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シナリオ詳細

<月蝕アグノシア>窈窕キアロスクーロ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●アルベドという異物
 さて。
 妖精郷と言う御伽噺の領域、しかし確かに存在するかの地へイレギュラーズ達は到達した。
 そこは『妖精郷アルヴィオン』……本来であれば『おとぎ話の門』――或いは、アーカンシェルと呼ばれるゲートを通り妖精たちは至る場所だが、その門は魔物の襲撃などにより機能不全。
 故に『大迷宮ヘイムダリオン』を攻略し、妖精郷へと到達した――

「にげて――!! みんな、にげて――ッ!!」

 だがかの地は魔種タータリクスの手により地獄へと至っていた。
 妖精達は捕らえられる。平穏だったアルヴィオンは彼の配下により阿鼻叫喚。
 立て籠もっていた家の扉は破られ中へ魔物が殺到し。
 悲鳴と助けを求める声はどこにも届かない。
 魔物の波の中に――掠れるように掻き消えていく。
 逃れられようか平和に暮らしていた妖精達に。逃れられようか、かの悪意から。

「ほっほっほ」

 更には――力も違う。
 妖精郷アルヴィオン、その中に在る巨大キノコ群の森……通称とばりの森。
 逃げ込んだ妖精たちを追って現れたのは一人の人間であった。いや、人間と言うには些か様子が異なるか。なにせその肌は、服は、生命は白き灰で満たされているかのように歪。
 色なしの器。アルベドと称されし錬金術の魔物である。
 ――その姿は一条 夢心地(p3p008344)に酷似していた。
 ただでさえ白塗りのその顔が更に純白に、或いは薄く染まり。
 風光明媚な世界に『ぽかり』と穴を開ける。
 腰に携えしは刀。弄ぶ様に鯉口を幾度も鳴らせば――神速抜刀。

 直後。眼前に聳え立ちしキノコが両断された。

 その膂力たるや人に非ず。妖精を恐れさせる怪物であろうか。
 両断されたモノが地に落ちれば激しい音が鳴り響き――
「ひ、ひっ……ぃ!!」
 影に隠れていた妖精が思わず跳び出し発見される。
「捕らえよ捕らえよ麿に献上するがよい――珍品たればまじまじ見ようものじゃ」
 飛んで逃げる妖精。しかしアルベドが声を飛ばせば潜んでいた魔物達が逃すまいと駆け上る。
 彼らに妖精を殺す気はあまりない。なぜならば、そう。
 アルベドは錬金術の産物。錬金術の魔物。

 ――元となる人の血肉に、妖精の命を混ぜ合わせて創られるモノなのだから。

●いざや妖精郷へ
 妖精達の故郷は大惨事へと至っている。しかしまだ致命ではない。
 アルヴィオンの掌握は完全ではなく、妖精達を統括する妖精女王もまた、捉えられてもその命を奪われた訳では無いのだ。奪還を果たせば、またいずれ清らかなる地が戻ってこよう。
「魔種も関わっているとすればローレットとしても見過ごせませんね……!
 彼らを撃退して、アルヴィオンの平穏を取り戻しましょう!!」
 言うは『永遠の0・ナイチチンゲール』リリファ・ローレンツ(p3n000042)である。魔種タータリクスの手や彼に協力する者らによって大部分は制圧されたものの、一部の逃げ出せた妖精達から情報を得る事は出来ている。
 特に妖精女王の侍女であったフロックスから齎された情報は大きい。
 それは――アルベドの正体と敵の戦力。
「アルベドにはどうやら仮初の命と成る部分――人で言うと心臓、でしょうか。とにかく弱点にして重要部分たる『フェアリーシード』と呼ばれる箇所が存在しています。これを破壊すればアルベドを完全に仕留める事が出来るんですね! ただ……」
 そのフェアリーシードの元になっているのは『妖精自身』であるという。
 ……当然だが破壊すれば妖精は死へと至ろう。いや、材料とされた時点で生きていると呼べる状態なのかは定かではない。少なくとも自由ではないし、アルベドとの同化が深ければもはや殺害する他無いのかもしれぬ。
 ともあれ、どうであるにせよアルベド自体は強力な戦力であり――油断は出来ない。
 この先。とばりの森にて妖精狩りに勤しむアルベド……一条 夢心地のアルベドは凄まじい膂力にて刀を振るうのだという。障害物があろうとも切り捨てるその力――正に魔物と言って差し支え無い訳だ。
「とばりの森には逃げ込んだ妖精さんがまだいくらかいるみたいなんです。
 妖精さん達が犠牲になる前にアルベドを撃破し、救い出してあげてください……!」
 今や妖精らは恐怖の最中に居るのだろう。
 いつか来る魔の手に怯え、影で身を縮こませて。
 ――させる訳にはいかない。偽物如きに好き勝手させてたまるものか。

GMコメント

 さぁ妖精郷アルヴィオンです――よろしくお願いします!

■依頼達成条件
 一条 夢心地(p3p008344)のアルベドの撃破、もしくは撃退。
 とばりの森に隠れている妖精も可能な限り救ってあげてください。

■戦場
 妖精郷アルヴィオン。その『とばりの森』と呼ばれる巨大キノコ群の一角です。
 時刻は夜。しかし月明かりなのか、周囲は夜にしてはやけに明るいです。
 なので一応光源の類は必要ないでしょう。
 あればもっと見やすくなるかもしれませんが必須ではないです。

 足元は安定しています。
 ただ、周囲には大型キノコが大量にあります。
 利用して敵の射線を区切る事も出来るでしょうが、逆に区切られる事もあるかもしれません。

 周囲には時折、襲撃から逃れた妖精達が隠れている事があります。
 こちらは発見した時は『可能な限り』で良いので助けてあげてください。

■敵戦力
・アルベドタイプ:ユメゴコチ
 一条 夢心地(p3p008344)さんの身体の一部から創られたアルベドです
 その姿は白き姿となっており……いや夢心地さんは元から白いですが……ともかく。喋り方や戦い方が本人に酷似しているように感じます。ただ、アルベドは『妖精』が元となって混ざり合っている事もあり、微妙に差異があるようです。つまり、完全に本人ではありません。

 刀を用いた接近戦主体の行動を取ります。
 また魔物として『弄られて』いるのか力が凄まじく、障害物すら両断する能力を秘めています。尤も、その力を用いる時は多少大降りになる様なので注意すれば回避も可能かもしれません。

 身体のどこかに『フェアリーシード』と呼ばれる核があります。
 これは混ぜ合わされた妖精そのものであり、アルベドの心臓(の様なモノ)です。
 これを破壊するする事によって完全に機能を停止します。

・ニグレド×??
 アルベドへと至る前段階の錬金術師モンスターです。
 人型でどろどろしているように見えます。
 その力は完成しているアルベドと比べればそこまで強くはありません。

 妖精狩りを行っている様で、とばりの森に散っています。
 アルベド・ユメゴコチの傍には最初五体控えている様です。
 戦いが長期化すれば援軍として更に現れる可能性があります。ご注意ください。

  • <月蝕アグノシア>窈窕キアロスクーロ完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年07月17日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
罪のアントニウム
セララ(p3p000273)
魔法騎士
八田 悠(p3p000687)
あなたの世界
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
業壊掌
一条 夢心地(p3p008344)
殿
ボディ・ダクレ(p3p008384)
痛みを背負って
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き
笹木 花丸(p3p008689)
人為遂行

リプレイ


 とばりの森――足を踏み入れた瞬間から異変さを感じ取れていた。
 何かいる。
 森は正直だ。常と違う『異物』がいれば森は雰囲気を変える。
 動物達の声は沈み、風が不穏を運んできて。
「ほっほ。聞けば麿のモノマネ芸人が暴れておると言うではないか。顔が売れるというのも困りものじゃの」
 さればその風を感じながら森を進むのは『殿』一条 夢心地(p3p008344)だ。
 この先に彼のアルベドがいる。
 扇子を広げ内側でほっほと笑みを。麿を真似たい気持ちは分かるが――やり口があまりにいかぬ。かような暴虐どうして振るうというか。
「というよりもなんでよりによってこの人コピーしちゃったんでしょうか……明らかに戦闘力よりギャグ補正が高いタイプですよねこの人……!? 特定の八時とかに大活躍するタイプの人ですよね……!?」
「まぁ向こうの思惑は気になるけど、まずは妖精救出だね!」
 しかし思わず芸人の性として突っ込まずにはいられない『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)は――え、美少女であって芸人ではない? またまた御冗談を。台本はこちらで……あ、投げないで!
 ともあれアルベドの是非はともかく『魔法騎士』セララ(p3p000273)の言う通りまずは妖精達の救援も並行しなければならなかった。故に彼女は優れた視力と障害物を透けさせる術を持って隠れし妖精を探さんとする。
 とばりの森にあるは巨大キノコ群であり1メートルを超える幹もあり全てを万全とはいかないが……それでも『見えぬ先が見える』という事には大きな意味があり。
「――ご安心を。私達が来ました」
「さ。大丈夫ですよ……私達は味方です。今の内にこの場から離れてください。
 私達が来た方向へと向かえば安全ですから」
 更に恐怖の感情を探査しつつ『痛みを知っている』ボディ・ダクレ(p3p008384)も妖精を一人見つけ『罪のアントニウム』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)の手が怯える妖精の下へと。
 今の内だ。敵も捜索しているのであれば、やがて接敵しよう。
 その前に多く手を届かせる。セララの眼が木の影に隠れる彼らを捕え、ボディの探査が大まかな位置を把握し声を掛け。しにゃこの耳も周囲の音を把握しようと――すれば。

「ほっほ――鼠が入り込んだようじゃの」

 瞬間。響いた声は夢心地の――否。
 斬撃が放たれればすぐさま回避と理解を。これは殺意と悪意の感情が込められモノ。
 キノコの幹が叩き斬られる。
 両断され、その奥から現れしは――
「アレが――アルベド・ユメゴコチか! こう言っちゃなんなんだけれど、もうちょっとこう、細胞をサイシュするアイテを選んで欲しかったなぁ! ユメゴコチが二人はもう放送事故だよ! 放送事故! チャンネルはどっちがタダしいんだい!?」
 妖精の一人を庇いつつ、地を転げて回避した『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)の視線の先には、確かに夢心地と同様の姿を持つ夢心地――ああ紛らわしい! とにかくアルベド・ユメゴコチがいた!
 扇子を携えほっほと笑みを。姿の色というか生気というか――は違うが。
「アルベド……なんと面妖な。姿をあれほど正確に模倣出来るのですか」
「おおっと聞いていたより随分と派手なのが出たね。なんか凄い白い……いや横のオリジナルも白いけどさ。あっちのはこう、気味の悪い白さだよね」
 ダディの言に続いて。血の通っていない、どこか人とは思えぬ風貌だと――『祖なる現身』八田 悠(p3p000687)は呟いた。戦闘に備える為、味方を強化する加護を皆へと齎して。
 まじまじと見据える。その周囲には禍々しきニグレドも控えていて。
「ま、どうであれ悪行はここまでだよ! 妖精達を粗雑に扱わせたりなんてしない!」
 されどそんな事は関係ない、倒すのみだと『新たな可能性』笹木 花丸(p3p008689)は言を。
 握った拳の圧が彼女の決意だ。妖精達を追い回し、恐怖を与える奴らを許してなるものか。
 自らの服の裾を掴む、救助したばかりの妖精を――優しく撫でて。
「大丈夫。悪いモンスターは私が引き受けるから! 少し……離れててね!!」
 安心させるように言葉を紡ぎ、地を駆ける。
 助けられる命を助ける為。奴らの悪意を挫く為に。


 アルベドにしろニグレドにしろそれは事の元凶、タータリクスの配下である。しかし細分化すれば錬金術の作品として完成しているアルベドの方が『上』だ。故にニグレド達は前に出て――戦う。
「兎に角アルベドの周りにいるのが厄介ですね……まずはそれらを剥がしてしまわねば」
 クラリーチェの警戒通りその力は魔物としての脅威を携えている。
 未だ形定まらぬ泥であろうと殴るだけならニグレドでもなんら問題なく。
「『処理』致します。定まらぬ生に終焉を。妖精を怖がらせる外敵の排除を。
 ――全霊で依頼を遂行します」
 で、あればとボディの拳がニグレドの顔面へ。
 奴らの注意は先の花丸の口上に反応し引き寄せられている傾向がある――
 その横っ面を殴ってやるのだ。地を踏み砕く程に脚に力を入れ、跳ぶ。
 速力を武器に全身をバネに。迫る緑の画面が闘志を抱くのだ。
 激突。交差、拳の応酬。一気に攻め立てんとイレギュラーズ達の攻勢が掛かり。

「やんちゃなアクションで注目を浴びたいという、その青き衝動。気持ちは分からぬでもないが――無辜なる妖精を追い立て、恐怖を与えるとは。かような狼藉……万民導く『殿』たる存在を模倣した上で成したかったことか?」

 同時。夢心地が語るのは己がアルベド・ユメゴコチへと。
 あれが己を模したモノマネ芸人であるのならばまずは対話をと考えたのだ。なに、如何に似ているとはいえ流石に独特の所持物――ゴリパンジーのごりぱん君を近くに伴えば判別など容易よ。ごりぱん君ドラミングしてるし大分目立つ目立つ。真の殿の傍らには常にこのごりぱん君が存在するのじゃほっほっほ。
 さてモノマネ芸人との区別はこれで良いが、ともあれ説得なのである。
 寛容さを見せるのもまた殿上人たる者の使命であろう。
 罪を犯した存在であろうと真の殿の威光を前に悔い改めるのであれば許さんこともないでもないでもない。どっちや。
 ――と、瞬間。
 その夢心地へと紡がれたのは刃。
「先程からぺちゃくちゃと小うるさいの。誰が誰に申しておるのじゃ?」
 夢心地の頬に鮮血が。白き顔に赤き筋が生まれて。
「お主――頭が高いのではないか?」
「ふむ……改心すればこそ情けの掛けようもあったのじゃが。
 性根が腐っておるのならば、刈り取るのが正しき摂理かの」
 刹那に挟んだ己の刃。小刻みに鳴るは殺意と、正さねばならぬという使命の応酬だ。
 落とす。その髷を。殿たる者の証明を落とし――真実たる殿上人は己である事を証明せん!
「いや、やっぱりこのエヅラ放送事故でしょ! なにがどーイウあれなのさ!!」
「シリアス面してますけどどう考えても手遅れでは!? ごりぱん君も近くにいると、もうなにがなにやら……って、ハッ!! またツッコミを入れてしまった!! 違います、これはしにゃの役目じゃない!!」
 直後、イグナートの拳が飛ぶ。しにゃこと同時、我慢できずに叫ぶ想いと共に。
 絶招・雷吼拳――死地を乗り越えた先に得た自らだけの武威を此処に。
 白き顔をした――いやどっちもだけどアルベドの方を! アルベドの方に武威を繰り出す。決してユメゴコチと夢心地を間違えたりなんてしない。しにゃこもまた同様に、射線を保持しユメゴコチにツッコミ入れながら見据えて。
 引き金を絞り上げる。放たれた銃弾が奴を穿ちて。
 目の前に映る光景にアイドル兼芸人として胸の動悸が激しいが、判断は冷静に。射撃とツッコミの役目を確かに果たすのだ。え、後者は違うって? またまたまたまた御冗談を。
「人の身体の一部に、妖精の命を注ぎ込んで作られる生命体ですか……
 更に多くのアルベドを造り出す為に攫っているのでしょうか」
 何とも面倒なものを作られたものです。そう思考するのは、クラリーチェだ。
 神秘との親和性を高め、己が魔力を昇華させる術と共に――鈴の音を戦場へ。
 それは闇より響く呪いの権化。ニグレドを見据える『見てはならぬ』おまじない。
「……にしても。その。よく似てますよね……お肌が元々白いというのも理由でしょうか?」
「まぁ白と白で良かったというか……なんだろうね、こう。赤くなられても困るけど。
 これ以上進化というか変化というかして第三形態ルべドとか嫌だよ僕は」
 本当によく似ている。色を除き、造形だけを視ればそっくりだ。
 悠も同じ感想を抱くが――まぁ例えば赤色のルベドとかいう段階にまで至ってないのが幸いだろうか。いやそんな段階が本当にあるのかは分からないが、赤いユメゴコチなど見たら夢に出てきそうで。
「――でも。そんな悪い夢を笑い飛ばしに来たのさ、僕達は」
 されど彼女は恐れはせぬ。人に近き、人とは異なる生命であろうと。
 命を廻そう。くるりくるりと、手のひら返しをするように。
 仲間に治癒を。冷静なる分析の声を。
 必要なくば接続しよう……己が世界に。己が概念の抱擁の中に。
 妖精を追わせたり等するものか――足踏み影踏み、鬼さんこちら――
「来るもの拒まず去るもの拒む」
 なんてね、と。言葉を紡いで。
 ニグレド達の反撃をも物ともせずイレギュラーズ達は押していく。数の優位を活かし、包んで。
「ふぅむ。狼藉者如きが……賢しいぞえ」
 が、その時。アルベドの放った剣閃が――巨大キノコの一つへと。
 全身の膂力を用いての一刀。それは巨大な障害物たるその幹すら容易く斬り裂き、ズラす。
 されば落ちてくる『上』はイレギュラーズ達の後衛が布陣する地点で。
「ッ――まずい、ね!」
 動いたのは花丸だ。ニグレド達を引き付けていたが、彼女の優れし五感と直感が嗅ぎ付けたのは――着弾地点に避難途中の妖精がいる気配。飛び跳ね庇う様に手を伸ばして、その命を衝撃から護れば。
「お姉さん、だいじょうぶ……?!」
「うん、花丸ちゃんは大丈夫だよ――それより皆は大丈夫? アッチのヤバそうな……うん、ヤバいっ! ヤバいのは頼りになる先輩達が何とかするから落ち着いて避難してて?」
 ソッコーでぶっ飛ばして皆を迎えに行くから。
 誰も見捨てない。助けられるなら、絶対に助けてみせる。
 それは――アルベドに取り込まれている妖精も変わりないのだ。
 フェアリシードを傷付けぬ様に皆が戦っている。あらゆるをアルベドのシードには叩き込まず。
「妖精さん! キミ達を救いに来たよ!」
 セララはニグレドを打ち倒して声を掛けるのだ。
「諦めずに頑張って――絶対に助けてみせるから――!」
 光を示そう。取り込まれた妖精にも届く程の。
 声を、力を、救いの手を。
 必ず皆でハッピーエンドとしたいから――
「いっくよー……!! ここからがボク達の真骨頂だ!!」
 おやつのドーナッツを口に含み、その力を増大させ。
 彼女は聖剣を瞬かせる。泥を斬り払い、アルベドへと辿り着く為に。


 ニグレドはイレギュラーズの攻勢もあって減りつつあった――が。
 それは最初にアルベドの近くにいた個体だけの話だ。戦闘の雰囲気を感じ取り、とばりの森に散っていた者が集まりつつある。悠や、場合によってはクラリーチェも治癒術を行使することにより戦線は安定しているが、これからも更に四方から増える可能性があると考えると悠長にはしていられない。
「もっと攻めるべきなんだろうね……そろそろ!」
 フェアリシードの具体的な位置はどこだ――と。イグナートは拳を幾つも。
 脳か? 心臓か? 腹か足か肩か手か。
 必ず感覚の違う場所がある筈だ。致命は与えぬ様にしつつ、打撃を繰り出して。
「ほほ。そのような気遣いをしながら麿を倒せるとでも?」
 されどそうであればアルベドの攻めはより大胆になるモノ。
 無数の剣閃を自らに近付く者達へ。そして力を込めて再度全てを斬り裂かんと――
「いけません、ご注意を!」
 すれば、ボディの警戒の声が素早く飛んだ。
 刀を持つ腕に拳を叩き込み、その動きを阻害せんとする。痛烈なる打撃を奴へ少しでも。
 ――振り抜かれる。空を穿つ斬撃はすさまじく、生じる衝撃だけでもダメージが至るが。
「なんとも凄まじい……ああそういえば、アルベドとは本人でない物。人型の人でなき物。
 ある意味私の同族ですね――ええ、実によく似ていると言ってよい」
 それでも恐れぬ。なにゆえ『人でなし』が『人でなし』を恐れる必要があるのだろうか。
 ましてや姿形だけの、意思無き人形にやられる程――
「弱くはありませんので」
 瞬間、再度速力を武器に吶喊した。痛打と成り得る膝蹴りがアルベドへと。
「ぬぅ……何をしておるか、はよう麿を援護せぬか!」
「させない! ほら、こっちだよ――花丸ちゃんに付いてきて!」
 さすればアルベドは増援に訪れたニグレドに指示を出す、が。
 それを予測していた花丸が彼らを引き付けんと名乗りを挙げる。
 そのまま防御の構えを続行し、隙があれば打撃を撃ち込む。言う程簡単ではなく、彼女には当初より幾つもの傷が増えつつ、決して無事とは言い難い――が。
「妖精さん達と約束したからね……サイキョー無敵の花丸ちゃんにマルっと任せなさいってね!」
 それでも笑顔を、意思を決して絶やしはせぬ。
 故にしにゃこも援護を。引き続きあちらこちらに生えているキノコの幹の位置を気にしながら射撃を行う。
 蜂が如くの弾幕を――花丸に引き付けられているニグレド達に撃ち込んで――
「わ、と――こんな所にまだいたんですか!
 ほらほら、可愛い子は早く逃げないとしにゃが食べちゃいますよ!!」
「ひ、ひっ……たすけてー!」
「ちょっと! 冗談ですけど!! あんまりそんな本気で逃げられると傷つきます!」
 途中で隠れていた妖精に出会い、がおーと脅かし逃げられた。あんなに必死に逃げられるとはちょっとショックである。いや、こんな戦場の最中に巻き込まれパニックになっていたが故だろう。しにゃが怖い訳ではない……! うん!!
「しかしこれは……長期戦になればなるほど、こちらが不利になりますね……
 増援のニグレドがより大勢来る前に叩いてしまわねば」
 しにゃこ同様、クラリーチェはニグレドの数を減らすべく魔術を紡ぐ――
 しかしもはや十分だろうか。増える数に対処していても、仕方ない。
 指揮官の役目を担っているアルベドを倒せば敵も乱れる筈だ。
「ふ、む――しかしあのアルベド、中々に隙がないね。
 常に周囲を警戒して、上手く立ち回っているみたいだ」
 治癒の力を飛ばし、悠はアルベドへと視線を。
「そうだね……夢心地さん、なんか女の子に言われて嬉しいこととかある?
 あの白いのがどう反応するか見てみたいから、是非教えて欲しいかな」
「ふむ? 女子の者か――さて、ほっほ。麿を慕う女子からの言であればいづれも慈しむものであるが」
 髷を狙う夢心地だが、やはりあの剛剣侮れぬとあちらこちらへ。
 茸を盾に、はたまた壁に。隠れに隠れ、逃げに逃げ。
 ほいほいほいと動き続ける。
 アルベドの方も追う気はあるのだが――さて、数の利が無くばそう簡単にはいかず――
 と、その時。
「――あっ、あんなところにハダカのネーチャンが!」
「なに、かような事がよもや!?」
 イグナートがアルベドの背後を指差せば、そっちの方へと視線をやった。殿、後ろ後ろー!
「って、なんでやねーんッ!!」
 直後。セララが全力の一撃を隙だらけの背にぶちかました。
 そんな罠に引っ掛かるんかーい!! いやどこかで絶対ボケるとは思ったいたが、まさかこんな局面でもブレないとは――
「おのれ謀ったか無礼者!」
「どう考えても今のは騙される方が悪いんだよ!」
 憤怒せしアルベド。膂力携え剛剣振るわんとし。
 しかしセララも待ち構えていた。刀を逆手に持つその姿勢――既に知っている!
 合わせるは跳び出す本物の夢心地。ああこの時をおいて、その髷狩るに絶好無しと!

「偽りの髷を――この手にて断たん!」
「いっくよ――必殺! セララストラッシュクロスッ!!」

 瞬間、技と技の激突。巨大な衝撃波が発生し、渦を巻いて。
 余波がアルベドの頭上を駆ける。さればその髷が――形を崩して――
「ぬっ……! 勝敗は預けるぞ下賤なる者めら! この命、貴様らにくれてやるには惜しいでな」
 同時に剛剣がキノコを両断する。それは誰ぞへの攻撃の為でなく、撤退の為に。
 自らとイレギュラーズの間に障害物を生み出したのだ。超えてくる前にアルベドは退いて。
「んぐぐ! 一発芸が得意なだけあって一発が重い人でしたね……!」
「ああだけど――逃げてきていた妖精達を助ける事が出来たんだ、良しとしようか」
 さればしにゃこは追撃の射撃を放つが――辛うじて届かぬか。
 逃げ足も速い奴だ……さりとて、花丸は護るべきモノを護れたから良しとし。
「アルベドに帰る場所は一つしかありません……
 元凶たるタータリクスの下。さて他の戦場は――どうなっているでしょうね」
 空を眺め、クラリーチェが小さく呟いた。
 妖精郷を巡る本格的な戦い。その初戦は――少なくともこの場は制した。

 悪意に攻め込まれている中枢はさて、如何な事になっている事か……

成否

成功

MVP

笹木 花丸(p3p008689)
人為遂行

状態異常

笹木 花丸(p3p008689) [重傷]
人為遂行

あとがき

 依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!!

 さぁ妖精郷を巡る事件は佳境を迎え、その一陣であるアルベド達の目論見を退けました。やはり偽物の白き顔では白さが足りないようですね……!!! ともあれ元凶たるタータリクス達はどうなっているでしょうか……それはまた全体の戦況で。

 それでは、ありがとうございました!

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