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シナリオ詳細

幻想の破滅預言者:暗殺

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●幻想の破滅預言者
 おお、見よ! 世の荒廃を!
 地には狂気があふれ、人は死と恐怖に塗れている。
 これこそ破滅の時なり。
 運命は決したり。破滅の時来たり。
 世界より神は去り、今や神の従僕を名乗る虚妄の徒が偽りの神の言葉を騙り、人心を惑わすものなり。
 偽りの徒を打ち倒し、神の名のもとに破滅を受け入れよ。さすれば破滅の果てに、人は天国の門をくぐるなり。
 時は来たれり! 時は来たれり! 時は来たれり!

●暗殺令嬢からの緊急依頼
「ようこそ、イレギュラーズの皆様。夜分遅くにごめんなさいね?」
 イレギュラーズを呼びつけた『暗殺令嬢』リーゼロッテ・アーベントロートは、やってきたイレギュラーズたちへ、にこにこと笑いながらそう告げた。
「お疲れでしょう? お茶とお菓子を……と言いたい所ですけれど、実は緊急の案件でして。皆様とお話ししたいのですが、とても残念」
 ふぅ、とため息などつきつつ、リーゼロッテは続ける。
「近頃街を騒がせております、破滅預言者の一団の事はご存知? 我らが神を冒涜する、小うるさい集団なのですけれど」
 破滅預言者の類は、幻想でも決して珍しくはない。信仰篤き幻想においても、一定数、そういう人間はいるにはいるのだ。
 だが、前述したように、幻想は『神』への信仰は強い。事実、この世界において神は存在するのだから当然であるのだが、それ故に、異端やこういった破滅預言者と言うものは、多くは支持を得られず、少人数でくすぶっていることが多い。
 とは言え、危険分子は危険分子である。一部貴族にとっては監視対象だ。
 さて、リーゼロッテの話によれば、ここ最近の狂気じみた事件を背景に、件の破滅預言者の団体は勢力を増してきているのだという。
「その破滅預言者の方なのですけれど。これは、さる筋から得られた情報なのですけれど、今夜、本拠地から信者たちが、ごっそりと居なくなってしまうそうですわ。そして、その警備が手薄なすきを突かれて、本拠地に突如押し入ってきた盗賊王配下の盗賊に殺されてしまうそうですの。ふふ、可哀想ですわねぇ」
 言葉とは裏腹に、実に楽しげにリーゼロッテは言った。
 はて、破滅預言者の集団が、盗賊に襲われる……とはどういう事だろう、とイレギュラーズは考える。
 もちろん、悪名高き暗殺令嬢が、可哀想だから助けてあげて欲しい、等と言う依頼をしてくるとは思えない。
 となると、これはカヴァーストーリーであろう。そういう事になる、という事だ。
 つまり、盗賊王配下の盗賊とはイレギュラーズ達であり、これは、イレギュラーズ達への、破滅預言者を名乗る者の暗殺依頼である。
「ふふ。聡明な方は好きですわ」
 意図が伝わった事を認識したリーゼロッテは、嬉しそうに顔をほころばせた。
 幻想の貴族にとって、自身の権力の保証である神の否定は許されるものではない。それが最近の事件を背景に、勢力を拡大しようとしているならなおさらだ。ここは、大きくなる前に確実に殺害しておきたい、という事なのだろう。
「そして、しっかり働いてくださる方はとても大好き。皆様が聡明で、そして働き者である事を、私は信じております」
 リーゼロッテは、パン、と手を叩く。配下の者が現れ、イレギュラーズ達に退室を促した。
 ここまで聞いてはやるしかない。イレギュラーズ達は覚悟を決め、暗殺令嬢の依頼を完遂すべく、現場へと向かうのであった。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 神の否定など許される事ではありません。
 愚かな破滅預言者に、死の裁きを。

●この依頼について
 この依頼は悪属性依頼です。
 成功時の増加名声がマイナスされ、失敗時に減少する名声が0になります。
 又、この依頼を受けた場合は特に趣旨や成功に反する行動を取るのはお控え下さい。

●成功条件
 破滅預言者の殺害

●情報確度
 B。非常事態は発生しませんが、敵本拠地内部にどれだけの護衛が残っているのかが不明です。

●状況
 時刻は夜。
 破滅預言者は、本拠地である二階建ての建物の、二階の自室にいます。
 信者の大半は出払っていますが、何名か残った信者、護衛がいると思われます。数は不明です。

●敵データ
 破滅預言者 ×1
  目標です。話は通じません。確実に排除してください。
  戦闘能力は、イレギュラーズより低いです。
  攻撃方法
   神・遠・単 遠距離術式
   神・近・単 近距離術式

 信者・護衛 ×不明
  信者・護衛の類です。生死は問いません。
  戦闘能力は、イレギュラーズより低いです。
  攻撃方法
   物・近・単 武器攻撃

●注意
 このシナリオは、『幻想の破滅預言者:襲撃』と同じ時間帯に発生した依頼となります。
 そのため、『幻想の破滅預言者:襲撃』との同時参加はできませんので、ご了承願います。

 以上となります。それでは、皆様のご参加お待ちしております。

  • 幻想の破滅預言者:暗殺完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年04月30日 21時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167)
強襲型メイド
叶羽・塁(p3p001263)
此花咲哉
ノワ・リェーヴル(p3p001798)
怪盗ラビット・フット
極楽院 ことほぎ(p3p002087)
悪しき魔女
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
クテイ・ヴォーガーク(p3p004437)
不殺の心
梯・芒(p3p004532)
実験的殺人者

リプレイ

●暗殺の時
 あたりを、すっかりと暗闇が覆い尽くしていた。
 月すらも、雲に隠れて、その顔を見せない。
 それは、これより暗躍するイレギュラーズ達への、月よりのささやかな支援であったか。
 星すらも見えぬほどの暗闇は、果たして破滅の時にふさわしいのかもしれない。
 イレギュラーズ達が到着したのは、郊外の屋敷である。
 外観だけを見れば、さほど豪華とは言えない、みすぼらしい屋敷だった。それが、指導者の本心から来る清貧なのか、或いは下卑た内心を隠すためのカモフラージュであるのか……それはイレギュラーズ達にはわからないし、どうでもいい事ではあるのだが。
 さて、イレギュラーズ達は、二班に分かれて行動を開始した。建物入り口から侵入し、派手に暴れて陽動を行う班と、その隙に乗じて別ルートから屋敷内に侵入し、目標である預言者を狙う突入班である。
 さて、陽動班のメンバーは、まず、早速周囲の調査に取り掛かった。と言っても、のんびりとはしていられないので、屋敷の出入り口を簡単に確認する程度だ。一か所、裏口と思わしき場所があったので、『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)が鎖を使って、扉を固定した。
「念には念を、だね」
 ウインク一つ。退路を一つ断つ。
 それから屋敷の正面へと移動して、ひとまず物陰に潜み、突入班からの準備完了の連絡を待つ。
 正面から見た限りではあるが、屋敷の窓よりいくつかの明かりが漏れており、何やら人が動いている様子も見える。護衛であるのか、信者であるのか。それなりの人数が、まだ中にいるようだ。
「終末思想の破滅主義者の言葉など、何処の世界でも大差無いものですね」
 『    』ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167)が言った。頬に手をやり、ふぅ、とため息などをつくと、
「ここまで似通ってくると、本当にそういう神がいるんじゃないか、と疑ってしまいます」
「人の心をくすぐる言葉は、全世界共通、という事なのだろうな」
 『海抜ゼロメートル地帯』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)が答えた。
「重要なのは、担保なのだろう。保証だ。今はどん底だが、必ずいい事が待っている……まぁ、コイツらの場合は死後の幸福になるわけだが。いずれにしても、お前は大丈夫だ、という言葉に人間は弱いという事なんだろう。どれだけ無根拠であってもな」
 平時であれば疑う心の余裕もあるだろうが、ここ最近は異常な事件が多発している。無根拠な『大丈夫』と言う言葉に縋りたくなるのも仕方ないだろう。
「ま、なんにしても、やる事をやるだけなんだけどな」
 『いっぴきおおかみ』クテイ・ヴォーガーク(p3p004437)が言った。それも事実だ。どれだけの葛藤があろうとも、今のイレギュラーズにとっては、あの屋敷にいるものはすべて獲物であることに違いはないのだから。
 一方、突入メンバーは『瓦礫の魔女』極楽院 ことほぎ(p3p002087)の手引きにより、屋根の上へと移動していた。ことほぎはそのままファミリアーを使い、窓から二階の様子を探らせている。
「世が乱れると出てくるよね、こういう輩が。そして、信じる者だけが死後に救われる、とか言うんだよ」
 『Code187』梯・芒(p3p004532)が肩をすくめて言った。
「死に救いなんてないのにね」
 その言葉には、確かな確信が乗せられていた。多くの死に面した事のある、芒がたどり着いた結論だろうか。
「ふふ。そうだね。生きてさえいれば、可能性とは潰えない物だからね」
 些か芝居がかった口調で、『麗しの黒兎』ノワ・リェーヴル(p3p001798)が言った。
「破滅が来るなら、立ち向かう。どちらかと言えばそう言うスタンスが、僕達イレギュラーズではあるのだから、もとより相いれない思想ではあるね。可能性を狭める者は、今宵退場願うとしよう」
 と、そこへ、ことほぎのファミリアーが戻ってきた。ことほぎは、ファミリアーと2,3言葉を交わし、
「流石にファミリアーに細かい人の判別は出来ねェな。視界借りてもっかい飛ばすわ」
 と、仲間たちに伝える。
「頼りきりになってすみません」
 『此花咲哉』叶羽・塁(p3p001263)が軽く頭を下げるのへ、ことほぎは、
「いいさ、適材適所って奴だよ」
 と言って、再びファミリアーを放った。
(しかしアレだな。リーゼロッテ様の依頼を受けるのも二回目か。前もちょっと裏がありそうだったけど、今回もなんかあるのかねェ……)
 胸中でぼやく。
 リーゼロッテの言によれば、これはある筋からもたらされた情報、らしい。ある筋。わざわざぼかした言い方だ。もしリーゼロッテの部下からもたらされた情報なら、そんな勿体ぶった言い方はしないだろう。
 となれば、わざわざぼかさなければならない相手だ。果たして誰だ。アーベントロートと対等に渡り合える人物。それだけでいくつか候補は絞られてくる。
 そして、わざわざ警備が手薄になったという情報を、暗殺者たちに流してくるという事は、この破滅預言者をよく思わず、かつ自分では直接的な排除行為に出ることができない人物だ。
 となれば。
(…………やーめた。「触らぬ神に祟りなし」だ)
 ことほぎは思考を中断した。聡明なる働き者であれ。自分に言い聞かせる。
 このように情報の一端をわざとらしく見せつけているのも、恐らくリーゼロッテが意図して行っていることなのだろう。
 お遊びか、或いは選別かは分からない。ただ、リーゼロッテが求めるのは、このような情報の端端から真相へたどり着く程度の力を持ちながら、その真相には決して触れないという聡明さを持つ者だろう。
 ことほぎだけでなく、今日この場に集まったイレギュラーズ達の中にも、この事件の裏で動いた何かに気付いたものもいるだろう。それでも、イレギュラーズはその真相を暴くような真似はしない。確かにイレギュラーズ達は、リーゼロッテの求める、聡明なる働き者であったのである。
 さて、それからしばらくの後。
 突入班よりの合図を待つ陽動班の元へ、一匹のフクロウが飛来した。
 突入班の放ったファミリアーである。向こうの準備は整ったようだ。
 ファミリアーへ向けて、ヘルモルトが軽く手を振った。了解した、と言う合図である。ファミリアーはそれを見届けると、再び屋敷上空へと飛び去って行く。
「さて。では参りましょうか」
 ヘルモルトの言葉に、陽動班のイレギュラーズ達は頷いた。

●突入/突入
 大きな音をたてて、屋敷の扉が開いた。
「今日は、お邪魔します! 破滅の時を止めに来ましたぁ!」
 陽気な大声で、ルチアーノが叫んだ。ダメ押しとばかりに、エイヴァンが窓ガラスをたたき割る。
 陽動班が突入したのは、屋敷玄関のホールである。正面には二階につながる大きな階段があった。その階段から、或いは一階の周囲の扉から、何事かと信者/護衛達が姿を見せた。
「な、なんだ、あんたら……?」
 短剣で武装した男が言う。恐らく、護衛にやとわれた人間だろう。
「見ての通り、盗賊です」
 ヘルモルトが言った。
「金品を要求します。それから食料も。従えば命だけは取らないでおきます」
 どこか淡々と要求を述べるヘルモルトへ、
「な……ふざけているのか!?」
 護衛の男が言う。あまりにも突然の事態に、上手く思考が追い付いていないのだろう。
 クテイは、ハァ、とため息をつくと、手近に居た信者らしき男へと近づいて、呆然とするその男の顔面を思い切り殴りつけた。たまらず男が倒れる。信者/護衛達の視線が、その男に集中した。
「悪いな。マジなんだ」
 仮面から覗く口元が、吊り上がった。途端、信者/護衛達の悲鳴が/怒号が響いた。
「あまりやり過ぎるなよ?」
 エイヴァンの言葉に、
「さぁ、それも相手の運しだい、ってな」
 クテイが答える。
 信者/護衛達の纏う空気が、徐々に険悪なものになって行った。明確にこちらに敵対姿勢をとっている。
「排除しろ!」
 信者の一人が叫び、隠し持っていたらしいナイフを手に取った。それに応じるように、信者たちが次々と武装していく。護衛の男達も、短剣を抜き放った。
 総勢にして、8名ほどだろうか。これが全員かは不明であるが、ある程度目をひきつける事には成功したようだ。
「恐れるな! 神の祝福は我らにある!」
 信者の男が叫ぶと、信者たちは次々に鬨の声をあげた。
「……お決まりの言葉だね。でも……」
 ルチアーノが肩をすくめた。彼らが信じる神の祝福など、存在しないのだ。

「……始まりましたね」
 塁が言った。階下が騒がしい。陽動班が行動を開始したのだろう。
 目標がいると思わしき部屋は、ある程度は絞り込めていた。後一手ではあるが、これは陽動班が動いてから、中の動きを確認するしかないだろう。
「よし……動いた。OK、確認した」
 ことほぎが呟くと、ファミリアーが飛翔し、屋根の上へと戻ってくる。視界のリンクをとくと、
「部屋を確定したぜ」
 告げる。
「ふむ、ではいこうかな?」
 ロープを手にして、ノワが言った。突入班は、慎重に、屋根の上を移動する。
 丁度いい突起を見つけて、ロープを固定し、たらした。
「では、行きます」
 塁が言って、ロープに身を預けた。外壁に足をかけ、窓から中を覗く。
 少し広めの部屋の中に、3人の男の姿が見えた。1人は、どこかうつろな表情をした、少々大げさなかっこうをした男で、これが目標、破滅預言者である。
 塁は頷くと、ロープを持ったまま、外壁を蹴り上げた。一瞬、身体が宙に舞う。次の瞬間には、反動によって速度を増した身体が、窓に向かって叩きつけられた。
 衝撃。とは言え、さほどの痛みはない。派手な音をたて窓ガラスが割れるのを、塁は聞いていた。身体が部屋に収まったのを確認してから、塁は部屋へと飛び降りた。ごろり、と転がりながら勢いを殺して、すぐに立ち上がる。
 護衛の男たちは、そんな塁に対して機敏に反応した。すぐさま預言者を庇うように立ち、
「誰」
 と、声をあげた護衛の喉に、塁の呪殺の矢が突き刺さった。すべての言葉を吐き切ることができないまま、男が喉をかく。
「おっと、悪いね。今楽に」
 続いて侵入してきたノワがレイピアを振るうと、斬撃が『飛んだ』。斬撃により切り裂かれた男が倒れ伏す。塁がちらりと視線をやった。絶命している。
「うわああああっ!」
 護衛の男が、慌てて身体を振るう。ことほぎの魔術により生まれた炎が、その服に引火したのだ。
「はいはい、お静かに」
 ごぎり、と音をたてて、男の首がまがる。芒の一撃が、男の命を奪い取った。
 瞬く間に行われた殺戮。それを目にしてなお、預言者は微動だにせず、焦った様子もない。
「おお……破滅か……破滅よ、わが前に来たるか……」
 ぶつぶつと、預言者が呟く。
「悪いけれど、僕達は、君の恃む破滅とやらじゃあないよ?」
 ノワの言葉に、しかし預言者は頭をふった。
「自覚がないだけであろう。私は神に祝福されている。私にまつわる全てが、神の意志の通りなのだ。君たちがここに来たことも、また神の意志。君たちが自覚していようといまいとな」
 その言葉に、一瞬、塁が顔をしかめた。
「……誰かの書いた予定通りに動くのは、ごめんなのですけれどね」
「そういうものなのだよ」
 預言者の言葉に、
「んー、まぁ、どっちでもいいんだよ」
 ぱん、と手を叩きつつ、芒が言った。
「私達は預言者先輩を殺すし、預言者先輩は此処で死ぬ。それが運命かどうかなんて言うのは、芒さんには興味はないしどうでもいいし。でもね」
 にこりと笑って、芒は預言者へと近寄った。
「芒さんはこう思うんだ。死は救いじゃないし、始まりじゃない。終わりなんだ。だから皆、怖いって喚くんだよ。それを思い知って――いや、死んだらそれもできないんだよね。だから、全部終わり」
 こぶしを握り締めると、実に軽く、振り払った。こきん、と音をたてて、預言者の顔が吹き飛ばん勢いで横を向く。それだけで、預言者の首の骨は破壊されている。グラリ、と揺れると、預言者は倒れ伏した。もう動かない。それはもう、終わってしまったのだ。
「……確かに、イカレた野郎だったな」
 ことほぎが嫌そうに言うのに、
「まぁ、そうでもなければ、破滅を謳って人を動かすなんてできないだろうね。……さ、帰ろうか」
 ノワが言うと、ほら貝を取り出した。

●破滅過ぎ去りし世界
「オラァ! まだまだパーティは始まったばかりだぜ!?」
 クテイが叫び、信者の一人を投げ飛ばした。吹き飛ばされた信者は、まだ意識があったのか、呻きつつも立ち上がる。
 床には、数名の信者/護衛が倒れ伏している。信者たちは気圧されているものの、まだ抵抗をやめないようだ。
「突入班は上手くやったか……?」
 エイヴァンが呟くのと同時に、ほら貝の音があたりに響いた。それが、作戦成功の合図である事を、エイヴァン達は知っている。
「フクロウも来たよ!」
 射撃を繰り出しながら、ルチアーノが叫ぶ。ファミリアーの到着もまた、作戦成功の合図であった。
 フクロウは一鳴きすると、夜空へと飛び去って行く。
「撤退だ! 退くぞ!」
 エイヴァンがの言葉に、陽動班たちは頷いた。一斉に撤退する彼らを、信者たちは追わなかった。すでに疲労困憊であったという事もあるが、何処からともなく聞こえてきた、「預言者が死んだ」と言う言葉に気をとられたのもあるだろう。
 しばし走り抜ける。追手がない事を確認して、陽動班のメンバーは足を止めた。
 息を整えつつ、
「作戦成功、だね。お疲れ様」
 ルチアーノが言う。
「ああ。向こうもけが人がいなければいいのだが……」
 エイヴァンが頷き、言った。
「合流地点までは、まだかかるか?」
 クテイの言葉に、
「はい。なるべく急いで合流しましょう」
 ヘルモルトが答える。
「そうだな、心配させても悪いだろう」
 エイヴァンの言葉に、陽動班のメンバーたちは再び進みだした。

 彼らの行く道を、雲から顔を出した月光が照らしていた。
 破滅すぎさりし世界に、光が差す。
 それは、いかな手段とはいえ、歩むことをやめぬ者たちへ降り注ぐ祝福であった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 皆様のご活躍により、幻想は一つの火種を未然に消火する事に成功しました。
 リーゼロッテも、皆様の活躍を、とても喜んでいるでしょう。

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