シナリオ詳細
布地少なめの格好でいくと失敗する依頼
オープニング
●なお布地多めで行っても
「キャーッ!」
「ゲヘヘヘヘヘェッ!」
「ウワーッ!」
「ゲヘヘヘヘヘェッ!」
カムイグラ、海沿い。
そこでは今まさに、海辺ですずもうとしていた人々が妖怪に襲われている真っ最中であった。
妖怪……といっても、なんだろう、ビジュアルは明らかに髪がエグいほど長い人間の姿だが、裾の長い布に身を包み、両手がハサミのような状態なのだ。
五指があり刃がある、ではなく。手が、それぞれひとつのハサミ、なのである。
人々は次々とその妖怪に服を切り刻まれ、恐怖と羞恥心で逃げていく。恥じらう人々をそれは追うことをせず、新たに現れた布地の多めな相手へと向かっていく。
そして、少ないなら少ないで、根こそぎ身ぐるみ剥がしていく。
その妖怪の名は、『衣切り』という。髪切り、と呼ばれた妖怪の変種であることは間違いなさそうだが。何故そんな手合が生まれたのか。
わからないけど、まあとにかく海に近付けないと人々がなんかこう涼めないのでよろしくない。
流石に放置はできない……と、いうわけだ。
●海で浜辺で暑いけれど
「……暑いですね。ですが皆さんには厚着で依頼に挑んでいただきます。十二単的な姿だとなお、いいです」
カムイグラで苦労しているイレギュラーズ達へ、『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)はなんとも絶望的な要望を突きつけた。なお、これは依頼を持ち込んだ人々からの要望でもあるらしい。変態趣味かな? と思った一同の気持ちを見透かしてか、三弦は淡々と話を続ける。
「今回、討伐対象になっている妖怪は『衣切り』と呼ばれる……簡単に言うと服を切り裂くたぐいの手合いです。それらは服の布面積が大きい相手を優先して狙い、水着か下着姿に準じた姿になった相手へは途端に興味を失うとのこと」
布面積の少ない服を着れば不意打ちもも可能なのでは……?! そう考えたものも少なくあるまい。
だが、三弦の表情を見るにそういう話でもなさそうだ。
「今まさに、海岸では新しい被害者が出続けています。切れる布地が減ったら次は髪、最後に……そんな話がありえない、なんてことはありませんでしょう?」
なるほど。
つまるところは、足りないなら足りないなりに別のところから奪いにいくわけか。そして最後に、人命にすら危険が及ぶ、というわけだ。
「バカバカしい相手ですが数が多いです。ぜひ、早々な対処を……ところでサイズですが、皆さんの膝丈くらいです」
「小さいのが逆にキモいわ……」
- 布地少なめの格好でいくと失敗する依頼完了
- GM名ふみの
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年07月27日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
青い海、白い砂浜、輝く太陽、そしてカムイグラ特有のエグいほどの湿気。
厚着で来いという地獄めかした招待状を受けたイレギュラーズ達は、そこに現れた珍妙な
「俺はこの輝かしい時間を生涯忘れる事はないだろう……!」
『放蕩無頼 』晋 飛(p3p008588)は天を仰ぎ、己の幸運を神に感謝しながら通信魔術を打ち込んでいた。速攻で籠もる気満々の彼はしかし、感動と喜びで目がだらしないことになっている。ほんとなんなんだ。
「一体なぜこの依頼に来てしまったんだか……」
『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は狂喜乱舞する飛とは対照的に、酷く落胆した表情で頭を抱えていた。本当、対照的な2人が傍観者枠に収まるとか運命感じるんですよね。
だからホラもっとはっちゃけて。ダメ? そっかあ。
「服斬って辱める癖に斬ったら興味無くすとか、レベルの高い変態妖怪野郎デスネ……裁く!!!」
『シャウト&クラッシュ』わんこ(p3p008288)は妖怪の詳細を聞き、絶対に生かしておけぬと決意した。したんだけど、絶対無敵最強十二単とかいうとんでもねえモンを着てきた。そうだね説明段階で十二単とか言ってたもんね。わかるわ。
「衣切りなんて妖怪は初めて聞くなー。水○先生が知ったら喜ぶかも?」
『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)は未知との遭遇にどこかウキウキしたノリを見せていた。なお、水〇先生は知らないかもしれないが似たような変態妖怪は某所に現れていたとされ、別にこれが初出じゃないので悪しからず。ごめんなR(検閲削除)。
「神秘的な海の果ての島ってイメージだったけど、なんか変な音が聞こえるわ……イメージが崩れ落ちる音かしら」
『そんなことで崩れるイメージなんて幻想よ! その程度も切り替えられないの?』
『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)は脳内に響く瓦解音と脳内のツンしか感じられない恋人の声で情緒がグッチャグチャであった。まあこの後全身も(返り血と臓物で)グッチャグチャになるかもしれないんだけど。
「あー……一面の砂浜……仕事じゃなければ素晴らしい環境なんですけどねえ。なんで妖怪だけじゃなく味方も警戒しなきゃいけないのか」
『銀の腕』一条 佐里(p3p007118)のギフトは、周囲一帯、少なくとも戦闘に関わりそうな場はすべてそれなり整った砂浜であることを察知していた。特に罠やら思いがけぬ悪意の気配もなし。……想定通りの悪意含みなところがなんともいえないのだがそれはそれである。
「うううう……いくら依頼を選ぶのに迷ったからって、適当に指差しで決めるんじゃなかったかな……」
世の中には、勘に頼ると逆効果なことがあると『揺蕩』タイム(p3p007854)はこのとき骨身にしみて理解した。でもこうして来てしまった以上は退けないので、今回ばかりはなんとか解決せねばならない。
「でもでも! このまま放っておくなんて出来ないし、みんなの安全の為にひと肌脱ぐしかないよね!」
「スケベな妖怪相手に脱いじゃダメよ!? 不本意な露出は人生に影を落とすわよ、分かってるの!?」
タイムの決意を、『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)は慌てて訂正する。強い気持ちは時に多くの危機を跳ね返す力となるが、このときに限っては一肌脱ぐとかド禁句なのである。ほらそこ、飛がガン見してるじゃねーか。ステイ。
「ゲヘ……??」
と、砂浜に現れた異物(イレギュラーズ)にようよう気づいた衣切り達が一同へと顔を向けた。
「手筈は前もって説明した通りにやりますよ!」
「集まってきた連中を片っ端から蹴散らせばいいんデスね!」
「あたしは衣切りを引きつける為にこれを持ってきたよ! じゃじゃーん、練達? ってところで売ってたゴリラ着ぐるみ!」
戦衣の上に20枚ほど重ね着してもはや布が本体では? という雰囲気になりつつあるアルテミア!
十二単のやべーやつ、わんこ!
そしてまさかの 練 達 製 の ゴリラ着ぐるみに袖といわず全身を覆われた朋子!
「あっつぅい……でも、少し見えちゃうような事があっても、し、下着じゃないから恥ずかしくないもの!!」
「普段はともかく、今回ばかりは……ぱんつが大事……」
「皆さん普通に動きづらい格好だと思いますけど、『お洒落は我慢』って至言ですね……」
薄手の服を幾重にも重ね着したタイムは既に頭の振れ方が危ないがまだイケる!
セリアは普段の自分を敢えて投げ捨て下着を着用! 賢明な判断力だ!
そして佐里は比較的動きやすさ重視の薄着! これはこれでアリだぞ!
え、依頼失敗しないのかって? 1人くらい自由にさせてやれよ。かわいそうだろ。
「尊い犠牲ちちしりとももののアルテミア……素直可愛いわんこ……紳士仲間の世界、流されっぷりが可愛いタイムちゃん。あと5年熟成させたい長谷部、何故か嬉々としてネタ要因になろうとするセリア……お前達の犠牲は忘れねぇからな……っ!」
「俺は囮だからな。そっちの言う紳士と一緒にしないでほしい……重、暑……」
飛の仲間達に向けられた密度の濃い感情はさておき、世界に視点を戻せば分かるだろうか? 彼は圧倒的に多く、服を着込んでいるのである。明らかにおかしい枚数のアルテミアや、十二単のやべーやつよりも。それが何を意味するのか?
精霊爆弾をうまいこと使おうとしたけどトラップ技能があるわけでもなく、爆弾に精霊操作でオーバーロードさせておいて突っ込んでくる衣切り達を巻き込むことしか。
「……自爆特攻では?」
佐里が気付いたときにはもう遅い。世界は精霊爆弾の暴走と共に着衣の半分ほどを喪失、体力は……えっげつねえほど減っていたのである。やべーぞ尊厳レ〇プだ!
「あー、もう! なんでこの世の中にはこんなにヘンタイ多いのよ!」
『そんなことじゃ尊厳を失っちゃうよ』
「そこは慰めてよ!」
セリアの脳内彼氏はどことなくイルカめいたことを呟いていたが、ツンデレとは……一体……?
●
「お前の紳士ぶりは忘れないぜ、世界……!」
飛は世界の生き様に敬礼すると、仲間達へ向けて栄光の波濤を与えていく。時間は刹那、されどそれは確かな密度を以て仲間達を押し包む。少なくとも、着衣の堅牢性は少しくらい上がったのではなかろうか?
「こっちを見なさい、厚着よ厚着! さあ!」
アルテミアは己を的にかけ、堂々たるアピールで衣切り達にアピールする。勇ましく強く、そして華やか(着衣数的な意味で)なその立ち振る舞いは、成程、その出自を感じさせる。
そんな厚着でなぜ動きの鈍りようが少しだけなのか? なんのことはない、着衣に細工をしているからである。
その秘密が明らかになる前に脱がされるので、ここでは省く。
「布面積減らしてマスガ、それでもくっっっそ暑いデス……でも万が一の時の為にマナーを破ってぱんつを穿いてマス。勝ったな!!!」
ああ、あの静寂の青ぱんつか……。
まあそれは脇に置いておくとしても、わんこに取り付いた衣切りはその着衣を切るほどに跳ね返ってくる痛みで悶絶していた。彼女だっていろいろ考えて戦いに赴いているのである。
そしてそこに、わんこの練達メカニズムを駆使した連続攻撃が迫る。衣切り達は堪らず放り出され、びくびくと痙攣しながら逃げようとする。遅い。
「ホッホホッホホッ、オーホホホーイェーッホ!!!」
「まだ全部脱がされてないデスよ!」
すかさず振り下ろされたゴリラ、じゃなかった朋子のネアンデルタールは、彼女を中心に炎獄の奔流を撒き散らしていく。当たり前だが、わんこの攻めを受けてさらにこれ、でこんな貧素な連中型得られるはずもない。
「ゲヒャァァァァァァ……」
「こっちに来る前に倒れて……お願いだから!!」
吹き飛び、それでも根性で生き延びようとした個体はもれなくタイムのマジックミサイルに打ち抜かれ、地面にスッ転がる。彼女は厚着をしていたが、必死だった。保険のための厚着だ。切らせる為のそれではない、だって薄着だと失敗す
「まだピンピンしてるのが多いね。打ち落とすよ」
佐里は猛攻を逃れ、アルテミアに向かった衣切りを跳弾を駆使して打ち抜いていく。見てくれ、その格好はキャミソールにショートパンツ、溌剌さを大いに感じられる――しかし布地少なめの格好!
「どうしてぇぇぇぇぇ薄着で大丈夫なのぉぉぉぉお?!」
「だって厚着しすぎると動きにくいし……」
タイムの嘆きに対する佐里の回答は的確だった。いやあ、ほんとこればっかりは真理だよね。1人くらいはセーフセーフ。
「あっちを見ても変態」
衣切りの群れ。
「こっちを見ても変態」
ほぼ全裸となった世界とバフをかけてまわりつつガン見の飛。
「どっちを見ても変態ばかりじゃない! 神秘の島って触れ込みは嘘だったの!?」
そんな触れ込みはなかったけど、周囲の反応は完璧それだったよね。すごい抽選の果てにこんなトンチキな連中でごめんなセリア。
だが、彼女は言葉の割に冷静に魔力を練り、近づいてきた連中は片っ端から魔力の塊を叩き付けていく。やけっぱちなのでいつもよりランダム性が高い。
「俺は変態じゃない! 不埒な目的で参加したわけじゃないんだ……!」
世界は心からそう叫びつつ、魔力で蛇を作っては衣切り達を悶絶させ、治癒魔術を自信に使っては粘り強く戦う。ほぼ全裸ってなんかスイーツみたいだよねうるせえわ。白衣があるからセーフセーフ。視界の端でタイムが隠してるようで隠してない目隠しごしに世界を見ているけどセーフだ!
「ウッホッホッホッホーホホオー!! ンヤッホーホホホ!!!」
「わ……ワン……??」
地面を火柱で吹っ飛ばしまくるゴ朋子(ゴもこ、と読む)はすっかりゴリラ語に堪能だ。「練達謹製ゴリラ着ぐるみ『ダレデモ・コング』」なるものを調達した結果、暫くゴ語を話しながら時折紅茶とか飲むのだろうやめろってそろそろ権利的に危ねーって。ホラ見ろわんこも思わず犬語になってるだろ。おいオオカミ。
「尊い犠牲ちちしりとももののアルテミア……。
素直可愛いわんこ……。
紳士仲間の世界、
流されっぷりが可愛いタイムちゃん……。
あと5年熟成させたい長谷部……。
何故か嬉々としてネタ要因になろうとするセリア……。
お前達の犠牲は忘れねぇからな……っ!」
飛、心からの叫び。世界演算を駆使するアルテミアからしても、彼のヤバさは測定不能だ。あと、ゴ朋子はあと5年で済まされない気がしてきた。
「くっ、好き勝手衣装をひん剥こうとするんじゃないわよ変態!」
「ゲヒヒヒヒ、ヒャッ!?」
だがアルテミアはその程度で思考をストップしない。次々に生み出される青い炎は衣切り達を滅多斬りにし、近づけば吹き飛ばすとばかりに猛威を振るう。
重ね着した服が次々に刻まれていくがその動きはいや増し、殲滅速度が上がっていく。
「あっちにも……こっちにもそっちにも……なんでこんなに沢山居るのよ!」
セリアは既に着衣の9割を剥ぎ取られていた。ここまでされて、突如として衣切りの群れが朋子やわんこに向かっていくという屈辱。
「……ここまでしておいて? ここまでして、そのあげくに放置ってすごい屈辱ぅ~!」
タイムもまた、同じように酷い目に遭わされてその上で放置されていた。
これがまあアルテミアに全数殺到ならまだ格好が付いたのだが、よりにもよって純真なわんことまだ若いしゴリラなゴ朋子である。えっ酷くない?
そりゃ彼女だって砂浜を拳に変えてやつらを片っ端からぶん殴るわけだ。仕方ないよこんなの。
「――お嬢さんがた、そろそろ俺の後ろへ隠れな」
飛のイケボ(※個人の感想です)がそのとき、薄着になった者達の背に響いた。どこかハウリングしたその声は……なるほど、AG(アームドギア)から響く声か。
その姿はガバガバな衣切り判定にも見事に引っかかったようで、ここぞとばかりに衣切り達は彼に殺到する。そう、アルテミアすらも無視して!
「オラオラオラオラァー! お嬢さんがたのあられもない姿を瞬間記憶した俺にとっちゃお前らはもう用済みなんだよォ!」
AGから炸薬、榴弾、そして不意打ちの連続攻撃が襲いかかる。衣切り達はその爆発をつかって飛のいるコクピットにはさみを突っ込み……引き抜いた!
次の瞬間、AGは周囲の衣切り達に炸裂弾頭をバラ撒きながら去って行き、残されたのは……嗚呼……!
「おい、なんで俺がこんな格好にいや見るんじゃないタイムちゃん! 絶対瞬間記憶としかしてる目だろ!」
「…………無敵といっても過言ではない対策を打ってきたのにこの扱い、少し腹立たしいですね」
「いえ、でもお陰でお気に入りの水着が守られたから助かってますよ佐里さん……? さりげなくかなりの数を倒されてますし……」
なお、飛の半裸の影に隠れた半無敵状態の佐里と最後の砦に片手をかけたアルテミアがKO☆NO☆ZA☆MA☆なのは好意的な判定の結果である。しかたないね。
「アオーッホホホッ、ウッヒャッホーオホホ!!!」
ぜってえこのゴ語の監修どっかの幻想種だわ。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
やったぜ!!!!
GMコメント
カムイグラでシリアス書きすぎたんですこし息抜きしたくなりました。
息抜きでイレギュラーズを混乱させるんじゃない。
●達成条件
衣切りの排除
●衣切り×わりといっぱい
子供くらいの体躯に伸び切った髪、両手はカニのような一体式のハサミ状になっています。
人の衣類を切り裂くのに並々ならぬ執念をもっており、着衣が多い人を優先的に狙います。
なお、布面積とか着衣量が少ない人はクリティカル(意味深)を受ける可能性が格段に増加します。
多くてもごくまれに起きますけどね。極稀ってこういう場合、まあ。あとはわかるよな。
普通に攻撃力は高く、数も多いため油断はできません。主に貞操とかの。
●戦場:海岸
戦闘後に泳いだりしていいです。
泳げるもんならな。
なお、砂浜に足を取られると少々反応にマイナスつくと思いますが、そもそもあっちから群がってきますよ。たのしいね。
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