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シナリオ詳細

《狐の嫁入り 異聞録玖》補給部隊襲撃!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■決戦への足がかりを
 イレギュラーズ達の活躍もあり、森の中に野営地を作り上げた狐人の騎士達。水もあり、食べ物もとれる。結界により襲撃者の心配もないとこれ以上ない条件だ。
 兎人の街からも、支援すべく武器防具や食料などの物資は届いている。後は援軍の騎士達を待つばかり。
「とはいえ、何もしないでいるのもな」
 イグニスが司令官の帳にて零す。
 鍛錬は怠っていない彼だが、司令官としての経験は初めてなのだ。故に気が焦る。これで本当に良いのかと。
「あなたはよくやっているわよ」
 頭を掻く夫をなだめるように、メルティが珈琲を淹れる。受け取って一口飲んでから、でもなぁと再び頭を抱えるイグニス。
「親父が見てたらまた殴られるんだろうな」
「幾らなんでもそこまで理不尽じゃ……あるわね」
 そんな話をしていたところに、騎士が一人やってくる。
「失礼します隊長。ご報告が」
「なんだ」
 先程までの弱気はどこへやら。すぐに司令官の顔を取り戻すイグニスを、微笑ましく見つめるメルティ。
 いい夫婦だよな、と騎士は内心羨ましく思いながらも報告を続ける。
「この森を出て少し獅子人の街方面へ向かう途中にですが、獅子人の輸送部隊を発見しました」
「ほう」
「数日観察しておりましたが、定期的に同じ道をたどるようです」
 その話にイグニスの目が鋭くなる。
 輸送部隊ならそこまでの戦力はないはず。それでいて、叩けばこちらの利は大きい。気づかれていないのなら、攻める利点しかない。
「20人程精鋭を用意しておくんだ。近く襲撃をかける」
「はっ!」

■夜襲
「ということで。いつものイグニスさんからの出撃要請よ」
 もはや見慣れた本を片手に、境界案内人のポルックスは集まったイレギュラーズの顔を見渡す。
「獅子人達との戦争、前哨戦って形で輸送部隊を襲撃するようよ。ただ、相手も黙ってやられるとは思えないから気をつけてね」
 もし、何かいい手が思いついたら提案してみるのもいいかしら。と締めくくり、イレギュラーズを異世界へと送り出す。

NMコメント

 いつもお世話になっております以下略です。このシリーズも早いもので半年続きました。
 え、マジで半年?
 さておき、今回は獅子人の輸送部隊へ夜襲をかけるシナリオです。NPC達は物資を奪いそのまま持ち帰ろうと考えていますが、何かいい案があれば提案してください。よっぽど変な事じゃなければ従います。
 以下概要。
■イグニス・ルークス
■メルティ・ルークス
 騎士を率いる隊長と、その妻たる癒し手です。イグニスは1対1ならそうそう負けない実力者、メルティは優秀な支援役です。存分に頼るところは頼ってやってください。
■狐人の精鋭×20
 夜襲を仕掛ける為に選抜された、騎士の中でも実力者揃いです。1対1なら輸送部隊が相手なら勝てますが、本隊相手では苦戦しやがて負けるでしょう。
 彼らが負けないように、イレギュラーズ達が手助けする形です。

■獅子人の輸送部隊×15
 食料や武具をどこからか運び出している部隊です。馬、牛に似た生物に荷台を運ばせています。輸送部隊故か戦力はそこまで高くはありません。不利と見ればすぐに物資を置いて撤退するでしょう。
 一人輸送部隊を率いる隊長がいます。彼だけはそこそこ強いです。

■追手の部隊×総数不明
 輸送部隊撃破に手間取るか、または物資を持ち帰っている最中に『必ず』現れる部隊です。これは本隊の一部なので普通に屈強な者達です。
 時間をかければかけるほど数は増えていき、最後には押しつぶされるでしょう。そうならないように戦うか、一計を案じてください。
 
■フィールド:夜の平原
 見通しのいい野原ですが、夜です。最初輸送部隊は野営をしておりますのでそこを襲撃するところから始まります。

 以上となります。
 まだ続く戦争。皆様の手で勝利へと導いてあげてくださいませ。

  • 《狐の嫁入り 異聞録玖》補給部隊襲撃!完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月29日 23時00分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補
小平・藤次郎(p3p006141)
人斬りの鬼
ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)
風吹かす狩人
長月・イナリ(p3p008096)
狐です

リプレイ

■夜の襲撃
「どうだ?」
「……周囲に伏兵らしき姿はないわ。大丈夫」
 精鋭騎士20人を引き連れたイグニスに問いかけられ応えるは『狐です』長月・イナリ(p3p008096)だ。彼女はファミリアーで梟を呼び出し、上空からの偵察を行っていた。
 夜目の利く鳥だからこそできる偵察。その報告にイグニスは一つ息を吐く。
「それでは手はず通りにいくぞ!」
「援護射撃は任せておいてネ」
 獅子人の輸送部隊に、ギリギリ射程が届く距離から『風吹かす狩人』ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)が語りかける。夜故に視界は悪いが、輸送部隊が明かりをつけているので彼の視力をもってすれば狙いをつけるのは難しくない。
「じゃ、早速暴れてくるかの。大将首は任すぞ」
「余り無理はしないでくださいね?」
 今にも駆け出そうと前傾姿勢をとる『人斬りの鬼』小平・藤次郎(p3p006141)は景気づけに酒を一口飲み干す。彼の様子にいささか心配を覚えたメルティが忠告するが、藤次郎は笑ってのける。
「兵站は大事なのよ、へいたんは。あんまり言うと包丁かバール飛んできそうだけど」
 何故かニュアンスが違う言葉を放った『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)。ここは世界が違うから飛んでくるものはないが……ブーメランが自分に帰ってきていないかが心配である。

 さておき。
「かかれぇー!!」
 イグニスの号令一下、イレギュラーズを含めた騎士達は一斉に輸送部隊に襲いかかる。
「な、こやつら狐人か!?」
「小癪な真似を!!」
 血気盛ん、勇猛果敢な獅子人達は一瞬襲撃にうろたえるも、一人として逃げ出すような事はなかった。それぞれが素手での格闘、或いは武器を持っての至近戦闘に移りだす。
 だが、どうにも動きが鈍い。よく見れば年若い者と顔に皺の多い者が混ざっている。どうも新兵に戦場の空気を味合わせる訓練部隊も兼ねていたようだ。
「ふんっ! どうしたどうした、そんなものか!」
 藤次郎が駆け込む勢いそのままに剣を振り下ろし、一人の獅子人を倒す。意識は残っているようだが、朦朧としているようだ。
「油断はしないでね!」
 藤次郎の背後から、セリアが魔力で形どったハンマーを振り下ろしつつ声をかける。その一撃はまさしく威力はあるがランダム。誰に落ちるかは振り下ろすセリア自身にもわからない。
 よりにもよって藤次郎のすぐ近くの地面が揺れたのは、気の所為だろう、きっと。
「お待たせ、さあ隊長はどなたかしら?」
 2つの神の力を宿したイナリがようやく前線に合流する。普段はその力を攻撃に回しているが、防御にも回せるようになったようだ。
「えーっと……あちら、かしらね?」
 セリアが攻撃の手を止めて意識を集中する。15人の気配が入り乱れる中、一人だけ強い気配がした方向を指差す。そこにいたのは、年少でも年配でもない、熟練した肉体を持つ獅子人であった。
「わかった、あの押さえは私がやるわ。ジュルナットさん、援護お願い」
「オッケー、あちらだネ」
 イナリが駆け出す方向へ、ジュルナットが弓に番えた鏃を向ける。
「お、お前さんも来たか」
「ええ」
 隊長の獅子人を相手取っていたのはイグニスだ。イナリと一度顔を見合わせ笑う。
「ジュルナットさんの援護も来るわ。さっさと終わらせましょう」
「おう!」

■収奪
「よーし、追手が来る前に皆急げ!」
 輸送部隊の面々は、ある程度戦うと撤退していった。隊長格の獅子人があっさりとジュルナットの矢に射抜かれ絶命したのが大きい。
 イグニスをはじめとした騎士達は、イレギュラーズ達の提案に従い物資の半分をその場に降ろし、残りの荷物だけを持ち帰る算段だ。特にかさばるが替えの必要のない武器防具はその場においていく。
「それじゃあ、お二人さん頼むぜ」
「おうよ」
「ええ」
 準備ができた騎士達が、馬や牛を引き連れ撤退していく。イグニスの声にあわせ、藤次郎が炎撃を、セリアがハンマーの雨を物資へと降らせていく。
 あっという間に武具はボコボコに凹み、残った食料は燃え尽きていく。
「後はこれもおまけしておきましょ」
 と、セリアがジュルナットに火薬を渡す。彼は矢にその袋を取り付けて、離れた場所から燃え盛る食料へとそれを放った。
 ドドーン!!
「たーまやー……って言うんだったかナ?」
「おうおう、いい景気づけじゃ!」
 派手な音と光を背に、イレギュラーズ達も撤退していく。

■追撃から逃れて
「来たわよ、三人」
 セリアのエネミースキャンに獅子人の気配が引っかかる。足が速いところを考えると騎兵だろう。
 荷馬車を引き連れた馬達ではすぐに追いつかれる。しかしこれくらいは想定の範囲内だ。
「三人くらいなら、やれるわよね」
「おうとも!」
 イナリの確認に、藤次郎は腕まくりをして応じる。イグニスは部下達に先を急ぐように命じて、妻のメルティと共にイレギュラーズと肩を並べる。
「おや、メルティチャンも残るのかイ?」
「ええ。……オジサマとこうして並ぶのは久しぶりね」
 メルティが思い出すのは、ジュルナットとの初めての邂逅。あの時のメルティは手を引かれるだけの少女だったが、今は違う。
 一人囮をするつもりだったジュルナットだが、彼女の目を見て考えを改め。
「そういう事なら、頼らせてもらうヨ」
「任せておいて」
 メルティの祈りが、イレギュラーズ達の活力を取り戻す。
 獅子人はもう、すぐ目の前だ。
「いくわよ!」
 セリアの声に合わせ、ジュルナットの矢が雨と化して降り注ぐ!
「ぐぎゃっ!?」
「まだまだ青いのぅ!」
 矢に射抜かれ落馬する獅子人の一人に、藤次郎が飛びかかり鋭い斬撃を浴びせていく。更にはイナリも加わり、雷神の一撃を放つ!
「ヒューッ、流石友人方だな。正直敵に回したくないぜ」
「ほら、無駄口叩いてないであなたもさっさと行く!」
 一連の流れを見たイグニスが冷や汗と感心を混ぜた感想を零すが、妻はそんな夫の背中を押し出して無理やりに前線へと押し出していく。
「厳しい嫁さんだぜ……ったく!」
 その叱咤に気を取り直したイグニスが、盾で思い切り馬を殴り飛ばし獅子人をまた一人引きずりおろす。
 落馬した衝撃でうずくまる獅子人に、セリアの無慈悲とも言える精神力の弾丸が降り注いでいく。
「悪いわね、私達は急いでるのよ」

 元より3対6。しかも先手を取れたアドバンテージ。
 獅子人も強いが、イレギュラーズは彼らを手早く撃退し、森への帰還を果たす。もちろん獅子人も跡をつけてきたのだが、護り人姉妹の結界により野営地にまで辿り着く事はできなかった。
 そう、たった一人の『例外』を除いて。

■例外
「皆、ありがとうな。作戦はうまくいったぜ」
 野営地に辿り着くなり礼を述べるイグニス。奪い取った食料もあるし、今日は少し贅沢な飯にしようかなどと話していると、一人の騎士が駆け寄ってくる。
「失礼します隊長。問題が発生しました」
「なに?」

 その騎士に案内されるまま、イレギュラーズ達も問題を確認する。
 そこにいたのは、一人の獅子人であった。
「え、え? なんでこの野営地に獅子人が?」
 セリアが驚きの声をあげる。彼女が暗視で森の中を確認した時は、追手は全て撤退したのをきちんと見たのだ。
 不思議なことに、目の前の獅子人はとても弱く見える。……いや、実際のところ息が荒れ、身体が傷ついている。
「これをやったのは君達かイ?」
 ジュルナットがその傷を見つめ、周囲の騎士達に問いかけるが彼らは手を振り否定する。と同時に、荷馬車の中にあった樽に詰まっていた事も聞けた。
「なんでそんなところに……?」
「考えてもわからんのう。どうする、隊長さんや。首を斬り落とすなら今だと思うのじゃが」
 イナリが首を傾げる隣で、藤次郎が剣の柄に手をかける。確かに正体不明、敵の種族であるならば、憂いを断つ為に命を奪うのは正しい選択の一つであるだろう。
 しかし、イグニスはそれを良しとしなかった。
「いや、今はやめておこう。メルティ、手当をしてやってくれ」
「わかったわ」
 四人の騎士とメルティが、一つの幕舎へ獅子人をつれていく。その後ろ姿を見て、藤次郎は剣を収め直し問いかける。
「良かったのか?」
「ああ……見たところまだ年若い。何か内部事情を聞ければそれで良い。何も聞けずとも捕虜の一人くらい養えるさ」
「おんし、甘いのぅ……じゃが、それもまた良しだ」
 ほれ、一杯やろうぞ、と藤次郎が誘うとイグニスも笑って応える。
 その夜は、イナリもセリアもジュルナットも、しばし戦を忘れて豪勢な食事を楽しんだ。

 獅子人の少年の正体とは。
 そしてそれが紡ぎ出す次の物語とは……。

成否

成功

状態異常

なし

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