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シナリオ詳細

再現性大阪2000:偶像少女

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 再現性東京<アデプト・トーキョー>――それは練達に存在する地区である。
 練達は旅人達が作り上げた都市国家だ。この世界に突如として召喚された者達の中にはファンタジー世界である混沌に耐えきれぬ者が居た。平穏と普遍の生活を求め、主に地球、それも日本地区出身の旅人や、それらに興味を持つ者達が作り上げた『日本』を模した特殊地区だ。
 複数エリアに分かれた内部では様々な時代が乱立していた。古き良き昭和をモチーフとする『1970街』、高度成長とバブルの象徴たる『1980街』、次なる時代への道を模索し続ける『2000街』――そして、ここ、再現性東京に何故だか存在する『大阪地区』だ。

「ちゃうねん」
 何も違わなくないが開口一番、彼はそう言った。
 再現性東京<アデプト・トーキョー>のオーサカ地区を拠点に活動している男の名は西川と言う。東京なのに大阪とはどういう了見だと問いかければ「誰かがどうしても大阪が恋しくって作ったんちゃうん? 知らんけど」とオーサカの住民達は返す。
 シンボルタワーの如く堂々と立った鉄骨造の展望台は決して高くはないが親しみ深くこの地区を象徴する物となっている。彼ら曰く足の裏を撫でたら幸せになれる金ぴかの人形が座っているそうだ。(ってオカンが言うてた。ほんまかは知らん)
「で、どういうことか言うと。東京の方はもう皆、行ったんやろ?
 タチカワとか、カブキチョウとか、いろいろ。まあ、都会やろ。都会」
 そう笑った西川は取り敢えず飴でも食べようかと特異運命座標へと飴を数個手渡した。
 どうにも話が進まない。
「こっちも負けてへんとは思うけど、首都と言えば東京ってのが決まりや。
 あ、やから、再現性東京って言うんかな? 再現性大阪って呼んでくれてもええと思わん?」
 どうでもええけど、と口を開く。どうでも良いなら黙って欲しい。
「あ、んで、本題やねんけど、このシンボルタワーこと『オーサカタワー』――通称、ツウテ(音声が乱れた)やねんけど」
 企業の名前を堂々と飾った小さな展望台を西川は指さす。
「オーサカタワー娘っちゅうキャンペーンガールを作りたいと思ってな。
 取り敢えず、どういうことかって言うと東京に勝つためにアデプト・オーサカはアイドルグループを作ろうと思ってるねん。それでそのアイドルにオーサカタワーを背負って欲しいんよ」
 ネーミングセンスを西川に期待してはいけないのだろう。
 取り敢えず、東京への謎の対抗意識の下にアイドルグループを作り上げたいのだそうだ。
 別に女性アイドルでも男性アイドルでも良いらしい。取り敢えず『ローレットの特異運命座標がアイドルをしている』と言うことで東京街へドヤ顔決めて「大阪すごいねんで!」と言いたいそうだ。
「アイドルになってくれる人探してくれるんでもええわ。
 自分らがプロデューサーになるんでもええんやで。
 取り敢えず、Dr.マッドハッターに相談したらな、『勿論サポートはする』やってさ」
 どうしてかドクターにまで話を通したという西川。やることはやっていた。
「じゃ、よろしく」
 途轍もなく簡単にオーダーを終わらせてくる西川。
 詰まる所、オーサカタワーのキャンペーンガールを務めるアイドルを確保しオーディションに勝ち抜かねば為らないらしい。
 ATO<アデプト・トーキョー・オーサカ>6という東京にドヤ顔するには本末転倒なアイドルグループのメンバーとなるべく、大阪のおばちゃんが集っている。
 ――彼女らが、敵であり、障害である。

GMコメント

大阪生まれです。夏あかねです。

●成功条件
 オーディションで優勝!(物理)

●アデプト・トーキョー 大阪
  練達には、再現性東京(アデプト・トーキョー)と呼ばれる地区がある。
 主に地球、日本地域出身の旅人や、彼らに興味を抱く者たちが作り上げた、練達内に存在する、日本の都市、『東京』を模した特殊地区。
 その内部は複数のエリアに分けられ、例えば古き良き昭和をモチーフとする『1970街』、高度成長とバブルの象徴たる『1980街』、次なる時代への道を模索し続ける『2000街』などが存在している。イレギュラーズは練達首脳からの要請で再現性東京内で起きるトラブル解決を請け負う事になった。
 ……その区画になぜか存在している大阪地区です。皆大阪弁でしゃべります。

●オーサカタワー
 つうてんk……ちゃうで。
 展望台にしてはとても小さめ。企業の名前がばっちり書いてあり、隣に動物園があるそんな場所です。串カツ屋などなど、昼からでも飲めるような場所が存在します。
 尚、西川は責任者を名乗っていました。

●アイドルオーディション ATO<アデプト・トーキョー・オーサカ>6
 マッドハッター後援(絶対話聞いてないで決まった)!選ばれし6人のアイドル!
 男でも女でも関係なく、取り敢えず腕っ節の強さで選ぶそうです。ですが、戦いの中で歌やダンスで華麗にアピールしてくれる方がポイントは高いとのことでした。
 尚、プロデューサーとして他のアイドルを連れてきても大丈夫です。子ロリババアなどでも大丈夫です。いざとなればマッドハッターがメカ子ロリババアを貸し出します。
 推薦のために他の候補者を殴り倒して最終的な6人に残れば良いのです。強ければ誰も文句言いません! ほんまやで。
 尚、採用基準は半分聞き流してたマッドハッターが決めました。悪いのはあの帽子屋だ。

●大阪のおばちゃん*24
 ATO6に加入すべく集まってきたおばちゃんたち。飴ちゃんくれます。
 どこで売ってるんやと言う感じのコテコテの動物柄のTシャツを着用
 大体「なんでやねん」と「ちょっと聞いてや」と話しかけてきます。一人称は「おばちゃん」です。
 大阪出身の旅人です。それなりに強いので注意してください。なめてかかるとオカンは怖いってヤツです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 再現性大阪2000:偶像少女完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年07月30日 22時10分
  • 参加人数6/6人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

ヴォルペ(p3p007135)
満月の緋狐
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
ルリ・メイフィールド(p3p007928)
特異運命座標
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾

リプレイ


「ちゃうねん」
 開口一番、そう言ったのは『エージェント・バーテンダー』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)だった。練達は再現性東京<アデプト・トーキョー>の中に存在する『大阪地区』――まあ、本人達は『再現性大阪<アデプト・オオサカ>って名乗ってていっちょ前に都市面為てる見たいやで。知らんけど――からの依頼であるアイドルオーディションでのアイドルデビューの為に教師イメージの男性アイドル的な白いスーツを思わせる王子様衣裳に身を包んでいたモカは『満月の緋狐』ヴォルペ(p3p007135)と共に「何かめっちゃええ感じの兄ちゃん」と大阪のおばちゃん達に囲まれていたのだった。
 無論、此処でバストサイズがばっちりなら男装の令嬢と呼ばれたり某歌劇団みたいやね、と持て囃される事だろう。わいわいと周囲を囲まれて『ちやほや』されているモカが不安げに視線を送ればネクタイを緩めて大人の色気を出していたヴォルペは「お嬢さん達に囲まれるとうれしいな」とウィンク一つ。『大阪のオバちゃん』というのは『お嬢さん』と呼ばれると「ま~! あんたうれしいこと言うやん! 飴ちゃんあげる!」とか何とか言ってくれる存在の筈なのだ。にっこりと微笑んだ人たらし――そう書いて『女の敵』と読むかもしれないし読まないかもしれない――にオバちゃんたちが詰めかける。
「あっらまぁ! あんた、ネクタイ緩んでるで。ほら、きゅっ、なんや……あれやな……昔、主人にこうしたわ」
 ぽっ。
 頬を赤らめた斉藤・キヌヨ(62)の言葉に「キヌちゃんも面食いやな~」と囃し立てる声。その様子に負けては居られないと意気込むのは『都会怪獣メイゴン』メイ=ルゥ(p3p007582)であった。
 アイドルオーディション。ついにメイにも巡ってきたアイドルデビューのチャンス! 千載一遇、期待の星、アイドルと言えば都会の代名詞(メイ調べ)、アイドルと言えば、そう、立派なシティーガールへの道なのだ!
 オーディションに勝ち抜いて立派にシティーガールになってみせるというメイがキラリと瞳を輝かせる。都会力アップのために流行最先端を取り入れて制服系衣裳を着用したユニット感でオバちゃんたちをも凌駕し――と思っていたが、「孫の入学式を思い出す」と言い出した天屋敷・豊子(76)がメイに飴ちゃんを渡し続けてくれるのだ。
「わーい、飴ちゃん! メイ、飴ちゃん大好きなのですよ! わー、これ何味なのです?!」
「薄荷」
「ひー」
 その様子にごくり、と息を飲んだのは『生まれながらの偶像(アイドル)』こと、真のアイドル(自称)の『特異運命座標』ルリ・メイフィールド(p3p007928)であった。アイドルとは何か、こんな商店街で買い物してる井戸端会議みたいな物はアイドルでは無いと彼女は強く、強く、強く――! そう言った。
 フリフリ多めのセーラー服ベースのアイドル衣裳。蒼をカラーリングにした彼女がふふん、と鼻を鳴らした様子にアイドルとはそう言う物なのかと『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)は唸った。
「会長、アイドルなりてぇよ……! 偶像崇拝されてぇよ……!」
 それは茄子子さんが教祖(かみさま)扱いなのでは――もはや羽衣教会の会長と言うよりも『かみさま』にまでランクアップしそうな茄子子は血涙を流しながらそう呻いた。いつかあの大空を羽ばたきたいけど――その前に、アイドルとしてこの大空を羽ばたこう。初めての制服に心踊らせた茄子子はオーディション前のおばちゃんの押しの強さに圧倒されていた。
(此の儘では、アイドルとしての翼さえ手に入らない……! ファン=入信者が得てぇよ……!! がんばるぞ!)
 オバちゃんが茄子子に飴ちゃんを差し出している。く、と息を飲む。有り難う。お布施は今は必要ない。――が、そんな飴ちゃんを遙かに凌駕するようにお茶やらハンカチを貰っているハーモニア(101)が存在した。
 実際、大阪のオバちゃんより長生きしているが心はまだまだぴちぴちレディな『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)は「ちゃうちゃう?」と道ばたを歩いている犬を指さす。
「ちゃうちゃうちゃうんちゃう?」
「ちゃうちゃうちゃうん?」
「ちゃうちゃうちゃう……」
「ちゃうんか……」
 アカツキとオバちゃんの業界用語(おおさかべん)は流暢そのものだ。チャウチャウじゃなかった犬ことパグくんはその場でぷるぷると震えて脱糞していた。
「……あー、そうじゃった。妾、一度たこ焼きなる料理を食べてみたかったんじゃよなあ。
 再現性大阪<アデプト・オオサカ>に来れば美味しいヤツが食べれるはずなのじゃ、知らんけど!」
 ――ちゃうねんから始まって知らんけどで終わる。此れはそんな仕事である!


 沢山の『オオサカガイドブック』を手にしてきたアカツキ。「これはリンちゃん、此れはべー君、それからこっちはあのメイドでー、妾、親友には優しいから此れもつけちゃう」なんて言っていたが――!
「よくよく聞いてみれば食い倒れ依頼では無くアイドル依頼だったのじゃ。
 プロデュースより妾自身がアイドルになる方にしようかのう、101歳のアダルトな魅力を見せ付けてやろうではないか」
「ええ事教えたろかアカツキちゃん。あんな、ロリババアアダルティガールに向いてるんはな……」
 どうしてか、西川がアカツキにこそこそと告げる。どうして後ろに立っていたのだ。お前は。
 ふんふん、と頷きアイドルに関する勉強を始める101歳児。取り敢えず必要のなかったガイドブックは鞄の中にINした。(ついでに羽衣教会の入会案内も其処には忍び込んでいた)
「――……え? メスガキ系小悪魔アイドル?
 なんじゃそれは……妾のこの魅力的なぼでぃで皆を魅了する感じでは駄目なのかのう?
 それから……あのおばちゃん達を殴り倒して権利を得ろ? いきなり物理で攻めてきたのう」
「それでも、ファンを得る為なら! 仕方が無い! 仕方が無いんだよ!」
 茄子子はく、と悔しげにそう叫んだ。会長は信者(と書いてファンと読む)を増やすためならば此れも信仰の為なのだと呻いた。
「そうですね! まあ、ボクのような真のアイドルには中々入らない仕事ですけれど!
 汚れ仕事というのが存在しているのです、バラエティなんかの露出でアイドルとしての足がかりならば此れも仕方ないでしょう! そうですよね!?」
 どうして物理攻撃なのか、とルリの瞳は告げていた。可愛い生まれながらの偶像は歌って踊ってカリスマと信仰蒐集で何とかしたいのだ。――ちなみに、歌も踊りも苦手なルリは口パクと其れっぽい『フリ』をカリスマ性で『何とかする』のだが!
「もごもご……」
 飴玉をころころと口の中で転がしていたシティガール。都会っ子を目指す怪獣メイゴンははっとしたようにルリの言葉で立ち上がる。
「メ、メイを大好きな飴ちゃんで釣ってきたのです……す、すごい……大阪のおばちゃんは策士なのですよ!」
「え? いややわ~、褒めすぎやで」
 どうした者か紫色の髪色をしていたおばちゃんがにんまりと笑った。照れてメイにチョコレートや飴ちゃんの詰め合わせをぐいぐいと押しつけている。都会って怖いところだとメイは、静かに、慄いたのだった。怖いところやで……。
「こ、此の儘ではいけないのです! メイたちはアイドルデビューしないといけないのです!
 おばちゃん達もそうですよね!? メイは都会の代名詞ことアイドルになりたいのですよ」
「うちらもアイドルになりたいねん。なあ?」
「せやなあ……よう分からんけどパート位になるって言うてたし、なあ?」
 パート。おばちゃんのその言葉にルリは「ア、アイドルがパート……」と愕然とした。
 ちなみにおばちゃん10名くらいはモカとヴォルペに「イケメンやなあ」と言いながらぺたぺたと触れている。スキンシップがやたらと激しい方のおばちゃんなのである。
「い、いや……その……」
 凄い勢いでべたべたと触ってくるおばちゃんにタジタジになりつつあるモカ。此れこそが『大阪のおばちゃん』の特殊能力『何かよく分からんけど勢いで気付いたら一緒におる』というやつだ――!
「可愛らしいお嬢さんたち。ちょっとだけ空けて貰えるかな?」
 穏やかに微笑んだヴォルペは差し出される飴を有り難うとポケットへとしまう。命(パンドラ)削る勢いでおばちゃんに絡まれていたが――それはそれなのだ。
「え? なんやの? 踊るん?」
「踊りますよ、アイドルですから!」
 ルリの言葉におばちゃん達は「踊るらしいで」「カメラカメラ」と口々に話し出す。その様子はシンボルタワーから坂を上って少し、四角を描くように架かった歩道橋で絶妙なパフォーマンスを行うパフォーマーの路上ライブを眺めるかのような囲みであった……。


「舞台上でみんなのものとして輝く姿よりも、観客席からおにーさんだけを応援してくれるお嬢さんが見たいな」
 きら、と輝かんばかりの微笑みを見せたヴォルペにおばちゃんがばしりと殴りつける「いややわ~!」と照れた様子で手をクイックイッとするスナップはさながら『つっこみ』の如く――!
「そ、それが秘技『照れたフリして勢いよく攻撃』……!? つっこみで鍛えたその手首を惜しげも無く使うっていうのか!」
「え? ああ、あー、そうなんよ! こんな感じ!」
「ほんまに!?」
 おばちゃんが首を傾げたあからさまに「せやねんせやせや。知らんけど」と言ったそれにモカは思わず再現性大阪特殊言語『大阪弁』で応じてしまった。ちなみに、此処の大阪のおばちゃん達はどちらかと言えばミナミに居る方の人でキタにはあんまり行かない人種なのである。
 変装と性的魅力(途轍もないセクシーな色気)でアピールするモカはアクロバティックにダンスを続けている。おばちゃん達との戦いは今――始まったばかりだ!
 踊る要領でおばちゃんへと攻撃を繰り返すモカ。しかし、男装の麗人に対するおばちゃん達は容赦は無い。「あんた別嬪やな~!」とは別の「ええわ~! 若い頃の主人に似てる。ほんまやって、ウチも若い頃はあんたみたいな人に言い寄られてんで。動物園でデートしたもんやわ!」と言う倍の言葉(ダメージ)が積み重なってくる。
「あかん!」
 何がアカンのかは言わないがアカンかった。
 モカのこと番ヴォルペは「中々手厳しいオバ――お嬢さんだ」と微笑みを見せる。歴戦のおばちゃんvs歴戦の女たらしの戦いは苛烈を極めていた!

 その様子を横目に「都会ってヤバヤバのヤバなのでは?」とメイははわわと息を飲んだ。確かにヤバヤバのヤバである状況だ。恐ろしい光景を見ている気がしながら茄子子は只管に回復をヴォルペへと送り続ける。
 ヴォルペは壁――間違えた、盾だ。会長は全力で回復を頑張るのだとヴォルペを応援し続ける。
「回復(とっても神聖なる雰囲気で羽衣教会はすばらしいという)アピールで皆をサポートするよ! 頑張れ!!」
 回復を行いながらもきちんと入信者を増やすために頑張るアイドル会長茄子子様。制服姿の儚き花がきらりと瞳を輝かせたのは総ては入信してね、お願いしますという素晴らしいアピール。
「届け会長の熱い視線!」
「かわええわ~~。そういえば、スマホ? っていうのの扱い方わかる? ウチら分からんくて、文字が小さくて見えへんわあ」
「うんうん! そうなんだ! 成程、うーん、そのお悩みは羽衣教会っていう宗教に入ればきっと文字を大きくする為に画面の操作をしてもらえるし天使のような翼が生えてくるらしいよ! どうかな!」
 ――どうもこうもないのである。だが、おばちゃんは「ええーほんまに? 凄いやん」と返している。ある意味で一番馴染んでいるのである。
「ううん……おばちゃん、流石なのじゃ。妾も出陣するしかないのう。そこのおばちゃん達ー、覚悟するのじゃー!
 金ぴかラメラメ紫色みたいな迫力のある格好をしても妾は気圧されぬぞ!」
 アカツキ・アマギ(この場では最年長)は「くく、妾から見れば皆赤子のような年齢よ」と悪い笑顔を浮かべた。オーディエンスからは「ババアだ」「クソガキだ」と言う言葉が聞こえ、おばちゃんも「そうなんや」と頷く。
「あの子ババアらしいで」
「いやいや、あんなかわええ子がババアなわけあれへんやん。クソガキやで」
「こらっ! 人のことをババアだのクソガキだのそっちこそ口の悪いババア共め!
 101歳じゃけどお肌はピチピチじゃろが! 見てわかるじゃろお肌の曲がり角女ども!」
 びし、っと指さしたアカツキにおばちゃんが「あんたも直ぐにこうやわ! そうやってられるんも少しの間やで!」と大騒ぎである。さすがは大阪のおばちゃん、1つ言えば3つくらい帰ってくるついでに距離が近いのだ。
「あんたもすぐに私らと同じ曲がり角? すぐにババアになる?
 はっはー残念じゃったな妾は長命種じゃから数百年はピチピチじゃー!!
 ――ちょ、わめきながら眼の色変えてこっちに突撃してくるんじゃないのじゃ!
 何なんじゃ、大阪名物パチパチパンチとかポコポコヘッドとか! け、結構痛いが我慢して纏めて雷で迎撃じゃ!」
 凄い勢いでオバちゃんの波に攫われるアカツキ。その様子にぞお、と顔色を悪くしながらルリはあくまでアイドルを貫き通した。歌って踊って軽やかに可愛いアイドル(ただし口パクだしあんまり踊れてない)であるルリ。
 アカツキをいやしながらも『24人のおばちゃんず』をアイドル力(物理)で何とかしなくては生まれながらの偶像としての力が果たせないと言わんばかりにアピールを繰り返す。
「こんな……こんな恐ろしい光景がアイドルオーディションだというのですか」
「と、都会はおそろしーです!」
 ルリにメイは刻々と頷いた。華麗なるムーンウォークからブルーコメットでの「――って、都会やからやないわー!」というノリツッコミをキメつける。羊さんの可愛いもこもこアピールでオーディエンスを囃し立てながらメイは思い出したようにはっと息を飲んだ。
「そういえばアイドルは空を空中回転しながらライブをするらしいのですよ! メイは知っているのです!」
 ドヤァ。
 ドヤ顔をしたメイにおばちゃんにウィンクしていたヴォルペは「まるで天にも昇りそうな心地だよ」と更なる甘い言葉を口にする。それは若いイケメン演歌歌手のライブでコールを行うようにおばちゃんの波を従えていた。
「ヴォ・ル・ペ!」と叫んでくれそうなおばちゃん達に「おにーさんを応援してくれるなら最高のファンサービスをしてあげる」とウィンク。
「ファンサ!? これ以上に!?」
 勢いよくおばちゃんに埋められていくモカ――!
 其れを救うように怪獣メイゴンは「なんでやねーーん!」と大きな声で叫んだ……のだった。

「――アンタらが、アイドルや!」
 ぐ、っとサムズアップした西川の腕がパタリと落ちる。
 微笑みを浮かべた足の裏を撫でると幸せになると言われている巨大な人形の足裏を撫でながらメイは「……これでシティーガール」と静かに呟いたのだった。
 その様子を眺め、ドヤ顔の真なるアイドルはあ「ふふん」と鼻を鳴らしオバちゃんやオーディエンスに羽衣教会への入会案内を配る会長は「宜しく! 宜しく!」と繰り返し挨拶を繰り返している。
 その場でアイドル衣裳にマイクを握りしめた101歳児は差し入れです、とスタッフが持ってきたたこ焼きを片手に小さく息を吐いたのだった。

「……よし、何とか勝ち残ったのじゃ。
 ところで――この話、オチはあるのかのう?」

成否

成功

MVP

アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護

状態異常

なし

あとがき

 ――で、オチは?

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