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シナリオ詳細

<若葉>家族を失いたくない -呪い解除編-

完了

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 剣と魔法。それから怪物。文字を知る者は少なく、学校もない。農民は農民らしく、貴族は貴族らしく、それぞれがそれぞれの役割に縛られながら、けれど時々革命が起きる。そんなありきたりな世界。ありきたりな物語。



「なんか調子狂うなぁ。……変な感じ。魔物を倒せたら教えて」
「父さんの手伝いをしてたから、ちょっとしたことならできるよ。薬は使ったことないから、調合自体は無理かもしれないけど、すりつぶしたりとかなら、できる。できるかぎり、なんでもするから……おねがい」
 オネットの母親に掛けられた呪いを解くには、オネットの母親に呪いをかけた犯人である魔物を討伐することが必要不可欠であると知ったイレギュラーズ。

 この世界に関わった数だけ、魔物を除いてあらゆる登場人物のレベルが上昇するという特殊な世界で、すでにイレギュラーズたちの心は決まっていた。

――討伐しよう、そして、呪いを解こう、と。

 オネットは女と共に、調合の準備の手伝いをする事にしたようだ。できることをやろうとする、その必死さは、家族を失いたくないという気持ちを如実に表していた。

 女は、母親に呪いを掛けた魔物については何も知らないらしい。そこで、イレギュラーズは魔物を探し、足跡を見つけ出したことで居場所を特定するものの、正体はわからない。
 わかったのはただ一つ、それが肉食獣によく似た生態系であることと、それは森の藪の中を住処にしていることだけだ。

 戦い終わった後も休んではいられない。イレギュラーズは『キラービーの女王が蓄えるロイヤルハニー』を2瓶と、この森の崖の上に生えているという『マンネンゴボウ』と呼ばれる植物も5つ採取しなくてはならないのだ。
 呪いに蝕まれ、体力を磨耗した母親の身体を癒す薬を作るためには、それが必要だ。見つけるのにはなにか専門的な知識がなければ、時間がかかってしまうだろう。

 いますぐ向かい戦うか、それとも準備をするのか。イレギュラーズは話し合う事にした。

NMコメント

●はじめに
ラリーシナリオ「<若葉>家族を失いたくない」の続編になります。相談を欲する章になる為、あえてライブノベルの方で続編を出しました。ご了承下さい。

●世界観補足
「ローグライクゲームにありがちな『冒険に挑戦するたびにレベルリセット』をシナリオで行ったらどうなるのか」という世界がこの〈グリーニー〉になります。イレギュラーズとしてのレベルが30でも『家族を失いたくない』のシリーズ中はレベル1の扱いになります。とはいえ、習得しているスキルは威力が下がる者のきちんと機能いたしますのであしからず。

●現在のレベル
一律で8レベル(イレギュラーズが関与した回数)+[今回の参加人数]になります。

●備考
レベル2〜4時点では野犬を1対3で戦った際、1ターンキルする事は不可能な程度の力量差でした。
また、魔物のレベルは女曰く「6レベルのイレギュラーズが3人は最低でも『倒すには』必須」程度の高さのようです。1ターンキルを狙うならもっとレベルを必要とするでしょう。
魔物の生体について詳しく調べてから戦闘した場合、ブーストが+3レベル分掛かります。

●備考
シナリオの情報精度はCです。
不確定要素、隠しパラメータや分岐が存在します。
(シリーズシナリオであるラリーシナリオやオープニングにて匂わせてはいますので推察してください)

  • <若葉>家族を失いたくない -呪い解除編-完了
  • NM名蛇穴 典雅
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月08日 22時10分
  • 参加人数3/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (3人)

古木・文(p3p001262)
想心インク
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
秋の約束

リプレイ

 棚からいくつかの薬草を取り出しながら、魔女は窓越しに空を見る。陽は一番高い時間をとうに過ぎていた。オネットはといえば、手伝おうと魔女の家に入ったが、来て早々に軽くあしらわれ、野犬の子供たちの面倒を見るように言われ、先ほどからコロコロと子犬と共に転がっている。

「……まったく。『村人』を助けるだなんて、どうかしてる」

 世界にいる人間の4割は『村人』だ。そしてその多くが替えの聞く存在だ。娯楽がない事も理由の一つだが、死亡率が多いからこそ、産めや増やせやと村人たちは子作りに勤しむ。
 この世界においての国は『街』の規模しかない。であるが故に、末端である『村人』にまで行き届くことはない。
 縁もゆかりもない人間を助ける動機があるとしたら、それに見合う『対価』があってこそだ。
 ……だというのに、あの3人は。

「オヒトヨシにも程がある」

 それに付き合う自分自身も、絆されているなぁと眉間にシワを寄せて、魔女は下準備を始めた。



 イレギュラーズが最初に行ったのは、森の動物たちや、母親の方の野犬たちへの聞き込み調査だ。とくに、後者は子供たちが襲われたというのもあって詳しく話を聞けると『想心インク』古木・文(p3p001262)は踏んだのだ。

「どう?」

 『おもちゃのお医者さん』イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)に文が問いかけると、イーハトーヴはにっこりと微笑んだ。

「大丈夫、皆協力してくれたよ。優しい子たちで助かったね」

 母親である野犬いわく、それは自分たちよりひとまわり大きい獣だという。尻尾は長く、黒くて、目が金色に輝いている。鋭い爪と牙があり、音もなく忍び寄って来ると、凄まじい速度で攻撃してくるのだという。ずるがしこく、一撃を与えて動きを鈍らせた後、息の根を止める前に次の獲物へ襲いかかり、後からゆっくりと獲物を喰らうのだ。実際、彼女たちは数匹、魔物に子供を食い殺された。断末魔と助けを呼ぶ声を無視して、動ける子犬たちを連れて逃げたのだ。

「その子たちの仇を取る為にも、頑張らないとですね」

 多くの子供を助けるためとはいえ、同じ愛しき子供である。それを見捨てるのにどれだけ心が傷んだだろう。
 『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)が決意を胸に発した言葉に、話を実際に聞いたイーハトーヴはもちろん、事情を聞いた文も頷いた。



 すん、とそれは鼻を鳴らした。新鮮な血の匂いがする。最近、その獣が食べたのは骨と皮しかないような――けれども、とても柔らかく食べやすく、断末魔も耳に心地よい――野良犬の子供を数匹だ。人間を逃したのは、大きな痛手だった。アレを食い殺せていたならば、自分はしばらくの間飢えてもおらず、もっと強くなれた筈なのだ。
 ――嗚呼、そうだ。人間の脳は魅力的だ。なにしろ、あれを1つ食らうだけで、我々は十、いや、百もの知識を得られるのだ。既に何人か食らったその獣は言葉を理解できた。故に、知識を欲しがった。『それ』を理解できれば、きっと――。

〈少しの香りではないな。罠でも仕掛けたか? ふふ、いいだろう、遊んでやるとするか〉

 たかだか『村人』に、遅れをとるわけがない。そのとき、獣はそう思っていたのだ。



「美味しいお肉はこっちですよ」

 ノースポールが飛び回りながら、獣に呼びかける。しかし、なかなか姿を現さない。ずるがしこいということなので、こちらの罠を見透かしているのかもしれない。ノースポールは地上に降り立ち2人に問いかけた。

「どうしますか?」
「少し位置を変えてみようか。住処はここかもしれないが今は出て行っているのかもしれない」
「なるほど。それは確かに……っ!?」

 それは、一迅の風だった。黒い影が伸びるようにして、ノースポールへ襲い掛かる。

「うわぁっ!?」

 事前情報を受け、警戒していた事もあって、かろうじて噛みつこうとする牙から逃れられたものの、ノースポールの身体に爪が立てられる。幸い、装備していたビアンカネーヴェのおかげで一撃で沈む、ということはなかったが、その美しい衣装はビリビリと無残に引き裂かれ、そのまま獣に押し倒された。

「まずい!」
「ノースポールさん!」

 イーハトーヴのメガ・ヒールの光が包み込む。即座に傷は癒えて消えていく。迷う文にノースポールが大声を上げた。

「魔砲を!」
「でも」
「大丈夫だから!」

 文は奥歯を噛み締める。ずるがしこい獣。本来の力を発揮できない世界。魔女が告げていた『最低でも3人』という言葉の意味。そう、あくまで『最低』なのだ。勝つために必要な数は。

「ごめん、ノースポール君!」

 文の"柱時計の長身"から放たれた魔砲は、獣を飲み込んだ。ノースポールもろとも――。

 ドォン、と遅れてその音が辺りに響き渡った。



「大丈夫?」

 イーハトーヴが繰り返しメガ・ヒールで傷を癒す。
 ノースポールが今、こうして意識を保てているのは、パンドラの加護によるものだ。ありったけの最大火力を込めた魔砲は、獣を瀕死に陥らせるのに役立ったが、そのダメージ負荷はノースポールも同じである。

「これで、皆の呪いも解けますよね」

 ノースポールは腕を見つめる。先ほど爪を立てられた部位には、黒く禍々しい痕が残っていた。いくらメガ・ヒールや緑の抱擁をしても消えなかったそれは、おそらく、呪いなのだろう。

 一方で、煙を上げながら倒れている獣は、こんなはずではなかった、と言いたげである。文は獣にトドメを刺すために武器を再び手にしたが、獣は耳を折りたたみ、媚びるように鳴いた。

「仕方ないだろ。俺だって食わなければ死ぬ」
「……喋った」

 自分はとても賢いから役に立つこと、ここ一帯から立ち去ること、そして、掛けた呪いは見逃してくれれば解くと告げた。
 それを聞いて、イーハトーヴは少し躊躇った。話ができるなら、交渉ができる相手なら、なるだけ殺生はしたくない。確かに、狩りをしなければ生き物は死ぬのだ。その言い分は正しかった。

「ダメだよ。ちゃんとトドメを刺して」

 そこへやってきたのは、くだんの魔女である。

「でも……」
「呪いはね、こいつの意思でどうこうできるものじゃないのさ。よくもわるくもね。傷つければ絶対に呪いをかけるし、死ななければそれは解けない。そういう生き物なんだよ」

 ノースポールは唇を噛んだ。それって。

「それって、まるでこの子たちが呪われてるみたいじゃないですか」
「そうだよ。呪われてるんだ。私たちはね」

 え、と顔を上げた文が魔女を見遣れば、魔女は付けていた皮手袋を外して、爪を見せる。真っ黒な爪はまるでマニキュアを塗ったような色だった。

「些細な傷でも私たちは呪いを振りまく。だから、村から追い出される。こいつだって元々はこの辺りの生き物じゃない。おおかた、見世物小屋で生まれたが、呪い子だとバレて殺される直前に逃げてきたんだろ」

 魔女は革手袋を付け直して、一同を見つめる。
 迷うような視線。躊躇いを嗅ぎ取って、獣は哀れそうに鳴いた。

「……ごめん」

 文は、銃を突きつけた。一泊の間も無く、弾丸は獣の頭蓋骨を粉砕し、息の根を止めた。死んだことを告げるかのように、そこで初めて、獸の爪と牙は毒々しい程の黒さをなくし、元の白い歯へと戻っていった。ノースポールの腕にあった不気味な物も消えていた。呪いは、解けたのだ。


「君は悪くないのかもしれない。でも、ごめん。これ以上、呪いの被害を増やすわけにはいかないんだ」

 イレギュラーズは、せめてもの気持ちとして、獣を埋めた。時間がないのはわかっている。けれど、あまりにも哀れなこの獣を、放置することなんてできなかったのだ。




 マンネンゴボウとキラービーの女王蜂から取れるロイヤルハニーは、文の知識とイーハトーヴが動物たちに行った聞き込みのおかげで思っていたよりも簡単に採取することができた。
 傷ついたノースポールを頼るのは申し訳なかったが、崖に自生するマンネンゴボウを安全に採取するには彼女の飛行能力が役に立った。
 キラービーの為に用意したお菓子も役に立って、文とイーハトーヴは大きな巣を持ち帰った。女王蜂らしい影がいないことに少し不安を覚えたが、魔女は平然と告げた。
 キラービーというものは皆生まれたときはほぼ同個体なのだという。ただ、ロイヤルハニーを多く与えられた者が女王になるのだと。

「ま、さながらコイツはプリンセスってところかな」

 でっぷりと太ったハチの子は別の素材になるらしく、瓶に入れながら、魔女は魔法薬を作り始めた。

 オネットは野犬の子供たちと遊び疲れて、眠っており、イレギュラーズはそれを見つめては、罪悪感で息詰まっていた気持ちが安らぐのを感じていた。



「戯れで魔物狩りに来たのですが途中でゴミが出ましてね。私はいらないので、薬でも何でも好きにすれば宜しい」

 突然、村に貴族だと名乗る人物がやってきた。それは、この間村に聞き込みをしにきた女性と男性が仕えている人物なのだという。
 不信感はあったが、文字が書けたうえ、戦利品らしいキラービーの翅を見る限り、嘘ではないのだろう。
 村長は貴族に気に入ってもらう為に手を揉みながら歓迎した。しかし、宿泊する先をその貴族はあの呪われた家を指名した。

「あそこは景色が良さそうだ。あそこに泊まらせなさい」
「で、ですが」
「こんな粗末な小屋と食事で休め? 材料を用意するので今すぐ何とかしなさい。貴族からの施しを無碍にする心算ですか」

 文の演技に、慌てふためきながら、村人は急遽農業の手を止めて、呪われた家に向かう。そこにいたのは、呪いが解けたらしい母親と父親の間で、すやすやと眠るオネットの姿があった。

 その夜、オネットの家では『貴族』が宿泊し、理由はわからないが奇跡的に呪いが解けた事から、世界的に『奇跡の花は奇跡をもたらす』と噂が流れた。

 真実は、まだ、明かされていない。

成否

成功

状態異常

なし

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