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シナリオ詳細

新約七夕伝説

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■それは天の世界の物語
 夜空に煌めく星々。その中に天の川と呼ばれる天の川が一つ。その傍には天を治める帝が住んでおりました。
 この帝には娘が一人おり、彼女はとても働き者で着物を織るのが得意なことから織姫と呼ばれておりました。
 やがて年頃になった娘の為に、婿を迎えようと天の帝は良い男を見つけ出します。その男の名は彦星。
 彼もまた働き者で、天の牛を世話する仕事をしておりました。彼になら娘を任せられると思った天の帝は、二人を引き合わせます。
 すぐに二人は相思相愛になり、結婚もしますが……余りにも結婚生活が楽しく、彼らはやがて仕事をしなくなり日々を遊んで過ごすようになりましたとさ。
 すると人々から次第に訴えが届けられます。織姫が着物を織らないから、ボロボロになってしまった。彦星が牛の世話をしないから牛たちが病気になってしまった。などなど……。
 それに怒った天の帝は、二人を引き裂いてしまいます。天の川を挟んで別々の場所に住まわせたのです。
 これに嘆き反省し、再び働き者となった二人を見て天の帝は少しだけ憐れに思い、一年に一度だけ会う事を赦すようになりましたとさ……。

■温泉旅館にて
「もうすぐ七夕ですね、支配人」
 とある世界の温泉旅館。過去に二度、イレギュラーズが事件に関わった場所でもある。
 その旅館の事務所にて、従業員と支配人が会話をしていた。
「そういえばそうだなぁ……今年はどんなイベントをしようか」
「織姫彦星伝説をしてみるのはどうです?」
「それとも、ちょっと奮発して祭りの規模を大きくしてみるとか」
「うーん……どうしたものか……」
 支配人が頭を悩ませていると、二人の男女が事務所に入ってくる。よく見るとその男女の足は地より浮いている……そう、彼らは幽霊なのだ。
 イレギュラーズにより人を襲う事はなくなり、逆に人を魔物から守る仕事を始めた二人である。
「あ、お疲れ様です支配人様」
「お、そうだ。君たちも何かやってみないかい?」
「はい?」

■温泉旅館からのお誘い
「と、いうことで。以前に皆が関わった世界の旅館から、招待状が届いているの」
 境界案内人のポルックスが広げるページには、旅館の支配人からのメッセージが示されていた。どうか遊びに来て頂けませんか?と。
「何をするかは皆に任せるわ。たまにはゆっくり羽根を伸ばしてきてもいいんじゃない?」

NMコメント

 7月と言えば七夕ですよね以下略です。
 ということでただ遊びに行くだけのほのぼのシナリオです。予定です。戦闘はないのは確実です。
 以下、行動できる場所です。これ以外にも何かしたい事があったら記載して頂ければ、頑張って組み込ませて頂きます。

1.旅館にて演劇を観覧。または参加する
 温泉旅館では以前にイレギュラーズが関わった幽霊夫妻を主役にした七夕伝説が演じられております。
 その劇を見るもよし、参加してみるもよし。参加する場合は希望する役を書いて下さい。二人一緒に織姫彦星をやってみるのも良いでしょう。

2.温泉街で行われている祭りを楽しむ
 七夕祭りが行われております。短冊に願い事を書いたり、出店で遊んだり食事をしたり目一杯楽しんでくださいませ。
 大体オーソドックスな出店は全てあるものとします。

3.温泉を楽しむ
 この温泉旅館はイレギュラーズに大変好意的なので、無償で温泉を楽しめます。露天風呂もあります。混浴をされたい場合には部屋を別にとる形になりますが、支配人がちゃんと用意してくれます。

 他にも何かありましたらご記載くださいませ。
 また、夜になれば花火があがります。そちらもお楽しみ頂ければ……。

  • 新約七夕伝説完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月13日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

イルミナ・ガードルーン(p3p001475)
まずは、お話から。
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ソロア・ズヌシェカ(p3p008060)
豊穣の空
シュテム=ナイツ(p3p008343)
久遠の孤月

リプレイ

■天の川の伝説
「折角ですし、イルミナは演劇が見たいッス!」
 まだ見ぬ演劇に心を躍らせるのは『機心模索』イルミナ・ガードルーン(p3p001475)だ。元々の伝説は彼女も耳にしたことがあるようだが、詳しい事は知らないという。
 いくつもの世界にまたがって存在するこの伝説、同じものなのかはたまた違う伝説が偶然にも同じ物語を辿っているだけなのか。それを知る者は誰もいない。
 さておき。近くの売店で購入したポップコーン片手に、演劇が行われる広場へとやってきたイルミナ。設置された椅子に座り、開演を待つ。
「観劇自体初めてッスからね、ちょっとワクワクします……!」

「嗚呼、お父様。私達が悪うございました」
「これからは心を入れ替えて働きます故、お許しを」
 劇は滞りなく進む。織姫の生い立ち、彦星との出会い。そして新婚生活から……やがて訪れる破綻まで。織姫役と彦星役は、以前にこの温泉街を騒がせた幽霊なのだがこれが中々どうして。まるで生きているかのように名演技を繰り広げる。
 二人が天の帝に許しを請うシーンでは、イルミナはすっかり見入っておりポップコーンを掴んだはいいものの口へ運ぶ事を忘れていた。
 作られた存在であるイルミナには、人々の謳う愛がよくわからなかったけども。混沌世界に喚ばれてから、そして今目の前で繰り広げられている劇を見て、なんとなくだけどもわかった気もする。
 誰かを想い、他の全てを捨ててでも一緒にいたいと思う事がそうなのだろう、と。

「いやー、凄かったッスよー!」
 劇が終わりイルミナは舞台裏で休んでいた幽霊夫妻と旅館の支配人に、感動と興奮を伝えていた。
 同時にこの恩返しに何かしようという考えも。
「何か手伝える事はないッスか?」
「それじゃあ……このビラ配りでもお願いしようかな」
 翌日も行うという劇のビラを受け取り、イルミナは元気よく頷く。命令されたから、じゃなく、自分から何かをしたくなった事がとても楽しくて。
 命令じゃなく、お願いだった事が嬉しくて。
「それじゃあ、いってくるッスね!」
 うぃん、と小さな機械音を身から発しながら、イルミナは元気よく、人々が賑わう温泉街へと駆け出していく。

■何よりも甘いものを
 七夕伝説とか、それに関する劇も彼は気にしていなかった。それよりも大事な事があったから。
 祭りの定番と言えば出店。そして人々を魅了してやまない食事、甘味。
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は、甘味を愛してやまない男であった。その服のポケットには大量のお菓子が入っているというのに、更に甘味を求める身体と脳。
 普段はけだるげな彼だが、甘味に対しては情熱に溢れていた。他の三人と別れると一目散に屋台で溢れる温泉街に繰り出していた。
 数十分後。そこには両手いっぱいどころの騒ぎではないほどに、屋台全ての甘味を集めたといわんばかりの山を抱えた世界がいた。遠くから見ても彼だとわかる程の量である。
「お、かき氷もいいな。おやっさん、全部食わせてくれ」
「お、おう……そんなに食って腹壊さないか?」
 かき氷の屋台の前で、目を輝かせ注文する世界と。彼の持つ甘味の量と彼の注文内容に顔を引き攣らせる主人。
「甘いものは別腹っていうだろ?」
「限度があるよ。……まあほら、荷物は預かってやるから、そこの椅子でゆっくり食いな。順番に出してやるよ」
 主人に勧められるままに、荷物を預けて椅子に座る世界。彼の前に出てきたのはまずはイチゴミルクだ。
 しゃくり、しゃくりと氷の粒を口に入れ飲み込んでいく。冷たく、甘い氷が世界の脳をより覚醒させ、さらなる甘味の世界へと呼び込んでいく。
 メロンにレモン、普通これだけ連続して食べれば頭が痛くなるか身体が冷えてくるものなのだが、世界は未だに平然と平らげていく。途中でビラを配っているイルミナが見えた気もするが、彼は何の疑問も抱くこともなく、目前のかき氷を黙々と口に運んでいった。
「ありがとうなおやっさん。満足したぜ」
「お、おう。そりゃ良かった」
 代金を支払い、意気揚々と屋台を後にする世界。
 ゆらゆら揺らめく甘味の山と共に歩む彼が次に目をつけたのは射的だ。少しばかり遊びに興じるのも悪くないかと思い、おもちゃの銃を手に身をかがめる。
 ぽん、と小気味良い音がしてコルク弾が飛ぶ。世界が狙いを定めていたのはスナック菓子の入った箱だが、弾はその左側を抜けて飛んでいった。
「俺の狙いは百発百中……なんてうまい話はないよな」
 誰にともなく一人そう零し。世界は祭りを満喫する。

■二人で願い事
「いや、助かったよ。一人でどうしようかと悩んでいたんだ」
「そうなのか? でも役に立てるなら良かったぞ」
 『久遠の孤月』シュテム=ナイツ(p3p008343)と『幻想の冒険者』ソロア・ズヌシェカ(p3p008060)は偶然出会っただけの間柄だが、一人で祭りを回るのも何かもったいないと感じ、意気投合した。
 二人は連れ立って祭りの喧騒の中を歩いていく。一人では見られなかったかもしれない、キラキラと人の活気で輝く街並みは、二人でならばより光り輝いて見える。
 一人じゃなくて良かったとシュテムが心の中でつぶやいていると、何かを見つけたソロアが急に駆け出していく。慌ててその背を追いかけたシュテムの目に飛び込んできたのは、大きな笹。普通笹は竹ほど大きくならないのだが、一部とても大きな種類も存在する。この温泉街はそれを用意したのだ。
 その理由はただ一つ。
「お。お兄さんお姉さんもどうだい、短冊に願い事書いていかないか?」
 笹の下で恰幅のいい男が二人を見つけ、声をかける。よく見れば笹の葉には願い事を書かれた色とりどりの短冊が無数に釣られていた。温泉街を訪れた客が願い事をしていく為に、この笹が用意されているのだ。
「この紙が短冊というのか? 願い事が叶うと聞いて楽しみにしてきたぞ」
「それじゃあ書いてみようかな」
 ソロアが白の短冊、シュテムは青の短冊を選んだ。二人並んで願い事を黒のペンで書き込んでいく。
 シュテムは最初から願い事を決めていた。『立派な騎士になる』と。少し子供っぽいかなと自嘲もするが、嘘偽りない自分の気持ちだから恥じる事は全くない。
「ソロアさんはもう書けた?」
「うむ、書けたのだ!」
 シュテムが頭を上げると、ソロアは笹に短冊をつるそうと、しかし目を瞑ってぴょんぴょん跳ねていた。
「どうしたんだい?」
「いや、他の人の願い事を見てはいけないと思ってだな」
「ああ、なるほど」
 その可愛らしい光景にシュテムは思わず笑みが溢れる。ごめんね、と一声おいてから、受付をしていた男に短冊を渡す。
「この人に預ければいいんじゃないかな」
「おー、そうだな。シュテムは賢い!」

 笹に短冊がつるされるのを確認した後、二人は少しの間行動を別にした。
 美味しいものをたくさん買い集めて、一緒に食べようと約束したのだ。別々の方向へあるき出し、様々な出店を見て回る。
「おー、これ、なんだ?」
 ソロアがやってきたのは、鉄板の上で焼かれている丸いもの……お好み焼きを売っている屋台だ。香ばしいソースの香りにつられてフラフラと足が向いたのだ。
「お、かわいいお嬢ちゃんだねぇ。買っていくかい?」
 屋台の主だろうか、中年の女性がソロアに人のいい笑顔を向ける。その笑顔にまたつられ、ソロアも笑う。
「うむ、お願いするのだ。ええっと、二人で分けて食べるから大きめのを!」
 両手を使ってジェスチャー混じりに。女性は微笑ましくその様子を見ながら種を広げ、一枚大きく焼いていく。
 その焼けていく様を、心躍らせ目を輝かせ待ち続け。出来上がりが入った器を持ってソロアは来た道を小走りに戻っていく。
 途中イルミナとすれ違い、一緒に食べるか誘ったがお手伝い中だからと断られ。でも後できっと一緒にと約束する。

 シュテムはというと、両手にいくつもの袋をぶら下げていた。
 魅力的な食べ物が多い。祭りという舞台は何故こうも、食べ物を美味しく映し出すのか。
 たいやきに焼きそばに、タコ焼きにじゃがバター。目移りしてしまって……いくつかは誘いが断りきれなくて……買いすぎてしまった。
 幾らなんでもこれ以上は無理かな、と約束の場所へ戻ろうとしたシュテム。しかし彼は驚くべき光景を目にしてしまう。
 世界だ。一人の男が大量の菓子を積んで、一つ一つ味わって食べている姿を見つけた。
 一緒に食べようと声をかけようか一瞬悩んだが、とても幸せそうに食べている顔を見てやめておく。おそらく、きっと。声をかけても断られるだろうと予想できたから。

「おお、シュテム。いっぱい買ってきたんだな」
「どれも美味しそうだったからね。ソロアさんのは、お好み焼き、かな?」
 待ち合わせ場所のテーブルで、買ってきたものを広げて見せ合う。
 まだ出来たての湯気が残っている。二人で分け合って、お好み焼きを一口。
「早速願い事が叶ってしまったぞ!」
 そう、満面の笑みで言うソロアを前に。シュテムも笑う。それは良かった、と。
「願い事ってなんだったの?」
「美味しいものを食べたい、だ!」

 今日は特別な一日。
 空に浮かぶ織姫と彦星が、一日だけ出会える日。
 そしてその幸せが、皆にも零れ落ちる。そんな一日。

成否

成功

状態異常

なし

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