PandoraPartyProject

シナリオ詳細

鏡の中に映る物

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●見えない世界
「ねぇ、知ってる?」
「何を?」
「この道真っすぐ行ったら、お屋敷あるでしょ?」
「あ、あの幽霊屋敷? でもあそこ、普通に人住んでるよね?」
「うん。でもこの前こっそり忍び込んだ人がいて、そこで幽霊見たんだって!」
「えー。不法侵入じゃん!」
「それは思った!
 でもさ! 誰もいないのに、鏡に女の子が映ってたんだって!!」
「絵とか、鏡に女の子が描いてあったとか言うオチじゃないの?」
「警邏の知り合いが言ってたんだけど、その人警邏に助け求めて、今捕まってるんだって。で、その時のこと説明させたらしいけど、鏡から『こっちへ来て』って声が聞こえたって……!」
「うそぉ!!」
「ちょっと気にならない?」
「気になる……けど不法侵入は犯罪だよぉ?」
「警邏が確認のために訪問するって言ってたし、その時ついて行けばきっと大丈夫だよー!」

 きゃぁきゃぁとはしゃぐ少女たちは当然のように置いて行かれたが、警邏は事情の説明と確認のために件の幽霊屋敷の中へ。
「その話は私達でも調べてみましたが、一度も遭遇したことないないのです」
 住んでいる老夫婦に案内された先にあったのは一枚の鏡。
 全身が映る大きな鏡だ。
「その幽霊について、何か心当たりはありませんか?」
 警邏の言葉に老夫婦は一冊の本を取り出す。
「私の曾祖母の日記です。ある日突然、末娘が消えてしまったと……」
 まだ10歳にもならない少女。
 家を抜け出したわけではなく、その直前まで少女の母が一緒にいたという。
 お手洗いにと少し目を離した隙に消えてしまった少女。
 その後、少女の部屋に飾ってあった鏡には消えた少女が映るようになったという噂が流れた。
「曾祖母はおろか、家族のだれ一人として少女の姿を見たことがないのです」
 だけど噂を聞いて、忍び込んだ人の中には実際少女を見る人もいて、老夫婦もどうすればいいのかと悩んでいた。
「……もしかしたら、鏡の中に潜む妖かもしれない」
「鏡の中に?」
「えぇ。厄介な妖で、鏡の中に人を引きずり込んで殺すと言われています。おそらく、少女の姿は引きずり込むための餌のようなものかと」
「なら……」
「時折この近辺で起きる神隠しは、この鏡が原因かもしれません」
 妖に詳しい警邏の言葉に老夫婦も言葉を失う。
「ど、どうすれば……」
「鏡を壊しても、別の鏡を媒体にするだけです。鏡の中に入り込んで、鏡の中で直接本体を消す必要があります。ですが……私一人では出入口を開くだけで手一杯で、誰か妖を倒せる人が必要です」
 その言葉に警邏たちはお互いに顔を見合わせる。
「腕に覚えがある人を探そう。それまではこの事は内密にお願いします」

●鏡に潜む妖退治
 フォレスが差し出したのは一冊の和綴じの本。
「この中で、鏡の中に人を引き込んで殺す妖が出たんだ。本来なら警邏って呼ばれる人たちがどうにかすることなんだけど……気づかれないようにひっそりと人を引き込んでいたせいか、もう警邏たちじゃ太刀打ちできない状態らしくて、今は倒せる人を探しているみたいなんだ」
 そしてこのまま放置すれば、大惨事は免れない。
「君たちならそこまで手古摺る相手じゃない。
 鏡の妖を倒して、囚われた人たちの魂を開放してあげて欲しい」

NMコメント

 夏だ! ホラーだ! 妖だ!
 たまにやってくるシリアス回です。
 すぱっと妖を倒してください!

●成功条件
・鏡の妖撃破
 鏡の中に存在する妖。
 鏡に触れた相手を鏡の中に引きずり込んで殺す習性を持つ。
 鏡を割っても他の鏡を出入口とするだけなので、鏡の中に入り込む必要がある。
 実体はなく、今は少女の姿を写し取っている。可愛い少女の姿だが、直接相手を引き裂き、その返り血を浴びて回復する。
 突然引きずり込まれ、訳も分からず困惑している人を甚振ることを好む。

●警邏
・妖担当の青年
 鏡の中への出入り口を開けてくれます。
 外にいるので戦闘は不参加です。

●その他
・鏡の中に入った時点からの開始になります。
・鏡の中は障害物もない広い空間ですが、明かりもありません。警邏の青年が明けてくれた出入口と、奥のほうで微かに光る何かだけが光源です。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。

  • 鏡の中に映る物完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月31日 22時55分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

イルミナ・ガードルーン(p3p001475)
まずは、お話から。
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海

リプレイ

●鏡の前
「鏡よ鏡よ鏡さん、この国で一番美しいのは誰でしょう?」
「うん? この国っていうか世界で一番美しいのはルーキスだろ?」
 件の鏡の前で、ふとそんなセリフのある童話を思い出し口にした『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデに対し、表情を変えずにさらりと答えたのは彼女の夫である『紅獣』ルナール・グリムゲルデだ。
「ふふ、有難う。私がこの世界で一番美しいなら、この世界で一番格好良いのはルナールだね」
 楽し気に笑うルーキスに、『機心模索』イルミナ・ガードルーンが目を丸くする。
「ラブラブッスね」
「あぁ、所謂幸せオーラが溢れているな」
 小さく頷く『絶海武闘』ジョージ・キングマンに、イルミナはうんうんと頷くのだった。

「以前も鏡関連で少しお仕事をしたことがあるッス! でも、怪異にも登場するなんて鏡というのは不思議な力を持つものなんスかね……」
「鏡と言うのは色んな物をうつすからね。不思議な話には事欠かないのかもしれないね」
 ルーキスが童話にもいくつか鏡に関する話があると教えれば、イルミナはどんな話なのかと目を輝かせる。
「確か意地悪な継母が国一番の美人の義娘を虐めて、それがきっかけで継母は最終的にはろくでもない結果しか待ってなかったような気がするけどね。
 後は何だっけ、特定の年齢まで覚えてると引きずり込まれるとか」
「こわっ! 鏡が出てくる童話って怖いッスよ!」
「怖いからこそ、怪異にも登場するんじゃないのかい? あんまり馴染みのないフェアリーテイルでも。
 実際に体験するとそれはそれで楽しいよね。それが例え自分の命が秤に乗ってるとしてもさ」
 妖艶に微笑むルーキスにイルミナが賑やかに騒いでいると、鏡の前にしゃがみこんで作業をしていた青年が立ち上がった。
「お待たせしました。鏡の中と繋がりました」
「あぁ、有難う」
「妖は私達に任せて、何かあったら対処を頼む」
「分かりました」
 ルナールとジョージの言葉に青年は頷き、鏡にかけてあった布を外した。
 青年が施した術のせいないのか、本来映ったものを見せる筈の鏡は、黒く塗りつぶされている。
「さて、相手が怪異であれば遠慮はいらないッスよね! しっかり退治して帰るッスよ!」
 パシン! と音を立てて手のひらに拳を打ち付けると、イルミナは迷うことなく鏡の中に入り込んだ。

●鏡の中
「聞いていた通り真っ暗だな」
 事前に鏡の中に灯りはないと聞いていたので、各々暗視や暗視効果のある目薬で対策を取っていた。
「それにしても鏡に映る少女ねぇ……。
 俺が居た元の世界じゃ、こういう怪奇現象? っていうんだっけか」
 ルナールの呟きにジョージが顎を撫でながら答える。
「怪奇現象かどうかは分からないが、鏡に関わる不可思議な現象はあちこちにあるものだな。
 この世界において起こったものは、魔物の捕食行動に近いものを感じるが、妖とやらなら、似たようなものか」
「魔物と同レベルなら普通、というかその怪奇現象の本体が闊歩してるレベルだなぁ。多分、こっちの世界じゃウォーカー自体が歩く怪奇存在」
 自分で言っておいて思わず苦笑してしまうが、ルナールの言うようにこの世界の住民はルナールたちの姿に驚きを隠せていなかった。
 世界中を旅していると言われて、他の国は変わった格好をするのだと感心する人もいたが。
 それはともかく、彼らにとって今回のような事件は珍しくもないありふれた事件だ。とはいえ、放っておくわけにもいかず、何とかしないといけないのも確かだが。
「実害があって噂程度で終わらないならやるしかないだろう」
「そうそう。ぱぱっと終わらせてお土産買って帰ろうじゃないか」
「イルミナもお土産買いに行きたいッス!」
 元気よく手を上げるイルミナの声が聞こえたのか、不意にまだあどけなさを残した少女が現れる。
『誰……?』
「お前を倒しに来たッスよ!」
『私を……倒す……?』
 訳が分からないとばかりに首を傾げる少女だが、ジョージの言葉にぴたりと動きが止まった。
「鏡の妖。鏡に獲物を引きずり込んで食らう」
『そっかぁ……。わざわざ、食べられに来てくれたんだねぇ……』
 くすくすと小さな笑い声が響く。
『有難う。みぃんな、美味しく食べてあげるね』
 笑い声が収まると、少女の姿をした鏡の妖が姿を変える。
 真ん丸で可愛らしかった目はぽっかりと開いた空洞に。ふっくらとした唇は歪に裂けた大きな口に。そして柔らかな爪は、鋭く尖っていく。
「本性を現したか……」
『イヒヒ……。今日はご馳走だぁ!』
 爪を振り上げ走り出した鏡の妖の前にイルミナが立ちはだかる。
「そうはさせないッスよ!」
 体の各所にうっすらと光の膜を張り巡らせながら両腕を交差させて爪を防ぐと、鏡の妖の勢いをそのままに、イルミナの力を乗せて叩き込む。
『ぎゃっ!?』
 今までなかった反撃にうめき声を上げるが、それだけでは終わらない。
 ぱちぱちと何かが爆ぜる。見ればルーキスの持つ魔術書から小さな雷が発生していた。
「やあ近付いてくれてありがとう」
 にっ、と笑うと、ルーキスの長い指が鏡の妖を指さす。
「お礼に雷をどうぞ!」
 バチバチと鏡の中に光が爆ぜる。雷は仲間を避け、鏡の妖だけに降り注いだ。
「うちの嫁さんの一撃、中々刺激だろ!?」
 そこにさらに続くルナールの命を奪う軌跡に、鏡の妖は命の危機を感じて血を求める。
『血、血、血を寄越せェ!』
 まだ収まりきらない雷が消えるのを待っているのか、一見無防備に見えるルーキスに向かって爪を振るうが、愛しい妻の危機を夫であるルナールが黙って見ているはずがない。
「っ!」
 愛用の白銃では防ぎきれずに腕の一部が抉れるが、その程度で倒れるほど柔ではない。
「ルナール!」
「大丈夫だ! 嫁の庇い役くらいはきっちりやらんとな?」
 不敵に笑うと、それまで静かにしていたジョージが動いた。
 それは吹き荒れる嵐のよう。大きな力で踏み込み、至近の間合いから腰のひねりを入れた拳を叩き込む!
「相手が少女の姿を模していようが、俺には関係ない。それが、貴様に食い殺された誰かだったとしても、偽りだったとしても、悪いが、その程度で鈍るような繊細な神経は、持ち合わせていないんだ。
 それに、貴様の性分も気に食わん。逃さず、確実に滅してくれる!」
 悲鳴を、うめき声を上げて鏡の妖が倒れる。
 ルナールの血で僅かに癒えた傷など些細な物だったとしか思えないほど傷だらけだ。
「わあ、今のモロじゃない? 傷だいじょーぶ?」
「手当は終わってからで大丈夫。それよりルーキスに怪我がなくてよかったよ」
「そういうセリフは終わってからお願いしたいッス!」
 ブロッキングバッシュを放つイルミナの言葉に、ルーキスは小さく笑う。
「そうだね。でも鏡の妖っていう特性だとなあ、分身とかしてこないよね? 鏡の妖なら分身しても可笑しくはないし」
「そういうセリフ、フラグッスよね……!?」
 フラグ成立か言霊か、ルーキスの雷をジョージの妖刀が反射し、奥にあった小さな光に届く。その瞬間、鏡の妖がぼやけ、二人に増えた。
「本当に増えたッスよ!?」
「ひゃあごめんなさい! お掃除頑張るから手伝ってー!」
 賑やかなイルミナとルーキスに対し、ジョージは冷静だ。
「数が増えた所でやることは変わらん。俺に出来ることは、敵に近づき、逃さず、殴り飛ばすだけだ」
 二人に増えたことで倒す対象も増えたが、ジョージの言うようにやることは変わらない。目の前の敵は倒すだけ。
「何、嫁に良いとこ見せる機会が増えただけさ」
 ルナールも焦ることなくルーキスの前で銃を構える。
「それに、さっき奥のほうで光ったの見えたか? もしかしたらあれが本体かもしれない」
 闇の中で光を反射するもの。鏡の妖という性質を考えれば、それは妖の本体である可能性が高い。
「なら抑えは俺が引き受けよう。その銃なら、嫁を守りながら壊せるだろう?」
「もう一体は任せるッス!」
 冷静なジョージの、自信満々なイルミナの言葉にルナールは苦笑する。
「勿論だ。ルーキスも抑えるの任せて良いか?」
「勿論だよ」
 再度雷が爆ぜ、高めた防御力がそのまま鏡の妖を打つ。嵐に翻弄される鏡の妖の目に、狙いを付けた白弾が光となって飛んでいくのが見えた。その先には、出入口の、戦闘で生じた光を反射して淡く光を放つ小さな鏡。
『やめろぉぉぉぉ!!!』
「散々喰らったんだろう。ならば、次は、貴様が喰われる番だ」
 ジョージのその言葉が聞こえたのか否か、パリンと小さな音を立てて鏡が割れ、二人に増えた鏡の妖も消えた。

●割れた鏡
「やっほーただいま、きっちり退治してきたヨ」
 戻ってくるなり明るく報告してくれたルーキスの言葉に、鏡の前で待っていた青年がほっとしたように肩の力を抜く。
「有難うございました」
 深く頭を下げる青年に、ジョージは小さく頭を振る。
 鏡の妖が消えた所で犠牲になった人たちが戻ってくるわけではない。ただ、これから先、犠牲者が増えるのを止めただけ。
 犠牲になった人達のために静かに黙祷を捧げると、青年は鏡の中で起きたことを話して欲しいと告げた。
「ただ敵を倒しただけだ」
「それじゃ伝わらないッスよ! ここはイルミナに任せるッス!」
 戦闘後とは思えない明るいテンションで話し始めたイルミナに、青年は慌ててメモを取る。

「これが混沌の外での依頼かぁ。流石に疲れた」
「お疲れ様」
「ルナールもね。でもま、中々慣れると面白そうだねぇルナール先生?」
「あー、うん。慣れれば楽しい、かもしれない?」
 ルナールの傷を手当しながら笑うルーキスに曖昧に返事を返すと、ルナールは煙管を咥えた。
「嫁に怪我もなく、無事に終えられたようで何より」
 馴染んだ香りに帰ってきたのだと思うと、隣のぬくもりがより愛しくなる。
「……さっさと帰って、焼き立てケーキと淹れたて珈琲が欲しいな」
 その前に、お土産を買いに連れまわされるルナールだった。

成否

成功

状態異常

なし

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