PandoraPartyProject

シナリオ詳細

御国式サイクロンジェットアームストロング絡繰御国大筒じゃねえか、完成度たけえなおい

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●蘇りし伝説
「御国式サイクロンジェットアームストロング絡繰御国大筒じゃねえか、完成度たけえなおい」
 突然だがこちらカムイグラ自然公園に作られた広い芝生のど真ん中。
 天にそびえんばかりに突き立った巨大すぎる鋼の筒を、キセルくわえたおじーちゃんが見上げていた。
「え、なにこれ……え? まさか……え?」
 二度見三度身する三國・誠司 (p3p008563)。
 眼鏡をかけてキリッとした御天道・タント (p3p006204)がスライドインしてきた。
「説明しますわ!」
「君は……説明タント様!」
 振り返る誠司に、タントは眼鏡をキラキラさせつつホワイトボードをひっぱってきた。
「そう御国式サイクロンジェットアームストロング絡繰御国大筒略してミクニ砲はその……あの……説明しますわ、この方が!」
 冒頭一分でバトンをパスしたタントにかわり、くるっと回ったホワイトボードの裏からフォークロワ=バロン (p3p008405)が顔を出した。
「ご説明しましょう。ミクニ砲とは当代の双子巫女がカムイグラに就任してより初期に異世界より召喚された神使神人(イレギュラーズのウォーカー)がもたらした兵器設計図をもとにくみ上げられた兵器案のひとつなのであります!」
 早口オタクもかくやっていうテンションでまくしたてるフォークロワ。
 彼(?)がぺたんとボードに貼り付けたのは手書きで作られたなんか筒っぽい設計図である。あちこち意味の分からん単語が書いてあって一見しただけじゃこれがなんなのかはわからないだろう。
「技師を名乗るこのウォーカーは老衰で死去。残された設計図を巡りカムイグラの技師たちは議論を巡らせました。そして立ち上がったのがそうミクニ計画。
 おそらくは強力な兵器になるであろうこの設計図をそれぞれの技師が再解釈しそれぞれの『御国式大筒』を作り競うようになったのです。
 しかしここは混沌。正確に作り上げれば世界のルールに邪魔されて本来出すべき性能は発揮されぬもの。解釈は模索へと変わり今ではこのように様々なミクニ砲が造られるようになったのです!」
 なったのです! つってボードをひくと、何本もの巨大な砲が並んでいた。
 ノボリには『ミクニ祭り』と書いてある。
 みたとこ誰が一番のミクニ砲を造ったか決める技師たちの祭りであるらしい。
「まじかよ」
 急にゲッソリする誠司。
 だが話はここで終わらない。
 カムイグラだけでの話では、なかったのだ。
「その話……オイラも聞いたことがあるぜ」
「ワモン様!?」
 ミクニ饅頭をムシャッてやったワモン・C・デルモンテ (p3p007195)が(無駄にかけた)眼鏡を光らせる。
「とーちゃんから聞いた話だぜ。混沌に召喚されたウォーカーが海洋にわたって、一心不乱に大砲の製作に没頭したんだ。そいつは元の世界に帰ってある男に大砲を送りつけたい一心だったらしい。具体的には1200個くらい」
「送りすぎだろ」
 横で聞いていたカイト (p3p007128)がミクニタピオカドリンクをちゅるちゅるしながらつぶやいた。
「けど思ったような結果は出せなかったらしいぜ。その技術は船の大砲技術にも使われて、絶望の青を突破するのに役立ったともいわれてるんだぜ」
「貢献デカすぎだろ」
 ゆるきゃらのミクニクン着ぐるみをどつきながらつぶやくカイト。
「ってことは、偶然大陸側とカムイグラ側双方に同じ世界の似たような技術者が召喚されてたってことか。世界は広いようで狭いよな」
「その話……」
 しばらくミクニバーガーをかじっていたキャナル・リルガール (p3p008601)がキリッとした顔で振り返った。
「聞いたことがあるね」
「キャナル様!」
「お前もか!」
 懐から取り出した手帳をめくり、キャナルは二度頷いてから顔を上げた。
「鉄帝古代遺跡の調査班の中に、ミクニなんとかっていうアレをアレしようとしたウォーカー技師がいたんだよ」
「もうちょっと頑張って思い出せ」
「技師はだいぶ歳がいっててほぼほぼボケてたんだけど……ボケてたんスけど、とにかく何かをアレするキャノンを造りたいって気持ちだけは純粋で、見つけたパーツをいじっては独自に大砲を造ろうとしていたんスよね。その技術は兵士を前線へ物理的に送り出す大砲に転用されてギアバジリカ戦で貢献したとか」
「だから貢献デカすぎだろ」
「あくまで都市伝説だよ。じーさんの研究も結局は完成しなかったし」
「わが鉄帝にそんなことが……」
 エッダ・フロールリジ (p3p006270)はミクニ人形焼きを頭からムシャッてするとシリアスな顔をした。
「偶然にも同じ世界からやってきたウォーカーが海洋鉄帝そして豊穣にもいたのでありますね。そしていずれも理想のミクニ砲(仮)を完成させることはできなかった……」
「その話……」
「「まさか!」」
「「またか!」」
 同時に振り返る仲間達の視線を浴びて、メルーナ (p3p008534)がゴーグルをチャッて外した。
「初耳だわ」
「初耳なのかよ!」
「初耳だけど似たような話は知ってるわ」
「知ってるのかよ!!!!!!!」
 さっきからちょいちょいソフトにツッコミをいれるカイトである。
 メルーナは『まあ落ち着いて』といって自前の大砲をノックした。
「ラサの商人達が語る伝説には、市場に流れることなく散逸したお宝がいくつもあるわ。ほとんど眉唾だけど、話を聞いてるうちに思い出してきたの。
 『プロジェクト:MIKUNI』ていう大砲がある女性ウォーカー技師によって計画されて、そのプロトタイプができたすぐあとに女性は失踪したというわ。
 MIKUNIプロトタイプもどこかの遺跡探索中に紛失したっきりだっていうし、これもだいぶ都市伝説よね」
「へえ……」
「ちなみに値段は30000Gを主張したそうよ」
「高えよ!」
「けどそうなると気になるのは……」
 全員の視線が、一斉に三國誠司へと向けられた。
 ゲッソリした顔のままでいた誠司だが……。
「そいつら全員、俺に関係あるやつかもしれない」
「やっぱり!」
 やったじゃんこれで元の世界の手がかりがつかめたじゃんといって喜ぶ一同。
 そこへ!
 突然の!
「「御国滅ぶべし!」」
 大砲にカニみてーな手足が生えた怪物たちが木々を爆散しながら飛び出してきた。
 饅頭を食っていた老人がハッとして振り返る。
「あいつは! アンチミクニ!」
「あんちみくに?」
「ていうか誰このじーちゃん」
「御国砲が広まって以来度々発生する妖怪じゃ! 御国砲を見つけると襲いかからずには居られない我慢の出来ない子なのじゃ!」
「その表現おかしくない?」
「ていうか誰だよこのじーちゃん」
「じゃが戦い方は分かっておる。目には目を、歯には歯を、ミクニにはミクニを! お主等、これを使うのじゃ!」
 そういって老人はでけー布をバッと外した。
 そこには今大会のいちコーナー『ミクニ砲両手武器の部』に出品されるはずだった大砲がずらりと並んでいた。
「これを使って戦う者にあの妖怪たちは執着する。大会を守るため、あと実験だ――完成前に触れるラッキーな一人となるため、このミクニ砲で戦うのじゃ!」
「よっしゃあ任せろ!」
「わたくしにぴったりのミクニ砲を見つけますわ!」
「さあてどれを選ぼうかな」
「バリエーションが豊かね」
「大砲に造形は浅いですがこれは興奮します」
「たまには己の流派を離れ、郷に従うのも一興でありますな」
「っていうか本当に誰なんだよこのじーちゃんは!」
 などとやっているうちに、アンチミクニはがしがしこちらへ接近。
 迷っている暇はない!
 自分にピッタリのミクニ砲を選び、この戦いに勝利するのだ!

GMコメント

 ご用命ありがとう御座います。無茶ぶりには無茶ぶりで返す。これが俺の流儀。そうわたくし黒筆墨汁でございます。

 なにが元ネタか全くぜんぜん分からない完全オリジナル概念ことミクニ砲をめぐる依頼を受けることになったイレギュラーズの皆様。
 いまより始まるハチャメチャバトルに君はついてこれるのかこれないのかどっちなーんだい!

■オーダー?
・自分にぴったりのミクニ砲を見つける
 いろんな技師が造った大砲のうちから一つを選び、この戦いに使用します。
 といっても最初から決めてないので『こういう大砲を見つけましたわ! わたくしにぴったりですわ! ちぇけら!』といって選び出すロールをしてください。強さは一定ですが性能や造形は大体自由に選んでよいものとします。あとこの御嬢様ちぇけらとか言わない。

・ミクニ砲人筒の部を使ってもいい
 いろんな解釈がされて途中から原型をなくしたミクニ砲ですが、人をいれて発射する『突っ込むタイプのミクニ』が出品されています。気が向いたらこれを使ってアンチミクニへ物理的に突っ込んでいってもらって構いませんよ。

※注意事項
 出品された品はみな正規品ではないのでお持ち帰り厳禁です。仮に持ち帰るなら出品者から買い取りましょう。具体的には手元のなんかそれらしい武器を特殊化しましょう。

●アンチミクニ
 カムイグラに現れた妖怪の一種です。
 大砲に手足がはえた形をしており見た目通り砲撃が得意です。
 通常の両手武器大砲と同サイズ程度の小ミクニと戦車かなってくらいでかい大ミクニに別れ、ごく少数の大ミクニを防御のカタい仲間1~2名が足止めしてる間に小ミクニを倒しきり、邪魔がなくなったところで一斉攻撃をしかけるというのがお勧めの戦術です。

  • 御国式サイクロンジェットアームストロング絡繰御国大筒じゃねえか、完成度たけえなおい完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月08日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
フォークロワ=バロン(p3p008405)
嘘に誠に
メルーナ(p3p008534)
焔獣
三國・誠司(p3p008563)
一般人
キャナル・リルガール(p3p008601)
EAMD職員

リプレイ

●ぜったいマーケットに流したりなんてしない!(迫真)
「みんな、ミクニキャノンは持ったな!!!」
 『強く叩くとすぐ死ぬ』三國・誠司(p3p008563)は大量に並んだ御国式大筒の中からパワーオブパワーなやつをひっつかんで肩に担いだ。
「俺のキャノンは黒くて太くてデカい! 根元にもデカいのが二つついてるから何発だって撃てるぞ!」
「誠司様落ち着いて!」
「言い方! 言い方がもう完全にアレだぞ!」
「……ゴクリ」
 ウラーといいながらアンチミクニの群れに飛び込もうとした誠司を仲間達がとめた。
 彼のキャノンには『かなまら大噴射GINGIN MAX』て書いてあった。ハブエキス入りとも。
「お前、お前もうちょっとアレしろ! デビュー戦だぞ!」
「なんのデビューだ!」
 元の世界の手がかりが見つかったと思ったら激しく風呂敷が広がったせいか、誠司は軽く錯乱していた。
 ふいいと言って額の汗(?)を拭う『雨夜の惨劇』カイト(p3p007128)。
「今後のお手本にもなりかねないんだ。ここはオーソドックスなのを選ぼうぜ」
 そういってカイトが肩に担いだのは『呪!』て赤いなにかで書かれた巨大な釘だった。
 立て札に説明が書いてあるが、頭にろうそく立てて巨大ハンマーでがっつんがっつんやれと書いてある。
「……カイト、何かいやなことあったの?」
 あまりの有様にスンッて冷静さを取り戻す誠司。
「いや、べつに他意はねーんだよ。アンチミクニをアンチしたら正の力が高まる気がしたんだ」
「ぱっと見丑の刻参りですものね……けど他意がなくて安心しましたわ。急にお友達が憎しみの鬼と化したのかと」
 『きらめけ!ぼくらの!ゲーミング』御天道・タント(p3p006204)はホッと胸をなで下ろし、自分用のキャノンを赤いシートで飾られた台から取り上げた。
「それでは折角なのでわたくしはこれに致しますわ! ええと名前は――カラフルパワフルジョイフルビューティフルワンダフルミクニ砲……」
 立て札の名前を一通り呼んでから、ぽっけから油性マジックを取り出すタント。
 砲身に太陽のマークと『余裕のよっタント!』て書いた。
「タントエディションですわーー! ちぇけら!」
「うわああ私のゲーミング御国式大筒が……!」
 おそらく制作者であろうコンテスト参加者が身を乗り出し。
 乗り出してから、グッとガッツポーズした。
「カワイイ!」
「いいんだ……」
「私の大筒は1680万色で光るんだ」
「奇遇ですわね」
 タントもおでこにピッて横ピースを当てると、突如ファイヤーな音楽と共に1680万天然色で輝き始めた。
 頭上から生えたひまわりがものすごい勢いで首(?)をぐるぐる回している。
「どうですかしら! まるでわたくしの為のミクニ砲ですわー!
 カラフルな砲身がおひさまの光を浴びて艶めききらめきぴっかぴかなこの様相は……今のわたくしと、エッダ様のよう!」
 バッて振り返ったゲーミングタント様につられて一緒に振り返ると、耳んとこのメイドカチューシャ的ヘッドギアが1680万色に光る『ゲーミング』エッダ・フロールリジ(p3p006270)がいた。
 その頭上では意味も無く光るカカポが首を回しまくっている。
 急に顎の尖った顔になって流れる汗を拭う誠司。
「す、すげえ……容赦なく別の依頼の話をしてる。そしてそれが採用されてる」
「いつもはこんなじゃあないのでありますよ?」
 そう言いながらエッダが肩に担いだのはなんか右と左のダブルで担げるキャノンだった。
「マキシマムブーストオンミクニエクストリームバーサス2砲であります! 一度発射したらエネルギーが尽きるまで自分でも止められない悪魔のキャノンなのでありますよ!」
「なんでそんなの選んだんだ?」
 『受け継がれるアザラシ伝説』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)はいつも尻尾でがしって掴んでるガトリング砲を手放し、代わりにコンテストに出品されていた大砲のひとつを装備した。
「オイラのはミクニキャノンガトリングモデルだぜ! お土産に貰ってかえれねえかな! かな!?」
 振り返ると、それを作ったらしいアシカっぽい海種が親指を立てた。
「けどいつもと違うのがいいよな。たまにはもっと思い切った……ハッ!」
 ワモンは並ぶキャノンを見ていくうち、明らかにデカすぎるキャノンに目がとまった。
 普通にワモン一体くらい入っちゃうような筒である。
「これは……人間砲弾式ミクニキャノン!」
「思い当たる節があるッス」
 『遺跡調査員』キャナル・リルガール(p3p008601)がキュピーンって目を光らせて大砲のはらを叩いた。
「技師のじーさんの研究を思い出す……思えば、じーさんが大砲作りしてる時にゃ隣にはウォーカーの男がいた。人を大砲に詰め込んで放つ拳法の技があるって話してたッスね……」
「それは拳法じゃない」
「その名も『ナントゥー・ヒューマンキャノンボール』!」
「それは拳法じゃない!」
 フフッていいながら誠司の首根っこをつかんで大砲にブンッて放り投げるキャナル。
 カートゥーンアニメさながらの勢いで弾をこめる部分に誠司が入ったところで、キャナルはそっと蓋を閉じた。
「え、まって、僕なんでここに入れられたの」
「という訳で! 僕のセレクトはこれだーーーっ!!
 天和八連荘大四喜字一色四槓子四暗刻単騎待ち砲っス!!!」
 砲身側面になんかよくわっかんねー文字とかマークが並んだキャノンを担ぐキャナル。
「まって自然に話進めないで。出して」
「その一撃、まさしく八倍役満! 大口径長射程大火力!一撃で384000点の大ダメージというワケっスね♪」
「ツッコミいれてあげるからお願いだから出して!」
 筒の内側からガンガン叩く音がするが、誰も出してはくれなかった。
 どころか発射ボタンらしき赤い髑髏マークのスイッチに手を伸ばしていた。
「なにこの大砲いいじゃない! まるで艦砲だわ! 私も一発撃ってみたいわねぇ」
 『焔獣』メルーナ(p3p008534)はスイッチに指先をチョンとだけ触れて、発射するかしないかの間でじらすかのように人差し指でのの字を書いていく。
 頬に手を当て、どこかうっとりした表情で筒(の中の誠司)に呼びかける。
「どう? 発射したい? して欲しい? どうなの?」
「言い方」
 筒の中からくぐもったツッコミが聞こえる中。
「メルーナさんメルーナさん」
 『嘘に誠に』フォークロワ=バロン(p3p008405)がふよんふよん浮いてる仮面のうちひとつをつまんで、自分の顔に半分かぶせた。
「まずは自らのキャノンを紹介してはいかがでしょう」
「ハッ、そうね! 私としたことが今日のメインディッシュを忘れるところだったわ」
 頭上にぺぽーんって『!』マークの火が灯り、メルーナは御国式大筒を担いで見せた。
「私はこの『天上天下唯我独尊三千世界無双砲【MIKUNI】』を使うわ!
 これこそは漢女の浪漫、極太筒形レーザーを超出力でぶっぱなす系の大砲(キャノン)――そう、私が一番、キャノンをうまく使えるのよ!」
 今日一番やるべきだった名乗りと決めポーズをとるメルーナであった。
 それでこそ……と言いながら流れてもいない涙をハンカチで拭うフォークロワ。
「ではそろそろ、私もキャノンを選ぶことにいたしましょう。個性豊かなミクニ砲が所狭しと並べられておりますね、どれにいたしましょうか……」
 ひな壇みたいに並べられた大量の大砲。冷静に見たらこのイベント考えた奴あたまおかしいなって思ったけど表情にはミリも出なかった。
 かわりにモノクルがキラッと光り、ひとつのキャノンを取り上げる。
「名は……『ミクニデストラクションキャノン・迫撃砲エディション~豊穣の風を添えて~』」
「なんでサブタイトルついてるのよ」
「オシャレな創作フレンチみたいッスね」
「説明しましょう! 『ミクニデストラクションキャノン・迫撃砲エディション~豊穣の風を添えて~』とは――」
 大砲を構えると、その先端に死んだ目をした大筒型ゆるキャラ着ぐるみが突き刺さっていた。
 この場合尻からって表現があってるのか不安だが、四肢がだらーんってなった着ぐるみが大砲の先端に刺さってる光景は控えめにいってサイコである。
「ごめん。まって。その中に人はいってるの……?」
「まさか」
「そうよねまさか」
「火薬がぎゅうぎゅうに詰まっています」
「もっと他に入れるものあったでしょ!???????????」
 驚愕のメルーナを載せないまま、話題のアクセルをべた踏みにしていくフォークロア。
「さァ! 派手に行こうぜェ!!! 消し飛べミクニィ!!!」
「それ僕が消されるみたいだからやめて」
 筒の中からのツッコミもなんのその。フォーロワはアンチミクニの群れめがけてミクニクンを発射した。
「ヒァウィゴーーーーウ!!!!」
「「イエーーーーーーーーァ!」」
 そして、髑髏マークのスイッチは押された。

●カムイグラで最初にやったことって……
「ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛!!」
 弧を描いて飛んでいくミクニクンと三國君。
「よっしゃあ友情パワーでアンチミクニをぶったおすぜー!」
 別の大砲で発射されたワモンがミクニクンにしがみつき、しょってるスタスター全てに点火した。
「あっワモンさんそれは――」
「ファイヤー!」
 その日、コンテスト会場に花火が上がった。
 アザラシフェイスの花火であったという。

 ――完





「……って、いきなり終わるんじゃないわよ!」
 お空に浮かんだワモンとミクニクンの笑顔に大砲をぶっ放すと、メルーナはあらためてアンチミクニへと向き直った。
「ミクニは消毒よ!」
 天上天下唯我独尊三千世界無双砲【MIKUNI】をどっかんどっかん連射しながら、メルーナは足をグッと踏ん張った。
「メルーナさんいいんスか! 大ミクニがフリーっスよ!」
 同じく天和八連荘大四喜字一色四槓子四暗刻単騎待ち砲で点棒じゃらじゃらさせたキャナルが振り返ったが、メルーナは親指を立てて返した。
「大丈夫よ。見て」
 言われるままに、メルーナの指し示す先を見ると。
「…………」
 『きをつけ』の姿勢で誠司が大ミクニに刺さっていた。
 それを一生懸命抜こうとカニみてーな手でぐいぐいする大ミクニ。
「まあ、まあ! 完全な足止めですわね!」
 タントがぺっかぺっか光りながら頭上のひまわりを回転させていた。
「ミクニセイジ」
「ミンナノアイドル」
「キャノンの送り先」
「大砲がTI――」
「「イェェェェェエエエイ!」」
「あぁぁああだめですわこのままじゃわたくしの出番が……」
「タント様、安心するであります。『あれ』がまだであります」
 エッダが耳んとこをぺっかぺっかさせながら手をかざした。
「ハッ――そうでしたわ!」
 と、その時になぜか幕がかかり、劇場方式で再び幕が開いた。
「オーッホッホッホッ! この! わたくし――!」
 指を鳴らすと、どこからともなくキャノン神輿を担いだ男たちが現れた。

  \きらめけ!/
  \ぼくらの!/
\\\タント様!///

「‪──‬が! アンチミクニなど! けちょけちょのちょんに蹴散らしますわー!」
 デスペラード姿勢のタント略してデスペタント様が肩に担いだキャノンからキラメキを大量にシュート。
 対抗してわっしゃわっしゃ群がってくる小ミクニたち。
 そして彼らの間をスゥンって空ぶっていくキラメキ。
「こ、来ないで! 来ないでくださいましー! わたくしまだ死にたくないですわー!!」
 うわーっていいながら乱射するデスペタント様……が、そんな窮地に颯爽と現れるゲーミングエッダ!
 解き放たれしビームが小ミクニたちをジュッてしていく。
「このビームさえあれば小ミクニはおろか大ミクニも粉砕できるのであります!」
「エッダ様!」
「おっと称賛は帰ってからにしていただきたいでありますな!」
 っていいながら180度ターンするエッダ。
 ジュッてなるタント様(のおでこ)。
「んみゃーーーーー!?」
「しまったであります!」
 もっかい180度ターンするエッダ。
「「グワーーーーーー!?」」
 そのあおりでなぎ払われていくキャノン神輿のひとたち。
「皆様ーーーーー!」
 エッダ(ビーム継続中)はがくりと膝をついた。
「よくも……よくもタント様とキャノン神輿のひとたちを! アンチミクニ、絶対許さねぇであります!」
 横からそっとツッコミをいれてあげるカイト。
「いや、全部エッダの砲撃じゃあ……」
「絶許!」
 エッダはぺかーって輝くと、指をたからかに鳴らした。

  \のっとれ/
  \ぼくらの/
\\\エッダ様///

「――が、根絶やしにしてやるであります!」
「お家芸が乗っ取られましたわ!?」
「なんてこった。敵も味方もメチャクチャだぜ……」
 カイトはゴーグルの耳部分をタップすると、ゴーグル内にいろいろなアレを表示した。
「ここは俺がしっかりしねえとな。そんじゃあ行くぜ小ミクニども!」
 カイトはンな常識人サイドみたいなこといいながら、『呪!』て書かれたでかい釘を担いで飛び込んだ。
「なんでもキャノンにするなよオラァ!」
 小ミクニを巨大釘で突き刺し、巨大ハンマーでぶったたいた。
「分類が多岐に渡ってミクニ砲各種だけで複数ビルド組めるようになったら世界がミクニに包まれるからなァ!!!」
「地獄では?」
 急に冷静になってつぶやくフォークロワ。
「あとそれはキャノンといいつつほぼ近接武器では?」
「キャノンって書いてあるんだからキャノンだろ」
 カイトは前言をソッコー棚に上げながらヌラァって振り向いた。
「キャノンだよな?」
「はい……」
 100%作り笑いで頷くフォークロワ。
 かと思えば次の瞬間にはガチギレ100%の顔でミクニクンを次々にぶっ放した。
「ア゙ババババァ゙! オラオラ爆散しろミクニィ!!!」
「うわ急にキレるな!」
「そして帰ってきたオイラ!」
 空から垂直落下してきたワモンが、いつの間にか回収してきたらしい誠司を差し出した。
 赤ちゃんを抱っこする姿勢で。
「アンチはここでせん滅する。
 騒ぎになって闇市に出回らないようにする為に。
 きれいさっぱり殲滅すれば。
 きっと明日からの清い新人生活がまっているはずさ」
 ってすごいシリアスな顔で言ってるけど姿勢が完全にあかちゃんだった。
「僕の親せきでちょいちょい行方不明になっている人がいるというのは聞いていた。けどそれがよりにもよっ――」
 そして流れるように大砲に装填される誠司。
「今度こそ一緒にいくぜ! ミクニキャノン発射!」
 シリアスっぽい台詞をいいながら真顔で発射されていく誠司。
 その上にがしって捕まるワモン。
「スラスター点火!」
 ワモンは全身に装備したスタスターから火を噴き、誠司と共にきりもみ回転を始めた。
 そして最後のあたりで誠司はワモンをぶんなげ、自分は大砲を空中で空撃ちすることで軌道を変えた。
「これでいいのか三國家!
 これでいいのかパンドラパーティープロジェクト!
 3周年を前にして豪華な参加者、豪華なマスターを駆使した究極の無駄遣い! 戦いきって見せる!」
 がいーんと激突した誠司たちは零距離で大砲を乱射。
 そういえば出てきて以来全く喋ってなかった大ミクニはグオーと声を上げて爆発四散した。
「終わったんですのね……」
 ガスマスクつけて『事は仕事だ。悪く思わないでよね』って囁きながら気持ちの上では命中100越えのショットをしていたタントが、ガスマスクを外した。
 爆発の中からワモンを肩に担いで歩いてくる誠司。
「ああ……これでもう、闇市に御国式大筒が流れることはない」





 崩れゆく大ミクニを、キセルをくわえたおじいちゃんが眺めていた。
「世界各国に散らばった前世界の爪痕を探し戦い続ける旅が始まる。そして究極の御国式大筒(キャノンオブザキャノン)を作り出すための旅も……準備はできておるな? 伊織よ」
「うん、おじーちゃん殿」
 女性はピッと二本指をたてて、仲間と笑い合う誠司を撃つマネをした。
「全ては真の御国大筒完成の為に」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 本当に旅が始まるのかどうかはわからない。運命はいつも気分やなのさ。
 ――って、あの知らないおじーちゃんが言ってました。

PAGETOPPAGEBOTTOM