シナリオ詳細
ホーリーロードに血の轍
オープニング
●明けては鴉の餌になれ
「私たちは油断していたの。奴らはただのイカレ野郎だって……誰もが馬鹿にして、放置した」
グリーンのキャップを被ったブロンドの女が、中折れ式のライフルを肩に立てかけてうつむいていた。
「農場を買って居着いたときには、ただ無視するだけだった。そうすれば関わらずに済むとおもったから」
ゆっくりと、光景は引いていく。
「けれどすぐに近隣の傭兵団を買収した。次に商人。武器弾薬を買い占めて、あちこちへ略奪を始めた。土地に入れるべきじゃないとその時になって気づいたけど……もう遅かった」
彼女の周りには無数の死体。
男性。老人。子供。犬や猫。家畜。血と虫でいっぱいになったガレージの中心で、彼女の両足はなかった。
「だからお願い」
女は。
あなの目をじっと、強く見つめた。
「『元に戻して』なんていわない。
ただ奴らを……奴らをぶち殺して」
●YES、YES、YES――
「僕らはみな罪人だ。君も、君も、かの国の王や女王でさえ罪深い」
清らかな聖歌が流れる花畑で、ジーンズジャケットを羽織ったサングラスの男が歩いている。
「罪から逃れ、みんないまも苦しんでいる。けどもう心配ない」
黒人女性の両肩をぽんと叩き、ゆっくりと前後に揺する。
「受け入れれば、もう苦しくなくなる」
優しく、ゆりかごの赤子へ語りかけるように男は続けた。
「受け入れるんだ。イエス、受容せよ。イエス、受容せよ……もう大丈夫だ」
語りかけられた女性は、顔をすすだらけにしていた。
口はダクトテープで塞がれ、両手はバンドで固定されていた。
涙だけが頬に線を作り、小刻みに震えている。
「ああ……だめだ」
男は。
ジャック・シドーは悲しげに首を振った。
「彼女は受容できない。僕たちが導こう! 罪を刻み、表すのだ!」
取り出したナイフを女の胸に突き立てると、吹き上がる血を浴びながら『SIN』と彫り込んだ。
塞がれた口で泣きわめく女を、バラクラバを被り肩にアサルトライフルをさげた男達が抑えている。
会場には……ファーキャンディー農場には、ただくぐもった悲鳴と歓声と聖歌だけが響く。
●破壊と強襲
「私たちが受けた依頼は『ファーキャンディー農場』を占拠したカルト宗教団体の壊滅よ。
宗教団体『YES INSTITUTION』は心に傷を抱えた人々を対象としたセミナーだったけれど、昨年にファーキャンディー農場とその土地を縄張りにしていた傭兵団を買収。
更に周辺地域への略奪と拉致を続けることでカルトとしての凶悪さを増していったわ。
既に沢山の犠牲が出てしまっているけれど、これ以上の犠牲を出さないことはできる。
……いいえ、そうしたいと、依頼人は望んだのね」
ラサの一角にあるバー。
カウンターによりかかった『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)は憂鬱そうにグラスをまわしていた。
「私たちは雇われて仕事をこなすだけ。そういう意味では傭兵と変わらないかもしれないわ。
けど、もしかしたら……依頼人が真に望んだことをかなえられるかもしれない。
徹底的に『くらわせてやる』ってことが、ね」
プルーが提示したのはファーキャンディー農場は広大なカボチャ畑だったが、今は収穫物もなくただ『儀式』ばかりが行われている。
教祖であるジャック・シドーと、彼が『兄弟(ブラザー)』と呼ぶ信者達がテントや寝袋を持ち込むことで集団生活を送っているというが、彼らはみな武装し、近づく勢力があれば武力にる排除を行うだろうとみられていた。
「農場の後ろは大きな岩山でふさがれていて、正面は低い柵や沢山の大きな木箱が放置された状態よ。
常に武装した信者たちが野外で軽い警戒や『儀式』を行ってるだろうから、突入のしかたはある程度選ぶことになるけれど……」
プルーはとんとんとカウンターを指で叩き、パッと手を開いて考えを途中でやめるような仕草をした。
「やり方は任せるわ。身を潜めてすぐそばまで近づいてもいいし、強力な魔法を乱射しながら正面から突撃してもいい。空から急降下をかけたっていいわね。
集まるメンバー次第でできることは無限に変わるはずよ」
プルーはカウンターから酒瓶とコーラの瓶をそれぞれとると、あなたの前にドンと置いた。
「まずは自己紹介をしあって、できることを確かめましょ。
そしてやるべきことはひとつだけ。
分かるわよね?
そう――『くらわせてやる』のよ」
- ホーリーロードに血の轍完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年07月28日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●麦はいつ折れる
風の吹く丘の上。
音楽再生装置とアンプによって聖歌が大音量で流れている。
「…………」
長い長い髪をなびかせて、『神話殺しの御伽噺』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)はそんな農場の教会を見下ろしていた。
もとあった農場の建物をそのまま使ったらしく、教団の旗がたっている以外はごく普通の農場にも見える。あちこちにたつテントを除けば。
「何を考えてる?」
高所より降下し、ホバリングをかけながらゆっくりと隣に着地する『救いの翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)。
それに気づいて、エクスマリアは小さく口を開いた。
「何を信じ動くも、自由ではある、が。何事にも報いは、ある」
「報いか。優しい言葉を使うんだね」
ならおまえはどう思う。そんな視線を返したエクスマリアへあえて振り返らず、ミニュイは冷たい目で教会を見下ろした。
「死ね、狂信者」
空を旋回しながらゆっくりと下りてくる小鳥。
「近づけるのはこの程度が限界、かな」
マルク・シリング(p3p001309)はボードに図を書いて、小鳥を肩へと着地させた。同期させていた五感情報を切断。自由行動状態にさせる。
蒼い小鳥を興味深そうに指にのせる『鋼の拳』オリヴィア・ローゼンタール(p3p001467)。
「これを使えば気づかれずに情報が探れるんですか?」
「そこまで便利なものじゃあないよ。比較的誰でも扱うことができて世界的にも周知されてる技術だからね。不自然な飛び方をすれば操っていることに気づかれるし、射撃射程範囲内を飛んでいれば簡単に打ち落とされてしまうからね」
そのためだけに死んでしまっては小鳥も可愛そうだ、とマルクは肩をすくめて微笑んだ。
「そういうものですか……実地は勉強になりますね」
これまでひたすらに鍛えてきたオリヴィア。外に出なければ、世界を回らなければ分からないこともあると知る瞬間でもある。
そしてこれもまた、彼女の鍛錬の一環であった。
「それにしても……ひどい集団ですね。
私にも信仰心というものはありますが、あくまで私の中のもの。
人に無理矢理押し付けるようなものは、ただの傍迷惑な妄想です」
「その通りよ」
『「Concordia」船長』ルチア・アフラニア(p3p006865)が丘から施設までの距離を指を使って目測していた。
片目を瞑ったまま語る。
「誰が何を信仰していても、問題はないのだろうけれど。
他人に信仰を強制したり、まして受け入れられないなら殺す、なんてことは到底認められないわ。罪深いのは彼らの方よ」
彼らの信仰や安堵のために……いや、たったその程度のために犠牲になった人々のことを考えて、ルチアは顔をしかめた。
岩に腰掛け、大きな剣を背負った『アートルムバリスタ』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)。
「別に今更正義の味方ヅラする気はねえさ。傭兵の仕事にゃ汚え事だってごまんとある。
買収、略奪、紛争。ラサってのは自由な国だ。そうやって争うことだってあるだろうよ。けどな……」
隣に立っていた『花盾』橋場・ステラ(p3p008617)が、ルカが激しい殺意をあらわにしたのを直感した。
思わず得物にてをかけてしまうほどに、それは露骨なものだった。
「それでも我慢できねえもんはある。ぶっ潰すぞ」
「……はい」
立ち上がり、丘へと移動を始めたルカ。
その背を見送って、トラオム(p3p000608)は腰の刀にそっとてをかけた。
「確認しよう。今回の作戦は二面作戦。俺たち地上班が正面から攻撃を仕掛けるのと同時に、丘側からの降下襲撃が行われることになる。
敵は両方に対応するために分裂するだろうし、教祖であるジャック・シドーはさらなる敵の増加を警戒して立てこもることになるだろうね」
「つまり……敵の防衛を突破できればこちらの勝ち、ということですか?」
要約したステラに、トラオムはハンサムな笑顔で頷いた。
「そういうこと。シンプルで助かるよ。警戒すべきは各個撃破。今回のメンバーは集中的に攻撃を受けると危ないからね。できるだけお互いをカバーしながら進もう」
大丈夫、やれるよ。トラオムはそう言ってステラの肩を叩くと、自分もまた教会へと歩き始めた。
●獣のように
身をかがめ、足音を殺してゆっくりと進む。
オリヴィアは大きな木箱や植木の影を点々と移動しながら、どこか退屈そうに立っているカルト兵へと近づいていった。
「誰かいるのか?」
アサルトライフルを手に振り返る兵士。
木箱に背をつけ、屈み、息を殺すオリヴィア。
「猫かネズミじゃないのか」
別の兵士がぼんやりとそう答え、教会のほうをむいてあくびをした――その瞬間。
物陰から飛び出したオリヴィアは兵士襟首を掴み、顔面に強烈なパンチをたたき込んだ。
不意打ちにまるで防御できずよろめく兵士。倒し切れていないがそれでもいい。
オリヴィアは流れるような後ろ回し蹴りでカルト兵をノックダウンさせると、物音に気づいたもう一人の兵士へと振り返った。
「貴様? ……敵だ! こっちへ来い!」
仲間へ呼びかけながらアサルトライフルを乱射。ひき撃ちをかける兵士。
オリヴィアは深追いせずに再び木箱の裏へと飛び込み、かわりにトラオムとステラが突撃をかけた。
「正確な数を悟られたくない。ジャミングはできるか」
「はい――」
ステラは解放された異能のひとつを使ってテレパスジャミング波を発信。ライフルを乱射する兵士めがけて正面から突っ込んだ。
ダメージは覚悟の上。相手が柵にぶつかって後退しそびれたところへ、急速接近と共に大上段からグレートソードを打ち込んだ。
カルト兵と柵が同時に破壊され、その物音でさらなる仲間が呼び寄せられる。
対して、トラオムは助走をつけたジャンプで柵と木箱を一気に飛び越えると出てきたばかりのカルト兵を蹴り倒し、倒れたところに刀を突き立ててトドメをさした。更に、外向きに開きかけた扉を強引に蹴りつけて妨害すると、今度は扉を強引に開いて屋内へと突入していく。
「悪いが、命の心配をしてやる余裕はないんでな」
よろめいた兵士の首をコンパクトに切り落とすと、死体を盾にして広いロビーへと突っ込んだ。
一方こちらは急な斜面の上。
「さあ、『くらわせてやる』と、しよう」
エクスマリアは飛行石を装着すると、助走をつけて教会めがけて飛び出した。
同じく『風の紋』を起動して飛び降りるマルク。
「敵は一時的にだけど正面に注目してる。落下中の狙撃は減るだろうけど……万一の時は自力で対応してね」
「分かってるわ」
ルチアもまた跳躍。ジェットパックによる落下制御を期待しつつ途中までは自由落下に任せた。
「こっちからも敵だ! 誰か来てくれ!」
襲撃に気づいたカルト兵の一人がルチアめがけて発砲。
しかしルチアはそれを見越して盾をかざした。
『キリスト』を意味する文字が刻まれた銀の盾が弾を弾き、ジェットパックによる一時的な減速をへてカルト兵へのシールドバッシュをしかけて転倒させる。
「主はこのような狼藉をきっと、お許しにはならないでしょう……助けにきたわ」
うめきながら起き上がろうとする兵を強引に踏みつけにして、ルカは教会の屋上へと着地。
屋上への扉を開いて現れた兵たちがルカやエクスマリアへアサルトライフルの乱射をしかけ始めた。
「異教徒どもめ! ジャックの声を聞け!」
「うるせえんだよ!」
ルカは気合いをこめた拳を振り抜き、爆発的な衝撃でもって兵士達を吹き飛ばした。
屋上の柵をこえ、庭へ転落していく兵たち。
一方でエクスマリアとマルクは射撃をよけるために一度簡易飛行状態を解いていたようで、屋上とは別の教会丘側の庭へと着地していた。
両手を腰の後ろで拘束され膝をついた女性が顔を上げる。
彼女に銃を突きつけていた兵が、紋章のついた槍のような杭を振りかざしていた男が、それぞれこちらへと振り返った。
「――」
エクスマリアは合図も出さずに即座に飛び込み、幕のように広げた頭髪で女性を包み込む。
マルクはマルクでその意図を即座に察し、女性とエクスマリアをあえて中心にして魔術弾を撃ち込んだ。
光の爆発が広がり、カルト兵たちだけが転倒する。
「情報ありがとう。すぐに動けたよ」
声をかけたのは、すぐ上空から急速な急降下突撃をかけてきたミニュイだった。
庭へ飛び出してきた兵士が構えるよりも早く蹴倒し、足の鉤爪で喉元を裂く。
ミニュイは再び人助けセンサーを発動させると、屋内で助けを呼ぶ心の声があるのを感知した。
「囚われた民間人はまだ数人いるはず。気をつけて」
ミニュイはそれだけ言うと、再びすさまじい速度で空へと飛び立っていった。
●
暴風を突き抜け、滑空するミニュイ。
広げた翼を操作して右へ左へとうねるカーブを繰り出すと、放たれた矢やマシンガンの弾をよけていく。
とはいえ高高度での起動は難しいもの。数発の着弾をうけ、ミニュイはすぐさま高高度飛行を中断。二階ベランダにマシンガンを固定していた兵士に狙いをつけると、羽による『カルネージカノン』を放ちながら突撃。至近距離まで迫ったところで追撃の鉤爪でトドメをさした。
衝撃で吹き飛んでいくサブウェポンの拳銃。
回転し窓ガラスを割って屋内へ転がり込むと、それを拾ったカルト兵がすぐさま振り返り発砲。
トラオムは銃弾を数発うけたが、知ったことでは無いといった顔でそのまま突進。刀で兵士の腕を切断した。
回転して飛んでいく拳銃と腕。階段をてんてんと転がり落ちたそれを拾い上げた別のカルト兵が手から銃をもぎとり、何枚もある窓めがけて乱射した。
次々と割れていく窓。野外窓淵の下に身をかがめていたオリヴィアはハンドサインでステラに合図をすると、突進するステラと共に自らも屋内へと侵入。
全く同時に窓淵を飛び越えた二人のうちどちらを撃つか迷ったその隙に、二人は一気に距離をつめて跳び蹴りを打ち込んだ。
勢いよく吹き飛んだカルト兵は反対側の窓をぶちやぶって庭側へとだらんとからだをもたれかけさせる。
庭にてそれをチラリと見たエクスマリアは、はみ出てきたカルト兵を頭髪で掴んで強引に振り回した。
カボチャの大量に入った大きな木箱に隠れ射撃をやりすごしていたカルト兵木箱ごとなぎ倒され、転がったところへ大きく跳躍したエクスマリアのスタンピングが打ち込まれた。
潰されるカルトの腹と、ついでに腐ったカボチャ。
その破片を手でさえぎりながらもサブマシンガンを手にしたカルト兵がマルクめがけて突進をかけた。
射撃をかわすために建物へと走り、ガレージの窓を突き破って屋内へと侵入。
農具が大量に保管されたガレージ内を見回してから、入り口から回り込んできたカルト兵に構え――た途端カルト兵の頭に回転した草刈り釜が突き刺さった。
ふと見ると、ヒュウと口笛を鳴らすルカの姿。
更に何人ものカルト兵士がガレージへ押しかけ一斉に銃を構え、乱射をしかけた。
アメリカンギャング映画の抗争シーンさながらに吠える銃声の群れ。
しかし吹き上がった藁や小麦の粉による煙が晴れたのち、現れたのは銀の盾を水平に構えてルカとマルクを庇うルチアの姿であった。
否、庇ったというより銃撃によってできた傷をできたそばから祝福によって塞いでいったというのが正しいだろうか。
ルチアは指輪にキスをすると自らを中心に『聖域』を維持しながら強引に全身。
恐怖に足を震わせながらも銃を乱射するカルト兵たちへとつめよると、その背後についていたルカが『黒犬(偽&誤)』を強引にぶん回し更にマルクが魔術閃光弾を撃ち込んで爆発を起こした。
ガレージからぼっふんという爆発音がなり、軽く建物が傾く。
その様子を窓から身を乗り出して見ていたジャック・シドーは小さく首を振った。
「愚かな……」
拘束していた女性を無理矢理ひき立たせ。拳銃をこめかみに突きつけて窓から見えるように出した。
「そこまでだ罪人たちよ。この哀れな命を、貴様は見殺しにするか!」
「あぁ……?」
ルカが見上げ、顔をしかめる。
「武器を捨てて去れ。彼らも、そしてこの者も救われたがっている! 罪を清めなければならない!」
口を塞がれているが、女性は震え小さく首を横に振った。
「そうかい」
ルカは一度背を向け、剣をその場に落とすと、二階の窓めがけて振り向きざまに拳を突き出した。
「アンタ――めちゃくちゃ痛ぇが、我慢してくれや!」
ドッ、という衝撃音と共に窓全体が崩れ、ジャックと女性は同時に吹き飛ばされた。
が、別の窓から身体を細く畳んだ状態で突入したミニュイがピンポイントで女性だけを抱えてまた別の窓から離脱。
ジャックだけが取り残された状態で、彼は床を転がった。
「ぐ……っ!」
立ち上がろうとするジャックを、トラオムとステラ。そしてオリヴィアが押さえつけるようにして倒した。
トラオムの剣がジャックの胸元へと突きつけられる。
「終わりだ、ジャック」
「終わりなどしない。俺は罪を受け入れない全ての者に真実を教えているんだ! ……お前達にだって!」
「その必要は、ない」
エクスマリアが、ルチアが。さらにはマルクやルカたちまでもが。それぞれジャックを取り囲むように集まった。
そのことで、カルト兵が全滅し捉えていた人々の救出が済んだことをジャックは察した。
ことん、と頭を床におとす。
「なぜわからない。お前達も罪深いというのに」
「だったらどうだっていうの」
ルチアは故郷の文化圏に伝わる祈りのジェスチャーをすると、ジャックを見下ろした。
「少なくとも、人の足を奪っていい理由になんてならないわ」
後日談。
ファーキャンディー農場は閉鎖され、買収されていた地元の傭兵やその他団体は財源を失ったことで周辺の傭兵や商人たちによって解体されていった。
まるで刈り取られた草地のように、周囲からのたくましい力によって自浄していく。これぞまさにラサであった。
「ありがとう。『くらわせて』やったわね」
義足をはめた女が、カウンターにコーラの瓶をドンと置く。
ルカにはウィスキーを、ミニュイにはアップルジュースを、エクスマリアにはアップルブランデーをそれぞれ出すと、カウンターに手をついた。
自分のビールを注いで、それをかざす。
オリヴィアとマルクはコーラを、ルチアとステラはノンアルコールワインをかざし、腕組みしていたトラオムの前にはドンとオレンジジュースの瓶が置かれた。
それぞれコップや瓶を掲げる仲間達を見て、表情を変えずに瓶を掲げてみせるトラオム。
乾杯の音が、バーに響いた。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
――状況終了
GMコメント
■オーダー
やるべきことはひとつだけ。カルト宗教団体を破壊し尽くすことです。
わかっている情報は農場を空から見た図のみ。
といっても農場の前の持ち主が持っていたものを手に入れただけなので、今現在何がどういう配置になっているかは行ってみないと分かりません。
偵察や情報把握も戦術に影響するでしょう。
そして相手も相手で武装し略奪ができる程度には戦い慣れているので、こちらの試みがいくつか失敗することもある程度は想定して戦術をたてるのをお進めします。
では、席について、お好きな瓶をあけて――自己紹介をどうそ。
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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