PandoraPartyProject

シナリオ詳細

流星祭り

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●流星祭り

 七月七日。
 世間はいわゆる七夕で、町には七夕飾りや笹が飾られ始める今日この頃。
 それはここ、流星神社でもおんなじで。
 朝から、巫女や神主がてんやわんやと準備に追われていた。
 
 流星祭り。

 この地域ではかなり大規模なお祭りで、毎年多くの観光客が訪れる。
 今年も大いに賑わうであろうことは簡単に予想できた。
 神社に響くのはうれしい悲鳴――ではなく。
 悲痛な叫びと、光り輝き散る汗の珠であった。

 簡単に言うと、神社は準備が間に合っていなかった。それはもう間に合っていなかった。
「ああ! 何でこんなことに!」
「仕方ないですよ……臨時のアルバイトが来れなくなっちゃったんですもの」
 はわわと目を回しているのは人のよさそうな神主と、ずっと仕えているベテラン巫女である。

 毎年祭りが近づくとアルバイトの募集をかけるのだが、本番当日に交通機関のトラブルでそのアルバイト達が来れなくなってしまったのだ。

 だが、祭りは中止にはできないしする気もない。
 でもやはり少人数では準備は大変で、なんなら準備だけで祭りが終わってしまいそうだ。

「あぁ……誰か手伝ってくれないかなぁ……」
 屋台の組み立てもステージも、ああそうだ人を呼ぶチラシだって……。
 困ったなぁと、眉を下げながら神主は空を仰いだ。
 

●いざ、流星祭りへ!

「お前さんたち祭りの準備を手伝ってやってくれないかい」
 境界案内人朧は星の飾りをくるくると弄りながらあなた方に向き直った。

 朧の話によれば、とある異世界の神社にて大規模なお祭りが行われるらしい。
 七夕伝説が元となったそのお祭りは、星の形をしたお守りやおみくじが有名で、大笹に願いを書いた短冊を吊るすと願いが叶うとか叶わないとか。

「だが、どうやら準備をする人員が足りてないらしくてねぇ……」
 アテにしていたアルバイトが来れなくなってしまい、このままでは祭りが当日開催できるかもあやふやらしい。
 宿をすでにとっている観光客のことなどを考えると中止にもできないだろう。

「祭りの準備さえ終われば後は遊び放題だ。もちろんそのまま手伝っていいぜ」
 夜には綺麗な天の川も見えるとのことだ。
 星に願いを、なんてロマンチックと思わねぇか?
 朧が掲げた星の飾りは光を受け煌めいていた。

NMコメント

 初めましての方は初めまして、白です。
 今回は現代日本でお祭りなシナリオです。お祭り行きたい。
 
 同行者さんや、複数で行動する際はお手数ですがグループタグの表記をお願いします。

●目標
 流星祭りのお手伝い
 流星祭りをとことん楽しむ。

●舞台
 流星神社という星の神様を奉る神社です。
 現代日本の神社によく似ています。
 大きなお社が特徴です。
 お祭り本番は屋台もたくさん出て、特設ステージなどもあります。
 星の形をしたお守り『流星守り』やおみくじ『流星くじ』が有名です。
 どうやら当日になりアルバイトが来れなくなり神主と巫女さんがバタバタしています。
 ほかにも屋台の準備をしている人が何人かいます。

●章構成

・一章
 朝です、神社で祭りの準備などをしています。
 お祭りの準備を手伝いましょう!
 《例》
・食材の買い出し
・神社(境内)の掃除
・屋台の組み立て
・チラシ配り

・二章
 昼です、ちらほらとお客さんが見え始め活気づいてきます。
 運営側を手伝ってもよし! 参加者として遊ぶもよしです!
 《例》
・屋台で食べ物や飲み物、出し物などを出す。
・屋台で食べ物や飲み物、出し物などを楽しむ。
・特設ステージに参加してみる(ダンス、歌、演奏なんでもOK)


・三章
 夜、本番です! 空には天の川が煌めき花火大笹が飾られます。
 流星祭りのクライマックスです!
 《例》
・短冊に願いを書いて吊るす。 
・流星守りを買う。
・天の川を見る
・飲食を楽しむ
 
 もちろん上記以外にもやりたいことがあれば遠慮なく!

●NPC
 神主
 ほわほわしたおっとりおじいちゃん神主です。とっても優しく仕事にも真面目な人です
 巫女
 流星神社でずっと働いている巫女さんです。きびきびとしてしっかり者です。
 OPには出てきますがプレイングに書かれぬ限り登場しません。

●境界案内人
 朧
 ご指定がなければ登場しません。ご指名があればホイホイついていきます。

●プレイング例
【屋台回り隊】
 お祭りの屋台っておいしいよね!!
 全制覇するつもりで食べちゃうぞ!
 というわけで、近くの屋台から順々に回りたいな。
 「りんご飴ひとつください!」

 貴方にとって良き旅路になります様に。それではいってらっしゃい!

  • 流星祭り完了
  • NM名
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月16日 22時31分
  • 章数3章
  • 総採用数19人
  • 参加費50RC

第2章

第2章 第1節

●流星祭り、開始

 時刻は昼。
 太陽が照り付け、暑さを感じる時刻。
 イレギュラーズ達の活躍により、祭りの準備は順調に進み、奇跡的に間に合った。
 観光客の姿もちらほらと見えはじめ、祭りは盛り上がりを見せ始める。
 ずらりと並んだ屋台は食べ物、娯楽など一通り揃っており、中にはイレギュラーズ達が運営する屋台も出ている様だ。

「唐揚げ三百円でーす! いかがですかー!」
 と快活な男性の声が響いたかと思えば。

「やだ! くじびきする!」
「さっき遊んだでしょ!」
 と駄々を捏ねる幼い子供とそれを諫める母親の声が聞こえてくる。

 神社の境内には特設ステージが設置され、一芸に秀いた者たちが自慢の芸を見せ観客を盛り上げている。また、お守りやおみくじ売り場では人々が行列を為し、買う順番を今か今かと待っていた。
 さぁ、流星祭りの開始である――。

●説明
 第二章です。
 あなた方の活躍のおかげで無事に準備が間に合いました。
 ここからは流星祭りにお客様として楽しむか、出し物をする側か選ぶことができます。迷子とかいないか巡回してもいいかもしれないですね。

《例》
・屋台で食べ物や飲み物、出し物などを出す。
・屋台で食べ物や飲み物、出し物などを楽しむ。
・特設ステージに参加してみる(ダンス、歌、演奏なんでもOK)
・お守りや御神籤を買ってみる。

 上記に記載されているもの以外でも大丈夫です。よろしくお願いします。
 あと、屋台ではお酒も売っていますが未成年の方の飲酒はご遠慮ください!


第2章 第2節

小金井・正純(p3p008000)
ただの女
只野・黒子(p3p008597)
群鱗

 流星神社の境内は人で混雑している。
 屋台を巡る人、ステージの見物、お守りを買いに来た人――。
 そして境内を巡回する二人組がいた。

「お守り、破魔矢、絵馬、せっかくのお祭りですし、これを機会に売り捌、ごほん……信仰を広めましょう!」
「今売り捌くって……というか信仰を広める必要はないかと……」
「気、気のせいじゃないですかね! え、必要ない? そ、そうですか……」

 トングとゴミ袋を片手に歩く『星満ちて』小金井・正純(p3p008000)と会場の地図を見ながら巡回する『群鱗』只野・黒子(p3p008597)である。

 こういう人の多い場所では、何かしら目の届きにくいところで事件が発生しているものなのだ。そう例えば――。

「うええん! ママーッ!」
「ひぐっ、うっ」

 迷子なんて王道中の王道であった。
 幼い兄弟らしく、わんわんと泣いているが大人たちが声を掛けても耳に入っていないようだ。

「おや、迷子ですか?」
「ええ、そのようですね」
 当然運営側として参加していた二人が放っておくわけがなく声を掛ける。

「こんにちは、ご家族の方は一緒ではないのですか?」
 優しい正純の笑顔が母親に似ていたのか、兄らしき子どもが少し落ち着いた。
「えっと、気づいたら、いなくなってて」
「そっか、怖かったですね。もう大丈夫、私たちと一緒にご家族を探しましょうね」
 左手で子どもの頭を撫でて、手を繋いでやると安心したのか子どもは手を繋ぎ返した。

「さて、弟君もよく頑張りましたね。ところで肩車はお好きですか?」
 小さい子どもは肩車が好きであることが多い。
 それは『肩車』と聞いて目をキラキラさせはじめた彼も例外ではない。
 細心の注意を払いながら肩車をしてやると、さっきまでの泣き声が燥いだ子供特有の笑い声へと変わった。

 たわいない世間話をしながら、歩くこと十分程度。
 迷子センターに黒子と正純がたどり着く。
 その中に泣いている母親らしき女性の姿があった。
 肩車をされていた子供がすぐに気づき、歓喜の声を上げる。

「ママ!」
 わが子の声がしたほうに慌てて振り向いた女性は目を見開き駆け寄ってきた。
「お母さん!」
 手を繋がれていた子どもも、母親に抱き着く。
「よかった……! ごめん、ごめんね、お母さんが目を離したから……!」
 ぎゅっと両方の腕で子どもを抱きしめながら、母親は顔を上げる。
「本当にありがとうございます。なんとお礼を申し上げたらよいのやら……」
 母親が黒子と正純に感謝の言葉を述べ、頭を下げた。

「いえ、当たり前のことをしたまでですので」
「そうです! よかったねお母さんと会えて」
 うんと頷いた子供たちの笑顔は天高く煌めく星にも負けない輝きであった。

「では、我々巡回に戻りますので」
「流星祭り、楽しんでいってくださいねー!」
「ばいばーい!」

 手を振り続ける子供たちに別れを告げ、黒子と正純は巡回に戻っていった。
 祭りはまだまだ続く。




成否

成功


第2章 第3節

アシェン・ディチェット(p3p008621)
玩具の輪舞
白鷺 奏(p3p008740)
声なき傭兵

「色んな物があって目移りしてしまうわ。でも全部遊んで食べて、だなんてお財布が大変だものね」
 財布と相談しながら屋台を吟味するは『草刈りマスター』アシェン・ディチェット(p3p008621)である。厳選の結果お菓子ばかりになのはご愛敬。

「でも食べ歩きはお行儀が悪いかしら……?」
 どこか落ち着ける場所はないかと探していると、歩き回る少女が目に留まる。
 迷子のようであり、放っておくことなどできずアシェンは声を掛けた。

「こんにちは」
 お姫様のような女性に話しかけられた少女は目を白黒させた。
「親御さんとはぐれたのね? 甘いお菓子はお好きかしら?」
 りんご飴を差し出せば、少女の目が輝いた。

 場所は変わり迷子センター近くの屋台。
『声なき傭兵』白鷺 奏(p3p008740)は無事に祭りが開催されたことに安堵し、屋台を満喫していた。そして助けた青年の顔がふと過る。
 周囲を見渡せば、案外あっさりと見つかった。

「あ! あの時の!」
 青年も奏に気づき、頭を下げる。
「本当にありがとうございました! よかったらこれ持って行ってください」
 と渡されたのは二本のフランクフルト。
 タダでは受け取れないと遠慮する奏に、青年は首を横に振る。
「むしろお礼がこんなもので、申し訳ないんですが……」
 眉を下げられれば断れなかった。感謝を示し受け取れば、輝く青年の笑顔。
 しかし、さすがに二本は食べきれない。
 どうしようかと奏が悩んでいると、幼い声と可憐な声が聞こえてきた。

「フランクフルトだ!」
「好きなの?」
「うん!」
 これはちょうどいいと奏は二人に近寄る。
 二人に挨拶をし、少女にフランクフルトを差し出した。
 大好物を差し出された少女は大喜びで受け取る

「ごめんなさいね、今お金を……」
 アシェンが慌てて財布を取り出そうとするのを奏が止める。
 貰ったはいいが食べきれずに困っていたと体で伝えると、アシェンはありがとうと微笑む。
「あら、ここ迷子センターの近くなのね」
 首を傾げる奏にアシェンはこれまでの経緯を説明した。
 なるほどと奏が手をぽんと叩く。
 少女を無事にセンターまで送り届けた後、アシェンは奏に尋ねた。

「ねぇ、この辺りで落ち着ける場所はないかしら?」
 尋ねられた奏はイートインスペースがあることを思い出す。

「あなたも一緒にどう? 二人で食べたほうがきっと美味しいわ!」
 喜んでと頷いて二人は歩き出した。


「この綿あめって、甘くてふわふわで美味しいのね!」
 まるで甘い雲を食べているみたいと燥ぐアシェン。
 初めて食べる異国のお菓子に彼女は夢中になっていた。
「その飲み物はお酒なのね?」
 アシェンが尋ねると奏はぐっと親指を立てる。
 右手にはフランクフルト、左手にはビールを装備した奏は、ぷりっぷりの肉に齧く。じゅわっと肉汁が広がり、パリッとした皮が香ばしい。
 それをよく冷えたビールで喉の奥に流し込めば、夏の味がした。





成否

成功


第2章 第4節

ラビア・マーレ・ラクテア(p3p008448)
海を漂う蒼白星

「まさか俺がデートに誘われるとはねぇ」

 屋台を歩く長身の黒衣は朧である。
 彼は今『青い好奇心』ラビア・マーレ・ラクテア(p3p008448)とお祭りデートを楽しんでいた。
 一方彼を見上げるラビアはその面布に釘付けである。
 なんとしても朧の顔を見る。それが彼女の目的であった。
 
 朧に会った時、ラビアは彼の顔が見えないことに興味を抱いた。
 何故顔が見えないのか? 何とかして顔が見れないか?
 そう考えラビアは閃いた。

「お祭りだから何か食べる時なら顔を見せてくれるかもしれません!」
 そして彼女は朧を『でーと』に誘ったのである。

「ふふ、私はもう二十歳の大人の女性なので全て奢ります!」
 誇らしげな顔でラビアは胸を張る。
「女の子に奢らせるわけには――」
「お気になさらず! 少し待っててください!」
 とラビアはさっと駆け出し、りんご飴やら綿飴やらを手に戻ってきた。

 これだけあればきっと食べるしかないはず! 朧さんに逃げ場はありません!
 と、ラビアはふふっと悪だくみ顔をする。

「元気なお嬢さんだねぇ」
 思惑通り朧はりんご飴を手に取った。なるほど意外と甘いものが――。

「はい、あーん」
「へ?」
 朧の口元を凝視していたラビアは何故かりんごがこちらに差し出されていることに気づいた。
「え!? いやそれは朧さんに!」
「デートなんだからいいじゃねぇか、それとも嫌かい?」

 唇に押し付けられた砂糖の味はよく覚えていない。

成否

成功


第2章 第5節

三國・誠司(p3p008563)
一般人
アイシャ(p3p008698)
スノウ・ホワイト

「チョコバナナ一つください!」
「まいど!」
 小銭を受け取り、お玉で生地をひと掬い。
 それを器用に伸ばすのは『素人に毛が生えた程度の』三國・誠司であった。
 スパチュラを生地と鉄板の間に差し込んでひっくり返す。

「わぁ……こんなに薄く焼けるんですね。すごいです、誠司さん!」
 均一な厚さの生地を見て燥ぐのは『砂漠の冒険者』アイシャ(p3p008698)であった。
 生地が焼きあがったら、盛り付けはアイシャの担当だ。
 まずは生クリームを生地の端にかけ、波打つように絞りだす。
 次は食べやすい大きさに切ったバナナを等間隔で並べていく。
 最後にチョコレートソースを回し掛けて、丁寧に巻けば――。

「お待たせしました! チョコバナナクレープです!」
「美味しそう!」
 クレープが完成し、アイシャの手から渡される。
 祭りの屋台では珍しい品に、容姿端麗な二人の店員。
 屋台は大盛況であった。

「アイシャちゃん。クレープに入れたいフルーツとかあるかな?」
 生地を焼きながら、誠司がアイシャに問う。
「そうですね……苺でしょうか。たくさん入ってたらお客さんにも喜んでもらえそうです」
「苺だね」
 そして誠司はまた生地作りに戻った。


「よし、この辺りでちょっと休憩しようか」
「そうですね」
 人の波が引き、ようやく一息ついた頃には太陽はとっくに空高く昇っていた。
 誠司は財布から二人分の金額を取り出し、アイシャに預ける。
「アイシャちゃん、悪いんだけどお昼買ってきてくれるかな」
「はい、いってきます!」
 満面の笑みでお金を受け取ったアイシャは買い出しに向かった。

 彼女を見送ってから、よしと誠司はまたお玉を手に取る。
 苺がたくさん入ったそのクレープはアイシャの為のものであった。

「誠司さん! お待たせしました!」
「おかえり、ありが――」

 元気な声を聴きクレープを差し出した誠司が見たのは、焼そば、唐揚げ、フランクフルト、冷えたジュースを『一人分だけ』買ってきたアイシャであった。
 彼女は最初から自分を数に入れていなかったのだ。
 彼女の境遇を誠司は痛感した。

 彼の顔と差し出されたクレープを交互に見比べ、アイシャは泣きそうな顔で微笑みクレープを受け取った。

「苺がいっぱい……ありがとうございます、誠司さん」
 クレープの中には、苺がたくさん入っている。
 自分が買い出しに行っている間にきっと作ってくれたのであろう。
 ほかでもない、自分の為に。

 お母さんや妹達は今もあの暮らしに耐えているのに。
 私だけ幸せな気持ちになってごめんね。

 ダメだってわかってるのに。
 罰当たりなのに。
 心がふわふわしてすごく嬉しいの。

「ごめんね、ごめんね……」
 苺のクレープを両手で持つアイシャの瞳から、ポロポロと涙が零れて落ちていく。

 その涙を見て誠司は、誓う。
 もっとこの子が我儘が言える日が来るように。
 小さなことから、頑張ってみよう――。 
  




成否

成功

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