PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ひとりとり残されて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●依頼は突然に来る
 陽射しの暖かさを感じさせる午後、ローレットに10歳くらいの少年が駆け込んできた。
「お願い。妹を、ソフィアを……助けて!」
 長い距離を駆けてきたのだろうか?
 全身で息をするように肩を上下させながら、少年は偶々出入り口の近くに居た、ユリーカ・ユリカ(p3n00002)に、縋るような視線を向けて来た。
「な、何があったのですか? 落ちついて話して欲しいのです」
 少年に怪我が無いことを、目で確認しつつ、ユリーカは問いかけた。そして、ただならぬ気配に気がついたイレギュラーズたちも、心配そうに集まってくる。
 集まって来たイレギュラーズの中の一人が水を差し出すと、少年は頭を下げて謝意を示しつつも、よほど喉が渇いていたのだろうか、一気にそれをあおる。
 直後、飲み干し切れずに、咳き込みながら、喉元を押さえた。

「それで、ソフィアさんは、今、どうしてるのですか?」
 ユリーカは咳き込む少年の背中をさすりながら再び問いかける。
 すると、呼吸も落ちついて来た少年は、自分と妹のソフィアに起こった災難を話し始める。
「僕とソフィアは、町外れの遺跡で探検ごっこをしてたんだ。ちょっとしか中に入らないのに、今日はすごく綺麗なピンクの木が見えたから、ソフィアが見に行きたいって、で、ずっと奥まで進んで木の所に着いてすぐに、僕たちが入って来た入口から、ぞろぞろとオークがやって来たんだ。急いで木の裏に回って身を隠して、壁に空いてた穴から、逃げようとしたんだけど、穴が高い場所にあって、僕は登れたんだけど、ソフィアはまだ小さくて登れなかったんだ。そうしている間にオークは、ピンクの花を付けた木の周りで宴会の準備を始めて……」
「はわわ、大変なのです……」
「急いで助けに戻らなきゃ、妹が、オークに見つかっちゃう。だから、お願い、力をかして!!」
 僕の名前はウラジミール、双眸からいっぱいの涙を零しながら、少年は名乗り、床に額を擦りつけるようにして懇願する。
 オークはおよそ10体。
 少年の記憶は曖昧ではあるが、リーダーも居て、剣や弓も持つ個体も居るらしい。
 現在、遺跡の奥にあるピンクの花を咲かせた大樹の近くで宴会をしている。
 但し宴会していると言うことは、油断をしている可能性が高い。
「……と言うわけで、皆さん、お仕事の時間なのです。ビシッと決めてきて下さいね!!」
 そう言って、ユリーカは無邪気さと信頼を込めた双眸で、あなた方イレギュラーズを見渡す。
 そして、ぺこり。と、子どもっぽく、だけれども、とても丁寧に頭を下げた。

GMコメント

 角野美奈代(すみのみなよ)と申します。
 一番最初の今回はオークの宴会の中に置き去りにされた少女の救助を目指すシナリオを運営させて頂きます。
 宜しければ、ご検討の程よろしくお願いします。


●成功条件
 隠れている少女の保護。
 リーダーを含む半数以上のオークの撃破。

●敵情報
 リーダー格の1体を含む、オークが約10体。
 弓または剣を所持していて、構成比は不明です。
 ピンクの花をつけた大樹の周りで宴会をしています。
 戦闘力は高くはありませんが、戦闘が始まる前に少女を見つければ、最悪の形で宴会の慰み者とすることは想像に難くありません。

●現場について
 ピンクの花を咲かせている大樹は、町外れにある遺跡の奥にあります。
 現在、大樹の周りを囲むように壁があり、少女の逃走を阻んでいます。
 壁の高さは平均で3メートルほど。
 出入り口は一カ所、オークが居る為、見つからずに通り抜けることは誰も出来ません。
 少年が脱出できたのは、たまたま壁に穴が空いていた為。
 その穴は少女が登れない位置にあった。

●その他
 少年の名前はウラジミール、年齢は10歳です。
 妹のソフィアは8歳です。

●ご注意
 リプレイではプレイングに記載していない、セリフをキャラクタが喋ったり、依頼成功の為に行動する場合があります。もし、どうしてもNGなこと、やらせないで欲しいことがありましたら、可能な限り対応いたしますので、プレイングやステータスシートにてお知らせ下さい。

 皆さまのご参加とプレイングをお待ちしています。

  • ひとりとり残されて完了
  • GM名角野美奈代
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年04月27日 22時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウィリア・ウィスプール(p3p000384)
彷徨たる鬼火
ルーティエ・ルリム(p3p000467)
ブルーヘイズ
ジーク・N・ナヴラス(p3p000582)
屍の死霊魔術師
クロネ=ホールズウッド(p3p004093)
自称騎士の騎士見習い
7号 C型(p3p004475)
シーナ
タツミ・サイトウ・フォルトナー(p3p004688)
TS [the Seeker]
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
一条院・綺亜羅(p3p004797)
皇帝のバンギャ

リプレイ

●現場へ
 早打ちの太鼓の如き心臓の鼓動を感じながら『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は駆ける。
「急がなきゃ……8歳の女の子がオークだらけの場所に取り残されているなんて、いつまで泣かずに我慢できるか分からないよ」
 心細さや恐怖に心が押しつぶされた時が、女の子の最期となると、理解していればこそ、誰もが僅かな休息すら惜しんで、体力の極限に挑むように駆け続ける。
「今回のヤツらが、何か悪さをしたのか、分かんねぇが、女の子は助けてやらねえとな」
 先頭を駆ける焔と併走する位置にまで躍り出た、『TS [the Seeker]』タツミ・サイトウ・フォルトナー(p3p004688)が、根を詰めすぎるなと、心配げな顔をする。
「危ないそうな場所には近づかない。それが基本のはずだが」
 今回の事故は、『ブルーヘイズ』ルーティエ・ルリム(p3p000467)に言わせてみれば、危険に対する意識の低さが招いた自業自得になる。
 8歳と10歳の兄妹の、ただ綺麗な花を近くで見てみたいという無邪気な好奇心であっても、潜在的な危険は相手を選ばず容赦なく襲いかかってくる。
「まあ、だからこそ、わたしのようなのにも存在価値があるのだが……」
「まったくじゃな、お陰でわらわも、こうして初陣を飾ることができるというものじゃ」
 華麗に救助を成功させようぞ、『メカっ娘アシガール』一条院・綺亜羅(p3p004797) は、軽口を叩くものの、はじめて依頼について心配が全く無いと言えば嘘になる。
 前方に石造り遺跡群が見えてくる。
 それと同時、その奥の方に帽子を被せたようなピンクの固まりがあることに、誰もが気付いた。
「見えました。ウラジミールさんの言っていた花はあれですね……急ぎましょう!」
 既に充分に急いでいたのだが、風に乗ってうっすらと聞こえてくる、騒がしい気配に、クロネ=ホールズウッド(p3p004093)はオークの暴虐に曝される少女の最期を思い浮かべて、騎士としての闘志に火が点く。
 そして、さらに足を早めようとした瞬間、『屍の死霊魔術師』ジーク・N・ナヴラス(p3p000582)は冷静に告げた。
「落ち着け、騒ぎ声だけだ。まだ、見つかったと決まったわけじゃない」
 一行の目に映る遺跡は、屋根が全て崩れ落ちていて、壁と柱だけになっており、まるで地面から白骨が突き出ているようだ。

●作戦開始
 遺跡の奥地、ピンクの大樹を囲むような形で、オークたちがどんちゃん騒ぎをしていた。
「……9、10。ソフィアちゃんは、恐らく無事かな?」
「距離が離れすぎているようだね。分からん」
 目視でオークの数を確認した、焔に、ジークは首を横に振る。壁を越えて、木の方に近よればオーク以外の魂、少女のそれも見つけられるだろうが、仕掛けようとしている今、此方の存在を知らせる訳には行かない。
「弓持ちが3、剣持ちがリーダーも含めて7ですね」
 武器を持ったまま宴会をしているわけではないが、胸当てや肩当て、身なりの違いを見れば、使用武器の想像はおよそつく。そしてオークしか見えないと言うことはまだソフィアは隠れたままなのだろう。
「この壁、登れそうだけど、どうする?」
「何か良い策があるのですか?」
 壁の上から弓を射ることもできそうだと、タツミは一瞬思ったが、疑問形を投げかけてくるクロネには首を横に振って応じた。少年の話を聞いた時に気付いていれば、何か思いついたかも知れないが、今は、接近戦に気持ちが傾いている。
「では、予定通り、弓持ちから倒しましょう。しかし、呆れるほど、油断しきっていますね」
 攻撃を掛ける絶好機であることは疑いの余地が無かった。
 懸念は隠れている女の子への対応、どうやって助けに来たことを伝えれば良いか?
 恐らくはローレット、街のギルドから来た者とさえ伝われば、兄のウラジミールが呼んできてくれたと、気付いてくれるだろうが、戦いの場に飛び出して来てしまう恐れもある。
「クロネ・ホールズウッド参上! さあ、オークども覚悟しなさい!」
 堂々と名乗りを上げ、クロネは得物を抜き放った。敵が攻撃を掛けて来るなど、夢にも思っていなかったオークたちはすぐに状況を理解出来ない。そして陽光を照り返す細身の剣が花の色を映して輝く様を見て、数秒の間を置いてから、敵襲を理解した。
 その、僅か数秒のせいでオークたちは一挙に窮地に陥る。
 地面に置きっ放しになっていた、武器を取ろうと慌てて手を伸ばすオークを目がけて、タツミは敵中に突っ込むと、鋭い踏み込みからの一撃を振り下ろす。次の瞬間、弓を握った反対の手で身を守ろうと翳したオークの腕が大根の如くに断ち斬られて、飛んで行く。次の瞬間、切り口から鮮血が噴き上がる。
 立ち上がる血の臭いに、我先に武器を取ろうとするオークたちは狂騒を強め大混乱に陥る。そして斬られたオークは溢れ出す血を止めることも出来ないまま、横に倒れ、動かなくなる。
「ちょっと待った〜!」
 戦場には似合わない軽い声を上げ、綺亜羅は始まりの赤を発動した。
 体内を巡る血潮が熱く滾り体の動きが軽くなる。瞬間、風切り音と共に飛来した矢をひらりと躱して前を向き直すと、流星の如くに赤髪を靡かせた焔が、矢を放ったオークを目がけて駆けて行く。
「ギルド、ローレットの名の下に貴様らを成敗する!」
 次の瞬間、焔は一挙に間合いを詰めて、刃を振りあげる。花のピンクを映した刃の輝きが緩やかなカーブを描きながら弓を持つオークの肩から脇腹までを深々と斬り裂いて、血と臓物を繁吹かせる。血に喉を詰まらせ、悲鳴を上げる猶予も無くオークは倒れ伏した。
「悪さをする、あなた達を……退治に、来たものですよ」
 女の子が恐怖に耐えきれず出てきてしまう不安を振り切るように、ウィリアは残る弓オークの前に躍り出ると、眼前に突き出した腕を薙ぐ。高められた魔力は巻き上がる風を生み出し、目も眩むような白光が、弓オークの身体を燃え上がらせる。
 直後、弓持ちの3体が倒れたことを確認した、ジークは敵と味方の入り交じる乱戦の場に進み出る。
 そこまで進んで、ようやく大樹の後方、恐らくは地面の下に身を隠している魂の存在に気付く。
(「全く面倒なことになってしまったね……」)
 死骸盾を発動して、盾として召喚したアンデッドの『なりそこない』が、瞬く間に突き壊される様を見て、ジークは見通しの甘さを思い知る。イレギュラーズにとってはさほど強くない敵であっても、小さな女の子なら剣が掠るだけで簡単に死んでしまうだろう。例え自分が護衛に着いたとしても乱戦の場を突っ切るなどあり得ない。
「ゆけッ……!」
 短い呼気と共に、『シーナ』7号 C型(p3p004475)の巨大な弩の引き金を引いた。軽い音と共に放たれた矢は、混乱する仲間を宥めようと叫びを上げる、オークリーダーに向かって、甲高い風切り音を立てて飛翔する。
 瞬間、ドスッという鈍い音が響き渡って、肩の下あたりを貫かれたオークリーダーが戸惑いを隠さない様子で身体を揺らす。
「何をしておる、ジーク。もう見つけたのじゃろう。早く行くのじゃ!」
 悲鳴にも似た叫びを上げ、突っ込んで来る別のオークが振り下ろす剣を、綺亜羅は支給品の盾で受け止めながら、言い放つと、美脚を豪快に振るって、オークを蹴り飛ばして間合いを広げた。
「わらわの相手をするのじゃ、今日は血に飢えておるゆえ、剣敵必殺の全力攻撃じゃ、光栄じゃのう、嬉しかろう、汝は幸運に感謝するべきじゃ」
 顔も向けないままジークは頷き、咲き誇るピンクの大樹の先に見つけた、小さな魂の煌めきを目指して歩み出す。女の子と共に敵中突破はリスクが高すぎるが、その動きに気がついたタツミも自身が引き受けたオークと剣を交えながら、群れの後方を目指して少しずつ立ち位置を変えてゆく。
 弓持ちの3体は奇襲が功を奏して一挙に倒すことができた。
 残る敵はリーダーを含めて7体。矢傷を受けてなおオークリーダーは奮戦し、その姿に励まされたのか、残っている剣持ちのオークたちも当初の混乱からは立ち直りつつある。
「やはり問題はリーダーのようだな」
 ルーティエは流れるように滑らかな動きからの組技を仕掛けたが、負傷してなお、オークリーダーの腕力は圧倒的だった。
「ダメージも見た目ほどではなさそうです」
 他のオークたちよりも、身体も大きく、良い装備を持つリーダーを見据えて、クロネは半歩引いて間合いを広げる。
「しかし……この程度なら、2人で抑えんといかんだろう?」
「もう少し戦力が欲しいですが、いたしかたありませんね」
 頭数で均等に悪なら、オーク1体を1人で抑えなければならないギリギリの状況。
 実際にはリーダーには2人掛かり、ジークが救助に専念し、シーナが精密射撃のみで戦っているため、そのしわ寄せは焔とウィリアが2人で4体を相手するという形で現れた。
「まとめて……片付けます」
 C型の精密射撃に敵が怯んだ隙を見逃さずに、間合いに飛び込んだウィリアが最小の動作から、炎の如くに輝く魔力の刃で薙ぎ払う。瞬間、白熱した魔力の奔流が至近の2体を飲み込んで、傷ついた身体を燃え上がらせる。
「今です……」
「くらえッ!」
 トリッキーな動きから足を踏み込んで横に跳び、焔は深く間合いに入ると神々の炎から作られた槍を突き出す。消耗を恐れずに繰り出した一撃は貫きの音と共にオークの首と胴体を切り離す。直後オークの頭部は何が起こったのかも分からないといった表情のまま草むらの上を転がった。
「ったく、頑張りすぎじゃねえか?」
 リーダーのオークも気になるが、この依頼の一番の目的は女の子の救助。1体であっても行動の自由を許してしまえば、救助に向けての動きを見せるジークや女の子にも危害が及ぶ。それは絶対に阻止したいとタツミは果敢に間合いを詰め、一撃を叩き込む。
 果たして、オークたちに気付かれること無く、ジークは大樹の裏手に回り込んだ。そして複雑に崩れた瓦礫の隙間をのぞき込む。
「ソフィア君だね。助けに来た。もう大丈夫だ」
 身を隠していた女の子は声も出さずに頷きで返し、ホッとしたような視線を向けてくる。

 敵が全滅するのが先か、APが尽きて放てなくなるのが先か、消耗にも構わずに、C型は精密射撃を続けている。風切り音と共に矢に貫かれた、敵がよろめく隙に乗じて、綺亜羅は斧刃を振り下ろす。直後、肩口から腰に掛けてを深々と抉られたオークは巨大な赤い花を咲かせるが如くに、血を噴き上げて、仰向けに倒れる。
「さあ、次に死にたいのは誰じゃ——」
 周囲を見渡し、綺亜羅は声を上げる。見える範囲にジークの姿は無く、リーダーを含め残り5体のオークを相手に奮戦する仲間のうち、タツミがその1体を打ち倒す様が見えた。
「はあっ!」
 オークリーダーの薙いだ剣に光が跳ね返るのを認めた瞬間、クロネの身体は高められた反応速度によって素晴らしい動きを発揮し、高速で迫る刀刃を紙一重で躱しきり、続いて一歩を引いて踏み込んだ反発力を使って再び間合いを詰めると、下から上に走る刃の一閃を繰り出した。
 次の瞬間、斜めに傷を刻まれたオークリーダーは膝を着こうと身体を傾ける。その動きに合わせるように、ルーティエは間合いに滑り込み、鋭い槍のひと刺しを加えた。
 それでもオークリーダーは踏みとどまり、仲間に発破を掛けるように咆哮を上げると、戦いで刃こぼれを重ねた剣を構えて戦う意思を見せる。
「ったく、がんばり過ぎなんだよ」
 相対していたオークを倒したタツミがオークリーダーと戦う2人の元に駆けつける。
 頑張り過ぎとは、クロネとルーティエに向けられたものだが、まるで人間ように仲間を気遣いながら戦うオークリーダーにも当てはまるように見えた。
「どこに行く……つもり、ですか?」
 ウィリアは呟くように言い、形勢の不利を悟り、リーダーと合流しようとするオークを目がけて炎を投げ放つ。背を向けたオークの1体が鮮やかな橙色の輝きに包まれて燃え上がり、悲鳴を上げながら地面をのたうち回る。
「逃がさないよ!」
 鋭い声と共に、音が聞こえる程に強く踏み込み、力強く跳び上がった焔は一挙に間合いを詰めると、一刀の元にオークを両断する。そこに、まるでC型の存在を主張するかのように、風切り音を立てて飛来した矢が、残るオークの背中にずぶりと突き刺さった。
「あとはリーダーだけじゃ!」
 綺亜羅の声に促されるように、リーダーに攻め手が集中する。
 その中のひとり、クロネは冷徹な眼差しの奥にある熱い気持ちを放出するように、剣を突き出す。
 直後、細身の刃に突かれたオークリーダーは激痛に目を見開いた。さらに力を込めて、クロネが一気に押し込むようにして刃を貫き通すと、血が噴き出して、断末魔の叫びが轟いた。
 返り血の熱さを感じながら、勝利を確信したクロネが顔を上げれば、そこには血走った白目を剥いたまま息絶えたオークリーダーの顔があった。
 かくして、オークの一群を残らず討ち取った一行は、姿の見えないソフィアとジークにも、聞こえるよう、勝ち鬨を上げて、戦いの終結を告げるのだった。

●戦い終わって
「おかげで助かりました! どうもありがとうございました!」
「結論から言えば、裏の壁を乗り越えれば、避難は難しくなかったわけだね」
 元気な声で感謝を告げるソフィアに続けて、後ろに立つジークが、ばつが悪そうに肩を竦めた。
「分かります。こんな危険な場所に、誰も護衛につけないまま、戦いが終わるまで待って……なんて言えませんし」
「気にするな、むしろよく守ってくれたと礼を言うべきだろう?」
 結果として10体、全てのオークを撃破できたので、もしソフィアを外で待たせていても、危害が及ぶ心配は無かったかも知れないが、もし1体でもオークの逃走を許していれば、危険な状況になっていた。
 多少戦いが楽になるぐらいの違いなら、救助対象の命を優先するのが当然だと、クロネも、ルーティエも笑顔で頷く。
 一方、そこかしこに散らばっていたオークの亡骸は、C型が可能な限り集めて弔った。
 ——命は巡る。
 この世界か異世界か、それを知る術は無いが、恐らくは此処にいる誰よりも短い年数しか生きていないであろう、オークの生涯に思いを巡らせて、C型は手を合わせた。
 オークに花見をする習慣があるなどとは聞いたことがないので、恐らくは咲き誇る花の美しさと春の陽気に浮かれて、人里に近い遺跡にまで出てきてしまったのだろう。タツミはそう解釈することにして、頭の上で、何事も無かったかのように咲く花を見つめる。
「ともかく、今日は疲れたのじゃ。それにウラジミールも心配しておるのじゃ」
 かくして、綺亜羅に促されるようにして、一行は街に向かって歩き出す。
 振り向けば、陽射しは暖かく、満開を迎えている花も美しい、戦いさえ無ければ、オークでは無くとも、花見をしたい気持ちになりそうだ。
 ただ、それでもクロネは帰り着くまでが依頼だと気を引き締め、皆の背中を守るようにして、最後尾を歩き出す。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

イレギュラーズの皆さま、ソフィアの救助とオークの殲滅、お疲れさまでした。
怪我人も出ずに、依頼は無事に成功しました。

急いで現地に向かう方針は救助においてとても重要なことでした。
正しいプレイングを掛けて頂きありがとうございました。

初めてのリプレイとなるのでかなり緊張しましたが、活躍の良い思い出となれば幸いです。
また機会がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

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