑育ちの幻想種。彼女は、ルンルン気分で「たのもー!」とローレットの扉を開く。
「たのまれた、訳ではないのですがおかえりなさい?」
 穏やかに返したマギー・クレスト (p3p008373)はルンルン気分のフランに首をかしげる事しかできない。こんなにも楽しそうなフランなのだ。そして、その背後から「聞いた!?」と走ってくる炎堂 焔 (p3p004727)を目にしても、さぞ楽しい依頼がローレットに舞い込んできているのだろうとマギーは微笑ましげに見守っている。
「聞いた!」
「聞いたよね!」
 ローレットの受付でユリーカとばば抜きをしていたリディア・ヴァイス・フォーマルハウト (p3p003581)が「揃いました」と微笑んだその声に「ぎゃあ」と潰れたかえるのような声をユリーカが上げたが、背後の喧騒に消え去っていく。
「何の話でしょうか」
「さあ……? 面白い事があったのかな」
 受付テーブルに、資料を戻しにきたリウィルディア=エスカ=ノルン (p3p006761)にユリーカはぐすぐすと言いながら「ありがとです」と小さく呟く。
「なんと、深緑で実がなるぺちゃっていう木があって!
 ぺちゃの実でパイを作って食べればお胸が大きくなるんだって! 噂だよ? 信じるか信じないかは貴女次第ってやつなんだけど!」
 フランの言葉に焔は「ぺたん湖よりは信憑性があるらしいよ!」と告げた。聞いた事があるとユリーカが呟くものだから――
「えっ?」
 情報屋(ぽんこつ)までそういうのだ、ルアナ・テルフォード (p3p000291)は思わず小さく声を漏らす。
「ルアナさん……?」
「あ、ち、違うよ? べ、別に気にして……気にしてなんか、気に、して、なんか、ない、けど、噂なら調査が必要かなって」
 尚、この台詞は少し前(ぺたんなみずうみ)でも口にした気はしていた。ルアナは気にしない。
「胸が大きく? 其れは何かの奇病ではないんだよね?」
 心配そうにそう言ったマリア・レイシス (p3p006685)にユリーカが「ぺちゃの実はリキュールの材料にも使われるらしいのです」と告げた。
「往こうか」
「うんうん! それで? ぺちゃの実って何処に?
 大丈夫。ちょっとでもあった方がルークも喜ぶかもとかは思ってないし、貧乳を気にしてるわけでもないよ! ただ、噂に乙女たちが振り回されるのは可哀そうだから!」
 この言葉もいつかの日告げた。ノースポール (p3p004381)はやる気を漲らせていた。
「そういえば、リリファさんともぺちゃのパイの話はしたのです。
 リリファさんは食べても無駄って亮さんに言われてむきゃってたですけど」
「ええ!? じゃあ、リリファちゃんにもお土産にしないとね!」
 焔はにこやかにそう言った。勿論、ユリーカにだって土産にしてあげなければならない。
 それにしても、ペチャパイだなんて。不吉だ。
 そんな事を考えながらイレギュラーズ達は、ペチャのパイを食べに向かうのだった。

 ――噂にはあと少し尾鰭がついていて、『食べたら大きくなる幻覚が見えるだけ』というのは同じ平たい胸族のユリーカにしても何も言えないのであった。

GMコメント

リクエストありがとうございます。
おおきいことはいいことだ。わかるよ、うんうん。

●成功条件
 魔物を撃退しよう!

●深緑の噂
 ペチャという木になるペチャの実のパイを食べればお胸が大きくなるらしいぞ!
 今回はおばあさん(巨乳)がペチャの木の傍に出たモゥ獣を倒して欲しいそうです。
 倒したらおばあさん(巨乳)がペチャのパイをご馳走してくれるぞ!

●近くの魔物『モゥ獣』
 たわわお胸を持つ牛の魔物が済んでいるぞ。ペチャの実をえさにする水陸両用生物だ。都合がいいぞ!
 そのお胸から絞られたモゥミルクは結構おいしいらしくお胸が大きくなる効果があるとも言われているぞ。
 ちょっとこてんぱにすると驚いて逃げていっちゃうぞ。
(ある程度ちょちょいと戦闘を頑張ってくださいね! こいつのお乳もお胸が大きくなる効果をもってるらしいですから! ね!)

●ぺちゃ
 ぺちゃっとした実を実らせる木です。実の味はクランベリーを思わせます。
 また、リキュールなども作り出す事ができますよ!
 ちなみに何かすごいかっこいいラテン語的な正式名称がありますが実のことを由来にしてます。

●ぺちゃぱい
 食べるとお乳の大きくなる幻覚を見ます。性別が不明?男の子?女の子?
 関係ないです!なんたって幻覚ですから。しかし、幻覚なので、自然に覚めます。
 尚、ぺちゃぱいをつくるおばあさんは巨乳ですが何も関係ありません。悔しいね。

●でんじゃー
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない『心』の死亡判定が有り得ます。
 おむねないない……おむねないない……。

おおきくなるといいね! よろしくおねがいします!

  • 甘くおいしいぺちゃのパイ完了
  • GM名夏あかね
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年08月01日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ルアナ・テルフォード(p3p000291)
魔王と生きる勇者
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
叡智の娘
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
マギー・クレスト(p3p008373)
マジカルプリンス☆マギー

リプレイ


 ――例え、『絶望を砕く者』ルアナ・テルフォード(p3p000291)の称号が『絶望を砕く者』であっても砕けない絶望がそこにはあるのだ。

「前回の悲しい事件はもう忘れたの! あれは過去の事なの!」
 そう、ルアナは言った。練達の絶望試験での『絶望』を砕けても深緑の長閑な与太話(ぜつぼう)を砕けなかったことを思い出して悔しげに歯噛みした。過去、と首を傾げた『小さな決意』マギー・クレスト(p3p008373)はそっと、自身の胸に手を当ててときめきを隠せずに居た。
(お、おむねが大きくなるなんて夢のようなお話を聞いたのです。ご、ご一緒させて貰いました!
 いえ、ボクは別に大きさに悩んでいるわけではありませんが……『まな板ムリ……』とか、そんな理由で、破――……)
 其処まで考えてから首を振る。そんな杞憂なんて今は必要ない。だって、これからたゆんたゆんになって大人っぽい服を着て『たゆたゆ万歳!』って言って貰うのだから!(希望的観測)
 その頃、ルアナが『過去の絶望』について語っていたが、マギーの耳には入ってこない。
「うんうん! この夏、あたしたちは一つ大人になる!
 そうだよね同志のみんな、それにユリーカ先輩、リリファ先輩、リーゼロむぐ!?」
『PPP(おむね)』フラン・ヴィラネル(p3p006816)の口を塞いだのは『雷光・紫電一閃』マリア・レイシス(p3p006685)だった。何が何だか分からないが止めておかないと危険が及びそうだと感じたからだ。
「胸が、大きく……あの人も、やっぱりそう言う人が好きなのかな」
『銀なる者』リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)の乙女心――だから不明だってば!――が揺れ動く。そ、と秘密の胸板に手を添えたリウィルディア。呟きは深緑の美しい木々に掻き消えた。
「胸か~……ふ、ふ~~ん! ペチャの実ね! ああ、はいはいはい!
 私はーそんなに興味は無いんだけど! おばあさんが困ってそうだし協力するよ! ま、まああ、まあ、うんうんうん、お胸なんて大きすぎても邪魔になるだけだしね! ね!」
 震える声でそう言ったマリアに「でも、あると嬉しいよね?」とフランはそう問いかけた。そう言われるとそんな気がしてくるなーとちらちらとフランを見るマリア。
「そうですね……今回はモゥ獣退治依頼人の『お胸の大きい』おばあさんがペチャの実のパイを作ってくれるというからもしかしたら今度こそ……?」
 淡い期待を胸にしつつ。『木漏れ日の魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)は事実を客観的に照らし合わせたならば『お胸が大きい』おばあさんがペチャの実を呉れるのだから叶うでしょうと静かにそう言った。内心ではスキップしそうな位喜んでいるが冷静な態度をとるリディアはモゥ獣からミルクを絞るためにツボと樽を用意していた。
「そういえば、持ってきたんですよ」
 4サイズ程大きな服。その言葉に『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)は「あ、皆もお洋服必要ですよね!」とにっこりと笑みを浮かべる。
「え? 貧乳? 気になるわけではありませんよ。でも、噂が本当か確かめなければいけませんし!
 ええ、イレギュラーズってそう言うものですし! ショックを受ける乙女が出るのは忍びないですしね!」
 子ロリババアのモニカに大量の樽を摘みながらノースポールは「服屋さんに行かないといけませんね!」と明るい笑みを浮かべた。
「今度こそ、今度こそ噂は本当のはずだよね!
 あっ、タンスの奥底に封印してたあの服もちゃんと持って行かないとね。
 ボク達は大きくなった時用のお洋服も持ってるけど、まだ用意してない人もいるもんね。早速服屋さんに行こうか!」
『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)はにんまりと笑った。途中で服屋さんに寄っていこうというイレギュラーズ――その様子を見ると噂を『調べに行く』のでは無くてそうなることを信じている。どれ程まで、彼女たちは胸板(そう呼んではいけない)のことで悩んでいたのか。平らな胸族であろうとも――それでも、それでも淡い夢くらい見たかった。
「ほら、今の時期だとまだ水着とかも必要になるかもだし?
 今年の水着は用意しちゃったけど着られなくなっちゃうなぁ、困ったなぁ、新しいの用意しないとなぁ、いやぁ本当に困っちゃうなぁ、うふふふふ」
「折角だから水着も欲しいなぁ……あっ、これにしよう!」
 編み上げで調節できる胸元の開いた水着を手に取ってノースポールはこれも最大まで緩めなくっちゃいけなかったりして、なんて小さく笑った。
「服を買うんだね。成程。まぁね! 念の為だよ! まぁ名物みたいなものだし? 試してみるのも面白いじゃないか!!」
 ゆったり目のスポーツタイプの下着とシャツ、パーカーを購入してまんざらではなさそうなマリアの隣でリウィルディアは悩んでいた。服のサイズを名山にと行けないと言われれば――『不明』なのだ。だぼっとしたヤツで『いろいろ隠して』置かなければならない。リウィルディアが男であろうと女であろうとも不明であるという絶対的な素敵なステータスをむげにしてはならないのだ。
「……どれだけ、大きくなるんだろう。うぅん……羽織るものと、あとは絞れるタイプのブラウスにしようか、うん。これがちょうどいい、はず」
 乳が大きくなるのに性別は関係ないのだ。そう、例えフランのお胸が男の子のようにぺったんこであっても、雄っぱいとして立派に育ってくれる可能性もある――失礼、彼女は女性です。
「木立、いっぱい水筒を積んでね。いやー、困っちゃうなー。ねー? 困るよねー?」
 フランの用意した水着をマギーは知らない。お胸に余裕がある大人っぽい服とホルターネックを用意していたマギー。谷間を考えるだけで照れた彼女は「どんな者を用意したんですか?」と首を傾げる。
「えー? 聞いちゃう? 今回はねー、みんなでちょーせくしーな水着を選んできたの!
 あたしのすごいから。三角でひもだから。もうフリルとかいらない!
 あっでもせくしーすぎると大変だからね、前の……あれを着て、ひよこさんをおむねに詰めておくよ」
 モゥ獣のみる区を用意して、沢山ミルクをとってミルクパンにミルクジャムにホットミルクにクラムチャウダーに。ああ、夢って! 何でこんなに! 幸せなのかしら!


 その日、モゥ獣は思い知った。平らな胸族とは斯くも恐ろしいものであるのか、と。
 ずんずんと進んできて真っ先にお前を逃がさないと言わんばかりに襲いかかってくる。あれが悪魔で無ければ何だというのか!
 集中力を高めて、やる気を目一杯に漲らせたマギーの瞳は笑っていない。別に大きさに悩んでないっていってたのに……。
「これがモゥ獣…。ミルクが美味しいらしいね! 私はミルクに目が無くてね!」
 マリア・挙動不審・レイシスは「是非一度飲んでみたいものだなあ」とモゥ獣へとそそくさと近づいていく。殺さないように気を付けなくては、と視線を下げれば流石にたわわな獣の乳がぶら下がっている。
(くっ!!!! 魔物ですら!!!)
 魔物ですら――――!!!
「ぜったい にがさない。ブロックしてあたしが壁に……絶壁じゃないもん!」
 今回NO.1自虐娘のフランはそう叫んだ。サマフェスで浴衣の着用の為に必要な品にタオルと書いてあったことを許してはいけない。何に使うんだろうと持っていけば着付けで使用されている。「はい」と差し出せば「あっなくて大丈夫ですね~」とさらりと流されたことを許してはならないのだ。
「だから! あたしは! そのおちちを飲む! 喰らえ! おちちおいてけビーム!」
 モゥ獣もびっくりである。こんなにも襲われたことはそうそうない。
「成程、あれからミルクを分けてもらわなければならなんだね……」
 動けない状態で殴る(比喩表現)と心に決めたリウィルディア。出来る限り優しく優しく――傷つけないようにと『ミルク』への熱い思いが存在している。
「えと。あれがモゥ獣さん……でいいのかな?」と興奮させないようにそーっと近づいてたルアナ。この場に居る者達の目が――笑っていない! もはやモゥ獣と言う愛らしいモンスターよりもその乳から抽出される液体にしか興味が無いとでも言う様に!

 ちなみに、ルアナ・テルフォードについての一つ大事な知識が存在する。彼女はギフトの姿で大人になれば『そこそこたゆんたゆーん』で美人なのだ。確定された未来でたゆんたゆんになるのだ――!(※これはオジサマ以外は知りません)
 オジサマに言わせれば「そうやって薄着で誇らずにしっかりと服を着なさい。風邪を引く」とのことなのだが――『確定的未来』であるかどうか何て今のルアナには分からない。もしも世界が分岐してお胸が『ない』勇者ルアナ・テルフォードになってしまったならば……。

「今、たゆんたゆんになろう! 今! 確実に! おむねを!」
 こくりと頷いたリディア。もう勢いよくモゥ獣を撃退するべく奔る彼女に続いて風の様に進むのはノースポール。
「絶対に逃がしませんよ!!」
 さっき貧乳が気になる訳じゃないって言ってたのに……。
 絶対に逃がさないって……。
「モゥ獣を撃破します!(ただし、モゥミルクはきちんととります)」
 ノースポール頷いた。パイをごちそうになるなら美味しいミルクも必要だもんね、と焔は『気を利かせたような顔をして』いそいそとモゥミルクを搾取している。その手つきは慣れたかのようにスムーズだ。


「動いたらお腹空いたなー、甘いのほしいなー、パイとか」
 そう告げたフランにおばあさんは「つくろうねえ」と微笑んだ。
 ペチャのパイ――ペチャパイ!!!――を作るねと微笑んだおばあさんに礼を言ってからノースポールは4サイズ程大きい服と水着を着用する。おばあさん(巨乳)が作るパイでお乳が大きくならないわけがないだろう!
「おばあさんのお胸も大きかったし、やっぱり今回はちゃんと効果があるんだよ!
 リリファちゃんやユリーカちゃんの分は作り方を聞いて皆で作ってもいいかも。
 あーーふふふ、リリファちゃん、ユリーカちゃん、ごめんね、ボクは一足先に向こう側に行ってるよ、いただきまーす!」
 すさまじい勢いで煽る炎堂 焔であった。リリファ・ローレンツがこの場に居たならば「ムキャアアア」と叫んで卒倒しているレベルなのだ。
「はっ! 凄い! 食べたらすぐにこんなに大きく! しかも今回は幻覚じゃなくて現実のことなんだよね!」
 焔の言葉にこくこくとノースポールが勢い良く頷く。
「……わわぁ! これは凄いです、本当にお胸が大きくなりました!」
 編み上げを緩めないと苦しい、といそいそと緩めたノースポールは大きな服もぴったりですねと4サイズ程大きな服を身に纏ってくるりと回ったノースポールはにいと笑みを浮かべる。
「そして服を脱げば……じゃーん! たわわな水着姿!」
「こ、これは!! すごい! 割と大きくなってる!!
 コホンっ……! 少し落ち着こう……。ふふ……。そこまでは大きくなってないけど……2サイズは大きくなっているのでは……。えへへ……」
 ぺちゃぱいを食べながらマリアはそっと自身の胸元に手を当ててにやけた。そこには確かに膨らみがある。膨らみが、ちょっとでもいい。ある。確かにあったのだ。
「えへへ……すごい……」
 マリアの言葉にリウィルディアは緊張したようにぺちゃぱいを見つめている。おばあさんが作成する際には「モゥ獣のミルクを生地に練り込むってどうだろう」とお手伝いをしたリウィルディア。おばあさんは了承して生地にも練り込んでくれたのだから、もっと効果が上がっている筈なのだ。
「焼きあがったら実食だね。ふふ、眉唾だろうけど、それでもどれほどの効能があるのか気になるものだから……っ、大き、く……!? これがぺちゃぱいとモゥ獣の力……!」
 膨らんでいる。やっぱり、あの人もこっちの方が喜ぶかもしれない。性別が不明だって膨らむものは膨らむのだ。今のリウィルディアはどちらかといえば女の子だ――華奢な体にふんわりとしたバストがふたつ。其れで男なわけないだろうと言わさんばかりの柔らかさがそこには存在していた。
「いただきます。ペチャの実のパイ、甘くて美味しいです!」
 モゥミルクも飲みながらのペチャの実パイを食べ続ける。とても美味しい。そう、美味しいのだ。リディアはほう、と息を吐いてからその視線を――下へ――!
(お胸が大きく……?)
 真下を見ても其処に存在するのは膨らみだ。座った姿勢ではテーブルに乳が乗っているような気さえする。服が持ち上がって、腹回りには布は当たらない! つまり、其処に存在するのは! 

 \ 谷間! /

「そうです。本来こうなるはずだったのに、それが今まで遅れていただけだったんです。
 これなら水着も着れますね。ショウウィンドウに並んでいるマネキンの胸に膨らみがあって参考にならないなんて事、もうありませんね……!」
「うんうんうん!!! これでおむねも育つね…うへへへへいただきまーす!!!」
 もぐもぐと勢いよく食べるルアナは「おおおー!」と叫んだ。ジャンプしたらたゆんたゆん。ちょっぴり痛い気もするけど多分気のせい! 柔らかいものがある。予め着ていた大きめサイズのお洋服がぴったりサイズ!
「やったあああああああああああああ!!!!」
 大騒ぎのルアナの声を聞きながらマギーはにっこりと微笑む。
「ボク、今日のために調べてきたんです。
 ミルクと相性よくておむねにも効果あるものを……それはこの『きなこ』です!
 よければ、皆さんもきな粉ミルクにしてぺちゃのパイと一緒にいただきましょう」
 マギーの言葉におばあさんが「いいねえ」とずいずいと寄ってくる。お洋服へ着替えてからの念願のぺちゃぱい――今はちょっとお洋服に隙間があるけど気のせいだよ――だ。
「おねえさんっぽくなってますか!?」
 口紅を塗って谷間をアピール。そしてナイスバディなマギーにフランは「お姉さんだ~!」とにんまりと微笑んだ。
「あたし甘いもの大好きだもん、誰より食べるよ! 下向いたら足が見えなくて、ビーチバレーがたいへんで……えへへ」
 何も見えないんです。下を見れば。もうそこにはふくらみが存在していて、ナイスバディすぎて卒倒しちゃうなこれは、と笑いながらフランは「えへへえへへ」と笑いながらパイを食べる。パイのかけらがころんと落ちてお胸の上に乗った事に「照れちゃうなあ」とフランは頬を掻いた。

 ――だが! 無情にも!
「え、おむねが……おむねが……ない……?」
 呆然と、マギーが呟いた。その時、魔法が溶けたように、皆は現実へと戻ったのだ。その場でお胸が大きいのはおばあさんだけ! ただそれだけだ!
「……あああああああああ? まって何か嫌な予感がする。今回もなの? ちがうよね? 今回こそ本当だよね?」
「私のお胸はぺたんこじゃないし、まだ大きくなる可能性はあるもん!」
 叫ぶルアナとリディアの声に我に返った様に胸に手を当てたノースポールは「え……?」と地平線を見つめた。なだらかで美しい地平がそこには存在している。水着は編み上げをぎゅうぎゅうにしても隙間が存在しているようにさえ感じる。
「あれ? お胸は? ねえ、お胸は何処に言ったの?」
 焔の言葉にノースポールは唇を戦慄かせた。これって――こんなことって。
「う、嘘。嘘だよ。さっきのは現実だった。ボクは一足先に全ての向こう側に行って……そう、ここに、こんな風に、テントが……ち、違う……」
 頭を抱えた焔。呆然としたようにマギーが首を振り、フランは「嘘」と何度も繰り返す。
「今度こそはって!」
 叫んだ。心は最早ズタズタである。
「今度こそは大丈夫って!」
 そう信じていた。信じて居たかった。しかし、世界は儘ならない。混沌世界がフランのカップサイズを肯定しないかのように無情にもそこには平な壁が広がっている。
「大丈夫って言ったじゃない!!」
 その声にリウィルディアは「そういえば、言っていただろ……あの、奇跡を……」と顔を上げる。
 ハッとしたようにフランは頷いた。
 ルアナの、リディアの、ノースポールの、焔の、マリアの、リウィルディアの、マギーの、そして、フランの――!
 想いをすべて込めて叫ぶ。奇跡を乞うように。

 ―――PPP(ぽよよんぱーてぃーぷろじぇくと)!

 叫んだ。皆は心のパンドラを燃え尽くして……それでも、奇跡は手に入らないからこそ奇跡なのだ。
 無情だ。あまりに無情。
 得れたのは優しいおばあさんの笑顔と、ぺちゃパイがおいしいという事。
 そして――自分の胸元が平らだという実感だけだった……。
 マリアは呟いた。
「どうして……」
 現実は非情だ……。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

平らな胸族―――――!

ご参加有り難うございました。
立派でした。心のパンドラ使用しときます。

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