PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Good Night.

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●今日もあなたは眠りにつく
 ありふれた日常のほんの一幕。
 遥かな時間の中のほんの刹那。
 それは一日という刻が終わる時間。
 鮮やかな赤の黄昏を過ぎて星が瞬く頃。
 あるいは、月が地平に落ちて紺の帳が白む頃。
 生命あるものは眠りを欲して、床につく。ベッドの上で横になって、草の原に沈んで、岩肌に腰を下ろして、水底で水面を仰いで。
 それぞれの好む場所で。夜を微睡んで、朝を待ち。星を眺めて、太陽と交代で。
 眠りに求めるは、疲弊した体を癒すため。波打つ心が安らげるため。
 そうして、あなたの一日が幕を下ろす。明日は良いことがありますようにと願って。

●誰もが夢見る穏やかな世界
 人がいて、町があって、営みがあって。
 生き物がいて、海があって、空があって。
 草木が萌え、砂漠があって、川があって。
 穏やかな世界に陰りはなく、生命は巡って始まりと終わりを紡ぐ。
 そんな世界で、生命は一日の終わりに眠りにつく。
 体を休めるために。新たな一日を迎えるために。そして人は、心も癒すために。
 一人で落ち着くために。誰かと寄り添って孤独を埋めるように。

●そろそろ私達も眠ろうか
「眠るのは大事なことだと思います。疲れた体を休ませて、つらくなった心を癒して、元気になるために」
 そう言う真白の境界案内人、デュナ。
 イレギュラーズには特に事件などはないと説明をして。
「あなたは普段どのように眠りますか? 一人で眠りますか? 誰かと、友人や恋人や家族と一緒に眠りますか? 私はいつも一人で眠っています」
 この図書館で、色んな世界を眺めながら。
 だから、と。
「皆さんの眠りについて知りたいな、と思ったんです。もし良かったら私も一緒に連れていってください。傍らで子守唄でも歌いましょうか?」
 冗談めかして、デュナは手を差しのべて。
 自分も行きたいと乞うように笑って。
 皆を穏やかな世界へと送り出す。

 おやすみなさい。良き夢が見られますように。

NMコメント

 最近暑くてあまり眠れない時期が続いていますね。穏やかな眠りが欲しいと思う灯火(とうか)です。

●シチュエーション
 地球によく似た世界。
 人のいる町で宿屋に泊まっていたり、草原などに寝転がって星空を眺めたり、どこかで雨宿りをしながら雨音を聞いていたり、海に生きる方は海の底だったり、思い思いの場所で微睡んでください。

●プレイング
 一行目に自分がどこで眠るのか、場所などをお書きください。
 二行目からはどういった思いで眠りにつくのかなどお好きなようにお書きください。

●境界案内人
 ご指名がありましたら登場させます。何をさせても大丈夫です。

●お客様へ
 今回は眠りについてのお話です。
 一章完結です。良き眠りがありますように。
 よろしくお願いいたします。

  • Good Night.完了
  • NM名灯火
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月05日 18時09分
  • 章数1章
  • 総採用数7人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)
白いわたがし

「ベッドってあまり落ち着かなくてね」
 白鹿の姿のポシェティケトは、友達のクララと真白の少女のデュナを連れて。宵の帳が降りた森の中。
「眠る時は鹿の姿で、やっぱり森が落ち着くの」
 デュナが眠るのには落ち着かない場所かもしれないけれど、と笑って。
「いいえ。初めての場所だから、ふわふわと心が動くけれど、ポシェティケトとクララと一緒に眠りたいです」
 デュナは白鹿に笑んで。
 人が通る道から外れたふかふかの草の上。白鹿の姿のポシェティケトが四肢を折り畳み、その間にクララとデュナが入って白鹿に背を預ける。ポシェティケトが持ってきた荷物から毛布を出して、デュナ達に掛けて。
 それから夜空に浮かぶ星達を結んで星座を創る。誰も知らない、三人だけの夜空のカタチ、光の標。
「よければ、子守唄も聞かせてほしいわ?」
 夜の匂いを感じ、梟の声に耳を澄ませて。そして真白の少女の唄をとポシェティケトは言う。隣で砂の妖精がキラキラと目を煌めかせて見ている。
「ええ、それじゃ……」

 ひとつ、宿を抜け出して
 ふたつ、森に寝そべって
 みっつ、夜空を見上げたら
 星を繋いで絵を描く

 よっつ、音に包まれて
 いつつ、匂いに包まれて
 むっつ、唄を詠いましょう
 おやすみなさいと吟いましょう

 真白の少女の唄が、声がかすかになって。
 やがて途切れて。
 ぎゅうぎゅうとくっついて。気付けばみんな夢の中。

「おやすみなさい、良き夢を……」

成否

成功


第1章 第2節

アト・サイン(p3p001394)
観光客

 遠くに音が鳴っている。何かがけたたましく鳴いている。
 紛争がたまに起きるその土地で。砂埃にまみれたクロークを羽織ったその人は音が鳴りやむのを待った。
 そうして音が遠くへ掻き消えるのを耳と気配で感じて。
「だいぶ暗くなったな」
 だだっ広い荒野の夜の真ん中で。ぽつりと呟いたアトは砂をかけて焚き火を消す。
 辺りを煌々と照らしていた赤が消え、静かな闇が訪れる。
 背をちょうど良い大きさの岩に預けて。
「きれいな星空だ」
 ほう、と息を吐いて。空を見上げれば満天の星。
 観光客は、ずっとダンジョンの中にいて。上を仰いで寝るとしても、見えるのは天井だけだった。それだけしか見れないのだと思っていた。
 だから今は。
「夜空を眺めるだなんて、贅沢な寝方もできるものだね」
 あの場所では絶対に感じられなかった時に身を委ねて。
 この時を安らかに。微睡みは、手招きすればやってくるところに。
 ここで眠れば疲れは取れるだろうか。
 この場所は決して安全とは言えない場所だけれど。贅沢に空を仰いで眠れば、一時でも休まることができるのだろうか。
「……分からないことを考えていても答えは出ないな」
 そして思考を手放す。
 明日も早い。そろそろ寝よう。
「……おやすみ」
 誰に届くこともない、虚空へ消えるだけの言葉を紡いで。
 誰かがそばでおやすみと言ってくれたような気がして。アトはそっと瞼を閉じた。

成否

成功


第1章 第3節

アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞

「宿屋があって良かった」
 立て付けが悪く、ギィと音を鳴らす戸をそっと閉めて。
 アンナが今夜泊まるのは、宿屋があることが不思議なくらい小さな村。宿屋の主人から聞くに、宿泊者はとても久しぶりなのだという。
 上等な部屋とはいかないけれど。
「ベッドで寝れるだけありがたいわね」
 この子達もいるから寂しくないし、と。
 今日の同伴者、カピブタとハムスターに視線を移す。
 カピブタはすでに微睡みの最中。その背中でハムスターがカピブタを齧っている。
 やんちゃね、とくすりと笑んで。
「もうおねむみたいだからあまりじゃれたら駄目よ。遊ぶならわたしとにしましょう」
 ハムスターを手に取って、カピブタもベッドに乗せてあげて。
 手のひらに乗せたハムスターは毛繕いをしたり、もぞもぞと動き回ったり。
 指でつつけば首をかしげたり、撫でれば気持ち良さげに目を細めたり。
 ひとしきり遊んで、ハムスターが微睡むのが先だったかアンナが微睡むのが先だったか。ほんの少し霞がかった思考で横になる。
「……そろそろ寝ましょう」
 そばにはカピバラとハムスターがいて。ぽんぽんと撫でるように彼らに触れて。
 三年前までのことをふと思い出す。
 あの頃は広く快適なベッドで眠っていたけれど、一人だった。
 今は、この子達と一緒に眠れる。それがどんなに質素だったとしても。
「今の方が幸せよ」
 笑んだアンナがおやすみなさいと唇だけで紡いで。
 夜は過ぎていく。

成否

成功


第1章 第4節

浅蔵 竜真(p3p008541)

「君は、デュナと言ったな。良ければ少し一緒にいてくれるか?」
 その問いに真白の少女は快諾して。

 その日は雨だった。
 強く降るでもなく、かといって外に出るには億劫になるくらいの雨の夜。
 雨音が響く部屋にいるのは竜真とデュナ。ベッドのないその部屋で、壁にもたれかかって二人で一つの毛布を被っている。
「……俺の元いた世界でのことなんだが」
「はい」
 いまだ眠りは訪れず。ぽつりと竜真がこぼす。
「雨の音が聞こえる日は誰かと一緒に眠っていたんだ」
 それは竜真の昔の思い出。
 雨の夜には、心が冷えると言って共に寝ようとする妹分がいた。そんな彼女に竜真は毛布を分けて、二人で一つの毛布にくるまって寝ていた。
「君をあいつのように見てしまった」
 笑顔で自分達を見る少女に、いつかの夢を思い出したのかもしれないと笑って。
 他人を重ねてしまっていることを謝ろうとしたが。
「それでは、今は私が竜真さんの妹ですね」
 くすりと笑んで。
 真白の少女は肩を寄せるようにして竜真に近付く。
「私はいつも一人で図書館で眠っていましたから、誰かとこうして眠るのは心がぽかぽかします」
「……そうか」
 彼女が良いなら良いかと。
 彼も少しだけ笑んで少女の頭を撫でる。
 二人で肩を寄せ合って。互いに体温で暖めるように。
 そして心が寒さに震えないように。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
 二人が眠りに落ちるのに、そう時間はかからなかった。

成否

成功


第1章 第5節

ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子

 お気に入りの揺り椅子に座って本を読み始めてから、いくらの時が過ぎただろう。開いたページから視線を窓に向ければ、いつの間にか紺の帳は降りている。
 部屋も暗く、煌々と灯るランプだけが光源となっていた。
「皆さんはもう寝ている頃でしょうね」
 ぽつりとよぎる知人達の顔。仕事でなければほとんどの人が眠る時間。もしかしたらあの人は起きてるかもしれない、と思ってくすくす笑ったり。
 ドラマは本を広げたまま膝に置いて、軽く伸びをする。体を少しほぐせば、集中している時には感じなかった疲労が肩を叩く。
「一度眠っておきましょうか……」
 ドラマにとっては睡眠はほんの刹那。瞬きくらいの感覚で。
 実際はどれくらい経っていたとしても。その睡眠の時間は眠りを必要とする者の中ではとても短い方だろう。
 世界からの贈り物であるギフト。『インソムニア』と名付けられたそれは僅かな眠りで一日活動するだけの活力を得るもの。
 世界をたくさん知りたいと思った彼女にぴったりの贈り物だ。
 最近は、その方向が本だけではなく『外』にも向いていたから。読めていない本が積み重なって。
 だから、目覚めたらまた続きを読もう。
『外』にもたくさんの未知がある。それでも、本の中にしかない未知もたくさんあるのだ。
 知的欲求はどこまでも満たされることはなく。
 次へ次へと絶え間なく求めていく。
 だから、それを紐解くために。
 今は。
「おやすみなさい」

成否

成功


第1章 第6節

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣

 この世界には人と相容れない存在もいる。
 出会えば人に害を為す生き物。逆に人が生命を脅かすこともあるだろう。弱肉強食の世界だから仕方がない。
 そんな世界だからこそ、こうして人里から離れた土地にいる時には警戒は解かないのだけれど。
「気持ちいいな!」
 リゲルが伸びをして空を仰ぐ。
 彼がいる場所は見渡す限りの草の原。障害物となる物もなく、人に危害を加える生き物もいない。
 鮮やかな緑が広がって。花の色が緑の絨毯を彩って。
 そんな戦いの日常から遠避かった場所で寝転んで。こんな場所を見付けるのは久しぶりだとリゲルは笑う。
 寝転んだまま見上げる空は澄んだように青く。綿飴のような白が揺蕩っている。時折視界の中を右へ左へと小鳥がさえずりながら横切っていく。
「こうして力を抜いていると眠くなってくるな」
 そうして微睡みがそうっと優しく手招きする。
 もしかしたら少しだけ疲れが溜まっているのかもしれない。そう感じるとさらに眠気は強くなって。
「……少し昼寝をしようか」
 次の仕事まではまだ時間はある。問題ない。
 風が吹いて髪が揺れるのを感じ、リゲルはそっと瞼を閉じた。
 遥か彼方で起こっている戦いを今は忘れて。
 空に舞い上がる鳥と風の協奏曲に耳を傾けながら。そばで手招きする微睡みを寄せる。
 きっと起きたら元気になって、仕事もすぐに片付けてしまうだろう。
 だから、今は。
「良い夢が見られますように」
 おやすみなさい。

成否

成功


第1章 第7節

木南・憂(p3p008714)
やまぶき

 澄み渡る紺が空を満たした夜に、鬼人の少年は草の原にごろんと寝転んで。
 紺には点々と瞬く星、大きな丸い月。それらを見上げて、夜の仄かに冷たい空気をゆっくりと吸い込む。
 憂は自然を好む。そういった場所だと落ち着いて眠れるかもしれないと、この原っぱへとやって来た。
 夜はいつも農作業などで疲れてしまって、この時間にはすでに床についていた。
 しかし今は海の向こうに広い世界があったこと、イレギュラーズとなって仕事をしていくことに興奮もあって。いつもの寝床では眠れそうになかった。
「こんな風に夜更かしをするのは新鮮であります」
 少し悪い子になった気分だと、憂はくすりと笑って。
 いつもとは違うこの時を楽しむように。星の大きさの違いを見付けて微笑んで。きらきらと輝く月に手を伸ばす。
 遥かな高みに手は届かないけれど、もしかしたらいつかは届くのかもしれないと思って。
「もうそろそろ眠らないと。明日に備えなければいけません」
 そうしてごろりと寝返りを打つ。草の匂いがふわっと香り、鼻腔を満たす。新鮮な緑の香りに少し波打つ心を沈めさせて。
 そして明日のことを考える。
 家の仕事もしたいし、イレギュラーズとしての仕事も頑張りたい。両親が少しでも楽になるようにしたいけれど、新たな興味も尽きない。
 だけど。
「何にせよ、今は体を休めなければいけない」
 だから今は。
「おやすみなさいであります」
 月に照らされて眠ろう。

成否

成功


第1章 第8節

 そうして微睡みから眠りへ。
 少女は呟く。

「おやすみなさい、良い夢を……」

 かすかに笑んで。

PAGETOPPAGEBOTTOM