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シナリオ詳細

<Bloom*Bloom>満ち照らす星行燈

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ブルー・ムーンに揺蕩う
 七月七日。
 どこかの世界なら、織姫と彦星が天空で逢瀬を果たす日。
 一年に一度だけ会える、とくべつな火日である。
 それはこの世界――ブルーム・ブルームにおいても、特別な日。
 妖精たちの住まう森の奥、せせらぎ聞こえる泉の麓。
 星満ちる夜に、咲く花があるのだと。
 満天の星空を映した水境に咲く、ましろい花。サンカヨウにも似て、その花弁に水が触れれば、悪戯に透明になって、輪郭だけを残して夜のいろに溶けてしまう。
 その花に。
 その花の中央に、うっすらとキャンドルがあることを知ったのは、誰が最初だろうか。
 妖精たちが戯れに火をおこし、そっと灯す。

 ぼうっ。

 勢いよく燃え盛り、それはふわりと宙に浮かぶ。
 その花の中央に火が辿り着くまで。それはわずかな時間である。
 その時間のうちに、願いを乗せるのだ。
 願い事をかなえたい、という妖精の想いが、かたちになった花が多いこの世界では。
 それが紫陽花であれ、この花であれ、きっと。
 その花々は人々の心を魅了し、笑顔を生み、そして妖精という小さな隣人との絆を紡ぐ。
 絢爛な花に満ちたこの世界で、花が紡ぐ絆は大きな意味をもつのだ。

 どうか、この世界がいつまでも続きますように。
 どうか、この幸せな日々が枯れることなく、とわに続きますように。
 そう、願いと祈りを込めて。

●花咲かす星明かり
「やあ。カンテラを使ったことはあるかい?」
 境界案内人がひとり、フィスは、その手に握ったカンテラをキィと揺らした。
 中にはいっているのは花。蜜蝋のような甘い香りをさせながら、緩く、柔く、ひかりを灯している。
「ああ、これはね。七夕の近い日にだけ咲く、行燈花と呼ばれる花だそうだ」
 それでね、と話を続けるフィス。
 境界図書館の明かりを落としているからなのか、やけにカンテラが目を引いた。
「実はもうすぐ、この花が咲くのが、ピークらしくてね。
 女王様から招待状が届いているのと、」
 はい。と、人数分用意されたカンテラを指し示して、フィスはふふ、と珍しく得意げに笑った。
「折角だから、楽しんでおいでよ。忙しいときは、息抜きだって立派な仕事だって聞いたからさ」
 『ああ、そうだ。ボクにもお土産よろしくね?』と手を振ったフィスは、また境界図書館の奥へと戻っていってしまった。

NMコメント

 心踊る物語を貴方に。どうも、染(そめ)です。
 最近は酷い雨が続いていますね。こちらも天候の乱れが激しく、洗濯物が干せないでいます。
 この雨が上がるころには、夏がやってくるでしょうか。
 それでは、今回の依頼の説明に入ります。

●目的
 夜を楽しもう。

 カンテラをもって、静かな森の中を巡ってみましょう。
 NPCをお誘い頂いても構いませんし、どなたかとご一緒にぶらぶらされるのもありです。
 ごゆっくり、お楽しみ頂ければと。

●世界観
 魔法世界『ブルーム・ブルーム』。
 花と魔法で満ちた世界。魔法で文明が築かれています。
 基本的には物理攻撃よりも神秘攻撃がメインの世界です。
 また、ファンタジーな世界ですので、妖精やドラゴンなど、ありえない生物がいます。

●NPC
・フローラ(ティターニア)
 妖精女王。引き摺るほど長い若草色の髪が特徴。桜色の髪留めが宝物。
 エルフのように長い耳を持つ。成長が遅いとはいえ、いつまで経っても凹凸のない身体に悩んでいる。
 カンテラ片手に、色々なところを回っています。

・グレイシア
 前の妖精王。鋭い目つきと薄氷色の髪が特徴。ガタイがいい。
 エルフのように長い耳をもつ。シスコン。眼鏡。
 他国の妖精へ外交をしに行っていた。
 今日は木陰で花を愛でています。

・カナタ
 花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスター。齢19にしてトップクラスの実力を持つ温厚な青年。
 フローラに付き添って、カンテラをもって色々なところを回っているようです。

●サンプルプレイング
 このお花、キャンドルみたい。
 隣に佇む彼に微笑んで、そっと花を掬ってみましょう。

 以上となります。
 皆様のご参加をお待ちしております。

  • <Bloom*Bloom>満ち照らす星行燈完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月12日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
武器商人(p3p001107)
闇之雲
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
クロエ・ブランシェット(p3p008486)
奉唱のウィスプ

リプレイ

●優しい願い
(特別の日の夜に咲く特別の花か……。特別……一部の者、物には特別が宿る、それはフローラ様で例えるならば女王という特別だな……)
 『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)はフローラの近くを歩く。
 暗い森の中ということもあり、野獣に襲われても大丈夫なように、今日は臨戦形態である。
(俺の場合は……生きた呪物は+の特別じゃないし……イレギュラーに関しては………200人以上もいたらもう特別じゃないな……。
 それならお前は特別が欲しいのかと問われたら……?
 ――……わかんないや……今は警護に集中しよう。)
 『わあ!』だとか、『サイズ、あれをみて!』だとか。楽しげに声をあげるフローラは、サイズがランタンを持参していることに気がついた。
「まあサイズ。そのランタンは、あなたのもの?」
「ああ、そうですけど……こちらが持っている火にはあまり注目しないでください。
 きっと見てていい気にはなれませんから」
「あら、そう?」
 小首を傾けるも、気にした素振りは見せず。それならそのまま進もうと、フローラは歩みを進めて。
 一方でサイズはほう、とため息を吐く。
(妖精の闇を宿した暗い魔力の火……フローラ様に言うには、失礼だろうし。
 それに、あんまり明るい訳でもないしな……)
 ぼんやりと灯る光が僅かに揺らめいた。二人の足元を照らすには充分だけれど、それでも。
(――まあ。夜は悪意や闇が深くなる時間だ……。
 ここは凄く平穏だけど……夜である以上何があるか分からない、しっかりフローラ様を守れるように動こう)
「あ、サイズ! 花よ!」
「お……見つかりましたか……」
 淡く咲いた花にフローラが微笑んだ。『これって食べられるのかしら』という問いにサイズがひっそり毒味をする。
 『大丈夫そうです』という返事を聞くや否や、嬉しげに花の蜜を舐める。流石は花の妖精と言った所か。
「そういえば、フローラ様」
「ん?」
「普段夜は出歩いたりされるのですか?」
「んー、そうね。固く禁じられているのよ。ほら、私女王だし」
 わかりきっていることだ。そうだろうな、と思ったサイズはまた周囲を警戒する。
「でもね、たまにひっそり抜け出したりするの」
「!?」
「ふふ、これは内緒よ!」
 くすくすと楽しそうに笑うフローラ。そんな様子に、楽しめているのだろうと安堵するサイズ。
(……まあ、この夜がフローラ様にとって特別な夜でありますように……)

●隣人は笑った
「やァ、よければ一緒にどうだい、愛しい隣人(ようせい)たち」
「あ! 銀のフルール!」
「こんばんはあ! げんき?」
「ふふ、元気さ。こんな素敵な夜は、お話ししながら散歩でも楽しもうか」
「うん! もちろんだよ!」
「わあ、ずるい! ぼくもぼくもっ」
 『闇之雲』武器商人(p3p001107)が隣人と呼ぶ彼ら妖精。
 何処か惹かれ合うのか、けらけらくすくす笑いながら、妖精たちは武器商人の周りを飛びまわる。それも、いつものように。
 軋むカンテラ。静寂の森。
 足音と妖精の鱗粉。
 ああそうだ、と口を開いた武器商人に、妖精たちは頬を綻ばせ、瞳を輝かせて。そして、耳をすませた。
「知っているかぃ? 知っているかもね」
「どんなおはなし?」
「きかせて!」
 もちろん。
 ごほん、と人間らしく咳払いひとつ。
 武器商人は語るように。或いは、あやすように。
 妖精たちに語りかけた。

  星が沢山空にあって、先が二又に別れたシロツメクサが咲いた夜は

  星が銀貨になって地上へ落ちてくるんだよ

  星の銀貨は燃えるようにキラキラしていて

  紅茶の様に芳しいんだ

 きゃあきゃあと笑う妖精たちも、今はしぃんと耳を傾けて。
 そんな様子が愛らしいから、もっとじっくり、声に抑揚をつけて。
 武器商人はまた、語るのだ。

  星の銀貨を沢山集めて

  スミレを浸したミルクの中に沈めると

  銀貨とスミレはキラキラととろけて

  ミルクを輝かせるとっておきの砂糖に変わるんだ

  それを飲むとねーー、

 風が吹いた。
 風のイタズラ。なんて、そんな偶然。
「それをのむと?」
「どうなっちゃうの?!」
「あ、ぼくわかった! おほしさまになっちゃうんだ!」
「うーん、わたしはね、きっとおはなになるんだとおもう!」
「フルール、フルール!」
「せいかいを、おしえて!」
「ン? アァ、知りたいのかい?
 ふふ、そうかい。それなら、教えてあげようね」
 小さく小さく語った武器商人。
 妖精たちは顔をめいっぱい動かして、表情をころころかえて。
 そんな様子に、妖精の隣人――武器商人は笑ったのだった。

●「ゆるさない」
「息抜きと聞いたが夜間に森の中を歩くというのはなかなかに大変な事じゃないか」
「そろそろ世界からもなんとか言ってくれない?」
「そもそもこれも願いを叶える系だろ? 俺はもう紫陽花でとっくの昔に懲りたぞ。
 ……まあ、行燈花を見つけるために探索していくか」
「ふふ、ありがとう」
 カナタの恐らく良い理解者である『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は、以前の紫陽花の悪夢を思い出す。
 外れないカチューシャ。強く祈る。あれっ外れない。
 うっ、頭が!!
 みるみる顔を青くした世界は首を横にブンブン降ると、自分の中で話を変えるために、声色を明るくしてカナタに語りかけた。
「しかし、夏で夜中で人気が無い場所か……怪談にはうってつけなシチュエーションだな。
 そういえば俺の出身地じゃ、幽霊とか怪奇現象なんてのは非現実的な存在だから恐れられてたが……」
「おや、そうなのかい? この世界じゃ――、」
「この世界じゃ普通に幽霊いるよな。怪奇現象だって魔法が存在するなら普通にありえそうだし……というか地球だったらまず有り得ない現象を俺自身が何度も体験してる訳で。
 ならばそういう現象に遭遇した場合の反応はどうなるのか。これは要検証だ」
「……????」
 『君だけは常識人枠だと思いたかったんだけどな?!』というカナタの悲痛な叫びを置き去りにして、世界は瞳を輝かせていた。
「……あ、そうだ。カナタ、すまないが俺、向こうに財布を置いてきたんだ。茶色の。
 取られると生活費が死ぬんで、取ってきてくれないか?」
「はあ!? え……はぐれたら知らないからね」
「すまん、助かる」
 嘘である。
 この男、偽の財布を用意して机に置いてきた。
 カナタはそれを知らずてってこ走っていく。なんてことだ。
 その背中を笑顔で見送ると、世界は罠を設置し始めた。鬼か?
(持ってきた精霊爆弾の火力を調整してラップ音みたいになるようにとか。精霊に協力してもらって火の玉を出現させるとか。
 あとは落とし穴とか足にロープをひっかけるとか……これ普通にイタズラになってないか? まあいいや。俺が楽しい)
 一生懸命罠設置をしていると、近くに咲いている行燈花を見つける。
(あ、願い事は自分のはどうせ叶わないからカナタの胃に穴が空かないよう願っておくか)
 この後絶対に胃に穴が空きそうである。
 木陰に隠れた世界。一生懸命走って戻ってきたカナタ。
 彼にとっての惨劇の夜が、はじまった。

「えっちょ、ま、えっ???!!!」

●はじめまして、こんばんは
(ブルーム・ブルームは初めて訪れる世界です。
 フィスさんに聞けば、おとぎ話のように妖精達が住む世界なのだとか……。
 可愛い妖精達に会えるかもしれない。わくわくしますね)
 『波枕の鳥』クロエ・ブランシェット(p3p008486)は行燈花のカンテラを手に、森を探索する。
 今回の依頼人であるフィスに土産を頼まれているから、と懸命に探す姿はなんとも愛らしい。
(わあ……甘い匂いがしますね。なんだか不思議なことに出会えそうな、そんな夜です)
「あっ、おきゃくさんだ!」
「こんばんは!」
 きゃいきゃいと楽しげに語りかけてくれる妖精たちに女王からの招待状を見せると、クロエも優しく声をかけた。『こんばんは、妖精さん』と。
「行燈花が見頃なのだそうですけど、どこに咲いているか知りませんか?
 初めて来たから泉がどっちなのかもわからないんです……。
 案内だけでも助かりますが、よかったら一緒に行ってくれると嬉しいです」
「いずみ? いいよ! おはな、きょうがみどころだもんねえ」
「ぼくらといっしょにいこう!」
 誰かとお話しながら一緒に行けば、きっとたのしい。
 その考え通り、彼らのころころ変わる表情にクロエはくすくすと笑って。
 そうして語らいながら歩めば、ほら。あっという間に泉に到着するのだ。
「わあ……!」
 星空を映して咲く花が綺麗で、クロエは手でそっと掬ってみる。
 柔らかい光が照らした森は、また違って見えた。
「いい時期に来られてよかったです!」
「ねえねえ、このおはな、ねがいごとするといいんだよ」
「ぼくらもねえ、お願いごとしたんだぁ」
「願い事をすればいいんですか? んー……」
 少し悩んだクロエが口に零したのは、妖精たちを幸せにする願いごと。
「またこの世界に来られますように、でしょうか。
 昼間とか別の場所とかも見に行ってみたいですから」
「ほんと!? じゃあ、次会うときは、またぼくらが案内してあげる!」
「まってる!」
 嬉しそうに飛びまわる妖精を見て、心を和ませるクロエだった。

成否

成功

状態異常

なし

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